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JP2010084062A - 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物 - Google Patents

室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物 Download PDF

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JP2010084062A
JP2010084062A JP2008256381A JP2008256381A JP2010084062A JP 2010084062 A JP2010084062 A JP 2010084062A JP 2008256381 A JP2008256381 A JP 2008256381A JP 2008256381 A JP2008256381 A JP 2008256381A JP 2010084062 A JP2010084062 A JP 2010084062A
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Kazuhisa Ono
和久 小野
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Momentive Performance Materials Inc
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Abstract

【課題】硬化性に優れる上、高強度、高モジュラスで、更に耐湿性および耐温水性に優れた接着性のゴムとなる脱アルコール型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
【解決手段】(A) 分子鎖末端が水酸基もしくはアルコキシシリル基で封鎖され、23℃における粘度が50〜100,000mPasであるポリオルガノシロキサン100重量部、(B) 特定の分岐構造を有する長鎖アルキル基含有シラン化合物0.1〜20重量部、(C) 無機質充填材3〜500重量部、および(D) 硬化触媒0.001〜10重量部から成ることを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の長鎖アルキル基含有シラン化合物を配合することによって、硬化性に優れる上、高強度、高モジュラスで、更に耐湿性および耐温水性に優れた接着性のゴムとなる脱アルコール型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物である。本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、特に複層ガラスシール用途に好適に用いられる。
従来、分子鎖末端に水酸基を有するオルガノポリシロキサン、アミノアルキルアルコキシシランとエポキシアルキルアルコキシシランの反応物もしくは混合物および硬化触媒から成り、硬化途上で接触している各種基材に対して接着性を有するオルガノポリシロキサン組成物は知られている(特許文献1)。しかしながら、この組成物を硬化させてなるシリコーンゴムは、耐水接着性、特に、フロートガラス類に対して温水浸漬等の苛酷な環境下では、その接着力が低下するという欠点があった。
また、耐水接着性を改善するために、ジシラアルカン化合物(特許文献2、3)や特定のメトキシ基含有ケイ素化合物(特許文献4)を配合することが提案されているが、その効果は十分とは言えなかった。
特公昭63−23226号公報 特開昭64−60656号公報 特開2003−221506号公報 特開2007−119768号公報
本発明は、上記従来技術の欠点を改善し、硬化性に優れる上、比較的モジュラスが高く、耐湿性および耐温水性に優れた接着性のゴムとなる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、かかる目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の長鎖アルキル基含有シラン化合物を配合することによって、上記優れた特性を有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、
(A) 分子鎖末端が水酸基もしくはアルコキシシリル基で封鎖され、23℃における粘度が50〜100,000mPasであるポリオルガノシロキサン100重量部、
(B) 下記一般式で示される長鎖アルキル基含有シラン化合物0.1〜20重量部、
R1 R2 a Si(OR)3-a
(式中、R1は分岐鎖を有する炭素数5〜50のアルキル基を表し、R2は一価炭化水素を表し、Rはアルキル基を表す。aは0または1の整数である。)
(C) 無機質充填材3〜500重量部、および
(D) 硬化触媒0.001〜10重量部
から成ることを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物である。
本発明組成物の(A) 成分であるポリオルガノシロキサンは、その両末端が水酸基もしくはアルコキシ基で封鎖されたで封鎖された鎖状の重合体である。また、(A) 成分には、分岐状の重合体が含有されていてもよい。
(A) 成分は、分子鎖末端が水酸基またはアルコキシ基で封鎖されたポリオルガノシロキサンであり、実施形態の室温硬化性組成物の主成分である。(A) 成分の粘度は、低すぎると硬化後のゴム弾性が乏しくなり、高すぎると作業性が低下することから、23℃における粘度が50〜1,000,000mPas、より好ましくは300〜100,000mPasの範囲にあることが必要である。
また、このポリオルガノシロキサンの分子構造は、下記一般式で示される直鎖状であることが好ましいが、一部分岐鎖を有する構造でもよい。
Figure 2010084062
式中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、Rは-ZSiR 3−pで表される1価の有機基を表す。ここで、Zは酸素(オキソ基)または2価の炭化水素基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表す。Xは水酸基(ヒドロキシル基)またはアルコキシ基を表し、pは1〜3の整数である。また、nは当該(A)成分の23℃のおける粘度が50〜1,000,000mPasを満たす数である。
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基のようなアルキル基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基;2-フェニルエチル基、2-フェニルプロピル基のようなアラルキル基が例示され、さらにこれらの炭化水素基の水素原子の一部が他の原子または基で置換されたもの、すなわちクロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基のようなハロゲン化アルキル基;3-シアノプロピル基のようなシアノアルキル基などの置換炭化水素基が例示される。合成が容易であり、かつ(A)成分が分子量の割に低い粘度を有し、硬化前の組成物に良好な押し出し性を与えること、および硬化後の組成物に良好な物理的性質を与えることから、R全体の85%以上がメチル基であることが好ましく、実質的にすべてのRがメチル基であることがより好ましい。
一方、特に耐熱性、耐放射線性、耐寒性または透明性を組成物に付与する場合には、Rの一部として必要量のフェニル基を、耐油性、耐溶剤性を付与する場合には、R4の一部として3,3,3-トリフルオロプロピル基や3-シアノプロピル基を、また塗装適性を有する表面を付与する場合には、R4の一部として長鎖アルキル基やアラルキル基を、それぞれメチル基と併用するなど目的に応じて任意に選択することができる。
(A)成分の末端基Rは、-ZSiR 3−pで表され、ケイ素官能基であるシ水酸基またはアルコキシ基Xを少なくとも1個有するケイ素官能性シロキシ単位である。したがって、実施形態の(A)成分は、分子の両末端にそれぞれ水酸基またはアルコキシ基Xを少なくとも1個有する。
末端基Rにおいて、ケイ素原子に結合するRは、互いに同一でも異なっていてもよく、またRと同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基であり、前記したRと同様なものが例示される。合成が容易で、加水分解性基Xの反応性に優れていることから、メチル基またはビニル基が好ましい。また、Zは、互いに同一でも異なっていてもよい2価の酸素(オキソ基)または2価の炭化水素基であり、2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基のようなアルキレン基;フェニレン基などが例示される。合成が容易なことから、オキソ基またはエチレン基が好ましく、オキソ基が特に好ましい。
Xは、末端基であるRに少なくとも1個存在するケイ素官能基であるシラノール基またはアルコキシ基である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のようなアルコキシル基;2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基のような置換アルコキシル基;イソプロペノキシ基のようなエノキシ基などが例示され、互いに同一でも異なっていてもよい。合成の容易さ、硬化前の組成物の物性、保存中の安定性、硬化性、経済性、および広範囲の用途に用いられることから、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基のようなアルコシキル基が好ましい。
末端基Rにおいて、ケイ素官能基である水酸基またはアルコキシ基Xの数pは、1〜3個であることが好ましい。このようなケイ素官能性ポリジオルガノシロキサンは、例えば、オクタメチルシクロシロキサンのような環状ジオルガノシロキサン低量体を、水の存在下に酸性触媒またはアルカリ性触媒によって開環重合または開環共重合させ、得られる直鎖状ポリジオルガノシロキサンの末端にケイ素原子に結合する水酸基を導入することにより得ることができる。
Xが加水分解性基であるケイ素官能性ポリジオルガノシロキサンは、例えば、末端に水酸基を有するポリオルガノシロキサンに、2個以上の任意の加水分解性基を有するシランを縮合させることによって合成することができる。この場合、シランの有する加水分解性基は、縮合反応によって1個が消費されるので、反応によって得られるポリオルガノシロサンの末端基RにおけるXの数は、用いられる加水分解性基含有シランが有する加水分解性基の数よりも1個少なくなる。
(A)成分であるポリオルガノシロキサンの具体例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、ジメチルシロキサンとメチルフェニルシロキサンの共重合体、ジメチルシロキサンとメチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサンの共重合体などが挙げられる。このポリオルガノシロキサンの分子鎖末端は水酸基や加水分解性基(例えば、アルコキシル基)により封鎖されているのであるが、水酸基により封鎖された分子鎖末端としては、ジメチルヒドロキシシロキシ基、メチルフェニルヒドロキシシロキシ基が例示され、アルコキシル基により封鎖された分子鎖末端としては、ビニルジメトキシシロキシ基、メチルジメトキシシロキシ基、トリメトキシシロキシ基、メチルジエトキシシロキシ基、トリエトキシシロキシ基などが例示される。
本願発明を主剤、硬化剤などのように他成分形で用いる場合は、(A)成分の末端はシラノール基であることが一般的であり、反応の速度から好ましい。また、1成分形で供する場合には、硬化性、貯蔵安定性の観点および製造工程上の容易さから、(A)成分の末端はアルコキシシリル基が好ましい。
本発明で用いられる(B) 成分は、(B) 下記一般式で示される長鎖アルキル基含有シラン化合物である。
R1 R2 a Si(OR)3-a
(式中、R1は分岐鎖を有する炭素数5〜50のアルキル基を表し、R2は一価炭化水素を表し、Rはアルキル基を表す。aは0または1の整数である。)
R1は、分岐鎖を有する炭素数5〜50のアルキル基であるが、中でもアルキル基の長さが炭素数6以上のものが耐浸水性に優れ、8以上、特に12以上がさらに好ましい。
好ましいアルキル基の炭素数範囲としては、6〜48、特に12〜32である。
また、好ましい分岐の炭素数としては2以上で、耐浸水性、シランの取り扱い易さから、分岐の炭素数4以上がさらに好ましく、特に8以上が好ましい。
R2としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、ビニル基等の一価炭化水素基を挙げることができる。
Rとしては、OR3の加水分解性から一般にメチル基およびエチル基、プロピル基等のアルキル基を挙げることができる。aは0または1の整数であり、好ましくは0である。
(B) 成分の具体例としては、2-エチルへキシルトリメトキシシラン、4-エチルオクチルシラン、3.5-ジメチル-へキシルトリメトキシシラン、3.7.11-トリメチルドデシルトリメトキシシラン、2-オクチルドデシルトリメトキシシラン、2-ドデシルヘキサデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。2-ドデシルヘキサデシルトリクロロシラン{GELEST、アズマックス(社)、市販品}のアルコキシ化あるいは各々の2-エチルへキセン、4-エチル-1-オクテン、3,5-ジメチル-1-ヘキセン、2-オクチル-1-ドデセンのようなアルケン化合物とハイドロジェンクロロシランもしくはハイドロジェンアルコキシシランのSi-Hとのヒドロシリル化反応により得ることが可能である。
中でも、分岐アルキル基の炭素数が大きい2-オクチルドデシルトリメトキシシラン、2-ドデシルヘキサデシルトリメトキシシランが特に好ましい。
アルキル基が直鎖状であるものと比較し、分岐している基が大きいものほど立体的にも疎水性に有意であり、少ないアルコキシ基でより多くの範囲を疎水化できる点で効果的である。これらは単独でもよく、また2種以上を混合して使用しても良い。
(B) 成分の配合量は、(A) 成分100重量部に対し0.1〜20重量部である。0.1重量部未満であると架橋反応が十分に行われず、また十分な耐浸水性が得られない。また、20重量部を超えると架橋反応で消費されない過剰の架橋成分がゴム状弾性体の性質に悪影響を及ぼす。
本発明における(C) 成分として、補強性を鑑みて無機質充填材が配合される。一般的に無機質充填材としては、従来から公知の充填材を広く使用することができ、具体的にはフュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラックなどの補強性充填材、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、石綿、ガラス繊維およびフィラメントなどの繊維状充填材などを例示することができる。
その中でも、得られる組成物のチキソ性、粘性、接着特性を鑑みた場合、炭酸カルシウムが好ましく、膠質炭酸カルシウムの配合がさらに好ましい。さらには、そのBET比表面積が14.0〜20.0 m2/g、平均粒度が0.05〜0.20μmで粒子表面が処理された膠質炭酸カルシウムを配合するのが好ましい。平均粒度が0.05μm未満では粘度が高くなりすぎて実用上作業性に劣り、0.20μmを越えると硬化物に優れた機械的性質を付与することができない。BET比表面積についても14.0m2/g未満では硬化物に優れた機械的性質を付与することができず、20.0m2/gを越えると粘度が高くなり過ぎて実用上作業性に劣る。更に炭酸カルシウムの表面処理としては、脂肪酸および脂肪酸塩、脂肪酸エステル類、ロジン酸等を含む樹脂酸およびその塩で処理されたものが例示される。最も高モジュラスのゴム硬化物を与え、耐温湿及び耐温水性が優れる点で、ロジン酸またはその金属塩で処理されたものが好ましい。
このような炭酸カルシウムとしてはホモカルD、ホモカルDM、白艶華TDD、白艶華IGV(以上白石工業(株)製、商品名)、MT-100M(丸尾カルシウム(株)製、商品名)が挙げられる。
(C) 成分の配合量は(A) 成分100重量部に対して3〜500重量部であり、好ましくは5〜200重量部である。3重量部未満では硬化物に優れた機械的性質を付与することができず、500重量部を越えると粘度が高くなり過ぎて実用上作業性に劣る。また、機械的特性および耐浸水性を損なわない限り、重質炭酸カルシウムを配合しても差し支えない。重質炭酸カルシウムの配合は粘度調整をはじめとする作業性の改善に効果があり、このような重質炭酸カルシムの表面を膠質炭酸カルシウムと同様に処理したものが好ましい。
(D) 成分の硬化触媒は本発明組成物の硬化を促進する触媒の働きをし、錫,チタン,ジルコニウム,鉄,アンチモン,ビスマスまたはマンガンの有機カルボン酸塩,有機チタン酸エステル,有機チタンキレート化合物などが挙げられる。使用される触媒の具体例としては、ジブチル錫ジラウレート,ジブチル錫ジオクトエート,ジオクチル錫ジラウレート,ジブチル錫マレートエステル,スタナスオクトエート、ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジオクチルスズオキサイドのようなジアルキルスズオキサイドとエチルシリケートやプロピルシリケートのようなアルコキシランとの反応物、ジオクチルスズビス(トリエトキシシリケート)のようなジアルキルスズ(トリアルキロキシシリケート)化合物およびその多量体などの錫化合物;テトラブチルチタネート,ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタン,ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)などのチタン化合物が挙げられる。少量で十分な硬化性を示す錫化合物が好ましい。(D) 成分の添加量は、(A) 成分100重量部に対して0.001〜10重量部の範囲であり、好ましくは0.01〜5重量部である。これは(D) 成分が少なすぎると硬化速度が遅すぎて実用に適さず、多すぎると硬化速度が速すぎ作業時間が取れない、耐浸水性が低下するなどの弊害を生じるためである。
(E)成分であるアミノアルキルアルコキシシランとエポキシアルキルアルコキシシランのとの混合物もしくは反応混合物は、本発明組成物の架橋剤として作用し、また硬化途上で接触している各種基材に対する接着性を付与する働きをし、(B) 成分と併用することにより本発明組成物の硬化物に温水浸漬などの苛酷な条件下での接着耐久性を付与する。このような(E) 成分を構成するアミノアルキルアルコキシシランとしては、アミノメチルトリエトキシシラン,γ-アミノプロピルトリエトキシシラン,γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン,N-(β-アミノエチル)アミノメチルトリブトキシシラン,N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン,N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン,γ-アニリノプロピルトリエトキシシランが例示される。また、エポキシアルキルオルガノアルコキシシランとしては、γ-グリシドキシプロリルトリメトキシシラン,γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン,β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランが例示される。これらアミノアルキルアルコキシシランとエポキシアルキルアルコキシシランとをモル比で(1:1)〜(1:5)好ましくは(1:1.5)〜(1:3)の範囲で混合し、室温保管または加温することにより容易に反応混合物が得られる。また、硬化触媒にチタン系、ジルコニウム系、アルミニウム系化合物を用いる場合には、硬化触媒への影響を鑑みて特にエポキシアルキルアルコキシシランの割合が高いことが望ましい。アミノアルキルアルコキシシランの割合が高い場合には、組成物の貯蔵安定性の低下を引き起こす可能性があるためである。このような(E) 成分の添加量は、(A) 成分100重量部に対して0.1〜20重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部である。これは(E) 成分が少なすぎると十分なゴム強度や接着性が得られず、多すぎると硬化速度が遅くなったり、硬化後のゴムが固くなりすぎたりするためである。
本発明組成物はその硬化性や硬化後のゴム強度を調節するために、さらに(B) 成分及び(E) 成分とは異なるアルコキシシランを架橋剤として添加することができる。このようなアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,メチルセロソルブオルソシリケート,n-プロピルオルソシリケートなどの4官能アルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,エチルトリメトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,フェニルトリメトキシシラン,メチルトリメトキシエトキシシランなどの3官能アルコキシシラン類およびこれらの部分加水分解物などが挙げられる。このようなアルコキシシランの添加量は、(A) 成分100重量部に対して20重量部以下であり、好ましくは10重量部以下である。これはアルコキシシランが少なすぎると十分なゴム強度の向上が得られず、多すぎると硬化速度が遅くなったり、硬化後のゴムが固くなりすぎたりするためである。
さらに、初期の接着発現性を向上し、耐浸水性を損なわないものとして、環状(イソ)シアヌレート化合物を添加することができる。このような化合物としては、トリアリルシアヌレート(1,3,5-トリアリルシクロトリシアヌレート)、およびそのアルコキシハイドロジェンシラン付加物である1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]シクロトリシアヌレート、1,3,5-トリス[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]シクロトリシアヌレートやトリアリルイソシアヌレート(1,3,5-トリアリルシクロトリイソシアヌレート)、1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]シクロトリイソシアヌレート、1,3,5-トリス[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]シクロトリイソシアヌレートなどが例示される。中でも、その構造上カルボニル基を有する環状イソシアヌレート化合物が好ましい。このような環状(イソ)シアヌレート化合物の添加量は、(A) 成分100重量部に対して20重量部以下であり、好ましくは10重量部以下である。これは環状(イソ)シアヌレート化合物が少なすぎると十分な接着性発現性が得られず、多すぎると硬化速度が遅くなったり、硬化後のゴムが固くなりすぎたりするためである。
さらに、本発明組成物は必要に応じて有機溶剤、末端トリメチルシリル化されたジオルガノポリシロキサン,難燃剤,可塑剤,チキソ性付与剤,着色剤,通常の接着促進剤,防カビ剤などを添加することは、本発明の目的を損なわない限り差し支えない。
また、本願発明の組成物は高強度、高モジュラスで、更に耐湿性および耐温水性に優れた接着性のゴムとなる脱アルコール型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物である。本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、特に複層ガラスシール用途に好適に用いられるものであるが、1成分形もしくは多成分形のいずれでも用いることが可能である。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳述する。なお、合成例、実施例および比較例中「部」は全て重量部を表す。
合成例
撹拌機、滴下ロート、還流管、温度計、窒素気流装置、および減圧装置を備えた2リットルの四ツ口セパラブルフラスコに、2-オクチル-1-ドデセン294部(1.05mol)、塩化白金酸イソプロパノール溶液をPt量が30ppmになる量を仕込み、60℃において1時間加熱攪拌を行い、次いで、トリクロロシラン133.5部を滴下ロートより滴下し、80〜90℃の温度で撹拌を4時間続けた。赤外分光分析により、2150cm-1のSi-Hの吸収が消滅した時点を反応の終点とした。室温まで冷却後、N,N-ジメチルアニリン500部を加え、メタノール106部(3.3mol)を滴下ロートより滴下し、2時間攪拌した。60-70℃の温度で8時間加熱攪拌を行い、窒素雰囲気下にて塩酸塩を吸引ろ過した。その後、150℃(0.13kPa)で未反応の原料を減圧留去行い、冷却後取り出した。こうして2-オクチルドデシルトリメトキシシランを得た。
実施例1
分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された粘度5,000mPasのポリジメチルシロキサン100部に、BET比表面積16.0m2/g、平均粒度0.06μmのロジン酸で表面処理された膠質炭酸カルシウム「白艶華TDD」(白石工業(株)製、商品名)100部を均一になるまで混合した(以下得られた混合物をベースという)。一方、カーボンブラック(VULCAN XC72,CABOT社製)を粘度1,000mPasのα,ω-ジビニルメチルシロキサンに均一に分散し、次いで表1に示す各成分を混合し、脱泡処理してキャタリスト組成物1を得た。次いで、ベースとキャタリスト組成物を100:10(重量比)の割合で混合、脱泡して本発明の組成物を得た。
実施例2〜13、比較例1〜9
配合する各成分の種類及び量を表1、2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして組成物を得て評価した。結果を表1、2に示す。
尚、表中の「nc」は「non-cured;硬化せず」を表す。
実施例14
分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された粘度5,000mPasのポリジメチルシロキサン100部に、BET比表面積17.0m2/g、平均粒度0.07μmのステアリン酸で表面処理された膠質炭酸カルシウム「白艶華CCR-S」(白石工業(株)製、商品名)100部を均一になるまで混合した(以下得られた混合物をベースという)。一方、表1に示す各成分を混合し、脱泡処理してキャタリスト組成物を得た。次いで、ベースとキャタリスト組成物を100:10(重量比)の割合で混合、脱泡して本発明の組成物14を得た。
実施例15〜16
分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された粘度5,000mPasのポリジメチルシロキサン100部に、BET比表面積17.0m2/g、平均粒度0.07μmのロジン酸で表面処理された膠質炭酸カルシウム「白艶華CCR-S」(白石工業(株)製、商品名)70部、重質炭酸カルシウム「マイクロパウダー2R」(備北粉化工(株)製、商品名)30部を均一になるまで混合した(以下得られた混合物をベースという)。一方、表1に示す各成分を混合し、脱泡処理してキャタリスト組成物を得た。次いで、ベースとキャタリスト組成物を100:10(重量比)の割合で混合、脱泡して本発明の組成物15、16を得た。
比較例10〜12
配合する各成分の種類及び量を表2に示すように変えた以外は実施例15と同様にして比較組成物10〜12を得て評価した。結果を表2に示す。
この組成物の4時間、8時間、24時間経過後の硬さを調べた。また、下記方法により接着耐久性を評価した。
<室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の接着耐久性の評価方法>
JIS K5758 建築用シーリング材に規定する方法に準じて接着耐久性試験体を作成した。即ち、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を2枚のフロートガラス板(JIS R3202に規定されたフロート板ガラス)の間に充填して、接着耐久性試験体(通称、H形試験体)を作成した。この接着耐久性試験体を温度23℃、湿度50%の条件下で7日間放置して組成物を硬化させた。得られた接着耐久性試験体について引張接着強さを測定し、合わせてシリコーンゴムの破断状態を観察した。また、この接着耐久性試験体を80℃の温水中に14日間浸漬した後、取り出し、引張接着強さを測定し、併せてシリコーンゴムの破断状態を観察した。これらの測定結果、観察結果はつぎのように表した。
M50:50%引張応力
Tmax:最大引張応力
Emax:最大荷重時の伸び
CF:凝集破壊(シリコーンゴム層で破壊した)
TCF:薄層破壊(ガラス板との界面でシリコーンゴムの薄層を残して破壊した)
AF:接着破壊(ガラス板とシリコーンゴムの界面で剥離した)
実施例17〜18
分子鎖両末端がトリメトキシシロキシ基で封鎖された粘度10,000mPasのポリジメチルシロキサン100部に、BET比表面積16.0m2/g、平均粒度0.06μmのロジン酸で表面処理された膠質炭酸カルシウム「白艶華TDD」(白石工業(株)製、商品名)75部、重質炭酸カルシウム「マイクロパウダー2R」(備北粉化工(株)製、商品名)75部を均一になるまで混合した。次いで、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された粘度100mPasのポリジメチルシロキサン30部を均一になるまで混合した。さらに、2-オクチルドデシルトリメトキシシラン5部、3-アミノプロピルトリメトキシシランと3-グリシドキシシリルトリメトキシシランの反応混合物1部、1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]シクロトリイソシアヌレート1部とジイソプロポキシビス(エチルアセチルアセテート)チタン3部を配合し、均一になるまで脱泡混合を行い、組成物17を得た。また、同様操作にて、2-オクチルドデシルトリメトキシシランの代わりに2-ドデシルヘキサデシルトリメトキシシランを用いて、組成物18を得た。
比較例13〜14
実施例17と同様操作にて、表3に示す硬化剤成分を用いて、比較組成物13〜14を得た。
実施例19
分子鎖両末端がトリメトキシシロキシ基で封鎖された粘度10,000mPasのポリジメチルシロキサンの代わりに、分子鎖両末端がメチルジメトキシシロキシ基で封鎖された粘度10,000mPasのポリジメチルシロキサンを用いた以外は実施例17と同様操作にて組成物19を得た。
下記方法により、これらの組成物の押し出し力、タックフリータイム、硬さを調べた。また、加熱促進(70℃,5日間)により、貯蔵安定性を同様項目の変化量により評価した。
押し出し力:
実際に市販されている333mlのカートリッジを用い、ノズルの先端を内径6.2mmに調整したものを装着し、カートリッジの底部のプランジャーを押し出す力をオートグラフにより測定した。
タックフリータイム:
組成物を23℃,50%RHの雰囲気に曝した後、指で表面に接触して乾燥状態にあることを確認するに至る時間を測定した。
硬さ:
組成物を厚さ2mmのシート状に押し出し、得られたシートを23℃,50%RHで168時間放置して空気中の湿気により硬化させ、硬化物の硬さをJIS K6301に拠り測定した。
また、JIS K5758 建築用シーリング材に規定する方法に準じて接着耐久性試験をおこなった。結果を表3に示す。
Figure 2010084062
Figure 2010084062
Figure 2010084062

Claims (4)

  1. (A) 分子鎖末端が水酸基もしくはアルコキシシリル基で封鎖され、23℃における粘度が50〜100,000mPasであるポリオルガノシロキサン100重量部、
    (B) 下記一般式で示される長鎖アルキル基含有シラン化合物0.1〜20重量部、
    R1 R2 a Si(OR)3-a
    (式中、R1は分岐鎖を有する炭素数5〜50のアルキル基を表し、R2は一価炭化水素を表し、Rはアルキル基を表す。aは0または1の整数である。)
    (C) 無機質充填材3〜500重量部、および
    (D) 硬化触媒0.001〜10重量部
    から成ることを特徴とする室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  2. (C) 無機質充填材が、BET比表面積が14.0〜20.0 m2/g、平均粒度が0.05〜0.20μmの、表面処理された膠質炭酸カルシウムである請求項1記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  3. 膠質炭酸カルシウムの表面処理剤がロジン酸又はロジン酸金属塩である請求項2記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  4. 更に(E)成分として、アミノアルキルアルコキシシランとエポキシシランの混合物あるいは反応混合物を、(A) 成分100重量部に対して0.1〜20重量部配合する請求項1〜3の何れか1項記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
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