JP4747442B2 - 白色ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、白色ポリエステルフィルムに関するものである。更に詳しく述べれば、本発明は、製膜性、軽量性に優れ、さらには白色性、耐折れじわ性にも優れた白色ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリエステル中に酸化チタン、炭酸カルシウムあるいは硫酸バリウム等の無機系微粒子やポリエステルと非相溶の樹脂を含有せしめた白色ポリエステルフィルムが、各種の用途、例えば、インクジェット、感熱転写、感熱発色、オフセット印刷などの印刷記録用受容シートの基材に適用されている。また、印字画像の鮮明性を高め、より高級感を与えるため、より高白色性の白色ポリエステルフィルムが求められている。このような要求に対しては、上述の無機系微粒子の複数種を併用添加した白色ポリエステルフィルム、無機系微粒子と非相溶樹脂を併用添加した白色ポリエステルフィルム等が公知となっている。このような白色ポリエステルフィルムとしては、例えば、特開平4−153232号公報、特開平6−322153号公報等が開示されている。
また、近年では印字記録の高精細化、高速化がさらに進んでおり、上述の白色ポリエステルフィルムを使用した場合、印字画像の濃度が低い結果、印字画像が不鮮明となって印字性に劣ることがある。上記問題点を改善する方法としては、気泡を含有する白色ポリエステル層にポリエステル主体の層、あるいは無機系微粒子含有ポリエステル層を積層して、表面を高平滑化する方法が提案されている。
このような白色ポリエステルフィルムとしては、例えば、特公平7−37098号公報、特開平5−329969号公報、特開平6−238787号公報などが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特公平7−37098号公報、特開平5−329969号公報、特開平6−238787号公報などに記載された白色ポリエステルフィルムは、印字性は改良できても、取り扱い時に折り曲げた際、フィルム表面に細かなしわ、いわゆる「折れじわ」が入りやすいという実用上の問題があった。すなわち、上述の諸特性の他、折れじわの入らない「耐折れじわ性」にも同時に優れた白色ポリエステルフィルムが強く求められてきたのである。
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、高度な製膜性、軽量性を保持し、しかも優れた白色性、耐折れじわ性を有する白色ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための、本発明の白色ポリエステルフィルムは、融点Tmのポリエステル中に該ポリエステルとは非相溶な熱可塑性樹脂(I-1 )および(I-2 )を含有し、かつ、内部に微細な気泡を含有する白色ポリエステルフィルムであって、溶融温度(Tm+20〜+30℃)、ずり速度200sec-1における該熱可塑性樹脂(I-1 )および(I-2 )の各々の溶融粘度MI(1)、MI(2)が下記の関係式a)〜c)を満たしていることを特徴とする白色ポリエステルフィルムである。
a)MI(1)=2×102〜1×103ポイズ
b)MI(2)=1.1×103〜1.5×104ポイズ
c)MI(2)/MI(1)=1.2〜30
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主体として構成されている。
【0006】
本発明において、ポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーである。さらに、ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等で代表されるものであり、またジオールは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等で代表されるものである。
【0007】
このようなポリエステルの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ポリエチレンナフタレート)等を使用することができる。これらのポリエステルは、ホモポリエステルであっても、コポリエステルであってもよく、コポリエステルの共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることもできる。
【0008】
また、本発明で用いられるポリエステルの中には、必要に応じて本発明の効果が損なわれない量での適宜な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
【0009】
本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが、強度、耐熱性、耐水性および耐薬品性等に優れているため、特に好ましく用いられる。
【0010】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステル中に該ポリエステルとは非相溶な熱可塑性樹脂(以降、非相溶樹脂と記載することがある)を含有することが必要である。
【0011】
本発明でいう非相溶樹脂とは、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂であって、かつ該ポリエステルに対して非相溶性を示す熱可塑性樹脂である。より具体的に述べれば、非相溶樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)等を用いた公知の方法での測定において、ポリエステルと上記非相溶樹脂とを溶融した系において、ポリエステルに相当するガラス転移温度(以降、Tgと略称する)以外に該非相溶樹脂に相当するTgが観察される樹脂のことである。これ以外の方法としては、表面張力(例えば、Zismanの臨界表面張力γc 、拡張Fowkes式による3成分の表面張力γs など)、溶解度パラメーターのいずれかの数値について、ポリエステルに対する非相溶樹脂の比率が好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下、最も好ましくは0.85以下の樹脂である。さらには、ポリエステル中では粒子状に分散し、延伸によりフィルム中に気泡を形成せしめる効果が大きい樹脂が好ましく用いられる。
【0012】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、内部に微細な気泡を含有することが必要である。ここで、気泡の形成方法としては、フィルムを少なくとも一軸に延伸する方法が好ましく用いられる。さらには二軸延伸する方法がより好ましい。フィルムを延伸することにより、フィルム内部に該非相溶樹脂を核とした微細な気泡を形成せしめることができる。フィルムを延伸して気泡を形成する方法は、製膜性、内部に含有せしめる気泡の量の調整し易さ、より微細で均一な大きさの気泡の形成し易さ、さらに軽量性などの点で優れている。
【0013】
本発明における微細な気泡とは、例えば、フィルムに軽量性を付与せしめることに寄与できるものを言うのであって、具体的には、ポリエステル中に含有せしめた球形、楕円形、もしくは扁平形の非相溶樹脂を核として生成されたものである。さらに具体的には、白色ポリエステルフィルムの断面(厚み方向)を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)などによって観察したとき、気泡部分の断面積(ただし、気泡生成の核となる非相溶樹脂部分は除く)の平均値が0.5〜25μm2 にあるものが好ましく、より好ましくは1〜20μm2、さらには1.5〜15μm2の範囲内にあることが特に好ましい。
【0014】
また、本発明の白色ポリエステルフィルムは、ポリエステルの融点をTmとしたとき、溶融温度(Tm+20〜+30℃)、ずり速度200sec-1における非相溶樹脂(I-1 )および(I-2 )の各々の溶融粘度MI(1)、MI(2)が下記の関係式a)〜c)を満たしていることが必要である。
a)MI(1)=2×102〜1×103ポイズ
b)MI(2)=1.1×103〜1.5×104ポイズ
c)MI(2)/MI(1)=1.2〜30
本発明における、より好ましいMI(1)は 2.5×102〜9.5×102ポイズであって、さらには3×102〜9×102ポイズが特に好ましい。 MI(1)が2×102 より小さい場合には、微細な気泡の形成性が低下してフィルムの軽量性、白色性が低下したり、あるいはフィルム破れが起こりやすくなって製膜性が低下する傾向があるため好ましくない。一方、1×103 ポイズより大きい場合には、フィルムの軽量性、白色性と耐折れじわ性とを両立させることが困難となるため好ましくない。
【0015】
また、より好ましいMI(2)は1.5×103〜1.2×104ポイズであって、さらには2×103〜1×104ポイズが特に好ましい。MI(2) が1.1×103 より小さい場合には、フィルムの軽量性、白色性と耐折れじわ性とを両立させることが困難となるため好ましくない。一方、1.5×104 ポイズより大きい場合には、気泡が大きくなりやすく、その結果としてフィルムの白色性が低下したり、あるいはフィルム破れが起こりやすくなって製膜性が低下する傾向があるため好ましくない。
【0016】
さらに、より好ましいMI(2)/MI(1)は1.5〜25であって、2〜20が特に好ましい。この比率が1.2より小さい場合には、フィルムの軽量性、白色性と耐折れじわ性とを両立させることが困難となったり、あるいは印刷記録用受容シートとしたとき印字性に劣ることがあるため好ましくない。一方、30より大きい場合には、気泡が大きくなりやすく、その結果としてフィルムの白色性が低下したり、あるいはフィルム破れが起こりやすくなって製膜性が低下する傾向があるため好ましくない。
【0017】
なお、ポリエステルの融点Tmは、選択したポリエステルの種類により様々に異なるため特に限定されないが、通常は示差走査熱量計(DSC)などの公知の方法を用いた測定において230〜280℃の範囲内のものを選ぶことが好ましく、さらには240〜270℃であるものがより好ましい。
【0018】
また、本発明においては、溶融温度(Tm+20〜+30℃)、ずり速度200sec-1におけるポリエステルの溶融粘度MI(P)に対する、非相溶樹脂(I-1 )および(I-2 )の各々の溶融粘度比が下記の関係式d)およびe)を満たしていることが好ましい。
d)MI(1)/MI(P)=0.06〜0.8
e)MI(2)/MI(P)=0.5〜15
また、より好ましいMI(1)/MI(P)は0.1〜0.75であって、さらには0.15〜0.7であることが特に好ましい。このMI(1)/MI(P)が0.06より小さい場合、微細な気泡の形成性が低下してフィルムの軽量性、白色性が低下したり、あるいはフィルム破れが起こりやすくなって製膜性が低下する傾向がある。一方、0.8より大きい場合には、フィルムの軽量性、白色性と耐折れじわ性とを両立させることが難しくなる可能性がある。
【0019】
また、より好ましいMI(2)/MI(P)は0.7〜12であって、さらには1〜10であることがとくに好ましい。このMI(2)/MI(P)が0.5より小さい場合、フィルムの軽量性、白色性と耐折れじわ性とを両立させることが難しくなる可能性がある。一方、15より大きい場合には、気泡が大きくなりやすく、その結果としてフィルムの白色性が低下したり、あるいはフィルム破れが起こりやすくなって製膜性が低下する傾向がある。
【0020】
また、本発明に用いられる非相溶樹脂の融点は、ポリエステルの融点よりも低温であって、かつ製膜時にフィルムを熱固定して配向させる際の温度(熱処理温度)よりも高温であることが好ましい。かかる点から該非相溶樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンなどのような直鎖状、分鎖状あるいは環状のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらの非相溶樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶樹脂を併用してもよい。これらの中でも、製膜性の点でポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ乳酸がより好ましく用いられ、さらに好ましくは、表面張力の小さなポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン、特にポリメチルペンテンが好ましく用いられる。ポリメチルペンテンは相対的にポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、添加量当たりの気泡形成の効果が大きいという特徴があり、非相溶樹脂として特に好ましいものである。
【0021】
ここで、ポリメチルペンテンとしては、4−メチルペンテン−1からの誘導単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むものであって、その他の誘導単位としては、エチレン単位、プロピレン単位、ブテン−1単位、3−メチルブテン−1、あるいは4−メチルペンテン−1以外で炭素数6〜12の炭化水素などが例示される。ポリメチルペンテンは単独重合体であっても共重合体であってもよい。ポリメチルペンテンは、非相溶樹脂の少なくとも1種類以上に用いられるのが好ましいが、溶融粘度の異なる2種のポリメチルペンテンを非相溶樹脂として同時に用いるのがとくに好ましい。
【0022】
本発明に用いられる非相溶樹脂の中には、必要に応じて本発明の効果が損なわれない量での適宜な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
【0023】
本発明のフィルム中(後述の白色ポリエステル層(A)は除く)における非相溶樹脂(I-1 )の含有量W(1)および非相溶樹脂(I-2 )の含有量W(2)は、特に限定されないが、両者の合計(W(1)+W(2))は1〜40重量%とすることが好ましく、より好ましくは2〜35重量%、さらには3〜30重量%の範囲内であることが特に好ましい。含有量が上記範囲より少ない場合にはフィルムの白色性や隠蔽性などを向上させることが難しくなることがあり、逆に含有量が上記範囲より多い場合には、延伸時にフィルム破れ等が生じやすくなって、生産性が低下する場合がある。
【0024】
さらに本発明においては、非相溶樹脂(I-2 )に対する非相溶樹脂(I-1 )の含有量比(W(1)/W(2))を0.5〜20とすることが好ましく、より好ましくは0.8〜15、さらには1〜10とすることがとくに好ましい。含有量比がこの範囲外であると、フィルムの軽量性、白色性と耐折れじわ性とを両立させることが困難となるか、あるいは延伸時にフィルム破れ等が生じやすくなって、生産性が低下する場合がある。
【0025】
また、本発明の白色ポリエステルフィルムにおいて、前述した非相溶樹脂の他に、さらに分散剤を含有せしめることは、非相溶樹脂の分散径が小さくなることで延伸により発生する気泡をより微細化でき、結果的にフィルムの白色性や製膜性を向上させることができるので、より好ましいものである。本発明における、上記の効果を示す分散剤とは、カルボキシル基やエポキシ基等の極性基やポリエステルと反応性のある官能基をもったオレフィン系の重合体または共重合体、ポリアルキレングリコール、界面活性剤、熱接着性樹脂等である。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。ここで、分散剤を含有せしめる方法としてはとくに限定されないが、たとえばポリエステルとの混合であるブレンド化や、ランダム共重合、ブロック共重合などの共重合化が採用できる。また両者の中間状態である部分共重合化であってもよい。
【0026】
ここで、本発明のフィルム中(後述の白色ポリエステル層(A)は除く)における分散剤の含有量は、0.05〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜7重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%である。含有量が0.05重量%より少ない場合、気泡を微細化する効果が小さくなる。また、含有量が10重量%より多い場合には、逆に、非相溶樹脂を添加する効果が小さくなり、白色性の低下やコスト上昇などの問題が発生したり、製膜性が低下することがある。
【0027】
本発明においては、白色性、平滑性、製膜性などの向上を目的として、少なくともフィルムの片面に白色ポリエステル層(A)を積層することが好ましく、両面に白色ポリエステル層(A)を積層して3層積層構成としたものは、製膜性だけでなく、取扱性などの実用性向上などの点から、より好ましいものである。
【0028】
該白色ポリエステル層(A)には、白色染料、白色顔料、無機系微粒子などを含有せしめることが好ましいが、経時での安定性および製膜性などの点で、無機系微粒子を含有せしめることが特に好ましい。無機系微粒子の例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウムおよびフッ化カルシウム等を挙げることができる。
【0029】
該無機系微粒子は気泡形成性を有していても、有していなくてもよく、またその気泡形成性は、ポリエステルとの表面張力差や平均粒子径や凝集性などにも依存するが、前述の無機系微粒子中で気泡形成性を有する代表的なものとしては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどである。一方、気泡形成性を有しない無機系微粒子とは、主にポリエステルとの屈折率差によってフィルムを白色化せしめるものであって、その代表例は、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウムなどである。
【0030】
これらの無機系微粒子は、単独でも2種以上を併用してもよい。また、多孔質や中空多孔質等の形態であってもよく、さらには本発明の効果を阻害しない範囲内において、樹脂に対する分散性を向上させるために、表面処理が施されていてもよい。
【0031】
また、本発明に使用される無機系微粒子は、白色ポリエステル層(A)中での平均粒子径が0.05〜3μmであることが好ましく、より好ましくは0.07〜1μmである。無機系微粒子の平均粒子径が上記範囲外である場合、凝集などによる無機系微粒子の均一分散性不良、あるいは粒子自身によってフィルム表面の光沢または平滑性が低下する場合がある。
【0032】
また、白色ポリエステル層(A)中における無機系微粒子の含有量は、特に限定されないが、1〜35重量%が好ましく、より好ましくは2〜30重量%、さらには3〜25重量%の範囲にあることが特に好ましい。含有量が上記範囲より少ない場合には、フィルムの白色性、隠蔽性(光学濃度)などの特性を向上させることが難しくなることがあり、逆に、含有量が上記範囲より多い場合にはフィルム表面の光沢または平滑性が低下しやすくなるだけでなく、延伸時にフィルム破れや後加工の際に粉発生等の不都合を生じる場合がある。
【0033】
本発明の白色ポリエステルフィルムには、より高度な白色性を与えることを目的として、蛍光増白剤を含有せしめることが好ましい。
【0034】
本発明における蛍光増白剤とは、太陽光中や人工光中の紫外線を吸収し、これを紫〜青色の可視光線に変え輻射する機能を保持し、その蛍光作用により高分子物質の明度を低下させることなく白色性を助長させる化合物である。蛍光増白剤は、特に限定されるものではなく、単独または2種以上の併用であってもよいが、本発明では、耐熱性に優れ、前述のポリエステルとの相溶性がよく均一分散できると共に、ポリエステルの着色が少ない蛍光増白剤の選択が好ましい。具体的には、蛍光増白剤としては、商品名“ユビテック”(チバガイギー社)、“OB−1”(イーストマン社)、“TBO”(住友精化(株))、“ケイコール”(日本曹達(株))、“カヤライト”(日本化薬(株))、“リューコプア”EGM(クライアントジャパン(株))等を用いることができる。
【0035】
非相溶樹脂を含有するポリエステル層または白色ポリエステル層(A)中における蛍光増白剤の含有量は、合わせて0.01〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.03〜1.5重量%、さらには0.05〜1重量%の範囲にあることがとくに好ましい。蛍光増白剤の含有量が上記範囲より少ないと十分な増白効果が得にくく、上記範囲を超える場合には均一分散性の低下や蛍光増白剤自身の着色により、かえって白色性や耐光性が低下しやすい等の問題を生じることがある。
【0036】
なお、白色ポリエステル層(A)を積層する場合には、この白色ポリエステル層(A)に蛍光増白剤を含有せしめ、無機系微粒子と併用することがより好ましい。
【0037】
また本発明においては、白色ポリエステル層(A)を構成するポリエステルと非相溶樹脂を含有せしめるポリエステルとは、同一種であっても、異なっていてもよいが、異なったポリエステルの組合せが好ましい。例えば白色ポリエステル層(A)に用いられるポリエステルがポリエチレンナフタレートで、非相溶樹脂を含有せしめるポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合、耐光性や剛性などの向上効果が得られるのでより好ましい。また、白色ポリエステル層(A)に用いられるポリエステルがコポリエステルで、非相溶樹脂を含有せしめるポリエステルがホモポリエステルである場合、易接着性、帯電防止性を付与する目的でコーティング加工時したとき、コーティング層との密着性向上効果等が得られるので好ましい。
【0038】
本発明においては、白色ポリエステル層(A)を積層する方法としては特に限定されないが、たとえば溶融製膜中の共押出により複合化する方法、あるいはそれぞれ別々に製膜した後、ラミネートする方法を用いることができる。これらの方法のうち、コストなどの点で前者の方法がより好ましい。
【0039】
また、本発明の白色ポリエステルフィルムの使用方法として、例えば、印刷記録用受容シートの基材として用いる際には、単独で用いても、他の素材と貼り合わせて用いてもよい。他の素材としては、例えば普通紙、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、樹脂含浸紙、エマルジョン含浸紙、ラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、グラシン紙、ラミネート紙などの紙、合成紙、不織布、あるいは他種フィルム等を用いることができる。ここで、本発明の白色ポリエステルフィルムを他の素材と貼り合わせる場合には、受容層を設ける面と反対側の面に貼り合わせることが好ましい。
【0040】
本発明のフィルムの特性としては、白色ポリエステルフィルムの白色性として、「白さ」を表す白色度が70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらには90%以上が特に好ましい。白色度が70%未満の場合、見た目に暗い印象となりやすい。
【0041】
また、「青み」を表す色調b値が2以下であることが好ましく、より好ましくは1以下、さらには0以下であることが特に好ましい。色調b値が2より大きい場合、フィルム自体が黄味がかった色となって古びた印象となりやすい。
【0042】
また、「軽量性」を表すものとして、本発明のフィルムの比重が0.4以上1.3未満であることが好ましく、より好ましくは0.45以上1.2以下、更には0.5以上1.1以下が特に好ましい。比重が0.4より小さい場合、低比重化のために気泡を大量に含有せしめねばならず、そのためにフィルム強度が低下したり、製膜時にフィルム破れ等が発生しやすくなって生産性が低下することがある。また、比重が1.3以上の場合には、軽量性が低下し取扱性に劣ることがある。その他にも、例えば印刷記録用受容シートの基材に用いたとき印字性が低下したり、フィルムの白色性が不十分となって印字画像が暗い印象となる可能性がある。
【0043】
本発明の白色ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されないが、通常10〜500μm、より好ましくは15〜400μm、さらには20〜300μmの範囲にあることが、白色性や実用面での取扱性に優れるので特に好ましい。また、白色ポリエステル層(A)を積層する場合には、全厚みに対する白色ポリエステル層(A)の比率(白色ポリエステル層(A)の厚み/全厚み)が、0.005〜0.45であることが好ましく、より好ましくは0.007〜0.4、特に好ましくは0.01〜0.3である。上記比率が0.005より小さい場合、積層による製膜性や平滑性向上効果が小さく、結果として積層によるコスト上昇の問題が起きやすい。一方、0.45より大きい場合には、軽量性や印字性が低下しやすい。
【0044】
次に、本発明の白色ポリエステルフィルムの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではない。
【0045】
真空乾燥した融点Tmのポリエステルのチップと、非相溶樹脂(I-1 )および(I-2 ) のチップとを非相溶樹脂の合計量(W(1)+W(2))が1〜40重量%、含有量比(W(1)/W(2))を0.5〜20となるように混合する。このとき、溶融温度(Tm+20〜+30℃)、ずり速度200sec-1における非相溶樹脂(I-1)および(I-2)の各々の溶融粘度MI(1)、MI(2)が下記の関係式a)〜c)を満たしていることが必要である。
a)MI(1)=2×102〜1×103ポイズ
b)MI(2)=1.1×103〜1.5×104ポイズ
c)MI(2)/MI(1)=1.5〜30
さらに、ポリエステルの溶融粘度MI(P)に対する、非相溶樹脂(I-1 ) および(I-2 )の各々の溶融粘度比が下記の関係式d)およびe)を満たしていることが好ましい。
d)MI(1)/MI(P)=0.06〜0.8
e)MI(2)/MI(P)=0.9〜15
この原料には、必要に応じて分散剤を0.05〜10重量%添加してもよい。また、非相溶樹脂の添加は、予めマスターチップとしたものを真空乾燥して使用してもよい。これらの原料を、250〜300℃に加熱した押出機に供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入してシート状に押出成形し、溶融シートを得る。
この溶融シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製する。
該未延伸フィルムを70〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。
続いて、長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜150℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に2〜5倍延伸する。
延伸倍率は、縦、横それぞれ2〜5倍が好ましく、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面積倍率が6倍未満であると得られるフィルムの白色性やフィルム強度が不十分となりやすく、逆に面積倍率が20倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
このようにして得られた二軸延伸フィルムは、結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150〜230℃で1〜30秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取ることにより、本発明の白色ポリエステルフィルムの好ましい一態様を得ることができる。なお、上記熱処理工程中では、必要に応じて横方向あるいは縦方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。
また、二軸延伸は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また二軸延伸後に縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。
【0046】
上記は、フィルムが単一構成のフィルム、いわゆる単膜フィルムの場合についての製造例の説明であるが、白色ポリエステル層(A)を積層した積層フィルムの場合は、たとえば2台以上の押出機を有する複合製膜装置を使用し、溶融積層シートを得る方法を用いることができる。
具体的には、微細な気泡を含有する白色ポリエステル層を形成するため、上述の非相溶樹脂(I-1 )および(I-2 )のチップと真空乾燥したポリエステルのチップとを、非相溶樹脂が1〜40重量%となるように混合し、これを250〜300℃に加熱された押出機(押出機(イ)とする)に供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入する。
この原料には、必要に応じて分散剤を0.05〜10重量%添加してもよい。また、非相溶樹脂の添加は、予めマスターチップとしたものを真空乾燥して使用してもよい。
一方、白色ポリエステル層(A)を積層するため、ポリエステルのチップおよび無機系微粒子のマスターチップを、無機系微粒子が1〜35重量%となるよう混合し、充分に真空乾燥する。この原料には、必要に応じて蛍光増白剤を0.01〜1.5重量%添加せしめてもよい。
次に、この乾燥原料を、250〜300℃に加熱されたもう1台の押出機(押出機(ロ)とする)に供給し、同様に溶融してTダイ複合口金内に導入し、押出機(ロ)のポリマーが押出機(イ)のポリマーの表層(片面)あるいは両表層(両面)に位置するように積層してシート状に共押出成形し、溶融積層シートを得る。
以降の手順については単膜フィルムに用いた方法と同様である。
【0047】
このようにして得られた本発明の白色ポリエステルフィルムは、製膜性、軽量性だけでなく、白色性、耐折れじわ性などに非常に優れている。
【0048】
例えば、本発明の白色ポリエステルフィルムを基材として用いた感熱転写記録用の受容シートは、印字画像が鮮明で印字性に優れるだけでなく、取扱い時の折り曲げにも強く実用特性が優れたものである。
【0049】
本発明のフィルムの具体的な用途としては、たとえば感熱転写、感熱発色、インクジェットおよびオフセット印刷などの各種方式の印刷記録に供される印刷用基材として最適であり、さらに上記印刷記録を利用したラベル、シール、ポスター、磁気カードやICカードなどの各種カード、バーコードプリンター用紙、ビデオプリンター用紙、感熱記録紙、フォーム印刷用紙、印画紙、複写用紙、配送伝票、地図、無塵紙、白板、表示板、包装紙、化粧紙、建材および反射板などの基材として幅広く利用可能である。
【0050】
[特性の測定方法および評価方法]
本発明の特性値は、次の評価方法、評価基準により求められる。
【0051】
(1)無機系微粒子の平均粒子径
無機系微粒子の平均粒子径は、その粒子を含有させて得られた白色ポリエステルフィルムの断面観察より求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、白色ポリエステル層(A)の断面を3,000〜200,000倍に拡大観察して断面写真を撮影した。
次に、この断面写真の粒子部分をマーキングして、該マーキング部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行ない、測定視野内の計100個の粒子を真円に換算したときの平均径を算出し、粒子の平均粒子径とした。
【0052】
(2)フィルム内部の微細な気泡および白色ポリエステル層(A)の厚み
フィルムの断面を、走査型電子顕微鏡S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて500〜5,000倍に拡大観察して撮影した断面写真より、微細な気泡の有無を調べた。
気泡含有の有無の判定は、断面写真の気泡部分の断面積を(1)の方法と同様にして真円に換算したときの平均値として求めたとき、0.5μm2 以上ならば「気泡有り」、0.5μm2 未満ならば「気泡無し」とした。ただし、2個以上の互いに隣接した気泡同士が連結している場合には、一つの気泡として計算した。
また、白色ポリエステル層(A)を積層した場合、断面写真より白色ポリエステル層(A)の厚み方向の長さを計測し、拡大倍率から逆算して白色ポリエステル層(A)の厚みを求めた。なお、気泡部分の断面積、白色ポリエステル層(A)の厚みを求めるに当たっては、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真を使用し、その平均値として算出した。
【0053】
(3)非相溶樹脂の溶融粘度
フローテスタ CFT−500形A((株)島津製作所製)を用い定温試験にて測定した。すなわち、所定の溶融温度に加熱したシリンダー内にて非相溶樹脂を5分間予熱した後、断面積1cm2 のピストン(プランジャー)にて、直径1mm、長さ10mmの孔を有する口金より一定加重で押し出し、Kファクター=1での溶融粘度を得た。さらに同様の測定を繰り返し、計3回での平均値を求めた。
次に、加重を変えて同様の測定を3点行った後、ずり速度(単位:sec-1)に対して溶融粘度(単位:ポイズ)をプロットし、累乗近似曲線を引くことにより、ずり速度200sec-1での溶融粘度を外挿して求め、非相溶樹脂の溶融粘度とした。
【0054】
(4)ポリエステルの融点(Tm)
示差走査熱量計として、セイコー電子工業(株)製の“ロボットDSC−RDC220”を用い、データ解析装置として、同社製の“ディスクセッション”SSC/5200を用いて測定した。すなわち、予め結晶化させたポリエステルから測定サンプルとして約5mgを採取し、室温から昇温速度20℃/分にて300℃まで加熱したときに得られる熱量曲線データの融解ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0055】
(5)白色度
白色ポリエステルフィルムについて、分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、JIS Z−8722に準じた光学条件にて色の三刺激値であるX値、Y値、Z値を測定し、下記式より白色度を計算して求めた。なお、白色ポリエステル層(A)を積層した場合には、白色ポリエステル層(A)側から測定した。
白色度(%)=4×0.847×Z値−3×Y値
(6)色調b値
上記(5)項の装置・光学条件にて測定し、JIS Z−8730に準じて求めた。
【0056】
(7)比重
本発明のフィルムを50mm×60mmの大きさにカットして得た試料サンプルを、高精度電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用い、JIS K−7112のA法(水中置換法)に準じて測定した。なお、測定は温度23℃、相対湿度65%の条件下にて行なった。
【0057】
(8)耐折れじわ性
本発明の白色ポリエステルフィルムを幅10mmのテープ状にスリットしたものを用意した(耐折れじわ性テストサンプルa)。また、このフィルムに低Tgポリエステル樹脂(Tg=4℃、軟化点=114℃)の層を約1μmとなるよう塗布して設けた後、厚さ150μmの上質紙をラミネーターにより温度110℃にて均一に貼合せ、幅10mmにスリットしたものを用意した(耐折れじわ性テストサンプルb)。
これらのサンプルをテープ走行試験機を用いてステンレス製ガイドピン(外径:7mm)に走行条件:速度1m/分、巻き付け角90度、出側張力80gで巻き付けた後、フィルムを巻き戻して表面状態を目視で観察して以下の3段階評価を行った。○以上を良好と判定した。
○:表面にしわが全く無い。
△:部分的にしわがある。
×:無数のしわがある。
【0058】
(9)印字性
まず、本発明の白色ポリエステルフィルムの表面にコロナ放電処理した後に、下記の受容層形成用塗液を、乾燥後の厚みが0.2μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥させて感熱転写記録用の印刷用シート(受容シート)を得た。
[受容層形成用塗液]
(i)変性ポリオレフィン:ウレタン変性ポリエチレン水分散体(ウレタン変性比率=20重量%、アンモニア水溶液中で加熱することにより乳化させ、水分散体としたもの)
(ii)ポリエステル:ポリエチレングリコール(以下、PEGと省略する)共重合ポリエステル水分散体(テレフタル酸/イソフタル酸/5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/PEG=50/49/1/55/42.3/2.7(モル比)の比率で共重合したもの、PEGの分子量=4000、PEGの含有量=30重量部、Tg=−16℃)
(i)/(ii)を固形分重量比50/50で混合し、水で希釈して固形分濃度を3%としたものを受容層形成用塗液とした。
次に、カラープリンターとして「Professional Color Point 2」(セイコー電子工業(株)製)、熱転写インキリボンとして専用のCH705(イエロー、マゼンタ、シアン セイコー・アイ・サプライ(株)製)を用いて、上述の受容シートの受容層側に計8階調のテストパターン印刷を行なった。その印刷面を下記の方法により画像の鮮明性およびドット形状について評価し、以下の通り印字性を判定した。
(画像の鮮明性)
印刷面を目視観察し、印刷画像の鮮明性について以下の4段階評価を行なった。
○以上を良好と判定した。
◎:画像全体が非常に鮮明であって、極めて良好。
○:鮮明な画像であり、良好。
△:画像にややかすれが見られるか、あるいは非印刷部分が若干黄味がかっており、鮮明性に劣る。
×:画像がかすれているか、あるいは非印刷部分が黄味がかって全体的に画像が暗い印象であって、鮮明性が全く不良。
(ドット形状)
印刷面を反射型光学顕微鏡を用いて100〜300倍に拡大して観察し、ドット形状について以下の4段階評価を行った。○以上を良好と判定した。
◎:ドットが完全に重なっており、その形状が円形であって極めて良好。
○:ドットの形状に、わずかに「欠け」が見られるものの良好。
△:ドットに「ずれ」、「欠け」、「つぶれ」などの異常が見られる。
×:ドットに「ずれ」、「欠け」、「つぶれ」などの異常が多数見られる。
【0059】
【実施例】
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
ポリエステルとして融点=256℃、溶融温度=280℃で加重を10kg、20kg、30kgと替えた時の溶融粘度=1.9×103ポイズのポリエチレンテレフタレート(以降、PETと略称する)を用いた。また、非相溶樹脂(I-1 )および(I-2 )として、該PETと同条件で測定したときの溶融粘度MI(1)、MI(2)が各々下記関係であるポリメチルペンテン−1、ポリメチルペンテン−2(以降、PMP−1、PMP−2と略称する)を用いた。
MI(1)=8.5×102ポイズ
MI(2)=7.8×103ポイズ
MI(2)/MI(1)=9.2
用いた原料等の特性や構成を表1にまとめて示す。
次に、押出機(イ)と押出機(ロ)を有する複合製膜装置において、白色ポリエステル層(A)を形成するため、上記PETチップに平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタン微粒子を14重量%添加した原料を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(イ)側に供給し、常法により285℃で溶融してTダイ複合口金に導入した。
一方、微細な気泡を含有する層を形成するため、上記PETチップに上記PMPを溶融粘度MI(1) のPMPを含有量W(1) が5重量%、MI(2) のPMPを含有量W(2) が5重量%、合計(W(1)+W(2))10重量%添加し、さらに分散剤として分子量4,000 のポリエチレングリコール(以降、PEGと略称する)を1重量%添加したものを180℃で3時間真空乾燥した後に、押出機(ロ)側に供給し、常法により285℃で溶融して同様にTダイ複合口金に導入した。
次いで、該口金内で白色ポリエステル層(A)が気泡含有層の両表層に積層されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとした。そして、該溶融積層シートを、表面温度25℃に保たれた冷却ドラム上に静電荷法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムを得た。
続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い95℃に加熱されたロール群を用いて長手方向(縦方向)に3.2倍延伸し、25℃のロール群で冷却して一軸延伸フィルムとした。
さらに続いて該一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の予熱ゾーンに導き110℃で予熱・乾燥後、引き続き連続的に125℃の加熱ゾーンで長手方向に垂直な方向(横方向)に3.4倍延伸した。
さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで220℃の熱処理を施して結晶配向を完了させ、次いで均一に徐冷後に巻き取り、白色ポリエステル層(A)が片側3μm、気泡含有層が44μmの構成とした厚み50μmの白色ポリエステルフィルムを得た。
該白色ポリエステルフィルムの断面をSEMにて拡大観察することにより、フィルム内部に微細な気泡を含有していることを確認した。この微細な気泡は、粒子状に分散せしめられたPMPを核として、その周囲に形成されており、長径が延伸方向、短径がフィルム厚み方向の楕円形であって、断面積の平均値は3.8μm2であった。
この白色ポリエステルフィルムの主な構成については、表1に示すとおりである。
かくして得られた白色ポリエステルフィルムの特性は、表2のとおりであって、白色性や耐折れじわ性、印字性に優れていた。
【0061】
(実施例2)
PMP−1の含有量W(1) を13重量%、PMP−2の含有量W(2) を2重量%とし、合計で15重量%としたこと以外は実施例1と同一手法にて白色ポリエステルフィルムを作製した。この白色ポリエステルフィルムの特性は、表2に示したとおりであり、各特性に優れ、特に印字性に優れていた。
【0062】
(実施例3)
実施例1の非相溶樹脂(I-1 ) として、溶融粘度MI(1)=5.1×102ポイズのPMP−1’を用い、さらにPMP−1’の含有量W(1) を7重量%、PMP−2の含有量W(2) を3重量%としたこと以外は実施例1と同一手法にて白色ポリエステルフィルムを作製した。この白色ポリエステルフィルムの特性は、表2に示したとおりであり、各特性に優れていた。
【0063】
(実施例4)
実施例1の非相溶樹脂(I-2 ) として、溶融粘度MI(2)=1.2×103ポイズのPMP−2’を用い、さらにPMP−1の含有量W(1) を4重量%、PMP−2’の含有量W(2) を6重量%としたこと以外は実施例1と同一手法にて白色ポリエステルフィルムを作製した。この白色ポリエステルフィルムの特性は、表2に示したとおりであり、各特性に優れ、特に印字性(ドット形状)に優れていた。
【0064】
(実施例5)
実施例1の押出機(イ)に供給する原料として、さらに蛍光増白剤“OB−1”(イ−ストマン社製)を0.2重量%添加したこと以外は、実施例1と同一手法で白色ポリエステルフィルムを作製した。この白色ポリエステルフィルムの内部には、実施例1と同様に微細な気泡が含有せしめられていた。また、この白色ポリエステルフィルムの特性は、表2に示したとおりであり、各特性に優れており、特に白色性(白色度、色調b値)、印字性に優れていた。
【0065】
(比較例1)
実施例1において、溶融粘度MI(P)=2.3×103ポイズのPET、および溶融粘度MI(1)=1.1×102ポイズのPMP−1''および溶融粘度MI(2) =7.8×103 ポイズのPMP−2を用いたこと以外は、実施例1と同一手法でポリエステルフィルムを得た。非相溶樹脂の溶融粘度比が本発明の範囲を外れたこのポリエステルフィルムは、内部に微細な気泡が含有せしめられているものの、その特性は、表2に示したとおり、耐折れじわ性は良好であるが、印字性に劣っていた。
【0066】
(比較例2)
実施例1において、溶融粘度MI(1)=8.5×102ポイズのPMP−1のみを用いたこと以外は、実施例1と同一手法でポリエステルフィルムを得た。熱可塑性樹脂(I-2 ) を含有しないこのポリエステルフィルムは、内部に微細な気泡が含有せしめられているものの、その特性は、表2に示したとおり、耐折れじわ性、印字性がやや不満足なものであった。
【0067】
(比較例3)
溶融粘度MI(2)=1.8×103ポイズのPMP−2''のみを各々用いたこと以外は、実施例1と同一手法でポリエステルフィルムを得た。熱可塑性樹脂(I-1 )を含有しないこのポリエステルフィルムは、内部に微細な気泡が含有せしめられており、その特性は、表2に示したとおり、軽量性、白色性、印字性などは良好な値を示すが、耐折れじわ性に劣っていた。
【0068】
(比較例4)
溶融粘度MI(2)=7.8×103ポイズのPMP−2のみを各々用いたこと以外は、実施例1と同一手法でポリエステルフィルムを得た。熱可塑性樹脂(I-1 )を含まないこのポリエステルフィルムは、内部に微細な気泡が含有せしめられており、その特性は、表2に示したとおり、軽量性、白色性、印字性などは良好な値を示すが、耐折れじわ性に劣っていた。
【0069】
(比較例5)
実施例1の押出機(ロ)に供給する原料のうち、PMPとPEGを除く代わりに、平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタン微粒子を14重量%となるよう添加したこと以外は、実施例1と同一手法でポリエステルフィルムを得た。SEM断面観察から、このポリエステルフィルム内部には微細な気泡が含有されていなかった(気泡部分の断面積=0.03μm2 )。また、その特性は、表2に示したとおり、耐折れじわ性は良好であるが、軽量性、印字性に劣っていた。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、製膜性、軽量性に優れ、さらには白色性、耐折れじわ性、印字性にも優れていることから、感熱転写を初めとする各種印刷材料、電気絶縁材料などの他の工業材料や、磁気記録材料、包装材料などに好適に使用することができる。
Claims (6)
- 融点Tmのポリエステル中にポリメチルペンテン(I-1 )およびポリメチルペンテン(I-2 )を含有し、かつ、内部に微細な気泡を含有する白色ポリエステルフィルムであって、溶融温度(Tm+20〜+30℃)、ずり速度200sec-1におけるポリメチルペンテン(I-1 )およびポリメチルペンテン(I-2 )の各々の溶融粘度MI(1)、MI(2)が下記の関係式a)〜c)を満たしていることを特徴とする白色ポリエステルフィルム。
a)MI(1)=2×102〜1×103ポイズ
b) MI(2)=1.1×103〜1.5×104ポイズ
c)MI(2)/MI(1)=1.2〜30 - 融点Tmのポリエステルの溶融粘度MI(P) に対する、ポリメチルペンテン(I-1 )およびポリメチルペンテン(I-2 )の各々の溶融粘度比が下記の関係式d)およびe)を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の白色ポリエステルフィルム。
d)MI(1)/MI(P)=0.06〜0.8
e)MI(2)/MI(P)=0.5〜15 - 前記フィルム内部に、さらに分散剤を含有せしめたことを特徴とする請求項1または2に記載の白色ポリエステルフィルム。
- 前記フィルムの少なくとも片面に、無機系微粒子を含有する白色ポリエステル層(A)を積層したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の白色ポリエステルフィルム。
- 前記フィルムおよび/または白色ポリエステル層(A)内部に、蛍光増白剤を含有せしめたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の白色ポリエステルフィルム。
- フィルムを少なくとも一軸に延伸することによって、内部に微細な気泡を形成せしめたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の白色ポリエステルフィルム。
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