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JP4637498B2 - 通信装置および通信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マルチキャリア伝送方式の通信装置、特に実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いたディジタル変復調処理によりデータ伝送を行うマルチキャリア伝送方法(Digital Wavelet Multi Carrier 伝送方法、以下、「DWMC伝送方法」と記載する)を用いる通信装置及び通信方法に関する。
地上波ディジタル放送システムなどでは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いたマルチキャリア伝送方式によって広帯域のデータ伝送を可能にしている。この種のOFDMを用いたマルチキャリア伝送方式によるデータ伝送方法として、実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いたディジタル変復調処理によるマルチキャリア伝送方法(DWMC伝送方法)が提案されている。DWMC伝送方法では、実係数フィルタバンクにより複数のディジタル変調波を合成することによって送信信号が生成される。各キャリアの変調方式としては、PAM(Pulse Amplitude Modulation)などが用いられる。
DWMC伝送方法によるデータ伝送について、図15〜図18を用いて説明する。図15はウェーブレット波形の例を示す図、図16はDWMC伝送方法における送信波形の例を示す図、図17はDWMC伝送方法における送信スペクトルの例を示す図、図18はDWMC伝送方法における送信フレームの構成例を示す図である。
DWMC伝送方法によるデータ伝送においては、図15に示すように、各サブキャリアのインパルス応答が各サブキャリア内で重なり合いながら伝送される。各伝送シンボルは、図16に示すように、各サブキャリアのインパルス応答が合成された時間波形となる。図17に振幅スペクトルの例を示す。DWMC伝送方法では、図16の伝送シンボルを数十個〜数百個程度集めて1つの伝送フレームを構成する。DWMC伝送フレームの構成例を図18に示す。このDWMC伝送フレームには、情報データ伝送用シンボルの他にフレーム同期用シンボルや等化用シンボルなどが含まれる。
図19は、DWMC伝送方法を採用した場合の送信装置及び受信装置を有してなる従来例の通信装置の概念的構成を示すブロック図である。
図19において、受信装置199は、アナログ−ディジタル変換を行うA/D変換器110、離散ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換器120、パラレルデータをシリアルデータに変換する並列直列変換器(P/S(パラレル/シリアル)変換器)130、受信信号の判定を行う判定器140を有して構成される。送信装置299は、ビットデータをシンボルデータに変換しシンボルマッピングを行うシンボルマッパ210、シリアルデータをパラレルデータに変換する直列並列変換器(S/P(シリアル/パラレル)変換器)220、逆離散ウェーブレット変換を行う逆ウェーブレット変換器230、ディジタル−アナログ変換を行うD/A変換器240を有して構成される。
上記構成の通信装置の動作を説明する。まず、送信装置299においては、シンボルマッパ210によって伝送データのビットデータをシンボルデータに変換し、各シンボルデータに従ってシンボルマッピング(PAM変調)を行う。そして、S/P変換器220によりシリアルデータをパラレルデータに変換することで、サブキャリアごとにシンボルデータに実数値di(i=1〜M、Mは複数)を与える。その後、この実数値を逆ウェーブレット変換器230により時間軸上へ逆離散ウェーブレット変換する。これにより、時間軸波形のサンプル値を発生させ、伝送シンボルを表すサンプル値系列を生成する。そして、このサンプル値系列をD/A変換器240により時間的に連続するアナログベースバンド信号波形に変換して送信する。ここで、逆離散ウェーブレット変換により発生される時間軸上のサンプル値の個数は、通常2のn乗(nは正の整数)個である。
受信装置199においては、受信信号より得られるアナログベースバンド信号波形をA/D変換器110により送信側と同じサンプルレートでサンプルし、サンプル値系列を得る。そして、このサンプル値系列をウェーブレット変換器120により周波数軸上へ離散ウェーブレット変換し、P/S変換器130によりパラレルデータをシリアルデータに変換する。最後に、判定器140において各サブキャリアの振幅値を計算し、受信信号の判定を行って受信データを得る。
また、DWMC伝送方法を用いた通信装置の例として、宅内等に配設された電力線を通信媒体として利用してデータ伝送を行う電力線搬送通信装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、マルチキャリア伝送方式では、伝送データの位相の調整などを行うために、所定のシンボルにおいて正弦波の信号によるパイロット信号を送信するパイロットシンボルを設ける場合がある。このパイロットシンボルの情報によって、伝送データの振幅や位相を調整し、送信装置と受信装置との間の伝送路特性の等化(伝送特性の補償など)特性を向上させることが可能となる。
従来のFFT(Fast Fourier Transform)ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式は、複素数変換であるFFTを行うものであるため、パイロットシンボルを設ける場合に、既知の信号(例えばオール1などの同一データが連続する信号)を1つのシンボルを使用して伝送するだけで、振幅と位相を表す複素情報を持つパイロットシンボルを生成することが可能である(例えば、特許文献2参照)。
これに対し、DWMC伝送方法において用いられるウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式は、実数変換であるウェーブレット変換を行うものであるため、また、フィルタ長がシンボル長より長いため、単純に1つのシンボルによって構成されたパイロットシンボルを復調しても複素情報を得ることができないため、ウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式においては、パイロットシンボルが用いられていなかった。
特開2003−218831号公報 特開2000−278237号公報
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、実係数ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式のデータ伝送において、複素情報を扱えるパイロットシンボルを使用することが可能なマルチキャリア伝送方式の通信装置および通信方法を提供することを目的とする。
本発明の通信装置は、
実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いたディジタル変復調処理によりデータ伝送を行うマルチキャリア伝送方式の通信装置であって、
連続同一データが与えられた少なくとも一つのシンボルを挿入し、パイロットシンボルとして前記実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いて伝送信号のディジタルマルチキャリア変調処理を行う変調手段を有し、前記パイロットシンボルを含む伝送信号を送信する送信部を備える。
この構成により、実係数ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式のデータ伝送において、複素情報を扱えるパイロットシンボルを使用することが可能となる。
本発明の通信装置は、
実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いたディジタル変復調処理によりデータ伝送を行うマルチキャリア伝送方式の通信装置であって、
連続同一データが与えられた少なくとも一つのシンボルにより構成されるパイロットシンボルを使用するもので、前記実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いて伝送信号のディジタルマルチキャリア復調処理を行う復調手段を有し、前記パイロットシンボルを含む伝送信号を受信する受信部を備える。
この構成により、実係数ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式のデータ伝送において、複素情報を扱えるパイロットシンボルを使用することが可能となる。
また、本発明の通信装置は、前記少なくとも一つのシンボルにおいて連続同一データを与えてパイロットシンボルを発生させるパイロットシンボル生成手段を備える。
この構成により、実係数ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式のデータ伝送において、複素情報を扱えるパイロットシンボルを生成して使用可能となる。
また、本発明の通信装置は、前記パイロットシンボルを含む信号を入力してこのパイロットシンボルを抽出するパイロットシンボル抽出手段を備える。
この構成により、実係数ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式のデータ伝送において、パイロットシンボルの複素情報を取得して使用することが可能となる。
また、本発明の通信装置は、前記パイロットシンボルに基づいて得られる複素情報を用いて伝送路状態を推定する伝送路の等化を行う伝送路等化手段を備える。
この構成により、パイロットシンボルを使用して伝送路状態を推定して伝送路の等化を行うことが可能となり、伝送効率が向上する。
また、前記実係数ウェーブレットフィルタバンクに含まれるフィルタ長をKシンボルとした場合、前記パイロットシンボルは、連続同一データが与えられた、連続した少なくとも2K−1シンボルから構成され、
前記受信部は、前記パイロットシンボルに含まれる前記連続同一データが与えられた少なくとも2K−1シンボルのうち、Kシンボル目以降を復調することで複素情報を得る。
この構成により、2K−1シンボルの連続同一データから構成されたパイロットシンボルを用い、Kシンボル目以降を復調することで、複素情報を直接得ることが可能となる。
また、前記実係数ウェーブレットフィルタバンクに含まれるフィルタ長をKシンボルとした場合、前記パイロットシンボルは、連続同一データが与えられた、連続した少なくともKシンボルから構成され、
前記受信部は、前記パイロットシンボルのKシンボル目以降のうちの1シンボルの連続同一データをフーリエ変換して複素情報を得るフーリエ変換手段を備える。
この構成により、Kシンボルの連続同一データから構成されたパイロットシンボルを用い、Kシンボル目をフーリエ変換することで複素情報を直接得ることが可能となる。
また、前記受信部は、前記復調された信号に基づいて複素情報を推定する複素情報推定手段を有する。
この構成により、復調された信号に基づいて複素情報を推定することにより、復調信号から直接複素情報が得られない場合にも、複素情報を推定することにより、実係数ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式のデータ伝送において、複素情報を扱えるパイロットシンボルを使用することが可能となる。
また、前記パイロットシンボルは連続同一データが与えられた1シンボルから構成され、
前記複素情報推定手段は、前記連続同一データが与えられたシンボルの復調情報の、隣り合うサブキャリアの復調情報に基づいて前記複素情報を推定する。
この構成により、隣り合うサブキャリアの復調情報に基づいて複素情報を推定することで、1シンボルで構成されたパイロットシンボルを使用することが可能となる。
また、前記実係数ウェーブレットフィルタバンクに含まれるフィルタ長をKシンボルとした場合、前記パイロットシンボルは、前記連続同一データが与えられた、連続したK−1シンボルを有し、
前記複素情報推定手段は、前記連続同一データが与えられたK−1シンボルの復調情報の、隣り合うサブキャリアの復調情報に基づいて前記複素情報を推定する。
この構成により、パイロットシンボルがK−1シンボルで構成された場合に、K−1シンボル目の復調情報を用いて隣り合うサブキャリアの復調情報に基づいて複素情報を推定することで、フィルタ長Kシンボルに満たないシンボル数で構成した場合にも高精度に伝送路特性推定を行うことができる。
また、前記パイロットシンボルは、連続同一データが与えられた第1のシンボルおよび第2のシンボルから構成され、
前記複素情報推定手段は、前記第1のシンボルおよび第2のシンボルの復調情報の各々における同一サブキャリアの復調情報に基づいて前記サブキャリアにおける複素情報を推定する。
この構成により、二つのパイロットシンボルの復調情報の各々において同一サブキャリアの復調情報に基づいて複素情報を得るので、サブキャリアごとの復調情報を得ることができるパイロットシンボルを用いることができる。
また、前記複素情報推定手段は、前記復調情報に含まれる受信信号点を通る直線に基づいて前記複素情報を推定するものであり、前記直線の傾きの大きさが所定値以上となった場合には、その直線の逆関数を用いて前記複素情報を推定する。
この構成により、推定に用いる直線の傾きの大きさが所定値以上にはならないので、固定小数点演算における除算の精度を向上させたり、除算器の回路規模を低減することができる。
また、前記複素情報をN個求めてその平均を用いる場合に、前記パイロットシンボルは、連続同一データが与えられたN−1シンボルをさらに追加して構成される。
この構成により、複素情報を複数求めて平均をとって求めるので、求められる複素情報の精度を向上させることができる。
また、受信側装置における受信信号を基に得られる各サブキャリアに関する伝送路状態を示す情報を用いて、前記パイロットシンボルの挿入するか否かを決定する。
この構成により、伝送路状態に応じて、適宜パイロットシンボルを使用することが可能となり、伝送効率を向上させることが可能となる。
また、受信側装置における受信信号を基に得られる各サブキャリアに関する伝送路状態を示す情報を用いて、前記パイロットシンボルの挿入するタイミングを決定する。
この構成により、伝送路状態に応じて適切な数のパイロットシンボルを設定でき、伝送効率を向上させることが可能となる。
また、前記パイロットシンボルとデータシンボルとの間に挿入される、前記パイロットシンボルの連続同一データと異なる連続同一データを有する境界シンボルを用いて、データ伝送を行う。
この構成により、境界シンボルを用いてデータ伝送を行うことにより、急激な伝送路変動に対して確実に追従することができる。
受信側装置における受信信号を基に得られる各サブキャリアに関する伝送路状態を示す情報を用いて、前記境界シンボルの挿入するか否かを決定する。
この構成により、伝送路状態に応じて、適宜境界シンボルを使用することが可能となり、伝送効率を向上させることが可能となる。
受信側装置における受信信号を基に得られる各サブキャリアに関する伝送路状態を示す情報を用いて、前記境界シンボルの挿入するタイミングを決定する。
この構成により、伝送路状態に応じて適切な数のパイロットシンボルを設定でき、伝送効率を向上させることが可能となる。
前記伝送路状態を示す情報として、前記受信側装置における受信信号を基に伝送路の推定を行う伝送路推定器より得られるCINR(キャリア電力対干渉及び雑音電力比)情報、情報前記受信側装置における受信信号を基に伝送路の等化を行う伝送路等化器より得られる振幅情報、前記受信側装置におけるビットエラーレート、前記伝送信号のデータ再送率、前記伝送信号の伝送レートのうちの少なくとも一つを用いる。
この構成により、伝送路状態を示す各種情報に応じてパイロットシンボル挿入等の決定が可能となる。
本発明の通信方法は、実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いたディジタル変復調処理によりデータ伝送を行うマルチキャリア伝送方式の通信方法であって、
連続同一データが与えられた少なくとも一つのシンボルを挿入し、パイロットシンボルとして前記実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いて伝送信号のディジタルマルチキャリア変調処理を行う変調ステップと、前記パイロットシンボルを含む伝送信号を送信する送信ステップと、を有する。
この方法により、伝送路状態に応じて適切な数のパイロットシンボルを設定でき、伝送効率を向上させることが可能となる。
本発明の通信方法は、実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いたディジタル変復調処理によりデータ伝送を行うマルチキャリア伝送方式の通信方法であって、
複数の連続したシンボルにわたって連続同一データを与えることにより構成されるパイロットシンボルを使用するもので、前記パイロットシンボルを含む伝送信号を受信する受信部、前記実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いて伝送信号のディジタルマルチキャリア復調処理を行う復調手段と、を有する。
この方法により、実係数ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式のデータ伝送において、複素情報を扱えるパイロットシンボルを使用することが可能となる。
本発明によれば、実係数ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式のデータ伝送において、複素情報を扱えるパイロットシンボルを使用することが可能なマルチキャリア伝送方式の通信装置および通信方法を提供することができる。
本実施形態では、実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いたディジタル変復調処理によるマルチキャリア伝送方法(DWMC伝送方法)によりデータ伝送を行う通信装置の構成及び動作を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信装置の主要な構成を示すブロック図であり、図1(A)は通信装置を構成する送信装置を示すブロック図、図1(B)は通信装置を構成する受信装置を示すブロック図である。
送信装置10は、伝送データを出力する伝送データ出力部11と、パイロット信号用のパイロットデータを出力するパイロットデータ出力部12と、伝送データまたはパイロットデータの切替選択を行うスイッチ13と、ビットデータをシンボルデータに変換しシンボルマッピングを行うシンボルマッパ14と、逆離散ウェーブレット変換を行う逆ウェーブレット変換器15と、ディジタル−アナログ変換を行うD/A変換器16とを有して構成される。
受信装置20は、アナログ−ディジタル変換を行うA/D変換器21と、離散ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換器22と、受信信号よりパイロットシンボルを抽出するパイロットシンボル抽出部23と、伝送路周波数特性推定部24と、送信装置10と受信装置20との間の伝送路特性の等化(伝送特性の補償など)を行う伝送路等化器25とを有して構成される。
送信装置10において、伝送データを出力する場合、スイッチ13の切替選択によって伝送データ出力部11をシンボルマッパ14に接続する。このとき、伝送データ出力部11から出力される任意の伝送データのビットデータをシンボルマッパ14によってシンボルデータに変換し、各シンボルデータに従ってシンボルマッピング(PAM変調)を行う。その後、逆ウェーブレット変換器15により、シリアルデータをパラレルデータに変換してサブキャリアごとにシンボルデータに実数値di(i=1〜M、Mは複数)を与えた後、この実数値のデータを時間軸上へ逆離散ウェーブレット変換する。これにより、時間軸波形のサンプル値を発生させ、伝送シンボルを表すサンプル値系列を生成する。そして、D/A変換器16によりこのサンプル値系列を時間的に連続するアナログベースバンド信号波形に変換して送信する。
また、パイロットシンボルを出力する場合、スイッチ13の切替選択によってパイロットデータ出力部12をシンボルマッパ14に接続する。このとき、パイロットデータ出力部12から出力されるパイロットデータのビットデータをシンボルマッパ14によってシンボルデータに変換する。そして、逆ウェーブレット変換器15により、シリアルデータをパラレルデータに変換して該当するシンボルに連続同一データ(例えばオール1、オール0など)を与え、このデータを時間軸上へ逆離散ウェーブレット変換する。その後、D/A変換器16によりパイロットシンボルを含むアナログベースバンド信号波形に変換して送信する。
上記送信装置10において、逆ウェーブレット変換器15は変調手段の機能を有するものであり、パイロットデータ出力部12およびスイッチ13はパイロットシンボル生成手段の機能を有するものである。
受信装置20においては、A/D変換器21によって受信信号より得られるアナログベースバンド信号波形を送信側と同じサンプルレートでサンプルし、サンプル値系列を得る。そして、ウェーブレット変換器22により、このサンプル値系列を周波数軸上へ離散ウェーブレット変換し、パラレルデータをシリアルデータに変換する。そして、パイロットシンボル抽出部23によって受信信号よりパイロットシンボルを抽出し、伝送路周波数特性推定部24によって伝送路の周波数特性を推定する。そして、伝送路等化器25により、この伝送路推定情報を用いて各サブキャリアごとに伝送路の伝送特性の補償等を行うための等化量を求めて受信信号の等化を行う。
上記受信装置20において、ウェーブレット変換器22は復調手段の機能を有するものであり、パイロットシンボル抽出部23はパイロットシンボル抽出手段の機能を、伝送路周波数特性推定部は伝送路特性推定手段の機能を、伝送路等化部は伝送路等化手段の機能をそれぞれ有するものである。
図2は、第1の実施形態の逆ウェーブレット変換器およびウェーブレット変換器が有するフィルタバンク回路の概略構成の一例を示す図であり、図2(A)は帯域合成フィルタバンク回路、図2(B)は帯域分割フィルタバンク回路をそれぞれ示す。なお、本実施形態では、フィルタバンク回路の一例として、一般的なFIRフィルタで構成したフィルタバンク回路の構成について説明する。
図2(A)に示すように、帯域合成フィルタバンク回路30は、信号のサンプリング・レートをN倍にするアップサンプラ31と、互いに直交する複数のFIR(Finite Impulse Response)フィルタ32を組み合わせたFIRフィルタ群33と、二入力加算器34とを有する。ウェーブレット逆変換器12は、この帯域合成フィルタバンク回路30を有して構成される。
また、図2(B)に示すように、帯域分割フィルタバンク回路35は、互いに直交する複数のFIRフィルタ36を組み合わせたFIRフィルタ群37と、サンプリング・レートを1/Nにするダウンサンプラ38とを有する。ウェーブレット変換器22は、この帯域分割フィルタバンク回路35を有して構成される。
ここで、FIRフィルタ32のタップ数をNとすると、各々のFIRフィルタ32は、入力データを遅延する縦続接続の(N−1)個の遅延素子と、この遅延素子の出力データおよび上記入力データに係数を乗算するN個の乗算器と、この乗算器の出力データを入力側から順次に加算して累積値を得る(N−1)個の加算器とを備える。なお、FIRフィルタ32のタップ数Nは、分割するサブキャリア数をM(Mは2のべき乗)とすると、Mの実数倍(K倍)で表される。
次に、本実施形態によるパイロットシンボルの生成について説明する。図3は、第1の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図である。図3は、図18に示される伝送フレームにおける情報シンボルの一部を示している。
図3に示すように、ウェーブレットのフィルタ長(図2におけるFIRフィルタ36のフィルタ長)がKシンボルで構成されている場合、送信側において2K−1シンボル分の連続同一データ(例えばオール1、オール0など)でパイロットシンボルPを構成する。なお、図3および本発明の実施形態の説明では、ウェーブレットのフィルタ長K=4シンボルの場合を例にとって説明する。
ここで、従来のFFTベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式の場合では、1シンボルのデータ信号に対応して1シンボル長の波長が得られる。したがって、1シンボル分の連続同一データで構成したパイロットシンボルで正弦波信号が得られるので、パイロットシンボルは1シンボルで構成することができる。
一方、ウェーブレットベースのOFDMの場合、図2で説明した通り、所定のフィルタ長を有するフィルタを含むフィルタバンクを用いてデータが伝送される。そのため、図3に示すように、1シンボルのデータ信号に対してKシンボル分の長さのウェーブレット波形が1シンボル長ずつ、ずれて伝送される。
たとえば、図3に示すように、シンボルD1に与えられたデータのウェーブレット波形WD1は4シンボル分の波形にて送信される。そして、受信側は、この4シンボル分の波形WD1を受信することで、データ信号D1を復調することができる。
ここで、連続同一データP1のみを挿入しただけでは、前後のシンボルに与えられたデータのウェーブレット波形の影響により正弦波を得ることはできないため、受信側で復調した信号点情報をそのままパイロットシンボルとして使用することはできない。
そこで、本実施形態では、2K−1シンボルの連続同一データでパイロットシンボルを構成し、そのうち正弦波を示すP4からP7のシンボル、すなわち後半Kシンボルをウェーブレット変換することにより、その信号点をパイロットシンボルとして使用する。
まず、連続同一データP1〜P4の4シンボル目(Kシンボル目)P4において、伝送データによるウェーブレット波形WD2の影響が及ばなくなり、連続同一データのみがウェーブレットフィルタに入るため、時間波形が正弦波となる。そして、そのP4の連続同一データのウェーブレット波形WP4は、さらに4シンボル(Kシンボル)の長さを有するので、4シンボル目P4を含むフィルタ長4シンボル分のシンボルP4〜P7に連続同一データを与えて、シンボルP4〜P7において時間波形が正弦波を示すようにする。そして、この正弦波となっているシンボルP4〜P7をウェーブレット変換することにより、パイロットシンボルとして使用することができる。
そして、この抽出されたパイロットシンボルに基づいて、位相、周波数等の伝送周波数特性を推定し、復調信号をその逆特性を用いて制御する等、伝送路等化器で伝送路の等化を行う。
このように第1の実施形態によれば、連続する2K−1シンボルにわたって連続同一データを与えて生成したパイロットシンボルによって、伝送路等化のための複素情報を扱えるパイロットシンボルを構成し、使用することができる。また、パイロットシンボルの情報を使用して伝送路の等化を行うことにより、伝送路特性変動に追従することができる。
なお、本実施形態では、パイロットシンボルが連続同一データが与えられた2K−1シンボルで構成される場合を説明したが、2K−1シンボル以上であればよい。また、受信装置では、2K−1シンボル以上のパイロットシンボルにおいて、Kシンボル以降を復調すれば、複素情報を得ることが可能となる。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る受信装置の主要な構成を示すブロック図である。なお、第1の実施形態の同様の構成要素については同一符号を付している。
第2の実施形態の受信装置40は、A/D変換器21と、ウェーブレット変換器22と、パイロットシンボル抽出部23と、伝送路周波数特性推定部24と、伝送路等化器25とともに、パイロットシンボル抽出部23により抽出されたシンボルに対してフーリエ変換を行うフーリエ変換器41を有して構成される。なお、受信装置40において、フーリエ変換器41はフーリエ変換手段の機能を有するものである。
次に、本実施形態によるパイロットシンボルの生成について説明する。図5は、第2の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図である。本実施形態では、DWMC伝送方法によるデータ伝送においてパイロットシンボルを設ける場合に、ウェーブレットのフィルタ長がKシンボルで構成される場合に、送信側においてKシンボル分の連続同一データ(例えばオール1、オール0など)を与え、受信側において、その連続したKシンボルのうち、Kシンボル目をフーリエ変換することにより復調信号点を極座標として直接扱えるようにする。なお、図5に示すように本実施形態では、フィルタ長K=4の場合を例にとって説明する。
これは、図3に示すように、3シンボル(K−1シンボル目)までは、パイロットデータの前の伝送データによる波形の影響を受けるが、4シンボル目(Kシンボル目)のパイロットデータP4については、伝送データによる波形の影響を受けないため、正弦波信号が得られる。
しかしながら、ウェーブレット変換して復調信号を得る場合、フィルタ長分の正弦波信号を得るために、さらに3シンボル(K−1シンボル)の連続同一データが必要であるが、本実施形態では、時間波形として正弦波となるシンボルP4の1シンボルのみをフーリエ変換することで、その復調信号点情報から複素情報が得る。その複素情報に基づいて、伝送周波数特性推定部24にて伝送特性の推定を行い、伝送路等化器25で伝送路等化を行う。
このように第2の実施形態によれば、上記のようにパイロットシンボルを構成し、ウェーブレットのフィルタ長と同じシンボル数でパイロットシンボルを構成することができる。
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図である。本実施形態の通信装置の主要構成は、図1で説明した第1の実施形態とほぼ同様である。
図6に示すように、第3の実施形態では、送信装置は、パイロットシンボルPを1シンボル分の連続同一データP1で構成して、受信装置へ伝送する。
しかしながら、この場合、連続同一データP1のみの1シンボルでパイロットシンボルPを構成したとしても正弦波は得られないため、その復調信号点情報からそのまま複素情報は得られない。そこで、第3の実施形態では、伝送路周波数特性推定部20において、隣接するサブキャリア間の復調信号点情報に基づいて、複素情報を算出する。なお、本実施形態の伝送路周波数特性推定部20は、複素情報推定手段の機能を有する。
図7は、第3の実施形態における直交平面上での複素情報の算出例を示す図である。図7に示すように、サブキャリアmにおける復調信号点をRm、サブキャリアmに隣接するサブキャリアm+1の復調信号点をRm+1とする。そして、点Rmおよび点Rm+1を通る直線L1を引く。そして、原点Oから直線L1へ下ろした垂線と直線L1との交点Pについて、点Pと原点Oとの距離Aを振幅、I軸と線分OPとのなす角θを位相とした複素情報が得られる。そして、伝送路周波数特性推定部24は、この複素情報に基づいて伝送路の周波数特性を推定し、その伝送路特性に基づいて、伝送路等化器25は伝送路の等化を行う。
なお、直線L0は同期が正確に行なわれた場合の復調信号点の存在する範囲を示す。図7に示す例では、直線L1は直線L0からずれている。それは、実際の伝送路特性により、振幅や位相が変化していることを表す。
このように第3の実施形態によれば、隣接するサブキャリアの復調信号点情報より複素情報を算出することで、伝送路等化のための複素情報を扱えるパイロットシンボルを少なくとも1シンボルで構成することができる。
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図である。本実施形態の通信装置の主要構成は、図1で説明した第1の実施形態とほぼ同様である。また、図8において、ウェーブレットのフィルタ長Kの一例として4シンボルの場合を説明する。
図8に示すように、第4の実施形態では、送信装置は、パイロットシンボルPを3シンボル(K−1シンボル)分の連続同一データP1〜P3で構成して、受信装置へ伝送する。そして、受信装置は、パイロットシンボルのK−1シンボルP3をウェーブレット変換した復調信号点を用いて複素情報を得る。
しかしながら、連続同一データP1〜P3がフィルタ長の4シンボルに満たないため、P1〜P3の3シンボルでパイロットシンボルPを構成したとしても正弦波は得られず、その復調信号点情報からそのまま伝送路特性として使用することはできない。
そこで、第4の実施形態では、第3の実施形態と同様に、伝送路周波数特性推定部20において、隣接するサブキャリア間の復調信号点情報に基づいて、複素情報を算出する。さらに、本実施形態においては、パイロットシンボルをK−1シンボルの連続同一データで構成している。
図9は、第4の実施形態における直交平面上での複素情報の算出例を示す図であり、図9(A)は3シンボル(K−1)で構成されるパイロットシンボルの3シンボル目P3(K−1シンボル目)をウェーブレット変換した場合を示す図、図9(B)は3シンボル目(K−1シンボル目)以外をウェーブレット変換した場合を示すである。
ここで、パイロットシンボルを構成する、連続同一データのシンボル数がフィルタ長Kシンボルに近付くほど、得られる波長は正弦波に近付いていく。ここで、正弦波を復調した場合の隣接するサブチャネルの信号点はそれぞれ+1と−1とになる。したがって、連続同一データのシンボルが、連続して与えられている場合には、後のシンボルになるほど正弦波に近付くので、隣接するサブチャネルの信号点間の距離が広がる。
このとき、図9に示すように、二つの信号点情報の点RmとRm+1との間の距離が広いほど、復調信号点の誤差による直線L1のずれが少なくなる。例えば、図9では、直線L2は信号点に誤差がない場合を示すものとして、図9(A)では、二つの信号点が離れているため、信号点の誤差による直線L1およびL2のずれが少ないが、図9(B)では、二つの信号点が近いために、信号点の誤差によって、直線L1と直線L2とのずれが大きくなっている。したがって、二つの復調信号点が一定以上の距離を有するようにパイロットシンボルを構成することによって、複素情報を得るための点Pの誤差を少なくことができるので、伝送路特性推定の精度を向上することができる。
このように第4の実施形態によれば、隣接するサブキャリアの復調信号点情報より複素情報を算出することで、伝送路等化のための複素情報を扱えるパイロットシンボルをフィルタ長Kシンボルに満たないシンボル数で構成した場合にも高精度に伝送路特性推定を行うことができる。
(第5の実施形態)
図10は、本発明の第5の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図である。本実施形態の通信装置の主要構成は、図1で説明した第1の実施形態とほぼ同様である。
図10に示すように、第5の実施形態では、送信装置は、パイロットシンボルPを2シンボル分の連続同一データP1、P2で構成して、受信装置へ伝送する。
しかしながら、この場合、連続同一データP1、P2のみの2シンボルでパイロットシンボルPを構成したとしても、フィルタ長の4(K)シンボルに満たないため、P1〜P3の3シンボルでパイロットシンボルPを構成したとしても正弦波は得られず、その復調信号点情報からそのまま伝送路特性として使用することはできない。そこで、第5の実施形態では、伝送路周波数特性推定部20において、連続同一データP1、P2それぞれをウェーブレット変換したものについて、同一サブキャリアの復調信号点情報に基づいて、複素情報を算出する。
図11は、第5の実施形態における直交平面上での複素情報の算出例を示す図である。図11に示すように、1シンボル目P1のサブキャリアmにおける復調信号点をR1、2シンボル目P2のサブキャリアmにおける復調信号点をR2とする。そして、点R1および点R2を通る直線L1を引く。そして、原点Oから直線L1へ下ろした垂線と直線L1との交点Pについて、点Pと原点Oとの距離Aを振幅、I軸と線分OPとのなす角θを位相とした複素情報が得られる。そして、伝送路周波数特性推定部24は、この複素情報に基づいて伝送路の周波数特性を推定し、伝送路等化器25の等化情報を更新する。
なお、直線L0は同期が正確に行なわれた場合の復調信号点の存在する範囲を示す。図11に示す例では、直線L1は直線L0からずれている。それは、実際の伝送路特性により、振幅や位相が変化していることを表す。
このように第5の実施形態によれば、少なくとも2シンボルの同一サブキャリアの復調信号点情報より複素情報を算出することで、伝送路等化のための複素情報を扱えるパイロットシンボルを少なくとも2シンボルで構成することができる。また、同一サブキャリアの復調信号点情報を用いて複素情報を算出しているので、各サブキャリアごとに複素情報を得ることができる。
なお、本実施形態では、パイロットシンボルを連続する2シンボルP1、P2で構成したが、必ずしもパイロットシンボルを構成するシンボルは連続する必要がない。ただし、外乱等の影響を考慮した場合には、連続することが好ましい。
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、第3ないし第5の実施形態において、直線L1の傾きaを求める際に、傾きaの範囲が−1≦a≦1となるように、復調信号点2点の関係から象限補正を行うことにより、固定小数点演算における除算の精度を向上させる、或いは除算器の回路規模を低減することができる。
例えば、伝送路の状態が良い場合、図7や図11に示された直線L0の傾きは無限大に近い値となってしまい、演算時にその傾きを表すためのビット幅が非常に多くなり、演算量の増大や、回路規模の増大を招いてしまう。
そこで、本実施形態では、伝送路特性を示す直線L1の傾きのしきい値を1となるように、象限補正を行う。ここで、2つの復調信号点(図7、図9では点RmおよびRm+1、図11では点R1およびR2)の座標をそれぞれ(x0、y0)、(x1、y1)とする。なお、I軸方向の座標をx、Q軸方向の座標をyとする。
はじめに、|x1−x0|および|y1−y0|をそれぞれ求める。次に、直線(図7、図9、図11における直線L1)の傾きaおよび切片bを次式(1)〜(4)によって求める。
|y1−y0|≦|x1−x0|の場合(以下、場合1)には、
a=(y1−y0)/(x1−x0) ・・・(1)
b=y1−a・x1 または b=y0−a・x0 ・・・(2)
|y1−y0|>|x1−x0|の場合(以下、場合2)には、
a=(x1−x0)/(y1−y0) ・・・(3)
b=x1−a・y1 または b=x0−a・y0 ・・・(4)
したがって、演算に用いられる傾きaの範囲は−1≦a≦1となる。すなわち、場合2において、傾きaおよび切片bは直線L1の逆関数となる。次に、伝送路特性の位相θを、次の式(5)〜(8)によって求める。
場合1かつ切片b≧0の場合、
θ=tan-1(a) ・・・(5)
場合1かつ切片b<0の場合、
θ=tan-1(a)+π ・・・(6)
場合2かつ切片b≧0の場合、
θ=tan-1(a)+π/2 ・・・(7)
場合2かつ切片b<0の場合、
θ=tan-1(a)−π/2 ・・・(8)
また、伝送路特性の振幅Aを次式(9)によって求める。
A=|b|/(a2+1)1/2 ・・・(9)
このように第6の実施形態によれば、2つ以上の復調信号点情報より求められる直線の傾きを所定値以内に抑えることで、固定小数点演算における除算の精度を向上させたり、除算器の回路規模を低減することができる。
(第7の実施形態)
図12は、本発明の第7の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図である。本実施形態の通信装置の主要構成は、図1で説明した第1の実施形態とほぼ同様である。
第7の実施形態では、第1ないし第5の実施形態において、さらに精度を向上させるために、複素情報をNシンボル分の平均をとるための構成を説明する。図12(A)は、図8で説明した第4の実施形態の例において、2シンボルの復調信号点から求められる複素情報の平均をとる場合、図12(B)は、図4で説明した第2の実施形態の例において、2シンボルの復調信号情報による複素情報の平均をとる場合を示している。
送信装置10では、Nシンボルの平均を取る場合には、パイロットシンボルを連続同一データをN−1シンボルさらに追加する。図12(A)の例では、2シンボルの平均を取るので、平均を取らない場合の3シンボルの連続同一データに加え、2−1=1シンボル(K−1シンボル)の連続同一データを追加する。また、図12(B)の例では、平均を取らない場合の4シンボルの連続同一データに加え、2−1=1シンボルの連続同一データを追加する。
受信装置20では、図12に示されるように、パイロットシンボルには1シンボルの連続同一データが追加されているので、まず、本来復調する分のシンボルにおいて復調して複素情報を取得し、さらに、1シンボル分ずらして復調して複素情報を取得する。そして、伝送路周波数特性推定部で、これら2つの複素情報の平均をとって、伝送路特性の推定を行う。
このように第7の実施形態によれば、複数の複素情報の平均から伝送路特性を推定するので、複素情報の精度を向上、そして、伝送路特性推定精度を向上させることができる。
(第8の実施形態)
図13は、本発明の第8の実施形態に係る通信装置の主要な構成を示すブロック図であり、図13(A)は通信装置を構成する送信装置を示すブロック図、図13(B)は通信装置を構成する受信装置を示すブロック図である。なお、第1の実施形態の同様の構成要素については同一符号を付している。
第8の実施形態の送信装置50は、伝送データ出力部11と、パイロットデータ出力部12と、スイッチ13と、シンボルマッパ14と、逆ウェーブレット変換器15と、D/A変換器16とともに、境界データを出力する協会データ出力部51を有して構成される。なお、送信装置50において、境界データ出力部51とスイッチ13は、境界シンボル出力手段の機能を有するものである。
また、受信装置60は、A/D変換器21と、ウェーブレット変換器22と、パイロットシンボル抽出部23と、伝送路周波数特性推定部24と、伝送路等化器25とともに、受信信号から境界シンボルを抽出する境界シンボル抽出部61を有して構成される。なお、受信装置60において、境界シンボル抽出部61は、境界シンボル抽出手段の機能を有するものである。
図14は、第8の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図である。図14に示すように、本実施形態では、DWMC伝送方法によるデータ伝送においてパイロットシンボルを設ける場合に、パイロットシンボルとデータシンボルとの間に、パイロットシンボルに与えられる既知信号とは異なる既知信号B1を与えられた境界シンボルBを挿入する。
受信装置60は、境界シンボル抽出部61で受信信号から境界シンボルを抽出し、伝送路等化器25は、境界シンボルを検出すると、パイロットシンボルによって伝送路特性を推定し、伝送路の等化を開始する。
伝送路の急激な変化により、同期位置が大きく異なってしまう場合、受信装置側において、パイロットシンボルとデータシンボルとの境目を正確に把握することができない場合が生じ得る。したがって、本実施形態では、このように同期位置が大きく異なってしまう場合においても、境界シンボルを用いることによって、同期位置を合わせることができる。
この境界シンボルは、伝送フレームの同期用シンボルと類似した機能を持たせることが可能となるが、情報用シンボルにおいても同期をとることができるので、再送要求を行わずに同期位置を合わせることが可能となり、伝送効率を下げることなく、伝送路の変動に追従することができる。
このように第8の実施形態によれば、パイロットシンボルとデータシンボルとの間に境界シンボルを設け、その境界シンボルに基づいてパイロットシンボルの復調を行うので、急激な伝送路変動に対して確実に追従することができる。
なお、上述した各実施形態において、パイロットシンボルを構成する連続同一データは、全てのマルチキャリアに対して与えられる。全てのマルチキャリアに対して既知信号を送信することにより、全マルチキャリアに対して伝送路等化処理を行うことができる。
また、各実施形態におけるパイロットシンボル、また、第8の実施形態における境界シンボルは、受信側装置で検出される伝送路の状況に応じて、挿入、非挿入を決定してもよい。また、パイロットシンボルおよび/または境界シンボルの挿入間隔を決定してもよい。
なお、パイロットシンボルおよび/または境界シンボルの挿入、非挿入の選択、挿入間隔の決定処理は、送信装置、受信装置のいずれで行ってもよい。送信装置でこの決定が行なわれる場合は、受信側装置からの伝送路の状況を示す情報に応じて決定処理を行う決定手段を有し、スイッチ13と、パイロットデータ出力部12および/または境界データ出力部61とを制御する。受信装置でこの決定が行われる場合は、伝送路周波数特性推定部24で決定処理を行い、または、受信装置に決定手段をさらに設けて決定処理を行う。受信装置で決定された結果は送信側装置での処理に用いられる。
なお、上記の伝送路の状況を示すパラメータとして、受信側装置における受信信号を基に伝送路の推定を行う伝送路推定器より得られるCINR(キャリア電力対干渉及び雑音電力比)情報、伝送路等化器より得られる振幅情報、前記受信側装置におけるビットエラーレート、前記伝送信号のデータ再送率、前記伝送信号の伝送レート、信号対干渉比(SIR)等が用いられる。
本発明は、実係数ウェーブレット変換を行うウェーブレット変換ベースのOFDMによるマルチキャリア伝送方式のデータ伝送において、複素情報を扱えるパイロットシンボルを使用することが可能となる効果を有し、実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いたディジタル変復調処理によりデータ伝送を行うマルチキャリア伝送方式を用いる通信装置および通信方法等に有用である。
本発明の第1の実施形態に係る通信装置の主要な構成を示すブロック図 第1の実施形態の逆ウェーブレット変換器およびウェーブレット変換器が有するフィルタバンク回路の概略構成の一例を示す図 第1の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図 本発明の第2の実施形態に係る受信装置の主要な構成を示すブロック図 第2の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図 本発明の第3の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図 第3の実施形態における直交平面上での複素情報の算出例を示す図 本発明の第4の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図 第4の実施形態における直交平面上での複素情報の算出例を示す図 本発明の第5の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図 第5の実施形態における直交平面上での複素情報の算出例を示す図 本発明の第7の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図 本発明の第8の実施形態に係る通信装置の主要な構成を示すブロック図 第8の実施形態における時間軸上での伝送フレームの一部を模式的に示す図 ウェーブレット波形の例を示す図 DWMC伝送方法における送信波形の例を示す図 DWMC伝送方法における送信スペクトルの例を示す図 DWMC伝送方法における送信フレームの構成例を示す図 DWMC伝送方法を採用した場合の送信装置及び受信装置を有してなる従来例の通信装置の概念的構成を示すブロック図
符号の説明
10、50 送信装置
11 伝送データ出力部
12 パイロットデータ出力部
13 スイッチ
14 シンボルマッパ
15 逆ウェーブレット変換器
16 D/A変換器
20、40、60 受信装置
21 A/D変換器
22 ウェーブレット変換器
23 パイロットシンボル抽出部
24 伝送路周波数特性推定部
25 伝送路等化器
30 帯域合成フィルタバンク回路
31 アップサンプラ
32 FIRフィルタ
33 FIRフィルタ群
34 加算器
35 帯域分割フィルタバンク回路
36 FIRフィルタ
37 FIRフィルタ群
38 ダウンサンプラ
41 フーリエ変換器
51 境界データ出力部
61 境界シンボル抽出部

Claims (19)

  1. 実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いたディジタル変復調処理によりデータ伝送を行うマルチキャリア伝送方式の通信装置であって、
    受信側装置における受信信号を基に得られる各サブキャリアに関する伝送路状態を示す情報を用いて、前記パイロットシンボルを挿入するか否かを決定する決定手段と、
    前記決定に基づいて、連続同一データが与えられた少なくとも一つのシンボルをパイロットシンボルとして伝送信号に挿入し、または挿入せずに、前記実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いて伝送信号のディジタルマルチキャリア変調処理を行う変調手段と、
    前記伝送信号を送信する送信手段と、を備える通信装置。
  2. 請求項1記載の通信装置と通信を行う受信側装置であって、
    実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いて、前記伝送信号のディジタルマルチキャリア復調処理を行う復調手段を有し、前記伝送信号を受信する受信手段を備える受信側装置。
  3. 請求項1記載の通信装置であって、
    前記少なくとも一つのシンボルにおいて連続同一データを与えてパイロットシンボルを発生させるパイロットシンボル生成手段を備える通信装置。
  4. 請求項2記載の受信側装置であって、
    前記通信装置の前記変調手段が前記パイロットシンボルを前記伝送信号に挿入した場合、
    前記パイロットシンボルを含む信号を入力してこのパイロットシンボルを抽出するパイロットシンボル抽出手段を備える受信側装置。
  5. 請求項4記載の受信側装置であって、
    前記パイロットシンボルに基づいて得られる複素情報を用いて伝送路状態を推定する伝送路の等化を行う伝送路等化手段を備える受信側装置。
  6. 請求項2記載の受信側装置であって、
    前記通信装置の前記変調手段が前記パイロットシンボルを前記伝送信号に挿入した場合、
    前記実係数ウェーブレットフィルタバンクに含まれるフィルタ長をKシンボルとした場合、前記パイロットシンボルは、連続同一データが与えられた、連続した少なくとも2K−1シンボルから構成され、
    前記受信部は、前記パイロットシンボルに含まれる前記連続同一データが与えられた少なくとも2K−1シンボルのうち、Kシンボル目以降を復調することで複素情報を得る受信側装置。
  7. 請求項2記載の受信側装置であって、
    前記通信装置の前記変調手段が前記パイロットシンボルを前記伝送信号に挿入した場合、
    前記実係数ウェーブレットフィルタバンクに含まれるフィルタ長をKシンボルとした場合、前記パイロットシンボルは、連続同一データが与えられた、連続した少なくともKシンボルから構成され、
    前記受信手段は、前記パイロットシンボルのKシンボル目以降のうちの1シンボルの連続同一データをフーリエ変換して複素情報を得るフーリエ変換手段を備える受信側装置。
  8. 請求項2記載の受信側装置であって、
    前記通信装置の前記変調手段が前記パイロットシンボルを前記伝送信号に挿入した場合、
    前記受信手段は、前記復調された信号に基づいて複素情報を推定する複素情報推定手段を有する受信側装置。
  9. 請求項8記載の受信側装置であって、
    前記パイロットシンボルは連続同一データが与えられた1シンボルから構成され、
    前記複素情報推定手段は、前記連続同一データが与えられたシンボルの復調情報の、隣り合うサブキャリアの復調情報に基づいて前記複素情報を推定する受信側装置。
  10. 請求項8記載の受信側装置であって、
    前記実係数ウェーブレットフィルタバンクに含まれるフィルタ長をKシンボルとした場合、前記パイロットシンボルは、前記連続同一データが与えられた、連続したK−1シンボルを有し、
    前記複素情報推定手段は、前記連続同一データが与えられたK−1シンボルの復調情報の、隣り合うサブキャリアの復調情報に基づいて前記複素情報を推定する受信側装置。
  11. 請求項8記載の受信側装置であって、
    前記パイロットシンボルは、連続同一データが与えられた第1のシンボルおよび第2のシンボルから構成され、
    前記複素情報推定手段は、前記第1のシンボルおよび第2のシンボルの復調情報の各々における同一サブキャリアの復調情報に基づいて前記サブキャリアにおける複素情報を推定する受信側装置。
  12. 請求項9ないし11のいずれか一項記載の受信側装置であって、
    前記複素情報推定手段は、前記復調情報に含まれる受信信号点を通る直線に基づいて前記複素情報を推定するものであり、前記直線の傾きの大きさが所定値以上となった場合には、その直線の逆関数を用いて前記複素情報を推定する受信側装置。
  13. 請求項5ないし12のいずれか一項記載の受信側装置であって、
    前記複素情報をN個求めてその平均を用いる場合に、前記パイロットシンボルは、連続同一データが与えられたN−1シンボルをさらに追加して構成される受信側装置。
  14. 請求項1または3に記載の通信装置であって、
    前記変調手段が前記パイロットシンボルを前記伝送信号に挿入する場合、
    受信側装置における受信信号を基に得られる各サブキャリアに関する伝送路状態を示す情報を用いて、前記パイロットシンボルの挿入するタイミングを決定する通信装置。
  15. 請求項1記載の通信装置であって、
    前記変調手段が前記パイロットシンボルを前記伝送信号に挿入する場合、
    前記パイロットシンボルとデータシンボルとの間に挿入される、前記パイロットシンボルの連続同一データと異なる連続同一データを有する境界シンボルを用いて、データ伝送を行う通信装置。
  16. 請求項15記載の通信装置であって、
    受信側装置における受信信号を基に得られる各サブキャリアに関する伝送路状態を示す情報を用いて、前記境界シンボルを挿入するか否かを決定する通信装置。
  17. 請求項15記載の通信装置であって、
    受信側装置における受信信号を基に得られる各サブキャリアに関する伝送路状態を示す情報を用いて、前記境界シンボルの挿入するタイミングを決定する通信装置。
  18. 実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いたディジタル変復調処理によりデータ伝送を行うマルチキャリア伝送方式の通信方法であって、
    受信側における受信信号を基に得られる各サブキャリアに関する伝送路状態を示す情報を用いて、前記パイロットシンボルを挿入するか否かを決定する決定ステップと、
    前記決定に基づいて、連続同一データが与えられた少なくとも一つのシンボルをパイロットシンボルとして伝送信号に挿入し、または挿入せずに、前記実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いて伝送信号のディジタルマルチキャリア変調処理を行う変調ステップと、
    前記伝送信号を送信する送信ステップと、を備える通信方法。
  19. 請求項18記載の通信方法における受信側の通信方法であって、
    前記実係数ウェーブレットフィルタバンクを用いて、前記伝送信号のディジタルマルチキャリア復調処理を行う復調ステップと、を有する受信側の通信方法。
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