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JP4716551B2 - 冬用空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冬用空気入りタイヤに関するものであり、より詳細には、かかるタイヤの氷雪路面上での駆動・制動性能を確保しつつ、濡れた路面上での排水性能の向上を図る。
【0002】
【従来の技術】
例えば、氷雪路面上を走行するのに適した従来の冬用空気入りタイヤ、いわゆるスノータイヤは、そのトレッドパターンとしては、図3に示すように、周方向に沿って延びるジグザグ溝及びストレート溝と、これらの溝間にわたってタイヤ幅方向に延びる横溝とを配設することによって、トレッド部に複数個の多角形のブロック陸部を区画形成するとともに、トレッド部をパターンセンターで2つのトレッド半区域に区分したときの左右トレッド半区域に位置するブロック陸部は、パターンセンターを挟んで線対称、又はタイヤ周方向に所定の位相差で左右トレッド半区域に位置するブロック陸部をずらしたような、いわゆる方向性パターンを形成するものではなく、一方のトレッド半区域に位置するブロック陸部と、他方のトレッド半区域に位置するブロック陸部との延在方向がタイヤ周方向の正逆を反転させた方向になるように180°回転させた、いわゆる点対称パターンとして配設されるのが一般的である。
【0003】
上記のトレッドパターンを有するタイヤの場合、ストレート溝の配設は、濡れた路面上での排水性能を向上させるには有効であるが、特に氷雪路面上での駆動・制動性能の向上効果が小さく、一方、横溝は、氷雪路面上での駆動・制動性能は得られるものの、濡れた路面上での排水性能、特にハイドロプレーニング現象の発生を抑制する効果が小さい。
【0004】
また、ジグザグ溝の配設は、氷雪路面上での駆動・制動性能を向上させるには有効であるが、排水性能に劣るという欠点がある。
【0005】
よって、従来のトレッドレッドパターンを有する冬用空気入りタイヤでは、氷雪路面上での駆動・制動性能と濡れた路面上での排水性能の双方をバランスよく満足させることが難しかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、トレッド部の中央域にタイヤ周方向に沿って連続して延びるリブ状陸部を配設し、このリブ状陸部の両側に位置する中間陸部列及び側方陸部列のブロック陸部の形状を適正化して、濡れた路面での排水性能に有利な方向性パターンを形成するように設定するとともに、各陸部を横切るサイプを適正に配設することによって、氷雪路面上での駆動・制動性能と濡れた路面上での排水性能の双方をバランスよく満足した冬用空気入りタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、トレッド部を中央域と両側方域に区分するとき、前記中央域に位置しタイヤ周方向に沿って連続して延びる少なくとも1本のリブ状陸部と、前記側方域に位置しタイヤ周方向に所定の間隔で配設した複数個の第1ブロック陸部からなる側方陸部列と、リブ状陸部と側方陸部列との間に位置しタイヤ周方向に所定の間隔で配設した複数個の第2ブロック陸部からなる中間陸部列とをトレッド部に有する冬用空気入りタイヤにおいて、パターンセンターを挟んで向かい合う、一対の第1ブロック陸部同士及び一対の第2ブロック陸部同士は、いずれもパターンセンター側からトレッド端側に向かって逆ハの字状の配置関係にあり、前記中間陸部列を構成する第2ブロック陸部は、タイヤの正面視で、略凸レンズ断面状の踏面形状を有し、かつ、その長手方向を横切る細溝の配設によって区分された複数個の分割陸部で構成され、第1ブロック陸部の最もパターンセンター側に位置する角部及び第2ブロック陸部の両角部に、それぞれの先端に向かって陸部高さが減少する面取りを施し、リブ状陸部、第1ブロック陸部及び第2ブロック陸部の各陸部に、これを横切る複数本のサイプを配設することを特徴とする冬用空気入りタイヤである。
【0008】
また、上記タイヤは、タイヤの負荷転動時に、第2ブロック陸部は、そのパターンセンター側に位置する角部からトレッド端側に位置する角部に向かって順次接地する向きに車両に装着することが、十分な排水性能を得る点から好ましい。
【0009】
さらに、ブロックエッジの確保と排水性能向上効果の双方をバランスよく満足させる場合には、第2ブロック陸部は、その両角部の先端を結んだ直線mのタイヤ周方向に対する角度が、鋭角側から測定して5〜55°の範囲にあることがこのましい。
【0010】
さらにまた、雪上性能をより高める必要がある場合には、第2ブロック陸部は、3個の分割陸部で構成することが好ましい。
【0011】
加えて、第1ブロック陸部の剛性を確保しつつ、排水性を有利に向上させる場合には、第1ブロック陸部の最もパターンセンター側に位置する角部及び第2ブロック陸部の両角部は、その頂角が20〜50°の範囲にあることが好ましい。
【0012】
また、ブロック剛性をさほど低下させることなく雪上性能を効果的に増加させるには、第1ブロック陸部、及び第2ブロック陸部の分割陸部に配設するサイプの本数はそれぞれ少なくとも2本であることが好ましい。
【0013】
加えて、駆動・制動性能時の操縦性能をより一層向上させる場合には、リブ状陸部、第1ブロック陸部及び第2ブロック陸部の各陸部におけるサイプの配設角度は、いずれもタイヤ周方向に対して90〜140°とすることがより好適である。
【0014】
さらに、パターンノイズの低減を図る必要がある場合には、パターンセンターを挟んで向かい合う、一対の第1ブロック陸部同士及び一対の第2ブロック陸部同士は、いずれもタイヤ周方向に所定の位相差で形成してなることが好ましい。
【0015】
さらにまた、トレッド接地中央域の排水性能を高めるとともに、雪上性能に有効なエッジ成分を有効に増加させる手段としては、リブ状陸部は、その両側壁から所定ピッチで交互に分岐する分岐部を具え、該分岐部は、第2ブロック陸部のパターンセンター側に位置する角部と向かい合う鋭角の角部を有し、該角部に、その先端に向かって陸部高さが減少する面取りを施すことが好ましい。
【0016】
加えて、特に排水性能を重視する場合には、リブ状陸部は、タイヤ周方向にストレート状に延びる1対の周方向溝によって区画形成され、該周方向溝は、第2ブロック陸部のパターンセンター側に位置する角部と対応する溝壁位置に、タイヤ周方向に隣接する2個の第2ブロック陸部間に位置する傾斜溝への水の流入を促進する擬似陸部を設けることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に従う冬用空気入りタイヤの代表的なトレッド部に形成したトレッドパターンの一部を示したものである。
【0018】
図1に示すトレッド部1を有するタイヤは、トレッド部1を中央域2と両側方域3a,3bに区分するとき、前記中央域2に位置しタイヤ周方向4に沿って連続して延びる少なくとも1本のリブ状陸部5と、前記側方域3a,3bに位置しタイヤ周方向4に所定の間隔で配設した複数個の第1ブロック陸部6a,6bからなる側方陸部列7a,7bと、リブ状陸部5と側方陸部列7a,7bとの間に位置しタイヤ周方向4に所定の間隔で配設した複数個の第2ブロック陸部8a,8bからなる中間陸部列9a,9bとを有している。
【0019】
そして、この発明の構成上の主な特徴は、トレッド部1の中央域2にリブ状陸部5を配設するとともに、リブ状陸部5の両側に位置する中間陸部列9a,9b及び側方陸部列7a,7bのそれぞれのブロック陸部8a,8b及び6a,6bの形状を適正化して、濡れた路面での排水性能に有利な方向性パターンを形成し、加えて、各陸部5,6a,6b,8a,8bを横切るサイプ10を適正に配設することにある。
【0020】
より具体的には、前記中央域2にタイヤ周方向に沿って連続して延びる少なくとも1本のリブ状陸部5を配設し、パターンセンター11を挟んで向かい合う、一対の第1ブロック陸部6a1,6b1同士及び一対の第2ブロック陸部8a1,8b1同士を、いずれもパターンセンター11側からトレッド端12a,12b側に向かって逆ハの字状に配置し、第2ブロック陸部8a,8bは、タイヤの正面視で、略凸レンズ断面状の踏面形状を有し、かつその長手方向を横切る細溝13の配設によって区分された複数個の分割陸部14a〜14cで構成され、第1ブロック陸部6a,6bの最もパターンセンター11側に位置する角部15及び第2ブロック陸部の両角部16a,16bに、それぞれの先端17,18,19に向かって陸部高さが減少する面取りを施し、リブ状陸部5、第1ブロック陸部6a,6b及び第2ブロック陸部8a,8bの各陸部に、これを横切る複数本のサイプ10を配設することにあり、上記構成を採用することにより、氷雪路面上での駆動・制動性能と濡れた路面上での排水性能の双方をバランスよく満足させることができる。
【0021】
尚、図1では、パターンセンター11はタイヤ赤道位置と一致している場合を示しているが、パターンセンター11がタイヤ赤道位置から幾分シフトしていてもよい。
【0022】
以下、この発明を完成させるに至った経緯を作用とともに説明する。
発明者は、氷雪路面上での駆動・制動性能と濡れた路面上での排水性能の双方をバランスよく満足させるため、トレッドパターンを、従来の点対称パターンではなく、排水性能の点で有利な方向性パターン、すなわち、パターンセンター11を挟んで向かい合う、一対の第1ブロック陸部6a1,6b1同士及び一対の第2ブロック陸部8a1,8b1同士を、いずれもパターンセンター11側からトレッド端12a12b側に向かって逆ハの字状に配置した方向性パターンを採用することとした。
【0023】
そして、発明者はまず、前記中央域2に位置しタイヤ周方向4に沿って連続して延びる少なくとも1本のリブ状陸部5を配設すれば、トレッド部1の中央域2に位置する陸部の接地面積が増加し、乾いた路面や、氷雪路面のような低摩擦路面を走行したときのグリップ力を確保することができる。
【0024】
また、トレッド接地域に存在する水を排出する際に、一方のトレッド半区域20a又は20bに存在する水が他方のトレッド半区域20b又は20aに移動して、トレッド接地域内で混流を形成することは、タイヤ側方への排水能力を低下させることになるが、この発明では、中央域2にリブ状陸部5を配設することによって、トレッド接地域に存在する水を、左右のトレッド半区域20a,20bに実質的に分断できるため、上述したような水の混流を防止することができ、また、トレッド接地中央域に存在する水をスムーズに分流することができ、この結果、排水性能が高まる。
【0025】
さらに、リブ状陸部5の両側に、それぞれ複数個の第2ブロック陸部8a,8bからなる中間陸部列9a,9bと、複数個の第1ブロック陸部6a,6bからなる側方陸部列7a,7bとを設けて、ブロック基調とすることによって、基本的な雪上性能を確保することができる。
【0026】
さらにまた、第2ブロック陸部8a,8bの踏面形状を、図1に示すように略凸レンズ断面状、より具体的に言えば、2つの円弧の一部を重なり合わせたときの重なり合った領域の輪郭形状のように流線形の形状にすることによって、水流に対するブロック陸部の抵抗を低減してスムーズに水を分流や合流することができ、その結果、排水性が向上する。
【0027】
尚、第2ブロック陸部8a,8bは、上記のように略凸レンズ断面状に形成すると、通常のブロックパターンの場合の配設ピッチの2〜3倍にわたって延在する長い陸部形状となり、1ピッチ当たりのブロック陸部のエッジ成分量が減少することになり、これでは、十分な雪上性能を確保することができない。
【0028】
そのため、この発明では、第2ブロック陸部8a,8bに、その長手方向を横切る細溝13を配設して、第2ブロック陸部8a,8bを複数個、好ましくは図1に示すように3個の分割陸部14a〜14cに区分することによって、排水性能をさほど低下させることなく、1ピッチ当たりのブロック陸部のエッジ成分量を増加させることができ、この結果、雪上での制動及び駆動性能を確保することができる。
【0029】
また、第2ブロック陸部8a,8bを上記のように略凸レンズ断面状に形成すると、その両角部16a,16bは鋭角に形成されることになり、この構成では、分割陸部14a,14cの陸部剛性を十分に確保することができない。
【0030】
そのため、この発明では、第2ブロック陸部8a,8bの両角部16a,16bに面取りを施すことによって、分割陸部14a,14cの剛性を確保することができる。また、同様に、第1ブロック陸部6a,6bの最もパターンセンター側に位置する角部15についても、同様に面取りを施すことによって、第1ブロック陸部6a,6bの剛性を確保することができる。
【0031】
さらに、この発明では、リブ状陸部5、第1ブロック陸部6a,6b及び第2ブロック陸部8a,8bのそれぞれに、該陸部を横切る複数本のサイプ10を配設することとし、これによって、ブロック剛性を確保しつつ、エッジ成分を有効に増加させることができる結果、雪上性能が向上する。
【0032】
加えてリブ状陸部、第1ブロック陸部及び第2ブロック陸部の各陸部におけるサイプの配設角度を、いずれもタイヤ周方向に対して比較的大きな角度にすれば、特に駆動・制動性能時の操縦性能をより一層向上させることができる。
【0033】
サイプの前記配設角度は、第2ブロック陸部8a,8bの場合には、図1に示すように、第2ブロック陸部8a,8bの長手方向と反対の向き(換言すれば、タイヤ周線を挟んで交差する向き)でかつタイヤ周方向4に対して90〜140°の角度で配設することが好ましく、また、第1ブロック陸部6a,6bの場合あるいはリブ状陸部5の場合にも、タイヤ周方向4に対して90〜140°の角度で配設することが好ましい。
【0034】
尚、図1では、第1ブロック陸部6a,6bやリブ状陸部5へのサイプ10の配設方向は、第2ブロック陸部8a,8bの場合と同様な角度で配設した場合を示してあるが、特に限定はしない。
【0035】
以上のことから、この発明は、上記構成を有するトレッドパターンを採用することによって、初めて氷雪路面上での駆動・制動性能と濡れた路面上での排水性能の双方をバランスよく満足した空気入りタイヤの開発に成功したのである。
【0036】
次に、他の実施形態について説明する。
第2ブロック陸部8a,8bの両角部16a,16bや、第1ブロック陸部6a,6bの最もパターンセンター11側に位置する角部15に施す面取りは、陸部高さが漸減するようななだらかな曲面状にすれば、排水性能を向上させるのに有利に作用する。
【0037】
さらに、この発明のタイヤは、タイヤ負荷転動時に、第2ブロック陸部8a,8bが、そのパターンセンター11側に位置する角部16aからトレッド端12a,12b側に位置する角部16bに向かって順次接地するような向きに車両に装着すれば、上述した効果が得られる。
【0038】
さらにまた、第2ブロック陸部8a,8bは、その両角部16a,16bの先端18,19を結んだ直線mのタイヤ周方向4に対する角度が、鋭角側から測定して5〜55°の範囲にあることが好ましい。前記角度が5°未満だと、第2ブロック陸部8a,8bの長さが通常のブロックパターンを有するタイヤの4ピッチ以上の長さになり、細溝13で分割陸部に区分しても、必要なエッジ成分量が得られなくなるおそれがあるからであり、また、前記角度が55°よりも大きくなると、第2ブロック陸部8a,8a又は8b,8b間に形成される傾斜溝21a,21bのタイヤ周方向4に対する配設角度が大きくなりすぎて、十分な排水性能が得られなくなる恐れがあるからである。尚、前記角度は、排水性能と雪上性能の双方をバランスよく満足させるには、10〜50°の範囲にすることがより好適である。また、細溝13の配設角度は、タイヤ周方向に対して90〜140°の範囲にすることが好ましい。
【0039】
加えて、第1ブロック陸部6a,6bの最もパターンセンター11側に位置する角部15及び第2ブロック陸部8a,8bの両角部16a,16bは、その頂角θが20〜50°の範囲にあることが好ましい。前記頂角が20°未満だと、ブロック陸部の剛性が不足する傾向があり、また、50°を超えると、トレッド接地域内の水の流線方向と傾斜溝21a,21bの配設方向とが一致しなくなって排水能力が低下する傾向があるからである。尚、前記頂角は、より好適には25〜45°とする。
【0040】
また、第1ブロック陸部6a,6b、及び第2ブロック陸部8a,8bの分割陸部14a〜14cに配設するサイプ10の本数はそれぞれ少なくとも2本にすることが雪上性能を確保する点で好ましく、より好ましくは3〜6本とする。
【0041】
さらに、パターンセンター11を挟んで向かい合う、一対の第1ブロック陸部6a1,6b1同士及び一対の第2ブロック陸部8a1,8b1同士を、いずれもタイヤ周方向4に所定の位相差で形成すれば、パターンノイズの低減を図ることができる。
【0042】
さらにまた、図1に示すように、リブ状陸部5は、その両側壁から所定ピッチで交互に分岐する分岐部22を具え、該分岐部22は、第2ブロック陸部8a,8bのパターンセンター11側に位置する角部16aと向かい合う鋭角の角部23を有し、該角部23に、その先端24に向かって陸部高さが減少する面取りを施せば、トレッド接地中央域の排水性能を高めるとともに、雪上性能に有効なエッジ成分を有効に増加させることができる。
【0043】
加えて、図2に示すように、リブ状陸部5は、タイヤ周方向4にストレート状に延びる1対の周方向溝25a,25bによって区画形成され、該周方向溝25a,25bは、第2ブロック陸部8a,8bのパターンセンター11側に位置する角部16aと対応する溝壁位置に、タイヤ周方向4に隣接する2個の第2ブロック陸部8a,8a又は8b,8b間に位置する傾斜溝21a,21bへの水の流入を促進する擬似陸部26を設ければ、排水性能をより一層向上させることができる。
【0044】
尚、擬似陸部26は、傾斜溝21a,21bへの水の流入を促進するための形状を有すればよいが、一例を挙げておくと、図2に示すような略三角形や略台形形状の平面又は曲面形状にすることが好ましく、また、その陸部高さをリブ状陸部5の側壁27a,27bからトレッド端12a,12bに向かって漸減するように構成することが好ましい。
【0045】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【0046】
【実施例】
次に、この発明に従う空気入りタイヤを試作し、性能評価を行ったので、以下で説明する。
・実施例1
実施例1のタイヤは、図1に示すトレッドパターンを有し、タイヤサイズが195/65R15であり、ネガティブ率を38%とし、第2ブロック陸部8a,8bの、タイヤ周方向4に対する傾斜角度を15°、両角部16a,16bの頂角θを30°とし、サイプ10の配設本数は、第1ブロック陸部6a,6bで7本、第2ブロック陸部8a,8bの分割陸部14a,14b,14cでそれぞれ4本、3本及び4本であり、また、リブ状陸部5には配設ピッチ5.8mmで複数本のサイプ10を配置し、サイプ10の配設角度は、いずれの陸部とも、パターンセンター11で区分した各トレッド半区域20a,20bにて、タイヤ周方向4に対して105°の一定角度及び一定幅(0.5mm)で配設した。各角部15,16a,16b,23の面取り長さは、それぞれ6、12、12、6mmとし、分岐部22は、タイヤ周方向4に対して15°の傾斜角度で配設し、その長さは26mmで形成した。
尚、トレッド部以外のタイヤ構造については、通常の乗用車用空気入りタイヤのものとほぼ同様な構成とした。
【0047】
・実施例2
実施例2のタイヤは、図2に示すトレッドパターンを有し、ネガティブ率を38%とし、第2ブロック陸部8a,8bの、タイヤ周方向4に対する傾斜角度を15°、両角部16a,16bの頂角θを30°とし、サイプ10の配設本数は、第1ブロック陸部6a,6bで7本、第2ブロック陸部8a,8bの分割陸部14a,14b,14cでそれぞれ4本、3本及び4本であり、また、リブ状陸部5には配設ピッチ5.8mmでサイプ10を配置し、サイプ10の配設角度は、いずれの陸部とも、パターンセンター11で区分した各トレッド半区域20a,20bにて、タイヤ周方向4に対して105°の一定角度及び一定幅(0.5mm)で配設した。各角部15,16a,16bの面取り長さは、それぞれ6、12、12mmとし、擬似陸部の寸法は、周方向長さを17mm、幅を4.5mmとした。
【0048】
・従来例
従来例のタイヤは、図3に示すトレッドパターンを有する。
【0049】
(性能評価)
上記各供試タイヤについて、氷雪性能と排水性能を評価したので以下で説明する。
上記各供試タイヤを標準リム(6JJ)に組み付け、タイヤ内圧:230kPa、タイヤ負荷荷重:実車2名乗車相当の条件下で以下の各試験を行った。
【0050】
氷雪性能は、雪上でのトータル性能、雪上ブレーキ性能及び雪上トラクション性能の3種類の性能によって評価した。
雪上でのトータル性能は、圧雪路面のテストコースにおいて、制動性能、発進性能、直進性能及びコーナリング性能をプロのドライバーによるフィーリングによって総合的に評価した。
雪上ブレーキ性能は、圧雪路面上を40km/hから急ブレーキ(フル制動)をかけたときの制動距離を測定し、この測定値から評価した。
雪上トラクション性能は、圧雪路面上にて、発進して50m位置に達するまでの加速時間を測定し、この測定値から評価した。
排水性能は、水深5mmの濡れた路面上を直進走行して通過したときのハイドロプレーニング現象が発生するときの限界速度を測定し、これによって評価した。
【0051】
表1にこれらの評価結果を示す。尚、表1中の数値は、従来例を100とした指数比で表しており、いずれの性能とも大きいほど優れていることを示している。
【0052】
【表1】
Figure 0004716551
【0053】
表1の評価結果から、実施例1及び2は、従来例に比べて、排水性能及び雪上性能のいずれもが優れている。
【0054】
【発明の効果】
この発明によって、氷雪路面上での駆動・制動性能と濡れた路面上での排水性能の双方に優れた冬用空気入りタイヤの提供が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従う代表的な冬用空気入りタイヤのトレッド部の一部の展開図である。
【図2】 この発明に従う他の冬用空気入りタイヤのトレッド部の一部の展開図である。
【図3】 従来例のタイヤのトレッド部の一部の展開図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 中央域
3a,3b 側方域
4 タイヤ周方向
5 リブ状陸部
6a,6b 第1ブロック陸部
7a,7b 側方陸部列
8a,8b 第2ブロック陸部
9a,9b 中間陸部列
10 サイプ
11 パターンセンター
12a,12b トレッド端
13 細溝
14a,14b,14c 分割陸部
15,16a,16b 角部
17,18,19 角部の先端
20a,20b トレッド半区域
21a,21b 傾斜溝
22 分岐部
23 角部
24 角部の先端
25a,25b 周方向溝
26 擬似陸部
27a,27b リブ状陸部の側壁

Claims (10)

  1. トレッド部を中央域と両側方域に区分するとき、前記中央域に位置しタイヤ周方向に沿って連続して延びる少なくとも1本のリブ状陸部と、前記側方域に位置しタイヤ周方向に所定の間隔で配設した複数個の第1ブロック陸部からなる側方陸部列と、リブ状陸部と側方陸部列との間に位置しタイヤ周方向に所定の間隔で配設した複数個の第2ブロック陸部からなる中間陸部列とをトレッド部に有する冬用空気入りタイヤにおいて、
    パターンセンターを挟んで向かい合う、一対の第1ブロック陸部同士及び一対の第2ブロック陸部同士は、いずれもパターンセンター側からトレッド端側に向かって逆ハの字状の配置関係にあり、
    前記中間陸部列を構成する第2ブロック陸部は、タイヤの正面視で、略凸レンズ断面状の踏面形状を有し、かつ、その長手方向を横切る細溝の配設によって区分された複数個の分割陸部で構成され、
    第1ブロック陸部の最もパターンセンター側に位置する角部及び第2ブロック陸部の両角部に、それぞれの先端に向かって陸部高さが減少する面取りを施し、
    リブ状陸部、第1ブロック陸部及び第2ブロック陸部の各陸部に、これを横切る複数本のサイプを配設することを特徴とする冬用空気入りタイヤ。
  2. タイヤの負荷転動時に、第2ブロック陸部は、そのパターンセンター側に位置する角部からトレッド端側に位置する角部に向かって順次接地する請求項1に記載した冬用空気入りタイヤ。
  3. 第2ブロック陸部は、その両角部の先端を結んだ直線(m)のタイヤ周方向に対する角度が、鋭角側から測定して5〜55°の範囲にある請求項1又は2に記載した冬用空気入りタイヤ。
  4. 第2ブロック陸部は3個の分割陸部で構成する請求項1、2又は3に記載した冬用空気入りタイヤ。
  5. 第1ブロック陸部の最もパターンセンター側に位置する角部及び第2ブロック陸部の両角部は、その頂角が20〜50°の範囲にある請求項1〜4のいずれか1項に記載した冬用空気入りタイヤ。
  6. 第1ブロック陸部、及び第2ブロック陸部の分割陸部に配設するサイプの本数はそれぞれ少なくとも2本である請求項1〜5のいずれか項に記載した冬用空気入りタイヤ。
  7. リブ状陸部、第1ブロック陸部及び第2ブロック陸部の各陸部におけるサイプの配設角度は、いずれもタイヤ周方向に対して90〜140°とする請求項1〜6のいずれか項に記載した冬用空気入りタイヤ。
  8. パターンセンターを挟んで向かい合う、一対の第1ブロック陸部同士及び一対の第2ブロック陸部同士は、いずれもタイヤ周方向に所定の位相差で形成してなる請求項1〜7のいずれか1項に記載した冬用空気入りタイヤ。
  9. リブ状陸部は、その両側壁から所定ピッチで交互に分岐する分岐部を具え、該分岐部は、第2ブロック陸部のパターンセンター側に位置する角部と向かい合う鋭角の角部を有し、該角部に、その先端に向かって陸部高さが減少する面取りを施す請求項1〜8のいずれか1項に記載した冬用空気入りタイヤ。
  10. リブ状陸部は、タイヤ周方向にストレート状に延びる1対の周方向溝によって区画形成され、該周方向溝は、第2ブロック陸部のパターンセンター側に位置する角部と対応する溝壁位置に、タイヤ周方向に隣接する2個の第2ブロック陸部間に位置する傾斜溝への水の流入を促進する擬似陸部を設ける請求項1〜8のいずれか1項に記載した冬用空気入りタイヤ。
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