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JP4706096B2 - 不快な味を呈する塩基性薬物配合製剤 - Google Patents

不快な味を呈する塩基性薬物配合製剤 Download PDF

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由美子 福島
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Taisho Pharmaceutical Co Ltd
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Taisho Pharmaceutical Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不快な味を呈する塩基性薬物を含有する経口製剤用組成物を水に溶解又は懸濁させたときに、該塩基性薬物に起因する不快な味を簡易にマスキングし、服用性の改善を図った経口製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
液剤では経時的に力価、効力が低減したり、再分散性が劣化するような薬物について、小児等が服用し易い剤型として、用時溶解又は懸濁して用いるドライシロップ剤が広く普及している。そして、クラリスロマイシン等の不快な味を呈する塩基性薬物についても、これを噴霧凝固造粒等によりワックスマトリックスとし、ドライシロップ剤として提供することが可能となっている(特開平6−116138号公報)。こうした塩基性薬物を含有するドライシロップ剤を塩基性域から中性域の溶液に溶解又は懸濁させて使用する場合には、該塩基性薬物が液中に溶出して不快な呈味が拡散することはほとんどないといえる。
【0003】
しかしながら、塩基性薬物を含有するドライシロップ剤をジュース等の酸性液に溶解若しくは懸濁させたとき、又は、酸性薬物とともに水に溶解若しくは懸濁させたとき、すなわち、ドライシロップ剤が酸性液下に溶解又は懸濁されている状態では、塩基性薬物が液中に溶出して該薬物の不快な呈味が拡散し、服用性の悪化を招来することがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、不快な味を呈する塩基性薬物を含有するドライシロップ剤等の経口製剤用組成物を、酸性液中に溶解又は懸濁させたときに生じる不快な呈味を簡易な方法でマスキングし、服用性の悪化を防止した経口製剤を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、不快な味を呈する塩基性薬物を含有するドライシロップ剤とアスパルテームを混合し、これを酸性液中に懸濁させたところ、該塩基性薬物が呈する不快な味を顕著にマスキングしうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち,本発明は、不快な味を呈する塩基性薬物を含有する経口製剤用組成物及びアスパルテームを配合したことを特徴とする経口製剤である。
【0007】
本発明において不快な味とは、苦味、渋味、収斂味等の服用性の悪化を招来する呈味であれば特に限定はない。このような不快な味を呈する塩基性薬物としては、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、キタサマイシン、ジョサマイシン、ミデカマイシン、ロキシスタマイシンおよびアジスロマイシン等のマクロライド系抗生物質が挙げられる。
【0008】
本発明における経口製剤用組成物とは、(a)不快な味を呈する塩基性薬物と胃溶性高分子化合物を分散あるいは溶解させた低融点物質からなる複合体、(b)10質量%から70質量%の糖アルコールおよび(c)0.1質量%から7質量%の塩基性酸化物からなることを特徴とする経口製剤用組成物であって、その製造方法等は、特開平6−116138号公報に記載されている。
【0009】
本発明におけるアスパルテームとは、アスパラギン酸とフェニルアラニンが結合したジペプチドでフェニルアラニンのメチルエステルであるアスパルテーム(α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル)であるが、その誘導体であってもよい。
【0010】
アスパルテームの配合量は、塩基性薬物の呈する不快な味の種類、液中への溶出量等により異なるので一概には言えないが、不快な味を呈する塩基性薬物1質量部に対して通常0.1質量部以上であり、好ましくは0.1〜2質量部である。ただし、2質量部以上を配合しても塩基性薬物の呈する不快な味のマスキング作用を奏していることに何ら変わりはない。
【0011】
なお、不快な味を呈する塩基性薬物としてクラリスロマイシンを含有する場合のアスパルテームの配合量は、クラリスロマイシン1質量部に対して通常0.1質量部以上であり、好ましくは0.2〜2質量部であり、さらに好ましくは0.6〜1質量部である。ただし、2質量部以上を配合してもクラリスロマイシンの呈する苦味をマスキングしていることに何ら変わりはない。
【0012】
本発明における経口製剤は、一般的には不快な味を呈する塩基性薬物を含有する経口製剤用組成物とアスパルテームを混合することにより調製することができるが、その他に該塩基性薬物以外の医薬有効成分や種々の製剤原料(賦形剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤、香料等)を配合してもよい。
【0013】
本発明の経口製剤の剤型としては、散剤、顆粒剤等が挙げられるが、用時溶解又は懸濁させて使用するドライシロップ剤について特に有効である。
【0014】
本発明における経口製剤を溶解又は懸濁させたときの溶液のpHは通常4〜7であり、好ましくは5〜7である。塩基性域では、塩基性薬物が溶出せず、不快な味を呈することがないため苦味をマスキングする必要性がなく、また、pH4未満の強酸性域では、塩基性薬物の溶出が著しく、アスパルテームの配合によっては不快な呈味を充分にマスキングすることができないからである。
【0015】
さらに、不快な味を呈する塩基性薬物を配合した経口製剤(例えば、ドライシロップ剤)を水に溶解又は懸濁させるときに、所要のアスパルテームを溶解させることによっても該塩基性薬物の呈する不快な味をマスキングすることができる。このときのアスパルテームの使用量は、上述の経口製剤における不快な味を呈する塩基性薬物に対するアスパルテームの配合量と同様である。
【0016】
【実施例】
以下に、実施例、比較例および試験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。
【0017】
(実施例1)
経口製剤用組成物の製造
グリセリン脂肪酸エステル(主脂肪酸はステアリン酸で、モノグリセリド含量は90%以上)200gを約100℃で融解させ、その中にオイドラギットE((株)樋口商会)30gを分散、溶解させた。さらにその混合液にクラリスロマシン100gを分散させた。この分散液をスプレードライ装置(CL−12型 大河原工業(株))を用いて、入口温度80℃、回転ディスク20000rpmの条件で噴霧凝固造粒し、平均粒子径80μmの30%クラリスロマイシンの複合体を約250g得た。この複合体150gにマンニトール240g、酸化マグネシウム3g、デンプン107gを加え、10%クラリスロマイシン経口製剤用組成物を得た。
【0018】
(試験例1)[官能評価試験]
実施例1で調製した経口製剤用組成物1gと下表1記載の各甘味剤0.02〜0.1gを混合し、各pHの精製水25mLに懸濁させた。懸濁直後及び5分経過後に5名のパネラーによる苦味の官能評価試験を実施した。各パネラーが試験液を口中に含み、苦味を評価した。その後、液を吐き出し、口中を水ですすいでから30分以上経過後に他の試験液の苦味を評価した。官能評価は、苦味の強さを以下の基準により数値化して平均値を比較した。その結果を表1に示す。
【0019】
苦味の評価
全く不快な呈味を感じない 5点
ほとんど不快な呈味を感じない 4点
少し不快な呈味を感じる 3点
不快な呈味をかんじる 2点
非常に不快な呈味を感じる 1点
【0020】
【表1】
Figure 0004706096
【0021】
【発明の効果】
本発明により、クラリスロマイシン等の塩基性薬物を含有する経口用製剤組成物が弱酸性下に呈する苦味等の不快な味を簡易にマスキングし、服用性良好な経口製剤を提供することが可能となった。

Claims (1)

  1. (a)クラリスロマイシンとオイドラギットEを分散あるいは溶解させたグリセリン脂肪酸エステルからなる複合体、(b)10質量%から70質量%のマンニトールおよび(c)0.1質量%から7質量%の酸化マグネシウムからなることを特徴とし、水に溶解又は懸濁させたときのpHが4〜7である経口製剤用組成物、並びに、該クラリスロマイシンの1質量部に対してアスパルテームを0.6質量部以上配合したことを特徴とするドライシロップ剤。
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