JP4768550B2 - スパウト付きパウチ - Google Patents
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Description
図4には、従来の一般的なスパウト付きパウチを示している。すなわち、このスパウト付きパウチは、可撓性のフィルムを重ね合わせて成形される袋体であって継ぎ目となるフィルム端部間が熱溶着されてシールされるパウチ本体101と、パウチ本体101のフィルム端部間に装着されフィルム端部と共に熱溶着されてシールされるスパウト103と、を備えた構成となっている。
このように、スパウト付きパウチは、スパウトを装着していないパウチに比べて耐圧性及び耐落下衝撃性に劣るという問題があった。
自己閉塞を防止するために、従来は板状あるいは棒状の自己閉塞防止具106が挿入されているが、その分だけ部品点数が増大すると共にコストも嵩む。また、自己閉塞防止具はスパウトと一体に成形されることもあり成形が困難である。
しかし、特許文献1に記載のものでは、スパウトを特別の形状に加工する必要があり、既存のスパウト付きパウチに適用することができない。また、スパウト付近の自己閉塞に関しても解決することができなかった。
前記パウチ本体外面に、スパウトの熱溶着部とパウチ本体の収納空間に面する変形自在のフィルム部との境界部を跨いで、スパウトの熱溶着部と変形自在のフィルム部の双方を部分的に覆うように貼り付けられる応力分散片を設けたことを特徴とする。
また、応力分散片はスパウトの形状に倣った立体形状を有していることが好適である。 さらに、応力分散片の変形自在のフィルム部側に貼り付けられる部分の外周形状は滑らかな曲線形状となっていることが好ましい。
また、応力分散片に剛性を調整する剛性調整手段を設けてもよい。
この場合、応力分散片の変形自在のフィルム部側に貼り付けられる部分について、外周縁に向かって剛性が小さくなる構成とすることが好ましい。
剛性を小さくする手段としては、応力分散片のフィルム部側に貼り付けられる部分の外周縁に多数のスリットを設けてもよいし、肉厚が外周縁に向かって徐々に薄肉となるように構成してもよい。
また、応力分散片はパウチ本体と同材質の材料によって構成することが好適である。
また、応力分散片を設けることにより適度な剛性が生じるので、スパウト付け根部のパウチ本体の自己閉塞を防止できる。
さらに、応力分散片の剛性により、応力分散片をパウチを手に持つ際の把持部として用いることができ、使い勝手がよい。
また、応力分散片をパウチ本体の外面に装着するため、応力分散片の材質により内容物へ影響を与えることがない。
また、応力分散片の形、色、さらに加飾を施すことにより、差別化を図ることもできる。
特に、応力分散片を、スパウトの左右エッジ部とスパウトの熱溶着部の交点を覆うように設ければ、フィルムの破断を効果的に防止することができる。
また、応力分散片のフィルム部側に貼り付けられる部分の外周縁形状を角部の無いなめらかな曲線にしておくことにより、応力分散片の外周縁部に応力が集中するおそれが無い。 さらに、応力分散片表面に滑り止め手段を設けることにより、応力分散片を手で握った際に滑りにくく、より使い勝手が向上する。
特に、応力分散片のフィルム部側に貼り付けられる部分の外周縁部に、スリットを設けたり、肉厚を徐々に薄肉としておくことにより、フィルム部の柔軟性を損なうことなく、応力を効率的に分散させることができる。
応力分散片をパウチ本体と同材質とすれば、廃棄時の分別の問題が無い。
実施例1
図1は本発明の実施例1に係るスパウト付きパウチを示している。
このスパウト付きパウチは、可撓性のフィルムを重ね合わせて成形される袋体であって継ぎ目となるフィルム端部間が熱溶着されてシールされるパウチ本体1と、パウチ本体1のフィルム端部間に装着されフィルム端部と共に熱溶着されてシールされるスパウト3と、を備えている。パウチ本体1外面には、スパウト3の熱溶着部としてのスパウトシール部2とパウチ本体1の内部空間に面する変形自在のフィルム部5との境界部6を跨いで、スパウト3のスパウトシール部2と変形自在のフィルム部5の双方を部分的に覆うように貼り付けられる応力分散片としての応力分散パッチ4が設けられている。
平面フィルム11,11の左右側縁に二つ折りの側面フィルム12,12の前後縁部が熱溶着されて側辺シール部13,13が構成されている(図1(A),(B)参照)。平面フィルム11,11の側辺は、底辺側の下方部分が内側に向けて斜めに屈曲する屈曲形状となっている。
また、平面フィルム11,11の下側縁の中央部が熱溶着されて底辺シール部15が形成されている。
パウチ本体1を構成するフィルム材は特に限定されないが、フィルムがアルミ箔層を含まない構造の場合にエッジ切れが生じやすいので、アルミ箔層を含まないフィルム材に好適である。
基部31は、図1(C)に示すように、注出孔34が貫通している中央部35から左右両端の尖ったエッジ部3a,3aに向かって徐々に厚みが薄肉になるように延びる延出部36を備えており、スパウトシール部2のフィルム端部は基部31の横断面形状に倣って舟形あるいは紡錘形状となっている。
応力分散パッチ4の貼り付けは、接着剤,粘着剤によって貼り付けられる。両面テープによって貼り付けてもよく、材料によっては熱融着してもよい。要するに、パウチ本体1の表面に密着して剥がれなければよい。
図示例では、応力分散パッチ4の外周形状は、一つの円弧部41と一つの直線部42で構成されて円弧面形状となっているが、フィルム部側に貼り付けられる部分の外周形状が滑らかな曲線で構成されていればよい。たとえば、図1(E)に示すように、円弧部41と直線部42が左右直線部43,43を介してつながるような形状でもよいし、図1(F)に示すように、円弧部の代わりに直線部42と平行なフィルム部側直線部45を有し、左右直線部43,43とフィルム部側直線部45の角部を丸めて円弧部46とした角丸の四角形状としてもよいし、その他種々の形状を採用し得る。
また、応力分散パッチ4のフィルム部5に張り出す部分の外周形状が円弧部41で、角部の無いなめらかな曲線形状となっているので、応力分散パッチ4の外周に応力が集中するおそれも無い。
また、応力分散パッチ4を設けることにより適度な剛性が生じるので、内容物を注出して内圧が減少しても、応力分散パッチ4によってフィルム部5が保持され、スパウト付け根部におけるパウチ本体1の自己閉塞も防止できる。したがって、従来用いられていた自己閉塞防止具が不要となる。
応力分散パッチ4はパウチ本体1の外表面に装着するため、既存のすべてのスパウト付きパウチに対して適用可能であるし、応力分散パウチ2の材質により内容物へ影響を与えることがない。
また、応力分散パッチ4の形、色、さらに加飾を施すことにより差別化を図ることもできる。
上記実施例では、応力分散パッチ4は、スパウトシール部だけでなく左右の上辺シール部14,14とフィルム部6との境界部5全体を広く覆うように構成されているが、図2(D)のようにスパウト3の左右のエッジ部3a,3aと境界部5の交点P付近のみを覆うようにしてもよい。
円弧形状部143によって、スパウト3の左右のエッジ部3a,3aと境界部6の交点P周辺が覆われている。
このようにすれば、パウチ本体1が内圧上昇により膨れた場合に、スパウトシール部2の境界部6付近のフィルム部の変形は応力分散パッチ4の縦方向突出部142によって押さえられ、応力が円弧形状部143に沿って分散されるので、フィルムのエッジ切れを防止することができる。
このようにすれば、パウチ本体1が内圧上昇により膨らんでも、スパウトシール部2の境界部6付近のフィルム部5の変形は、応力分散パッチ150の縦方向パッチ片部151と横方向パッチ片部152によって押さえられ、応力が横方向パッチ片部152全体に分散されるので、フィルムのエッジ切れを防止することができる。
図3は、本発明の実施例2に係るスパウト付きパウチを示している。
このスパウト付きパウチは、剛性の高い外装容器に収納され、スパウト203で外装容器207と固定するような構成となっており、外装容器207内に収納された状態でパウチが減容化される。
スパウト付きパウチは、可撓性のフィルムを重ね合わせて成形される袋体であって継ぎ目となるフィルム端部間が熱溶着されてシールされるパウチ本体201と、パウチ本体201のフィルム端部間に装着されフィルム端部と共に熱溶着されてシールされるスパウト203と、を備えている。
すなわち、直方体に開いた形状は、スパウト203を上に向けた状態で、前後一対の側面部A,Aと、左右一対の端面部B,Bと、上面部Cと、底面部Dの6面体で、側面部A,A及び端面部B、Bは、パウチ本体201を構成する平面フィルム211,211を折曲することによって構成され、上面部Cと底面部Dは側面フィルム212,212によって構成される。 端部シール部215は端面部B,Bの中央に上下方向に延び、サイドシール部213は、一方の側面部Aの上縁に沿って左右両端まで延び、さらに端面部B,Bの上縁に回りこんで端面部B,Bの上縁中央部に位置する端部シール部215まで延びている。
減容化する際には、端面部B,B、上面部C及び底面部Dが内側に折り込まれ、側面部A,A間の間隔が互いに平行に狭まる方向に収縮する。
熱溶着されるスパウト203の基部231は、図3(C)に示すように、横断面形状が舟形あるいは紡錘形状で、基部231から上方に注出筒232が突出している。スパウトシール部202についても、スパウト203の基部231の横断面形状に倣って舟形あるいは紡錘形状となっている。
このスパウト203が取り付けられる側面部Aの外面に応力分散パッチ204が貼り付けられている。応力分散パッチ204は、実施例1と同様に、スパウトシール部202とパウチ本体201の内部空間に面する変形自在のフィルム部205との境界部206を跨いで、スパウトシール部202と変形自在のフィルム部205の双方を部分的に覆うように貼り付けられる。
また、スパウト203がサイドシール部213の一端に片寄って取り付けられているので、応力分散パッチ204の平面形状は、四半円弧形状の円弧部241と、横方向に延びる直線部242と、縦方向に延びる直線部243で囲まれた扇形状で、横方向直線部242がスパウトシール部202及びサイドシール部213に貼り付けられ、円弧部241側の部分が変形自在のフィルム部5に貼り付けられている。また、縦方向直線部243は側面部Aの側縁に沿って配置されている。
また、応力分散パッチ204のフィルム部205側の貼り付け部の外周形状が角部の無いなめらかな円弧部241となっているので、応力分散パッチ204の外周に応力が集中するおそれも無い。
この応力分散パッチ204についても、図2(B),(C)に示したように、フィルム部205に貼り付けられた円弧部241に応力が集中しないように、スリットを設けたり、外周に向かって徐々に薄肉として剛性が小さくなる構成することが好ましい。
また、応力分散パッチ204を設けることにより適度な剛性が生じるので、減容化による折り畳み時に、側面部Aが保持され、スパウト付け根部におけるパウチ本体201の自己閉塞を防止できる。したがって、従来用いられていた自己閉塞防止具が不要となる。
応力分散パッチの変形例については、実施例1と同様である。
なお、上記各実施例では、パウチ本体の構造としてはガゼット袋タイプのものについて説明したが、ガゼット袋に限定されるものではなく、三方袋、4方袋等の平面構成でもよいし、自立形のスタンディングパウチの構成にも適用可能であり、パウチの構成は問わない。
11 平板フィルム(表,裏)、12 側面フィルム、
13 側辺シール部、14 上辺シール部、15 底辺シール部
2 スパウトシール部
3 スパウト
31 基部、32 注出筒、33 キャップ、34 注出孔
35 中央部、36 延出部
3a エッジ部
4 応力分散パッチ(応力分散片)
41 円弧部
42 直線部
43 左右直線部
44 透孔
45 フィルム部側直線部
46 円弧部
47 穴
48 スリット
49a エンボス部
49b 穴
4T 立体形状部
5 フィルム部
6 境界部
P 交点部分
140 応力分散パッチ
141 横方向パッチ片部、142 縦方向パッチ片部、143 円弧形状部
150 応力分散パッチ
151 縦方向パッチ片部、152 横方向パッチ片部、152a 外周円弧部
152b 斜辺部
201 パウチ本体
211 平面フィルム、212 側面フィルム
213 サイドシール部
215 端部シール部
202 スパウトシール部
203 スパウト
203a 左右エッジ部
204 応力分散パッチ
241 円弧部、242 横方向直線部、243 縦方向直線部
205 フィルム部分
206 境界部
207 外装容器
A 側面部
B 端面部
C 上面部
D 底面部
101 パウチ本体、102 スパウトシール部、
103 スパウト、103a エッジ部、
104 フィルム部、105 境界部、
P 交点
106 自己閉塞防止具
Claims (9)
- 可撓性のフィルムを重ね合わせて成形される袋体であって継ぎ目となるフィルム端部間が熱溶着されてシールされるパウチ本体と、該パウチ本体のフィルム端部間に装着されフィルム端部と共に熱溶着されてシールされるスパウトと、を備えたスパウト付きパウチにおいて、
前記パウチ本体外面に、スパウトの熱溶着部とパウチ本体の収納空間に面する変形自在のフィルム部との境界部を跨いで、スパウトの熱溶着部と変形自在のフィルム部の双方を部分的に覆うように貼り付けられる応力分散片を設けたことを特徴とするスパウト付きパウチ。 - 応力分散片は、スパウトの左右エッジ部と、前記スパウトの熱溶着部とフィルム部との境界部との交点を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスパウト付きパウチ。
- 応力分散片はスパウトの形状に倣った立体形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパウト付きパウチ。
- 応力分散片の変形自在のフィルム部側に貼り付けられる部分の外周形状は滑らかな曲線形状となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のスパウト付きパウチ。
- 応力分散片表面には滑り止め手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載のスパウト付きパウチ。
- 応力分散片に剛性を調整する剛性調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載のスパウト付きパウチ。
- 応力分散片の変形自在のフィルム部側に貼り付けられる部分は、外周縁に向かって剛性が小さくなる構成となっていることを特徴とする請求項6に記載のスパウト付きパウチ。
- 応力分散片のフィルム部側に貼り付けられる部分の外周縁には多数のスリットが設けられていることを特徴とする請求項7に記載のスパウト付きパウチ。
- 応力分散片のフィルム部側に貼り付けられる部分の肉厚が外周縁に向かって徐々に薄肉になっている請求項7に記載のスパウト付きパウチ。
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