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JP4876723B2 - 静電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 - Google Patents

静電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェットヘッド等の駆動機構として用いられている静電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法に関するものである。
プリンタなどの液滴吐出方法として、吐出液体を溜めておく吐出室(圧力室ともいう)を流路の一部に備え、吐出室の少なくとも一面の壁(ここでは、底部の壁とし、以下、この壁のことを振動板ということにする)を撓ませて変位させ、吐出室内の圧力を高めて、連通するノズルから液滴を吐出させる方法がある。この場合、可動電極となる振動板を変位させる力として、振動板と対向電極(固定電極)とをギャップを介して対向させてアクチュエータを構成し、それらの間に電圧を印可して発生する静電気力を用いるものが広く知られている。
上記のような静電アクチュエータまたはそれを利用した液滴吐出ヘッドに対しては、吐出特性及び駆動耐久性の安定化が要求されており、その要求を実現する製造プロセスとして、以下の2つが提案されている。
1つは、ボロン拡散によるエッチングストップ技術を用いてシリコン基板に対して振動板を高精度に形成するプロセスであり、もう一つは、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)等によるアクチュエータ内疎水化処理にて各電極部(共通電極部、固定電極部)に疎水化膜を形成し、駆動耐久性の高い振動板を形成するプロセスである。
前記1つ目の振動板形成プロセスにおいてシリコン基板にボロンを拡散させる方法としては、液体のボロン拡散ソースを用いた方法(例えば、特許文献1参照)や、固体のボロン拡散ソースを用いた方法(例えば、特許文献2参照)がある。
特開2004−82572号公報 特開2004−306444号公報
上記従来のボロン拡散方法を用いてシリコン基板にボロン拡散を行った後、所定部分にエッチングを施すことにより振動板を形成するが、そのエッチングに先立ち、エッチングマスクとなるSiO2 膜をシリコン基板表面に熱酸化により形成するようにしている。また、キャビティ基板の最終形態としてインク流路部のインク保護膜とアクチュエータ側の絶縁膜にSiO2 膜をシリコン基板表面に熱酸化により形成するようにしている。SiO2 膜を形成するときの熱酸化の温度は1000℃以上と高温であるため、シリコン基板内に拡散されていたボロン拡散時のボロン拡散源に含まれていた金属不純物、例えばRh(ロジウム)が基板表面(ボロン拡散面側)に析出し、Si結晶欠陥が発生するという問題があった。
このように基板表面に金属不純物が析出すると、絶縁膜となるSiO2 膜を形成する際に、その金属不純物が酸化の妨げとなって当該部分のSiO2 膜(絶縁膜)が薄く形成され、Si結晶欠陥部(金属不純物析出部)の絶縁耐圧が低下し、駆動時に、その部分を起点とする放電が発生する。その結果、アクチュエータ内に形成されたHMDSから成る疎水化膜、ギャップ内浮遊物質(未反応HMDS,NH3,中間生成物)の結合の手が破断され、アクチュエータ内に重合物質が生成・成長し、この重合物質がアクチュエータ内に積層して振動板の動作を阻害し、吐出特性及び駆動耐久性を著しく低下させてしまうという課題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、金属不純物の析出を抑えて吐出特性及び駆動耐久性の高い静電アクチュエータを製造することが可能な静電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、ボロン拡散源を用いてSi基板の一方の面にボロンドープ層を形成する工程と、ボロンドープ層を形成した後に、熱酸化処理によりSi基板にSiO 2 膜を形成する工程とを有し、エッチングストップ技術によりボロンドープ層を振動板として形成する静電アクチュエータの製造方法において、ボロン拡散源、B23を主成分とし、Rh含有量0.44ppm以下としたものである。
また、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、ボロン拡散源を用いてSi基板の一方の面にボロンドープ層を形成する工程と、ボロンドープ層を形成した後に、熱酸化処理により前記Si基板にSiO 2 膜を形成する工程とを有し、エッチングストップ技術によりボロンドープ層を振動板として形成する静電アクチュエータの製造方法において、ボロン拡散源、B23を主成分とし、Ni含有量:2.0ppm以下,Cu含有量:0.5ppm以下,Rh含有量:0.40ppm以下,Fe含有量:2.0ppm以下,Cr含有量:2.0ppm以下,Zn含有量:2.0ppm以下としたものである。
以上のボロン拡散源を用いてボロンドープ層を形成することにより、Si結晶欠陥発生を抑制し(Si結晶欠陥部のSiO2 膜(絶縁膜)の絶縁耐圧低下の抑制)、振動板動作時の電荷の移動(放電)を抑制することが可能で、安定した振動板動作特性及び駆動耐久性(信頼性)を有する静電アクチュエータを得ることができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記の何れかに記載の静電アクチュエータの製造方法を適用して液滴吐出ヘッドを製造するものである。
これにより、安定した吐出特性及び駆動耐久性(信頼性)を有する液滴吐出ヘッドを得ることができる。
本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造するものである。
これにより、安定した吐出特性及び駆動耐久性(信頼性)を有する液滴吐出装置を得ることができる。
以下、本発明の静電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドの実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、液滴吐出ヘッドの一例として、ノズル基板の表面に設けられたインクノズルからインク液滴を吐出するフェイス吐出型のインクジェットヘッドについて図1乃至図3を参照して説明する。なお、本発明は、以下の図に示す構造、形状に限定されるものではなく、基板の端部に設けられたインクノズルからインク液滴を吐出するエッジ吐出型のインクジェットヘッドにも適用できるものである。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係るインクジェットヘッドの概略構成を分解して示す分解斜視図であり、一部を断面で表してある。図2は、組み立てられた状態の概略構成を示すインクジェットヘッドの断面図である。図3は、このインクジェットヘッドにおける、静電アクチュエータ部の幅方向の拡大断面図である。なお、図1および図2では、通常使用される状態とは上下逆に示されている。
本実施の形態1のインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッドの一例)10は、図1および図2に示すように、複数のインクノズル(ノズル孔)11が所定のピッチで設けられたノズル基板1と、各インクノズル11に対して独立にインク供給路が設けられたキャビティ基板2と、キャビティ基板2の振動板22に対峙して個別電極31が配設された電極基板3とを貼り合わせることにより構成されている。
本実施の形態1における静電アクチュエータは、弾性変形可能な一方の対向部材である上記振動板22と、この振動板22にSiO2 膜(絶縁膜)26aおよび一定の間隙(ギャップ)Gを介して対向配置された他方の対向部材である上記個別電極31と、これら個別電極31と振動板22との間に駆動電圧を印加し静電気力を発生させる駆動制御回路4とを備え、さらに図2及び図3に示すように、振動板22の下面に形成されたSiO2 膜(絶縁膜)26aの表面及び個別電極31の表面にはヘキサメチルジシラザン(HMDS)で構成された疎水化膜29が形成されている。
以下、このインクジェットヘッド10を構成する各基板の構成について説明する。
ノズル基板1は、例えば厚さ100μmのシリコン基板から作製されており、複数のインクノズル11が形成されている。各インクノズル11には、図2に示すように、ノズル基板1の表面に対して垂直な筒状の噴射口部分11aと、噴射口部分11aと同軸上に設けられ噴射口部分11aよりも径(あるいは横断面積)の大きい導入口部分11bとが設けられている。このようにインクノズル11を2段の孔を持つ構造とすることにより、インク液滴の吐出方向をインクノズル11の中心軸方向に揃えることができ、安定したインク吐出特性を発揮させることができる。すなわち、インク液滴の飛翔方向のばらつきがなくなり、またインク液滴の飛び散りがなく、インク液滴の吐出量のばらつきを抑制することができる。
また、ノズル基板1の図2において下面(キャビティ基板2との接合側の面)にはインク流路の一部を形成する細溝状のオリフィス13が設けられている。
キャビティ基板2は、例えば厚さ180μmのSi基板から作製されている。このシリコン基板に異方性ウェットエッチングを施すことにより、インク流路のインク室(吐出室)21およびリザーバ23を構成するための凹部24、25が形成される。凹部24は前記インクノズル11に対応する位置に独立に複数形成される。したがって、図2に示すようにノズル基板1とキャビティ基板2を接合した際、各凹部24はインク室21を構成し、それぞれインクノズル11に連通しており、またインク供給口である前記オリフィス13ともそれぞれ連通している。そして、インク室21(凹部24)の底壁が前記振動板22となっている。なお、この振動板22はシリコン基板に高濃度のボロンを所要の厚さで拡散することにより形成したボロンドープ層により構成されている。振動板22をボロンドープ層で構成することにより、ボロンドープ層の面でエッチングストップが十分に働くため、振動板22の面荒れを抑制でき、かつその厚さを高精度に加工することができる。ここで、本発明は、ボロンドープ層を形成する際に用いる拡散源に特徴を有するものであり、その詳細については後述する。
他方の凹部25は、液状材料のインクを貯留するためのものであり、各インク室21に共通のリザーバ(共通インク室)23を構成する。そして、リザーバ23(凹部25)はそれぞれオリフィス13を介して全てのインク室21に連通している。また、リザーバ23の底部には後述する電極基板3を貫通する孔が設けられ、この孔のインク供給孔34を通じて図示しないインクカートリッジからインクが供給されるようになっている。
また、キャビティ基板2の全面もしくは少なくとも電極基板3と対向する面には熱酸化やCVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリングによりSiO2 膜(絶縁膜)26aが膜厚0.1μmで施されている。このSiO2 膜(絶縁膜)26aは、インクジェットヘッドを駆動させた時の絶縁破壊や短絡を防止する目的で設けられる。さらに、このSiO2 膜(絶縁膜)26aの表面には、疎水化膜29が形成されている。
キャビティ基板2の上面すなわちノズル基板1と対向する面(インク室21、リザーバ23の内面を含む)には、SiO2 膜(インク保護膜)26bが形成されている。このSiO2 膜(インク保護膜)26bは、インクにより流路の腐食を防ぐために設けられている。
電極基板3は、例えば厚さ約1mmのガラス基板から作製される。中でも、キャビティ基板2のシリコン基板と熱膨張係数の近い硼珪酸系の耐熱硬質ガラスを用いるのが適している。これは、電極基板3とキャビティ基板2を陽極接合する際、両基板の熱膨張係数が近いため、電極基板3とキャビティ基板2との間に生じる応力を低減することができ、その結果剥離等の問題を生じることなく電極基板3とキャビティ基板2を強固に接合することができるからである。なお、電極基板3にはキャビティ基板2と同じ材料のシリコン基板を用いてもよい。
電極基板3には、キャビティ基板2の各振動板22に対向する面の位置にそれぞれ凹部32が設けられている。凹部32は、エッチングにより深さ約0.2μmで形成されている。そして、各凹部32内には、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極31が、例えば0.1μmの厚さでスパッタにより形成されている。また、ギャップGの開放端部は、例えばSiO2 やエポキシ接着剤等からなる封止材27によって気密に封止される。これにより、湿気や塵埃等がギャップへ侵入するのを防止することができ、インクジェットヘッド10の信頼性を高く保持することができる。なお、個別電極31の表面にもHMDSからなる疎水化膜29が形成されている(図2及び図3参照)。
個別電極31は、リード部31aと、フレキシブル配線基板(図示せず)に接続される端子部31bとを有する。端子部31bは、フレキシブル配線基板の接続を容易にするためにキャビティ基板2の後端部が開口された電極取り出し部35内に露出している。
次に、以上のように構成されるインクジェットヘッド10の動作を説明する。
駆動制御回路4は、個別電極31に電荷の供給および停止を制御する発振回路である。この発振回路は例えば24kHzで発振し、個別電極31に例えば0Vと30Vのパルス電位を印加して電荷供給を行う。発振回路が駆動し、個別電極31に電荷を供給して正に帯電させると、個別電極31と振動板22間に静電気力(クーロン力)が発生する。したがって、この静電気力により振動板22は個別電極31に引き寄せられて撓む(変位する)。これによってインク室21の容積が増大する。そして、個別電極31への電荷の供給を止めると振動板22はその弾性力により元に戻り、その際、インク室21の容積が急激に減少するため、そのときの圧力によりインク室21内のインクの一部がインク液滴としてインクノズル11より吐出する。振動板22が次に同様に変位すると、インクがリザーバ23からオリフィス13を通じてインク室21内に補給される。
なお、インクジェットヘッド10で使用されるインクとしては、水、アルコール等の主溶媒にエチレングリコール等の界面活性剤と、染料または顔料とを溶解または分散させることにより調製される。
次に、図4〜図6を参照して実施の形態1に係る静電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドの製造工程を説明する。図4は、キャビティ基板の製造工程図、図5は、ボロン拡散方法図、図6は、図4に続く液滴吐出ヘッドの製造工程図である。ここでは、B23を主成分としたボロン拡散源を用いて、2μmの振動板を形成する場合について詳細に説明する。
(a)先ず、(110)を面方位とするSi基板41の両面(Cav面41a、Dope面41b)を鏡面研磨し、180μmの厚みの基板を作製する。
(b)Si基板41を熱酸化炉にセットし、酸素及び水蒸気雰囲気中で摂氏1100℃、4時間で熱酸化処理を施し、Si基板41のCav面41a及びDope面41bに酸化膜(SiO2)42を1.2μm成膜する。
(c)次いで、ボロンドープ層を形成するDope面41bの酸化膜42を剥離するため、Si基板41のCav面41aにレジストをコートし、レジストを保護膜としてDope面41bの酸化膜42をフッ酸水溶液にてエッチング除去し、エッチング後、レジストを剥離する。
(d)次に、Si基板41のボロンドープ層を形成するDope面41bにボロンをドープする。すなわち、図5に示すように、固体の拡散源51を、材質がSiCの支持基板52と重ねて石英ボート54にセットし、拡散源51と2.5mm隔てて、Dope面41bと拡散源51を対向させてセットする。Si基板41の上方にボロンの回り込みを防止するためにダミーシリコン基板53をセットする。縦型炉に石英ボート54をセットし、炉内を窒素雰囲気にし、温度を摂氏1100℃に上昇させ、そのまま温度を6時間保持し、ボロンをSi基板41中に拡散させ、ボロンドープ層43を形成する。
ボロンドープ層43のSi基板41のDope面41bにはボロン化合物が形成されるが(図示なし)、酸素及び水蒸気雰囲気中、摂氏600℃の条件で1時間30分酸化することで、フッ酸水溶液によるエッチングが可能なB23+SiO2に化学変化させることができる。B23+SiO2に化学変化させた状態で、Cav面41aにレジストをコートし、レジストを保護膜としてB23+SiO2をフッ酸水溶液にてエッチング除去し、エッチング後、レジストを剥離する。
ここで、本発明では、Si基板41の表面(Dope面41b)に金属不純物が析出されるのを防止することを目的に、金属不純物含有量を制限した拡散源51を用いている。具体的にはB23を主成分とし、金属不純物含有量をNi含有量:2.0ppm以下,Cu含有量:0.5ppm以下,Rh含有量:0.44ppm以下,Fe含有量:2.0ppm以下,Cr含有量:2.0ppm以下,Zn含有量:2.0ppm以下と規定した固体の拡散源を用いている。かかる拡散源51を用いることにより、後工程の高温の熱プロセス(後述の(e)工程と(i)工程)を行っても、金属不純物の析出が防止可能となっている。
(e)次に、Si基板41を熱酸化炉にセットして酸素及び水蒸気雰囲気にし、摂氏1100℃の温度で4時間熱酸化処理を施し、Si基板41の表面に1.2μmのSiO2膜44を形成する。
(f)そして、そのSi基板41の両面にレジストをコーティングし、Cav面41a側に吐出室等を作り込むためのレジスト45をパターニングする。
(g)レジスト45をパターニングしたCav面41aをフッ酸水溶液でエッチングしてSiO2膜44をパターニングし、その後、Si基板41の両面のレジスト45を剥離する。これにより、SiO2膜44においてレジストがコーティングされていた部分が残留し、次の(h)のエッチング工程のマスクパターンとなる。
(h)そのマスクパターンを有するSi基板41を35wt%の高濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、Siエッチングを行い、エッチング部Si厚みが10μmになるまでエッチング継続する。その後は、Si基板41を3wt%の低濃度の水酸化カリウム水溶液に浸してSiエッチングを行い、ボロンドープ層43に達した時エッチングがストップしてボロンドープ層43が残留する。このボロンドープ層43の厚みは2μmで、振動板22となる。
(i)そして、Si基板41に残留したSiO2膜44をフッ酸水溶液でエッチング除去し、その後、Si基板41の表面に熱酸化(摂氏1000℃,5時間)によって、0.1μmのSiO2膜(絶縁膜)26aとSiO2膜(インク保護膜)26bを形成する。
以上の工程により、キャビティ基板2が形成される。
(j)そして、ホウ珪酸ガラス基板において振動板22に対向する位置に凹部32が設けられ、その凹部32底面にITOからなる個別電極31が形成された電極基板3とキャビティ基板2を陽極接合し、その後、静電アクチュエータ内を、例えば特開平11−115189号公報等に開示されるような、従来公知の方法でHMDS処理,封止を行い、疎水化膜29を形成する。
(k)その後、ノズル穴等形成されたノズル基板1を接着剤等にてキャビティ基板2上に接合し、ヘッドチップ単位に切断する。
ここで、本発明では、ボロンドープ層43の形成に際し、上述したように、B23を主成分とし、金属不純物含有量が規定された(Ni含有量:2.0ppm以下,Cu含有量:0.5ppm以下,Rh含有量:0.44ppm以下,Fe含有量:2.0ppm以下,Cr含有量:2.0ppm以下,Zn含有量:2.0ppm以下)固体の拡散源51(4インチ、厚さ2mm)を用いている。前記規定された金属不純物含有量において、Rh含有量のみ変化させた固体の拡散源51を用いて、上記(e)のパターニング用熱酸化膜形成工程と、上記(i)の熱酸化による絶縁膜形成工程を実施し、金属不純物析出によるSi結晶欠陥及び重合物質発生による振動板動作阻害発生有無、吐出評価の実験を行った。各実験水準における評価ウェハ枚数は各n=13枚ずつで実施し、その結果を図7に示す。Rh含有量0.44ppm以下(実験水準(1)、(2)、(3))においては、金属不純物析出によるSi結晶欠陥及び重合物質発生による振動板動作阻害は発生しないことが確認された。このように、金属不純物の析出が見られず、Si結晶欠陥の無いシリコン基板では、Si結晶欠陥部のSiO2 膜(絶縁膜)の絶縁耐圧低下といった問題が生じないため、振動板当接・離脱時の電荷の移動(放電)を防止することが可能である。したがって、HMDSからなる疎水化膜29、ギャップ内浮遊物質(未反応HMDS,NH3 ,中間生成物)の結合の手が破断されることによる重合物質の生成・成長を防止することができ、重合物質による振動板動作の阻害といった問題を回避することができる。また、上記拡散源51を用いてボロンドープ層43が形成されたキャビティ基板2を用いて製造された液滴吐出ヘッドの吐出能力検査においても、正常吐出が確認された。
これに対して、これに対して、Rh含有量0.90ppm以上(実験水準(4)、(5))においては、金属不純物析出(ここではRhが析出)によるSi結晶欠陥及び重合物質発生による振動板動作阻害の発生が確認され、吐出能力検査においても正常吐出が行えないことが確認された。
以上に説明したように、本実施の形態1によれば、ボロン拡散源内の金属不純物含有量を制限することによって、Si結晶欠陥発生を抑制し(Si結晶欠陥部のSiO2 膜(絶縁膜)の絶縁耐圧低下の抑制)、振動板当接・離脱時の電荷の移動(放電)を抑制することが可能である。従って、HMDSからなる疎水化膜29、ギャップ内浮遊物質(未反応HMDS,NH3,中間生成物)の結合の手が破断されることによる重合物質の生成・成長を防止することができる。よって、重合物質による振動板動作の阻害といった問題を回避することが可能となり、安定した吐出特性及び駆動耐久性(信頼性)を有する静電アクチュエータ及びインクジェットヘッドを得ることができる。
なお、本例では、ボロン拡散源が固体の場合を例に説明したが、液体のボロン拡散源の場合であっても同様に上記効果を有することが可能である。
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1におけるボロン拡散後の熱酸化プロセス{図4(e),(i)}を、CVD又はスパッタリングによって、低温(400℃以下)でSiO2膜を形成するようにしたものである(図示省略)。
このように低温での熱酸化プロセスを採用することにより金属不純物析出自体を抑えることができ、更なる品質安定化を図ることが可能となる。
実施の形態3.
図8は、上述の実施の形態1,2で製造した静電アクチュエータを適用した液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置の一例を示す図で、図8では、特にインクを吐出するインクジェット記録装置の例で示している。図8に示されるインクジェット記録装置100は、インクジェットプリンタであり、実施の形態1又は2の静電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッド10の何れかを搭載している。このため、安定した吐出特性及び駆動耐久性(信頼性)を備え、安定して高品質の印字が可能なインクジェット記録装置100を得ることができる。
なお、実施の形態1又は2の静電アクチュエータは、液滴吐出ヘッドの他、ミラーデバイス等のアクチュエータにも適用できる。また、実施の形態1又は2の静電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッド10は、図8に示すインクジェットプリンタの他に、吐出する液体を種々変更することで、カラーフィルタのマトリクスパターンの形成、有機EL表示装置の発光部の形成、生体液体試料の吐出等を行う液滴吐出装置にも適用することができる。
実施の形態1に係る静電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドの分解図。 吐出室の部分を長手方向に割断した部分の断面図。 図3の静電アクチュエータ部の幅方向の拡大断面図。 図1の液滴吐出ヘッドの製造工程図。 ボロン拡散方法の説明図。 図4に続く液滴吐出ヘッドの製造工程図。 ボロン拡散源内の金属不純物含有による吐出影響実験結果を示す図。 実施の形態1の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置の概略構成図。
符号の説明
1 ノズル基板、 2 キャビティ基板、 3 電極基板、 4 駆動制御回路、 10 インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)、 11 インクノズル、 13 オリフィス、 21 インク室、 22 振動板、 23 リザーバ、 26a SiO2膜(絶縁膜)、26b SiO2膜(インク保護膜)、27 封止材、 29 疎水化膜、 31 個別電極、 32 凹部、 34 インク供給孔、 35 電極取り出し部、 41 シリコン基板、 41a Cav面、 41b Dope面、 42 酸化膜、 43 ボロンドープ層、 44 SiO2膜、 45 レジスト、51 拡散源、 52 支持基板、 53 ダミーシリコン基板、 54 石英ボート。

Claims (4)

  1. ボロン拡散源を用いてSi基板の一方の面にボロンドープ層を形成する工程と、前記ボロンドープ層を形成した後に、熱酸化処理により前記Si基板にSiO 2 膜を形成する工程とを有し、エッチングストップ技術により当該ボロンドープ層を振動板として形成する静電アクチュエータの製造方法において、
    記ボロン拡散源、B23を主成分とし、Rh含有量が0.44ppm以下であることを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  2. ボロン拡散源を用いてSi基板の一方の面にボロンドープ層を形成する工程と、前記ボロンドープ層を形成した後に、熱酸化処理により前記Si基板にSiO 2 膜を形成する工程とを有し、エッチングストップ技術により当該ボロンドープ層を振動板として形成する静電アクチュエータの製造方法において、
    記ボロン拡散源、B23を主成分とし、Ni含有量:2.0ppm以下,Cu含有量:0.5ppm以下,Rh含有量:0.40ppm以下,Fe含有量:2.0ppm以下,Cr含有量:2.0ppm以下,Zn含有量:2.0ppm以下であることを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の静電アクチュエータの製造方法を適用して液滴吐出ヘッドを製造することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  4. 請求項記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
JP2006164339A 2006-06-14 2006-06-14 静電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 Expired - Fee Related JP4876723B2 (ja)

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