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JP4732088B2 - 画像加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真式や静電記録方式等を採用した画像形成装置に用いられ、記録材上の画像を加熱する画像加熱装置に関する。
この画像加熱装置としては、例えば、記録材上の未定着画像を定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢を増大させる光沢増大化装置等を挙げることができる。
従来、前記のような画像形成装置において、未定着トナー像を記録材に定着する定着方式として、安全性、定着性のよさなどから、未定着トナー像を加熱、溶融して記録材に定着させる熱定着方式が一般に用いられている。
特に、熱効率の良さ、小型化の容易さなどから加熱回転部材と加圧回転部材とが圧接された定着領域で記録材を挟持搬送させて未定着トナー像を加熱、加圧して熱定着させる熱定着装置が最も多く用いられている。
近年、このような定着装置においては、例えばA3サイズ等の比較的大サイズの記録材から、A4R、B5サイズの様な通常よく使用される小サイズの記録材まで、様々なサイズの記録材の通紙を可能にする多様化が進んでいる。この為、加熱回転部材と加圧回転部材の軸方向の長さを、例えばA3サイズ等の比較的大サイズに対応するように構成する必要性がある。
しかし、前記の様な構成を採った際に、A4R,B5等の小サイズの記録材が、定着装置を通過する場合に、加熱回転部材の有効定着領域において記録材が通過しない非通紙領域が多くなる。そして、小サイズの記録材を連続通紙した際には、非通紙領域に対応する加熱回転部材表面から記録材によって熱が奪われない為、非通紙領域の表面温度が非常に高くなる、いわゆる非通紙部昇温現象を生じる。
この非通紙部昇温に対する対処技術として、下記の1)〜3)のような手段が知られている。
1)紙間で加熱回転部材への熱の供給を止め、非通紙領域の加熱回転部材の表面温度が、通紙領域の表面温度と同一になるように空回転等する(スループットダウン制御)。
2)非通紙領域に供給される熱量が、小サイズ記録材の定着を行う通紙領域に供給される熱量よりも少なくなる様に、加熱回転部材に内臓されたヒーター等の加熱手段の配光比を変える。
3)特許文献1や特許文献2のように、小サイズ記録材の通紙時の非通紙領域の表面温度の上昇を防ぐ為に、非通紙領域を冷却風によって冷却する。
特許文献1に記載の技術は、定着装置内の加圧ロールの周辺を仕切板により通紙域側と非通紙域側とに仕切って、定着装置内部に配置した冷却用ファンから前記非通紙域側の加圧ロール外周部材に冷却風を送風している。
特許文献2に記載の技術は、公報の実施例1の説明図である図15において、定着ロール1の上方を覆う天板5の上方に冷却ファン4を配置する。そして、常時は天板5の上側に送風して定着器周囲の昇温を防止し、定着領域を通過する記録材が小サイズ紙の場合には天板5に設けた案内装置としての窓6を開けて、非通紙域を通って回転する定着ロール1の表面部分に冷却風を流している。
特開昭60−136779号公報 特開平5−181382号公報
しかし、1)の対策では、小サイズ記録材の連続通紙時等に、紙間で加熱回転部材の冷却の為の空回転が必要である為、小サイズの記録材を通紙する際の生産性が悪くなるという不具合が生じる。
また、2)の様な構成を採ると、複数のサイズに対応する為には、複数の配光を持ったヒータを配置する必要があり装置が大型化するために、対応できるサイズ数には限界がある。
また、3)の冷却風を加熱回転部材に送風する公報記載の従来例では、冷却ファンを定着装置内部に設けるので、冷却ファンの雰囲気温度が上がりすぎ、ファンの寿命が短くなるという課題があった。具体的にはファンに使用している摺動軸受けのオイル耐熱温度や、ドライバーICの接合温度を超えるとファンが故障したり、寿命が短くなるという問題が生じる。
また、比較的送風量の大きい冷却ファンが必要となり、定着装置自体が大きくなる。また、仕切板を設けても冷却風が非通紙域側から通紙域に流れ込み、通紙域の非通紙域との境界付近で温度が低下して仕切り境界部分の定着温度が低くなって定着不良となる問題が生じる。
本発明は、小サイズ記録材の連続通紙時の生産性を落すことなく、非通紙部昇温を、小型な冷却手段で、冷却手段の寿命が短くなることなく、効率良く緩和できるようにした、画像加熱装置を提供する事が目的である。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、記録材上の画像をニップ部にて加熱する画像加熱部材と、前記画像加熱部材の所定の領域を冷却するための送風口に向けて送風する送風手段と、前記送風口を開閉するシャッタと、前記画像加熱部材の前記所定の領域の温度を検知する温度検知部材と、を有する画像加熱装置において、記録材の搬送方向と直交する方向において通紙可能な最大サイズの幅よりも小さい記録材を連続して通紙するジョブを実行する際に、前記ジョブの開始時から前記温度検知部材が第一検知温度に達するまでは前記送風手段の停止と前記シャッタの閉状態を維持し、前記第一検知温度に達すると前記送風手段を停止させたまま前記シャッタを開放し、前記第一検知温度よりも高い第二検知温度に達すると前記送風手段を動作させることを特徴とする。
本発明によれば、冷却手段である送風手段が熱により劣化してしまうのを抑制することができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は実施例にて説明する各種構成にのみに限定されるものではない。即ち、本発明の思想の範囲内において実施例にて説明する各種構成を他の公知の構成に代替可能である。
《実施例1》
(1)画像形成部
図2は本発明に従う画像加熱装置を定着装置として搭載した画像形成装置の一例である電子写真フルカラープリンタの概略構成を示す縦断面模式図である。まず、画像形成部の概略を説明する。
このプリンタは、制御回路部(制御基板:CPU)100と通信可能に接続した外部ホスト装置200からの入力画像情報に応じて作像動作して、記録材上にフルカラー画像を形成して出力することができる。
外部ホスト装置200は、コンピュータ、イメージリーダー等である。制御回路部100は、外部ホスト装置200と信号の授受をする。また各種作像機器と信号の授受をし、作像シーケンス制御を司る。
8は無端状でフレキシブルな中間転写ベルト(以下、ベルトと略記する)であり、二次転写対向ローラ9とテンションロ−ラ10との間に張架されていて、ローラ9が駆動されることにより矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。11は二次転写ローラであり、上記の二次転写対向ローラ9に対してベルト8を介して圧接させてある。ベルト8と二次転写ローラ11との当接部が二次転写部である。
1Y・1M・1C・1Bkは第1〜第4の4つの画像形成部であり、ベルト8の下側においてベルト移動方向に沿って所定の間隔をおいて一列に配置されている。各画像形成部はレーザ露光方式の電子写真プロセス機構であり、それぞれ、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと略記する)2を有する。各ドラム2の周囲には、一次帯電器3、現像装置4、転写手段としての転写ローラ5、ドラムクリーナ装置6が配置されている。各転写ローラ5はベルト8の内側に配置してあり、ベルト8の下行き側ベルト部分を介して対応するドラム2に対して圧接させてある。各ドラム2とベルト8との当接部が一次転写部である。7は各画像形成部のドラム2に対するレーザ露光装置であり、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザ発光手段、ポリゴンミラー、反射ミラー等で構成されている。
制御回路部100は外部ホスト装置200から入力されたカラー色分解画像信号に基づいて、各画像形成部を作像動作させる。これにより、第1〜第4の画像形成部1Y・1M・1C・1Bkにおいて、それぞれ回転するドラム2の面に対して所定の制御タイミングで、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色トナー像が形成される。なお、ドラム2にトナー像を形成する電子写真作像原理・プロセスは公知に属するからその説明は省略する。
各画像形成部のドラム2の面に形成される上記のトナー像はそれぞれ一次転写部にて、各ドラム2の回転方向と順方向に、かつ各ドラム2の回転速度に対応した速度で回転駆動されているベルト8の外面に対して順次に重畳転写される。これにより、ベルト8の面に上記の4つのトナー像の重ね合わせによる未定着のフルカラートナー像が合成形成される。
一方、所定の給紙タイミングにて、それぞれ大小各種幅サイズの記録材Pを積載収容させた上下多段のカセット給紙部13A・13B・13Cのうちの選択された段位の給紙カセットの給紙ローラ14が駆動される。これにより、その段位の給紙カセットに積載収納されている記録材Pが1枚分離給紙されて縦搬送パス15を通ってレジストローラ16に搬送される。手差し給紙が選択されているときには、給紙ローラ18が駆動される。これにより、手差しトレイ(マルチ・パーパス・トレイ)17上に積載セットされている記録材が1枚分離給紙されて縦搬送パス15を通ってレジストローラ16に搬送される。
レジストローラ16は、回転するベルト8上の上記のフルカラートナー像の先端が二次転写部に到達するタイミングに合わせて記録材Pの先端部が二次転写部に到達するように記録材Pをタイミング搬送する。これにより、二次転写部において、ベルト8上のフルカラーのトナー像が一括して記録材Pの面に順次に二次転写されていく。二次転写部を出た記録材は、ベルト8の面から分離され、縦ガイド19に案内されて、定着装置(定着器)20に導入される。この定着装置20により、上記の複数色のトナー像が溶融混色されて記録材表面に固着像として定着される。定着装置20を出た記録材はフルカラー画像形成物として搬送パス21を通って排紙ローラ22により排紙トレイ23上に送り出される。
二次転写部にて記録材分離後のベルト8の面はベルトクリーニング装置12により二次転写残トナー等の残留付着物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
モノ黒プリントモードの場合には、ブラックトナー像を形成する第4の画像形成部Bkのみが作像動作制御される。両面プリントモードが選択されている場合には、第1面プリント済みの記録材が排紙ローラ22により排紙トレイ23上に送り出されていき、後端部が排紙ローラ22を通過する直前時点で排紙ローラ22の回転が逆転に変換される。これにより、記録材はスイッチバックされて再搬送パス24に導入される。そして、表裏反転状態になって再びレジストローラ16に搬送される。以後は、第1面プリント時と同様に、二次転写部、定着装置20に搬送されて、両面プリント画像形成物として排紙トレイ23上に送り出される。
(2)定着装置20
以下の説明において、定着装置またはこれを構成している部材について長手方向とは記録材搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。定着装置に関して、正面とは記録材導入側の面、左右とは装置を正面から見て左または右である。記録材の幅とは記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の記録材寸法である。
図1は本実施例における画像加熱装置としての定着装置20の概略構成を示す横断面模式図である。この定着装置20は、大別して、フィルム(ベルト)加熱方式の定着機構部20Aと、送風冷却機構部20Bとからなる。図3は定着機構部20Aの正面模式図、図4はその縦断正面模式図である。
(2−1)定着機構部20A
まず、定着機構部20Aの概略を説明する。定着機構部20Aは基本的には特開平4−44075〜44083、4−204980〜204984号公報等に開示のフィルム加熱方式・加圧回転体駆動方式(テンションレスタイプ)のオンデマンド定着装置である。
31は第1の定着部材(加熱部材)としてのフィルムアセンブリ、32は第2の定着部材(加圧部材)としての弾性加圧ローラであり、両者の圧接により定着ニップ(通紙ニップ)部Nを形成させている。
フィルムアセンブリ31において、33は加熱回転部材(画像加熱部材)としての円筒状で可撓性を有する定着フィルム(定着ベルト、薄肉ローラ:以下、フィルムと略記する)である。34は横断面略半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有するフィルムガイド部材(以下、ガイド部材と略記する)である。35は加熱源としてのセラミックヒータ(以下、ヒータと略記する)であり、ガイド部材34の外面に、該部材の長手に沿って設けた凹溝部に嵌め入れて固定して配設してある。フィルム33はヒータ35を取り付けたガイド部材34に対してルーズに外嵌させてある。36は横断面コ字型の剛性加圧ステイ(以下、ステイと略記する)であり、ガイド部材34の内側に配設してある。37はステイ36の左右両端部の外方突出腕部36aにそれぞれ嵌着した端部ホルダ、37aはこの端部ホルダ37と一体のフランジ部である。
加圧ローラ32は、芯金32aに、シリコーンゴム等の弾性層32bを設けて硬度を下げたものである。表面性を向上させるために、さらに外周に、PTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂層32cを設けてもよい。加圧ローラ32は加圧回転部材として、芯金32aの両端部を装置シャーシー(不図示)の左右の側板間に軸受部材を介して回転自由に軸受保持させて配設してある。
上記の加圧ローラ32に対して、フィルムアセンブリ31を、ヒータ35側を対向させて並行に配列し、左右の端部ホルダ37と左右の固定のばね受け部材39との間に加圧ばね40を縮設してある。これにより、ステイ36、ガイド部材34、ヒータ35が加圧ローラ32側に押圧付勢される。その押圧付勢力を所定に設定して、ヒータ35をフィルム33を挟んで加圧ローラ32に対して弾性層32bの弾性に抗して圧接させて、フィルム33と加圧ローラ32との間に記録材搬送方向において所定幅の定着ニップ部Nを形成させている。
本実施例におけるフィルム33は、図5の層構成模式図のように、内面側から外面側に順に、基層33a、弾性層33b、離型層33cの3層複合構造である。基層33aは、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、フィルム膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性フィルムを使用できる。例えば、ポリイミド、ポリイミドアミド、PEEK、PES、PPS、PTFE、PFA、FEP等のフィルムを使用できる。本例では、直径25mmの円筒状ポリイミドフィルムを用いた。弾性層33bは、ゴム硬度10度(JIS−A)、熱伝導率4.18605×10−1
W/m・℃(1×10−3[cal/cm.sec.deg])、厚さ200μmのシリ
コーンゴムを用いた。離型層203は厚さ20μmのPFAコート層を用いた。離型層33cは厚さ20μmのPFAコート層を用いた。PFAチューブを用いても良い。PFAコートは、厚さが薄く出来、材質的にもPFAチューブに比較してトナーをつつみ込む効果がより大きい点が優れている。一方、機械的及び電気的強度はPFAチューブがPFAコートよりも優っているので、場合により使い分けることが出来る。
本実施例におけるヒータ35は、ヒータ基板としてチッ化アルミニウム等を用いた、裏面加熱タイプのものであり、定着フィルム33・記録材Pの移動方向に直交する方向を長手とする低熱容量の横長の線状加熱体である。図6はそのヒータ35の横断面模式図と制御系統図である。このヒータ35はチッ化アルミニウム等でできたヒータ基板35aを有する。このヒータ基板35aの裏面側(定着フィルム対向面側とは反対面側)には長手に沿って設けた、例えばAg/Pd(銀/パラジウム)等の電気抵抗材料を約10μm、幅1〜5mmにスクリーン印刷等により塗工して設けた通電発熱層35bを有する。更にその上に設けたガラスやフッ素樹脂等の保護層35cを有する。本実施例においてはヒータ基板35aの表面側(フィルム対向面側)に摺動部材(潤滑部材)35dを設けている。
ヒータ35は、ガイド部材34の外面の略中央部にガイド長手に沿って形成具備させた溝部に、摺動部材35dを設けたヒータ基板表面側を露呈させて嵌入して固定支持させてある。定着ニップ部Nではこのヒータ35の摺動部材35dの面とベルト33の内面が相互接触摺動する。そして、回転する画像加熱部材であるベルト33がヒータ35により加熱される。
ヒータ35の通電発熱層35bの長手両端間に通電されることで、通電発熱層35bが発熱してヒータ35がヒータ長手方向の有効発熱幅Aの全域において急速に昇温する。そのヒータ温度がヒータ保護層35cの外面に接触させて配設した、サーミスタ等の第一の温度センサ(第一の温度検出手段:中央温度センサ)TH1により検出され、その出力(温度に関する信号値)がA/Dコンバータを介して制御回路部100に入力する。制御回路部100は、その入力する検出温度情報に基づいて、ヒータ温度を所定の温度に維持するように電源(電力供給部、ヒータ駆動回路部)101から通電発熱層35bに対する通電を制御する。すなわち、ヒータ35で加熱される加熱回転部材であるベルト33の温度が第一の温度センサTH1の出力に応じて所定の定着温度に温調制御される。本実施例は温度制御方式として比例制御方式を用いており、例えば図13に示すようにヒータ温度の設定値(本実施例では220℃)と第1の温度センサTH1で測定された温度の偏差に比例した電力をヒータ35に印加するような方式になっている。
加圧ローラ32はモータ(駆動手段)M1により矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ32の回転駆動による加圧ローラ32とベルト33の外面との定着ニップ部Nにおける摩擦力でベルト33に回転力が作用する。これにより、ベルト33が、その内面が定着ニップ部Nにおいてヒータ35に密着して摺動しながら矢示の反時計方向にガイド部材34の外回りを回転する(加圧ローラ駆動方式)。ベルト33は加圧ローラ32の回転周速度にほぼ対応した周速度をもって回転する。左右のフランジ部37aは、回転するベルト33がガイド部材34の長手に沿って左方または右方に寄り移動したとき寄り移動側のベルト端部を受け止めて寄り移動を規制する役目をする。定着ニップ部Nにおけるヒータ35とベルト33の内面との相互摺動摩擦力を低減させるために、定着ニップ部Nのヒータ面に摺動部材35dを配設し、ベルト33の内面との間に耐熱性グリスなどの潤滑剤を介在させる。
そして、プリントスタート信号に基づいて、加圧ローラ32の回転が開始され、またヒータ35のヒートアップが開始される。ベルト33の回転周速度が定常化し、ヒータ35の温度が所定に立ち上がった状態において、定着ニップ部Nにトナー画像tを担持させた記録材Pがトナー画像担持面側をベルト33側にして導入される。記録材Pは定着ニップ部Nにおいてベルト33を介してヒータ35に密着して定着ニップ部Nをベルト33と一緒に移動通過していく。その移動通過過程においてヒータ35で加熱されるベルト33により記録材Pに熱が付与されてトナー画像tが記録材P面に加熱定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pはベルト33の面から分離されて排出搬送される。
本実施例では、記録材Pの搬送は記録材中心のいわゆる中央基準搬送で行なわれる。すなわち、装置に通紙使用可能な大小いかなる幅の記録材も、記録材の幅方向中央部が定着フィルム33の長手方向中央部を通過することになる。Sはその記録材中央通紙基準線(仮想線)である。
W1は装置に通紙可能な最大幅記録材の通紙幅(最大通紙幅)である。本実施例において、この最大通紙幅W1はA3サイズ幅297mm(A3縦送り)である。ヒータ長手方向の有効発熱領域幅Aはこの最大通紙幅W1よりも少し大きくしてある。W3は装置に通紙可能な最小幅記録材の通紙幅(最小通紙幅)である。本実施例において、この最小通紙幅W3はA4Rサイズ幅210mm(A4R縦送り)である。W2は上記の最大幅記録材と最小幅記録材の間の幅の記録材の通紙幅である。本実施例において、通紙幅W2はB4サイズ幅257mm(B4縦送り)を示した。以下、最大幅記録材を大サイズ記録材、最大幅記録材よりも幅の小さい記録材を小サイズ記録材と記す。
aは最大通紙幅W1と通紙幅W2との差幅部((W1−W2)/2)、bは最大通紙幅W1と最小通紙幅W3との差幅部((W1−W3)/2)である。すなわち、それぞれ小サイズ記録材であるB4またはA4Rの記録材を通紙したときに生じる非通紙部である。本実施例においては記録材通紙が中央基準であるから非通紙部aとbはそれぞれ通紙幅W2の左右両側部、通紙幅W3の左右両側部に生じる。この非通紙部の幅は通紙使用される小サイズ記録材の幅の大小により種々異なる。
第1の温度センサTH1は、最小通紙幅W3に対応する領域のヒータ温度(=通紙部温度)を検出するように配設してある。TH2はサーミスタ等の第2の温度センサ(第2の温度検出手段:端部温度センサ)であり、非通紙部の温度を検出する。その出力(温度に関する信号値)がA/Dコンバータを介して制御回路部100に入力する。本実施例においてはこの温度センサTH2は非通紙部aに対応する定着フィルム部分の基層内面に弾性的に接触させて配設してある。具体的には、この温度センサTH2は、ガイド部材34に基部が固定される板ばね形状の弾性支持部材38の自由端に配置されている。そして、この温度センサTH2を弾性支持部材38の弾性によりフィルム33の基層33aの内面に弾性的に当接させて非通紙部aに対応するフィルム部分の温度を検出させている。
なお、第1の温度センサTH1は、通紙部W3に対応するフィルム部分の基層内面に弾性的に接触させて配設してもよい。逆に、第2の温度センサTH2は、非通紙部aに対応するヒータ温度を検出するように配設してもよい。
(2−2)送風冷却機構部20B
送風冷却機構部20Bは小サイズ記録材を連続通紙(小サイズジョブ)した際に生じる、定着機構部20Aの非通紙部の昇温を送風により冷却する。図7はこの送風冷却機構部20Bの外観斜視模式図である。図8は図7の(8)−(8)線に沿う拡大断面図である。
図1・図7・図8を参照して、本実施例における送風冷却機構部20Bを説明する。送風冷却機構部20Bは、送風手段である冷却ファン(以下、ファンと略記する)41を有す
る。また、このファン41で生じる風を導く送風ダクト42と、この送風ダクト42の定着機構部20Aの画像加熱部材であるフィルム33に対向する部分に配置された送風口(ダクト開口部)43を有する。また、この送風口43の開口幅を通紙される記録材の幅に
適した幅に調整するシャッタ(遮蔽板)44と、このシャッタを駆動するシャッタ駆動装置(開口幅調節手段)45を有する。
上記のファン41、送風ダクト42、送風口43、シャッタ44はフィルム33の長手方向左右部に対称に配置されている。49はファン41の吸気側に配設した吸気チャンネル部である。上記ファン41にはシロッコファン等の遠心ファンを使用することが可能である。
左右のシャッタ44は、送風口43を形成した、左右方向に延びている支持板46の板面に沿って左右方向にスライド移動可能に支持させてある。この左右のシャッタ44をラック歯47とピニオンギア48により連絡させ、ピニオンギア48をモータ(パルスモータ)M2で正転または逆転駆動する。これにより、左右のシャッタ44を連動してそれぞれに対応する送風口43に対して左右対称の関係で開閉動するようにしてある。上記の支持板46、ラック歯47、ピニオンギア48、モータM2によりシャッタ駆動装置45が構成されている。
左右の送風口44は、最小幅記録材を通紙したときに生じる非通紙部bよりも僅かに中央寄りの位置から最大通紙幅W1にかけて設けられている。左右のシャッタ44は支持板46の長手中央から外に向けて送風口44を所定量だけ閉める向きに配置されている。
制御回路部100には、ユーザーによる使用記録材サイズの入力や、給紙カセット13や手差しトレイ17の記録材幅自動検出機構(不図示)といった情報に基づき通紙される記録材の幅情報W(図6)がインプットされる。そして、制御回路部100は、その情報に基づき、シャッタ駆動装置45を制御する。すなわち、モータM2を駆動してピニオンギア48を回転させ、ラック歯47によりシャッタ44を移動することで送風口43を所定量だけ開くことができる。
制御回路部100は、記録材の幅情報がA3サイズ幅の大サイズ記録材であるときは、シャッタ駆動装置45を制御して、図9のように、シャッタ44を送風口43を完全に閉ざした全閉位置に移動する。また、A4Rサイズ幅の小サイズ記録材であるときは、図10のように、シャッタ44を送風口43を完全に開いた全開位置に移動する。また、B4サイズ幅の小サイズ記録材であるときは、図11のように、シャッタ44を、非通紙部aに対応する部分だけ送風口43を開いた位置に移動する。
図には省略したけれども、通紙される小サイズ記録材がLTR−R、EXE、K8、LTR等である場合には、制御回路部100は、それらの場合に生じる非通紙部に対応する分だけ送風口を開いた位置にシャッタ44を移動する。
すなわち、送風口43の開口幅は記録材の幅方向長さに応じてシャッタ44を移動させることにより可変である。
ここで、本実施例における最小、最大および全用紙サイズとは、画像形成装置本体が保証する仕様紙のことであり、ユーザが独自に使用する不定形サイズ紙ではない。
シャッタ44の位置情報はシャッタ44の所定位置に配置されたフラグ50を支持板46上に配置されたセンサ51により検出する。具体的には、図9のように、送風口43を全閉したシャッタ位置でホームポジションを定め、開口量はモータM2の回転量から検出している。
シャッタ44の現在位置を直接検出する開口幅検出センサを具備させ、該センサによるシャッタ位置情報を制御回路にフィードバックして、通紙される記録材の幅に対応させてシャッタ44を適正な開口幅位置に移動制御するようにすることもできる。シャッタの停止位置はシャッタのエッジ位置をセンサで検出することで、小サイズ記録材の幅方向の長さに対応する位置を精度良く定められる。従って、全小サイズ記録材の非通紙領域に対してのみ冷却風の送風を行なうことができる。
(2−3)送風冷却機構部20Bの動作シーケンス
本実施例において制御回路部100が行なう送風冷却機構部20Bの動作シーケンスについて図12を用いて説明する。
ステップS1〜S3:プリンタのスタンバイ状態においては、冷却は不要であり、冷却動作はしない。この場合は、送風手段であるファン41はオフである。シャッタ44は、図9のように、ホームポジションすなわち送風口43を完全に閉ざした全閉状態に保つ。
ステップS4:プリントジョブをスタートさせる。
ステップS5:通紙使用される記録材のサイズ判断をする。最大通紙幅W1に対応の大サイズ記録材(本例では、A3サイズ紙)である場合には、冷却は不要であり、冷却動作はしない。すなわち、冷却ファン41はオフ、シャッタ44は全閉状態のままに保持される。
ステップS6:小サイズ記録材(例えば、A4R,B5等)である場合には、第2の温度センサ(温度検出素子)TH2により検出される非通紙部の温度tを監視する。
非通紙部の温度tが所定の第1基準温度T0以下のときは、冷却ファン41はオフ、シャッタ44は全閉状態(閉じ位置)のままに保持させる。
ステップS7:非通紙部の温度tが所定の第1基準温度T0を超えたら、シャッタ駆動装置45を制御して、シャッタ44を、通紙される小サイズ記録材の非通紙部に対応する部分だけ送風口43を開いた位置に移動させる。ファン41はオフのままである。
ステップS8:さらに、第2の温度センサTH2により検出される非通紙部の温度tを監視する。
ステップS9:非通紙部の温度tが前記第1基準温度T0よりも高い所定の第2基準温度T1を超えたら、ファン41をオンする。すなわち、ここで冷却動作を開始させる。これにより、定着機構部20Aのフィルム33の非通紙部昇温部分が送風口43からの送風で冷却される。
ステップS10:さらに、第2の温度センサTH2により検出される非通紙部の温度tを監視する。
上記の送風冷却により非通紙部の温度tが、前記第2基準温度T1以下で、前記第1基準温度T0よりも高い、所定の第3基準温度T2以下に低下したことが第2の温度センサTH2により検出されるまで、ファン41を稼動して、冷却動作を続行する。
ステップS11:第2の温度センサTH2により非通紙部の温度tが第3基準温度T2以下に低下したことが検出されると、ファン41をオフにする。すなわち、冷却動作を停止させる。シャッタ44の位置はそのまま保持させる。
ステップS12:プリントジョブが終了しない限り、ステップS8〜S11の繰り返しにより、ファン41のオン・オフの繰り返し制御がなされる。すなわち、冷却動作のオン・オフの繰り返し制御により、非通紙部の昇温は第2基準温度T1以下と第3基準温度T2以上の間に温調される。
ステップS13・S14:プリントジョブが終了すると、その終了時点でファン41がオンしている場合はオフにする。また、シャッタ44を、ホームポジションすなわち送風口43を完全に閉ざした全閉状態に戻す。
上記の動作シーケンスにおいては、小サイズ記録材のプリントジョブ実行中におけるファン41のオフ時(ステップS11)以外は、ファン41が動作しないときは、シャッタ44を送風口43に対して閉じ位置に保持させている。すなわち、シャッタ44で、定着機構部20Aと送風手段であるファン41を遮蔽している。
これにより、冷却動作時以外のときにシャッタ44が開いていて定着機構部20A側の熱気による雰囲気温度の上昇でファン41が過昇温し、故障したり、寿命が短くなるのを防止することができる。
すなわち、小型のダクト、ファンで構成される送風冷却機構部20Bで、小サイズ連続
上記の本実施例は、ステップS6・S7において、第2基準温度T1以下で第1基準温度T0を超える温度でより、まずシャッタ44を開動作させて、早めに最適開口状態とする。これにより、非通紙部が冷却を必要とする第2基準温度T1を超えたときにすぐにファンによる冷却ができるようにしたものである。
《第1参考例》

シャッタ44の開閉動作時間が短く、非通紙部が冷却を必要とする第2基準温度T1に達したときに瞬時に最適開口状態にできるのであれば、T0=T1として、図13のような動作シーケンスが好ましい。すなわち、図13のステップS8・・S9・S9Aのように、ファン41のオンと同時的に、シャッタ44を、通紙される小サイズ記録材の非通紙部に対応する部分だけ送風口43を開いた位置に移動させる。
《第2参考例》
本参考例は、小サイズ記録材のプリントジョブ実行中におけるファン41のオフ時も、シャッタ44を一旦ホームポジションに戻し移動して全閉状態にするようにしたものである。
図14は、図13の動作シーケンスにおいて、ステップS11のファン41のオフとほぼ同時に、ステップS11Aのように、シャッタ44を一旦ホームポジションに戻し移動して全閉状態にしたものである。プリントジョブが終了しない限り、ステップS8〜S11Aの繰り返しにより、ファン41のオン・オフの繰り返し制御がなされる。その都度、すなわち、非通紙部の昇温は第2基準温度T1と第3基準温度T2の間に温調される。シャッタ44の開動作(S9A)と閉動作(S11A)がなされる。
このように、ファンのオン/オフに応じて、オフしているときは必ずシャッタ44を閉じることで、ファンの雰囲気温度をより低い温度に維持でき、ファンの寿命アップに繋がる。
ここで、以下に述べるように、送風手段であるファン41をオンする必要がない、すなわち非通紙部を冷却する必要がないときは、送風口のシャッタ44を閉じ位置に保持させる。これにより、定着機構部20Aの熱気でファン41の雰囲気温度が上がらないように制御できる。ファン41をオンする必要がないときとは、例えば、1)大サイズ記録材通紙時、2)小サイズ記録材を少数通紙する場合、3)所定枚数分の小サイズ記録材の最後の記録材の通紙を終了したジョブ終了時などである。
ファン41が動作(オン)していない時は、定着機構部20Aとファン41を遮蔽する為、ファン部の雰囲気温度上昇せず、小型な送風冷却機構部20Bにおいても、ファンの寿命が短くなることなく、効率良く非通紙部昇温を防止できる。これにより、小サイズ記録材の連続通紙時の生産性を落さないようにした画像加熱装置を提供できる。
近年、エネルギー消費を抑えるために、装置の熱容量を小さくし、ウォームアップタイムを短縮するような画像加熱装置が提案されている。特にこのような熱容量の小さい装置においては小サイズ記録材通紙により、非通紙部が過昇温しやすいので、本発明の構成が有効である。
上記において加熱回転部材(画像加熱部材)33は低熱容量の薄肉ローラタイプであるとしたが、特にこれに限定されるものではなく、ベルトタイプのものでも同様の効果が得られる。
画像加熱手段20Aは実施例1のフィルム加熱方式の加熱装置に限られず、熱ローラ方式の加熱装置、その他の構成の加熱装置とすることができる。電磁誘導加熱方式の装置にすることもできる。
また、画像加熱手段20Aは記録材の通紙を片側搬送基準で行なう構成のものであっても同様の効果が得られる。
実施例の定着装置(画像加熱装置)の概略構成を示す横断面模式図 その定着装置を搭載した画像形成装置の一例の縦断面模式図 その定着装置の定着機構部の正面模式図 その定着機構部の縦断正面模式図 定着フィルムの層構成模型図 ヒータの横断面模型図と制御系統のブロック図 送風冷却機構部の外観斜視模式図 図7の(8)−(8)線に沿う拡大断面図 シャッタが送風口を完全に閉ざした全閉位置に移動した状態図 シャッタが送風口を完全に開いた全開位置に移動した状態図 シャッタが送風口を非通紙部aに対応する部分だけ開いた位置に移動した状態図 実施例1における送風冷却機構部の動作シーケンス図 第1参考例における送風冷却機構部の動作シーケンス図 第2参考例における送風冷却機構部の動作シーケンス図 従来例に係わる構成図
20・・定着装置(画像加熱装置)、20A・・定着機構部(画像加熱手段)、20B
・・送風冷却機構部(冷却手段)、TH1・・第1の温度検出手段、TH2・・第2の温
度検出手段、100・・制御回路部

Claims (3)

  1. 記録材上の画像をニップ部にて加熱する画像加熱部材と、前記画像加熱部材の所定の領域を冷却するための送風口に向けて送風する送風手段と、前記送風口を開閉するシャッタと、前記画像加熱部材の前記所定の領域の温度を検知する温度検知部材と、を有する画像加熱装置において、
    記録材の搬送方向と直交する方向において通紙可能な最大サイズの幅よりも小さい記録材を連続して通紙するジョブを実行する際に、前記ジョブの開始時から前記温度検知部材が第一検知温度に達するまでは前記送風手段の停止と前記シャッタの閉状態を維持し、前記第一検知温度に達すると前記送風手段を停止させたまま前記シャッタを開放し、前記第一検知温度よりも高い第二検知温度に達すると前記送風手段を動作させることを特徴とする画像加熱装置。
  2. 前記ジョブの実行中に前記シャッタを開放した後は、前記ジョブの終了まで前記シャッタの開放状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
  3. 前記温度検知部材の検知温度に応じて前記送風手段の動作と停止とが制御されることを特徴とする請求項2に記載の画像加熱装置。
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