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JP2006051681A - 離型フィルム - Google Patents

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JP2006051681A JP2004234661A JP2004234661A JP2006051681A JP 2006051681 A JP2006051681 A JP 2006051681A JP 2004234661 A JP2004234661 A JP 2004234661A JP 2004234661 A JP2004234661 A JP 2004234661A JP 2006051681 A JP2006051681 A JP 2006051681A
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Kimihiro Izaki
公裕 井崎
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Mitsubishi Polyester Film Corp
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Mitsubishi Polyester Film Corp
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Abstract

【課題】 基材に対する塗膜密着性が良好で、適度な剥離性を有し、LCD製造時に使用する粘着剤層保護用、セラミック電子部品製造時に使用するグリーンシート、PDPの誘電体層、隔壁成形用等のシート成形用に対応可能な離型フィルムを提供する。
【解決手段】 二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、SiO3/2構造を含む無溶剤型シリコーン樹脂(A)とSiO3/2構造を含まない無溶剤型シリコーン樹脂(B)とを含有する離型層が当該フィルムの製造工程内で設けられた離型フィルムであり、局所タルミが実質的に存在せず、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする離型フィルム。
F300/F30≦2.0 …(1)
F≦100 …(2)
(上記式中、F300、F30およびFは、剥離速度が各々300m/分、30m/分、0.3m/分における離型層表面とアクリル系粘着テープとの剥離力(mN/cm)を表す)
【選択図】 なし

Description

本発明は離型フィルムに関するものであり、詳しくは、液晶偏光板、位相差板等の液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する場合がある。)製造時に使用する粘着剤層保護用あるいはセラミック積層コンデンサー、セラミック基板等のセラミック電子部品製造時に使用するグリーンシート成形用、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する場合がある)の誘電体層あるいは隔壁部材成形用等のシート成形用として好適な離型フィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルムを基体とする離型フィルムが、液晶偏光板、位相差板等のLCD製造時に使用する粘着剤層保護用あるいはセラミック積層コンデンサー、セラミック基板等のセラミック離型用、PDPの誘電体層あるいは隔壁成形用等に使用されている。離型フィルムを構成する離型層に関して、無溶剤型シリコーン樹脂を含有する離型層をポリエステルフィルム上に設けた場合、例えば、オフラインコーティングにおいては、有機溶剤に無溶剤型シリコーン樹脂を含有させた塗工液をポリエステルフィルム上に塗布した場合、無溶剤型シリコーン樹脂自身が低粘度のため、ポリエステルフィルムに対する濡れ性が悪く、はじきが発生する等の不具合を生じる場合があった。また、加工直後より基材に対する密着性が往々にして乏しい傾向にあり、密着性を特に必要とされる用途には対応困難な状況にある。離型剤側からの改良検討に関して、離型剤メーカー各社よりポリエステルフィルムに対する密着性改良検討が鋭意なされ、各種改良手法の提案もなされているが、離型フィルムを使用する用途によっては、全ての要求特性を満足するまでには至らない。
PDP、LCD用途等においては、プラズマテレビあるいは液晶テレビの大画面化に伴い、製造工程における生産性向上を目的として、製品採取効率をさらに向上させるため、使用する離型フィルムの面積をより大きくする傾向にあり、製造上、さらにフィルム幅が広い離型フィルムが必要とされる場合がある。例えば、フィルム幅2m以上の離型フィルムを製造しようとした場合、オフラインコーティングにおいては往々にして設備仕様等の制約により、対応困難な場合がある。また、製造現場においては生産性向上を目的として、製造工程における高速化に伴い、例えば、剥離工程においても30m/分以上の高速剥離領域において、剥離性良好(軽剥離化)な離型フィルムが必要とされる場合がある。そのため、無溶剤型シリコーン樹脂を用いても塗膜密着性良好で適度な離型性を有し、特に30m/分以上の高速剥離領域において、剥離性良好な離型フィルムが必要とされている。
一方、シート成形用途の一例として、セラミック積層コンデンサー等に使用されるグリーンシート成形用が挙げられる。当該用途においては、近年、セラミック積層コンデンサーの小型化・大容量化が進むに伴い、グリ−ンシートの厚みも益々薄膜化する傾向にある。局所タルミが存在する離型フィルムを使用してセラミックスラリーを塗布した場合、スラリーの濃淡むらが発生し、乾燥工程を経た後、厚みふれの大きいグリーンシートを得る様になる場合がある。さらに当該厚みふれの大きいグリーンシートを用いてセラミック積層コンデンサーを製造した場合、性能面において静電容量のバラツキが大きくなる等、高性能のセラミック積層コンデンサーを得るのが困難になる。上述の不具合はグリーンシートの更なる薄膜化が進行するに伴い、より顕著に現れる傾向にある。そのため、無溶剤型シリコーン樹脂を用いても塗膜密着性良好で適度な離型性を有し、特に30m/分以上の高速剥離領域において、剥離性良好でかつ平面性良好な離型フィルムが必要とされている。
特開2003−192987号公報 特開平10−323944号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、無溶剤型シリコーン樹脂を含有する離型層をポリエステルフィルム上に設けても基材に対する塗膜密着性が良好で、適度な剥離性を有し、特に30m/分以上の高速剥離領域における軽剥離化が可能であり、平面性良好であり、液晶偏光板、位相差板等のLCD製造時に使用する粘着剤層保護用あるいはセラミック積層コンデンサー、セラミック基板等のセラミック電子部品製造時に使用するグリーンシート、PDPの誘電体層あるいは隔壁成形用等のシート成形用に対応可能な離型フィルムを安価に提供することにある。
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、 二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、SiO3/2構造を含む無溶剤型シリコーン樹脂(A)とSiO3/2構造を含まない無溶剤型シリコーン樹脂(B)とを含有する離型層が当該フィルムの製造工程内で設けられた離型フィルムであり、局所タルミが実質的に存在せず、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする離型フィルムに存する。
F300/F30≦2.0 …(1)
F≦100 …(2)
(上記式中、F300、F30およびFは、剥離速度が各々300m/分、30m/分、0.3m/分における離型層表面とアクリル系粘着テープとの剥離力(mN/cm)を表す)
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明において、ポリエステル層中には易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
さらに、ポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常5〜250μm、好ましくは
5〜188μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明における離型フィルムはフィルム平面性を良好とするため、局所タルミが実質的に存在しないことが必要である。本発明における「局所タルミ」とは、例えば、特開2004−196856号公報や特開2004−202703号公報に具体的に記載されているものと同義であって、蛍光灯下、俯角が45〜90度の範囲内で試料フィルム面を目視観察した際に局所的に存在が確認されるタルミは全てが対象になり(ただし、後述する吸湿タルミは除く)、個々のタルミの幅についての大小、あるいはタルミとタルミとの間隔の大小よりも、局所タルミの存在自体が問題となる。その中でも列状の局所タルミの存在が本発明の用途上、最も問題視される。また、本発明に言う「局所タルミが実質的に存在しないこと」とは、局所タルミがフィルム端部からフィルム中央部に向かって連続的に発生する、主として吸湿由来により発生するタルミ(以後、吸湿タルミと略記する場合がある。)は「局所タルミ」には該当せず、明確に区別されることを意味する。
なぜならば、グリーンシート成形用セラミック離型フィルムにおいては、フィルム端部までセラミックスラリーを塗布しないことが一般的であるため、吸湿タルミが特に問題とならない場合が多いためである。一方、局所タルミが存在する離型フィルムを使用してセラミックスラリーを塗布した場合、スラリーの濃淡むらが発生し、乾燥工程を経た後、厚みふれの大きいグリーンシートを得るようになる。さらに当該厚みふれの大きいグリーンシートを用いてセラミック積層コンデンサーを製造した場合、性能面において静電容量のバラツキが大きくなる等、高性能のセラミック積層コンデンサーを得るのが困難になる。上述の不具合はグリーンシートの更なる薄膜化が進行するに伴い、より顕著に現れる傾向にある。さらにポリエステルフィルム自体に局所タルミが実質的に存在しないようにするための具体的手法として、ポリエステルフィルム製造工程において、横延伸工程における
フィルム横延伸倍率を4.8倍以上にする等の手法が例示される。
次に本発明における離型層の形成について説明する。
本発明における離型フィルムを構成する離型層は、上述の塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、ポリエステルフィルム上に設けられる必要がある。好ましくは塗布延伸法(インラインコーティング)がよいが、該塗布延伸法については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
無溶剤型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・紫外線硬化型・電子線硬化型等何れの硬化反応タイプでも用いることができる。
具体例として、信越化学工業社(製)X−62−1387、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、東レ・ダウコーニングシリコーン社(製)SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452、SP7268S、SP7265S、LTC1000M、LTC1050L、GE東芝シリコーン社(製)TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605等が挙げられる。
使用する無溶剤型シリコ−ン樹脂の粘度(25℃)に関しては、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)による塗工性等を配慮した場合、100〜2000(cps)、好ましくは100〜1000(cps)の範囲が好ましい。無溶剤型シリコーン樹脂の粘度が100(cps)未満の場合にはポリエステルフィルム塗工時にはじきが発生し易い等の不具合を生じる場合があり、一方、2000(cps)を越える場合には硬化性等が不十分となる場合がある。
また、離型層中には本発明の主旨を損なわない範囲において、架橋剤を併用してもよく、具体例としてはメチロール化またはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、
ブロックポリイソシアネート、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋成分はバインダーポリマーと予め結合していてもよい。
さらに離型層の固着性、滑り性改良を目的として、無機系粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
また、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料等が含有されてもよい。
塗布延伸法(インラインコーティング)の場合、上述の一連の化合物を無溶剤または有機溶剤分散体として、固型分濃度を1重量%〜100重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて離型フィルムを製造するのが好ましい。
本発明の要旨を越えない範囲において、塗布液の分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は一種類のみでもよく、適宜、二種類以上を使用してもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により離型層を設ける場合、通常、170〜280℃で3〜40秒間、好ましくは200〜280℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来公知の装置、エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量は塗工性の面から、通常0.01〜5g/m、好ましくは0.01〜2g/mの範囲である。塗工量が0.01g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、5g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面には、本発明の要旨を超えない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明においては、30m/分以上の高速剥離速度下における剥離力を軽剥離化することが離型フィルムを設計する上で重要であるという知見に基づくものである。そのため、本発明における離型フィルムにおいて、30m/分以上の高速剥離領域下、異なる二つの剥離速度(300m/分および30m/分)における剥離力の比率(F300/F30)が2.0以下である必要があり、好ましくは1.5以下である。F300/F30が2.0を超える場合、例えば、30m/分以上の高速剥離領域における軽剥離化が困難になる。
本発明における離型フィルムの剥離力が上記範囲を満足するための具体的手法として、離型層中にSiO3/2構造(以下、T単位と略記する場合がある)を含む無溶剤型シリコーン樹脂(A)とSiO3/2構造を含まない無溶剤型シリコーン樹脂(B)とを含有する必要がある。離型層中における当該T単位構造を含む無溶剤型シリコーン樹脂(A)の割合は30重量%以上、好ましくは50重量%以上であるのが本発明の用途上、好ましい。当該範囲が30重量%未満の場合、特に30m/分以上の高速剥離領域において、軽剥離化が不十分となり、所望する剥離力を得ることが困難になる場合がある。
本発明における離型フィルムを構成する離型層において、SiO3/2構造を含む無溶剤型シリコーン樹脂(A)を使用することにより、離型層形成時に架橋反応における架橋点を通常と比較してさらに増加させることが可能となるため、得られる離型層自体の架橋密度もより高くなる。その結果、特に30m/分以上の高速剥離領域における軽剥離化が可能となり、例えば、シート成形用あるいは粘着剤層保護用等における生産性向上に伴う高速化に対応可能となる。また、T単位構造を含む無溶剤型シリコーン樹脂(A)を使用することによる付随的な効果として、ポリエステルフィルムに対する塗膜密着性が往々にして良好となる傾向にある。
本発明における離型フィルムに関して、剥離速度0.3/分における離型層表面とアクリル系粘着テープとの剥離力(F)は100mN/cm以下である必要があり、好ましくは50mN/cm以下がよい。Fが100mN/cmを超える場合には、例えば、グリーンシート等のシート成形用途において、シート剥離時に剥離困難になる。
本発明における離型フィルムは上記Fの追加的要件を同時に満足することにより、0.3m/分付近の低速領域においても適度な剥離性でもって剥離可能となる。
さらに本発明における離型フィルムに関して、剥離速度300m/分における離型層表面とアクリル系粘着テープとの剥離力(F300)が200mN/cm以下であるのが好ましく、さらに好ましくは150mN/cm以下がよい。F300が200mN/cmを超える場合には、例えば、グリーンシート等のシート成形用途において、シート剥離時に剥離困難になる場合がある。
本発明における離型フィルムは上記剥離力F300の追加的要件を同時に満足することにより、製造現場において、生産性向上に伴う高速化により、特に30m/分以上の高速剥離領域において、さらなる軽剥離化が可能となる。
本発明における離型フィルムに関して、離型層の残留接着率は貼り合わせる相手方基材表面への離型成分の移行あるいは転着を抑制するため、90%以上が好ましく、さらに好ましくは95%以上がよい。残留接着率が90%未満の場合、離型フィルムの離型面と接する相手方基材表面への離型成分の移行が多くなり、例えば、グリーンシート積層時にシート間接着力が低下する、あるいは粘着剤層保護用途においては粘着力が低下する等の不具合を生じる場合がある。
また、本発明における離型フィルムに関して、0.3m/分の剥離速度下における離型層表面とアクリル系粘着テープとの剥離力(F)は100mN/cm以下である必要があり、好ましくは80mN/cm以下がよい。Fが100mN/cmを越える場合、例えば、グリーンシート成形用途においてはグリーンシート剥離時に剥離困難になる。
本発明の離型フィルムによれば、基材に対する塗膜密着性が良好で適度な剥離性を有し、特に30m/分以上の高速剥離領域における軽剥離化が可能となり、離型面が平坦であり、液晶偏光板、位相差板等の粘着剤層保護用あるいはセラミック積層コンデンサー、セラミック基板等のセラミック電子部品製造時に使用するグリーンシート、プラズマディスプレイパネルの誘電体層あるいは隔壁成形用等のシート成形用に対応可能な離型フィルムを安価に提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)離型フィルムの剥離力(F)の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の
剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(4)離型フィルムの剥離力(F30、F300)評価
試料フィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力はテスター産業(製)高速剥離試験機「TE−702型」を使用し、試料フィルムの離型面が上面になるように固定し、貼り合わせている相手方No.31B粘着テープ側を剥離する方法にて、剥離速度が各々、30m/分、300m/分の条件下、180°剥離を行った。
(5)離型層の塗布量測定
蛍光X線測定装置((株)島津製作所(製)型式「XRF−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法により、下記測定条件下、離型フィルムの離型層が設けられた面及び離型層がない面の珪素元素量を測定し、その差をもって、離型層中の珪素元素量とした。
次に得られた珪素元素量を用いて、−SiO(CHのユニットとしての塗布量
(Si)(g/m)を算出した。
《測定条件》
分光結晶:PET(ペンタエリスリトール)
2θ:108.88°
管電流:95mA
管電圧:40kv
(6)実用特性代用評価
試料フィルムを粘着剤層(厚み25μm)付き偏光板(日東電工製「NPF−F1205DU」)と貼り合わせた後、室温にて1時間放置後、低速剥離(0.3m/分)および高速剥離(30m/分)における剥離性評価を行い、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○…剥離可能(実用上、特に問題ないレベル)
×…剥離困難(実用上、問題になるレベル)
(7)離型フィルムにおける局所タルミ評価(フィルム平面性評価)
予め、1000mm幅の離型フィルムロールより、幅200mm×長さ1mに切り出した試料フィルムをオレフィン系樹脂製のカッティングマット上に配置(片面コート品の場合はコート面が上面)し、試料フィルム面をゴムローラーにて局所タルミが実質的に確認出来なくなるまでフィルムを扱く。この状態で5分間放置後、蛍光灯下、目視にて試料フィルムの平面性を観察し、試料フィルムに局所タルミが生じている結果として出現する、空気を巻き込みフィルムが膨れた状態となっている部分(局所タルミ部分)の有無を下記判定基準により判定を行った。なお、本評価においては、フィルム端部よりフィルム中央部に向けて連続的にタルミを生じているものを「吸湿タルミ」と定義し、局所タルミからは除外して判定を行った。
《判定基準》
○:局所タルミが実質的に存在せず、平面性良好
×:局所タルミが明瞭に観察され、平面性不良
また、「局所タルミが実質的に存在しないこと」とは、俯角が45〜90度の範囲内で試料フィルム面を目視観察した際に、明瞭な局所タルミが観察されない状態のことを指す。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート
0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径1.5μmのシリカ粒子を0.05部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
製造例1で製造したポリエチレンテレフタレートA1を180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートにまず、95℃で延伸倍率をMD方向に3.6倍延伸し、下記離型剤をリバースグラビアコート方式により塗布した後、テンターに導き、TD方向に5.0倍の逐次二軸延伸を行った。その後、230℃にて3秒間熱固定し、塗工量(乾燥後)が
0.2g/mの離型層が設けられた、厚さ38μmのPETフィルムを得た。
離型層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
SiO3/2構造を含む無溶剤型シリコーン樹脂(A):X−62−1387:信越化学製
SiO3/2構造を含まない無溶剤型シリコーン樹脂(B):KNS320A:信越化学製
硬化剤(C):PL−56:信越化学製
《離型剤組成》
SiO3/2構造を含む無溶剤型シリコーン樹脂(A):50重量%
SiO3/2構造を含まない無溶剤型シリコーン樹脂(B):49重量%
硬化剤(C):1重量%
(実施例2〜実施例3)および(比較例1〜比較例2)
実施例1において、離型剤組成を下記表1に示す離型剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
(比較例3)
実施例1において、ポリエステルフィルム製造時、TD方向の延伸倍率を3.4倍に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性を表1に示す。
Figure 2006051681
本発明のフィルムは、液晶偏光板、位相差板等のLCD製造時に使用する粘着剤層保護用あるいはセラミック積層コンデンサー、セラミック基板等のセラミック電子部品製造時に使用するグリーンシート、PDPの誘電体層あるいは隔壁成形用等のシート成形用に対応可能な離型フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、SiO3/2構造を含む無溶剤型シリコーン樹脂(A)とSiO3/2構造を含まない無溶剤型シリコーン樹脂(B)とを含有する離型層が当該フィルムの製造工程内で設けられた離型フィルムであり、局所タルミが実質的に存在せず、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする離型フィルム。
    F300/F30≦2.0 …(1)
    F≦100 …(2)
    (上記式中、F300、F30およびFは、剥離速度が各々300m/分、30m/分、0.3m/分における離型層表面とアクリル系粘着テープとの剥離力(mN/cm)を表す)
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