このように、昨今の画像読取装置及び画像形成装置はユーザの要望に応えるために多くの機能を備えたものが多い。しかしこのような多機能化によってユーザは所望の原稿読み取り又は印刷を行うためにどのような操作をすればよいか困惑してしまい、読み取り失敗、印刷失敗を招いていた。つまり、ユーザの要望に応えるために搭載させた多くの機能が、時にはユーザの手間と労力を増やす原因にもなっていた。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、ユーザの誤操作を防ぎ、所望の読み取り・印刷処理を簡単に行える画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に記載の発明における画像読取装置は、原稿を給紙する給紙手段と、縮小光学系イメージセンサを有し、前記給紙手段によって給紙された前記原稿の一方の面を読み取る第1読取手段と、密着光学系イメージセンサを有し、前記原稿の他方の面を読み取る第2読取手段と、前記第1読取手段による前記原稿の一方の面の読み取りが終わった後、前記第1読取手段が前記原稿の他方の面を読み取り可能なように前記原稿を反転して給紙する反転手段と、前記第1読取手段が前記原稿の一方の面を読み取り、前記反転手段による前記原稿の反転後に前記第1読取手段が前記原稿の他方の面を読み取る両面反転読取モードと、前記第1読取手段が前記原稿の一方の面を読み取り、前記第2読取手段が前記原稿の他方の面を読み取る両面同時読取モードの何れか一方を設定するモード設定手段と、前記第1読取手段及び前記第2読取手段によって読み取られた原稿が白黒原稿かカラー原稿かを判別する判別手段と、外部からの操作入力を受け付ける入力手段と、を備え、前記入力手段は前記両面反転読取モード又は前記両面同時読取モードの何れか一方の選択入力の受付、及び、前記判別手段による前記判別を行うか否かの選択入力の受付を行うものであり、前記モード設定手段は前記入力手段による選択入力の受付に基づいて前記両面反転読取モード又は前記両面同時読取モードの何れか一方を設定するものであり、前記判別手段は前記入力手段による選択入力の受付に基づいて前記判別を行うものであり、前記入力手段が前記両面反転読取モードの選択入力を受け付けたとき、前記判別手段に前記判別を中止させ、前記入力手段に前記判別手段による前記判別を行うか否かの選択入力の受付を禁止させる制御を行う制御手段を更に備えることを特徴としている。
両面反転読取モードは原稿両面の読み取りを同じイメージセンサ(縮小光学系イメージセンサ)にて行わせ、両面同時読取モードは原稿の一方の面は縮小光学系イメージセンサ、他方の面は密着光学系イメージセンサにて読み取りを行わせる。従って、両面同時読取モードの場合、表面・裏面が異なるイメージセンサで読み取られるため、それぞれのイメージセンサが取得した画像の画質に差が生じてしまう。
つまり、両面反転読取モードが設定された場合、ユーザは原稿の両面の画像の読み取りに画質の差が出ないことを望んでいる可能性が高く、画質重視の処理を望んでいることが多い。従って原稿がカラー原稿である可能性が高い。このため、両面反転読取モードが設定された場合、判別手段による原稿の白黒/カラー判別を自動的に中止することにより、判別手段による白黒/カラー判別処理の手間をなくすことができると同時に、万が一発生し得る白黒原稿とカラー原稿の誤判別を防ぐことができる。そして、判別手段による判別を行うか否かの選択入力を禁止することにより、操作入力の煩雑さを解消し、ユーザの操作ミス、原稿の読み取り失敗を防ぐことができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取装置であって、前記入力手段は、操作者に対して所定の操作画面を表示する表示手段と、前記表示手段と一体的に形成されたタッチパネルと、前記タッチパネルへタッチ入力された際のタッチ位置を検出する位置検出手段を有し、前記両面反転読取モード又は前記両面同時読取モードを選択するためのボタン、及び、前記判別手段による前記判別を行うか否かを選択するためのボタンを前記表示手段に表示させる表示制御手段を更に備え、前記制御手段は前記位置検出手段によって検出されたタッチ位置に基づいて前記両面反転読取モードを選択するためのボタンが選択されたか否かを判断し、該判断結果に応じて前記制御を行うことを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像読取装置であって、前記入力手段が前記両面反転読取モードの選択入力を受け付けたとき、前記表示制御手段は、前記判別手段による前記判別を行うか否かを選択するためのボタンを表示しない、又は、操作不可を示す表示に切り換える制御を行うことを特徴としている。
これらの構成によれば、入力手段として表示手段とこの表示手段と一体的に構成されているタッチパネルとを用いることにより、ユーザに各操作ボタンを分かりやすく表示させることができる。更に、両面反転読取モードが選択された場合、判別手段による白黒/カラー判別を行うか否かを選択するためのボタンを非表示又は操作不可を示す表示に切り換えることにより、ユーザはそのボタンの選択ができないことを簡単に視認することができ、操作ミスを防ぐことができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取装置であって、前記入力手段は、前記判別手段による前記判別を行うか否かの選択入力の受け付けるハードキーを有するものであることを特徴としている。
この構成によれば、両面反転読取モードが選択された場合、ハードキーの操作信号を制御部が受け付けないことで、判別を行うか否かの選択入力を禁止にする制御を簡単に行うことができる。
また、請求項5に記載の発明における画像形成装置は、原稿を給紙する給紙手段と、縮小光学系イメージセンサを有し、前記給紙手段によって給紙された前記原稿の一方の面を読み取る第1読取手段と、密着光学系イメージセンサを有し、前記原稿の他方の面を読み取る第2読取手段と、前記第1読取手段による前記原稿の一方の面の読み取りが終わった後、前記第1読取手段が前記原稿の他方の面を読み取り可能なように前記原稿を反転して給紙する反転手段と、前記第1読取手段が前記原稿の一方の面を読み取り、前記反転手段による前記原稿の反転後に前記第1読取手段が前記原稿の他方の面を読み取る両面反転読取モードと、前記第1読取手段が前記原稿の一方の面を読み取り、前記第2読取手段が前記原稿の他方の面を読み取る両面同時読取モードの何れか一方を選択するモード設定手段と、前記第1読取手段及び前記第2読取手段によって読み取られた原稿が白黒原稿かカラー原稿かを判別する判別手段と、前記第1読取手段及び前記第2読取手段によって得られた画像データに基づいて白黒画像又はフルカラー画像を記録媒体に形成する画像形成手段と、外部からの操作入力を受け付ける入力手段と、を備え、前記入力手段は前記両面反転読取モード又は前記両面同時読取モードの何れか一方の選択入力の受付、前記判別手段による前記判別を行うか否かの選択入力の受付、及び前記画像形成手段によって形成される画像を白黒画像にするか又はフルカラー画像にするかの選択入力の受付を行うものであり、前記モード設定手段は前記入力手段による選択入力の受付に基づいて前記両面反転読取モード又は前記両面同時読取モードの何れか一方に設定するものであり、前記判別手段は前記入力手段による選択入力の受付に基づいて前記判別を行うものであり、前記画像形成手段は前記入力手段による選択入力の受付に基づいて白黒画像又はフルカラー画像を形成するものであり、前記入力手段が前記両面反転読取モードの選択入力を受け付けたとき、前記判別手段に記判別を中止させ、前記入力手段に前記判別手段による前記判別を行うか否かの選択入力及び前記形成される画像を白黒画像に設定するための選択入力の受付を禁止させ、前記画像形成手段に前記画像データに基づいてフルカラー画像を形成させる制御を行う制御手段を更に備えることを特徴としている。
この構成によれば、両面反転読取モードが設定された場合、判別手段による原稿の白黒/カラー判別を自動的に中止することにより、判別手段による白黒/カラー判別処理の手間をなくすことができると同時に、万が一発生し得る白黒原稿とカラー原稿の誤判別を防ぐことができる。そして、判別手段による判別を行うか否かの選択入力を禁止することにより、操作入力の煩雑さを解消し、ユーザの操作ミス、原稿の読み取り失敗を防ぐことができる。そして、両面反転読取モードの場合、原稿はカラー原稿である場合が多い。そこで、入力手段による形成される画像を白黒画像に設定するための選択入力の受付を禁止することにより、ユーザが誤って白黒画像に設定することを防ぎ、印刷失敗を防ぐことができる。また、画像形成手段は画像データに基づいて自動的にフルカラー画像を形成することにより、ユーザは入力手段を用いてわざわざフルカラー画像の選択入力をする必要がなく、少ない操作入力で所望の印刷を行うことができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置であって、前記入力手段は、操作者に対して所定の操作画面を表示する表示手段と、前記表示手段と一体的に形成されたタッチパネルと、前記タッチパネルへタッチ入力された際のタッチ位置を検出する位置検出手段を有し、前記両面反転読取モード又は前記両面同時読取モードを選択するためのボタン、前記判別手段による前記判別を行うか否かを選択するためのボタン、及び前記画像形成手段によって形成される画像を白黒画像にするか又はフルカラー画像にするかを選択するためのボタンを前記表示手段に表示させる表示制御手段を更に備え、前記制御手段は前記位置検出手段によって検出されたタッチ位置に基づいて前記両面反転読取モードを選択するためのボタンが選択されたか否かを判断し、該判断結果に応じて前記制御を行うことを特徴とする特徴としている。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置であって、前記入力手段が前記両面反転読取モードの選択入力を受け付けたとき、前記表示制御手段は、前記判別手段による前記判別を行うか否かを選択するためのボタン、及び前記画像形成手段によって形成される画像を白黒画像にするか又はフルカラー画像にするかを選択するためのボタンを表示しない又は操作不可を示す表示に切り換える制御を行うことを特徴としている。
これらの構成によれば、入力手段として表示手段とこの表示手段と一体的に構成されているタッチパネルとを用いることにより、ユーザに各操作ボタンを分かりやすく表示させることができる。更に、両面反転読取モードが選択された場合、判別手段による白黒/カラー判別を行うか否かを選択するためのボタン、及び、前記画像形成手段によって形成される画像を白黒画像にするか又はフルカラー画像にするかを選択するためのボタンを非表示又は操作不可を示す表示に切り換えることにより、ユーザはそのボタンの選択ができないことを簡単に視認することができ、操作ミスを防ぐことができる。
また、請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置であって、前記判別手段による前記判別を行うか否かの選択入力の受付、及び前記画像形成手段によって形成される画像を白黒画像にするか又はフルカラー画像にするかの選択入力の受付を行うハードキーを有するものであることを特徴としている。
この構成によれば、両面反転読取モードが選択された場合、ハードキーの操作信号を制御部が受け付けないことで、判別を行うか否かの選択入力を禁止にする制御を簡単に行うことができる。
請求項1に記載の発明によれば、両面反転読取モードが設定された場合、判別手段による原稿の白黒/カラー判別を自動的に中止することにより、判別手段による白黒/カラー判別処理の手間をなくすことができると同時に、万が一発生し得る白黒原稿とカラー原稿の誤判別を防ぐことができる。そして、判別手段による判別を行うか否かの選択入力を禁止することにより、操作入力の煩雑さを解消し、ユーザの操作ミス、原稿の読み取り失敗を防ぐことができる。
請求項2及び3に記載の発明によれば、ユーザに各操作ボタンを分かりやすく表示させることができる。更に、両面反転読取モードが選択された場合、判別手段による白黒/カラー判別を行うか否かを選択するためのボタンを非表示又は操作不可を示す表示に切り換えることにより、ユーザはそのボタンの選択ができないことを簡単に視認することができ、操作ミスを防ぐことができる。
請求項4に記載の発明によれば、両面反転読取モードが選択された場合、ハードキーの操作信号を制御部が受け付けないことで、判別を行うか否かの選択入力を禁止にする制御を簡単に行うことができる。
請求項5に記載の発明によれば、両面反転読取モードが設定された場合、判別手段による原稿の白黒/カラー判別を自動的に中止することにより、判別手段による白黒/カラー判別処理の手間をなくすことができると同時に、万が一発生し得る白黒原稿とカラー原稿の誤判別を防ぐことができる。そして、判別手段による判別を行うか否かの選択入力を禁止することにより、操作入力の煩雑さを解消し、ユーザの操作ミス、原稿の読み取り失敗を防ぐことができる。そして、両面反転読取モードの場合、原稿はカラー原稿である場合が多い。そこで、入力手段による形成される画像を白黒画像に設定するための選択入力の受付を禁止することにより、ユーザが誤って白黒画像に設定することを防ぎ、印刷失敗を防ぐことができる。また、画像形成手段は画像データに基づいて自動的にフルカラー画像を形成することにより、ユーザは入力手段を用いてわざわざフルカラー画像の選択入力をする必要がなく、少ない操作入力で所望の印刷を行うことができる。
請求項6及び7に記載の発明によれば、ユーザに各操作ボタンを分かりやすく表示させることができる。更に、両面反転読取モードが選択された場合、判別手段による白黒/カラー判別を行うか否かを選択するためのボタン、及び、前記画像形成手段によって形成される画像を白黒画像にするか又はフルカラー画像にするかを選択するためのボタンを非表示又は操作不可を示す表示に切り換えることにより、ユーザはそのボタンの選択ができないことを簡単に視認することができ、操作ミスを防ぐことができる。
請求項8に記載の発明によれば、両面反転読取モードが選択された場合、ハードキーの操作信号を制御部が受け付けないことで、判別を行うか否かの選択入力を禁止にする制御を簡単に行うことができる。
以下、本発明の一実施形態に係る画像読取装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態では、本発明における画像読取装置及び画像形成装置を、コピー、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ等の機能を備えた複合機に集約した形態を例に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は本実施の形態における複合機1の内部構成を模式的に示した縦断面図である。複合機1は大きく分けると画像読取装置2と装置本体3とからなる。画像読取装置2は、原稿給紙部21とスキャナ部(第1読取手段)22を備えて構成される。原稿給紙部(給紙手段)21はADF(Auto Document Feeder)を実現するものであり、原稿トレイ211、給紙ローラ212、搬送ドラム213、排紙ローラ214及び排紙トレイ215を有する。原稿トレイ211は原稿が載置される場所であり、原稿トレイ211に載置された原稿は1枚ずつ給紙ローラ212によって取り込まれて搬送ドラム213へ搬送される。搬送ドラム213を経由した原稿は排紙ローラ214によって排紙トレイ215へ排出される。
スキャナ部22は、原稿の画像を光学的に取得して画像データを生成するものであり、プラテンガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、CCD(Charge Coupled Device)229を有する。また、本実施の形態では、第1読取手段が有する縮小光学系イメージセンサとしてCCD229を用いたものを例に説明するが、CCD以外にCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いたものであってもよい。
プラテンガラス221は原稿を載置する場所であり、光源222及び第1ミラー223は第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
ここで、画像読取装置2の原稿読取方法として、プラテンガラス221上に載置された原稿をスキャナ部22が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿をADFによって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。フラットベッド読取モードでは、光源222がプラテンガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。CCD229は一次元のイメージセンサであり、1ライン分の原稿の画像を同時に処理する。1ライン分の読み取りが終了すると、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動され、次のラインの読み取りが行われる。
ADF読取モードでは、給紙トレイ211に載置された原稿が給紙ローラ212によって1枚ずつ取り込まれ、搬送ドラム213から排紙トレイ215への搬送経路に設けられた読取窓230上を原稿が通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。続いて原稿は原稿給紙部21によって搬送され、次のラインが読み取られる。尚、以下の説明において、特に記載のないものについては、ADF読取モードによって原稿を自動給紙し、画像の読み取りを行うことを前提に説明を行う。
更に、原稿給紙部21は切換ガイド216、反転ローラ217及び反転搬送路218からなる原稿反転機構(反転手段)を有する。1回目のADF読み取りによって表面(原稿の一方の面)が読み取られた原稿を原稿反転機構を用いて反転させて再搬送することによって、再度CCD229によって裏面(原稿の他方の面)の読み取りが行わせることができる。この原稿反転機構は、両面読み取り時にのみ動作し、片面読み取り時は動作しない。片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、切換ガイド216は上側に切り替えられ、搬送ドラム213を経た原稿は排紙ローラ214によって排紙トレイ215に排紙される。両面読み取り時における表面読み取り後、切換ガイド216は下側に切り替えられ、搬送ドラム213を経た原稿は反転ローラ217のニップ部へ搬送される。その後、切換ガイド216は上側へ切り替わって反転ローラ217が逆回転し、反転搬送路218を介して原稿が搬送ドラム213へ再搬送される。以下、原稿反転機構を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面反転読取モード又は高画質モードと表記する。
更に、本実施の形態の画像読取装置2は、ADF読取モード時において、上記で説明したように原稿の搬送途中でCCD229によって原稿の表面の読み取りを行わせると同時に、CIS(第2読取手段)231によって原稿の裏面の読み取りを行わせることが可能である。つまり、給紙トレイ211から給紙された原稿は読取窓230上を通過するときにCCD229によって表面が読み取られ、更にCIS231を通過する際に裏面が読み取られる。このようにCCD229とCIS231を用いることでワンパスで原稿の両面の読み取りが可能となる。以下、CCD229とCIS231を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面同時読取モード又は高速モードと表記する。
ここで、両面反転読取モード(高画質モード)と両面同時読取モード(高速モード)について説明する。両面反転読取モードでは原稿両面の読み取りが同じイメージセンサ(CCD229)によって行われるため、読み取った表裏面それぞれの画像の画質に差はない。しかし、両面同時読取モードでは原稿の表面はCCD229、裏面はCIS231という異なるイメージセンサで読み取りが行われるため、それぞれのイメージセンサが取得した画像データに基づいて両面印刷を行うと、両面の印刷画像の画質に差が生じてしまう。特にカラー印刷を行うと、読み取った表裏面それぞれの画像の画質の差が顕著に表れる。原因としては、スキャナ部22は光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプを用いていることに対し、CIS231は光源として3色LED等(不図示)を用いている。この光源の違いにより、スキャナ部22による画像読み取りの方が色再現性に優れていることが知られている。また、これら各光源の分光分布の違いによるものの他に、CCD229は複数の受光素子がワンチップ上に形成されてイメージセンサとして構成されているのに対し、CIS231においては複数の固体撮像素子が連結されてイメージセンサとして構成されているため固体撮像素子間に感度のバラつきが生じ、これが画質の差の原因となっていると考えられている。
従って、本実施の形態の複合機1においては、ADFを用いて原稿の両面読み取りを行う際、ユーザは高画質モード(両面反転読取モード)又は高速モード(両面同時読取モード)の何れかを選択することができる。つまり、両面の印刷画像の画質を揃えたい場合は高画質モード(両面反転読取モード)、両面の印刷画像の画質に差はあっても、読取時間の短縮化を優先させたい場合は高速モード(両面同時読取モード)と、ユーザは状況に応じてモードを選択することができる。
複合機1の構成の説明に戻る。複合機1は、装置本体3と、装置本体3の左方に配設されたスタックトレイ6とを有している。装置本体3は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から用紙(記録媒体)を1枚ずつ繰り出して記録部(画像形成手段)40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた用紙に画像を形成する記録部40とを備える。
記録部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ部22で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43表面を露光し、感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、上記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44C、44M、44Y、44Kと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色に対するトナーの供給は、不図示のトナー供給容器(トナーカートリッジ)から行われる。また、記録部40を通過した用紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463及び464等が設けられている。
用紙の両面に画像を形成する場合は、記録部40によって用紙の一方の面に画像の形成が施された後、この用紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態にする。この状態で搬送ローラ463を逆回転させて用紙をスイッチバックさせ、用紙を用紙搬送路Lに送って記録部40の上流域に再度搬送し、記録部40によって他方の面に画像の形成が施された後、用紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出する。
また、装置本体3の前方には、ユーザが操作画面や各種メッセージ等を視認することができる表示部や、種々の操作命令を入力するための操作ボタンを有する操作部5が備えられている。図2は操作部5の正面図の一例である。この操作部5は、表示部(表示手段)51、タッチパネル(入力手段、位置検出手段)52、数字キー群53、各種操作ボタン54〜57、機能選択ボタン58等を備える。表示部51は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等によって構成され、紙サイズ選択、倍率選択、濃度選択等の選択画面が表示される。表示部51はタッチパネル52と一体的に形成されている。タッチパネル52は、ユーザによるタッチ操作がなされたら、タッチ位置を検出して検出信号を後述する制御部へ出力するものである。
数字キー群53は、例えば、複合機1のコピー機能動作中はコピー枚数を、ファクシミリ機能動作中は送信先の電話番号等をユーザが入力するためのものである。節電ボタン54は、複合機1を節電(低電力)モードにするボタンである。スタートボタン55はコピー動作やスキャナ動作等を開始させるボタンであり、ストップ/クリアボタン56はコピー動作やスキャナ動作等の停止、入力操作の取り消しを行うボタンである。リセットボタン57は表示部51の表示や各種設定を初期状態又は標準動作状態にするボタンである。機能選択ボタン58は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を設定するためのボタンである。
図3は、複合機1の電気的構成を示すブロック図である。複合機1は、原稿給紙部21、スキャナ部22、CIS231、操作部5、制御部(モード設定手段、制御手段、表示制御手段)61、画像処理部64、記録部40及び通信部66を備えて構成される。尚、図1及び図2において説明した構成要素と同じものには同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
原稿給紙部21は、原稿トレイ211に載置された原稿を自動的に取り込んで、CCD229やCIS231による原稿の読み取りが可能なように搬送するものであり、ADFを実現するものである。スキャナ部22及びCIS231は、原稿の画像を光学的に取得して画像データを生成するものである。
操作部5は、ユーザがコピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びプリンタ機能等に関する操作入力を受け付けるものである。そして操作入力に応じた操作信号を制御部61へ出力する。操作部5は、図2に示すタッチパネル52、数字キー群53、操作ボタン54〜57、機能選択ボタン58等に相当し、更に操作部5は表示部51を含む。
制御部61は、CPU等によって構成され、入力された指示信号等に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行って複合機1を統括的に制御するものである。具体的には、制御部61は操作部5による選択入力の受付に基づいて、両面反転読取モード又は両面同時読取モードの何れか一方を選択して設定する。その他、制御部61は操作画面や各種操作ボタン等を表示部61に表示させる制御を行う。
また、制御部61はACS部(判別手段)611を有する。ACS部611は、スキャナ部22(以下、CIS231との違いを明瞭にするため、適宜CCD229として表記する)及びCIS231によって読み取られた画像が白黒画像であるかカラー画像であるかを判別する。ACS部611による判別は、例えば以下のようにして行われる。まず、ACS部611は、CCD229及びCIS231によって読み取られた画像のデータについて、当該画像データの1画素毎に、それが白黒画素であるかカラー画像であるかを識別する。この識別方法は、画像データのR、G、B夫々の値や、識別対象画素周辺との彩差(色差)等により、画像データの各画素が白黒であるかカラーであるかを識別する周知の方法であるので詳細説明は省略する。ここで、ACS部611は、前記識別によりカラーと識別した場合、当該原稿におけるカラー画素数をカウントアップしていく。ACS部611は、当該カウントしたカラー画素数が予め設定された閾値に達すると、当該読み取られた原稿の画像がカラー画像であると判別する。また、ACS部611は、上記白黒画素又はカラー画素の判別対象となる残りの画素が全てカラー画素としてカウントしても上記閾値に達しないと判断すると、この時点で、当該読み取られた原稿の画像がモノクロ画像であると判別する。なお、このACS判別処理は、あくまでも一例であり、ACS部611によるACS判別を上記処理に限定するものではない。
画像処理部64は、画像データに関する各種画像処理を行うものである。例えば、画像処理部64は、スキャナ部22によって取得された画像データや、外部装置から通信部66を介して転送された画像データに対して、レベル補正、ガンマ補正等の補正処理、画像データの圧縮又は伸長処理、拡大又は縮小処理などの画像加工処理を行う。
記録部40は、スキャナ部22によって得られた画像データや、外部装置から通信部66を介して転送された画像データに基づいた画像を所定の用紙に白黒又はフルカラーで印刷する。
通信部66は、ネットワークインターフェースを用い、ネットワークを介して接続されたコンピュータやファクシミリ等の外部装置との間で種々のデータの送受信を行うものである。
図4〜8は、表示部51の画面例を示したものであり、図9は原稿の両面をADFで読み取り、印刷する処理の流れを示したフローチャートである。本実施の形態における両面印刷の処理の流れを図4〜9を用いて説明する。
複合機1のコピー機能が選択されているとき、制御部61は図4に示すような標準画面を表示部51に表示させると共に、標準画面の正面右側には自動カラーキー191、フルカラーキー192及び白黒キー193を表示させる。本実施の形態の複合機1は、初期設定及び標準動作設定としてACS部611による原稿の白黒/カラー判別が自動的に行われる設定となっているため、自動カラーキー191は選択状態となっている。制御部61はキーが選択状態となっていることをユーザが視認できるよう、キーの配色を黒地に白文字として表示したり、カラー表示の場合は非選択のキーとは異なる色で表示させたりする。更に制御部61は、表示部51の正面上部の領域121に、ACSがオンとなっていることを示す「(自動カラー)」という文字を表示させる。
フルカラーキー192及び白黒キー193は印刷カラーモードを設定するためのキーであり、フルカラー印刷を行いたい場合はフルカラーキー192を、白黒印刷を行いたい場合は白黒キー193がユーザによって押下されることにより、各印刷が実現される。
ユーザによって機能リストキー101が押下されると、制御部61は図5に示すような機能リスト画面を表示部51に表示させる。更にユーザによって両面/分割キー102が押下されると、制御部61は図6に示すような両面/分割画面を表示部51に表示させる。
両面/分割画面では、原稿の片面を読み取って片面印刷するキー103、原稿の片面を読み取って両面印刷するキー104、原稿の両面を読み取って片面印刷するキー105、原稿の両面を読み取って両面印刷するキー106、見開き原稿を読み取って片面印刷するキー107、見開き原稿を読み取って両面印刷するキー108等の設定キーが表示される。キー105又はキー106が選択されると、制御部61は図7に示すように表示部51の表示領域の中央部付近に高画質モードキー109と高速モードキー110のモード設定キーを表示させる(図9のステップS11)。
そして、ユーザによって高画質モードキー109が押下されると(ステップS14;高画質モード)、制御部61は高画質モードキー109の表示を選択状態に切り換え、印刷カラーモードをフルカラーモードとしてフルカラーキー192を選択状態に切り換えて、領域121に「(フルカラー)」の文字を表示させる。更に制御部61はACSをオフにし、自動カラーキー191及び白黒キー193が操作無効となるように表示を切り換える(ステップS15)。
ここで、ユーザによって高画質モードキー109が押下されたということは、ユーザがコピーしようとしている原稿はカラー画像が描かれた原稿である可能性が高い。そして、ユーザが高画質モードキー109を押下した後、フルカラーキー192を押下してフルカラー印刷モードに切り換える可能性も高い。従って、高画質モードキー109が押下された時点で、制御部61が印刷カラーモードをフルカラーモードに自動的に切り換えることによって、ユーザは少ない操作で印刷処理を行うことができる。また、ACSの機能を用いればカラー原稿は自動的にフルカラー原稿として判別されるが、原稿に描かれている画像の色彩状態によってはカラー原稿が白黒原稿と誤って判別され、白黒印刷が行われる可能性もある。そこで、ACSはオフとすることで、ACS部611による判別処理の手間を省き、万が一発生しうる白黒/カラーの誤判別を防ぐことができる。更に自動カラーキー191及び白黒キー193の操作を受け付けない状態にすることで、ユーザの操作ミスを防ぎ、所望の印刷を確実に行わせることができる。ここで、自動カラーキー191及び白黒キー193の操作が不可であることをユーザが視認できるように、図8に示すように各キーは操作可能時に比べて薄く表示される。この他、表示部51がカラー表示である場合は、操作可能時に比べて異なる色で表示させてもよいし、各キーを非表示にしてもよい。
図9に戻る。以上の設定を終えてユーザによってスタートキー54が押下されると、制御部61は原稿給紙部21に対して原稿の取り込みを指示する信号を出力し、原稿給紙部21が原稿トレイ211に載置された原稿を取り込む(ステップS16)。そしてCCD229が原稿の表面を読み取り(ステップS17)、原稿反転機構が原稿を表裏反転して再給紙する(ステップS18)。続けてCCD229が原稿の裏面を読み取り(ステップS19)、原稿は排紙トレイ215に排紙される(ステップS20)。
次に制御部61は画像処理部64に対してCCD229によって取得された画像データの画像処理を行わせ、処理後の画像データに基づいた画像の印刷を記録部40に行わせる(ステップS21)。
また、ステップS11において原稿の両面を読み取るキー以外のキー(キー103、104、107及び108)が押下されたら(ステップS11;NO)、制御部61は原稿給紙部21に対して原稿の取り込みを指示する信号を出力し、原稿給紙部21が原稿トレイ211に載置された原稿を取り込む(ステップS12)。そしてCCD229が原稿の表面を読み取り(ステップS13)、制御部61はステップS20へ処理を移行する。
更に、ステップS14においてユーザによって高速モードキー110が押下された場合(ステップS14;高速モード)、ACSや印刷カラーモードの設定状態は変化させず、ユーザによって任意に設定可能な状態のままとする。制御部61は原稿給紙部21に対して原稿の取り込みを指示する信号を出力し、原稿給紙部21が原稿トレイ211に載置された原稿を取り込む(ステップS22)。そしてCCD229が原稿の表面を読み取り、CIS231が原稿の裏面を読み取る(ステップS23)。そして制御部61はステップS20へ処理を移行する。
以上、説明したように、ADFを用いて原稿の両面を読み取る際に高画質モード(両面反転読取モード)を選択した場合、印刷カラーモードを自動的にフルカラーモードにすることにより、ユーザの操作を少なくすることができ、操作の煩雑さを改善することができる。更に、ACSをオフにすることで、ACS部611による判別処理の手間を省くことができる。そして、万が一、カラー原稿が誤って白黒原稿と判別されることを防ぎ、確実にフルカラー印刷を行わせることができる。また、自動カラーキー191及び白黒キー193を操作無効とすることで、ユーザの操作ミスを防ぎ、所望の印刷を確実に行うことができる。
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態では、自動カラーキー191、フルカラーキー192及び白黒キー193が表示部51に表示され、ユーザによるタッチパネル操作によって選択/非選択が設定されていた。第2の実施の形態では、操作部5にハードキーを設置し、このハードキーを用いて各設定を操作する場合について説明する。尚、第2の実施の形態における複合機の構成及びコピー動作の処理の流れを示すフローチャートは第1の実施の形態において図1、3及び9に示したものと同様であるため、説明を省略する。
図10は本実施の形態における操作部500を示した図である。第1の実施の形態において示した操作部5と同じの構成については同じ符号を付し、異なる部分のみ説明する。操作部500の正面右側には自動カラーボタン91、フルカラーボタン92及び白黒ボタン93が配置されている。各ボタンには例えばLED等の発光素子が内蔵或いは各ボタン周辺にそれぞれ配設されており、LEDの発光状態によってそのボタンの選択状態をユーザが視認できるようになっている。
複合機1のコピー機能が選択されているとき、制御部61は図11に示すような標準画面を表示部51に表示させる。初期設定及び標準動作設定としてACS部によって原稿の白黒/カラー判別が自動的に行われる設定となっているため、制御部61は自動カラーボタン91のLEDを点灯状態にさせると共に、表示部51の正面上部の領域121に「(自動カラー)」という文字を表示させる。
ユーザによって機能リストキー101が押下されると、制御部61は図12に示すような機能リスト画面を表示部51に表示させる。更にユーザによって両面/分割キー102が押下されると、制御部61は両面/分割画面を表示部51に表示させる。ここで、原稿の両面を読み取って片面印刷するキー105又は原稿の両面を読み取って両面印刷するキー106が押下されたら、制御部61は図13に示すような画面を表示部51に表示させる。
ここで、制御部61は、表示部51の表示領域の中央部付近に高画質モードキー109と高速モードキー110のモード設定キーを表示させる。そして、ユーザによって高画質モードキー109が押下されると、制御部61は図14に示すような画面を表示部51に表示させる。具体的には、制御部61は表示部51に対して高画質モードキー109の表示を選択状態に切り換えさせ、印刷カラーモードをフルカラーモードに変更して領域121に「(フルカラー)」の文字を表示させると共に、印刷カラーモードを変更したことをユーザに伝達するメッセージ122を表示させる。そして、制御部61は自動カラーボタン91のLED点灯をオフにし、フルカラーボタン92のLEDを点灯させる。
更に制御部61はACSをオフにし、自動カラーボタン91及び白黒ボタン93が押下されても受け付けない設定とする。ユーザによって自動カラーボタン91及び白黒ボタン93が押下されたとき、制御部61は図15に示すようなメッセージ123を表示部51に表示させ、高画質モード時は自動カラーボタン91及び白黒ボタン93は操作無効であることをユーザに報知する。
以上、説明したように、ADFを用いて原稿の両面を読み取る際に高画質モード(両面反転読取モード)を選択した場合、印刷カラーモードを自動的にフルカラーモードにすることにより、ユーザの操作を少なくすることができ、操作の煩雑さを改善することができる。更にACSをオフにすることで、ACS部611による判別処理の手間を省くことができる。また、万が一、カラー原稿が誤って白黒原稿と判別されることを防ぎ、確実にフルカラー印刷を行わせることができる。そして、自動カラーボタン91及び白黒ボタン93を操作無効とすることで、ユーザの操作ミスを防ぎ、所望の印刷を確実に行うことができる。