JP4701715B2 - 光学フィルムの製造方法および光学フィルム - Google Patents
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Description
上記の特徴を利用して、例えば、光ディスク、光学レンズ、光ファイバー、透明プラスチック基盤、低誘電材料、位相差板、偏光板の保護フィルム、液晶表示素子用基板などの電子・光学材料、光半導体封止などの封止材料などの分野において、環状オレフィン系樹脂を応用することが検討されている。
(A)環状オレフィン系重合体、
(B)酸無水物基を有するビニル系重合体 および
(C)沸点が110℃未満の有機溶剤2種以上
を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いて、溶液流延法により成形することを特徴とする。
熱可塑性樹脂組成物における(A)環状オレフィン系重合体と(B)ビニル系重合体との含有割合は、(A)環状オレフィン系重合体100重量部に対して(B)ビニル系重合体20〜200重量部であることが好ましい。
(A)環状オレフィン系重合体および
(B)酸無水物基を有するビニル系重合体
を含有してなり、
波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長400nmにおける位相差Re(400)との比:Re(400)/Re(550)が1.0〜0.1の範囲にあり、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長800nmにおける位相差Re(800)との比:Re(800)/Re(550)が1.5〜1.0の範囲にあることを特徴とする。
本発明によると、正の波長依存性を有し、光学特性に優れたフィルムを、生産性よく製造することが可能になる。
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体(A)としては、下記(i)〜(iv)に示す重合体が挙げられる。
(i)下記式(I)で表される単量体(以下「特定単量体」ともいう)の開環重合体
(ii)特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体、
(iii)前記(i)または(ii)の開環重合体の水素添加重合体、
(iv)上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体
が挙げられる。
これらの中では、(iii)の開環重合体の水素添加物が好ましい。
(A)環状オレフィン系重合体は、後述する(B)ビニル系重合体との相溶性の観点から極性基を有することが好ましい。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン 8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−メチル−8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−メチル−8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−メチル−8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−フェニル−5―メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(2−シクロヘキセニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−n−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−n−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(1−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(2−ナフチル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(4−ビフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(4−ビフェニル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−アミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−トリn-プロポキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−トリn-ブトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−クロロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−シクロヘセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
これらの化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
−(CH2)aCOOR15 (i)
(式中、aは通常、0〜5の整数、R15は炭素数1〜15の炭化水素基である。)
で表される特定の極性基である上記特定単量体が、得られる熱可塑性樹脂組成物および光学フィルムの耐熱性と耐湿(水)性とが良好なバランスを保つ点で好ましい。
上記式(i)において、aの値が小さいほど、また、Rの炭素数が小さいほど、得られる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が高くなり、耐熱性が向上する点で好ましい。すなわち、aは通常、0〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R15は通常、炭素数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が望ましい。
このような特定単量体のうち、得られる熱可塑性樹脂組成物および光学フィルムが耐熱性に優れる点で、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセン、8−メチル−8−ブトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンが好ましく、また、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンと5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンとを併用して用いることが好ましい。特に、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンを単独で用いるか、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンと5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンとを併用して用いると、ビニル系重合体(A)との相溶性に優れた環状オレフィン系重合体が得られる点で好ましい。
上記特定単量体は単独で開環重合してもよいが、さらに、上記特定単量体と他の共重合性単量体と開環共重合させてもよい。
上記共重合性単量体として、具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素数は、4〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜12である。また、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの、主鎖に炭素−炭素間二重結合を含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下で、上記特定単量体を開環重合させてもよい。この場合、得られる開環共重合体およびその水素添加共重合体は、耐衝撃性の大きい熱可塑性樹脂組成物の原料として有用である。
上記一般式(II)で表される開環重合体は、開環重合触媒の存在下、必要に応じて分子量調節剤および開環重合用溶媒を用いて、上記特定単量体、および必要に応じて共重合性単量体を、従来公知の方法で開環重合させることにより得ることができる。
また、上記特定単量体と上記共重合性単量体とを共重合させる場合、上記特定単量体と上記共重合性単量体との合計100重量%に対して、上記特定単量体を通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、かつ100重量%未満、上記共重合性単量体を、0重量%を超えて、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下の割合で共重合させることが望ましい。
本発明で用いる開環重合体としては、特定単量体の単独重合体、または2種以上の特定単量体の共重合体が最も好ましい
本発明に用いられる開環重合用の触媒としては、Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN,J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が好ましく用いられる。
このような触媒としては、たとえば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Cd、Hg、B、Al、Si、Sn、Pbなどの化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなるメタセシス重合触媒が挙げられる。この触媒は、触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。また、その他の触媒として(d)助触媒を用いない周期表第4族〜8族遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体などからなるメタセシス触媒が挙げられる。
上記(b)成分としては、n−C4H9Li、(C2H5)3Al、(C2H5)2AlCl、(C2H5)1.5AlCl1.5、(C2H5)AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができ、さらに特開平1−240517号公報に示される化合物を使用することができる。
上記触媒(d)の代表例としては、W(=N−2,6−C6H3 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Mo(=N−2,6−C6H3 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh3)2Cl2、Ru(=CHPh)(PC6H11)2Cl2などが挙げられる。
開環(共)重合体の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。ここに、好適な分子量調節剤としては、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類;スチレン類;アリル酢酸などを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。分子量調節剤の使用量としては、開環(共)重合反応に供される全単量体1モルに対して0.001〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルであるのが望ましい。
開環(共)重合反応において用いられる溶媒、すなわち、ノルボルネン系単量体、メタセシス触媒および分子量調節剤を溶解する溶媒としては、たとえば、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどの環状炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル類;N,N−11ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどを挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。本発明では、これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量としては、「溶媒:全単量体(重量比)」が、通常0.5:1〜20:1となる量とされ、好ましくは0.5:1〜10:1となる量であるのが望ましい。
上記開環重合反応により得られた開環重合体は、そのまま、(A)環状オレフィン系重合体として使用することもできるが、この開環重合体は、分子内にオレフィン性不飽和結合を有しており、耐熱着色などの問題が発生することがある。このため、上記オレフィン性不飽和結合に水素添加した水素添加重合体を用いることが好ましい。
ただし、本発明でいう水素添加物とは、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加されたものであり、ノルボルネン系単量体に基づく側鎖の芳香環は実質的に水素添加されていないものである。
このように、開環重合体に水素添加することにより、得られる水素添加重合体は優れた熱安定性を有し、成形加工時や製品使用時の加熱によってその特性が劣化することを防止できる。
本発明では、(A)環状オレフィン系重合体として、上記開環重合体およびその水素添加重合体の他に、上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体を使用することができる。上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物とは、これらの合計量100重量%に対して、上記特定単量体を通常60〜90重量%、好ましくは70〜90重量%、より好ましくは80〜90重量%、不飽和二重結合含有化合物を通常10〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%の割合で共重合させることが望ましい。
上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との共重合反応に用いられる触媒としては、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げられる。バナジウム化合物としては、VO(OR)aXbまたはV(OR)cXd(ただし、Rは炭化水素基、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物が挙げられる。電子供与体としてはアルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシラン等の含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナート等の含窒素電子供与体などが挙げられる。上記有機アルミニウム化合物としては、アルミニウム−炭素結合またはアルミニウム−水素結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれた少なくとも1種の有機アルミニウム化合物が挙げられる。上記触媒におけるバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物との割合は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で、通常2以上、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20である。
本発明に用いられる(A)環状オレフィン系重合体は、30℃のクロロベンゼン溶液(濃度0.5g/100ml)中で測定した固有粘度(ηinh)が0.2〜5.0dl/gであることが好ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常8,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜800,000、さらに好ましくは20,000〜500,000であり、重量平均分子量(Mw)は、通常10,000〜3,000,000、好ましくは20,000〜2,000,000、さらに好ましくは30,000〜1,000,000であることが望ましい。
分子量が小さすぎると、得られる成形品やフィルムの強度が低くなることがある。分子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明に用いる可塑性樹脂組成物の生産性や加工性が悪化することがある。
また、(A)環状オレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜5であることが望ましい。
本発明に用いられる(B)ビニル系重合体は、酸無水物基を有することを特徴とする。好ましい構造としては、
(B−1)下記式(III−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(III−1)」ともいう)と、(B−2)下記式(III−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(III−2)」ともいう)および下記式(III−3)で表される構造単位(以下、「構造単位(III−3)」ともいう)から選ばれる少なくとも一種とを有する共重合体(以下、「特定ビニル系重合体」ともいう)が挙げられる。
構造単位(III−1)は、芳香族ビニル系単量体から得られる構造単位である。当該芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−4−ビニルベンゾエート、エチル−4−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類などが挙げられる。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
また、構造単位(III−3)を与える単量体としては、無水イタコン酸が挙げられる。
本発明に用いられる(B)ビニル系重合体をラジカル重合で合成する場合、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物、またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることができる。
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;
過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α−クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド類;
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール類;
ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;
その他、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明に用いられる有機過酸化物はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
ビニル系単量体の共重合反応には、触媒が用いられてもよい。この触媒は、特に限定されず、たとえば、公知のアニオン重合触媒、配位アニオン重合触媒、カチオン重合触媒などが挙げられる。
本発明に用いられる(B)ビニル系重合体は、上記重合開始剤や触媒の存在下で、上記ビニル系単量体を、塊状重合法、溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法、懸濁重合法または塊状−懸濁重合法などの従来公知の方法で共重合させることによって得られる。
本発明の光学フィルムの製造方法は、上述した(A)環状オレフィン系重合体、(B)ビニル系重合体および(C)沸点が110℃未満、好ましくは35〜100℃である有機溶剤を2種以上含有する熱可塑性樹脂組成物を用いて溶液流延法(溶剤キャスト法)によりフィルムを成形することにより、乾燥速度を向上させて生産性を良くし、残留溶剤の少ないフィルムを得ることができるものである。すなわち、(C)有機溶剤は、特定沸点の有機溶剤2種以上からなる混合溶剤を、キャスト溶剤として用いるものである。なお、本発明における沸点は、1気圧における沸点である。
(1)炭化水素系溶剤とエステル系溶剤との混合溶媒
(2)炭化水素系溶剤とケトン系溶剤との混合溶媒
(3)炭化水素系溶剤と、エーテル基含有溶剤との混合溶剤
(4)炭化水素系溶剤と、ハロゲン系溶剤との混合溶剤
(5)炭化水素系溶剤と、エステル系溶剤と、ハロゲン系溶剤との3種混合溶剤
(6)炭化水素系溶剤と、ケトン系溶剤と、ハロゲン系溶剤との3種混合溶剤
(7)炭化水素系溶剤と、エーテル系溶剤と、ハロゲン系溶剤との3種混合溶剤
エステル系溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステルが好ましいものとして挙げられる。またケトン基含有溶剤としては、アセトン、ブタノン、シクロペンタノン等が挙げられる。
また、エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、1,3−ジオキシラン等が挙げられる。
さらに、ハロゲン系溶剤としては、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、塩化プロパン、塩化ブタン等が挙げられる。
なお、混合溶剤のSP値はその重量比から求めることができ、例えば2種の有機溶剤を混合する場合は、各溶剤の重量分率をW1およびW2、また、SP値をSP1およびSP2とすると混合溶剤のSP値は下記式:
混合溶剤のSP値=W1・SP1+W2・SP2
により求めることができる。
なお、(A)環状オレフィン系重合体と(B)ビニル系重合体、およびこれらの混合物(以下、まとめて「重合体」ともいう)のSP値の測定方法は、下記の通りである。
重合体の極限粘度[η]を、溶解度パラメーターの異なる各種有機溶媒中で測定する。各種溶媒としては、四塩化炭素、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トリクロロエチレン、クロロホルム、メチルエチルケトン、ベンズアルデヒド、クロロベンゼン、メチレンクロライド、アセトン、シクロヘキサンなど極性溶媒から非極性溶媒まで一般に入手可能な溶剤を用いる。極限粘度は、30℃の条件下で、ウベローデ粘度管を用い、重合体の0.16〜1.6g/dlの濃度(C)範囲での各種溶媒における比粘度(ηsp)を測定し、各溶媒における粘度数(ηsp/C)を濃度C=0に外挿して求める。溶解度パラメーターの等しい溶媒は重合体を最も膨潤させ、溶媒中での重合体鎖の占める体積が大きくなることにより極限粘度が最大になることから、極限粘度と用いた溶媒の溶解度パラメーターとの関連から、最も極限粘度が大きくなる溶解度パラメーターの値を求め、その値を重合体の溶解度パラメーターとして算出する。
本発明に用いる熱可塑性樹脂組成物における(A)環状オレフィン系重合体と(B)ビニル系重合体(B)との割合は、(A)環状オレフィン系重合体100重量部に対して、(B)ビニル系重合体が、通常20〜200重量部、好ましくは30〜80重量部、より好ましくは35〜60重量部である。(B)ビニル系重合体の配合量が上記下限未満になると、得られる位相差フィルムが正の波長分散性を発現しなくなる可能性があり、また上記上限を超えると、得られる位相差フィルムの位相差発現性が低下したり、負の位相差になったりする可能性がある。
酸化防止剤:
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]〕などが挙げられる。
これらの添加剤の添加量は、本樹脂組成物100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜4重量部である。
さらに、上記熱可塑性樹脂組成物には、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
本発明に係る光学フィルムの製造方法は、(A)環状オレフィン系重合体および(B)ビニル系重合体を(C)有機溶剤(混合溶剤)に溶解または分散した後、溶液流延法(溶剤キャスト法)によってフィルムを形成して製造する方法である。
また、フィルム形成液を繰り返し塗布することにより、得られるフィルムの厚みや表面平滑性を制御することができる。
このようにして得られたフィルムは、残留溶媒量が、通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1.5重量%以下である。フィルム中の残留溶媒量が上記上限を超えると、フィルム使用時において寸法の経時変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりガラス転移温度が低くなり、耐熱性も低下することがあるため好ましくない。
本発明に係る位相差フィルムは、上記方法によって得た本発明の光学フィルムをさらに延伸加工することにより得ることができ、具体的には、公知の一軸延伸法、二軸延伸法、Z軸延伸法により製造することができる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、円周の速度の異なるロールを利用する縦一軸延伸法等あるいは横一軸と縦一軸を組み合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法等を用いることができる。
また、二軸延伸法の場合、同時2方向に延伸を行う場合や一軸延伸後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸処理する場合がある。この時、屈折率楕円体の形状を制御するための2つの延伸軸の交わり角度は、所望する特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
また、本発明の位相差フィルムの加熱による寸法収縮率は、100℃における加熱を500時間行った場合に、通常10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
寸法収縮率を上記範囲内にするためには、本発明中の特定単量体の選択やその他の共重合性単量体の選択に加え、キャスト方法や延伸方法の条件を調整することも有力な手段である。
本発明の光学フィルムは、その少なくとも片面に透明導電層を積層した、透明導電層を有する光学フィルムであることも好ましい。透明導電層を形成するための材料としては、Sn、In、Ti、Pb、Au、Pt、Ag等の金属、またはそれらの酸化物が一般的に使用され、金属単体を基板上に形成したときは、必要に応じてその後酸化することもできる。当初から酸化物層として付着形成させる方法もあるが、最初は金属単体または低級酸化物の形態で被膜を形成し、しかるのち、加熱酸化、陽極酸化あるいは液相酸化等の酸化処理を施して透明化することもできる。これらの透明導電層は、他の透明導電層を有するシート、フィルムなどを接着したり、プラズマ重合法、スパッタリング法、真空蒸着法、メッキ、イオンプレーティング法、スプレー法、電解析出法などによって本発明の光学用フィルム上に直接形成される。これらの透明導電膜の厚さは、所望する特性により決定され特に限定はされないが、通常は10〜10,000オングストローム、好ましくは50〜5,000オングストロームである。
本発明の光学フィルムは、反射防止層を有する光学フィルムであることも好ましい。すなわち、本発明の光学フィルムには、少なくともその片面に反射防止層を積層することができる。反射防止層の形成方法としては、たとえば、フッ素系共重合体を含む組成物の溶液をバーコーターやグラビアコーターなどを用いてコーティングする方法がある。反射防止層の厚みは、通常は0.01〜50μm、好ましくは0.1〜30μm、さらに好ましくは0.5〜20μmである。0.01m未満であると反射防止効果が発揮できず、50μmを超えると塗膜の厚みにムラが生じやすくなり外観などが悪化する場合があり好ましくない。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC、東ソー株式会社製、商品名:HLC−8020/カラム4本:東ソー株式会社製、商品名:TSK gel G7000HxL、TSK gel GMHxL、TSK gel GMHxL、TSK gel G2000xL)を用い、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは、数平均分子量である。
セイコーインスツルメンツ社製、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気、昇温速度:20℃/分の条件で測定した。
全光線透過率、ヘイズ
スガ試験機社製ヘイズメーター:HGM−2DP型を使用して測定した。
サンプルを塩化メチレンに溶解し、得られた溶液を、島津製作所製:GC−7Aガスクロマトグラフィー装置を用いて分析し、溶媒のピーク面積値から残留溶媒量を求めた。
透過光の位相差および波長分散性
得られたフィルムを恒温槽付き引っ張り試験機(インストロン社製、MODEL5567型)を使用してガラス転移温度+10℃の温度で5分間保持した後、1軸延伸を行った。延伸設定倍率は、2倍で行った。得られた延伸フィルムについて、王子計測機器社製KOBRA−21ADH、並びにKOBRA−CCDを用いて、透過光の位相差測定を行った。
下記式(A)で表される8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン50g、分子量調節剤の1−へキセン2.3gおよびトルエン100gを、窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6モル/L)のトルエン溶液0.09ml、メタノール変性WCl6のトルエン溶液(0.025モル/L)0.29mlを加え、80℃で3時間反応させることにより重合体を得た。次いで、得られた開環共重合体溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエンを100g加えた。水添触媒であるRuHCl(CO)[P(C6H5)]3をモノマー仕込み量に対して2500ppm添加し、水素ガス圧を9−10MPaとし、 160−165℃にて3時間の反応を行った。反応終了後、多量のメタノール溶液に沈殿させることにより水素添加物を得た。得られた開環重合体の水素添加物(樹脂(P))は、ガラス転移温度(Tg)=167℃、重量平均分子量(Mw)=13.5×104、分子量分布(Mw/Mn)=3.06であった。
スチレン−無水マレイン酸共重合体(共重合比:スチレン/無水マレイン酸=90−92/8−10(重量比)、Mw=207,350、Mn=103,980、Tg=118℃、NOVA Chemicals社製「ダイラークD232」、以下同じ)0.35gおよび合成例1で得られた樹脂P0.65gに、シクロヘキサン/テトラヒドロフラン混合溶剤(30重量%/70重量%)を3.0g添加、溶解した。このポリマー溶液(溶液濃度25重量%)をキャスト製膜することにより、8cm×8cmのサイズの透明なフィルムPF−1を得た。溶剤乾燥温度は120℃とした。得られたフィルムの全光線透過率、ヘイズ、フィルム膜厚を測定した。また、用いた混合溶剤のSP値を算出した。結果を表2に示す。
キャスト溶剤として、表2または表3に記載の溶剤の組み合わせ、混合比にした以外は実施例1と同様にしてポリマー溶液を得、フィルムを得た。得られたフィルムの全光線透過率、ヘイズ、フィルム膜厚を測定した。また、用いた混合溶剤のSP値を算出した。結果を表2および表3に併せて示す。
実施例6における溶剤乾燥速度と、比較例1における溶剤乾燥速度とを比較した。残留溶剤は、いずれも乾燥温度120℃においてフィルム重量の経時変化を測定し、フィルムを真空下で120℃、4日間乾燥したフィルムの重量を、残留溶媒を含まないフィルムの基準重量としてフィルムの残留溶媒量を算出し、フィルム中の残留溶媒量が5重量%になるまでの時間を測定した。その結果、実施例6においては約30分間、比較例1においては約250分間を要した。
実施例6で得られたフィルムPF−6、比較例1で得られたフィルムPF−1をそれぞれ用いて、延伸処理を行い、延伸フィルムを得て評価を行った。結果を表4に示す。
Claims (6)
- (A)環状オレフィン系重合体、
(B)酸無水物基を有するビニル系重合体 および
(C)沸点が110℃未満の有機溶剤2種以上
を含有し、前記(C)沸点が110℃未満の有機溶剤2種以上として、シクロオレフィン類と、極性基含有溶剤およびハロゲン系溶剤から選ばれる少なくとも1種とを含有する熱可塑性樹脂組成物を用いて、溶液流延法により成形することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。 - 熱可塑性樹脂組成物における(A)環状オレフィン系重合体と(B)ビニル系重合体との含有割合が、(A)環状オレフィン系重合体100重量部に対して(B)ビニル系重合体20〜200重量部である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- (A)環状オレフィン系重合体が、下記式(II)で表される構造単位を有することを特徴とする、請求項1乃至2のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
- (B)ビニル系重合体が、
(B−1)下記式(III−1)で表される構造単位と、
(B−2)下記式(III−2)で表される構造単位および下記式(III−3)で表される構造単位から選ばれる少なくとも一種
とを有する共重合体であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法で得られる光学フィルム。
- 波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長400nmにおける位相差Re(400)との比:Re(400)/Re(550)が1.0〜0.1の範囲にあり、波長550nmにおける位相差Re(550)と、波長800nmにおける位相差Re(800)との比:Re(800)/Re(550)が1.5〜1.0の範囲にあることを特徴とする、請求項5に記載の光学フィルム。
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