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JP4864318B2 - 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物 - Google Patents

室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物 Download PDF

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JP4864318B2 JP2004378885A JP2004378885A JP4864318B2 JP 4864318 B2 JP4864318 B2 JP 4864318B2 JP 2004378885 A JP2004378885 A JP 2004378885A JP 2004378885 A JP2004378885 A JP 2004378885A JP 4864318 B2 JP4864318 B2 JP 4864318B2
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Description

本発明は、室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に係わり、さらに詳しくは、湿気の存在しない密封条件下では安定であり、空気中の水分と接触することにより室温で硬化してゴム状弾性体を生じる室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に関する。特に、優れた難燃性を有し、硬化性および貯蔵安定性が良好な室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に関する。
室温で硬化しゴム状弾性体を生成するポリオルガノシロキサン組成物の中で、空気中の水分と接触することにより硬化反応が生起するタイプの室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、使用直前に本体であるベースポリマーや架橋剤、触媒などを秤量したり、混合したりする煩雑さが無く、配合上のミスを生じることがないうえに、接着性に優れているので、電気・電子工業などにおける弾性接着剤やコーティング材として、また建築用シーリング材などとして広く用いられている。
一般に、このような組成物は、分子末端が水酸基で閉塞されたシラノール基末端ポリジオルガノシロキサンに、分子中に2個を超える数の加水分解性基を有する架橋剤などを配合したものから成り、硬化の際に、架橋剤の種類に応じて酢酸などのカルボン酸、有機アミン、アミド、有機ヒドロキシルアミン、オキシム化合物、アルコール、アセトンなどを放出する。特に、接着剤、コーティング材などの目的で室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させてゴム状弾性体とする場合には、脱オキシム型、脱アセトン型、脱アルコール型のものが用いられることが多い。
一方、末端のケイ素原子にアルコキシ基の結合したポリオルガノシロキサン、アルコキシシラン、および硬化触媒から成る1包装型(1成分型)の室温硬化性組成物が、近時用いられるようになってきている。末端のケイ素原子にアルコキシ基の結合したポリオルガノシロキサンは、末端が水酸基であるポリオルガノシロキサンと比較して、保存安定性が良好で硬化も速いという特長を備えている。このような速硬化性の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、接着剤やコーティング材として特に有用である。
また近年、電化製品をはじめとするあらゆる分野で、製品の安全性が重要視されており、難燃性や耐熱性のさらなる向上が望まれている。このような状況下で、難燃性を有するシール材の要求が高まっている。
従来から、シリコーン系のポリマー難燃性を付与するために多種類の材料が見出されている。難燃性付与材料として、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化チタン、二酸化ケイ素のような充填剤、および白金化合物のような貴金属化合物やトリアゾール、カルボン酸アミド、塩化アンモニウムなどの少量添加物が提案されている。
これらの難燃性付与材料の中でも、経済性および難燃性付与の効果の点で、炭酸亜鉛が有用である。しかし、一般に充填剤として配合される炭酸亜鉛は、
構造式:2ZnCO・3Zn(OH)・HOを有しており、含まれる水分に起因する貯蔵安定性の低下が生じている。そのため、加熱による脱水を行っても、十分に貯蔵安定性を改善することができないなどの問題を有している。
このような問題解決のために、発明者らは鋭意検討を行った結果、水酸基並びに結晶水を含まず、高純度で難燃性付与効果があり、炭酸ガスを効率良く発生する炭酸亜鉛を用いることにより、難燃性に優れ硬化性および貯蔵安定性に優れた組成物を提案した。(例えば、特許文献1参照)
しかしながら、一般にシール剤にこのような難燃性付与効果のある充填剤を配合した場合には、接着界面において硬化したシール剤の剥離または薄層破壊が生じやすく、接着性の低下を引き起こしやすいという問題があった。特に、電気・電子用途として、テレビのブラウン管の偏向ヨークの位置決めなどに使用されている、いわゆるくさび状部材に供されるゴム類、ベースに供されるポリブチレンテレフタレート樹脂のようなエンジニアリングプラスチック類、およびパーソナルコンピューターをはじめとするOA機器に供される耐熱性・難燃性ゴム類に対する接着性が十分でなかった。
また、難燃性のレベルに関しても要求値が年々高くなってきており、さらに前記用途に使用されるシール剤の硬化物に対して、部材の収縮などによる変化にある程度追従できる弾性が要求されるなど課題が多かった。
特開2000-38507号
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、難燃性がさらに向上し、かつゴムおよびエンジニアリングプラスチックなどの難接着性部材に対する接着性および部材の変化に対するシール剤の追従性が改善された室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究した結果、比較的粒子径の大きい高純度の炭酸亜鉛を使用することにより、難接着性部材であるゴムおよびエンジニアリングプラスチックに対する接着性が改善されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、(A2)分子中に2個以上のアルコキシ基を有し、25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであり、かつ一般式:
Figure 0004864318
(式中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい非置換の、あるいはハロゲンまたはシアノ基置換の1価の炭化水素基を表し、Rは―ZSiR 3−pを表す。ここで、Zは酸素および/または2価の炭化水素基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよい非置換の、あるいはハロゲンまたはシアノ基置換の1価の炭化水素基を表し、Xはアルコキシ基を表し、pは1〜3の整数である。また、nは該(A2)成分の25℃における粘度を20〜1,000,000mPa・sにする数である。)で示されるポリジオルガノシロキサンと、
一般式:R 4−qSiY
(式中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい非置換の、あるいはハロゲンまたはシアノ基置換の1価の炭化水素基を表し、Yはアルコキシ基を表す。またqは、平均2を超え、4以下の数である。)で示される架橋剤とから成るポリオルガノシロキサンを含む室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、
前記(A2)成分である(A)ポリオルガノシロキサン100重量部に対して、
(B)硬化触媒0.5〜15重量部と、
(C)加熱による重量減少率が33〜36%であり、熱分解する際の炭酸ガス発生による重量減少率が30〜35%であり、かつ平均粒子径がFISHER法による測定で1.0〜4.0μmである炭酸亜鉛5〜50重量部と、
難燃性添加剤として、(D1)白金系化合物またはその錯化合物と、該(D1)白金系化合物またはその錯化合物の金属原子に対して10〜60倍モル量の(D2)イソシアヌレート化合物
をそれぞれ含有することを特徴とする。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、湿気の存在しない密封条件下では安定であり、特に貯蔵安定性に優れている。そして、空気中の水分と接触することにより室温で硬化し、優れた難燃性と接着性を有するゴム状弾性体が得られる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係わる室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の実施形態は、(A)(A1)分子中にケイ素官能基として平均2個を超える数の加水分解性基を有するケイ素官能性ポリジオルガノシロキサン、および/または(A2)分子中に2個以上のケイ素官能基を有するケイ素官能性ポリジオルガノシロキサンと架橋剤とから成るポリオルガノシロキサンを含む室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、(A)ポリオルガノシロキサン100重量部に対して、(B)硬化触媒0.5〜15重量部と、(C)加熱による重量減少率が33%以上であり、かつ熱分解する際の炭酸ガス発生による重量減少率が30〜35%である炭酸亜鉛1.0〜100重量部がそれぞれ含有されている。
本発明において、ベースポリマーとして用いられる(A)ポリオルガノシロキサンは、ケイ素官能基を有する(A1)成分および/または(A2)成分と架橋剤とを組合わせたものからなり、(A1)成分は、それ自体が後述する(B)成分の触媒作用により架橋反応を起こし硬化する。また、(A2)成分と架橋剤とを組合わせたものは、(B)成分の触媒作用により(A2)成分と架橋剤とが架橋反応を起こして硬化する。いずれの場合も、反応は加水分解反応とそれに続く縮合反応であり、空気中の水分の存在で反応が進行する。
本発明の実施形態に用いられる(A1)成分および(A2)成分は、代表的には、下記の一般式:
Figure 0004864318
で表される実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンである。
式中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、Rは−ZSiR 3−pを表す。ここで、Zは酸素および/または2価の炭化水素基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基であるアルコキシ基を表し、pは1〜3の整数である。また、nは当該(A)成分である(A1)成分または(A2)成分の25℃における粘度を20〜1,000,000mPa・sにする数である。
このように、末端基Rは、ケイ素官能基である加水分解性基Xを少なくとも1個有するケイ素官能性シロキシ単位であり、(A1)成分および(A2)成分は、分子の両末端にそれぞれ加水分解性基Xを少なくとも1個有する。
は、互いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシール基、オクチル基、デシール基、ドデシール基のようなアルキル基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基のようなアラルキル基が例示され、さらにこれらの炭化水素基の水素原子の一部が他の原子または基で置換されたもの、すなわちクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン化アルキル基;3−シアノプロピル基のようなシアノアルキル基などの置換炭化水素基が例示される。合成が容易であり、かつ(A)成分が分子量の割に低い粘度を有し、硬化前の組成物に良好な押し出し性を与えること、および硬化後の組成物に良好な物理的性質を与えることから、全有機基の85%以上がメチル基であることが好ましく、実質的にすべての有機基がメチル基であることがより好ましい。
一方、特に耐熱性、耐放射線性、耐寒性または透明性を組成物に付与する場合には、Rの一部として必要量のフェニル基を、耐油性、耐溶剤性を付与する場合には、Rの一部として3,3,3−トリフルオロプロピル基や3−シアノプロピル基を、また塗装適性を有する表面を付与する場合には、Rの一部として長鎖アルキル基やアラルキル基を、それぞれメチル基と併用するなど、目的に応じて任意に選択することができる。
末端基Rにおいてケイ素原子に結合するRは、互いに同一でも異なっていてもよく、またRと同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基であり、Rと同様なものが例示される。合成が容易で、加水分解性基Xの反応性が優れていることから、メチル基またはビニル基が好ましい。また、Zは、互いに同一でも異なっていてもよく、酸素原子ならびにメチレン基、エチレン基、トリメチレン基のようなアルキレン基;フェニレン基等の2価の炭化水素基が例示される。合成が容易なことから、酸素原子およびエチレン基が好ましく、酸素原子が特に好ましい。
Xは、末端基Rに少なくとも1個存在するケイ素官能基、すなわち加水分解性基であるアルコキシ基である。このようなXとしては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のようなアルコキシ基;2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基のような置換アルコキシ基;イソプロペノキシ基のようなエノキシ基、メチルエチルケトオキシム基のようなケトキシマト基、アセトキシ基などが例示され、互いに同一でも異なっていてもよい。合成の容易さ、硬化前の組成物の物性、保存中の安定性、硬化性、経済性、および広範囲の用途に用いられることから、アルコシキ基およびケトキシマト基が好ましい。
さらに、末端基Rにおけるケイ素官能基Xの数pは、1〜3個であることが好ましい。そのうち、架橋剤を配合する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に用いる(A2)成分としては、合成が容易で、各種の架橋剤と組み合わせて用いられることから、Xが水酸基でpが1のものが好ましい。このようなケイ素官能性ポリジオルガノシロキサンは、例えば、オクタメチルシクロシロキサンのような環状ジオルガノシロキサン低量体を、水の存在下に酸性触媒またはアルカリ性触媒によって開環重合または開環共重合させ、得られる直鎖状ポリジオルガノシロキサンの末端にケイ素原子に結合する水酸基を導入することにより得ることができる。
Xが加水分解性基のものは、例えば、末端に水酸基を有するポリオルガノシロキサンに、2個以上の任意の加水分解性基を有するシランを縮合させることによって合成することができる。この場合、シランの有する加水分解性基は、縮合反応によって1個が消費されるので、反応によって得られるポリオルガノシロサンの末端基RにおけるXの数pは、用いられる加水分解性基含有シランが有するXの数よりも1個少なくなる。
また、硬化前の組成物に適度の押出し性を付与するとともに、硬化後のゴム状弾性体に優れた機械的特性を与えるために、(A)成分(すなわち(A1)成分あるいは(A2)成分)を表す一般式におけるnは、当該(A)成分の25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sになるように選択される。(A)成分の粘度が20mPa・s未満では、硬化後のゴム状弾性体の伸びが十分でなく、一方1,000,000mPa・sを超えると、均一な組成物が得にくく、押出し作業性も低下する。硬化前および硬化後の組成物に要求される性質をバランスよく調和させるために、特に好ましい粘度は500〜200,000mPa・sの範囲である。
架橋剤を用いなくとも硬化するタイプの室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物においては、(A)成分すなわち(A1)成分中のXが架橋手段となり、架橋剤がなくても架橋反応が進行し、硬化してゴム状弾性体を生じる。好ましいXは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のようなアルコキシ基;アセトキシ基のようなアシロキシ基;およびメチルエチルケトオキシム基のようなケトキシマト基である。このような(A1)成分をベースポリマーとして使用することにより、硬化前の組成物が安定化されるとともに、優れた硬化性が得られる。
また、架橋剤を用いて硬化させるタイプの室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物においては、(A)成分として(A2)成分を架橋剤と組み合わせて用いることにより、架橋構造を形成させる。(A2)成分としては、Xが水酸基であるか、pが1(すなわち、分子中に水酸基および/または上記と同様の加水分解性基である2個のXを有する)のものを用いることができる。
架橋剤としては、水および硬化触媒の存在下に(A)成分(すなわち(A2)成分)中のケイ素官能性基Xと反応し、組成物を硬化させるためのケイ素官能性基を有するケイ素化合物および/またはその部分加水分解縮合物が用いられる。
この架橋剤は、一般式:R 4−qSiY
(式中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、Yは加水分解性基を表す。またqは、平均2を超え4以下の数である。)で示される。
としては、(A)成分のケイ素原子に直接結合した有機基Rと同様な基を例示することができ、入手のしやすさと優れた架橋反応速度が得られることから、メチル基またはビニル基が好ましい。また、加水分解反応性基Yとしては、(A)成分の末端基に存在するXとして挙げられたものと同様のものが例示される。
このような架橋剤の例としては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなアルコキシ基含有化合物;テトラキス(2−エトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニル(2−エトキシエトキシ)シラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランおよびそれらの部分加水分解縮合物のような置換アルコキシ基含有化合物;メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルビニルジイソプロペノキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなエノキシ基含有化合物;メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシム)シランおよびそれらの部分加水分解物のようなケトキシマト基含有化合物;メチルトリアセトキシシランおよびそれらの部分加水分解物のようなアシロキシ基含有化合物などが例示される。これらのうち、qが2であるシランは、qが3または4であるシランと併用される。
合成が容易で、組成物の保存安定性を損なうことがなく、しかも大きな架橋反応速度すなわち大きな硬化速度が得られることから、これらの架橋剤のうちで、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリアセトキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物を用いることが好ましい。
架橋剤の配合量は、(A2)成分100重量部に対して0.5〜25重量部であり、好ましくは2〜10重量部である。0.5重量部未満では架橋が十分に行われず、硬度の低い硬化物しか得られないばかりでなく、架橋剤を配合した組成物の保存安定性が悪い。一方25重量部を超えて配合すると、保存中に架橋剤の一部が系より分離するばかりでなく、硬化の際に著しい収縮を生じ、得られるゴム状弾性体の物性が低下する。
なお、(A)成分として、前記した(A1)成分であるXが加水分解性基でpが平均1を超えるものを用いる場合は、前述のように、架橋剤がなくても硬化が可能であるが、このような場合においても、組成物の硬化性と硬化して得られるゴム状弾性体の機械的性質とをバランスよく具現するために、上記の架橋剤を併用することが好ましく、Xと同じ加水分解性基Yを有する架橋剤を用いることがより好ましい。この場合の架橋剤の配合量は、(A1)成分100重量部に対して0.1〜25重量部であり、好ましくは0.3〜10重量部である。25重量部を超えて配合すると、先に述べたような現象が生じ好ましくない。
本発明の実施形態においては、先に具体例を列挙したような、Rとして1価の炭化水素基を有するケイ素官能性化合物の他、置換された1価の炭化水素基を有する炭素官能性の同様な化合物を、架橋剤の一部または全部として用いてもよい。このようなRとしては、置換または非置換のアミノ基、エポキシ基、イソシアナト基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基またはハロゲン原子で置換されたアルキル基やフェニル基が例示される。置換アルキル基としては、置換メチル基、3−置換プロピル基、4−置換ブチル基が例示されるが、合成が容易なことから、3−置換プロピル基が好ましい。
このようなRを有する化合物としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリアセトアミドシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランのような置換または非置換のアミノ基含有シラン;3−グリシドキシトリメトキシシラン、3−グリシドキシメチルジメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシールエチルトリメトキシシランのようなエポキシ基含有シラン;3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシランのようなイソシアナト基含有シラン;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランのような(メタ)アクリロキシ基含有シラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのようなメルカプト基含有シラン;および3−クロロプロピルトリメトキシシランのようなハロゲン原子含有シランが例示される。このような置換炭化水素基含有シランや前記のビニル基含有シランは、炭素官能性シランであり、これらを配合することにより、組成物が硬化する際の各種基材への接着性を向上させることができる。
組成物の硬化性と接着性を向上させる効果の大きさ、およびその発現性の速いことから、これらのうちで、置換または非置換のアミノアルキル基含有シランを用いることが好ましいが、難燃性の観点からは、1級アミノ基を有するものは、組成物の硬化途上においてシール剤表面への移行が大きいため、燃焼しやすくなる傾向がある。したがって、2級アミノ基または3級アミノ基を有するものが好ましい。そのような炭化水素基含有シランとしては、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランのような置換アミノ基含有シランがある。
また、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリアセトアミドシランのような非置換アミノ基含有シランのアミノ基の水素原子部を、アルキル基および/またはアルコキシ基のような加水分解性基含有シリル基で置換したものがさらに好ましい。このような置換アミノ基含有シランとしては、N−(トリメトキシシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが例示される。このようなアミノ基の水素原子部をシリル基で置換したものは、硬化触媒に有機スズ化合物を用いた際には保存安定化剤の役割も果たす。
前記した炭素官能性シランの配合量は、(A)成分100重量部に対して0.05〜25重量部とすることが好ましく、0.1〜10重量部とすることがさらに好ましい。0.05重量部未満では接着性を向上させる効果が少なく、またその発現が遅い。また、25重量部を超えて配合すると、組成物を容器内に保存中に架橋剤などの液状物の分離が生じやすく、かつ組成物を硬化させた際に硬化物に収縮を生じやすいなどの弊害を引き起こすばかりでなく、作業性が悪くなり、また黄変現象が生じる。
本発明の実施形態において、(B)成分は、(A)成分の架橋手段としてそれ自体に含有されるX同士、および/または(A)成分のXと架橋剤のYとを、水分の存在下に反応させて架橋構造を形成し、ゴム状弾性体を得るための硬化触媒である。
このような(B)成分としては、鉄オクトエート、マンガンオクトエート、亜鉛オクトエート、スズナフテート、スズカプリレート、スズオレートのようなカルボン酸金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジオクチルスズジラウレートのような有機スズ化合物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、1,3−プロポキシチタンビス(エチルアセチルアセテート)のようなアルコキシチタン類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、トリエトキシアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート、トリブトキシジルコニウムステアレートなどの有機ジルコニウム化合物などが例示される。
少量で大きな触媒能を持つことより、有機スズ化合物およびアルコキシチタン類が好ましい。すなわち、微量の存在で大きな触媒効果を有し、相溶性に優れ、着色などの影響が少ないことから、有機スズ化合物がより好ましい。また、難燃性および得られる硬化物の弾性特性の点から、アルコキシチタン類がより好ましい。
このような(B)成分である硬化触媒の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.02〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部とする。(B)成分の配合量が0.02重量部未満では、硬化触媒として十分に作用せず、硬化に長い時間がかかるばかりでなく、特に空気との接触面から遠いゴム層の深部における硬化が不十分となる。(B)成分の配合量が10重量部を超える場合には、配合量に見合う効果を得ることができないばかりでなく、難燃性に悪影響があり経済的に不利益を生じる。
本発明の実施形態において、(C)成分である炭酸亜鉛は、加熱(例えば、熱重量測定(TG)における加熱)による重量減少率が33〜36%で、熱分解する際の炭酸ガス発生による重量減少率が30〜35%であるものであり、単位重量当りの炭酸ガス発生量が多いものが使用される。なお、熱重量測定(TG)では、炭酸亜鉛が130℃程度の温度から分解をはじめるため、室温(25℃)から徐々に昇温して500℃までの加熱を行い、このときの重量減少率が測定される。熱分解時に発生するガスは、GC−MSを用いた定量法、および発生ガスをアルカリ性水溶液に溶解後、秤量するなどの重量法により測定される。
一般に、シリコーンゴムの充填剤として配合される炭酸亜鉛は、湿式法により得られる塩基性炭酸亜鉛(透明性亜鉛白)であり、化学式:2ZnCO・3Zn(OH)・HOで表される。このような炭酸亜鉛(塩基性炭酸亜鉛)では、TGにおける重量減少率が28%前後であり、熱分解時の炭酸ガス発生による重量減少率は15〜16%程度となる。これに対して、本発明の実施形態で(C)成分として使用される炭酸亜鉛は、TGにおける重量減少率が33〜36%、より好ましくは34〜36%であり、熱分解時の炭酸ガス発生による重量減少率が30〜35%のものである。また、結晶水量および吸着水分量の目安となる105℃×3時間加熱条件における重量減量率は、0.1〜0.2重量%である。
このような物性値から、本発明の実施形態に供される(C)成分は、化学式:ZnCOで表される純度の高い炭酸亜鉛であるといえる。Znに対するXRF(X線蛍光分析)によれば純度は95%以上である。なお、前記した通常の炭酸亜鉛(塩基性炭酸亜鉛)では、結晶水を含みかつ吸着水分量も多いため、105℃×3時間加熱における重量減量率は2〜3%前後となる。
さらに本発明の実施形態の(C)炭酸亜鉛としては、平均粒子径がレーザー法(例えば、LASER MICRON SIZER 7000S使用)による測定で3.0〜8.0μm、フィシャー法(例えば、FISHER SUB-SIEVE SIZER使用)による測定で1.0〜4.0μmのものが好ましい。因みに、難燃性付与剤としての効果を考慮した場合、炭酸亜鉛の平均粒子径は0.01〜10μmの範囲とすることが好ましく、組成物の硬化後の難燃性および硬化物表面のざらつき感を鑑みた場合、粒子径は微小である方が好ましい。しかし、粒子径が小さくなるほど接着性は低下傾向を示す。
本発明の実施形態に供される(C)炭酸亜鉛の好ましい調製方法を以下に示す。例えば、亜鉛の電気精錬方法の一つであるSt.Joseph法と同様のタテ式丸型電気炉で連続蒸留された亜鉛から、フランス法のようにして酸化亜鉛を製造し、これを硫酸で溶解し、微量含まれる鉛、鉄、マンガンなどを過マンガン酸溶液で取り除き、高純度の酸化亜鉛硫酸溶液を得る。これに、炭酸ナトリウムなどの炭酸化合物を反応させる。このときの反応液の温度、pHおよび撹拌速度により、炭酸化率および粒子径が制御される。反応後、十分に水洗、ろ過、乾燥を行い、本発明の実施形態で使用される(C)炭酸亜鉛を得ることができる。得られる炭酸亜鉛の不純物量の一例として、K:0.001重量%、Na:0.02重量%、Cl:0.001重量%、Fe:0.0003重量%、Pb:0.0001重量%、Mn:0.0002重量%を検知した。また、Znの含有量は51.71重量%であった。
本発明の実施形態で(C)成分として使用する炭酸亜鉛は、水酸化物をほとんど含有しないため、硬化性の劣化が少ないうえに、貯蔵安定性に優れ、かつ電気・電子部品に使用される耐熱・難燃性ゴム類、耐熱性エンジニアリングプラスチックに対する接着性に優れた組成物が得られる。このような効果を有する(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して1.0〜100重量部、さらに好ましくは5〜50重量部である。100重量部を超える場合、硬化物の弾性が低下し、かつ接着性が低下するなどの悪影響があり、1.0重量部未満であると難燃性が不十分となる。
実施形態の(C)炭酸亜鉛は比較的粒径が大きいため、組成物の貯蔵保管中に沈降・分離を生じやすく、本来の優れた難燃性を効果的に発揮できないことがある。したがって、このような高純度の炭酸亜鉛の沈降・分離を抑え、かつ二次凝集を抑制するため、加水分解性基を有するケイ素官能性ポリジオルガノシロキサンおよび/または加水分解性シランおよびその部分加水分解物を、所定の割合で混合機などにより混合することにより、(C)成分である炭酸亜鉛の表面を処理することが好ましい。
炭酸亜鉛の表面処理に使用される加水分解性基を有するケイ素官能性ポリオルガノシロキサンは、所望のゴム弾性体の特性を損なわない限り、ポリオルガノシロキサンの加水分解性基が分子鎖両末端のみでなく、分子中にいくつも存在してもかまわない。また、本発明の(A)成分を用いることも可能であり、かつ好ましい。また、炭酸亜鉛の表面を被覆するために、加水分解性シランおよびその部分加水分解物を配合することができる。
このようなシラン類としては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなアルコキシ基含有化合物;テトラキス(2−エトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニル(2−エトキシエトキシ)シラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランおよびそれらの部分加水分解縮合物のような置換アルコキシ基含有化合物;メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルビニルジイソプロペノキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなエノキシ基含有化合物;メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシム)シランおよびそれらの部分加水分解物のようなケトキシマト基含有化合物;メチルトリアセトキシシランおよびそれらの部分加水分解物のようなアシロキシ基含有化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリアセトアミドシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランのような置換または非置換のアミノ基含有シラン;3−グリシドキシトリメトキシシラン、3−グリシドキシメチルジメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシールエチルトリメトキシシランのようなエポキシ基含有シラン;3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシランのようなイソシアナト基含有シラン;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランのような(メタ)アクリロキシ基含有シラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのようなメルカプト基含有シラン;および3−クロロプロピルトリメトキシシランのようなハロゲン原子含有シランなどが例示される。
安価で取り扱いやすいことから、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなアルコキシ基含有化合物が好ましい。また、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランのような3官能性シランがさらに好ましい。
このようなシラン類の配合量は、同時に供される加水分解性基を有するケイ素官能性ポリオルガノシロキサンの0.1〜5.0重量%の割合が好ましい。また、表面処理に際し、混合機で混合中に130℃未満に加熱することが好ましい。130℃を超える加熱では、炭酸亜鉛が分解を開始し、炭酸ガスを発生し始めてしまう。炭酸亜鉛は弱塩基性を示すため、加熱により加水分解性基の分解および架橋が促進されるが、室温から混合する際に発生する熱程度で架橋が促進されるように、触媒として、ジブチルアミンのようなジアルキルアミン(2級アミン類)とギ酸、酢酸などのカルボン酸類との錯塩を、供される加水分解性基を有するケイ素官能性ポリオルガノシロキサンの0.0001〜0.2重量%用いることがさらに好ましい。混合機としては、万能混合機のような撹拌式混合機、ロール機をはじめボールミルなど多種多様なものを使用することができるが、経済的で取り扱いやすいことから、撹拌式混合機、ロール機の使用が好ましい。
本発明の実施形態においては、さらに難燃性を向上させるために、(D1)白金系化合物またはその錯化合物を配合することができる。そのような(D1)白金系化合物またはその錯化合物としては、塩化白金酸およびそれをアルコールまたはその他の溶媒で溶解した溶液、塩化白金酸のような白金化合物をエチレン、シクロオクタジエンまたはビニル基含有シロキサンと反応させたもの、白金に配位子(例えば、べンゾニトリルのような二トリル基含有化合物)を配位させたものなどが例示される。このような(D1)白金系化合物またはその錯化合物の配合量は、白金原子として1〜2000ppmとなる量とすることが好ましい。
このように(D1)白金系化合物またはその錯化合物を配合した場合には、(D1)成分中の白金原子により、硬化物のレジン化による燃焼を抑えることができる。しかし、その場合、UL94などの試験の際に、試験体が燃焼時に上部にまくれ上がる、試験体が脆くなり下へ落ちるなどの実使用での不都合が生じることがある。このとき(D1)白金系化合物またはその錯化合物とともに、(D2)環状のイソシアヌレート化合物(例えば、シラン変性イソシアヌレート化合物あるいはシロキサン変性イソシアヌレート化合物)を、(D1)成分の金属原子に対して10〜60倍モル量配合することにより、前記不都合を解消することができる。
(D2)イソシアヌレート化合物としては、以下に示す構造式を有するものが例示される。
Figure 0004864318
ここで、R,R,Rはいずれも非置換または置換の一価の炭化水素基、または一般式:−CHCH=CHまたは−(CH−SiR(式中、Rはアルキル基、アルコキシ基または−(O−SiR1011基を示し、R,R10,R11はアルキル基またはアルコキシ基を示す。rは2〜6の整数、wは0〜8の整数である。)あるいは−(CHCOOH(式中、sは1〜8の整数である。)で示される基である。
このようなイソシアヌレート化合物の具体例としては、以下の化学式に示す化合物およびその部分加水分解物、同様にシック酸と呼ばれるトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートが例示される。それらの中でも、アルコキシシリル基のような加水分解性の反応性基を有するものが、硬化反応系内に取り込まれるため好ましい。
Figure 0004864318
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このようなイソシアヌレート化合物の配合量は、前記したように、(D1)成分の金属原子に対してアミド結合部単位が10〜60倍モル量、好ましくは20〜50倍モル量である。10倍モル未満であると、燃焼時に炭酸ガスの発生により硬化物がめくれ上がったりするような変形を抑制し、硬化物の形状を維持する効果が少なく、60倍モルを超えると燃焼を助長するため好ましくない。
さらに、本発明の実施形態の組成物から得られる硬化物は、一般に硬くシール部位および接着部位の動きに追従しにくいため、その接着界面での剥離などにより、難燃剤として部材を十分に保護することができないなどの問題を生じることがある。前記した(D2)イソシアヌレート化合物を配合することによっても改善されるが、(E)亜リン酸化合物を配合することにより、難燃性を低下させることなく硬化物の硬さを抑えることができる。このような亜リン酸化合物としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、亜リン酸トリドデシルなどが例示される。
このような(E)亜リン酸化合物は、(B)成分である硬化触媒の金属原子に対して、0.005〜1.0倍モル量、好ましくは0.01〜0.5倍モル量配合される。0.005倍モル未満であると効果がなく、反対に1.0倍モルを超えると、硬化阻害を引き起こすばかりでなく、接着性にも悪影響を及ぼすため好ましくない。(B)硬化触媒が有機スズ化合物のように触媒活性が大きいものの場合には、0.05〜1.0倍モル、好ましくは0.1〜0.7倍モルであり、アルコキシチタン類およびアルコキシジルコニウム類のように有機スズ化合物に比べて触媒活性が小さいものの場合には、0.005〜0.5倍モル、好ましくは0.01〜0.2倍モルが用いられる。
またさらに、本発明の実施形態においては、貯蔵安定化剤として、(F)シラザン結合を有する有機ケイ素化合物を配合することが好ましい。このような化合物として、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザンのようなジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザンのようなシラザン類;N−トリメチルシリル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−トリメチルシリル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルジメトキシシリル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ジメチルメトキシシリル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1−シラ−2−アザ−1,1−ジメトキシ−2−トリメチルシリルシクロペンタンのようなシリルアミノアルキルシラン類およびその重縮合物;アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサンをアルキルシランおよびアルコキシシランなどでシリル化した化合物が例示される。
このような(F)有機ケイ素化合物の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.05〜25重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜15重量部である。0.05重量部未満では硬化性の劣化が大きく、安定した硬化が十分でない。また、25重量部を超える配合は、無意味であるばかりでなく経済的に不利益であり、かつ難燃性に悪影響を及ぼし好ましくない。
本発明の実施形態においては、硬化前の組成物に適度の流動性を与え、かつ硬化して得られるゴム状弾性体に、例えばシーリング材、接着剤、現場成形ガスケットなどとして用いる場合に要求される高い機械的強度を付与するために、室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に通常用いられている充填剤を配合することができる。
このような充填剤としては、煙霧質シリカ、焼成シリカ、沈殿シリカ、煙霧質酸化チタンなどの無機質充填剤、およびこれらの表面をオルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン類、ヘキサメチルジシラザンで疎水化したものなどの補強性充填剤、けいそう土、粉砕シリカ、ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、有機酸表面処理炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄のような非補強性充填剤が例示され、硬化後のゴム状弾性体に要求される物性に応じて選択される。
建築用シーリング材として、特に低いモジュラスを有することが要求される場合には、これらのうちで非補強性充填剤を用いることが好ましい。補強性充填剤の量が少なすぎると、機械的特性の向上の効果がほとんど現れず、逆に多すぎる場合には、モジュラスが大きくなり、破断時の伸びが小さくなる。また、重質充填剤である粉砕シリカ、アルミノケイ酸、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、有機酸表面処理炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄の添加量は、(A)成分100重量部に対して1〜100重量部の範囲が好ましく、5〜50重量部がより好ましい。
さらに、実施形態の組成物には、目的に応じて、顔料、チクソトロピー性付与剤、押し出し作業性を改良するための粘度調整剤、紫外線吸収剤、防かび剤、耐熱向上剤、その他の難燃化剤など、各種の添加剤を加えても良い。
本発明の実施形態の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、以上の全ての成分および必要に応じて各種添加剤を、湿気を遮断した状態で混合することにより得られる。得られた組成物は、密閉容器中でそのまま保存し使用時に空気中の水分に曝すことによってはじめて硬化する、いわゆる1包装型室温硬化性組成物として使用することができる。また、実施形態の組成物を、例えば架橋剤と硬化触媒を分けた組成物として調製し、適宜2〜3個の別々の容器に分けて保存して使用時にこれらを混合する、いわゆる多包装型室温硬化性組成物として使用することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部とあるのはいずれも重量部を表し、粘度などの物性値は、全て23℃、相対湿度50%での値を示す。
参考例1
粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン70部に、105℃×3時間加熱における重量減量率が0.07%、TGでの重量減少率が34.7%で炭酸ガス発生による重量減少率が34%、平均粒子径がLASER法で5.02μm、FISHER法で1.91μmである炭酸亜鉛(東邦亜鉛(株)製;炭酸亜鉛−S)50部を加え、均一に混合した後、粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン30部を加えて均一に混合した。
次いでこれに、ベンゾニトリル−塩化白金酸錯体溶液0.4部(白金含有量6.0%)、メチルトリメトキシシラン3.0部、N−トリメチルシリル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン2.5部およびジブチルスズジラウレート0.4部をそれぞれ加え、湿気遮断下で均一に混合してポリオルガノシロキサン組成物を得た。
参考例2
粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン70部に、実施例1で用いた炭酸亜鉛9.0部と二酸化ケイ素粉末(龍森(株)製;クリスタライト5X)51部を加え均一に混合した後、粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン30部を加えて均一に混合した。
次いでこれに、ベンゾニトリル−塩化白金酸錯体溶液0.4部(白金含有量6.0%)、メチルトリメトキシシラン5.0部、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセチルアセテート)2.5部をそれぞれ加え、湿気遮断下にて均一に混合してポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例3
粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン70部に、参考例1で用いた炭酸亜鉛50部を加えて均一に混合した後、粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(トリメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン30部を加えて均一に混合した。
次いでこれに、ベンゾニトリル−塩化白金酸錯体溶液0.4部(白金含有量6.0%)、シクロトリ[N−(3−トリメトキシプロピル)イソシアネート]0.8部(白金原子に対して30倍モル)、メチルトリメトキシシラン3.0部、N−トリメチルシリル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン2.5部およびジブチルスズジラウレート0.4部をそれぞれ加え、湿気遮断下で均一に混合してポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例4
粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン70部に、参考例1で用いた炭酸亜鉛9.0部と二酸化ケイ素粉末(クリスタライト5X)51部を加え均一に混合した後、粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(トリメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン30部を加えて均一に混合した。
次いでこれに、ベンゾニトリル−塩化白金酸錯体溶液0.4部(白金含有量6.0%)、シクロトリ[N−(3−トリメトキシプロピル)イソシアネート]1.4部(白金原子に対して45倍モル)、メチルトリメトキシシラン5.0部、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセチルアセテート)2.5部をそれぞれ加え、湿気遮断下で均一に混合しポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例5
粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン70部に、参考例1で用いた炭酸亜鉛50部を加え均一に混合した後、粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(トリメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン30部を加えて均一に混合した。
次いでこれに、ベンゾニトリル−塩化白金酸錯体溶液0.4部(白金含有量6.0%)、シクロトリ[N−(3−トリメトキシプロピル)イソシアネート]0.8部(白金原子に対して30倍モル)、メチルトリメトキシシラン3.0部、N−トリメチルシリル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン2.5部、およびジブチルスズジラウレート0.4部と亜リン酸トリフェニル0.1部(スズ原子に対して0.5倍モル)をそれぞれ加え、湿気遮断下で均一に混合しポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例6
粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン70部に、参考例1で用いた炭酸亜鉛9.0部と二酸化ケイ素粉末(クリスタライト5X)51部を加え均一に混合した後、粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(トリメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン30部を加えて均一に混合した。
次いでこれに、ベンゾニトリル−塩化白金酸錯体溶液0.4部(白金含有量6.0%)、メチルトリメトキシシラン5.0部、シクロトリ[N−(3−トリメトキシプロピル)イソシアネート]1.4部(白金原子に対して45倍モル)、およびジイソプロポキシチタンビス(エチルアセチルアセテート)2.5部と亜リン酸トリフェニル0.03部(チタン原子に対して0.015倍モル)をそれぞれ加え、湿気遮断下で均一に混合しポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例7
粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン70部に、参考例1で用いた炭酸亜鉛50部を加え均一に混合した後、粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン30部を加えて均一に混合した。
次いでこれに、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン−塩化白金酸錯体溶液2.0部(白金含有量1.8%)、シクロトリ[N−(3−トリメトキシプロピル)イソシアネート]1.0部(白金原子に対して25倍モル)、メチルトリメトキシシラン3.0部、N−トリメチルシリル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン2.5部、およびジブチルスズジラウレート0.4部と亜リン酸トリフェニル0.1部(スズ原子に対して0.5倍モル)をそれぞれ加え、湿気遮断下で均一に混合しポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例8
参考例1で用いた炭酸亜鉛50部、粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン70部、ビニルトリメトキシシラン3.0部、およびジイソブチルアミン/ギ酸塩0.022部を、万能混合撹拌機により30分間均一に混合した後、混合物を3本ロールに3回を通すことによって、炭酸亜鉛の粒子表面をポリオルガノシロキサンにより処理した。次いでこれに、粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジメトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン70部と、二酸化ケイ素粉(クリスタライト5X)10部を添加して均一に混合した。
次に、亜リン酸トリフェニル0.4部、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン−塩化白金酸錯体溶液2.0部(白金含有量1.8%)、シクロトリ[N−(3−トリメトキシプロピル)イソシアネート]1.0部(白金原子に対して25倍モル)、3−アミノプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとを等モルで触媒量のクロロシランを用いて重縮合させて得られる高分子量シラザン結合含有化合物3.0部、およびジブチルスズジラウレートスズ0.4部と亜リン酸トリフェニル0.1部(スズ原子に対して0.5倍モル)をそれぞれ加え、湿気遮断下で均一に混合しポリオルガノシロキサン組成物を得た。
参考例9
参考例1で使用した炭酸亜鉛(105℃×3時間加熱における重量減量率が0.07%、TGでの重量減少率が34.4%で炭酸ガス発生による重量減少率が33%、平均粒子径がLASER法で5.02μm、FISHER法で1.91μm)の代わりに、105℃×3時間加熱の重量減量率が0.06%、TGでの重量減少率が34.4%で炭酸ガス発生による重量減少率が33%、平均粒子径がLASER法で0.51μm、FISHER法で0.18μmである炭酸亜鉛を使用した。それ以外は参考例1と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
参考例10
参考例2で使用した炭酸亜鉛の代わりに、参考例9で用いた炭酸亜鉛を使用した。それ以外は参考例2と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
参考例11
炭酸亜鉛の配合量を55部とした以外は参考例1と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
参考例12
炭酸亜鉛の配合量を3部、二酸化ケイ素粉末の配合量を57部とした以外は参考例2と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
比較例1
参考例1で使用した炭酸亜鉛(105℃×3時間加熱における重量減量率が0.07%、TGでの重量減少率が34.7%で炭酸ガス発生による重量減少率が34%)の代わりに、105℃×3時間加熱の重量減量率が2.8%、TGでの重量減少率が27.4%で炭酸ガス発生による重量減少率が14.8%である塩基性炭酸亜鉛を配合した。それ以外は参考例1と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
比較例2
比較例1で使用した塩基性炭酸亜鉛を使用し、参考例2と同様にしてポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
比較例3
参考例1で使用した炭酸亜鉛の代わりに、105℃×3時間加熱の重量減量率が0.08%、TGでの重量減少率が31.4%で炭酸ガス発生による熱重量減少率が29%、平均粒子径がLASER法で4.82μm、FISHER法で1.73μmである炭酸亜鉛を使用した。それ以外は参考例1と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
比較例4
参考例1で使用した炭酸亜鉛の代わりに、105℃×3時間加熱の重量減量率が0.04%、TGでの熱重量減少率が36.2%で炭酸ガス発生による熱重量減少率が29%、平均粒子径がLASER法で4.91μm、FISHER法で1.82μmである炭酸亜鉛を使用した。それ以外は参考例1と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
次に、参考例1〜2,実施例3〜8,参考例9〜12および比較例1〜4でそれぞれ調製し密封して保存したポリオルガノシロキサン組成物について、以下に示すようにして、指触乾燥時間、物理的特性、保存安定性、接着性および部材の変化に対する硬化物の追従性を測定し評価した。また、難燃性試験を行い、難燃性を測定・評価した。さらに、実施例7〜8,参考例11〜12および比較例3でそれぞれ得られたポリオルガノシロキサン組成物については、6ヶ月放置後の外観・比重を測定し、沈降・分離性を評価した。
(a)指触乾燥時間:組成物を23℃、50%RHの雰囲気中に押し出した後、指で表面に接触して、乾燥状態にあることを確認するに至る時間を測定した。
(b)物理的特性:組成物を厚さ2mmのシ−ト状に押し出し、23℃、50%RHで168時間放置し、空気中の湿気により硬化させて、その物理的性質をJIS K 6301に拠り測定した。
(c)保存安定性:湿気を遮断した容器に組成物を入れ、70℃で5日間加熱した後、指触乾燥時間を、23℃、50%RHの雰囲気で測定した。また、厚さ2mmのシ−ト状に押し出し、23℃,50%RHで168時間放置し、空気中の湿気により硬化させて、その物理的性質をJIS K 6301に拠り測定した。
(d)難燃性試験:
(1);UL94に準拠した方法により評価を行った。このとき、燃焼試験後の試験体の長さを測定した。
(2);図1に示す試験体1(a=3mm、b=3mm、c=2mm)を30個作成し、UL94に準拠した試験方法により、試験体1内部の耐熱ビニル電線2の状態を観察した。そして、耐熱ビニル電線2の被覆が燃焼または溶解など状態が変化した試験体1の数を測定した。なお、耐熱ビニル電線2は、最大外径が1.00mm、導体外径が0.4mm、耐熱ビニル被覆厚が0,2mmのインターワイヤード株式会社製WLH−0.08である。
(e)燃焼性試験;JIS K 7201−2に拠り酸素指数を測定した。
(f)接着性:表1に示す被着体に対する接着性を定性的に評価した。評価結果は、良好なものを○、良好だが不十分なものを△、接着しないものを×でそれぞれ表した。また、各被着体上に組成物を塗布し、23℃、50%RHで168時間放置して空気中の湿気により硬化させた後、硬化物と被着体とを180°の方向に剥離させることにより、凝集破壊率を測定した。
(g)追従性:組成物について、JIS A5758記載の9030G耐久試験方法により30%剪断変形の繰り返し試験を行い、硬化物の部材の変化に対する追従性を評価した。
(h)沈降・分離:湿気遮断下で6ヶ月間室温にて放置した後、組成物の外観、比重を測定し分離、沈降および凝集を評価した。これらの測定結果を表1および表2に示す。
Figure 0004864318
Figure 0004864318
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物によれば、湿気の存在しない密封条件下では安定で特に貯蔵安定性に優れており、空気中の水分と接触することにより室温で硬化し、優れた難燃性と接着性を有するゴム状弾性体が得られる。したがって、本発明の組成物より得られるゴム状弾性体は、シーリング材としてあるいは接着剤やコーティング剤などとして有用である。
本発明の実施例において、難燃性試験に供される試験体の構造を示す図である。
符号の説明
1…試験体、2…耐熱ビニル電線。

Claims (4)

  1. (A2)分子中に2個以上のアルコキシ基を有し、25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであり、かつ一般式:
    Figure 0004864318
    (式中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい非置換の、あるいはハロゲンまたはシアノ基置換の1価の炭化水素基を表し、Rは―ZSiR 3−pを表す。ここで、Zは酸素および/または2価の炭化水素基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよい非置換の、あるいはハロゲンまたはシアノ基置換の1価の炭化水素基を表し、Xはアルコキシ基を表し、pは1〜3の整数である。また、nは該(A2)成分の25℃における粘度を20〜1,000,000mPa・sにする数である。)で示されるポリジオルガノシロキサンと、
    一般式:R 4−qSiY
    (式中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい非置換の、あるいはハロゲンまたはシアノ基置換の1価の炭化水素基を表し、Yはアルコキシ基を表す。またqは、平均2を超え、4以下の数である。)で示される架橋剤とから成るポリオルガノシロキサンを含む室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、
    前記(A2)成分である(A)ポリオルガノシロキサン100重量部に対して、
    (B)硬化触媒0.5〜15重量部と、
    (C)加熱による重量減少率が33〜36%であり、熱分解する際の炭酸ガス発生による重量減少率が30〜35%であり、かつ平均粒子径がFISHER法による測定で1.0〜4.0μmである炭酸亜鉛5〜50重量部と、
    難燃性添加剤として、(D1)白金系化合物またはその錯化合物と、該(D1)白金系化合物またはその錯化合物の金属原子に対して10〜60倍モル量の(D2)イソシアヌレート化合物
    をそれぞれ含有することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  2. (E)亜リン酸エステルを、前記(B)硬化触媒の金属原子に対して0.005〜1.0倍モル量含有することを特徴とする請求項1記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  3. 前記(C)炭酸亜鉛が、アルコキシ基を有するポリオルガノシロキサンおよび/またはアルコキシ基を有するシランまたはその部分加水分解物により表面処理されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  4. 貯蔵安定剤として(F)シラザン結合を有する有機ケイ素化合物を、前記(A)ポリオルガノシロキサン100重量部に対して0.05〜20重量部含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
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