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JP4718646B2 - カプセル型推進装置およびその作動方法 - Google Patents

カプセル型推進装置およびその作動方法 Download PDF

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Description

本発明は、カプセル型推進装置およびそれを備えた医療システムに関し、特に音響流を発生させて推進力を得ることが可能なカプセル型推進装置およびそれを備えた医療システムに関する。
例えば医療分野においては、従来から、人や動物などの被検体内に導入されて被検体内の各種情報を取得する情報取得機能と、取得した情報や外部からの制御信号などを無線回線を介して送受信する無線通信機能と、を備えた飲み込み型のカプセル型医療装置が存在する(例えば以下に示す特許文献1参照)。また、この特許文献1には、外部から操作可能な圧電素子を振動させて音響流を発生させることで被検体内での移動を可能にしたカプセル型医療装置が開示されている。
特開平4−144533号公報 特開2006−93916号公報
しかしながら、液体などの音場内で音響流を発生させるためには、音響流発生部と音響流の進行方向に存在する物体との間にある程度の距離が必要となる。これは、圧電素子などの音響流発生部と物体との間に音響流の媒質となる液体などを介在させる空間がある程度存在しなければ、媒質の流れ、すなわち音響流を発生させることができないためである。このため、被検体内推進装置であるカプセル型医療装置の被検体内での位置や向きによっては音響流発生部と物体との間に音響流を発生させるのに十分な距離を確保することができず、カプセル型医療装置が所望する方向へ移動できない場合が生じるという問題が発生していた。
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、被検体内での位置や向きによらずに所望する方向へ移動することが可能なカプセル型推進装置およびそれを備えた医療システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によるカプセル型推進装置は、音波を伝播する媒質が存在する空間内中に導入されるカプセル型推進装置であって、前記空間内中に前記媒質の流れである音響流を発生させる少なくとも1つの音響流発生部と、前記音響流発生部の駆動制御を行う制御部と、前記音響流発生部と前記空間内中に存在する物体との対物距離を取得する距離取得部と、前記カプセル型推進装置とは別体に構成され、操作指示入力部での操作指示入力により前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部と、を備え、前記制御部が、前記距離取得部にて取得した距離情報に基づいて前記音響流発生部の駆動制御を行うものであって、前記操作指示入力部の入力に対応して送信される操作信号に基づいて、前記移動方向へ移動するために駆動する音響流発生部を1つ以上特定し、前記距離取得部が取得した対物距離が前記音響流発生部と前記物体との間に音響流を発生させるのに必要な距離となる予め定められた所定の閾値未満の場合、該特定した音響流発生部の駆動を停止することを特徴とする。
上記した本発明によるカプセル型推進装置は、前記制御部が、さらに前記移動方向と反対方向へ移動するための前記音響流発生部を少なくとも1つ特定して、所定時間駆動させることを特徴とする。
上記した本発明によるカプセル型推進装置は、前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、前記音響流発生部が、音響流を発生させることで当該カプセル型推進装置に推進力を与える少なくとも1つの第1音響流発生部と、音響流を発生させることで当該カプセル型推進装置に回転力を与える少なくとも1つの第2音響流発生部と、を含み、前記制御部が、前記距離取得部によって取得された対物距離が所定の閾値以上の対物距離が確保された第2音響流発生部を駆動して当該カプセル型推進装置を回転させ、該回転後の前記第1音響流発生部と前記物体との対物距離が前記所定の閾値以上となるように制御することを特徴とする。
上記した本発明によるカプセル型推進装置は、前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、前記制御部が、前記移動方向へ移動するための第1音響流発生部を少なくとも1つ特定し、前記距離取得部によって取得された該第1音響流発生部と前記物体との対物距離が所定の閾値未満である場合、前記物体から遠ざかる方向へ移動するための前記物体との距離が前記所定の閾値以上確保された第2音響流発生部を少なくとも1つ特定し、該第2音響流発生部を駆動制御することを特徴とする。
上記した本発明によるカプセル型推進装置は、前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、前記制御部が、前記移動方向へ移動するために駆動する第1音響流発生部を少なくとも1つ特定し、前記距離取得部によって取得された該第1音響流発生部と前記物体との対物距離が所定の閾値未満である場合、前記物体に近づく方向へ移動するための第2音響流発生部を少なくとも1つ特定し、該第2音響流発生部を駆動制御し、該第2音響流発生部の駆動を当該カプセル型推進装置が前記物体へ衝突する前に停止することを特徴とする。
上記した本発明によるカプセル型推進装置は、前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部と、前記音響流発生部の前記音響流を発生させる向きを変化させる音響流発生向変化部と、をさらに備え、前記制御部が、前記移動方向へ移動するために駆動する音響流発生部を少なくとも1つ特定し、前記距離取得部によって取得された該特定した音響流発生部と前記物体との対物距離が所定の閾値以上となるように、前記音響流発生向変化部を駆動制御して該音響流発生部の向きを変化させることを特徴とする。
上記した本発明によるカプセル型推進装置は、前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部と、当該カプセル型推進装置に固定された磁性体と、前記磁性体に影響を与えて当該カプセル型推進装置の傾きを制御し、前記音響流発生部に前記音響流を発生させる外部磁界発生部と、をさらに備え、前記制御部が、前記移動方向へ移動するために駆動する音響流発生部を少なくとも1つ特定し、前記距離取得部によって取得された該特定した音響流発生部と前記物体との対物距離が所定の閾値以上となるように前記外部磁界発生部からの磁界を制御して前記音響流発生部の向きを変化させることを特徴とする。
上記した本発明によるカプセル型推進装置は、当該カプセル型推進装置の密度が、前記媒質の密度と同等または前記媒質の密度よりも小さいことを特徴とする。
上記した本発明によるカプセル型推進装置は、前記音響流発生部が、所定の共振周波数が印加される圧電素子と、該圧電素子において発生した振動のうち前記カプセル型推進装置側へ伝播される成分を吸収する振動吸収部と、前記圧電素子から出力される振動波の指向性を高める音響レンズと、を含むことを特徴とする。
上記した本発明によるカプセル型推進装置は、前記距離取得部が、前記音響流発生部が発生させる前記音響流の流れる方向へ光を出力する発光部と、前記物体で反射された光を検出する受光部と、を含む光学的測距センサであることを特徴とする。
また、本発明によるカプセル型推進装置の作動方法は、音波を伝播する媒質中でカプセル型推進装置を推進させるカプセル型推進装置の作動方法であって、前記カプセル型推進装置の移動方向を指示する操作の入力を入力受付部で受け付ける操作指示入力受付ステップと、前記カプセル型推進装置から前記媒質中に存在する物体までの距離を距離取得部で測定する測距ステップと、前記測距ステップで測定された前記物体までの距離に基づいて、前記操作指示入力受付された方向へ移動可能か否かを前記測距ステップで測定された前記物体までの距離が音響流発生部と当該物体との間に音響流を発生させるのに必要な距離となる予め定められた所定の閾値未満であるか否かに基づいて制御部で判定する判定ステップと、前記判定ステップで移動可能と判断された場合、前記制御部が、前記測距ステップで測定された前記物体までの距離が前記所定の閾値以上である1つ以上の音響流発生部に前記カプセル型推進装置を推進させるための音響流を発生させる音響流発生ステップと、を含むことを特徴とする。
上記した本発明による作動方法は、前記音響流発生ステップが、前記測距ステップで測定された前記物体までの距離に基づいて、前記音響流の発生方向と出力強度とを特定することを特徴とする。
上記した本発明による作動方法は、前記音響流発生ステップが、前記測距ステップで測定された前記物体までの距離に基づいて前記カプセル型推進装置の移動方向と前記音響流の発生方向および出力強度の情報との対応関係を管理する音響流制御テーブルを参照することで、前記音響流の発生方向と出力強度とを特定することを特徴とする。
本発明によれば、所定の閾値以上の対物距離が取得された音響流発生部を駆動して音響流を発生させることで推進力を得るように構成されているため、被検体内での位置や向きによらずに所望する方向へ移動することが可能なカプセル型推進装置およびそれを備えた医療システムを実現することが可能である。
図1は、本発明の実施の形態1による医療システムの概略構成を示す模式図である。 図2は、本発明の実施の形態1によるカプセル型医療装置の概略構成を示す外観図である。 図3は、本発明の実施の形態1によるカプセル型医療装置およびこれと無線回線を介して接続される操作端末よりなる医療システムの概略構成を示すブロック図である。 図4Aは、図2におけるA−A’断面の概略配置構成を示す断面図である。 図4Bは、図2におけるB−B’断面の概略配置構成を示す断面図である。 図4Cは、図2におけるC−C’断面の概略配置構成を示す断面図である。 図5Aは、本発明の実施の形態1によるカプセル型医療装置が1つの音響流発生部を用いて移動する際の音響流発生部の動作を示す図である。 図5Bは、本発明の実施の形態1によるカプセル型医療装置が複数(例えば2つ)を用いて移動する際の各音響流発生部の動作を示す図である。 図6は、本発明の実施の形態1において音響流発生部で発生した音波を距離計測部で検出する際の概要を説明するための図である。 図7は、本発明の実施の形態1による操作端末を用いてカプセル型医療装置を操作する際の全体動作例を示すフローチャートである。 図8は、本発明の実施の形態1による移動制御処理の動作例を示すフローチャートである。 図9は、本発明の実施の形態1による全周囲測距処理の動作例を示すフローチャートである。 図10は、本発明の実施の形態による操作端末の概略構成を示す外観図である。 図11は、本発明の実施の形態1による駆動制御テーブルの一例を示す図である。 図12Aは、本発明の実施の形態1によるカプセル型医療装置における上段に配設された3つの音響流発生部と操作端末の表示部の座標(表示向き)との関係を示す図である。 図12Bは、本発明の実施の形態1によるカプセル型医療装置における下段に配設された3つの音響流発生部と操作端末の表示部の座標(表示向き)との関係を示す図である。 図13は、本発明の実施の形態1による対物距離確保処理の動作例を示すフローチャートである。 図14は、本発明の実施の形態によるカプセル型医療装置が物体(胃壁)に対してどのように制御されるかを説明するための概念図である。 図15は、本発明の実施の形態1による音響流発生部の変形例1の概略構成を示す断面図である。 図16は、本発明の実施の形態1による音響流発生部の変形例2の概略構成を示す断面図である。 図17は、本発明の実施の形態1の変形例3による移動制御処理の動作例を示すフローチャートである。 図18は、本発明の実施の形態1による距離計測部の変形例4の概略構成を示す断面図である。 図19は、本発明の実施の形態1の変形例5によるカプセル型医療装置の概略構成を示す外観図である。 図20Aは、図19におけるD−D’断面の概略配置構成を示す断面図である。 図20Bは、図19におけるE−E’断面の概略配置構成を示す断面図である。 図21は、本発明の実施の形態1の変形例5によるカプセル型医療装置およびこれと無線回線を介して接続される操作端末よりなる医療システムの概略構成を示すブロック図である。 図22は、本発明の実施の形態1の変形例5による移動制御処理の動作例を示すフローチャートである。 図23は、本発明の実施の形態1の変形例5による全周囲測距処理の動作例を示すフローチャートである。 図24は、本発明の実施の形態1の変形例5による対物距離確保処理の動作例を示すフローチャートである。 図25は、本発明の実施の形態2によるカプセル型医療装置の動きを説明するための概略図である。 図26は、本発明の実施の形態2による移動制御処理の動作例を示すフローチャートである。 図27は、本発明の実施の形態2による対物距離確保処理の動作例を示すフローチャートである。 図28Aは、本発明の実施の形態3によるカプセル型医療装置の概略構成を示す外観図である(その1)。 図28Bは、本発明の実施の形態3によるカプセル型医療装置の概略構成を示す外観図である(その2)。 図29は、本発明の実施の形態3によるカプセル型医療装置およびこれと無線回線を介して接続される操作端末よりなる医療システムの概略構成を示すブロック図である。 図30は、本発明の実施の形態3によるカプセル型医療装置の動きを説明するための概略図である。 図31は、本発明の実施の形態3によるカプセル型医療装置の他の動きを説明するための概略図である。 図32は、本発明の実施の形態3による移動制御処理の動作例を示すフローチャートである。 図33は、本発明の実施の形態3による全周囲測距処理の動作例を示すフローチャートである。 図34は、本発明の実施の形態3による対物距離確保処理の動作例を示すフローチャートである。 図35は、本発明の実施の形態4による医療システムの概略構成を示す模式図である。 図36は、本発明の実施の形態4によるカプセル型医療装置およびこれと無線回線を介して接続される操作端末よりなる医療システムの概略構成を示すブロック図である。 図37は、本発明の実施の形態4による移動制御処理の動作例を示すフローチャートである。 図38は、本発明の実施の形態4による対物距離確保処理の動作例を示すフローチャートである。 図39は、本発明の実施の形態5によるカプセル型医療装置の動きを説明するための概略図である。 図40は、本発明の実施の形態5によるカプセル型医療装置およびこれと無線回線を介して接続される操作端末の概略構成を示すブロック図である。 図41は、本発明の実施の形態5による全周囲測距処理の動作例を示すフローチャートである。 図42は、本発明の実施の形態6による医療システムの概略構成を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。さらに、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。さらにまた、後述において例示する数値は、本発明の好適な例に過ぎず、従って、本発明は例示された数値に限定されるものではない。
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1による医療システム1の構成および動作を、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施の形態では、カプセル型推進装置として、被検体900の胃902内に蓄えた液体904に浮かぶカプセル型医療装置10を用い、また、このカプセル型医療装置10を用いて胃902の内壁画像を取得する場合を例に挙げて説明する。ただし、本発明はこれに限定されず、食道から肛門にかけて移動する途中で被検体900内の何らかの情報を取得するカプセル型推進装置またはカプセル型医療装置にも適用することが可能である。また、カプセル型医療装置10が取得する被検体内情報としては、撮像画像に限らず、体内中のpH値や細胞組織や血液や体液など、種々の情報とすることができる。さらに、液体904が蓄えられる臓器は、胃902に限らず、例えば小腸や大腸など、各種器官とすることができる。さらにまた、液体904には、例えば生理食塩水や水など、被検体900およびカプセル型医療装置10に対して悪影響を与えない液体を用いることが好ましい。なお、液体904は、透明であることが好ましい。これにより、例えば被検体内情報として被検体内画像を取得する場合に、液体904によって撮像画像が不鮮明となることを回避することができる。
(構成)
図1は、本実施の形態による医療システム1の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、医療システム1は、例えば経口で被検体900内に導入されて胃902に蓄えられた液体904に浮遊するカプセル型医療装置10と、このカプセル型医療装置10をユーザが外部からワイヤレスで操作するための操作端末80と、を備える。操作端末80は、カプセル型医療装置10で取得した画像を表示する表示部81と、カプセル型医療装置10を所望する方向へ移動させたり、表示部に表示する画像を切り替えたり、電源をON/OFFしたりなどの種々の操作を入力する操作ボタンを1つ以上含む入力部82と、を備える。
・カプセル型医療装置
ここで、本実施の形態によるカプセル型医療装置10の概略構成を、図面を用いて詳細に説明する。図2は、カプセル型医療装置10の概略構成を示す外観図である。また、図3は、カプセル型医療装置10およびこれと無線回線を介して接続される操作端末80よりなる医療システム1の概略構成を示すブロック図である。
また、キャップ19−1および19−2は透明な材料で形成される。後述する受光ユニット105aおよび発光部105bの光軸は、この透明なキャップ19−1または19−2を通過してカプセル型医療装置10の外部(例えば胃壁)へ向いている。例えば、本実施の形態では、上側に配置された撮像部(被検体内情報取得手段)105−1の受光ユニット105aおよび発光部105bの光軸が上方(z軸方向)を向いているものとし、下側に配置された撮像部(被検体内情報取得手段)105−2の受光ユニット105aおよび発光部105bの光軸が下方(−z軸方向)を向いているものとする。ただし、これに限定されず、各光軸が、例えば、y軸方向に傾いていたり、y軸方向を向いていたりなど、種々変形することが可能である。さらに、キャップ19−1および19−2それぞれは、受光ユニット105aへ入射する光および/または発光部105bから放射する光の配光を調整するためのレンズとしての機能も果たしている。後述する撮像部105−1および105−2(図3参照)は、それぞれ図2の発光部105bを駆動して胃902内部を照らした際の光を受光ユニット105aで受光することで、被検体内画像を画像データとして取得する。なお、受光ユニット105aには、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラなどを用いることができる。また、発光部105bには、例えばLED(Light Emitting Diode)などを用いることができる。
また、図2に示すように、胴体部18周囲には、少なくとも1つの音響流発生部106−1〜106−6が設けられている。ここで、図4A〜図4C、並びに、図5A、図5Bおよび図6を用いて、本実施の形態による音響流発生部106−1〜106−6および距離計測部107−1〜107−6の配置例、並びに、音響流発生部106−1〜106−6および距離計測部107−1〜107−6の動作例を説明する。
図4Aは図2におけるA−A’断面の概略配置構成を示す断面図であり、図4Bは図2におけるB−B’断面の概略配置構成を示す断面図であり、図4Cは図2におけるC−C’断面の概略配置構成を示す断面図である。また、図5Aはカプセル型医療装置10が1つの音響流発生部を用いて移動する際の動作を示す図であり、図5Bはカプセル型医療装置10が複数(例えば2つ)を用いて移動する際の動作を示す図である。さらに、図6は、音響流発生部で発生した音波または超音波(以下、音波で統一する)を距離計測部で検出する際の概要を説明するための図である。なお、以下の説明において、任意の音響流発生部106−1〜106−6の参照符号を106とし、任意の距離計測部107−1〜107−6の参照符号を107とする。
図4Aおよび図4Bに示すように、各音響流発生部106−1〜106−6は、自身が発生させる音響流の進行方向(これを音響流軸A1〜A6という)が互いに異なる方向へ向くように、胴体部18の側面に配置される。本実施の形態では、例として6つの音響流発生部106−1〜106−6を用い、その内の3つ(106−1〜106−3)を一方のキャップ19−1側(これを上段とする)に配置し、残りの3つ(106−4〜106−6)を他方のキャップ19−2側(これを下段とする)に配置する。また、上段または下段にそれぞれ配置された3つの音響流発生部106−1〜106−3または106−4〜106−6は、互いに音響流軸A1〜A3またはA4〜A6のなす角度が120°となるように配置される。これにより、上段の音響流発生部106−1〜106−3のうちの1つ以上を用いてxy平面におけるあらゆる方向への推進力を発生させることが可能となる。同様に、下段の音響流発生部106−4〜106−6のうちの1つ以上を用いてxy平面におけるあらゆる方向への推進力を発生させることが可能となる。さらに、上段に配設された3つの音響流発生部106−1〜106−3は、下段に配設された3つの音響流発生部106−4〜106−6に対してその向きがそれぞれ60°ずれている。これにより、例えば上段の音響流発生部106−1〜106−3の駆動を禁止する場合でも、下段の音響流発生部106−4〜106−6を駆動して、カプセル型医療装置10を移動させることが可能となる。ただし、本発明では、xy平面におけるあらゆる方向への推進力を発生させることが可能であれば、上述した数および向きに限定されず、種々変形することができる。
各音響流発生部106−1〜106−6は、図5Aの音響流発生部106に示すように、例えば、平板状の圧電素子106aと、この圧電素子106aで発生した振動がカプセル型医療装置10側へ伝播するのを防止するダンピング部(振動吸収部)106bと、を備える。圧電素子106aには、振幅方向が胴体部18側面に対して垂直方向(法線方向)の振動が生じるように、所定の共振周波数の交流電圧が印加される。このため、図5Aに示すように、音響流発生部106が発生させる音響流W1は、胴体部18側面に対して法線方向に進行する。言い換えれば、音響流発生部106−1〜106−6が発生させる音響流の音響流軸A1〜A6は、それぞれカプセル型医療装置10の側面に対して法線方向を向いている。したがって、この音響流W1により得られる推進力F1は、音響流W1の進行方向に対して逆向き(−A1方向)となる。なお、圧電素子106aに印加する交流電圧の周波数は、圧電素子106aが音響流を発生させることができる程度以上の共振周波数である必要がある。なお、この共振周波数は、通常、数MHz程度以上である。
また、図5Bに示すように、複数(例えば2つ)の音響流発生部106を同時に駆動することで、各音響流発生部106により発生された推進力(例えば音響流W2により得られる推進力F2および音響流W3により得られる推進力F3)を合成することも可能である。この際、各音響流発生部106の圧電素子106aに印加する交流電圧の周波数や振幅を調整することで、各々の推進力を調整することが可能であるため、複数の推進力(例えば推進力F2およびF3)を合成した力(これを合成推進力F4という)の向きおよび大きさを制御することが可能となる。
このように、本実施の形態によるカプセル型医療装置10は、上段の音響流発生部106−1〜106−3のうちの1つ以上を駆動することでxy平面におけるあらゆる方向への推進力(合成推進力)を得ることが可能であるため、xy平面におけるあらゆる方向への移動が可能である。同様に、下段の音響流発生部106−4〜106−6のうちの1つ以上を駆動することでxy平面におけるあらゆる方向への推進力(合成推進力)を得ることが可能であるため、xy平面におけるあらゆる方向への移動が可能である。
また、図2および図4Cに示すように、胴体部18周囲には、各音響流発生部106−1〜106−6からこれが発生させた音響流の進行方向に存在する物体までの距離を計測するための距離計測部107−1〜107−6が複数設けられている。本実施の形態では、1つの音響流発生部106に対して1つの距離計測部107が設けられている。ただし、これに限定されず、複数の音響流発生部106に対して1つの距離計測部107を設けるなど、種々変形することができる。
距離計測部107は、例えばマイクロフォンなどで構成され、対応付けられた音響流発生部106に近接して配設される。この距離計測部107は、図6に示すように、音響流発生部106から出力された音波Wsのうち物体(例えば胃壁902A)で反射されて帰って来た波(反射波Wr)を検出する。なお、距離計測のために音響流発生部106が出力する音波Wsは、推進力を発生させるために音響流発生部106が出力する音波よりも微弱であることが好ましい。これは、音響流を発生させる場合の周波数(共振周波数)よりも十分に小さい周波数の交流電圧を圧電素子106aに印加することで発生させることができる。
また、物体までの距離は、例えば音響流発生部106が音波Wsを出力してから距離計測部107がこの音波Wsの反射成分(反射波Wr)を検出するまでの間の時間を計測してこれに音波Wsの伝播速度を乗算することで算出する方法や、出力している音波Wsの位相(または音響流発生部106に印加する交流電圧の位相)と距離計測部107で検出されている反射波Wrの位相とを比較することで算出する方法など、種々の方法を用いることができる。なお、これらの演算は、例えば距離計測部107の検出値が制御部101に入力されて、制御部101において実行される。
この他、本実施の形態によるカプセル型医療装置10は、例えば胃902に蓄えられた液体904に浮かんだ状態または潜った状態での姿勢を制御するために、その重心がカプセル型医療装置10の中心から所定方向に外されている。本実施の形態では、キャップ19−1側の撮像部105−1が上方または液面904Aよりも上の胃壁902Aの画像を取得し、キャップ19−2側の撮像部105−2が下方または液面904Aよりも下の胃壁902Aの画像を取得するように構成するために、カプセル型医療装置10の重心がキャップ19−2側に片寄っている。これは、例えばキャップ19−2の重量をキャップ19−1よりも重くしたり、胴体部18並びにキャップ19−1および19−2よりなる筐体内部に設ける各部をキャップ19−2側に片寄って配設したり、鉛板などの錘部をキャップ19−2側に撮像時に邪魔にならないように配設したりなど、種々の構成で実現することが可能である。
また、カプセル型医療装置10は、例えば液体904の液面904Aを遊泳するか、もしくは、液体904中を潜泳することが可能な構成とするために、その比重が液体904の比重よりも小さいか、もしくは、同程度であることが好ましい。本実施の形態では、例えば図6に示すように、カプセル型医療装置10の比重を、少なくとも上方に位置するキャップ19−1の一部が液面904Aから突出する程度に軽く、且つ、上段に配設された音響流発生部106の少なくとも一部が液面904A下に配設される程度に重くする。
また、図3に示すように、カプセル型医療装置10の筐体(18、19−1、19−2)内には、例えば、カプセル型医療装置10に搭載された各部の制御や各種処理を実行するための制御部101と、操作端末80へ出力するデータや操作端末80から入力されたデータを処理する信号処理部102と、操作端末80との信号の送受信を制御する信号送受信部103と、被検体内画像を画像データとして取得する2つの撮像部105−1および105−2と、撮像部105−1および105−2により取得された被検体内画像の画像データや信号送受信部103を介して受信した制御命令等の各種データや制御部101がカプセル型医療装置10内の各部を制御するために実行する各種プログラム等を記憶する記憶部104と、カプセル型医療装置10の推進力を発生させる複数の音響流発生部106−1〜106−6と、各音響流発生部106−1〜106−6と物体との距離を測定するための距離計測部107−1〜107−6と、が設けられる。
制御部101は、例えば記憶部104から読み出した各種制御プログラムや信号送受信部103を介して操作端末80から受信した操作指示等に基づいてカプセル型医療装置10内の各部を制御/駆動することで、撮像動作や送受信動作などの種々の動作を各部に実現させる。この制御部101は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Microprocesser)などの情報処理装置を用いて構成することができる。
記憶部104は、制御部101が適宜実行する各種制御プログラムや撮像部105−1および105−2が取得した画像データや信号送受信部103を介して受信した各種データやその他の設定情報等を記憶する。この記憶部104は、例えばRAM(Random Access Memory)などを用いて構成することができる。また、記憶部104には、上述した各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)が含まれていても良い。
各撮像部105−1および105−2は、例えば、被検体900内の画像を画像データとして取得する受光ユニット105a(図2参照)と、撮像時に被検体900内を光で照らすための1つ以上の発光部105bと、が所定の駆動/制御回路および配線等を備える回路基板上に搭載された構成を有する。この撮像部105−1および105−2は、制御部101からの制御の下で動作することで、適宜、被検体内画像(胃902の内壁画像)を画像データとして取得する。取得された画像データは、例えば制御部101を介して記憶部104に記録されるか、もしくは、信号処理部102で所定の処理が行なわれた後、信号送受信部103より操作端末80へ送られる。なお、受光ユニット105aの受光面側に対物レンズなどを配設してもよい。
信号処理部102は、送信データの符号化や受信データの復号化など、所定の処理を実行する。また、信号送受信部103は、信号処理部102から入力された送信信号の送信用の基準周波数信号への重畳や変調やアップコンバート等、または、受信した周波数信号のフィルタリングやダウンコンバートや復調等を実行する。なお、これら信号処理部102および信号送受信部103は、外部装置である操作端末80から移動指示や電源のON/OFFなどの入力を受け付け、これを制御部101へ入力する入力受付部として機能する。
なお、音響流発生部106−1〜106−6および距離計測部107−1〜107−6は、上述したものと同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
・操作端末
また、図1に示す操作端末80は、図3に示すように、カプセル型医療装置10の信号送受信部103と無線回線を確立して信号の送受信を行なう信号送受信部802と、信号送受信部802を介して入力された受信データや入力部82から入力されたデータに対して所定の演算処理を実行する信号演算部801と、カプセル型医療装置10から送られた被検体内画像をユーザへ表示する表示部81と、ユーザが操作を入力する入力部82と、カプセル型医療装置10から送られた被検体内画像の画像データや入力部82が発生した操作信号に対応するデータ(本説明では単に操作指示という)やその他信号演算部801が各種動作を実行するための各種プログラム等を記憶する記憶部803と、を備える。
この構成において、カプセル型医療装置10から送られた画像データなどの受信データは、信号送受信部802において所定の処理がなされた後、信号演算部801に入力される。信号演算部801は、画像データに伸長/圧縮等の処理を実行した後、これを表示部81に入力して表示させる。
また、入力部82における何れかの操作ボタンがユーザにより押下されると、入力部82は押下された操作ボタンに対応する信号(これを操作信号という)を発生し、これを信号演算部801に入力する。信号演算部801は、入力された操作信号に対応する操作指示を記憶部803から読み出し、これを信号送受信部802を介してカプセル型医療装置10へ送信する。
このように本実施の形態では、ユーザが操作端末80で操作可能なカプセル型医療装置10を用いて被検体900内の画像を見ながら被検体900を診断することができる医療システム1が実現される。
(動作)
次に、本実施の形態における操作端末80を用いてカプセル型医療装置10を操作する際の動作を、図面を用いて詳細に説明する。図7〜図9は、本実施の形態による操作端末80により操作されるカプセル型医療装置10の動作を示すフローチャートである。また、図10〜図12Bは、本実施の形態によるカプセル型医療装置10の動作の説明を補助するための図である。なお、以下では、カプセル型医療装置10の全体動作を制御する制御部101の動作に着目して説明する。
・全体動作
図7は、本実施の形態による操作端末80を用いてカプセル型医療装置10を操作する際の全体動作例を示すフローチャートである。図8は、本実施の形態による移動制御処理(図7のステップS103)の動作例を示すフローチャートである。図9は、本実施の形態による全周囲測距処理(例えば図8のステップS112)の動作例を示すフローチャートである。また、図10は本実施の形態による操作端末80の概略構成を示す外観図である。図11は操作端末80から入力された操作指示(移動方向)と、この操作指示に対して駆動される音響流発生部106(識別ID)およびこれを駆動する際のパワーの情報(パワー情報)と、を対応付けた駆動制御テーブルの一例を示す図である。図12Aはカプセル型医療装置10における上段に配設された3つの音響流発生部106−1〜106−3と操作端末80の表示部81の座標(表示向き)との関係を示す図であり、図12Bはカプセル型医療装置10における下段に配設された3つの音響流発生部106−4〜106−6と操作端末80の表示部81の座標(表示向き)との関係を示す図である。
上述したように、カプセル型医療装置10のユーザによる操作は、操作端末80を用いて行なわれる。ここで、本実施の形態による操作端末80について、より詳細に説明する。図10に示すように、操作端末80は、カプセル型医療装置10が取得した被検体内画像をユーザへ表示する表示部81と、ユーザがカプセル型医療装置10を操作するための各種操作指示を入力する入力部82と、を有する。また、入力部82には、カプセル型医療装置10の移動方向を入力する方向キー821と、表示部81に表示する画像をカプセル型医療装置10における上側の撮像部105−1で取得した画像と下側の撮像部105−2で取得した画像と両方で取得した画像(二分割画面)との何れかに切り替える表示切替ボタン822と、カプセル型医療装置10の電源をON/OFFする電源ボタン823と、が含まれる。本実施の形態による方向キー821は、カプセル型医療装置10(例えば表示部81の中央を通過する軸)を起点としたxy平面における8方向の移動指示を入力することができるように構成されている。ただし、これに限定されず、例えば4方向や16方向や360°方向など、種々変形することが可能である。また、例えば撮像部105−1および/または105−2の光軸がz軸方向に対して傾きを持つ場合、この傾きの水平成分を基準(例えばy軸方向)とするように構成してもよい。
また、接触型もしくは非接触型電源スタータあるいは上記した電源ボタン823によりカプセル型医療装置10が電源をONされると、カプセル型医療装置10は、図7に示す全体動作を開始する。図7に示す全体動作では、制御部101は、まず、上記した操作端末80から操作指示が入力されたか否かを判定する(ステップS101)。なお、制御部101は、操作端末80から何らかの操作指示が入力されるまで、撮像処理以外の動作を待機する(ステップS101のNo)。ただし、制御部101は、操作端末80の表示切替ボタン82を用いて選択された撮像部105−1および/または105−2(以下、任意の撮像部の符号を105とする)を定期的に駆動して被検体内画像を取得し、これを操作端末80へ送信している。これに対し、操作端末80は、カプセル型医療装置10から定期的に受信した画像を表示部81に表示する。これにより、被検体内の画像が略リアルタイムに操作者に表示されるため、操作者による状況に応じたカプセル型医療装置10の操作が可能となる。
一方、操作端末80から操作指示が入力されていた場合(ステップS101のYes)、制御部101は、入力された操作指示が方向キー821(図10参照)を用いて入力されたカプセル型医療装置10の移動指示であるか否かを判断する(ステップS102)。移動指示である場合(ステップS102のYes)、制御部101は、移動制御処理を実行する(ステップS103)。なお、移動制御処理の詳細については、後述において図8を用いて詳細に説明する。
一方、ステップS102の判定の結果、操作端末80から入力された操作指示が移動指示でない場合(ステップS102のNo)、制御部101は、操作指示がその他の所定の指示であるか否かを判定し(ステップS104)、その他の所定の指示であれば(ステップS104のYes)、それに対応する動作を実行し(ステップS105)、何れの指示にも属さない指示であれば(ステップS104のNo)、入力された指示をキャンセルして(ステップS106)、ステップS101へ帰還する。なお、カプセル型医療装置10の動作は、例えば操作端末80の入力部82における電源ボタン823から入力された電源OFFの指示に基づいて割込み制御により終了するか、カプセル型医療装置10の不図示のバッテリが切れた時点で終了する。
・・移動制御処理
次に、図7のステップS103に示す移動制御処理について、図面を用いて詳細に説明する。図8は、本実施の形態による移動制御処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、移動制御処理(図7のステップS103)では、制御部101は、まず、移動指示で指示されたカプセル型医療装置10の移動方向を特定する(ステップS111)。次に制御部101は、例えば全ての音響流発生部106と全ての距離計測部107とを順次駆動することで、カプセル型医療装置10の全周囲についての物体までの距離(周囲距離)を取得する全周囲測距処理を実行する(ステップS112)。なお、全周囲測距処理の詳細については、後述において図9を用いて説明する。
次に制御部101は、ステップS111で特定した移動方向における物体(胃壁902A)との間に予め設定しておいた所定の閾値(距離D1)以上の距離が確保されているか否かをステップS112で取得した周囲距離から判定し(ステップS113)、所定の閾値(距離D1)に相当する距離が確保されている場合(ステップS113のYes)、ステップS117へ移行する。一方、距離が確保されていない場合(ステップS113のNo)、制御部101は、駆動中の音響流発生部106が存在するか否かを判定し(ステップS114)、存在する場合(ステップS114のYes)、駆動中の音響流発生部106を停止する(ステップS115)。その後、制御部101は、操作端末80より入力された方向への移動が不許可であることを操作端末80へ通知し(ステップS116)、図7の全体動作へリターンする。一方、駆動中の音響流発生部106が存在しない場合(ステップS114のNo)、制御部101は、ステップS116へ移行して移動が不許可であることを操作端末80へ通知し、その後、図7の全体動作へリターンする。なお、指示した方向への移動が不許可であることが通知された操作端末80は、これを表示部81に表示するか、不図示のスピーカより音または音声で操作者へ報知する。
なお、ステップS113の判定の結果、所定の閾値(距離D1)が確保されていない場合(ステップS113のNo)、制御部101は、カプセル型医療装置10が移動中であるか否かを判定し、移動中であれば、音響流発生部106を駆動して、カプセル型医療装置10が移動している方向と反対方向への推力を一時的に発生させることで、カプセル型医療装置10を静止させるように動作してもよい。カプセル型医療装置10が現在移動しているか否かは、例えば不図示の加速度センサを用いて判定する方法や、撮像部105で定期的に撮像される画像から判定する方法や、定期的に全周囲測距処理を実行して得られた周囲距離から判定する方法など、種々の方法を用いることが可能である。
また、ステップS117では、制御部101は、ステップS111において移動方向として特定した方向への移動を可能にする音響流発生部106(これの識別ID)および各音響流発生部106を駆動する際に与えるパワー(パワー情報)を後述する駆動制御テーブル(図11参照)から1つ以上特定する。ただし、これに限定されず、指示された方向に応じて駆動する音響流発生部106およびそれを駆動する際のパワーを都度演算するように構成しても良い。また、ステップS117で特定される音響流発生部106は、上段および下段の音響流発生部106の中から発生させる推進力のカプセル型医療装置10に対するバランスを考慮して選択されればよい。
次に制御部101は、ステップS117で特定した音響流発生部106を同じく特定したパワー情報に従って所定時間駆動する(ステップS118)。これにより、カプセル型医療装置10に移動方向への推進力が与えられる。
以上のように、特定した1つ以上の音響流発生部106を駆動してカプセル型医療装置10に移動方向への推進力を与えると、次に制御部101は、操作端末80から継続して移動指示が入力されているか否かを判定し(ステップS119)、継続して入力されている場合(ステップS119のYes)、制御部101は、ステップS111へ帰還して、以降の動作を繰り返す。一方、継続して入力されていない場合(ステップS119のNo)、制御部101は、図7の全体動作にリターンする。
以上のように、本実施の形態によるカプセル型推進装置であるカプセル型医療装置10は、音波を伝播する媒質が存在する空間(胃902)内中に導入され、胃902中に媒質の流れである音響流を発生させる複数の音響流発生部106−1〜106−6と、音響流発生部106−1〜106−6とこの音響流発生部106−1〜106−6が発生させる音響流の流れの方向に存在する物体(胃壁902A)との間の対物距離を取得する距離取得部(距離計測部107−1〜107−6および制御部101)と、所定の閾値(距離D1)以上の対物距離が取得された音響流発生部106に音響流を発生させる駆動制御を行なう制御部101と、を備えた構成を有しているため、被検体900内での位置や向きによらずに所望する方向へ移動することが可能なカプセル型医療装置10およびそれを備えた医療システム1を実現することが可能である。
・・・全周囲測距処理
また、図8のステップS112に示す全周囲測距処理について、図面を用いて詳細に説明する。図9は、本実施の形態による全周囲測距処理の流れを示すフローチャートである。
図9に示すように、全周囲測距処理(図8のステップS112)では、制御部101は、まず、全ての音響流発生部106−1〜106−6のうち何れかを選択し(ステップS121)、選択した音響流発生部106に微弱な音波Wsを発生させる(ステップS122)。
また、制御部101は、選択した音響流発生部106に対応付けられた距離計測部107を用いて音響流発生部106に発生させた音波Wsの反射波Wrを入力し(ステップS123)、音響流発生部106に音波Wsを出力させたタイミングと距離計測部107が反射波Wrを検出したタイミングとの差に基づいて、選択した音響流発生部106からこれの前方のある物体までの距離を算出する(ステップS124)。
次に制御部101は、全ての音響流発生部106についての物体までの距離を算出したか否かを判定し(ステップS125)、算出済みでない場合(ステップS125のNo)、未選択の音響流発生部106のうちの1つを選択し(ステップS126)、その後、ステップS122へ帰還して、全ての音響流発生部106についての物体までの距離を算出するまで、以降の動作を繰り返す。一方、算出済みである場合(ステップS125のYes)、制御部101は、図8の移動制御処理にリターンする。
このように、カプセル型医療装置10の周囲全体に亘って配置された音響流発生部106から放射した音波Wsを用いて各音響流発生部106から物体までの距離を算出することで、カプセル型医療装置10の全周囲に亘る物体までの距離(周囲距離)を取得することが可能である。
・・駆動制御テーブル
ここで、図11に示す駆動制御テーブルを、図12Aに示す上段の音響流発生部106−1〜106−3と座標との関係図、および、図12Bに示す下段の音響流発生部106−4〜106−6と座標との関係図を用いて詳細に説明する。なお、図12Aおよび図12Bに示すx−y座標は、撮像部105−1または105−2が撮像した画像の中心であって操作端末80における表示部81の表示領域の中心を基準とした座標である。また、操作端末80の入力部82における方向キー821の座標系も、このx−y座標に基づいて設定されている。
図12Aに示すように、カプセル型医療装置10の上段に配置された音響流発生部106−1〜106−3のうち、識別ID=‘01’が付与された音響流発生部106−1は、その音響流軸A1がxy平面における(0,−1)方向へ向くように配置されており、識別ID=‘02’が付与された音響流発生部106−2は、その音響流軸A2がxy平面における(−√3(≒1.732),1)方向へ向くように配置されており、識別ID=‘03’が付与された音響流発生部106−3は、その音響流軸A3がxy平面における(√3(≒−1.732),1)方向へ向くように配置されている。
同様に、カプセル型医療装置10の下段に配置された音響流発生部106−4〜106−6のうち、識別ID=‘04’が付与された音響流発生部106−4は、図12Bに示すように、その音響流軸A4がxy平面における(−√3(≒−1.732),−1)方向へ向くように配置されており、識別ID=‘05’が付与された音響流発生部106−5は、その音響流軸A5がxy平面における(0,1)方向へ向くように配置されており、識別ID=‘06’が付与された音響流発生部106−6は、その音響流軸A6がxy平面における(√3(≒1.732),−1)方向へ向くように配置されている。
これに対し、本実施の形態において、操作端末80の方向キー821は8方向への移動指示が入力可能な、いわゆる8方向キーであるため、例えば方向キー821の右方向が押下されると、操作端末80からカプセル型医療装置10へは(1,0)方向への移動指示が入力される。以降同様に、右上、上、左上、左、左下、下、右下が押下されると、カプセル型医療装置10へは、(1,1)方向、(0,1)方向、(−1,1)方向、(−1,0)方向、(−1,−1)方向、(0,−1)方向、(1,−1)方向への移動指示がそれぞれ入力される。
そこで、本実施の形態では、何れの方向への移動指示が入力された場合でも、カプセル型医療装置10が同じ移動速度で移動するように構成するために、図11に示す駆動制御テーブルを用いて、移動指示の方向(移動方向)と駆動する音響流発生部106(識別ID)およびこれを駆動する際のパワー(パワー情報)との対応関係を管理する。なお、ここでいうパワーとは、音響流発生部106の圧電素子106aに与える交流電圧の周波数および振幅によって表される電力のことである。
また、図11の駆動制御テーブルでは、1つの音響流発生部106を駆動してカプセル型医療装置10を移動させる際にこの音響流発生部106に与えるパワーを‘100’とし、何れの方向への移動指示が入力された場合でも同じ‘100’のパワーで1つの音響流発生部106を駆動した場合と同じ推進力を得られるように、駆動する音響流発生部106(識別ID)とそのパワー(パワー情報)とが管理されている。例えば、(1,0)方向への移動指示が入力された場合、上段の音響流発生部106−1〜106−3については、識別ID=‘01’の音響流発生部106−1と識別ID=‘02’の音響流発生部106−2との2つの音響流発生部106を駆動し、この際、音響流発生部106−1に与えるパワーを‘50’とし、音響流発生部106−2に与えるパワーを‘115.5(≒2/√3)’とすることが、図11に示す駆動制御テーブルにおいて管理されている。
以上のような、移動方向と、この移動方向への移動を可能にする音響流発生部106を特定する情報(識別ID)およびこれを駆動する際に与えるパワーの情報(パワー情報)と、を対応付けて管理しておくことで、移動する際に駆動する音響流発生部106およびこれに与えるパワーを少ない処理量で容易に特定することが可能となり、より迅速な移動制御が可能となる。
・・対物距離確保処理
また、本実施の形態によるカプセル型医療装置10は、図7に示す全体動作の流れの中で、物体(胃壁902A)までの距離を一定の距離(所定の閾値(距離D1))以上に保つ動作(対物距離確保処理)を定期的に実行してもよい。図13は、本実施の形態による対物距離確保処理の流れを示すフローチャートである。図14は、本実施の形態によるカプセル型医療装置10が物体(胃壁902A)に対してどのように制御されるかを説明するための概念図である。
図13に示すように、本実施の形態による対物距離確保処理では、制御部101は、まず、例えば全ての音響流発生部106−1〜106−6と全ての距離計測部107−1〜107−6とを順次駆動することで、図9に示す動作と同様の全周囲測距処理を実行する(ステップS131)。
次に制御部101は、カプセル型医療装置10の全周囲方向において、物体(本説明では胃壁902A(図14参照))までの距離が、予め設定しておいた所定の閾値(距離D1)以上確保されているか否かを判定し(ステップS132)、確保されている場合(ステップS132のYes)、図7に示す全体動作へリターンする。なお、本説明において、所定の閾値(距離D1)以上であるか否かの判定は、所定の閾値より大きいか否かで判定に置き換えることが可能であることは言うまでもない。
一方、カプセル型医療装置10と物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値以上確保されていない方向が存在する場合(ステップS132のNo)、制御部101は、ステップS131の全周囲測距処理において取得した周囲距離に基づいて物体と最も近接した方向と反対の方向への推進力を発生させる音響流発生部106および各音響流発生部106を駆動する際に与えるパワー(パワー情報)を駆動制御テーブルから1つ以上特定する(ステップS133)。ただし、これに限定されず、指示された方向に応じて駆動する音響流発生部106およびそれを駆動する際のパワーを都度演算するように構成しても良い。
次に制御部101は、特定した音響流発生部106を同じく特定したパワー情報に従って所定時間駆動する(ステップS134)。その後、制御部101は、ステップS131へ帰還して、同様の動作を実行する。これにより、本実施の形態では、カプセル型医療装置10と物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値(距離D1)以上に保たれるように動作する。
以上の動作により、本実施の形態では、カプセル型医療装置10と物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値(距離D1)以上に保たれるように動作するため、カプセル型医療装置10が物体に近接しすぎることで音響流を発生させる空間が確保できないという問題の発生を防止することが可能となる。
なお、音響流発生部106の音響流発生面に音響流を拡散または収束させる音響レンズを備えることで、進入不許可エリアAR1(図14参照)の幅(所定の閾値=距離D1)をより短くすることが可能である。この結果、空間におけるカプセル型医療装置10の移動範囲をより広げることが可能となるため、胃壁902Aに接近してより詳細な被検体内情報を取得することも可能となる。
〔変形例1〕
ここで、上述した実施の形態1における音響流発生部106の変形例1について、図面を用いて詳細に説明する。図15は、本変形例による音響流発生部106Aの概略構成を示す断面図である。図15に示すように、音響流発生部106Aは、音響流発生部106と同様の構成において、振動発生部である圧電素子106aの振動面に、圧電素子106aから出力される音波の指向性を高める音響レンズ106cが配設された構成を有する。また、音響レンズ106cは、カプセル型医療装置10の外装より内側に焦点を有することが好ましい。このように圧電素子106aにおいて発生した音波の指向性を高めることで、音波のエネルギー密度を大きくすることが可能となるため、より効率的に推進力となる音響流を発生させることが可能となる。さらに、カプセル型医療装置10の外側において、発生される音響流を拡散することが可能となるため、音響流を発生させるために必要となる物体までの距離を短くすることができる。なお、音響レンズ106cの音響インピーダンスは、音場である液体904の音響インピーダンスと同程度か近い値であることが好ましい。また、カプセル型医療装置10に備えられた音響流発生部106のうち少なくとも1つは前述の音響レンズ106cを備えていることが好ましい。
〔変形例2〕
また、上述した本実施の形態による音響流発生部106の変形例2について、図面を用いて詳細に説明する。図16は、本変形例による音響流発生部106Bの概略構成を示す断面図である。図16に示すように、音響流発生部106Bは、音響流発生部106と同様の構成において、振動発生部である圧電素子106aの振動面に、圧電素子106aから出力される音波の指向性をカプセル型医療装置10の外装の外側において低下させる音響レンズ106dが配設された構成を有する。このように圧電素子106aにおいて発生した音波の指向性を低下させることで、発生される音響流を拡散することが可能となるため、音響流を発生させるために必要となる物体までの距離を短くすることができる。なお、音響レンズ106dの音響インピーダンスは、音場である液体904の音響インピーダンスと同程度か近い値であることが好ましい。
〔変形例3〕
また、上述の変形例1または2による音響レンズ106cまたは106dは、カプセル型医療装置10の全ての音響流発生部106が備えていても、一部の音響流発生部106が備えていてもよい。音響レンズ106c/106dを備えている音響流発生部106が一部(例えば下段の音響流発生部106−4〜106−6)である場合、状況に応じて音響レンズ106c/106dを備えた音響流発生部106と音響レンズ106c/106dを備えていない音響流発生部106とを使い分けることが可能となる。以下、下段の音響流発生部106−4〜106−6が音響流を拡散する音響レンズ106dを備えたケースを本発明による実施の形態1の変形例3として説明する。
本変形例3では、図8に示す移動制御処理が、図17に示す動作内容となる。すなわち、操作端末80から移動指示が入力されると(図7のステップS103)、制御部101は、まず、図8のステップS111〜S116と同様の動作を実行する(図7および図17参照)。ただし、ステップS113で確保されているか否かを判定する距離は、音響レンズ106dを備えた音響流発生部106を駆動しても推進力を得られる距離(これを距離D1’とする)である。この距離D1’は、音響レンズ106dを備えていない音響流発生部106を駆動した場合に推進力を得られる距離D1よりも短い距離である。すなわち、本変形例3では、カプセル型医療装置10が上述の実施の形態1よりも近い距離まで物体(胃壁902A)に近づくことが可能である。
次に制御部101は、ステップS113の判定の結果、距離D1’(<D1)が確保されている場合(ステップS113のYes)、ステップS112で特定した周囲距離から、移動方向におけるカプセル型医療装置10の上段と物体(胃壁902A)との間の距離を特定し(ステップS117−1)、特定した距離が所定の閾値(距離D1>D1’)以上であるか否かを判定する(ステップS117−2)。この判定の結果、距離D1が確保されている場合(ステップS117−2のYes)、制御部101は、ステップS111において移動方向として特定した方向への移動を可能にする上段の音響流発生部106(これの識別ID)および各音響流発生部106を駆動する際に与えるパワー(パワー情報)を上述した駆動制御テーブル(図11参照)の上段制御情報から1つ以上特定する(ステップS117−3)。一方、所定の閾値(距離D1)が確保されていない場合(ステップS117−2のNo)、制御部101は、ステップS111において移動方向として特定した方向への移動を可能にする下段の音響流発生部106(これの識別ID)および各音響流発生部106を駆動する際に与えるパワー(パワー情報)を上述した駆動制御テーブル(図11参照)の下段制御情報から1つ以上特定する(ステップS117−4)。ただし、これに限定されず、指示された方向に応じて駆動する音響流発生部106およびそれを駆動する際のパワーを都度演算するように構成しても良い。
次に制御部101は、ステップS117−3またはS117−4で特定した音響流発生部106を同じく特定したパワー情報に従って所定時間駆動する(ステップS118)これにより、カプセル型医療装置10に移動方向への推進力が与えられる。
以上のように、特定した1つ以上の音響流発生部106を駆動してカプセル型医療装置10に移動方向への推進力を与えると、次に制御部101は、操作端末80から継続して移動指示が入力されているか否かを判定し(ステップS119)、継続して入力されている場合(ステップS119のYes)、制御部101は、ステップS111へ帰還して、以降の動作を繰り返す。一方、継続して入力されていない場合(ステップS119のNo)、制御部101は、図7の全体動作にリターンする。
以上のように動作することで、本変形例3では、カプセル型医療装置10と物体との距離が所定の閾値(距離D1)以上確保されている場合は、指向性の高い音響流を発生させて効率よく推進力を得ることができる。また、本変形例3では、指向性の低い音響流を発生させることが可能であるため、カプセル型医療装置10と物体との距離が所定の閾値(距離D1)以上確保できていない場合でも、カプセル型医療装置10に推進力を与えることが可能となる。すなわち、カプセル型医療装置10をより近い距離まで物体(胃壁902A)に近づけることが可能となる。
〔変形例4〕
また、上述した本実施の形態による距離計測部107の変形例4について、図面を用いて詳細に説明する。図18は、本変形例による距離計測部107Aの概略構成を示す断面図である。図18に示すように、距離計測部107Aは、カプセル型医療装置10側面に対して垂直方向を光軸として光を放射するLEDなどの発光部107aと、発光部107aから放射した光のうち物体で反射した光を検出するフォトダイオードなどの受光部107bと、を備えた、いわゆる光学的測距センサである。このような距離計測部107Aを用いることでも、上述した本実施の形態と同様の構成および効果を得ることが可能である。
〔変形例5〕
また、上述した実施の形態1では、各音響流発生部106がカプセル型医療装置10の外壁に対して垂直な方向へ音響流を発生させてカプセル型医療装置10に直進用の推進力を与える場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、例えばカプセル型医療装置10に、直進用の推進力の他に、回転用の推進力を与えるように構成することも可能である。以下、このように構成されたカプセル型医療装置10Aを含む医療システム1Aを本発明の実施の形態1の変形例5として、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下において、本発明の実施の形態1と同様の構成または動作については、説明の簡略化のため、同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
(構成)
図19は、本変形例5によるカプセル型医療装置10Aの概略構成を示す外観図である。図20Aは図19におけるD−D’断面の概略配置構成を示す断面図であり、図20Bは図19におけるE−E’断面の概略配置構成を示す断面図である。また、図21は、本変形例5によるカプセル型医療装置10Aおよびこれと無線回線を介して接続される操作端末80よりなる医療システム1Aの概略構成を示すブロック図である。
・カプセル型医療装置
図19および図20Aに示すように、カプセル型医療装置10Aは、音響流軸Ap1/Ap2の延長線がカプセル型医療装置10Aの中心‘O’を通り且つ音響流軸Ap2がカプセル型医療装置10Aの胴体部18側面に対して法線方向を向くように配設された4つの直進用音響流発生部(第1音響流発生部)106p−1〜106p−4と、音響流軸Ar2の延長線がカプセル型医療装置10Aの中心Oを通らず且つ音響流軸Ar1/Ar2がカプセル型医療装置10Aの胴体部18を輪切りにする平面に含まれるように配設された回転用音響流発生部106r−1〜106r−4(第2音響流発生部)と、を備える。
直進用音響流発生部106p−1〜106p−4は、カプセル型医療装置10Aに直進するための推進力を与える音響流発生部であり、上段と下段とにそれぞれ2つずつ配設される。また、上段と下段とにそれぞれ配設された2つの直進用音響流発生部106p−1および106p−2、または、106p−3および106p−4は、互いに反対方向を向くように配設される。このとき、直進用音響流発生部106p−1〜106p−4のうち少なくとも1つは、前述の音響レンズを備えることが好ましい。
一方、回転用音響流発生部106r−1〜106r−4は、カプセル型医療装置10Aに回転力を与える音響流発生部であり、上段と下段とにそれぞれ2つずつ配設される。また、上段に配設された2つの回転用音響流発生部106r−1および106r−2と、下段に配設された2つの回転用音響流発生部106r−3および106r−4とは、互いに反対向きの回転力をカプセル型医療装置10Aに与えるように配設される。なお、カプセル型医療装置10Aの筐体を形成する胴体部18には、回転用音響流発生部106rが発生させる音響流の流れに沿って溝18aが設けられる。また、以下の説明において、任意の直進用音響流発生部106p−1〜106p−4の参照符号を106pとし、任意の回転用音響流発生部106r−1〜106r−4の参照符号を106rとし、任意の距離計測部107A−1〜107A−8の参照符号を107Aとする。
また、図19および図20Bに示すように、距離計測部107A−1〜107A−8は、カプセル型医療装置10Aの上段と下段とにそれぞれ4つずつ配設される。上段と下段とにおいて、各距離計測部107A−1〜107A−4または107A−5〜107A−8の光軸は、それぞれ90°ずれている。これにより、カプセル型医療装置10Aの上段と下段とのそれぞれにおいて、四方の物体までの距離を計測することが可能となる。本変形例5では、各距離計測部107A−1〜107A−8を、例えば上述の変形例4で説明したような光学的測距センサで構成する。
このような構成を有する本変形例5によるカプセル型医療装置10Aは、回転用音響流発生部106rを駆動して移動する方向と反対方向へ直進用音響流発生部106pを向け、この状態で直進用音響流発生部106pを駆動してカプセル型医療装置10Aを移動させる。なお、他の構成については、本発明の実施の形態1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(動作)
次に、本変形例5における操作端末80を用いてカプセル型医療装置10Aを操作する際の動作を、図面を用いて詳細に説明する。図22は、本変形例5による移動制御処理の動作例を示すフローチャートである。図23は、本変形例5による全周囲測距処理の動作例を示すフローチャートである。なお、本変形例5において、操作端末80を用いてカプセル型医療装置10Aを操作する際の全体動作は、本発明の実施の形態1において図7を用いて示した動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図22に示すように、本変形例5による移動制御処理(図7のステップS103)では、制御部101は、まず、移動指示で指示されたカプセル型医療装置10Aの移動方向を特定する(ステップS161)。次に制御部101は、例えば全ての距離計測部107Aを順次駆動することで、カプセル型医療装置10Aの全周囲についての物体までの距離(周囲距離)を取得する全周囲測距処理を実行する(ステップS162)。なお、全周囲測距処理の詳細については、後述において図23を用いて説明する。
次に制御部101は、ステップS161で特定した移動方向における物体(胃壁902A)までの間に予め設定しておいた所定の閾値(距離D1)以上の距離が確保されているか否かをステップS162で取得した周囲距離から判定し(ステップS163)、所定の閾値(距離D1)に相当する距離が確保されている場合(ステップS163のYes)、ステップS167へ移行する。一方、距離が確保されていない場合(ステップS163のNo)、制御部101は、駆動中の直進用音響流発生部106pおよび/または回転用音響流発生部106rが存在するか否かを判定し(ステップS164)、存在する場合(ステップS164のYes)、駆動中の音響流発生部(106p/106r)を停止する(ステップS165)。その後、制御部101は、操作端末80より入力された方向への移動が不許可であることを操作端末80へ通知し(ステップS166)、図7の全体動作へリターンする。一方、駆動中の音響流発生部(106p/106r)が存在しない場合(ステップS164のNo)、制御部101は、ステップS166へ移行して移動が不許可であることを操作端末80へ通知し、その後、図7の全体動作へリターンする。なお、指示した方向への移動が不許可であることが通知された操作端末80は、これを表示部81に表示するか、不図示のスピーカより音または音声で操作者へ報知する。
なお、ステップS163の判定の結果、所定の閾値(距離D1)が確保されていない場合(ステップS163のNo)、制御部101は、カプセル型医療装置10Aが移動中であるか否かを判定し、移動中であれば、回転用音響流発生部106rおよび/または直進用音響流発生部106pを適宜駆動して、カプセル型医療装置10Aが移動している方向と反対方向への推力を一時的に発生させることで、カプセル型医療装置10Aを静止させるように動作してもよい。カプセル型医療装置10Aが現在移動しているか否かは、例えば不図示の加速度センサを用いて判定する方法や、撮像部105で定期的に撮像される画像から判定する方法や、定期的に全周囲測距処理を実行して得られた周囲距離から判定する方法など、種々の方法を用いることが可能である。
また、ステップS167では、制御部101は、1つまたは複数の回転用音響流発生部106rを駆動することで、ステップS161において移動方向として特定した方向と反対の方向に何れか1つ以上の直進用音響流発生部106pを向け(ステップS167)、この直進用音響流発生部106pを所定時間駆動する(ステップS168)。これにより、カプセル型医療装置10Aに推進力が与えられる。その後、制御部101は、ステップS169へ移行する。なお、カプセル型医療装置10Aの回転を停止させるために、逆方向の回転用音響流発生部106rを所定時間駆動してもよい。また、移動方向と反対方向に向ける直進用音響流発生部106pは、回転量が少なくて済む方の直進用音響流発生部106pとするとよい。
以上のように、特定した直進用音響流発生部106pを駆動してカプセル型医療装置10Aに移動方向への推進力を与えると、次に制御部101は、操作端末80から継続して移動指示が入力されているか否かを判定し(ステップS169)、継続して入力されている場合(ステップS169のYes)、制御部101は、ステップS161へ帰還して、以降の動作を繰り返す。一方、継続して入力されていない場合(ステップS169のNo)、制御部101は、図7の全体動作にリターンする。
以上のように、本変形例5によるカプセル型推進装置であるカプセル型医療装置10Aは、音波を伝播する媒質が存在する空間(胃902)内中に導入され、胃902中に媒質の流れである音響流を発生させる複数の音響流発生部(直進用音響流発生部106p−1〜106p−4および回転用音響流発生部106r−1〜106r−4)と、音響流発生部(106p−1〜106p−4および106r−1〜106r−4)とこの音響流発生部(106p−1〜106p−4および106r−1〜106r−4)が発生させる音響流の流れの方向に存在する物体(胃壁902A)との間の対物距離を取得する距離取得部(距離計測部107A−1〜107A−8および制御部101)と、所定の閾値(距離D1)以上の対物距離が取得された音響流発生部106pまたは106rに音響流を発生させる駆動制御を行なう制御部101と、を備えた構成を有しているため、被検体900内での位置や向きによらずに所望する方向へ移動することが可能なカプセル型医療装置10Aおよびそれを備えた医療システム1Aを実現することが可能である。
・・・全周囲測距処理
また、図22のステップS162に示す全周囲測距処理について、図面を用いて詳細に説明する。図23は、本変形例5による全周囲測距処理の流れを示すフローチャートである。
図23に示すように、全周囲測距処理(図24のステップS181)では、制御部101は、まず、全ての距離計測部107A−1〜107A−8のうち何れかを1つを選択し(ステップS171)、選択した距離計測部107Aにおける発光部(図18の発光部107aに相当)を駆動して測定光を放射すると共に受光部(図18の受光部107bに相当)を用いて測定光の反射光を検出することで、物体までの距離を計測する(ステップS172)。なお、計測した値は制御部101に入力され、制御部101において物体までの距離が算出される。
次に制御部101は、全ての距離計測部107Aを用いて物体までの距離を計測したか否かを判定し(ステップS173)、計測済みでない場合(ステップS173のNo)、未選択の距離計測部107Aを1つ選択し(ステップS174)、その後、ステップS171へ帰還して、全ての距離計測部107Aを用いて物体までの距離を計測するまで、以降の動作を繰り返す。一方、計測済みである場合(ステップS173のYes)、制御部101は、図24に示す対物距離確保処理へリターンする。
このように、カプセル型医療装置10Aの周囲全体に亘って配置された距離計測部107Aを用いて物体までの距離を計測することで、カプセル型医療装置10Aの全周囲に亘る物体までの距離(周囲距離)を取得することが可能である。
・・対物距離確保処理
なお、本変形例5においても、本発明の実施の形態1と同様に、全体動作(図7参照)の流れの中で対物距離確保処理を定期的に実行してもよい。図24は、本変形例5による対物距離確保処理の流れを示すフローチャートである。
図24に示すように、本変形例5による対物距離確保処理では、制御部101は、まず、例えば全ての距離計測部107Aを順次駆動することで、図23に示す動作と同様の全周囲測距処理を実行する(ステップS181)。
次に制御部101は、カプセル型医療装置10Aの全周囲方向において、物体(胃壁902A)までの距離が、予め設定しておいた所定の閾値(距離D1)以上確保されているか否かを判定し(ステップS182)、確保されている場合(ステップS182のYes)、図7に示す全体動作へリターンする。
一方、カプセル型医療装置10Aと物体(胃壁902A)までの距離が所定の閾値以上確保されていない方向が存在する場合(ステップS182のNo)、制御部101は、ステップS181の全周囲測距処理において取得した周囲距離に基づいて物体と最も近接した方向と反対の方向を特定し(ステップS183)、続いて回転用音響流発生部106rを駆動してカプセル型医療装置10Aを回転させることで、直進用音響流発生部106pを最も近接する物体に向ける(ステップS184)。なお、カプセル型医療装置10Aの回転を停止させるために、逆方向の回転用音響流発生部106rを所定時間駆動してもよい。また、最も近接する物体に向ける直進用音響流発生部106pは、回転量が少なくて済む方の直進用音響流発生部106pとするとよい。
次に制御部101は、最も近接する物体に向けた直進用音響流発生部106pを所定時間駆動する(ステップS185)。これにより、本変形例5では、カプセル型医療装置10Aと物体(胃壁902A)との距離が接近した場合であっても、移動方向の入力を可能にするように物体から遠い位置にある音響流発生部(直進用音響流発生部106pまたは回転用音響流発生部106r)を選択して駆動させるように動作する。その後、制御部101は、ステップS181へ帰還して、同様の動作を実行する。
以上の動作により、本変形例5では、カプセル型医療装置10Aと物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値(距離D1)以上に保たれるように動作するため、カプセル型医療装置10が物体に近接しすぎることで音響流を発生させる空間が確保できないという問題の発生を防止することが可能となる。
なお、直進用音響流発生部106pおよび/または回転用音響流発生部106rの音響流発生面に音響流を拡散または収束させる音響レンズを備えることで、進入不許可エリアAR1(図14参照)の幅D1(所定の閾値)をより短くすることが可能である。この結果、空間におけるカプセル型医療装置10Aの移動範囲をより広げることが可能となるため、胃壁902Aに接近してより詳細な被検体内情報を取得することも可能となる。
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2による医療システムの構成および動作を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下において、本発明の実施の形態1と同様の構成または動作については、説明の簡略化のため、同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、本発明の実施の形態1による医療システム1と同様の構成を用いた場合を例に挙げるが、本発明はこれに限定されず、本説明で例示する全ての実施の形態について本実施の形態を適用することが可能である。
図25は、本実施の形態によるカプセル型医療装置10の動きを説明するための概略図である。図25に示すように、本実施の形態ではカプセル型医療装置10と物体との距離D2が所定の閾値(距離D1)未満になった場合は、カプセル型医療装置10を物体にぶつけ、その反動を利用してカプセル型医療装置10と物体との距離を所定の閾値(距離D1)以上に維持する。
(動作)
次に、本実施の形態における操作端末80を用いてカプセル型医療装置10を操作する際の動作を、図面を用いて詳細に説明する。図26は、本実施の形態による移動制御処理の動作例を示すフローチャートである。なお、本実施の形態において、操作端末80を用いてカプセル型医療装置10を操作する際の全体動作、および、全周囲測距処理は、本発明の実施の形態1において図7または図9を用いて示した動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
・・移動制御処理
図26に示すように、本実施の形態による移動制御処理(図7のステップS103)では、制御部101は、まず、移動指示で指示されたカプセル型医療装置10の移動方向を特定する(ステップS211)。次に制御部101は、本発明の実施の形態1において図9を用いて説明した全周囲測距処理と同様の動作を実行することで、カプセル型医療装置10全周囲についての物体までの距離(周囲距離)を取得する全周囲測距処理を実行する(ステップS212)。
次に制御部101は、ステップS211で特定された移動方向へ移動するために駆動する駆動流発生部と物体(胃壁902A)までの間に予め設定しておいた所定の閾値(距離D1)以上の距離が確保されているか否かをステップS212で取得した周囲距離から判定し(ステップS213)、所定の閾値(距離D1)に相当する距離が確保されている場合(ステップS213のYes)、ステップS217へ移行する。一方、距離が確保されていない場合(ステップS213のNo)、制御部101は、ステップS212で取得した周囲距離に基づいて、カプセル型医療装置10に最も近接した物体へ接近する方向への推進力を発生させる音響流発生部106を駆動制御テーブル(図11参照)から1つ以上特定し(ステップS214)、特定した音響流発生部106をカプセル型医療装置10が物体に衝突するまで駆動する(ステップS215〜ステップS216のNo)。なお、カプセル型医療装置10が物体と衝突したか否かの判定(ステップS216)は、例えば不図示の加速度センサを用いて判定する方法や、撮像部105で定期的に撮像される画像から判定する方法や、定期的に全周囲測距処理を実行して得られた周囲距離から判定する方法など、種々の方法を用いることが可能である。また、物体と衝突後(ステップS216のYes)、制御部101は、ステップS217へ移行する。
ステップS217では、制御部101は、ステップS211において移動方向として特定した方向への移動を可能にする音響流発生部106(これの識別ID)および各音響流発生部106を駆動する際に与えるパワー(パワー情報)を上述した駆動制御テーブル(図11参照)から1つ以上特定する。ただし、これに限定されず、指示された方向に応じて駆動する音響流発生部およびそれを駆動する際のパワーを都度演算するように構成しても良い。また、ステップS217で特定される音響流発生部106は、上段および下段の音響流発生部106の中から発生させる推進力のカプセル型医療装置10に対するバランスを考慮して選択されればよい。
次に制御部101は、ステップS217で特定した音響流発生部106を同じく特定したパワー情報に従って所定時間駆動する(ステップS218)。これにより、カプセル型医療装置10に移動方向への推進力が与えられる。
以上のように、特定した1つ以上の音響流発生部106を駆動してカプセル型医療装置10に移動方向への推進力を与えると、次に制御部101は、操作端末80から継続して移動指示が入力されているか否かを判定し(ステップS219)、継続して入力されている場合(ステップS219のYes)、制御部101は、ステップS211へ帰還して、以降の動作を繰り返す。一方、継続して入力されていない場合(ステップS219のNo)、制御部101は、図7の全体動作にリターンする。
以上のように、本実施の形態によるカプセル型推進装置であるカプセル型医療装置10は、本発明の実施の形態1と同様に、音波を伝播する媒質が存在する空間(胃902)内中に導入され、胃902中に媒質の流れである音響流を発生させる複数の音響流発生部106−1〜106−6と、音響流発生部106−1〜106−6とこの音響流発生部106−1〜106−6が発生させる音響流の流れの方向に存在する物体(胃壁902A)との間の対物距離を取得する距離取得部(距離計測部107−1〜107−6および制御部101)と、所定の閾値(距離D1)以上の対物距離が取得された音響流発生部106に音響流を発生させる駆動制御を行なう制御部101と、を備えた構成を有しているため、被検体900内での位置や向きによらずに所望する方向へ移動することが可能なカプセル型医療装置10およびそれを備えた医療システムを実現することが可能である。
・・対物距離確保処理
なお、本実施の形態においても、本発明の実施の形態1と同様に、全体動作(図7参照)の流れの中で対物距離確保処理(図13参照)を定期的に実行してもよい。図27は、本実施の形態による対物距離確保処理の流れを示すフローチャートである。
図27に示すように、本実施の形態による対物距離確保処理では、制御部101は、まず、例えば全ての音響流発生部106−1〜106−6と全ての距離計測部107−1〜107−6とを順次駆動することで、図9に示す動作と同様の全周囲測距処理を実行する(ステップS231)。
次に制御部101は、カプセル型医療装置10の全周囲方向において、物体(胃壁902A)までの距離が、予め設定しておいた所定の閾値(距離D1)以上確保されているか否かを判定し(ステップS232)、確保されている場合(ステップS232のYes)、図7に示す全体動作へリターンする。
一方、カプセル型医療装置10と物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値以上確保されていない方向が存在する場合(ステップS232のNo)、制御部101は、ステップS231の全周囲測距処理において取得した周囲距離に基づいてカプセル型医療装置10に最も近接した物体へ接近する方向への推進力を発生させる音響流発生部106を駆動制御テーブル(図11参照)から1つ以上特定し(ステップS233)、特定した音響流発生部106をカプセル型医療装置10が物体と衝突するまで駆動する(ステップS234〜ステップS235のNo)。なお、カプセル型医療装置10が物体と衝突したか否かの判定(ステップS235)は、例えば不図示の加速度センサを用いて判定する方法や、撮像部105で定期的に撮像される画像から判定する方法や、定期的に全周囲測距処理を実行して得られた周囲距離から判定する方法など、種々の方法を用いることが可能である。また、物体と衝突後(ステップS235のYes)、制御部101は、図7に示す全体動作へリターンする。これにより、本実施の形態では、カプセル型医療装置10と物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値(距離D1)以上に保たれるように動作する。
以上の動作により、本実施の形態では、カプセル型医療装置10と物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値(距離D1)未満になってしまった場合でも、物体にぶつけた反動でカプセル型医療装置10と物体(胃壁902A)との距離を所定の閾値(距離D1)以上に復帰させることが可能となるため、カプセル型医療装置10が物体に近接しすぎることで音響流を発生させる空間が確保できないという問題の発生を防止することが可能となる。さらに、カプセル型医療装置10が胃902内に最初に導入され、物体(例えば胃壁902A)との距離が接近した場合でも、短いサイクルで定期的に上記の対物距離確保処理を行うことで、操作者からの入力に応じた方向にカプセル型医療装置10を移動させることが可能となる。
なお、音響流発生部106の音響流発生面に音響流を拡散または収束させる音響レンズを備えることで、音響流の発生に必要となる空間(物体までの距離)をより短くすることが可能である。この結果、空間におけるカプセル型医療装置10の移動範囲をより広げることが可能となるため、胃壁902Aに接近してより詳細な被検体内情報を取得することも可能となる。
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3による医療システム3の構成および動作を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下において、本発明の実施の形態1または2と同様の構成または動作については、説明の簡略化のため、同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
図28Aおよび図28Bは、本実施の形態によるカプセル型医療装置30の概略構成を示す外観図である。ただし、図28Aと図28Bとでは、側視する方向が90°異なる。また、図29は、本実施の形態によるカプセル型医療装置30およびこれと無線回線を介して接続される操作端末80よりなる医療システム3の概略構成を示すブロック図である。さらに、図30は本実施の形態によるカプセル型医療装置30の動きを説明するための概略図であり、図31は本実施の形態によるカプセル型医療装置30の他の動きを説明するための概略図である。
・カプセル型医療装置
図28A、図28Bおよび図29に示すように、カプセル型医療装置30は、例えば本発明の実施の形態1における上段の音響流発生部106−1〜106−3と同様に、音響流軸が互いに120°ずれた方向に向くように配置された3つの音響流発生部306−1〜306−3と、この3つの音響流発生部306−1〜306−3をそれぞれ上下方向に首振り可能とする3つのモータユニット(音響流発生向変化部)308−1〜308−3と、各音響流発生部306−1〜306−3の上側と下側とにそれぞれ配設された合計6つの距離計測部307−1〜307−6と、を備える。ただし、モータユニットについてはこれに限定されず、上下および/または左右への首振りを可能にするモータユニットであってもよい。また、以下の説明において、任意の音響流発生部306−1〜306−3の参照符号を306とし、任意のモータユニット308−1〜308−3の参照符号を308とし、任意の距離計測部307−1〜307−6の参照符号を307とする。
3つの音響流発生部306−1〜306−3は、カプセル型医療装置30の胴体部18における略中央部に配設されている。また、距離計測部307−1〜307−6は、上述したように各音響流発生部306−1〜306−3の上側と下側とにそれぞれ配設されている。したがって、本実施の形態では、距離計測部307−1〜307−6を用いて各音響流発生部306−1〜306−3の上側におけるカプセル型医療装置30側面と物体との距離並びに下側におけるカプセル型医療装置30側面と物体との距離をそれぞれ取得することが可能である。
また、カプセル型医療装置30の筐体を形成する胴体部18には、モータユニット308によって揺動可能な音響流発生部306が発生させる音響流の流れに沿って溝38aが設けられる。
本実施の形態では、モータユニット308を駆動制御することで、図30に示すように、駆動する音響流発生部306の上側と下側とで物体までの距離(対物距離)が確保できる方に音響流発生部306の音響流軸A31を向け、この状態で音響流発生部306を駆動してカプセル型医療装置30を移動させるように構成されている。
また、本実施の形態では、モータユニット308を駆動制御して、1つまたは複数の音響流発生部306−1、306−2、…の音響流軸A311、A312、…をカプセル型医療装置30に対して同一方向に傾ける、または、必要に応じて出力を変化させることで、図31に示すように、液体904中のあらゆる方向への推進力F31を生じさせることが可能であるため、液体904中を自由に潜泳可能なカプセル型医療装置30を実現することが可能である。なお、他の構成については、本発明の実施の形態1または2と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(動作)
次に、本実施の形態における操作端末80を用いてカプセル型医療装置30を操作する際の動作を、図面を用いて詳細に説明する。図32は、本実施の形態による移動制御処理の動作例を示すフローチャートである。図33は、本実施の形態による全周囲測距処理の動作例を示すフローチャートである。なお、本実施の形態において、操作端末80を用いてカプセル型医療装置30を操作する際の全体動作は、本発明の実施の形態1において図7を用いて示した動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
・・移動制御処理
図32に示すように、本実施の形態による移動制御処理(図7のステップS103)では、制御部101は、まず、移動指示で指示されたカプセル型医療装置30の移動方向を特定する(ステップS311)。次に制御部101は、例えば全ての距離計測部307を順次駆動することで、カプセル型医療装置30の全周囲についての物体までの距離(周囲距離)を取得する全周囲測距処理を実行する(ステップS312)。なお、全周囲測距処理の詳細については、後述において図33を用いて説明する。
次に制御部101は、ステップS311において移動方向として特定した方向への移動を可能にする音響流発生部306(これの識別ID)および各音響流発生部306を駆動する際に与えるパワー(パワー情報)を駆動制御テーブルから1つ以上特定する(ステップS313)。なお、本実施の形態による駆動制御テーブルは、例えば図11に示す駆動制御テーブルにおける上段制御情報のみとすることが可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、これに限定されず、指示された方向に応じて駆動する音響流発生部およびそれを駆動する際のパワーを都度演算するように構成しても良い。
次に制御部101は、特定した音響流発生部306の上側と下側との何れが物体までの距離(対物距離)を確保できるか、すなわち、特定した音響流発生部306の上側と下側との何れの方が物体までの距離が長いかを特定する(ステップS314)。なお、対物距離は、例えばステップS312の全周囲測距処理で取得した周囲距離から該当する音響流発生部306の上側と下側との距離を特定することでこれを取得しても、再度、該当する音響流発生部306とこれに対応付けられた上下2つの距離計測部307とを駆動して取得してもよい。
次に制御部101は、モータユニット308を駆動することで、ステップS314で特定された側(上側/下側)へ音響流発生部306の向きを傾け(ステップS315)、この状態で特定した音響流発生部306を所定時間駆動する(ステップS316)。これにより、カプセル型医療装置30に移動方向への推進力が与えられる。なお、駆動する音響流発生部306と物体と間の距離が十分に確保されている場合(例えば距離D1以上確保されている場合)は、音響流発生部306の向きを上/下に向けることなく、横方向に向けた状態で該当の音響流発生部306を駆動してもよい。
以上のように、特定した音響流発生部306を駆動してカプセル型医療装置30に移動方向への推進力を与えると、次に制御部101は、操作端末80から継続して移動指示が入力されているか否かを判定し(ステップS317)、継続して入力されている場合(ステップS317のYes)、制御部101は、ステップS311へ帰還して、以降の動作を繰り返す。一方、継続して入力されていない場合(ステップS317のNo)、制御部101は、図7の全体動作にリターンする。なお、カプセル型医療装置30に推進力を与えた後、駆動する音響流発生部306とこれが向く方向に存在する物体との距離が十分に確保された場合(例えば距離D1以上となった場合)は、適宜、音響流発生部306の向きを横方向に戻して駆動するとよい。
以上のように、本実施の形態によるカプセル型推進装置であるカプセル型医療装置30は、音波を伝播する媒質が存在する空間(胃902)内中に導入され、胃902中に媒質の流れである音響流を発生させる複数の音響流発生部306−1〜306−3と、音響流発生部306−1〜306−3とこの音響流発生部306−1〜306−3が発生させる音響流の流れの方向に存在する物体(胃壁902A)との間の対物距離を取得する距離取得部(距離計測部307−1〜307−6および制御部101)と、カプセル型医療装置30が胃壁902Aに接近した場合、1つまたは複数の音響流発生部306の向きを変えることで、胃壁902Aとの距離が確保された方向へ音響流を発生させるように駆動制御を行う制御部101と、を備えた構成を有しているため、被検体900内での位置や向きによらずに所望する方向へ移動することが可能なカプセル型医療装置30およびそれを備えた医療システム3を実現することが可能である。
・・・全周囲測距処理
また、図32のステップS312に示す全周囲測距処理について、図面を用いて詳細に説明する。図33は、本実施の形態による全周囲測距処理の流れを示すフローチャートである。
図33に示すように、全周囲測距処理(図32のステップS312)では、制御部101は、まず、全ての距離計測部307−1〜307−6のうち何れか1つを選択し(ステップS321)、選択した距離計測部307に対応付けられた音響流発生部306に微弱な音波を発生させ(ステップS322)、この音波の反射波を選択した距離計測部307で入力する(ステップS323)。次に制御部101は、音響流発生部306に音波を出力させたタイミングと距離計測部307が反射波を検出したタイミングとの差に基づいて、選択した距離計測部307からこれの前方のある物体までの距離、すなわち音響流発生部306の上側/下側における物体までの距離を算出する(ステップS324)。なお、距離計測用の音波を出力する際、モータユニット308を駆動して音響流発生部306の向きを選択した距離計測部307側へ傾けてもよい。
次に制御部101は、全ての距離計測部307についての物体までの距離を算出したか否かを判定し(ステップS325)、算出済みでない場合(ステップS325のNo)、未選択の距離計測部307のうちの1つを選択し(ステップS326)、その後、ステップS322へ帰還して、全ての距離計測部307についての物体までの距離を算出するまで、以降の動作を繰り返す。一方、算出済みである場合(ステップS325のYes)、制御部101は、図32の移動制御処理にリターンする。
このように、カプセル型医療装置30の周囲全体に亘って配置された音響流発生部306から放射した音波を用いて各音響流発生部306の上側および下側から物体までの距離を算出することで、カプセル型医療装置30の全周囲に亘る物体までの距離(周囲距離)を取得することが可能である。
・・対物距離確保処理
なお、本変形例5においても、本発明の実施の形態1と同様に、全体動作(図7参照)の流れの中で対物距離確保処理を定期的に実行してもよい。図34は、本実施の形態による対物距離確保処理の流れを示すフローチャートである。
図34に示すように、本実施の形態による対物距離確保処理では、制御部101は、まず、例えば全ての距離計測部307を順次駆動することで、図33に示す動作と同様の全周囲測距処理を実行する(ステップS331)。
次に制御部101は、カプセル型医療装置30の全周囲方向において、物体(胃壁902A)までの距離が、予め設定しておいた所定の閾値(距離D1)以上確保されているか否かを判定し(ステップS332)、確保されている場合(ステップS332のYes)、図7に示す全体動作へリターンする。
一方、カプセル型医療装置30と物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値以上確保されていない方向が存在する場合(ステップS332のNo)、制御部101は、ステップS331の全周囲測距処理において取得した周囲距離に基づいて物体と最も近接した方向と反対側への推進力を発生させる音響流発生部306および各音響流発生部306を駆動する際に与えるパワー(パワー情報)を駆動制御テーブルから1つ以上特定する(ステップS333)。ただし、これに限定されず、指示された方向に応じて駆動する音響流発生部306およびそれを駆動する際のパワーを都度演算するように構成しても良い。
次に制御部101は、特定した音響流発生部306の上側と下側との何れが物体までの距離(対物距離)を確保できるか、すなわち、特定した音響流発生部306の上側と下側との何れの方が物体までの距離が長いかを特定する(ステップS334)。なお、対物距離は、例えばステップS331の全周囲測距処理で取得した周囲距離から該当する音響流発生部306の上側と下側との距離を特定することでこれを取得しても、再度、該当する音響流発生部306とこれに対応付けられた上下2つの距離計測部307とを駆動して取得してもよい。
次に制御部101は、モータユニット308を駆動することで、ステップS334で特定された側(上側/下側)へ音響流発生部306の向きを傾け(ステップS335)、この状態で特定した音響流発生部306を所定時間駆動し(ステップS336)、その後、ステップS331へ帰還する。これにより、本実施の形態では、カプセル型医療装置30と物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値(距離D1)以上に保たれるように動作する。
以上の動作により、本実施の形態では、カプセル型医療装置30が胃902内に最初に導入され、物体(例えば胃壁902A)との距離が接近した場合でも、短いサイクルで定期的に上記の処理を行うことで、操作者からの入力に応じた方向にカプセル型医療装置30を移動させることが可能となる。また、本実施の形態では、モータユニット308を用いて音響流発生部306の向きを変化させることが可能であるため、カプセル型医療装置30が水面下に潜水している場合でも、音響流発生部306を駆動してカプセル型医療装置30を移動させることが可能となる。
なお、音響流発生部306の音響流発生面に音響流を拡散または収束させる音響レンズを備えることで、音響流の発生に必要となる空間(物体までの距離)をより短くすることが可能である。この結果、空間におけるカプセル型医療装置30の移動範囲をより広げることが可能となるため、胃壁902Aに接近してより詳細な被検体内情報を取得することも可能となる。
<実施の形態4>
次に、本発明の実施の形態4による医療システム4の構成および動作を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下において、本発明の実施の形態1〜3のいずれかと同様の構成または動作については、説明の簡略化のため、同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
図35は、本実施の形態による医療システム4の概略構成を示す模式図である。図36は、カプセル型医療装置40およびこれと無線回線を介して接続される操作端末480よりなる医療システム4の概略構成を示すブロック図である。
図35および図36に示すように、医療システム4は、カプセル型医療装置40およびこれと無線回線を介して通信可能な操作端末480の他に、被検体900外部に取り付けられた磁場発生部431および432を備える。磁場発生部431および432は、例えばコイルなどを含んで構成され、接続ケーブル483を介して接続された操作端末480から電流が入力されることで、被検体900内部のカプセル型医療装置40にまで届く磁場を発生させる。
また、図36に示すように、カプセル型医療装置40は、例えば本発明の実施の形態3において説明したカプセル型医療装置30と同様の構成において、カプセル型医療装置40の筐体を構成する胴体部18に固定された永久磁石409などの磁場発生部を有している。したがって、本実施の形態によるカプセル型医療装置40は、被検体900外部に取り付けられた磁場発生部431および/または432に磁場を発生させることで、その傾きを制御できるように構成されている。すなわち、本実施の形態では、モータユニット308による音響流発生部306の向き制御に加え、磁場発生部431および/または432によるカプセル型医療装置40の姿勢制御が可能となる。これにより、本実施の形態では、カプセル型医療装置40の移動における自由度をより拡大することが可能となる。
さらに、操作端末480には、磁場発生部431および432に必要に応じて異なる方向の磁場を発生させる電流を入力する磁場発生制御部841が設けられている。この磁場発生制御部841と磁場発生部431および432とは上述した接続ケーブル483を介して接続される。なお、他の構成については、本発明の実施の形態1〜3の何れかと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(動作)
次に、本実施の形態における操作端末480を用いてカプセル型医療装置40を操作する際の動作を、図面を用いて詳細に説明する。図37は、本実施の形態による移動制御処理の動作例を示すフローチャートである。なお、本実施の形態において、操作端末480を用いてカプセル型医療装置40を操作する際の全体動作は、本発明の実施の形態1において図7を用いて示した動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、全周囲測距処理は、本発明の実施の形態3において図33を用いて示した動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
・・移動制御処理
図37に示すように、本実施の形態による移動制御処理(図7のステップS103)では、制御部101は、まず、移動指示で指示されたカプセル型医療装置40の移動方向を特定する(ステップS411)。次に制御部101は、例えば全ての距離計測部307を順次駆動することで、図33に示す動作と同様の全周囲測距処理を実行する(ステップS412)。
次に制御部101は、ステップS411において移動方向として特定した方向への移動を可能にする音響流発生部306(これの識別ID)および各音響流発生部306を駆動する際に与えるパワー(パワー情報)を駆動制御テーブルから1つ以上特定する(ステップS413)。なお、本実施の形態による駆動制御テーブルは、例えば図11に示す駆動制御テーブルにおける上段制御情報のみとすることが可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、これに限定されず、指示された方向に応じて駆動する音響流発生部306およびそれを駆動する際のパワーを都度演算するように構成しても良い。
次に制御部101は、特定した音響流発生部306の上側と下側との何れが物体までの距離(対物距離)を確保できるか、すなわち、特定した音響流発生部306の上側と下側との何れの方が物体までの距離が長いかを特定する(ステップS414)。なお、対物距離は、例えばステップS412の全周囲測距処理で取得した周囲距離から該当する音響流発生部306の上側と下側との距離を特定することでこれを取得しても、再度、該当する音響流発生部306とこれに対応付けられた上下2つの距離計測部307とを駆動して取得してもよい。
次に制御部101は、カプセル型医療装置40内の永久磁石409と吸磁することでカプセル型医療装置40を傾けるための磁場の発生を操作端末480に要求する(磁場発生要求)(ステップS415)。例えばカプセル型医療装置40の上側の方が距離が確保されている場合、制御部101は、駆動する音響流発生部306が上側を向くようにカプセル型医療装置40を傾けるための磁場の発生を操作端末480に要求する。一方、例えばカプセル型医療装置40の下側の方が距離が確保されている場合、制御部101は、駆動する音響流発生部306が下側を向くようにカプセル型医療装置40を傾けるための磁場の発生を操作端末480に要求する。
また、制御部101は、必要に応じてモータユニット308を駆動することで、ステップS414で特定された側(上側/下側)へ音響流発生部306の向きを傾ける(ステップS416)。
このように、外部からの磁場とモータユニット308を用いて音響流発生部306の向きを制御すると、制御部101は、特定した音響流発生部306を所定時間駆動する(ステップS417)。これにより、カプセル型医療装置40に移動方向への推進力が与えられる。なお、駆動する音響流発生部306と物体と間の距離が十分に確保されている場合(例えば距離D1以上確保されている場合)は、音響流発生部306の向きを上/下に向けたり、カプセル型医療装置40を傾けたりすることなく、音響流発生部306を横方向に向けた状態で駆動してもよい。
以上のように、特定した音響流発生部306を駆動してカプセル型医療装置40に移動方向への推進力を与えると、次に制御部101は、操作端末480から継続して移動指示が入力されているか否かを判定し(ステップS418)、継続して入力されている場合(ステップS418のYes)、制御部101は、ステップS411へ帰還して、以降の動作を繰り返す。一方、継続して入力されていない場合(ステップS418のNo)、制御部101は、図7の全体動作にリターンする。なお、カプセル型医療装置40に推進力を与えた後、駆動する音響流発生部306とこれが向く方向に存在する物体との距離が十分に確保された場合(例えば距離D1以上となった場合)は、適宜、音響流発生部306の向きおよび/またはカプセル型医療装置40の姿勢を元(音響流発生部306は横向き;カプセル型医療装置40は垂直姿勢)に戻して駆動するとよい。
以上のように、本実施の形態によるカプセル型推進装置であるカプセル型医療装置40は、音波を伝播する媒質が存在する空間(胃902)内中に導入され、胃902中に媒質の流れである音響流を発生させる複数の音響流発生部306−1〜306−3と、音響流発生部306−1〜306−3とこの音響流発生部306−1〜306−3が発生させる音響流の流れの方向に存在する物体(胃壁902A)との間の対物距離を取得する距離取得部(距離計測部307−1〜307−6および制御部101)と、カプセル型医療装置40が胃壁902Aに接近した場合、1つまたは複数の音響流発生部306の向きおよびカプセル型医療装置40自体の傾きを変えることで、胃壁902Aとの距離が確保された方向へ音響流を発生させるように駆動制御を行う制御部101と、を備えた構成を有しているため、被検体900内での位置や向きによらずに所望する方向へ移動することが可能なカプセル型医療装置40およびそれを備えた医療システム4を実現することが可能である。
・・対物距離確保処理
なお、本実施の形態においても、本発明の実施の形態1と同様に、全体動作(図7参照)の流れの中で対物距離確保処理を定期的に実行してもよい。図38は、本実施の形態による対物距離確保処理の流れを示すフローチャートである。
図38に示すように、本実施の形態による対物距離確保処理では、制御部101は、まず、例えば全ての距離計測部307を順次駆動することで、図33に示す動作と同様の全周囲測距処理を実行する(ステップS431)。
次に制御部101は、カプセル型医療装置40の全周囲方向において、物体(胃壁902A)までの距離が、予め設定しておいた所定の閾値(距離D1)以上確保されているか否かを判定し(ステップS432)、確保されている場合(ステップS432のYes)、図7に示す全体動作へリターンする。
一方、カプセル型医療装置40と物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値以上確保されていない方向が存在する場合(ステップS432のNo)、制御部101は、ステップS431の全周囲測距処理において取得した周囲距離に基づいて物体と最も近接した方向と反対側への推進力を発生させる音響流発生部306および各音響流発生部306を駆動する際に与えるパワー(パワー情報)を駆動制御テーブルから1つ以上特定する(ステップS433)。ただし、これに限定されず、指示された方向に応じて駆動する音響流発生部306およびそれを駆動する際のパワーを都度演算するように構成してもよい。
次に制御部101は、特定した音響流発生部306の上側と下側との何れが物体までの距離(対物距離)を確保できるか、すなわち、特定した音響流発生部306の上側と下側との何れの方が物体までの距離が長いかを特定する(ステップS434)。なお、対物距離は、例えばステップS431の全周囲測距処理で取得した周囲距離から該当する音響流発生部306の上側と下側との距離を特定することでこれを取得しても、再度、該当する音響流発生部306とこれに対応付けられた上下2つの距離計測部307とを駆動して取得してもよい。
次に制御部101は、カプセル型医療装置40内の永久磁石409と吸磁することでカプセル型医療装置40を傾けるための磁場の発生を操作端末480に要求する(磁場発生要求)(ステップS435)。例えばカプセル型医療装置40の上側の方が距離が確保されている場合、制御部101は、駆動する音響流発生部306が上側を向くようにカプセル型医療装置40を傾けるための磁場の発生を操作端末480に要求する。一方、例えばカプセル型医療装置40の下側の方が距離が確保されている場合、制御部101は、駆動する音響流発生部306が下側を向くようにカプセル型医療装置40を傾けるための磁場の発生を操作端末480に要求する。
また、制御部101は、必要に応じてモータユニット308を駆動することで、ステップS434で特定された側(上側/下側)へ音響流発生部306の向きを傾ける(ステップS436)。
このように、外部からの磁場とモータユニット308とを用いて音響流発生部306の向きを制御すると、制御部101は、特定した音響流発生部306を所定時間駆動し(ステップS437)、その後、ステップS431へ帰還する。これにより、本実施の形態では、カプセル型医療装置40と物体(胃壁902A)との距離が所定の閾値(距離D1)以上に保たれるように動作する。
以上の動作により、本実施の形態では、カプセル型医療装置40が胃902内に最初に導入され、物体(例えば胃壁902A)との距離が接近した場合でも、短いサイクルで定期的に上記の処理を行うことで、操作者からの入力に応じた方向にカプセル型医療装置40を移動させることが可能となる。また、本実施の形態では、モータユニット308を用いて音響流発生部306の向きを変化させる他に、外部の磁場発生部431および/432から発生された磁場を用いてカプセル型医療装置40の傾きを変化させることが可能であるため、カプセル型医療装置40が水面下に潜水している場合でも、音響流発生部306を駆動してカプセル型医療装置40を移動させることが可能となる。
なお、音響流発生部306の音響流発生面に音響流を拡散または収束させる音響レンズを備えることで、音響流の発生に必要となる空間(物体までの距離)をより短くすることが可能である。この結果、空間におけるカプセル型医療装置40の移動範囲をより広げることが可能となるため、胃壁902Aに接近してより詳細な被検体内情報を取得することも可能となる。
<実施の形態5>
次に、本発明の実施の形態5による医療システム5の構成および動作を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下において、本発明の実施の形態1〜4のいずれかと同様の構成または動作については、説明の簡略化のため、同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、本発明の実施の形態3による医療システム3と同様の構成を用いた場合を例に挙げるが、本発明はこれに限定されず、本説明で例示する全ての実施の形態について本実施の形態を適用することが可能である。
図39は、本実施の形態によるカプセル型医療装置50の動きを説明するための概略図である。図40は、本実施の形態によるカプセル型医療装置50およびこれと無線回線を介して接続される操作端末80の概略構成を示すブロック図である。
図39および図40に示すように、本実施の形態によるカプセル型医療装置50は、液体904を水深方向へ潜泳可能に構成されている。このため、本実施の形態によるカプセル型医療装置50は、例えば液体904中での姿勢が水平方向となるような重心の片寄りを持つ。
また、図39および図40と図31および図29とを比較すると明らかなように、本実施の形態によるカプセル型医療装置50は、本発明の実施の形態3によるカプセル型医療装置30と同様の構成において、カプセル型医療装置30における距離計測部307が省略された構成を備える。これに代わり、本実施の形態では、撮像部105−1および/または105−2で撮像された画像を解析することで、カプセル型医療装置50と物体との間の距離(周囲距離)を取得する。
各撮像部105−1および105−2は、例えば対物レンズとして魚眼レンズなどを用いることで、広範囲の撮像エリアAR2およびAR3をそれぞれ撮像する。また、取得された画像から物体までの距離を算出する方法としては、例えば光量変化を用いる方法など、種々の方法を用いることが可能である。なお、他の構成については、本発明の実施の形態1〜4の何れかと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(動作)
次に、本実施の形態における操作端末80を用いてカプセル型医療装置50を操作する際の動作を、図面を用いて詳細に説明する。図41は、本実施の形態による全周囲測距処理の動作例を示すフローチャートである。なお、本実施の形態において、操作端末80を用いてカプセル型医療装置50を操作する際の全体動作は、本発明の実施の形態1において図7を用いて示した動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、対物距離確保処理、および、移動制御処理は、本発明の実施の形態3において図32または図34を用いて示した動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
・・・全周囲測距処理
図41に示すように、本実施の形態による全周囲測距処理(図34のステップS331または図32のステップS312)では、制御部101は、まず、全ての撮像部105−1および105−2のうち1つを選択し(ステップS521)、選択した撮像部105−1または105−2を用いて撮像エリアAR2またはAR3の画像を取得する(ステップS522)。次に制御部101は、撮像した画像を解析して例えば光量変化を取得し、これを用いることで、物体までの距離を算出する(ステップS523)。
次に制御部101は、全ての撮像部105−1および105−2を用いて撮像した画像を解析することで物体までの距離を算出したか否かを判定し(ステップS524)、算出済みでない場合(ステップS524のNo)、未選択の撮像部105−1または105−2のうちの1つを選択し(ステップS525)、その後、ステップS522へ帰還して、全ての撮像部105−1および105−2を用いて撮像した画像を解析して物体までの距離を算出するまで、以降の動作を繰り返す。一方、算出済みである場合(ステップS524のYes)、制御部101は、図32の移動制御処理にリターンする。
以上のように、本実施の形態によるカプセル型推進装置であるカプセル型医療装置50は、音波を伝播する媒質が存在する空間(胃902)内中に導入され、胃902中に媒質の流れである音響流を発生させる複数の音響流発生部306−1〜306−3と、音響流発生部306−1〜306−3とこの音響流発生部306−1〜306−3が発生させる音響流の流れの方向に存在する物体(胃壁902A)との間の対物距離を取得する距離取得部(撮像部105−1および105−2および制御部101)と、所定の閾値(距離D1)以上の対物距離が取得された音響流発生部306に音響流を発生させる駆動制御を行なう制御部101と、を備えた構成を有しているため、被検体900内での位置や向きによらずに所望する方向へ移動することが可能なカプセル型医療装置50およびそれを備えた医療システム5を実現することが可能である。
<実施の形態6>
次に、本発明の実施の形態6による医療システム6の構成および動作を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下において、本発明の実施の形態1〜5のいずれかと同様の構成または動作については、説明の簡略化のため、同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、本発明の実施の形態1による医療システム1に本実施の形態による構成を適用した場合を例に挙げるが、本発明はこれに限定されず、本説明で例示する全ての実施の形態について本実施の形態を適用することが可能である。
図42は、本実施の形態による医療システム6の概略構成を示す模式図である。図42に示すように、医療システム6は、本発明の実施の形態1による操作端末80が被検体900の外部に固定された体外機70を介して被検体900内に導入されたカプセル型医療装置10と無線通信を行なうように構成されている。
また、体外機70には、接続ケーブル79を介して体外アンテナ71が接続されており、この体外アンテナ71から放出された電波がカプセル型医療装置10において受信される。また、カプセル型医療装置10から出力された電波は、体外アンテナ71により受信され、体外機70に入力される。
体外機70は、例えば無線回線を介して操作端末80と通信可能に構成される。ただし、これに限定されず、有線回線により操作端末80と接続されてもよい。
また、体外機70には、例えばLAN(Local Area Network)ケーブルやUSB(Universal Serial Bus)ケーブルなどの通信ケーブル89を介して、パーソナルコンピュータなどの情報処理端末80Aが接続可能に構成されてもよい。これにより、例えば操作端末80の代りに情報処理端末80Aからカプセル型医療装置10を操作可能に構成することもできる。
以上の構成における体外アンテナ71と体外機70と操作端末80と情報処理端末80Aとは、本実施の形態による体外装置であり、これらを1つ以上備えることで被検体900内のカプセル型医療装置10を操作することが可能となる。なお、他の構成および動作については、本発明の実施の形態1〜5の何れかと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
以上のように、本実施の形態によるカプセル型推進装置であるカプセル型医療装置10は、音波を伝播する媒質が存在する空間(胃902)内中に導入され、胃902中に媒質の流れである音響流を発生させる複数の音響流発生部106−1〜106−6と、音響流発生部106−1〜106−6とこの音響流発生部106−1〜106−6が発生させる音響流の流れの方向に存在する物体(胃壁902A)との間の対物距離を取得する距離取得部(距離計測部107−1〜107−6および制御部101)と、所定の閾値(距離D1)以上の対物距離が取得された音響流発生部106に音響流を発生させる駆動制御を行なう制御部101と、を備えた構成を有しているため、被検体900内での位置や向きによらずに所望する方向へ移動することが可能なカプセル型医療装置10およびそれを備えた医療システム6を実現することが可能である。
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
1、1A、3、4、5、6 医療システム
10、10A、30、40、50 カプセル型医療装置
18 胴体部
19−1、19−2 キャップ
18a、38a 溝
70 体外機
71 体外アンテナ
79 接続ケーブル
80、480 操作端末
80A 情報処理端末
81 表示部
82 入力部
89 通信ケーブル
101 制御部
102 信号処理部
103 信号送受信部
104 記憶部
105−1、105−2 撮像部
105a 受光ユニット
105b 発光部
106、106−1〜106−6、106A、106B、306、306−1〜306−3 音響流発生部
106a 圧電素子
106b ダンピング部
106c、106d 音響レンズ
107、107−1〜107−6、107A、107A−1〜107A−8、307、307−1〜307−6 距離計測部
107a 発光部
107b 受光部
106p、106p−1〜106p−4 直進用音響流発生部
106r、106r−1〜106r−4 回転用音響流発生部
308、308−1〜308−3 モータユニット
409 永久磁石
431、432 磁場発生部
483 接続ケーブル
801 信号演算部
802 信号送受信部
803 記憶部
821 方向キー
822 表示切替ボタン
823 電源ボタン
841 磁場発生制御部
900 被検体
902 胃
902A 胃壁
904 液体
904A 液面
A1〜A6、Ap2、Ar2、A31、A311、A312 音響流軸
D1 距離
F1〜F4、F31 推進力
W1 音響流
Wr 反射波
Ws 音波

Claims (13)

  1. 音波を伝播する媒質が存在する空間内中に導入されるカプセル型推進装置であって、
    前記空間内中に前記媒質の流れである音響流を発生させる少なくとも1つの音響流発生部と、
    前記音響流発生部の駆動制御を行う制御部と、
    前記音響流発生部と前記空間内中に存在する物体との対物距離を取得する距離取得部と、
    前記カプセル型推進装置とは別体に構成され、操作指示入力部での操作指示入力により前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記距離取得部にて取得した距離情報に基づいて前記音響流発生部の駆動制御を行うものであって、前記操作指示入力部の入力に対応して送信される操作信号に基づいて、前記移動方向へ移動するために駆動する音響流発生部を1つ以上特定し、前記距離取得部が取得した対物距離が前記音響流発生部と前記物体との間に音響流を発生させるのに必要な距離となる予め定められた所定の閾値未満の場合、該特定した音響流発生部の駆動を停止することを特徴とするカプセル型推進装置。
  2. 前記制御部は、さらに前記移動方向と反対方向へ移動するための前記音響流発生部を少なくとも1つ特定して、所定時間駆動させることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型推進装置。
  3. 前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
    前記音響流発生部は、音響流を発生させることで当該カプセル型推進装置に推進力を与える少なくとも1つの第1音響流発生部と、音響流を発生させることで当該カプセル型推進装置に回転力を与える少なくとも1つの第2音響流発生部と、を含み、
    前記制御部は、前記距離取得部によって取得された対物距離が所定の閾値以上の対物距離が確保された第2音響流発生部を駆動して当該カプセル型推進装置を回転させ、該回転後の前記第1音響流発生部と前記物体との対物距離が前記所定の閾値以上となるように制御することを特徴とする請求項1に記載のカプセル型推進装置。
  4. 前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
    前記制御部は、前記移動方向へ移動するための第1音響流発生部を少なくとも1つ特定し、前記距離取得部によって取得された該第1音響流発生部と前記物体との対物距離が所定の閾値未満である場合、前記物体から遠ざかる方向へ移動するための前記物体との距離が前記所定の閾値以上確保された第2音響流発生部を少なくとも1つ特定し、該第2音響流発生部を駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のカプセル型推進装置。
  5. 前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
    前記制御部は、前記移動方向へ移動するために駆動する第1音響流発生部を少なくとも1つ特定し、前記距離取得部によって取得された該第1音響流発生部と前記物体との対物距離が所定の閾値未満である場合、前記物体に近づく方向へ移動するための第2音響流発生部を少なくとも1つ特定し、該第2音響流発生部を駆動制御し、該第2音響流発生部の駆動を当該カプセル型推進装置が前記物体へ衝突する前に停止することを特徴とする請求項1に記載のカプセル型推進装置。
  6. 前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部と、
    前記音響流発生部の前記音響流を発生させる向きを変化させる音響流発生向変化部と、
    をさらに備え、
    前記制御部は、前記移動方向へ移動するために駆動する音響流発生部を少なくとも1つ特定し、前記距離取得部によって取得された該特定した音響流発生部と前記物体との対物距離が所定の閾値以上となるように、前記音響流発生向変化部を駆動制御して該音響流発生部の向きを変化させることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型推進装置。
  7. 前記空間における当該カプセル型推進装置の移動方向の入力を受け付ける入力受付部と、
    当該カプセル型推進装置に固定された磁性体と、
    前記磁性体に影響を与えて当該カプセル型推進装置の傾きを制御し、前記音響流発生部に前記音響流を発生させる外部磁界発生部と、
    をさらに備え、
    前記制御部は、前記移動方向へ移動するために駆動する音響流発生部を少なくとも1つ特定し、前記距離取得部によって取得された該特定した音響流発生部と前記物体との対物距離が所定の閾値以上となるように前記外部磁界発生部からの磁界を制御して前記音響流発生部の向きを変化させることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型推進装置。
  8. 当該カプセル型推進装置の密度は、前記媒質の密度と同等または前記媒質の密度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型推進装置。
  9. 前記音響流発生部は、所定の共振周波数が印加される圧電素子と、該圧電素子において発生した振動のうち前記カプセル型推進装置側へ伝播される成分を吸収する振動吸収部と、前記圧電素子から出力される振動波の指向性を高める音響レンズと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型推進装置。
  10. 前記距離取得部は、前記音響流発生部が発生させる前記音響流の流れる方向へ光を出力する発光部と、前記物体で反射された光を検出する受光部と、を含む光学的測距センサであることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型推進装置。
  11. 音波を伝播する媒質中でカプセル型推進装置を推進させるカプセル型推進装置の作動方法であって、
    前記カプセル型推進装置の移動方向を指示する操作の入力を入力受付部で受け付ける操作指示入力受付ステップと、
    前記カプセル型推進装置から前記媒質中に存在する物体までの距離を距離取得部で測定する測距ステップと、
    前記測距ステップで測定された前記物体までの距離に基づいて、前記操作指示入力受付された方向へ移動可能か否かを前記測距ステップで測定された前記物体までの距離が音響流発生部と当該物体との間に音響流を発生させるのに必要な距離となる予め定められた所定の閾値未満であるか否かに基づいて制御部で判定する判定ステップと、
    前記判定ステップで移動可能と判断された場合、前記制御部が、前記測距ステップで測定された前記物体までの距離が前記所定の閾値以上である1つ以上の音響流発生部に前記カプセル型推進装置を推進させるための音響流を発生させる音響流発生ステップと、
    を含むことを特徴とするカプセル型推進装置の作動方法
  12. 前記音響流発生ステップは、前記測距ステップで測定された前記物体までの距離に基づいて、前記音響流の発生方向と出力強度とを特定することを特徴とする請求項11に記載のカプセル型推進装置の作動方法
  13. 前記音響流発生ステップは、前記測距ステップで測定された前記物体までの距離に基づいて前記カプセル型推進装置の移動方向と前記音響流の発生方向および出力強度の情報との対応関係を管理する音響流制御テーブルを参照することで、前記音響流の発生方向と出力強度とを特定することを特徴とする請求項11に記載のカプセル型推進装置の作動方法
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