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JP4817778B2 - 電池用ケースおよび電池ならびに電気二重層キャパシタ用ケースおよび電気二重層キャパシタ - Google Patents

電池用ケースおよび電池ならびに電気二重層キャパシタ用ケースおよび電気二重層キャパシタ Download PDF

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Description

本発明は、携帯電話などの通信機器に用いられ、容易に外部電気回路基板に接続することができるとともに電解液の漏れを有効に防止することのできる薄型の電池用ケースおよび電池ならびに電気二重層キャパシタ用ケースおよび電気二重層キャパシタに関する。
近年、携帯電話やラップトップコンピュータ装置端末、カメラ一体型ビデオテープレコーダー等に代表される携帯機器が目覚ましく発達するに伴ない、その小型化、軽量化が図られている。そして、これらの携帯機器の電源としての電池の需要も増加の一途をたどり、また、電池のエネルギー密度を高めるための研究も活発に行われ、特に、リチウム電池は原子量が小さく、かつイオン化エネルギーが大きなリチウムを用いる電池であることから、高エネルギー密度を得ることができ、さらに再充電が可能な電池として盛んに研究され、現在に至っては携帯機器の電源をはじめとして広範囲に用いられている。
このような電池は、正極と負極とを絶縁シートから成るセパレータを介して電槽缶内に挿着し、そこに有機電解液が注入されて封口された構造となっている。
そして、正極は、例えば金属酸化物を正極活物質として、これに導電材を添加したものが一般的であり、この正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)やマンガン酸リチウム(LiMn)などを挙げることができ、また、導電材としてアセチレンブラック(AB)や黒鉛などを挙げることができる。一方、負極は、負極活物質に導電材を添加したものが用いられ、負極活物質としては、例えばコークスや炭素繊維などの炭素材料が用いられている。
このLiCoOやLiMnなどから成る正極活物質の充放電電圧は約4Vである。これに対して炭素材料などから成る負極活物質の充放電電圧は0V付近であり、これらの正極活物質と負極活物質と電解液とを組み合わせることでリチウム電池は約3.5Vの高放電電圧を達成している。
電池の正極および負極はこれらの正極活物質または負極活物質に上記導電材を加え、さらにポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンなどのバインダを添加、混合してスラリー状となし、これを周知のドクターブレード法を用いてシート状に成形し、次いでこのシートを例えば円形状に裁断して作製されるのが一般的である。
そして、このようにして作製された正極、および負極をその間に耐熱温度が約150℃のポリオレフィン繊維製の不織布やポリオレフィン製の微多孔膜などから成るセパレータを介して電槽缶内に対置させて載置し、電解液を注入して、電池が得られる。
そして、このようにして作製される電池をさらに小型化、高密度化するために、従来より、コイン型電池Aの開発が進められ、図7に示すように、円板状の正極11bを備えた例えばステンレスから成る正極缶11と、円板状の負極12bを備えた例えばステンレスから成る負極缶12とを電解液を含浸させたセパレータ14を介して対置させ、次いで例えば絶縁性のポリプロピレン樹脂から成るガスケット15を介して正極缶11の周囲と負極缶12の周囲とをかしめるようにして一体化した構造のものが知られている。正極11bおよび負極12bにおける充放電は正極缶11および負極缶12に取着した外部接続端子部材のリード部を介して行われる(例えば、下記の特許文献1,2参照)。
また、電気二重層キャパシタにおいても、電気二重層用キャパシタを小型化、高密度化するために、上記電池と同様の図7に示す形状の、内部に電解液が封入された第一の電極缶11と第二の電極缶12とをかしめて形成されたコイン型の電気二重層キャパシタAが開発されている。
この電気二重層キャパシタAは、円板状の第一の電極11bを備えた例えばステンレスからなる第一の電極缶11と、第二の電極12bを備えた例えばステンレスからなる第二の電極缶12とを、電解液を含有するセパレータ14を第一の電極11bと第二の電極12bとの間に挟んだ状態で、第一の電極缶11の縁と第二の電極缶12の縁とをガスケット15を介して互いにかしめて接合することで形成されている。第一の電極11bおよび第二の電極12bにおける充放電は第一の電極缶11および第二の電極缶12に取着した外部接続端子部材を介して行われる(例えば、下記の特許文献3,4参照)。
特開2000−106195号公報(第6−12頁、図1) 特開2002−198019号公報(第3−4頁、図1) 特開2002−50551号公報 特開2003−100569号公報
しかしながら、特許文献1,2に示されるような従来の電池Aは、長期間に亘って温度幅が百数十度という温度サイクル試験(例えば−40℃〜85℃)に曝されると、その際、例えばポリプロピレン樹脂から成るガスケット15と正極缶11と負極缶12との熱膨張率の差によりガスケット15と正極缶11および負極缶12の周囲のかしめた部位との境界に隙間が生じて電解液が漏れ出すという問題点が有り、これにより電池Aの電池性能を劣化させたり、さらに漏れ出た電解液により外部電気回路基板上の銅(Cu)配線が腐食して断線するといった不具合が発生したり、あるいは、この隙間から水分が内部に侵入して電池性能を劣化させたりするという不具合が発生していた。
また、特許文献3,4に示されるような従来の電気二重層キャパシタAにおいても、従来の電池と同様、長期間に亘って温度幅が百数十度という温度サイクル試験(例えば−40℃〜85℃)に曝されると、同様にかしめた電槽缶の結合部位に隙間が生じて電解液が漏れ出したり水分が浸入したりする場合が有り、これにより電気二重層キャパシタの性能が劣化したり、さらに漏れ出た電解液により外部電気回路基板上のCu配線が腐食されて断線するといった不具合が発生していた。
また、従来の電池Aおよび電気二重層キャパシタAは、充放電を行なうために、上下にリード部を接続してこのリード部を外部電気回路基板へ接続しなければならず、外部電気回路基板への接続が繁雑であるという問題点を有していた。
また、従来の電池Aおよび電気二重層キャパシタAはガスケット15と正極缶11および負極缶12の周囲を隙間なく確実にかしめるために平面視形状を円形にしなければならず、平面視形状を多角形等の種々の形状とすることができなかった。近年、装置の小型化に伴い、電池および電気二重層キャパシタの小型化,省スペース化の市場要求も大きくなってきており、例えば、外部電気回路基板に省スペースで実装するため電池および電気二重層キャパシタの平面視形状を四角形とするといった要求に応えられないものとなっていた。
従って、本発明は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、長期間の使用により電池および電気二重層キャパシタに隙間が生じて電解液が漏れ出して電池性能を劣化させたり、外部電気回路基板に損傷を与えたりすることがなく、外部電気回路基板への接続を容易にするとともに、電池を小型化することができ、かつ量産性に優れた電池用ケースおよび電池ならびに電気二重層キャパシタ用ケースおよび電気二重層キャパシタを提供することにある。
本発明の電池用ケースは、上面の中央部に凹部が形成され、該凹部の一内側面と底面との間に段差が形成されたセラミック基体と、前記段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、前記凹部の底面に形成された穴部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記セラミック基体の下面に形成された第一の導体層および第二の導体層と、前記第一のメタライズ層から前記第一の導体層にかけて形成された第一の内部導体、および前記第二のメタライズ層から前記第二の導体層にかけて形成された第二の内部導体とを具備しており、前記第二のメタライズ層の上面から前記凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の電池用ケースは、上面の中央部に凹部が形成されたセラミック基体と、このセラミック基体の上面の前記凹部の周囲に形成された第一のメタライズ層と、前記凹部の底面に形成された穴部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記セラミック基体の下面に形成された第一の導体層および第二の導体層と、前記第一のメタライズ層から前記第一の導体層にかけて形成された第一の内部導体、および前記第二のメタライズ層から前記第二の導体層にかけて形成された第二の内部導体とを具備しており、前記第二のメタライズ層の上面から前記凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする。
本発明の電池は、上記構成の電池用ケースと、前記樹脂層の上面に載置されて前記第二のメタライズ層に電気的に接続された正電極板と、この正電極板の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置されるとともに一端部が前記第一のメタライズ層に電気的に接続された負電極板と、前記セラミック基体の上面に前記凹部を覆うとともに前記負電極板に当接されて取着された蓋体とを具備していることを特徴とする。
また、本発明の電池は、上記構成の電池用ケースと、前記樹脂層の上面に載置されて前記第二のメタライズ層に電気的に接続された正電極板と、この正電極板の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置された負電極板と、前記凹部を覆うようにして前記セラミック基体の上面に接合されるとともに少なくとも下側主面が導電性とされ、前記負電極板に当接されて電気的に接続された蓋体とを具備していることを特徴とする。
本発明の電気二重層キャパシタ用ケースは、上面の中央部に凹部が形成され、該凹部の一内側面と底面との間に段差が形成されたセラミック基体と、前記段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、前記凹部の底面に形成された穴部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記セラミック基体の下面に形成された第一の導体層および第二の導体層と、前記第一のメタライズ層から前記第一の導体層にかけて形成された第一の内部導体、および前記第二のメタライズ層から前記第二の導体層にかけて形成された第二の内部導体とを具備しており、前記第二のメタライズ層の上面から前記凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする。
本発明の電気二重層キャパシタ用ケースは、上面の中央部に凹部が形成されたセラミック基体と、該セラミック基体の上面の前記凹部の周囲に形成された第一のメタライズ層と、前記凹部の底面に形成された穴部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記セラミック基体の下面に形成された第一の導体層および第二の導体層と、前記第一のメタライズ層から前記第一の導体層にかけて形成された第一の内部導体、および前記第二のメタライズ層から前記第二の導体層にかけて形成された第二の内部導体とを具備しており、前記第二のメタライズ層の上面から前記凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする。
本発明の電気二重層キャパシタは、上記構成の電気二重層キャパシタ用ケースと、前記樹脂層の上面に載置されて前記第二のメタライズ層に電気的に接続された第一の電極と、該第一の電極の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置されるとともに一端部が前記第一のメタライズ層に電気的に接続された第二の電極と、前記セラミック基体の上面に前記凹部を覆うとともに前記第二の電極に当接されて取着された蓋体とを具備していることを特徴とする。
本発明の電気二重層キャパシタは、上記構成の電気二重層キャパシタ用ケースと、前記樹脂層の上面に載置されて前記第二のメタライズ層に電気的に接続された第一の電極と、該第一の電極の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置された第二の電極と、前記凹部を覆うようにして前記セラミック基体の上面に接合されるとともに少なくとも下側主面が導電性とされ、前記第二の電極に当接されて電気的に接続された蓋体とを具備していることを特徴とする。
本発明の第一の電池用ケースまたは第一の電気二重層キャパシタ用ケースは、上面の中央部に凹部が形成され、凹部の一内側面と底面との間に段差が形成されたセラミック基体と、段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、凹部の底面に形成された穴部の底面に形成された第二のメタライズ層と、セラミック基体の下面に形成された第一の導体層および第二の導体層と、第一のメタライズ層から第一の導体層にかけて形成された第一の内部導体、および第二のメタライズ層から第二の導体層にかけて形成された第二の内部導体とを具備しており、第二のメタライズ層の上面から凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることから、気密性に優れるとともに耐熱性に優れるセラミック基体によって電解液が収容されているため、温度サイクル試験に曝された場合でも隙間が生じて電解液が漏れることはなく、電解液を良好に収容することができる。また、セラミック基体の平面視形状を四角形等種々の形状としても、気密性が維持されるので、市場要求に応じてセラミック基体を種々の形状とすることができるとともに、電池または電気二重層キャパシタの性能を劣化させる水分や酸素等が外部から電解液中に侵入するのを抑制することができる。
また、凹部の底面に形成された穴部の底面に第二のメタライズ層が形成されており、第二のメタライズ層の上面から凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることから、腐食性の電解液が導電性粒子を含有する樹脂層に遮られて第二のメタライズ層に接触しなくなり、第二のメタライズ層の電解液に対する表面保護を簡素なものにすることができる。
また、導電性粒子を含有する樹脂層が穴部と凹部の底面との間の角および凹部の底面と側面との間の角に接しているので、電解液が樹脂層とセラミック基体との間のわずかな隙間を伝って浸入しにくい。
また、電解液が第二のメタライズ層の形成部位に浸入しにくくなるので、電解液が第二のメタライズ層の形成部位から第二の内部導体を通じて外部に漏出するのを有効に防止することができる。
本発明の第二の電池用ケースまたは電気二重層キャパシタ用ケースは、上面の中央部に凹部が形成されたセラミック基体と、セラミック基体の上面の凹部の周囲に形成された第一のメタライズ層と、凹部の底面に形成された穴部の底面に形成された第二のメタライズ層と、セラミック基体の下面に形成された第一の導体層および第二の導体層と、第一のメタライズ層から第一の導体層にかけて形成された第一の内部導体、および第二のメタライズ層から第二の導体層にかけて形成された第二の内部導体とを具備しており、第二のメタライズ層の上面から凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることから、気密性に優れるとともに耐熱性に優れるセラミック基体によって電解液が収容されているため、温度サイクル試験に曝された場合でも隙間が生じて電解液が漏れることはなく、電解液を良好に収容することができる。また、セラミック基体の平面視形状を四角形等種々の形状としても、気密性が維持されるので、市場要求に応じてセラミック基体を種々の形状とすることができるとともに、電池または電気二重層キャパシタの性能を劣化させる水分や酸素等が外部から電解液中に侵入するのを有効に抑制することができる。
また、凹部の一内側面と底面との間に段差を形成する必要がないので、電池用ケースの体積をさらに小さいものとすることができる。
また、凹部の底面に形成された穴部の底面に第二のメタライズ層が形成されており、第二のメタライズ層の上面から凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることから、腐食性の電解液が導電性粒子を含有する樹脂層に遮られて第二のメタライズ層に接触しなくなり、第二のメタライズ層の電解液に対する表面保護を簡素なものにすることができる。
また、導電性粒子を含有する樹脂層が穴部と凹部の底面との間の角および凹部の底面と側面との間の角に接しているので、電解液が樹脂層とセラミック基体との間のわずかな隙間を伝って浸入しにくい。
また、電解液が第二のメタライズ層の形成部位に浸入しにくくなるので、電解液が第二のメタライズ層の形成部位から第二の内部導体を通じて外部に漏出するのを有効に防止することができる。
本発明の電池は、上記本発明の第一の電池用ケースと、樹脂層の上面に載置されて第二のメタライズ層に電気的に接続された正電極板と、この正電極板の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置されるとともに一端部が第一のメタライズ層に電気的に接続された負電極板と、セラミック基体の上面に凹部を覆うとともに負電極板に当接されて取着された蓋体とを具備していることにより、上記本発明の第一の電池用ケースを用いた気密信頼性の高い、所定の電池性能で長期にわたって正常かつ安定に作動させることができるものとなる。
本発明の電池は、上記本発明の第二の電池用ケースと、前記樹脂層の上面に載置されて前記第二のメタライズ層に電気的に接続された正電極板と、この正電極板の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置された負電極板と、前記凹部を覆うようにして前記セラミック基体の上面に接合されるとともに少なくとも下側主面が導電性とされ、前記負電極板に当接されて電気的に接続された蓋体とを具備していることから、上記本発明の第二の電池用ケースを用いた気密信頼性の高い、所定の電池性能で長期にわたって正常かつ安定に作動させることができるものとなる。
また、少なくとも下側主面が導電性である蓋体を負電極板に当接させて電気的に接続させ、基体の上面に凹部を覆うように接合することによって、基体の凹部の一内側面と底面との間に段差を設けずとも蓋体を電池の負極として機能させることができる。その結果、基体を小型化できるとともに、基体の凹部内部に電池要素を容易に実装できるようになる。
本発明の電気二重層キャパシタは、上記本発明の第一の電気二重層キャパシタ用ケースと、樹脂層の上面に載置されて第二のメタライズ層に電気的に接続された第一の電極と、第一の電極の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置されるとともに一端部が第一のメタライズ層に電気的に接続された第二の電極と、セラミック基体の上面に凹部を覆うとともに第二の電極に当接されて取着された蓋体とを具備していることにより、上記本発明の第一の電気二重層キャパシタ用ケースを用いた気密信頼性の高い、所定の電気二重層キャパシタ性能で長期にわたって正常かつ安定に作動させることができるものとなる。
本発明の電気二重層キャパシタは、上記本発明の第二の電気二重層キャパシタ用ケースと、樹脂層の上面に載置されて第二のメタライズ層に電気的に接続された第一の電極と、第一の電極の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置された第二の電極と、凹部を覆うようにしてセラミック基体の上面に接合されるとともに少なくとも下側主面が導電性とされ、第二の電極に当接されて電気的に接続された蓋体とを具備していることから、上記本発明の第二の電気二重層キャパシタ用ケースを用いた気密信頼性の高い、所定の電気二重層キャパシタ性能で長期にわたって正常かつ安定に作動させることができるものとなる。
また、少なくとも下側主面が導電性である蓋体を第二の電極に当接させて電気的に接続させ、基体の上面に凹部を覆うように接合することによって、基体の凹部の一内側面と底面との間に段差を設けずとも蓋体を電気二重層キャパシタの第二の電極として機能させることができる。その結果、基体を小型化できるとともに、基体の凹部内部に電気二重層キャパシタ要素を容易に実装できるようになる。
本発明の電池用ケースまたは電気二重層キャパシタ用ケースについて、電池用ケースを例にして以下に詳細に説明する。図1において、(a)は本発明の電池用ケースの実施の形態の一例を示す断面図であり、(b)は(a)の電池用ケースの平面図を示す。また、図2において、(a)は本発明の電池用ケースの実施の形態の他の例を示す断面図であり、(b)は(a)の電池用ケースの平面図を示す。また、図3は図1および図2に示す実施の形態のさらに他の例を示し、図3において、(a)は本発明の電池用ケースの実施の形態のさらに他の例を示す断面図であり、(b)は(a)の電池用ケースの平面図を示す。また、図4は図1および図2に示す実施の形態のさらに他の例を示し、図4において、(a),(b)は本発明の電池用ケースの実施の形態のさらに他の例を示す断面図である。以下、図1に示すものを本発明の電池用ケースの第一の実施の形態、図2に示すものを本発明の電池用ケースの第二の実施の形態とする。
これらの図において、1はセラミック基体、1aは凹部、1bは第二のメタライズ層、1cは段差、1dは第一のメタライズ層、1eは第二の導体層、1fは第一の導体層、2bは第二の内部導体、2dは第一の内部導体、4は蓋体、10は穴部、B−5は樹脂層である。
本発明の電池用ケースの第一の実施の形態は、セラミック基体1の上面の中央部に直方体状,角柱状または円柱状等の凹部1aが形成され、この凹部1aの一内側面と底面との間に段差1cが形成されている。段差1cの上面には第一のメタライズ層1dが形成されており、凹部1aの底面には穴部10が形成され、穴部10の底面には第二のメタライズ層1bが形成されている。さらに、セラミック基体1の下面には、第一の導体層1fおよび第二の導体層1eが形成されており、第一のメタライズ層1dから第一の導体層1fにかけて形成された第一の内部導体2d、および第二のメタライズ層1bから第二の導体層1eにかけて形成された第二の内部導体2bが形成されている。そして、凹部1aの底面に形成された穴部10の底面の第二のメタライズ層1bの上面から凹部1aにかけて第二のメタライズ層1bおよび凹部1aの上面を覆うように導電性粒子を含有する樹脂層B−5が形成される。
このようなセラミック基体1は、アルミナ質焼結体等のセラミックスから成り、以下のようにして作製される。例えば、セラミック基体1がアルミナ質焼結体から成る場合、酸化アルミニウム(Al),酸化珪素(SiO),酸化マグネシウム(MgO),酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダ、溶剤等を添加混合してスラリーとなす。このスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法によってグリーンシートとなし、所要の大きさに切断する。次に、その中から選ばれた複数のグリーンシートにおいて凹部1a、段差1c、第一および第二の内部導体2b,2d、第一の穴部10等を形成するために適当な打ち抜き加工を施す。
そして、これらのグリーンシートに金型等による孔開け加工によって形成された貫通孔にタングステン(W)等の金属粉末を主成分とする金属ペーストを充填したり、W等の金属粉末を主成分とする金属ペーストを所定の部位に印刷塗布したりして、第一および第二のメタライズ層1d,1b、第一および第二の内部導体2d,2b、第一および第二の導体層1f,1eとなる金属ペースト層を形成し、次いでこれらの金属ペースト層を形成したグリーンシートを積層し、約1600℃の温度で焼成することによってセラミック基体1が作製される。
図1(a)に示すように、第一および第二の導体層1f,1eがセラミック基体1の下面に形成されている。第一および第二の導体層1f,1eがセラミック基体1の下面に形成されることにより、セラミック基体1を平板状の外部電気回路基板の上面に載置し、半田付け等して容易に外部電気回路に接続できるので、外部電気回路基板の量産性に優れた電池用ケースとなる。
また図1(a)に示すように、凹部1aの底面に穴部10が設けられるとともに穴部10の底面に第二のメタライズ層1bが形成され、第二のメタライズ層1bの上面から凹部1aの底面にかけて第二のメタライズ層1bの上面および凹部1aの底面を覆うように導電性粒子を含有する樹脂層B−5が形成される。
この構成により、腐食性の電解液B−4が導電性粒子を含有する樹脂層B−5に遮られて第二のメタライズ層1bに直接接触しなくなり、第二のメタライズ層1bの電解液B−4に対するめっき等の表面保護を簡素なものにすることができるので、第二のメタライズ層1bを簡単な工程で安価に形成できる。
また、電解液B−4が樹脂層B−5とセラミック基体1との間にできてしまうわずかな隙間を伝って第二のメタライズ層1bに浸入する経路は、凹部1aの側面,凹部1aの底面,穴部10の側面を伝う長い経路長になるとともに、穴部10の周囲の穴部10と凹部1aの底面との間に形成されるほぼ直角な角、および凹部1aの周囲の凹部1aの底面と側面との間に形成されるほぼ直角な角を通過することになるので、経路が曲折したものとなり、電解液B−4が第二のメタライズ層1bに達しにくくなる。
また、電解液B−4が第二のメタライズ層1bの形成部位に浸入しにくくなるので、電解液B−4が第二のメタライズ層1bの形成部位から第二の内部導体2bを通じて電池Bの外部に漏出するのを有効に防止することができる。
また、電池要素を樹脂層B−5に埋め込むように設置すると、電池用ケースの底面の所定位置に電池要素を容易かつ効率よく設置することができるとともに、電池要素が設置後に位置ズレし難くなり、電池を長期にわたって使用する場合や振動等の外力が加わる条件下で使用する場合においても、電池要素と第二のメタライズ層1bとの電気的接続が安定し、電池を所定の電池性能で長期にわたって正常かつ安定に作動させることができる。さらに、電池要素と樹脂層B−5との接触面積が大きくなるので、電池要素と樹脂層B−5との間の電気抵抗も小さくできる。
また、樹脂層B−5が弾性を有することから、電池要素が基体1に強く押し付けられたとしても樹脂層B−5で緩衝されるので、基体1または電池要素が破損するのを有効に防止できる。
好ましくは、第一のメタライズ層1bの上面に樹脂層B−5を設ける場合、図3に示すように、凹部1aの底面の穴部10の周囲に全周にわたって溝11を設け、樹脂層B−5を穴部10と溝11とを埋めるように第一のメタライズ層1bの上面から凹部1aの底面にかけて形成するとよい。この構成により、セラミック基体1と樹脂層B−5との境界面のわずかな隙間を伝って第一のメタライズ層1bに到達しようとする電解液B−4をより確実に遮断することができる。すなわち、凹部1aの底面からセラミック基体1と樹脂層B−5との境界面を経由しての第一のメタライズ層1bまでの経路の距離が長くなって電解液B−4を有効に遮断することができるとともに、凹部1aの底面において穴部10と溝11との間に突出部が形成され、この突出部により形成される曲折路が凹部1aの底面と樹脂層B−5との境界面を伝って第一のメタライズ層1bに到達しようとする電解液B−4を確実に遮断するためである。その結果、第一のメタライズ層1bに腐食性の電解液B−4が触れにくくなるとともに、第一の内部導体2bを通じて電池B外部に電解液B−4が漏れるのをより確実に防止することができる。
第一および第二の内部導体2d,2bは、図1では第一および第二の導体層1f,1eに対して垂直な貫通接続導体のみで形成されているが、セラミック基体1内に第一および第二の導体層1f,1eと平行な内部配線層を途中に形成し、第一および第二の導体層1f,1eと垂直な貫通接続導体から内部配線層,垂直な貫通接続導体というふうに組み合わせて第一のメタライズ層1dから第一の導体層1fにかけて、および第二のメタライズ層1bから第二の導体層1eにかけて形成されていてもよく、これによってセラミック基体1内に電気回路を引き回すことができ、第一および第二の導体層1f,1eをセラミック基体1の底面の好適な位置に形成することができる。
また、第一および第二の内部導体2d,2bは、セラミック基体1の内部に形成された貫通接続導体であるので、第一および第二の内部導体2d,2bの上端面が同じ材質の第一および第二のメタライズ層1d,1bに接続されてこれらで覆われるため、第一および第二の内部導体2d,2bとセラミック基体1との間にわずかな隙間が生じても電解液が進入する虞が少なくなる。
さらに、第一および第二のメタライズ層1d,1bを貫通接続導体ではなく、セラミックグリーンシートの層間に形成された内部配線層でセラミック基体1の外側面に導出し、セラミック基体1の側面導体層を介して第一および第二の導体層1f,1eに接続すると、セラミックグリーンシートの内部配線層が形成された部分でデラミネーション(積層されたグリーンシート同士の接合力が弱いために生じる剥離)が生じやすく、これによって生じた内部配線層を挟むセラミックグリーンシート間の隙間に、セラミック基体1の凹部1aに封入される電解液B−4が浸入する虞がある。しかし、第一および第二の内部導体2d,2bは貫通接続導体で形成されているので、この虞がない。
また、第一のメタライズ層1dから第一の導体層1fにかけて第一の内部導体2dが形成され、第二のメタライズ層1bから第二の導体層1eにかけて第二の内部導体2bが形成されるが、好ましくは、第一の内部導体2dおよび第二の内部導体2bは複数本形成されるのがよい。この構成により、第一のメタライズ層1dと第一の導体層1fとの間、および第二のメタライズ層1bと第二の導体層1eとの間において、抵抗値が大きくなるのを抑制できるとともに接続信頼性を高めることができ、電池性能が低下するのを防止することができる。
さらに好ましくは、第二の内部導体2bの本数は第一の内部導体2dの本数よりも少なく、第二の内部導体2bの断面積の合計は第一の内部導体2dの断面積の合計よりも小さくなっているのがよく、第二の内部導体2bは第一の内部導体2dよりも数少なく形成されることから、第二の内部導体2bを介して電池外部(電池の底面)より電池内部(凹部)の電解液に伝わる熱を抑えることができる。従って、電池の底面の温度が上昇した場合においても、電解液の温度変化を極力抑え、常に所望の電池性能を発揮させることができる。加えて、第一の内部導体2dの抵抗値と第二の内部導体2bの抵抗値とを近づけることもできる。
複数の第二の内部導体2bの断面積の合計は、複数の第一の内部導体2dの断面積の合計よりも小さいが、個々の第二の内部導体2bの断面積は個々の第一の内部導体2dの断面積よりも少し大きい断面積とし、第二の内部導体2bの本数が第一の内部導体2dの本数よりも少ないことによりこれら複数の第二の内部導体2bの断面積の合計が複数の第一の内部導体2dの断面積の合計より小さくなるようにしてもよいし、または、個々の第一の内部導体2dの断面積は個々の第二の内部導体2bの断面積よりも同じまたは少し大きい断面積とし、第一の内部導体2dの本数を第二の内部導体2bよりあまり多くしないことにより、複数の第二の内部導体2bの断面積の合計が複数の第一の内部導体2dの断面積の合計より小さくなるようにしてもよい。
好ましくは、個々の第一の内部導体2dの断面積は個々の第二の内部導体2bの断面積と同じまたは少し大きい断面積とするのが、電池の底面の温度が上昇した場合においても電解液の温度変化を有効に抑制でき、第二の内部導体2bより長い第一の内部導体2dの抵抗値と第二の内部導体2bの抵抗値とを近づけられる点でよい。
また、好ましくは、第一および第二のメタライズ層1d,1b、第一および第二の内部導体2d,2b、第一および第二の導体層1f,1eとなる導体層は、銅(Cu)を含有するのがよい。この構成により、第一および第二のメタライズ層1d,1b、第一および第二の内部導体2d,2b、第一および第二の導体層1f,1eとなる導体層の電気抵抗値を低くすることができ、電池性能が劣化するのを有効に防止することができる。
さらに好ましくは、第一および第二のメタライズ層1d,1b、第一および第二の導体層1f,1eとなる導体層が、Cuを10体積%〜70体積%、Wを30体積%〜90体積%の割合で含有し、第一および第二の内部導体2d,2bが、Cuを20体積%〜80体積%、Wを20体積%〜80体積%の割合で含有するのがよく、第一および第二の内部導体2d,2b中のCu含有量が、第一および第二のメタライズ層1d,1b、第一および第二の導体層1f,1eとなる導体層よりも多いのがよい。これにより、第一および第二のメタライズ層1d,1b、第一および第二の導体層1f,1eとなる導体層が電解液により腐食されるのを有効に防止でき、電池性能が劣化するのを有効に防止することができるので、長期にわたって安定に機能する電池となる。
これら導体層にCuを含有させる方法を、セラミック基体1にAlを主成分とするセラミックスを用いた場合について具体的に説明する。まず、セラミック基体1を形成するために、主成分となるAl原料粉末として、平均粒径が0.5〜2.5μm、好ましくは0.5〜2μmの粉末を用いる。これは、平均粒径が0.5μmよりも小さいと、粉末の取扱いが難しく、また粉末のコストが高くなり、2.5μmよりも大きいと、1500℃以下の温度で焼成することが難しくなり、焼成時に導体層のCu成分を蒸発させてしまうという不具合が生じるためである。
そして、上記Al粉末に対して、第2の成分として、MnOを2〜6質量%、好ましくは3〜5質量%の割合で添加する。また、適宜、第3の成分として、SiO、MgO、CaO粉末等を0.4〜8質量%、第4の成分として、W、Moなどの遷移金属の金属粉末や酸化物粉末を着色成分として金属換算で2質量%以下の割合で添加する。
そして、この混合粉末を用いて絶縁層を形成するためのシート状成形体(グリーンシート)を作製する。シート状成形体は、周知の成形方法によって作製することができる。例えば、上記混合粉末に有機バインダや溶媒を添加してスラリーを調製した後、ドクターブレード法によって形成したり、混合粉末に有機バインダを加え、プレス成形、圧延成形等により所定の厚みのシート状成形体を作製したりできる。
このようにして作製したシート状成形体に対して、平均粒径が1〜10μmのCu粉末10〜80体積%、平均粒径が1〜10μmのW粉末を20〜90体積%の割合で含有する導体ペーストを調製し、このペーストを各シート状成形体にスクリーン印刷、グラビア印刷等の手法によって印刷塗布することによって、これら導体層にCuを含有させることができる。
また、このようにして作製されたセラミック基体1に形成されたこれらの導体層の露出した表面には、耐食性に優れかつ半田との濡れ性に優れる金属、具体的には厚さ1〜12μmのニッケル(Ni)層および厚さ0.3〜5μmの金(Au)層をめっき法等により順次被着しておくのがよい。これにより、特に電池用ケースの内部に形成された第一および第二のメタライズ層1d,1bが充放電による電圧で電解液中に容易に溶出するのを有効に抑制できる。また、第一および第二の導体層1f,1eにおいては半田との濡れ性が良くなり、外部電気回路基板上の配線導体との接合強度がより強固なものとなる。
Ni層の厚さが1μm未満であれば、メタライズから成る各導体層の酸化腐蝕を防止したり各導体層から金属成分が溶出したりするのを有効に抑制するのが困難になって電池性能が劣化し易くなる。また、Ni層の厚さが12μmを超えると、めっき形成に多大の時間がかかることになり量産性が低下し易くなるとともに電気抵抗が大きくなり易い。
また、Au層の厚さが0.3μm未満であれば、均一な厚さのAu層を形成するのが困難となり、Au層がきわめて薄い部位やあるいはAu層が形成されていない部位が生じ易く、酸化腐食の防止効果や半田との濡れ性が低下し易くなる。またAu層の厚さが5μmを超えると、めっき形成に多大の時間がかかることになり量産性が低下し易くなる。
また、凹部1aの内側に位置する第一および第二のメタライズ層1d,1bには、アルミニウム(Al)層が形成されているのがよく、凹部1aの内側に封入される電解液B−4に侵されにくいものとできる。アルミニウム層は、電解めっき法や無電解めっき法等のめっき法やスパッタリング等の蒸着法によって形成される。厚さは0.1〜5μmであるのが好ましい。0.1μm未満であれば、均一な厚さのアルミニウム層を形成するのが困難となり、アルミニウム層がきわめて薄い部位やあるいはアルミニウム層が形成されていない部位が生じ易く、酸化腐食の防止効果や半田との濡れ性が低下し易くなる。またアルミニウム層の厚さが5μmを超えると、めっき形成や蒸着形成に多大の時間がかかることになり量産性が低下し易くなる。
アルミニウム層が第二のメタライズ層1bに蒸着形成される場合、穴部10の平面視における縦横寸法は穴部10の上側に向かうにつれ漸次大きくなっているのがよい。この構成により、第二のメタライズ層1bにアルミニウム層を蒸着形成させ易くすることができ、確実に均一な厚さのアルミニウム層を形成することができる。このようなアルミニウム層等による第二のメタライズ層1bの表面保護を行なうとともに、さらに樹脂層B−5を形成することにより、第二のメタライズ層1bの電解液B−4に対する保護はさらに確実なものとなる。
好ましくは、図3に示すように、セラミック基体1の上面には凹部1aを取り囲むようにして鉄(Fe)−Ni−コバルト(Co)合金やアルミニウム等から成る金属製の枠状部材3が銀(Ag)ロウ,アルミニウム(Al)ロウ等を介してロウ付けされているのがよい。この構成により、枠状部材3の上に金属製の蓋体4を載せ、蓋体4をシーム溶接法等の溶接法を採用することによって、作業効率よくかつ確実にセラミック基体1の凹部1aの内部を気密に封止することができる。
また、この場合、セラミック基体1の上面の枠状部材3がロウ付けされる部位には、W等から成るメタライズ層が形成され、その表面にNi等のめっきが施されているのがよく、この構成によりセラミック基体1上面のロウ材との濡れ性が良くなり、セラミック基体1上面と枠状部材3との接合強度がより強固なものとなる。また、枠状部材3は、鉄−ニッケル−コバルト合金の表面にアルミニウム層を形成したものでもよく、アルミニウム層により電解液に侵されにくいものとできる。
さらに好ましくは、枠状部材3は断面が上下方向に長い長方形状であるのがよい。枠状部材3に蓋体4を溶接接合する際に、蓋体4の外周部が熱膨張し、基体1と蓋体4との熱膨張差が発生するが、この構成により、セラミック基体1と蓋体4との熱膨張差を枠状部材3で吸収させ易くでき、セラミック基体1に蓋体4との熱膨張差による熱応力が加わるのを有効に防止することができる。その結果、セラミック基体1にクラック等の破損が発生するのを防止し、凹部1a内部を確実に気密に保持することができる。
また、図3においては、枠状部材3にFe−Ni−Co合金やAl合金等の金属製の蓋体4を溶接接合、または超音波接合しセラミック基体1の凹部1aを覆うことによって、セラミック基体1内部を確実に気密封止できる。従って、外部から水分や酸素等がセラミック基体1と蓋体4との界面を通ってセラミック基体1内部の電解液中に侵入するのをより有効に抑制することができる。
そして、セラミック基体1の上面にアルミナ質焼結体等のセラミックスや、Fe−Ni−Co合金やAl合金等の金属やエポキシ樹脂等の樹脂から成る蓋体4をAgロウ,Alロウ等のロウ材や樹脂製の接着材を介して接合、または超音波接合法によって接合しセラミック基体1の凹部1aを覆うことによって、セラミック基体1内部を確実に気密封止できる。
次に、本発明の電池用ケースの第二の実施の形態について図2を用いて説明する。
本発明の電池用ケースの第二の実施の形態は、セラミック基体1の上面の中央部に直方体状の凹部1aが形成され、セラミック基体1の上面の凹部1aの周囲には第一のメタライズ層1dが形成されており、凹部1aの底面には穴部10が形成され、穴部10の底面には第二のメタライズ層1bが形成されている。さらに、セラミック基体1の下面には、第一の導体層1fおよび第二の導体層1eが形成されており、第一のメタライズ層1dから第一の導体層1fにかけて形成された第一の内部導体2d、および第二のメタライズ層1bから第二の導体層1eにかけて形成された第二の内部導体2bが形成されている。そして、凹部1aの底面に形成された穴部10の底面の第二のメタライズ層1bの上面から凹部1aにかけて第二のメタライズ層1bおよび凹部1aの上面を覆うように導電性粒子を含有する樹脂層B−5が形成される
本発明の電池用ケースの第二の実施の形態において、第一の実施の形態と異なるのは、セラミック基体1の凹部1aの一側面と底面との間に段差1cが形成されていない点と、第一のメタライズ層1dがセラミック基体1の上面の凹部1aの周囲に形成されている点だけであり、これらの形状や位置の違いに応じて第一の実施の形態の形成方法を変更することにより第二の実施の形態の電池用ケースを得ることができる。そして、第一のメタライズ層1dの形成位置が異なることによる以外は、第一の実施の形態の電池用ケースと同じ特徴を奏することができる。従って、以下第一のメタライズ層1d以外の説明は省略する。
第二の実施の形態において、第一のメタライズ層1dは、図2(a)(b)、図4(a)(b)に示すようにセラミック基体1の上面の凹部1aの周囲に形成されている。この基体1の上面の第一のメタライズ層1dに少なくとも下面が導電性である蓋体4を電気的に接続することによって、基体1の凹部1aの一内側面と底面との間に図1および図3に示すような段差1cを設けずとも電池として機能させることができる。その結果、基体1を小型化できるとともに、基体1の凹部1a内部に電池要素を容易に実装できるようになる。
図2において、第一のメタライズ層1dは、セラミック基体1の上面の凹部1aの周囲に全周にわたって形成されているが、第一の内部導体2dと電気的に接続される一部分のみに形成してもよい。しかしながら、凹部1aの周囲の全周にわたって形成する方が蓋体4との接続抵抗を低くできる点で好ましい。
また、第一の実施の形態に比べ、第一の内部導体2dの長さが長くなる分、第一の内部導体2dの電気抵抗が大きくなるが、好ましくは複数の第一の内部導体2dとし、その本数を多くする、または、断面積の合計を大きくすることにより電気抵抗を大きくなり過ぎないようにすることができる。
なお、第二の実施の形態においても、図3に示すように、セラミック基体1の上面の第一のメタライズ層1dに金属製の枠状部材3をロウ付けしてもよく、蓋体4を作業効率よく接合できるとともに凹部1aの内部を確実に気密に封止することができるようになる。
また、図4(a)(b)に示すように、蓋体4の基体1側の主面の中央部に凹所40が設けられているのがよい。この構成により、凹部1aの内部に電池要素を設置して電池を作製する場合に、凹所40に電池要素を設置し、凹所40において蓋体4を電池要素に当接させることができ、蓋体4の所定位置に電池要素を容易かつ効率よく設置することができる。すなわち、電池性能を所定の性能とすることができるとともに、電池要素を容易かつ効率よく設置することができる。また、第一および第二の内部導体2d,2bが内部に形成され複雑な構造となるセラミック基体1側の高さを低くすることができ、セラミック基体1の作製が容易となる。
なお、第一の実施の形態においても、図4(a)(b)に示すように、蓋体4の基体1側の主面の中央部に凹所40が設けられていてもよい。この構成により、電池性能を所定の性能とすることができるとともに、電池要素を容易かつ効率よく設置することができる。
次に、本発明の電池について以下に詳細に説明する。図5(a)は本発明の電池の実施の形態の一例として図1の第一の実施の形態による電池用ケースを用いた電池(これを電池Bとする)を示す断面図、図5(b)は電池Bにおいて穴部10の周囲に溝11を設けた場合の実施の形態の一例を示す断面図、図6(a)は本発明の電池の実施の形態の他の例として図3の第二の実施の形態による電池用ケースを用いた電池(これを電池Cとする)を示す断面図、図6(b)は電池Cにおいて穴部10の周囲に溝11を設けた場合の実施の形態の一例を示す断面図であり、B−1は正電極板、B−2は負電極板、B−3は絶縁シート、B−4は電解液、B−5は樹脂層、BまたはCは電池である。
本発明の電池Bは、上記の第一の実施の形態による電池用ケースと、樹脂層B−5の上面に載置されて第二のメタライズ層1bに電気的に接続された正電極板B−1と、この正電極板B−1の上面に電解液B−4を含浸した絶縁シートB−3を介して密着するように載置されるとともに一端部が第一のメタライズ層1dに電気的に接続された負電極板B−2と、セラミック基体1の上面に凹部1aを覆うとともに負電極板B−2に当接されて取着された蓋体4とを具備している。
また本発明の電池Cは、上記の第二の実施の形態による電池用ケースと、樹脂層B−5の上面に載置されて第二のメタライズ層1bに電気的に接続された正電極板B−1と、この正電極板B−1の上面に電解液B−4を含浸した絶縁シートB−3を介して密着するように載置された負電極板B−2と、凹部1aを覆うようにしてセラミック基体1の上面に接合されるとともに少なくとも下側主面が導電性とされ、負電極板B−2に当接されて電気的に接続された蓋体4とを具備している。
これにより、上記本発明の電池用ケースを用いた気密信頼性および耐熱性に優れ、平面視形状が四角形等の種々の市場要求に応じた形状にすることができるものとなる。また、第一および第二のメタライズ層1d,1bを負電極板B−2および正電極板B−1にそれぞれ接続することができ、電池B,Cは優れた電池として機能するものとなる。
なお、正電極板B−1と負電極板B−2との位置を入れ替え、第二のメタライズ層1bの上面に樹脂層B−5を介して負電極板B−2を電気的に接続し、この負電極板B−2の上面に絶縁シートB−3を介して正電極板B−1を配置する構成にしてもかまわない。
正電極板B−1は、LiCoOやLiMn等の正極活物質およびアセチレンブラックや黒鉛等の導電材を含む板状やシート状のものであり、また、負電極板B−2はコークスや炭素繊維等の炭素材料から成る負極活物質を含む板状やシート状のものである。
正電極板B−1および負電極板B−2はこれらの正極活物質または負極活物質に上記導電材を加え、さらにポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンなどのバインダを添加、混合してスラリー状となし、これを周知のドクターブレード法を用いてシート状に成形し、次いでこのシートを例えば円形状に裁断して作製される。
また、絶縁シートB−3は、ポリオレフィン繊維製の不織布やポリオレフィン製の微多孔膜などからなり、電解液B−4が含浸されるとともに正電極板B−1と負電極板B−2との間に載置されることにより、正電極板B−1と負電極板B−2との接触を防止するとともに正電極板B−1と負電極板B−2との間の電解液B−4の移動を可能として電流が流れることを可能とする。
導電性粒子を含有する樹脂層B−5は、導電性粒子とこの導電性粒子同士を結着するバインダ樹脂とから成る。導電性粒子を含有する樹脂層B−5が導電性粒子とバインダ樹脂とを含有することで、電解液B−4と反応することがないとともに電気伝導性を有する樹脂層B−5となる。すなわち、導電性粒子は、高い電気伝導性を有するとともに、化学的に安定である等の特性を有しており、導電性粒子を含有する樹脂層B−5は電気伝導性を有するものとなる。
導電性粒子とバインダ樹脂との混合比は、特に限定されるものではない。すなわち、電池B,Cを形成したときに、導電性粒子の含有量が少なすぎて電気抵抗が大きくなり過ぎず、バインダ樹脂により導電粒子同士を十分結着できる混合比の範囲で混合すればよい。導電性粒子の含有量が増加すると、樹脂層B−5の導電性が高くなり、導電性粒子の含有量が減少すると導電性が低下する。また、導電性粒子の含有量が増加すると、相対的にバインダ樹脂の含有量が低下し、バインダ樹脂により導電性粒子同士を十分結着して担持できなくなる。
バインダ樹脂は、導電性粒子を結着できれば特に限定されるものではなく、例えば、フェノール系樹脂やポリフッ化ビニリデン(PVDF)やカルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。
導電性粒子は、その種類が特に限定されるものではなく、炭素粒子やアルミニウム粉末等の電解液B−4と反応しない金属粒子から成る。また、導電性粒子が炭素粒子から成る場合は、少なくともカーボンブラック、グラファイトの1種を含有することが好ましい。少なくともカーボンブラック、グラファイトの1種を含有することで、樹脂層B−5に十分な電気伝導性が確保される。
そして、導電性粒子とバインダ樹脂とを混合してペースト状となし、これを第二のメタライズ層1bの上面から凹部1aの底面にかけて塗布した後に、乾燥させて接着させることにより樹脂層B−5を形成する。または、ペースト状の混合物を周知のドクターブレード法等を用いてシート状に成形し、完全に乾燥する前に第二のメタライズ層1bおよびその周辺を覆うことのできる大きさに裁断し、次いでこのシートを第二のメタライズ層1bおよび凹部1aの底面にかけて十分密着させて樹脂層B−5を形成する。
また好ましくは、樹脂層B−5は、蓋体4の下面や第一のメタライズ層1dの表面を覆うように設けられていてもよく、負電極板B−2は、この樹脂層B−5を介して第一のメタライズ層1dまたは蓋体4の下面の導電性部分に電気的に接続されてもよい。この構成により、蓋体4の下面や第一のメタライズ層1dの表面が腐食性の電解液B−4に直接接触しないようにできるとともに、負電極板B−2を樹脂層B−5を介して蓋体4で弾性的に保持することができる。これにより、負電極板B−2をクラック等で破損させることなく、電池B,C内部の正電極板B−1,負電極板B−2,絶縁シートB−3から成る電池要素を位置ズレしないように拘持することができる。
電解液B−4は、湿気をほとんど含まない例えばアルゴン(Ar)ガスを充填した容器内でシリンジなどの注入手段を用いて凹部1aの上面から電池B,Cの内部に注入される。そして、注入後にセラミック基体1または枠状部材3の上面に蓋体4を気密に接合することによって、電池B,Cの内部を気密に封止することができる。
電解液B−4は、例えば、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩や塩酸,硫酸,硝酸等の酸をジメトキシエタンやプロピレンカーボネート等の有機溶媒に溶解したものである。このような電解液B−4は、腐食性や溶解性の高いものであるが、本発明の電池用ケースを用いることにより、セラミック基体1は耐薬品性に優れているため、有機溶剤や酸等を含む電解液B−4に侵され難く、電解液B−4中に電池用ケースから溶け出した不純物が混入して電解液B−4を劣化させることもなく、電池性能を良好に維持することができる。
そして、図5(a)(b)の電池Bにおいては、セラミック基体1の上面にアルミナ質焼結体等のセラミックスや、Fe−Ni−Co合金やAl合金等の金属やエポキシ樹脂等の樹脂等から成る蓋体4をAgロウ,Alロウ等のロウ材や樹脂製の接着材を介して接合、または超音波接合法によって接合しセラミック基体1の凹部1aを覆うことによって、セラミック基体1内部を気密に封止することにより電池Bとなる。
また、電池Bにおいて図3の電池用ケースを用いる場合は、枠状部材3にFe−Ni−Co合金やAl合金等の金属製の蓋体4を溶接接合し、セラミック基体1の凹部1aを覆うことによって、セラミック基体1内部を確実に気密封止できる。従って、外部から水分や酸素等がセラミック基体1と蓋体4との界面を通ってセラミック基体1内部の電解液中に侵入するのをより有効に抑制することができる。
また、図6(a)(b)の電池Cにおいては、蓋体4は、具体的に、Fe−Ni−Co合金やAl合金等の金属、またはアルミナ質焼結体等のセラミックスやエポキシ樹脂等の樹脂などの絶縁体から成り、蓋体4が絶縁体から成る場合は少なくとも下側主面にNi,Al等の金属を蒸着法等によって被着させて成る金属層4aが形成され、蓋体4をAgロウ,Alロウ等のロウ材やAg等の金属を含む樹脂製の導電性接着材を介して接合し、蓋体4の下側主面の金属層4aを第一のメタライズ層1dに電気的に接続するとともに、セラミック基体1の凹部1aを覆うことによって、セラミック基体1内部を気密に封止することにより電池Cとなる。
好ましくは、蓋体4の少なくとも下側主面はアルミニウムから成るのがよい。この構成により、蓋体4が耐腐食性に優れる不動態皮膜を表面に形成することができ、電解液B−4または外部の雰囲気によって腐食されるのを有効に防止し、電池B,C内部の気密信頼性を非常に優れたものとすることができる。
下側主面がアルミニウムから成る蓋体4は、アルミニウムから成る板材や、セラミックスから成る板材の下側主面にアルミニウム層が形成された板材や、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等の板材の下側主面にアルミニウム層が形成されたものであってもよい。また、蓋体4の下側主面の外周部に全周にわたって突条(線状に突出した部位)が形成されるのが好ましい。この突条は、蓋体4がアルミニウムから成る板材であれば、蓋体4をプレス機で打ち抜く際に突条を同時に形成したり、打ち抜き後に所謂コイニング法(被加工物の側方を拘束して肉の逃げ場を限定するとともに凹凸部を型面に形成した金型と被加工材とを重ね合わせて上下から押圧することにより金型の凹凸模様を被加工材の表面に転写する方法)により例えば高さが0.1mm程度で断面が下に凸の三角形状に形成したりすることにより設けられる。
また、蓋体4がFe−Ni−Co合金等の下側主面にアルミニウム層が形成された板材から成るのであれば、これらの金属のインゴットを圧延して、例えば、厚さが0.2〜0.5mmの板材とするときにその表面に例えば厚さが0.1mmのアルミニウム板をクラッド接合し、その後、突条を上記コイニング法により形成することにより設けることができる。
そして、セラミック基体1の上面の凹部1aの周囲に設けられた金属接合用のメタライズ層や枠状部材3または第一のメタライズ層1dの上面にアルミニウム層を形成しておき、これに蓋体4の外周部に形成された突条を当接させて蓋体4を載置し、蓋体4の上面から数十kHz程度の超音波をあてることにより、蓋体4の下面の突条が、セラミック基体1側の上面のアルミニウム層の凹凸に沿って潰れながらセラミック基体1側のアルミニウム層に接合される。このとき、セラミック基体1の上面が反っていたり、うねっていたりする場合においても突条の潰れの大きさが異なることにより接合される。そして、この超音波接合方法によれば電池B,Cの凹部1a内の気密性を損なうことなく、蓋体4を強固に接合することを可能とする。
超音波接合法は、より詳細には例えば次のようにして実施される。すなわち、接合対象物であるセラミック基体1と蓋体4とを先端の下部に振動の媒体となるチップを有するホーン(角状固定台)とアンビル(金敷き)との間にセットし、チップを介して例えば30〜50N程度の圧力を垂直に加えながら15〜30kHzの水平方向の超音波振動を蓋体4の外周に沿って連続的に移動させながら加えることにより行われる。また、チップの形状をライン状として垂直方向の圧力を大きくすることにより、一定長さの接合を短時間で行なう方法であってもよい。
超音波接合法では、超音波振動が印加される初期段階において接合部表面の酸化被膜や汚れが接合部の外側方向に押し出されるとともに、蓋体4およびセラミック基体1側のアルミニウム層のアルミニウム結晶粒同士が原子間距離になるまで接近することによって原子間に相互引力が作用して強固な接合を得る。このとき、通常の金属を溶融接合する方法における金属の融点の1/3以下の温度が局部的に発生するが、この程度の熱であれば電解液B−4がほとんど変質することがなく、よって電池の寿命を長くすることができる。
さらに、超音波接合法によれば、アルミニウム中に他の金属がほとんど拡散することがなく、よって電解液B−4に対してさらに耐腐食性のある接合部を形成することができる。
また、従来用いられていた金属用ケースでは図7に示すように正極缶11と負極缶12とをそれらの周囲をポリプロピレン樹脂等から成るガスケット15を介してかしめることによって一体化しており、このかしめた部位における厚さが正極缶11と負極缶12とセパレータ14とを合わせて2mm前後となっていたのに対して、本発明によれば、かしめる必要がないために厚さを1mm以下にすることができ、携帯機器等の小型化に大きく寄与できるものとなる。
次に、本発明の電気二重層キャパシタ用ケースおよび電気二重層キャパシタB,Cは、上記電池用ケースおよび電池B,Cと同様の構成およびその作用効果を有するものである。
すなわち、図1に示す本発明の電気二重層キャパシタ用ケースは、上面の中央部に凹部1aが形成され、凹部1aの一内側面と底面との間に段差1cが形成されたセラミック基体1と、段差1cの上面に形成された第一のメタライズ層1dと、凹部1aの底面に形成された穴部10の底面に形成された第二のメタライズ層1bと、セラミック基体1の下面に形成された第一の導体層1fおよび第二の導体層1eと、第一のメタライズ層1dから第一の導体層1fにかけて形成された第一の内部導体2d、および第二のメタライズ層1bから第二の導体層1eにかけて形成された第二の内部導体2bとを具備しており、第二のメタライズ層1bの上面から凹部1aの底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層B−5が形成されているものである。
また、図5に示す本発明の電気二重層キャパシタBは、上記本発明の第一の電気二重層キャパシタ用ケースと、樹脂層B−5の上面に載置されて第二のメタライズ層1bに電気的に接続された第一の電極B−1と、第一の電極B−1の上面に電解液B−4を含浸した絶縁シートB−3を介して密着するように載置されるとともに一端部が第一のメタライズ層1dに電気的に接続された第二の電極B−2と、セラミック基体1の上面に凹部1aを覆うとともに第二の電極B−2に当接されて取着された蓋体4とを具備しているものである。
本発明の電気二重層キャパシタ用ケースB,Cは、上述の電池用ケースB,Cと同じ構成を有し、これによって電池用ケースB,Cと同じ作用効果を奏する電気二重層キャパシタ用ケースB,Cとなる。したがって、本発明の電気二重層キャパシタ用ケースの詳細説明は、上述の電池用ケースB,Cと重複するので省略する。
第一の電極B−1および第二の電極B−2は、例えばフェノール樹脂繊維(ノボロイド繊維)を炭化賦活して得られるものであり、賦活はこの繊維を800〜1000℃の高温雰囲気下で高温水蒸気などの賦活ガスに接触させることにより行われ、炭化物中の揮発成分、あるいは炭素原子の一部をガス化し、主に1〜10nmの微細構造を発達させ内部表面積を1×10/kg以上にまでする工程で作製される。本発明の電気二重層キャパシタB,Cは、第一および第二の導体層1d,1eにおける極性はなく、第一の導体層1f側を陽極、第二の導体層1e側を陰極として使用できるし、その逆の極性でも使用できる。
電解液B−4は、例えば6フッ化リン酸リチウム(LiPF)などのリチウム塩や、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート((CNBF)などの第4級アンモニウム塩をプロピレンカーボネート(PC)やスルホラン(SLF)などの溶媒中に溶解したものである。
また、絶縁シートB−3には、例えばガラス繊維やポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂等が用いられる。
そして、電気二重層キャパシタBは、第一のメタライズ層1dの上面に、第一の電極B−1,絶縁シートB−3,第二の電極B−2,蓋体4が互いに密着するように載置し、電解液B−4を注入した後に、Alロウ,Agロウ,Au−Sn半田等を用いたロウ付けや樹脂接着材等を用いた接着等の方法によって基体1の上面に凹部1aを覆うように接合され電気二重層キャパシタB,Cとなる。
なお、本発明は上記実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。例えば、本発明では電池用ケースまたは電気二重層キャパシタ用ケースのセラミック基体1の材質をアルミナ質焼結体として説明したが、窒化アルミニウム質焼結体やガラスセラミックス等の他のセラミックスから成っていてもよく、窒化アルミニウム質焼結体から成る場合には作動時の熱を効率よく外部に放散させることができる電池B,Cまたは電気二重層キャパシタB,Cとできる。
また、1つの凹部1aを有する電池用ケースまたは電気二重層キャパシタ用ケースを用いた電池B,Cまたは電気二重層キャパシタB,Cについて説明したが、複数の凹部1aを有する電池用ケースまたは電気二重層キャパシタ用ケースとしてもよく、その場合、蓋体3は各凹部1aをすべて覆う一枚の蓋体3とするか、またはそれぞれの凹部1aを覆う複数の蓋体3が取着されるようにすればよい。このように複数の凹部1aを有する電池用ケースを用いる場合には、それぞれの凹部1aに作製された電池B,Cまたは電気二重層キャパシタB,Cを並列接続することにより高容量の電池B,Cまたは電気二重層キャパシタB,Cとすることができ、また、直列接続することにより高電圧を供給することができる電池B,Cまたは高耐圧な電気二重層キャパシタB,Cとすることができる。
(a)は本発明の電池用ケースまたは電気二重層キャパシタ用ケースの実施の形態の一例を示す断面図、(b)は(a)の平面図である。 (a)は本発明の電池用ケースまたは電気二重層キャパシタ用ケースの実施の形態の他の例を示す断面図、(b)は(a)の平面図である。 (a)は本発明の電池用ケースまたは電気二重層キャパシタ用ケースの実施の形態の他の例を示す断面図、(b)は(a)の平面図である。 (a)(b)は本発明の電池用ケースまたは電気二重層キャパシタ用ケースの実施の形態の他の例を示す断面図である。 (a)(b)は本発明の電池または電気二重層キャパシタの実施の形態の一例を示す断面図である。 (a)(b)は本発明の電池または電気二重層キャパシタの実施の形態の他の例を示す断面図である。 従来の電池または電気二重層キャパシタの例を示す断面図である。
符号の説明
1:セラミック基体
1a:凹部
1b:第二のメタライズ層
1c:段差
1d:第一のメタライズ層
1e:第二の導体層
1f:第一の導体層
2b:第二の内部導体
2d:第一の内部導体
3:枠状部材
4:蓋体
10:穴部
40:凹所
B:電池または電気二重層キャパシタ
B−1:正電極板または第一の電極
B−2:負電極板または第二の電極
B−3:絶縁シート
B−4:電解液
B−5:樹脂層
C:電池または電気二重層キャパシタ

Claims (8)

  1. 上面の中央部に凹部が形成され、該凹部の一内側面と底面との間に段差が形成されたセラミック基体と、前記段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、前記凹部の底面に形成された穴部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記セラミック基体の下面に形成された第一の導体層および第二の導体層と、前記第一のメタライズ層から前記第一の導体層にかけて形成された第一の内部導体、および前記第二のメタライズ層から前記第二の導体層にかけて形成された第二の内部導体とを具備しており、前記第二のメタライズ層の上面から前記凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする電池用ケース。
  2. 上面の中央部に凹部が形成されたセラミック基体と、該セラミック基体の上面の前記凹部の周囲に形成された第一のメタライズ層と、前記凹部の底面に形成された穴部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記セラミック基体の下面に形成された第一の導体層および第二の導体層と、前記第一のメタライズ層から前記第一の導体層にかけて形成された第一の内部導体、および前記第二のメタライズ層から前記第二の導体層にかけて形成された第二の内部導体とを具備しており、前記第二のメタライズ層の上面から前記凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする電池用ケース。
  3. 請求項1記載の電池用ケースと、前記樹脂層の上面に載置されて前記第二のメタライズ層に電気的に接続された正電極板と、該正電極板の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置されるとともに一端部が前記第一のメタライズ層に電気的に接続された負電極板と、前記セラミック基体の上面に前記凹部を覆うとともに前記負電極板に当接されて取着された蓋体とを具備していることを特徴とする電池。
  4. 請求項2記載の電池用ケースと、前記樹脂層の上面に載置されて前記第二のメタライズ層に電気的に接続された正電極板と、該正電極板の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置された負電極板と、前記凹部を覆うようにして前記セラミック基体の上面に接合されるとともに少なくとも下側主面が導電性とされ、前記負電極板に当接されて電気的に接続された蓋体とを具備していることを特徴とする電池。
  5. 上面の中央部に凹部が形成され、該凹部の一内側面と底面との間に段差が形成されたセラミック基体と、前記段差の上面に形成された第一のメタライズ層と、前記凹部の底面に形成された穴部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記セラミック基体の下面に形成された第一の導体層および第二の導体層と、前記第一のメタライズ層から前記第一の導体層にかけて形成された第一の内部導体、および前記第二のメタライズ層から前記第二の導体層にかけて形成された第二の内部導体とを具備しており、前記第二のメタライズ層の上面から前記凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする電気二重層キャパシタ用ケース。
  6. 上面の中央部に凹部が形成されたセラミック基体と、該セラミック基体の上面の前記凹部の周囲に形成された第一のメタライズ層と、前記凹部の底面に形成された穴部の底面に形成された第二のメタライズ層と、前記セラミック基体の下面に形成された第一の導体層および第二の導体層と、前記第一のメタライズ層から前記第一の導体層にかけて形成された第一の内部導体、および前記第二のメタライズ層から前記第二の導体層にかけて形成された第二の内部導体とを具備しており、前記第二のメタライズ層の上面から前記凹部の底面にかけて導電性粒子を含有する樹脂層が形成されていることを特徴とする電気二重層キャパシタ用ケース。
  7. 請求項5記載の電気二重層キャパシタ用ケースと、前記樹脂層の上面に載置されて前記第二のメタライズ層に電気的に接続された第一の電極と、該第一の電極の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置されるとともに一端部が前記第一のメタライズ層に電気的に接続された第二の電極と、前記セラミック基体の上面に前記凹部を覆うとともに前記第二の電極に当接されて取着された蓋体とを具備していることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  8. 請求項6記載の電気二重層キャパシタ用ケースと、前記樹脂層の上面に載置されて前記第二のメタライズ層に電気的に接続された第一の電極と、該第一の電極の上面に電解液を含浸した絶縁シートを介して密着するように載置された第二の電極と、前記凹部を覆うようにして前記セラミック基体の上面に接合されるとともに少なくとも下側主面が導電性とされ、前記第二の電極に当接されて電気的に接続された蓋体とを具備していることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
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