特許文献1にて示された電圧/電流変換回路は、図12あるいは図13に示すような、基本となる電流を記憶して出力する、1ビットD/I変換部から構成される。
先に述べたとおり、電流駆動ドライバ回路の基盤となる、これら1ビットD/I変換部の電流の記憶精度が高くなければ、表示パネル全体で輝度むらが発生したり、タイミングによって輝度がばらついたりする。電流記憶の精度を決定する要因はいくつかあるが、動作上、2つの期間で問題点をわけることができる。1つの期間は、電流値を1ビットD/I変換部へ記憶させる動作を行う期間であり、もう1つの期間は、電流値を1ビットD/I変換部で保持している期間、すなわち1ビットD/I変換部から画素回路に出力を繰り返している期間である。
電流を記憶する時の問題点やその解決方法は、特許文献1にも記載されている。一方、電流を保持している期間の問題としては、以下のような問題が挙げられる。
図12あるいは図13に示す1ビットD/I変換部における電流値の保持とは、言い換えれば、キャパシタC31あるいはキャパシタC41に保持している電荷量の保持である。理想的には、トランジスタT33およびスイッチSW43を非導通状態とすることによって、キャパシタC31およびC41から電荷が移動する経路がすべて遮断される。しかし、実際にはキャパシタC31およびC41自身も含めて、1ビットD/I変換部を構成する全ての素子には漏れ電流が存在する。特にトランジスタT33およびスイッチSW43では漏れ電流が発生し、キャパシタC31およびC41に保持されるべき電荷が外部へと漏れ出す。このため、トランジスタT33およびスイッチSW43には、漏れ電流を抑えた構成のスイッチング素子(トランジスタおよびスイッチ)を採用することが一般的である。
また、キャパシタC31およびC41のキャパシタンスを大きくし、ある程度の電荷が漏れだしたとしても、漏れ電流を総合的には問題のないレベルにとどめることも考えられる。しかしながら、この手法によってスイッチング素子(トランジスタT33およびスイッチSW43)の漏れ電流を抑えられる値は有限である。また、一般的には漏れ電流を抑えるようにすると、導通状態での電流駆動能力が落ちる傾向にある。さらに、キャパシタンスが大きくなることで、1ビットD/I変換部に電流を記憶させるために要する時間が長くなってしまう。
一方、図12に示す回路と図13に示す回路とを比較した場合、次のような問題点がある。図12に示す回路では、電流を出力する度に、トランジスタT33の両端の電位差が大きく変動する。トランジスタT33のソース電極およびドレイン電極に着目すると、トランジスタT33におけるキャパシタC31と接続された電極(ソース電極またはドレイン電極)の電位はキャパシタC31に保持された電位でほぼ一定になるのに対し、トランジスタT33のソース電極およびドレイン電極のうちでキャパシタC31と接続されてない方の電極の電位は、スイッチング素子トランジスタT32が導通状態であるときにはラインIout側の電位に近い値に、トランジスタT32が非導通状態であるときにはGND側の電位に近い状態にと、トランジスタT32の制御次第で大きく変動してしまう。
一般に、スイッチング素子であるTFT等のトランジスタは、ソース−ドレイン間の電位差が大きいほど漏れ電流が大きくなるため、特に前記のトランジスタT32が非導通状態であるときには、キャパシタC31からの電荷の漏れが大きくなってしまう。
図13の回路では、キャパシタC41の電荷はスイッチSW43を通じて基準電流線I*へと漏れ出す。ここで、ある2つの1ビットD/I変換部AおよびBについて、1ビットD/I変換部Bに電流を書き込んでいるとすると、基準電流線I*の電位は1ビットD/I変換部Bに電流を書き込む際に必要な電位となっている。さらに、それぞれの1ビットD/I変換部AおよびBの構成素子の特性が等しければ、1ビットD/I変換部A,Bいずれに電流を書き込む際にも、この基準電流線I*の電位は一定となる。したがって、理想的にはどの1ビットD/I変換部のスイッチSW43においても、ソース−ドレイン間の電位差を小さく抑え、漏れ電流を小さくする効果が得られる。図13の回路では、実際には、1ビットD/I変換部を構成するTFT等のスイッチング素子は多結晶シリコンなどを用いて構成されるため、各素子の特性にばらつきが存在し、基準電流線I*の電位が一定になることはないが、図12の回路と比較した場合、TFT等のスイッチング素子の漏れ電流は大幅に軽減する。
ただし、図13の構成で前述の漏れ電流を小さくする効果が得られるのは、基準電流線I*に流れる電流がほぼ一定に保たれている時のみであるので、前述の漏れ電流を小さくする効果を最大限に得るためには、基準電流線I*に常に電流が流れている状態であることが必要な条件である。後述するように、D/I変換部で不連続な電流記憶動作を行い、電流記憶動作の合間に基準電流線に電流が流れない駆動回路では、このようにTFT等のトランジスタのソース−ドレイン間の電位差を小さく抑え、漏れ電流を小さくする効果が得られにくい。
特許文献1にて開示された電流駆動ドライバ回路では、1ビットD/I変換部をn個組み合わせ、nビットのD/I変換部とした1出力D/I変換部を2個1組としてデータラインに接続し、電流記憶と信号出力との2状態をフレーム期間などに同期させて交互に動作させる方式をとっている。この場合、基準電流線I*は対応する1ビットD/I変換部で共有されるため、あるフレーム期間において、片方の組のD/I変換部の電流記憶作業を、絶え間なく順次行っていくことで、前述した常に基準電流線I*に電流が流れる状態を作り出すことは可能である。しかしながら、表示装置の小型化が困難となり、表示装置全体の消費電力も増加する。また、このような複雑な回路を含むドライバ回路の規模が大きくなるほど、回路に欠陥が生じる確率も高くなり、表示装置の信頼性と生産性とを確保することが困難になる。
本願発明者等は、本件出願人が先に出願した特願2003−209331にて、必ず非発光の信号のみを送信するブランキング走査期間を設け、その期間でD/I変換部の電流記憶動作を行うことで、1つのデータラインに1個の1出力D/I変換部で動作させ、ドライバ回路の簡素化を図る駆動回路を提案した。
ただし、この駆動回路では、電流記憶の動作は不連続となり、電流記憶動作の合間に基準電流線に電流が流れないので、図13に示すD/I変換部を用いても、スイッチSW43のソース−ドレイン間の電位差が生じてしまう期間が存在する。そのため、漏れ電流を小さくする効果が得られにくく、出力電流の精度(特に発光信号の電流値の精度)をあまり高くすることができない。
本発明は、上記従来の課題に鑑みさなれたものであり、その目的は、基準となる電流を流す配線の電位を一定に近づけ、その結果として前記信号出力回路からデータラインへの出力電流の精度を向上させることができる表示装置および駆動回路を提供することにある。
本発明の表示装置の駆動回路は、上記の課題を解決するために、複数の走査ラインと、少なくとも1つのデータラインと、前記走査ラインと前記データラインとの交点に応じてマトリクス状に配置された複数の電気光学素子を含む複数の画素回路とを備えた表示装置に対して、前記画素回路を駆動する駆動回路であって、前記電気光学素子を発光させる発光信号の電流値を保持し、発光のデータにより(発光を示すデータ信号が入力されたことに応答して)、保持した電流値の前記発光信号を前記データラインへ出力する一方、非発光のデータにより(非発光を示すデータ信号が入力されたことに応答して)前記電気光学素子を非発光状態とする非発光信号を前記データラインへ出力する複数の信号出力回路と、前記発光信号の電流値の基準となる基準電流を前記信号出力回路に流すための基準電流線とを備え、前記信号出力回路は、同一の電流値を保持することを目的とするものを複数個含み、前記基準電流線が、同一の電流値を保持することを目的とする複数の信号出力回路に共有されている駆動回路において、前記基準電流線に接続され、前記基準電流線から、あるいは前記基準電流線へ、前記基準電流が流れ得るように構成されている一方、前記発光信号を前記データラインへ出力しない疑似信号出力回路と、所定期間内のみ、前記信号出力回路の少なくとも1つに前記の基準電流が流れて、保持された前記発光信号の電流値が再設定されるように、前記基準電流線と前記信号出力回路との間の電流の流れを制御する第1の電流制御手段と、前記信号出力回路のいずれにおいても前記電流値の再設定が行われていない期間の少なくとも一部に、前記基準電流が前記擬似信号出力回路に流れるように、前記基準電流線と前記擬似信号出力回路との間の電流の流れを制御する第2の電流制御手段とをさらに備えることを特徴としている。
上記構成によれば、データラインへ発光信号を送信しない疑似信号出力回路およびそれを制御する第2の電流制御手段を用いて、前記信号出力回路のいずれにおいても前記電流値の再設定が行われていない期間に加えて、前記信号出力回路のいずれにおいても前記電流値の再設定が行われていない期間の少なくとも一部は、基準電流線から前記信号出力回路へと基準電流を流している。これにより、より多くの時間にわたって、各信号出力回路で共有する基準電流線の電位をほぼ一定に保ち、信号出力回路に保持されている電荷が信号出力回路から基準電流線に流出することを防ぐことが可能となる。その結果、前記信号出力回路から出力する信号の電流値の精度を向上させることができる。それゆえ、電気光学素子の発光輝度の精度が向上し、表示むら等のない良好な表示が実現できる。
したがって、本発明の駆動回路では、画素回路に画像信号を送信する信号出力回路(D/I変換部)の電流記憶の方式がどのような場合においても、基準電流線に電流が流れる時間を長くすることによって、基準電流線の電位を一定に近づけ、その結果としてデータラインへの出力電流(特に発光信号の電流値)の精度を向上させることができる。
また、上記構成によれば、前記信号出力回路のいずれにおいても前記電流値の再設定が行われていない期間には、前記信号出力回路からデータラインへ画像データに応じて発光信号または非発光信号を出力させることができ、前記信号出力回路のいずれかにおいて前記電流値の再設定が行われている期間には、前記信号出力回路から全てのデータラインへ前記非発光信号を出力させること(ブランキング走査)ができる。これにより、電気光学素子の瞬間輝度を下げて素子寿命の改善を図ることができる。
本発明の駆動回路は、信号出力回路の電流記憶動作と疑似信号回路の電流記憶動作とが、排他的にかつ常に行われるようになっていることが好ましい。すなわち、前記第2の電流制御手段は、前記信号出力回路のいずれにおいても前記電流値の再設定が行われていない期間じゅう常に、前記基準電流が前記擬似信号出力回路へ流れるように、基準電流線から擬似信号出力回路への電流の流れを制御するものであることが好ましい。
上記構成によれば、前記信号出力回路および前記擬似信号出力回路のいずれかに常に基準電流線に電流が流れるので、各信号出力回路で共有する基準電流線の電位をほぼ一定に保ち、信号出力回路に保持されている電荷が信号出力回路から基準電流線に流出することを防ぐことが可能となる。その結果、前記信号出力回路から出力する信号の電流値の精度をさらに向上させることができる。
なお、上記構成では、前記信号出力回路は、発光信号を出力しないとき(前記所定期間以外の期間)に、電流値の再設定を行うことができる。これに対し、前記疑似信号出力回路は、信号出力を行わない回路であるため、常に電流値の再設定が可能である。したがって、第1の電流制御手段が、前記の信号出力回路に電流値の再設定をどのようなタイミングで行わせるものであっても、前記基準電流が前記信号出力回路のいずれにも流れていない期間の間じゅう常に、疑似信号出力回路を動作させることで、基準電流線から信号出力回路へと基準電流を流すことができる。それゆえ、常に基準電流線から信号出力回路へと基準電流を流すことができる。
また、前記の駆動回路において、前記信号出力回路は、前記基準電流線に接続された入力端子を有する基準電流用トランジスタと、電源電圧が供給される入力端子を有する電流記憶用トランジスタと、電流記憶用トランジスタのゲート電極と入力端子との間に接続されたキャパシタとを備え、前記擬似信号出力回路は、前記基準電流線に接続された入力端子を有し、かつ、前記基準電流用トランジスタと同等の構成であるダミー基準電流用トランジスタと、電源電圧が供給される入力端子を有し、かつ、前記電流記憶用トランジスタと同等の構成であるダミー電流記憶用トランジスタと、ダミー電流記憶用トランジスタのゲート電極と入力端子との間に接続されたダミーキャパシタとを備えることが好ましい。
上記構成によれば、擬似信号出力回路の主要なトランジスタである、ダミー基準電流用トランジスタおよびダミー電流記憶用トランジスタを、それぞれ、信号出力回路の基準電流用トランジスタおよび電流記憶用トランジスタと同等の構成としている。このように、擬似信号出力回路における電流を流す経路にある各トランジスタの特性を揃えることで、疑似信号出力回路に電流値の再設定を行う際、基準電流線の電位を他の信号出力回路の電流値を再設定している際の電位に近づけることができる。したがって、前記基準電流が前記擬似信号出力回路へ流れているときの基準電流線の電位を、個々の信号出力回路における電流記憶用トランジスタのゲート電位に近づけることができる。これによって、電流記憶用トランジスタのゲート電位を保持するキャパシタに蓄えられた電荷量の変動を抑えることができる。実際には、トランジスタには特性のばらつきが生じるため、基準電流線の電位と各信号出力回路の電流記憶用トランジスタのゲート電位とが完全に一致することはないが、基準電流線の電位と各信号出力回路の電流記憶用トランジスタのゲート電位との差が小さくなる。その結果、各信号出力回路の基準電流用トランジスタにおける漏れ電流を小さく抑えることができる。
なお、ここで、「同等の構成」とは、ゲート電位が所定値であるときにソース−ドレイン間に流れる電流の値に影響を与えるパラメータ、例えばゲート長やゲート幅などが等しい構成を指すものとする。
前記信号出力回路は、電流記憶および電流出力用のスイッチング素子の制御端子の電位を保持することによって、一定の電流信号を出力することができる構成であることが好ましい。
前記の信号出力回路は、電源電圧が供給される入力端子、および前記データラインへ前記発光信号を出力するための出力端子を有する第1トランジスタと、前記基準電流線に接続された入力端子、および第1トランジスタのゲート電極に接続された出力端子を有する第2トランジスタと、第1トランジスタのゲート電極と入力端子との間に接続されたキャパシタと備え、第2トランジスタのゲート電極の電位が、前記第1の電流制御手段によって制御されることで前記基準電流線と第1トランジスタのゲート電極との間の電流の流れが制御され、第1トランジスタに流れる電流を制御するようになっているカレントコピア構造であることがより好ましい。
前記信号出力回路は、前記データラインへ前記発光信号を出力するための出力端子を有する第3トランジスタと、前記基準電流線に接続された入力端子、および第3トランジスタのゲート電極に接続された出力端子を有する第2トランジスタと、第3トランジスタのゲート電極と接続されたゲート電極、および第3トランジスタの入力端子と接続され電源電圧が供給される入力端子を有する第4トランジスタと、第3トランジスタのゲート電極と入力端子との間に接続されたキャパシタと備え、第2トランジスタのゲート電極の電位が、前記第1の電流制御手段によって制御されることで前記基準電流線と第3トランジスタのゲート電極との間の電流の流れが制御されるようになっているカレントミラー構造であってもよい。
信号出力回路が上記のように構成されることにより、定電流源などから基準電流を流した後、カレントコピア構造の信号出力回路およびカレントミラー構造の信号出力回路のいずれにおいても、基準電流線と接続された第2トランジスタを非導通状態とすることにより、電流記憶用のトランジスタ(第1トランジスタまたは第3トランジスタのゲート電位が固定される。そして、カレントコピア構造の信号出力回路およびカレントミラー構造の信号出力回路のいずれにおいても、電流記憶用のトランジスタ(第1トランジスタまたは第3トランジスタ)の入力端子に電源電圧を印加して再び同じ電流値を得ることができる。
なお、カレントコピア構造およびカレントミラー構造のいずれにおいても、流れる電流に応じて各トランジスタの制御信号およびキャパシタの配置を適切に選択すれば、信号出力回路に用いるトランジスタは、p型、n型のどちらでも構わない。
ただし、カレントミラー構造の信号出力回路は、カレントコピア構造の信号出力回路に比べ、回路を構成するトランジスタの特性にばらつきが生じると、信号出力回路より得られる出力電流そのものにもばらつきを生じやすい。したがって、信号出力回路は、電流値保持の精度がより高いカレントコピア構造を備えていることが望ましい。
さらに、カレントコピア構造およびカレントミラー構造のいずれにおいても、電流記憶用のトランジスタ(第1トランジスタまたは第3トランジスタ)のゲート電極が第2トランジスタを介して基準電流線と接続されていることにより、信号出力回路の出力による電位の変動で第2トランジスタからの漏れ電流が増大することを回避することができる。もし信号出力回路が第1トランジスタのソース電極(もしくはドレイン電極)に第2トランジスタのソース(ドレイン)電極を接続した構成であれば、信号出力回路の出力状態によっては、第1トランジスタのゲート電位とは大きく異なる電位が第2トランジスタのソース(ドレイン)電極へと印加される。そのため、信号出力回路の出力による電位の変動で第2トランジスタからの漏れ電流が増大する。これに対し、本発明の駆動回路では、前記疑似信号出力回路を設け、多くの時間、特に常時、基準電流線に電流が流れている状態としているので、第2トランジスタのソース(ドレイン)電極の電位は第1トランジスタのゲート電位に近い値となる。その結果、第2トランジスタの漏れ電流を小さく抑えることができる。
また、信号出力回路が前記カレントコピア構造を備えている場合、前記の疑似信号出力回路が、電源電圧が供給される入力端子を有する第1ダミートランジスタと、前記基準電流線に接続された入力端子、および第1ダミートランジスタのゲート電極に接続された出力端子を有する第2ダミートランジスタと、第1ダミートランジスタのゲート電極と入力端子との間に接続されたダミーキャパシタと備え、第2ダミートランジスタのゲート電極の電位が前記第2の電流制御手段によって制御されるカレントコピア構造であり、第1ダミートランジスタは、前記信号出力回路の第1トランジスタと同等の構成であり、第2ダミートランジスタは、前記信号出力回路の第2トランジスタと同等の構成であることが好ましい。
上記構成によれば、基準電流線の電位が、個々の信号出力回路における電流記憶用の第1トランジスタのゲート電位に近づくことによって、ゲート電位を保持するキャパシタに蓄えられた電荷量の変動を抑えることができる。すなわち、疑似信号出力回路に電流値の再設定を行っている時に、電流を流す経路にある各トランジスタの特性を揃えることで、基準電流線の電位を信号出力回路の電流値を再設定している時の電位に近づけることができ、基準電流線の電位を、個々の信号出力回路における電流記憶用の第1トランジスタのゲート電位に近づけることができる。実際には、トランジスタの特性のばらつきが生じるため、信号出力回路の電流値を再設定している時の基準電流線の電位と、擬似信号出力回路の電流値を再設定している時の基準電流線の電位とが完全に一致することはないが、基準電流線の電位と各信号出力回路の第1トランジスタのゲート電位との差が小さくなり、各信号出力回路の第2トランジスタにおける漏れ電流の値を小さく抑えることができる。
また、信号出力回路が前記カレントミラー構造を備えている場合、前記の疑似信号出力回路が、第3ダミートランジスタと、前記基準電流線に接続された入力端子、および第3ダミートランジスタのゲート電極に接続された出力端子を有する第2ダミートランジスタと、第3ダミートランジスタのゲート電極と接続されたゲート電極、および電源電圧が供給されると共に第3ダミートランジスタの入力端子と接続されている入力端子を有する第4ダミートランジスタと、第3ダミートランジスタのゲート電極と入力端子との間に接続されたダミーキャパシタと備え、第2ダミートランジスタは、前記信号出力回路の第2トランジスタと同等の構成であり、第3ダミートランジスタは、前記信号出力回路の第3トランジスタと同等の構成であり、第4ダミートランジスタは、前記信号出力回路の第4トランジスタと同等の構成であることが好ましい。
このような構成をとることで、前述した信号出力回路および擬似信号出力回路がカレントコピア構造である場合と同じく、基準電流線の電位と各信号出力回路の第1トランジスタのゲート電位との差が小さくなり、各信号出力回路の第2トランジスタにおける漏れ電流の値を小さく抑えることができる。
なお、前記信号出力回路は、1種類または2種類以上の前記発光信号の電流値を再設定するものである。
前記信号出力回路が、1種類の前記発光信号の電流値を再設定するものである場合、すなわち、信号出力回路が、最低でも前記電気光学素子の発光表示に対応する1つの電流値を保持し、その電流値の電流を電気光学素子に流すことで発光、流さないことで非発光とする2状態を表示することができる場合、例えば時間分割階調表示によって階調表示が可能となる。
また、前記信号出力回路が、2種類以上の前記発光信号の電流値を再設定するものである場合、すなわち、信号出力回路が、それぞれ異なる電流値を保持することができる場合、電気光学素子の表示状態を2つより多い状態とすることができるため、2つ以上の電流値と時間分割駆動方式との組み合わせによる階調表示や、2種類以上の電流値そのもので階調表示を行うことができる。
また、前記信号出力回路は、異なる基準電流を出力するn個の電流源をさらに備え、前記信号出力回路の各々は、1種類の前記発光信号の電流値を再設定し、個々のデータラインにはそれぞれn個の信号出力回路が接続され、これらn個の信号出力回路は、異なる電流源に接続され、異なる電流値が再設定されるようになっており、前記n個の信号出力回路のうちのどの信号出力回路から、それに保持した電流値の前記発光信号を出力するかを選択することで、2n個の異なる電流値をデータラインに出力させるようになっていてもよい。
これにより、信号出力回路に記憶できる前記発光信号が1種類であったとしても、異なる電流値を記憶する複数の信号発生回路を並列に接続することで、総合的な出力ラインには2種類以上の電流値を出力することができる。
また、本発明の駆動回路は、時間分割階調表示方式(デジタル駆動)に適用可能である。すなわち、本発明の駆動回路は、前記電気光学素子の表示状態を1フレーム期間でM回(Mは2以上の整数)変化させ、各R個(Rは2以上の整数)の表示状態のいずれかにすることで、表示装置にN階調表示(N≦RM)を行わせるようになっていてもよい。
[発明が解決しようとする課題]の項でも述べたように、例えば電気光学素子として有機EL素子を用いた場合、有機EL素子そのものの特性ばらつきに加え、回路を構成するスイッチング素子であるTFTの特性ばらつきによって、同一の画像データ信号を入力しても有機EL素子から得られる輝度にばらつきが生じることが多い。したがって、電気光学素子を1フレーム期間に1回、個々のTFTに複数の表示状態を設定することで高い品位の階調表現を得ることは、階調誤差が生じるなどして困難である。
こうした電気光学素子を用いる表示装置では、電気光学素子は階調表示の品位が保たれる程度の表示状態を、例えば輝度が0(非発光)の状態と、TFTの特性ばらつきが小さい領域で駆動させる輝度の状態との2つ状態のみとし、1フレーム期間を複数のサブフレームに分割してそのon/offを選択することで、表示素子の階調数と1フレーム期間内での発光回数とを組み合わせた時間分割階調表示方式をとる場合が多い。本発明は、前述のN≦RMという関係において、Mの値がどのような場合においても基本的な内容が変わることはなく、TFTの特性ばらつきが大きい場合などは、このような時間分割階調表示方式を適用した駆動方法を用いることが望ましい。
さらに、前記時間分割階調方式を用いる駆動回路は、1つの前記電気光学素子にa個のデータが対応し、a個のデータの一部が前記電気光学素子を設定期間において非発光状態とするデータであり、連続するa個の選択期間のうち、設定期間以外の期間では、前記データラインへ前記a個のデータから非発光状態とするデータを除いたデータに応じた発光信号または非発光信号を出力し、設定期間では、前記データラインに接続された画素回路を必ず非発光状態に設定する、ブランキング走査を行うようになっていることが好ましい。
なお、ここで、「信号を出力しないことで電気光学素子を非発光状態とする」とは、信号出力回路の出力をonにして画像データ信号などの表示のための信号(発光信号または非発光信号)をデータラインに出力するのではなく、信号出力回路の出力をoffとして上記の信号をデータラインに出力しないことで電気光学素子の非発光を実現することを意味する。これは、画素回路にとっては発光しない電流値がデータラインに付与されている状態となる。したがって、信号出力回路は、電流値の再設定を行うことができる状態にある。
任意の走査ライン数であっても対応できる液晶表示装置の駆動回路として、選択される画素回路は例外なく非発光状態にするブランキング走査期間を、1フレーム期間の中に設けた駆動回路が特許文献2(特開平9−127906号公報)に開示されている。このブランキング走査期間が、本発明におけるすべてのデータラインに接続された電気光学素子を非発光状態とする設定期間に対応するものである。ただし、特許文献2に開示されている駆動回路は、旧来の液晶表示装置の駆動回路に対して、例えば画素回路に初期化するためのTFT素子や、そのTFT素子を制御するための信号ラインを追加しなくてはならない。これは、画素の開口率を低下させることになり、表示装置全体の輝度を維持するために、個々の画素の輝度を高くする必要がある。しかし、有機EL素子は、輝度を高くするほど寿命が短くなるため、この方法は好ましくない。
そこで、ある走査ラインの設定期間に駆動回路から出力する画像データとして、電気光学素子の表示状態を1フレーム期間でM回(Mは2以上の整数)、上記信号出力回路からの電流出力で各R個(Rは2以上の整数)の表示状態のいずれかにすることで、N階調表示(N≦RM)を行い、入力されたDビット(Dはa以下の整数)の階調データを、非発光のデータを含むa個のデータへ変換する。このとき、例えば、MをRのa乗より小さく設定し、かつ連続してデータラインに供給される選択期間のデータが選択期間毎に異なる種類のデータとなるよう制御する。
このような電気光学素子を非発光状態とするデータを含むデータを用いることで、表示装置を時間分割階調表示方式によって駆動させる場合において、初期化のためのTFT、およびそのTFTを制御するための信号線(初期化走査線)を追加することなく、走査に任意のブランキング走査期間を設けたタイミングにて、任意の走査ライン数の表示装置を駆動させることが可能となる。
このような時間分割階調表示方式の駆動方法の特徴については、後述する。
また、本発明の駆動回路は、アナログ駆動方式に対応可能である。すなわち、本発明の駆動回路は、前記電気光学素子の表示状態を1フレーム期間で1回変化させ、各R個(Rは2以上の整数)の表示状態のいずれかにすることで、表示装置にN階調表示(N≦R)を行わせるようになっているものであってもよい。
上記構成では、R個以上の表示状態を記憶し、N階調表示を行うことが可能なほどにTFT等のスイッチング素子の特性ばらつきを抑えることができれば、1フレーム期間に1回の書き込みで高い表示品位を得ることができる。すなわち、本発明の駆動回路をアナログ駆動方式に適用することで、より高い表示品位を得ることが可能となる。
さらに、本発明の駆動回路においては、ブランキング期間に信号出力回路での電流再設定を行うことが好ましい。すなわち、前記第1の電流制御手段は、選択された走査ライン上のすべての画素回路の表示状態を非発光状態に設定する設定期間に、前記電流値の再設定が行われるように前記信号出力回路の保持動作を制御するものであることが好ましい。
上記の構成では、選択された走査ライン上のすべての画素回路の表示状態を非発光状態に設定する設定期間(ブランキング走査期間)に、すべての信号出力回路において電流値が再設定される。これにより、断続的にではあるが、連続して画像データ信号の送信と出力値の再設定を行うことができる。
この結果、例えば特許文献1にて開示された、信号出力回路の動作が異なる2通りのフレーム期間は必要なく、データライン1本あたりに接続される信号出力回路を1個に減らすことができる。
ここで、駆動回路において、選択された走査ライン上のすべての画素回路の表示状態を非発光状態に設定する(全てのデータラインに接続された画素回路を非発光状態に設定する)方法としては、データラインに信号を出力しない方法と、データラインに非発光信号を出力する方法とが採用可能であるが、一般的に有機EL素子の非発光状態を電流値で指定する場合、その電流値は非常に小さくなるため精度を保つことが困難である。また、データラインに何も信号を出力しない場合、データラインの電位が不定となるため、画素回路に正確な非発光信号を送信することは困難である。したがって、例えば、前記信号出力回路はデータラインに信号を出力せず、代わりに前記信号出力回路とは別に非発光信号を送信する非発光信号送信回路を設置し、非発光状態を設定する際には非発光信号送信回路をデータラインに接続し、なおかつ電圧信号によって非発光状態を画素回路に書き込むことによって画素回路を非発光状態に設定する方法が好ましい。
なお、本発明は、1フレームに同期した再設定(リフレッシュ)方法に限定されず、複数フレームに亘ってすべての信号出力回路を再設定することにも適用が可能である。もしくは、本発明は、1フレーム期間よりも短い期間ですべての信号出力を再設定することにも適用が可能である。
また、前記設定期間に信号出力回路の電流値の再設定が行われる構成の駆動回路において、前記第1の電流制御手段は、前記設定期間において非発光状態に設定される画素回路を含む走査ラインを選択する度に、順次異なるように前記信号出力回路の保持動作を制御するものであることが好ましい。すなわち、前記駆動回路において、前記第1の電流制御手段は、前記電流値の再設定が行われる前記信号出力回路が、前記設定期間において非発光信号が与えられる画素回路を含む走査ラインを順次選択する度に異なるように前記信号出力回路の保持動作を制御することが好ましい。
前記駆動回路が、1フレーム期間を、全てのデータラインに接続された画素回路を非発光状態に設定する設定期間(ブランキング走査期間)と、通常の発光信号または非発光信号をデータラインに出力する期間とに分割して駆動を行うものである場合、信号出力回路の出力値を再設定する期間は、例えば1水平走査期間(1H)のような短い時間となる。一般的な表示装置の駆動回路の構成において、1回の1水平走査期間のような短い期間にすべての信号出力回路の出力値を一括して再設定することは難しい。そこで、第1の電流制御手段によって、全てのデータラインに接続された画素回路を非発光状態に設定する設定期間に同期して信号出力回路の出力値を再設定するときに、電流値を再設定する信号出力回路はその設定期間ごとに異なるように、設定する。
例えば、表示装置の走査ラインの数をLとすると、1フレーム期間ではすべての非発光の信号を送信する設定期間がL回存在するため、1フレーム期間全体ではL個の異なる信号出力回路の電流値を再設定することができる。
なお、前記のブランキング走査期間を設け、その期間に信号出力回路を制御するアナログ駆動方式およびデジタル駆動方式については、本件出願人が先に出願した特願2003−209331に詳細な説明がある。
また、本発明の表示装置は、前記の駆動回路と、複数の走査ラインと、少なくとも1つのデータラインと、前記走査ラインと前記データラインとの交点に応じてマトリクス状に配置された複数の電気光学素子を含む複数の画素回路とを備えた表示パネルとを含むことを特徴としている。
本発明の表示装置では、前記の駆動回路を備えるので、画素回路に画像信号を送信する信号出力回路(D/I変換部)の電流記憶の方式がどのような場合においても、基準電流線に電流が流れる時間を長くすることによって、基準電流線の電位を一定に近づけ、その結果としてデータラインへの出力電流(発光信号の電流値)の精度を向上させることができる。
また、本発明の表示装置は、前記のアナログ駆動方式において、ブランキング走査を行う構成であってもよい。すなわち、本発明の表示装置は、前記電気光学素子の表示状態を1フレーム期間で1回変化させ、各R個(Rは2以上の整数)の表示状態のいずれかにすることで、N階調表示(N≦R)を行うようになっており、1フレームに前記走査ラインの走査を複数回行い、記データラインへ表示のための前記発光信号または非発光信号を与える期間と、すべてのデータラインに接続された画素回路を非発光状態に設定する設定期間とで走査を行うようになっていてもよい。
このように、一般的にアナログ駆動方式において、1フレーム期間の中で1回(前述のM=1)だけ画素回路へ表示のための画像データ信号(発光信号または非発光信号)を出力するため、1フレーム期間に走査を1回行い、残りの期間を発光時間に充てることで、瞬間輝度を下げて素子寿命の改善を図ることができる。
しかし、このようなアナログ駆動方式のアクティブマトリックス型の表示装置の1つの画素に着目すると、表示状態を書き込む瞬間以外の時間は、常に発光あるいは非発光の状態であることがわかる。このような制御を行うと、特に動画では画像がばやける減少が起きやすく、通常、なんらかのタイミングで表示状態を非発光とし、動画像のぼけを防止する対策がとられる。
このような構成をとるため、水平走査期間を、通常の発光信号または非発光信号を与える期間と、画素回路を必ず非発光状態とする期間、すなわちブランキング走査期間とに分割することにより、すべての走査期間において、ある画素回路への画像信号(通常の発光信号または非発光信号)の送信と、別の画素回路を非発光状態とする処理(ブランキング走査)を行うことが可能となる。
また、本発明の表示装置において、前記駆動回路および前記画素回路は、スイッチング素子として薄膜トランジスタを用いたものであることが好ましい。薄膜トランジスタ(以下、「TFT」と略記する)を用いることによって、電気光学素子を発光させるのに必要な電流量を流すことができる。
なお、上記TFTは、この条件を満たすTFTであれば、p型トランジスタとn型トランジスタのどちらであっても構わない。また、上記のTFT等のスイッチング素子を構成する半導体材料は、アモルファスシリコンでもよいが、より高輝度での発光に必要な電流量を確保するために、多結晶シリコン、特に低温多結晶シリコンやCGシリコンであることが望ましい。すなわち、本発明の表示装置において、画素回路および駆動回路を構成するスイッチング素子は、多結晶シリコンを用いて形成されていることが好ましく、低温多結晶シリコンまたはCGシリコンを用いて形成されていることがより好ましく、CGシリコンを用いて形成されていることがさらに好ましい。
本発明の表示装置において、前記駆動回路の全部もしくは一部が、電気光学素子を配置した表示パネルと一体に形成されることが好ましい。このような構成により、表示装置全体の小型化と製造コストの低減とを図ることができる。
前記電気光学素子としては、電流値によって発光強度が制御される素子であればどのような形態でも構わないが、軽量で薄型の表示装置を作製する場合には、特に有機EL素子を用いることが好ましい。すなわち、本発明の表示装置において、前記電気光学素子は有機EL素子であることが好ましい。
以上のように、本発明の駆動回路および表示装置によれば、ある期間には信号出力回路の電流値を順次再設定する一方、他の期間には信号出力回路の電流値を再設定しない駆動方法を用いる表示装置において、信号出力回路の電流値を再設定しない期間の少なくとも一部に疑似信号出力回路の電流値を再設定することで、より多くの時間にわたって基準電流線に所定の電流を流しながら電流値の再設定を行うことができるため、複数の信号出力回路で共有する基準電流線の電位を一定に近づけることができる。
例えば、時間分割階調表示方式において、設定期間としてブランキング走査期間を設け、ブランキング走査期間には信号出力回路の電流値を順次再設定する一方、非ブランキング走査期間には信号出力回路の電流値を再設定しない駆動方法を用いる表示装置においても、非ブランキング走査期間に疑似信号出力回路の電流値を再設定することで、連続的に電流値の再設定を行うことができるため、複数の信号出力回路で共有する基準電流線の電位をほぼ一定に保つことが可能となる。
これにより、信号出力回路から保持している電荷の流出を防ぐことができる。その結果、信号出力回路に保持しているスイッチング素子の制御端子の電位を保持する精度を向上させ、それにより前記信号出力回路から出力する信号の電流値の精度をさらに向上させることができる。したがって、信号出力回路において電位を保持するための容量素子の規模を縮小することが可能となり、駆動回路の回路規模の縮小を図ることができる。
また、信号出力回路の電流値を再設定しない期間に疑似信号出力回路の電流値を再設定することで、電流の再設定の期間の延長を図ることができる。電流の再設定の期間を延長することによって、回路の動作周波数を低減することができる。
なお、アナログ駆動方式のように1フレーム期間に1回の走査しかない表示装置であっても、水平走査期間を分割することで、信号出力回路の出力停止期間を追加した駆動方法を用いる表示装置においても、上記ブランキング走査期間を設けた駆動方法を用いる表示装置と同様の効果を得ることができることは明らかである。
以上のことから、本発明は、表示装置の駆動回路の信頼性および生産性を向上させると共に、駆動回路を備える表示装置の小型化を図ることができるという効果を奏する。
本発明は、有機EL素子等の電気光学素子を含む画素回路を用いたアクティブマトリクス型の表示装置における電流制御型の駆動回路(特にデータドライバ回路)であって、トランジスタのゲート電極の電位を保持することで一定の電流を流すよう記憶する方式の信号出力回路を備える駆動回路において、信号出力回路に蓄えられた電荷の変動を抑え、画素回路に書き込まれる電流値を一定に保つことを目的とするものである。そして、特に、本発明は、上記方式の信号出力回路を備える駆動回路において、ゲート電極の電位の保持容量と基準となる電流を流す配線との間に配置した別のトランジスタのソース−ドレイン間の電位差を小さくすることで、信号出力回路内のキャパシタ(保持容量)に蓄えられた電荷の変動を抑え、画素回路に書き込まれる電流値を一定に保つことを目的とするものである。
本実施形態では、電気光学素子として有機EL素子を用い、電流制御型の駆動方式を用いるアクティブマトリクス型の表示装置に本発明を適用した形態について説明する。本実施形態の表示装置は、駆動回路一体型の表示装置である。本実施形態の表示装置の駆動回路は、図示しないが、回路を構成するスイッチング素子が、半導体材料に低温多結晶シリコンやCGシリコン等の多結晶シリコンを用いたTFTにより構成されており、前記電気光学素子を含む画素回路が形成された基板と同一の基板上に組み込まれている。また、本実施形態の駆動回路は、基準となる電流の値を記憶し、記憶した電流値を画素へ画像データ信号として送出するデジタル/電流変換(DCC)回路を含んでいる。
また、トランジスタ素子として用いるCGシリコンTFTの構成および作製プロセスについては、例えば非特許文献1(“Continuous Grain Silicon Technology and Its Applications for Active Matrix Display” AM-LCD 2000, pp.25-28)などで詳しく述べられているので、ここではその詳細な説明を省略する。また、有機EL素子に関しては、例えば特許文献3(特開平11−176580号公報)などで詳しく述べられているので、ここではその詳細な説明を省略する。
〔実施の形態1〕
本実施形態では、電気光学素子の表示状態を、1フレーム期間でM回(Mは1以上の整数)変化させ、上記のDCC回路からの電流出力で各R個(Rは2以上の整数)の表示状態のいずれかに設定することで、N階調表示(N≦RM)を行う表示装置のうち、M≧2となる表示装置、すなわちデジタル駆動方式の表示装置において、前記の駆動回路および駆動方法を用いた表示装置の構成例を示す。なお、デジタル駆動方式では、入力nビットに対して分割数をnとすることが一般的であるが、本実施の形態においては、動画表示の高品位化を図った駆動方法として、入力nビットの内容をさらに分割して(n+a)個のデータ(aは1以上の整数)とし、非発光信号を走査する期間であるブランキング走査期間を設けた時間分割階調表示駆動方法を用いた表示装置の構成例を示す。
図2は、本実施形態に係る表示装置の全体の構成を示している。
まず、図2に示すように、本実施形態に係る表示装置は、表示パネル1と、コントロール回路2と、電源回路3とを備えている。
電源回路3は、表示パネル1の各部に必要な電力を供給する回路である。具体的には、電源回路3は、表示装置の外部から供給された電力(例えば100Vの交流電力)pinを基に電源電圧poutを生成し、この電源電圧poutを、ゲートドライバ回路4、データドライバ回路5、基準電流源6等の、表示パネル1の各部に供給する。
コントロール回路2は、表示装置外部の装置(例えばパーソナル・コンピュータ)または表示装置に内蔵された回路(例えばTVチューナ回路)から入力された画像信号に基づいて表示データやコントロール信号を含む信号群souを生成し、この信号群souを電圧変換回路7を介してゲートドライバ回路4およびデータドライバ回路5に供給する回路である。このコントロール回路2は、信号群souとして、表示装置のゲートドライバ回路4およびデータドライバ回路5への入力データである指示データや駆動タイミング信号を表示パネル1の画素数に合わせて生成し、それぞれゲートドライバ回路4およびデータドライバ回路5に電圧変換回路7を介して供給する。
表示パネル1には、複数の走査ライン(ゲートライン)Gi(i=1〜m;mは2以上の整数)と、これらに直交する複数のデータラインSj(j=1〜n;nは2以上の整数)とが配され、それぞれの交点に画素回路Aijがマトリクス状に配置されている。また、表示パネル1には、走査ラインGiと平行に、複数の発光制御信号ラインEi(E=1〜m)が配されている。さらに、データラインSjはデータドライバ回路5に接続され、走査ラインGiおよび発光制御信号ラインEiはゲートドライバ回路4に接続されている。
また、データドライバ回路5は、図2には示していないが、例えば図13に示す回路構成の信号出力回路を含む。本実施の形態での信号出力回路は、後述するように主にカレントコピア構成をとり、外部より入力されたデジタル信号によって記憶した電流を出力するか否かを決定する。以後、この信号出力回路をDCC(Digital-to-Current Converter)回路(デジタル−電流変換回路)と称する。
両ドライバ回路4・5は、表示装置全体の小型化および製造コストの低減を図るため、画素回路Aijが形成されている表示パネル1と一体に、すなわち表示パネル1を構成する基板上に、全部もしくは一部が形成されることが好ましい。ただし、上記の効果は得られないが、ドライバ回路4・5の一部または全部を表示パネル1を構成する基板とは別の基板上に形成し、表示パネル1に対して外部から接続しても構わない。例えば、表示パネル1を構成するガラス基板にICを直接接合させるCOG(Chip On Grass)でも構わない。また、フレキシブル基板上にICを配置し、表示パネル1を構成する基板上の入出力端子に接合させることもできる。
基準電流源6は、電源回路3から供給された電源電圧poutを基に基準電流Istdを生成し、この基準電流Istdを、データドライバ回路5内に設けられたDCC回路に供給する回路である。電圧変換回路7は、いわゆるレベルシフタと呼ばれる回路であって、コントロール回路2から出力された信号群souの電圧を上昇させる回路である。電圧変換回路7は、信号群souのうちのゲートドライバ回路4用の信号群およびデータドライバ回路5用の信号群についてそれぞれ電圧を上昇させて、ゲートドライバ回路4用信号群gcsおよびデータドライバ回路5用信号群scsを生成して、それぞれゲートドライバ回路4およびデータドライバ回路5に供給する。なお、基準電流源6および電圧変換回路7もまた、表示パネル1と一体に形成する方式、表示パネル1に対して外部から接続する方式のどちらで表示パネル1と接続しても構わない。
図3は、画素回路Aijの構成を示している。
図3に示すように、画素回路Aijは、有機EL素子11、多結晶シリコンまたはCGシリコンを用いたTFTからなるトランジスタT11〜T13,TD11、およびキャパシタC11を有している。
電気光学素子としての有機EL素子11は、データラインSjとゲートラインGiとの交点付近に配置されており、そのアノードに共通電圧Vcomが印加されている。トランジスタT12は、データラインSjとトランジスタTD11の出力端子との間に配置され、そのゲート端子がゲートラインGiに接続されている。トランジスタT11は、データラインSjとキャパシタC11との間に配置され、トランジスタT12と同様、そのゲート端子がゲートラインGiに接続されている。トランジスタTD11は、電源ラインVpと有機EL素子11のカソードとの間にトランジスタT13と直列に配置され、そのゲート端子がキャパシタC11の一端に接続されている。トランジスタT13は、そのゲート端子が発光制御信号ラインEiに接続されている。
なお、画素回路AijのトランジスタT11〜T13は、図3においてはn型TFTであるが、適正な制御信号を供給できるのであればp型であってもよい。同様に、トランジスタTD11は図3においてはp型であるが、適正な制御信号と電流制御が可能であれば、n型であってもよい。
また、本発明に用いる画素回路Aijはカレントミラー構造であってもよい。カレントミラー構造の画素回路の構成と動作については、特許文献4(特開2001−147659公報)などで詳しく述べられているので、ここではその詳細な説明は省略する。ただし、一般的には、カレントミラー構造では構成するTFTの電流−電圧特性のばらつきによって生じる出力電流の誤差がカレントコピア構造に比べて大きいため、本実施形態においてはカレントコピア構造の画素回路Aijを用いることとする。
なお、本発明の実施において、画素回路Aijは電気光学素子に流れる電流を制御する構造であればどのような方式でも構わない。また、従来例においては、電流値を画素回路Aijに記憶する際、画素回路Aijから信号出力回路へ電流が流れ込む構成であるが、逆に信号出力回路から画素回路Aijに電流を流す構成であってもよい。
図4は、データドライバ回路5の構成を示している。
図4に示すように、データドライバ回路5は、シフトレジスタ21、データラッチ22、ラインラッチ23、および電圧/電流変換回路24を有している。このデータドライバ回路5では、図2に示すコントロール回路2から、前記信号群scsとして、スタートパルスSP1およびクロック信号CLK1がシフトレジスタ21に、画像データ信号SDAがデータラッチ22に、ラッチパルスLPがラインラッチ23に、スタートパルスSP2、クロック信号CLK1、およびセレクタ信号SELが電圧/電流変換回路24に、それぞれ入力されるようになっている。
このデータドライバ回路5において、シフトレジスタ21は、データラインS1〜Snの各々に対応した複数の出力段を備え、図2に示すコントロール回路2より入力されるスタートパルスSP1をクロックCLK1に同期して転送し、各出力段からタイミング信号として出力する。データラッチ22は、データラインS1〜Snの各々に対応した複数のフリップフロップ(FF)25から構成されており、シフトレジスタ21からの対応するタイミング信号により、画像データ信号SDAを保持する。ラインラッチ23は、ラッチパルスLPにより、データラッチ22の各フリップフロップ25に保持された1ライン分の画像データ信号SDAを、データラインS1〜Snの各々に対応したデジタルデータ出力ラインD1,D2,…,Dnを通して電圧/電流変換回路24に転送する。
電圧/電流変換回路24は、後述するように、構成の最小単位であるDCC回路を各データラインSj(j=1,2,…,n)に対して1つずつ備えている。この電圧/電流変換回路24は、基準電流Istdの電流値を記憶し、(1)ラインラッチ23から入力されるデータ信号SDA(デジタル画像データ信号)を、記憶した電流値の信号に変換して駆動電流としてデータラインSjに出力する状態、あるいは(2)記憶した電流値の駆動電流をデータラインSjに出力しない(画素回路Aijには電流値Ioffが記憶され、画素回路Aijの電気光学素子が非発光状態となる)状態の2つの動作状態をとる。電圧/電流変換回路24が、上記の(1)の状態(画素へデータを送信している状態)にある期間が非ブランキング走査期間(画像データに応じて発光信号または非発光信号を画素へ送信する期間)であり、上記の(2)の状態にある期間がブランキング走査期間(画像データに関係なく非発光信号を画素へ送信する期間)である。上記の基準電流Istdは、基準電流源6から基準電流信号ラインSCLを介して電圧/電流変換回路24に供給される。また、電圧/電流変換回路24は、入力されたスタートパルスSP2、クロック信号CLK2、セレクタ信号SELに対応するタイミングでブランキング走査期間に同期して、DCC回路のリフレッシュを行う機能を有している。ここで、DCC回路のリフレッシュとは、DCC回路へ基準電流Istdを流してDCC回路に記憶(保持)されている電流値を再設定する動作、言い換えると、DCC回路における電流値を記憶する部分(例えばキャパシタ)に対して基準電流Istdを書き込んで記憶させる動作を指す。
図1は、図4のデータドライバ回路のうち、電圧/電流変換回路24の内部構成を示している。
電圧/電流変換回路24は、電流値を記憶(保持)するための信号出力回路部分と、それら信号出力回路部分の電流記憶を制御するための回路部分とにより構成されている。図1に示すように、上記信号出力回路部分は、カレントコピア構造のDCC回路DC1〜DCnと疑似信号出力回路であるダミーDCC回路DCdとから成る。ダミーDCC回路DCdは、基準電流信号ラインSCLに接続されているが、発光信号をデータラインデータラインS1〜Snへ出力しないものである。ダミーDCC回路DCdは、基準電流信号ラインSCLから、あるいは基準電流信号ラインSCLへ、基準電流Istdが流れ得るように構成されていればよいが、ここでは、DCC回路DC1〜DCnと同等の構成を備えている。信号出力回路部分の電流記憶を制御するための回路部分は、シフトレジスタ31、タイミング回路32(タイミング回路TG1〜TGn)、およびダミーDCC回路用タイミング回路33(TGd)とから成る。タイミング回路TG1〜TGnとDCC回路DC1〜DCnとは、それぞれ、電流記憶信号ラインMS1〜MSnのそれぞれで接続されている。
タイミング回路TG1〜TGnは、所定期間(ブランキング走査期間)内のみ、DCC回路DC1〜DCnの少なくとも1つに基準電流Istdが流れて、保持された前記発光信号の電流値が再設定されるように、基準電流信号ラインSCLとDCC回路DC1〜DCnとの間の電流の流れを制御する第1の電流制御手段としての機能を有する。ダミーDCC回路用タイミング回路33は、DCC回路DC1〜DCnのいずれにおいても前記電流値の再設定が行われていない期間(非ブランキング走査期間)の少なくとも一部に、基準電流IstdがダミーDCC回路DCdに流れるように、基準電流信号ラインSCLとダミーDCC回路DCdとの間の電流の流れを制御する第2の電流制御手段としての機能を有する。ダミーDCC回路用タイミング回路33は、DCC回路DC1〜DCnのいずれにおいても前記電流値の再設定が行われていない期間じゅう常に、基準電流IstdがダミーDCC回路DCdへ流れるように、基準電流信号ラインSCLからダミーDCC回路DCdへの電流の流れを制御するものである。
ダミーDCC回路DCdには、例えば電源ラインVSSからダミーDCC回路DCdへダミーDCC回路DCdの電流出力動作をアクティブにする信号を入力するためのデジタルデータ出力ラインDdが接続されている。ダミーDCC回路用タイミング回路33とダミーDCC回路DCdとは、電流記憶信号ラインMSdで接続されている。ダミーDCC回路DCdには、図示しない電源ラインVSSに接続されたデータラインSdが接続されている。
なお、以降の説明では、DCC回路DC1〜DCnに共通して述べる場合、DCC回路DCと称する。また、タイミング回路TG1〜TGnに共通して述べる場合、タイミング回路TGと称する。また、データラインS1〜Snに共通して述べる場合、データラインSと称する。また、電流記憶信号ラインMS1〜MSnに共通して述べる場合、電流記憶信号ラインMSと称する。さらに、デジタルデータ出力ラインD1〜Dnに共通して述べる場合、デジタルデータ出力ラインDjと称する。
図1に示す電圧/電流変換回路24において、シフトレジスタ31は、入力されたスタートパルスSP2をクロックCLK2に同期して転送し、対応するタイミングで後述の1フィールド期間に同期して、タイミング回路TG1〜TGnに対応したn個の出力段の各々からDCC回路DCでの電流記憶をアクティブに制御する信号(電流記憶制御パルス;図8に示す電流記憶信号MS1〜MS176のHighレベルの部分)を出力する。ここでは、例としてシフトレジスタ31の出力やセレクタ信号SELがHighレベルの場合に、DCC回路DCでの電流記憶がアクティブになるものとする。
さらに、タイミング回路TG(タイミング回路32)は、このシフトレジスタ31の出力信号とセレクタ信号SELとの論理合成により、シフトレジスタ31の出力信号がHighレベルで、かつ、セレクタ信号SELがHighレベルであるときにのみ、電流記憶制御パルスを電流記憶信号ラインMSへと出力するように構成されている。一方、ダミーDCC回路用タイミング回路Tdは、シフトレジスタ31の出力に関係なく、セレクタ信号SELがLowのときにのみ、電流記憶制御パルスを電流記憶信号ラインMSdへと出力する構成である。
なお、DCC回路DC1〜DCnの出力ラインIout1〜Ioutnは、それぞれデータラインS1〜Snに接続されている。また、DCC回路DC1〜DCnは、それぞれ基準電流信号ラインSCL1〜SCLnを介して、基準電流IstdをDCC回路DC1〜DCnに流すための1本の基準電流信号ラインSCLに対し並列に接続されるとともに、それぞれデジタルデータ出力ラインD1〜Dnを介してラインラッチ23に接続されている。
上記のように構成される表示装置では、初期化TFTを用いることなくブランキング走査期間を設けた時間分割階調駆動方式において、ブランキング走査を利用してDCC回路DCから画素回路Aijへの画像データ信号の送信と、DCC回路DCのリフレッシュ動作とを1フレーム期間内に断続的に行う駆動方法を用いている。
また、本実施形態では、電気光学素子の状態は、発光もしくは非発光の2状態のみとし、発光状態では基準電流Istdが電気光学素子に流れ、非発光状態ではオフ電流Ioffが電気光学素子に流れるものとする。したがって、データドライバ回路5に用いるDCC回路DCは、この2つの状態を指示するデジタル信号データを2つの電流値に変換する1ビット型であればよい。そのため、本実施形態では、図1に示すように、1本のデータラインS当たりにカレントコピア構造のDCC回路DCを1つ備える1ビット型の変換回路でDCC回路DCを構成する。
なお、本実施形態の表示装置においてnビット階調表示を実現する時間分割階調駆動方法は、入力される6ビット階調表示の画像データ信号(sin)らブランキング信号(画像データにかかわらず電気光学素子の非発光を指示する信号)を含むa個の指示データ(a>n)をコントロール回路2で作成し、各画素回路Aijの表示状態を1フレーム期間でa回変化させ、変化させるそれぞれのa個の期間(選択期間)で、発光信号(基準電流Istd)または非発光信号(オフ電流Ioff)をデータラインSへ出力し、電気光学素子の発光および非発光のいずれか1つの状態を表示することで、nビット階調表示を行う。
上記の多重分割、ブランキング走査を特徴とする時間分割階調駆動方法については、本件出願人が先に出願した特願2003−209331に詳細な説明があるが、ここでも詳しく説明する。
ここで、本実施形態の表示装置において6ビット階調表示を実現する時間分割階調駆動方法について、a=8とした場合を例を挙げて説明する。この時分割階調駆動方法は、入力される6ビット階調表示の画像データ信号からブランキング信号を含む8個の指示データをコントロール回路2で作成し、各画素回路Aijの表示状態を1フレーム期間で8回変化させ、変化させるそれぞれのa個の期間(選択期間)で、発光信号(基準電流Istd)または非発光信号(オフ電流Ioff)をデータラインSへ出力し、電気光学素子の発光および非発光のいずれか1つの状態を表示することで、6ビット階調表示を行う。
この駆動方法では、各指示データの重みをビット番号1,2,3,4,5,6,7,B(Bはブランキング信号であり、重み0のビットに相当する)に対して1:2:4:7:14:14:21:0の重みの比を有する8個の指示データを用いる。そして、各画素回路Aijに表示するビット番号の順番を7,6,1,2,3,4,5,Bとする。
図5は、このような設定を前提として、走査ラインが8本の場合の走査ライン毎の選択タイミングを示した走査シーケンス図であり、横軸が時間を表し、縦軸が走査ラインL1〜L8を表している。また、時間軸において1フレーム期間通して示すのが“選択期間”であり、8選択期間を1単位時間として示すのが“単位時間”であり、その単位時間を構成する8選択期間を個別に示すのが“占有期間”である。また、走査ラインL1〜L8の欄にビット番号1〜7およびBのいずれかが示されている部分が各走査ラインの選択タイミングである。このビット番号が示されたタイミングで、各走査ラインLiに対応した画素回路Aijを選択し、ビット番号に対応した画像データ信号を送信している。
すなわち、走査ラインL1に着目すると、選択期間1でビット番号7を表示し、選択期間22でビット番号6を表示し、選択期間36でビット番号1を表示し、選択期間37でビット番号2を表示し、選択期間39でビット番号3を表示し、選択期間43でビット番号4を表示し、選択期間50でビット番号5を表示し、選択期間64でビット番号Bを表示している。また、走査ラインL2以降では、走査ラインL1のタイミングを8選択期間ずつ遅らせて表示している。
この結果、各ビット番号の表示順番は7,6,1,2,3,4,5,Bの順番となり、その表示期間の長さは、各ビット番号の重みに相当する21,14,1,2,4,7,14,0となる。
このように、表示ビット数が8個の場合、走査ライン数が8個であれば、1フレーム期間は64選択期間となり、ビット番号Bが表示されるブランキングに使われる時間が1選択時間で済む駆動タイミングを作ることができる。また、何れかの走査ラインの何れかのビット番号が必ず選択され、かつすべての選択期間が使われるように駆動することができる。
表1は、以上の情報を、ビット番号、そのビットの重み、各ビット番号が出現する占有期間の位置、その表示に必要な選択期間の数、表示パネル1の走査線数、ビット数、および1フレーム期間の選択期間数として示している。
この表1では、例えば、最初に表示するビット番号7を占有期間0に配置し、そのビット7の重み21をビット数8で除してその余りである5を求め、次のビット6が占有期間0から5つ目の占有期間5に配置されることを黒丸で示し、次いでビット6の重み14をビット数8で除してその余りである6を求め、次のビット1が占有期間5から6つ目の占有期間3に配置されることを黒丸で示している。このように、本駆動方法では、この表に示すように、各ビットの重みをビット数8で除したときの余りに基づいて次のビットの占有期間を設定している。
そして、指示データが8個(ビット番号1〜7,Bに対応)のとき、占有期間は0〜7迄の総てが1回ずつ使われるようにビット番号の出現順番およびビットの重みを決めていけば、本実施形態で用いる駆動方法のタイミングを作成することができる。
このフォーマットに従い、走査ライン数が220本の場合に64階調表示を行うタイミングを表2に示す。この場合、最小ビットの表示期間を27選択期間とすることで、発光期間を27×63=1701選択期間とし、1フレーム期間(220×8=1760選択期間)に占める発光期間の比率を96.65%とすることができる。
また、本駆動方法では、特に上位ビットの重みに大きな差がないが(14から21など)、このことは動画偽輪郭の防止などの観点からは望ましいことであり、表示装置として動作上の支障はない。
このような回路構成と入力信号による図1に示す電圧/電流変換回路24のより詳細な動作は、以下の通りである。
まず、DCC回路DCの詳細な構成について、DCC回路DCnを例に挙げて説明する。カレントコピア構造のDCC回路DCnは、多結晶シリコンまたはCGシリコンを用いたTFTからなるトランジスタSW1〜SW3,SWDと、キャパシタC1とを有している。なお、他のDCC回路DCも、DCC回路DCnと同一の回路構成を有している。
トランジスタSWD1とトランジスタSW3とは、電源ラインVSS(グランドラインGND)との間に直列に接続されている。つまり、第1トランジスタ(電流記憶用トランジスタ)としてのトランジスタSWD1の入力端子は電源ラインVSSに接続されている。また、この電源ラインVSSとトランジスタSWD1のゲート端子(ゲート電極)との間には、キャパシタC1が接続されている。第2トランジスタ(基準電流用トランジスタ)としてのトランジスタSW2は、入力端子(ソース電極またはドレイン電極)が基準電流信号ラインSCLに接続され、出力端子(ドレイン電極またはソース電極)がトランジスタSWD1のゲート端子に接続されている。
トランジスタSW3のゲート端子は、デジタルデータ出力ラインDjを介してラインラッチ23に接続されている。トランジスタSW1は、入力端子が基準電流信号ラインSCLに接続され、出力端子がトランジスタSWD1とトランジスタSW3との接続点に接続されている。トランジスタSW1・SW2のゲート端子には、ともに電流記憶信号ラインMSjが接続される。
このように構成されるDCC回路DCjは、トランジスタSWD1に電流(基準電流)が流れるときのトランジスタSWD1のゲート電圧をトランジスタSW2のゲート電圧の制御により制御することによりキャパシタC1に保持し、保持された電圧によりトランジスタSWD1に流れる電流を制御する。トランジスタSW2のゲート電圧の制御は、タイミング回路32によって行われる。
また、ダミーDCC回路DCdも、図1に示すようにDCC回路DCnと同一の回路構成とすることが好ましい。ダミーDCC回路DCdは、電源ラインVSSに接続された入力端子(ソース電極)を有する第1ダミートランジスタ(ダミー電流記憶用トランジスタ)としてのトランジスタSWD1dと、基準電流信号ラインSCLに接続された入力端子(ソース電極)、およびトランジスタSWD1dのゲート電極に接続された出力端子(ドレイン電極)を有する第2ダミートランジスタ(ダミー基準電流用トランジスタ)としてのトランジスタSW2dと、トランジスタSW1d・SW3dと、トランジスタSWD1dのゲート電極と入力端子(ソース電極)との間に接続されたダミーキャパシタとしてのキャパシタC1dと備え、トランジスタSW2dのゲート電極の電位がタイミング回路33によって制御されるようになっている。
DCC回路DCは、上記のようなカレントコピア構造だけでなく、次のようなカレントミラー構造であってもよい。図6は、カレントミラー構造のDCC回路DCを示している。
このDCC回路DCは、多結晶シリコンまたはCGシリコンを用いたTFTからなるトランジスタSW91〜SW94,SWD91と、キャパシタC91とを有している。第3トランジスタ(電流記憶用トランジスタ)としてのトランジスタSW94およびトランジスタSWD91は、ゲート端子が互いに接続されるとともに、入力端子(ソース電極)が共通の電源ラインVSSに接続され、電源電圧poutが電源ラインVSSから入力端子(ソース電極)に供給されるようになっている。トランジスタSW94,SWD91の入力端子とゲート端子との間には、キャパシタC91が接続されている。第4トランジスタとしてのトランジスタSW92は、入出力端子(ソース電極およびドレイン電極)の一方がトランジスタSW94の出力端子に接続され、他方が基準電流信号ラインSCLjに接続されている。
トランジスタSW93のゲート端子は、デジタルデータ出力ラインDjを介してラインラッチ23に接続されている。第2トランジスタ(基準電流用トランジスタ)としてのトランジスタSW91は、入力端子(ソース電極)が基準電流信号ラインSCLに接続され、出力端子(ドレイン電極)がトランジスタSW94,SWD91のゲート端子に接続されている。トランジスタSW91,SW92のゲート端子には、電流記憶信号ラインMSjが接続されている。トランジスタSW92のゲート端子の電位がタイミング回路32によって制御されることで、トランジスタSWD1に流れる電流が制御される。
このように構成されるDCC回路DCでは、トランジスタSW94に流れる電流(基準電流)に応じた電圧を、トランジスタSW92のゲート電圧を制御することでキャパシタC91に保持し、保持された電圧によりトランジスタSWD91にトランジスタSW94に流れる電流と同じ電流値の電流を流す。
なお、図6に示すカレントミラー構造のDCC回路DCを用いた場合にも、ダミーDCC回路DCdは、DCC回路DCと同一の回路構成を備えることが好ましい。すなわち、ダミーDCC回路DCdは、図6に括弧書きで示すように、第3ダミートランジスタとしてのトランジスタSW94dと、基準電流信号ラインSCLjに接続された入力端子(ソース電極)、およびトランジスタSW94dのゲート電極に接続された出力端子(ドレイン電極)を有する第2ダミートランジスタ(ダミー基準電流用トランジスタ)としてのトランジスタSW91dと、トランジスタSW94dのゲート電極と接続されたゲート電極、および共通の電源ラインVSSに接続されていると共にトランジスタSW94dの入力端子(ソース電極)と接続されている入力端子(ソース電極)を有する第4ダミートランジスタ(ダミー電流記憶用トランジスタ)としてのトランジスタSW92d、トランジスタSW93d・SWD91と、トランジスタSW94dのゲート電極と入力端子(ソース電極)との間に接続されたダミーキャパシタとしてのキャパシタC91dとを備え、トランジスタSWD91dのゲート電極の電位がタイミング回路33によって制御されるようになっている。
このDCC回路DCの電流記憶動作は、前記のカレントコピア構造と異なるが、デジタルデータ出力ラインDjや電流記憶信号ラインMSjなどから入力する信号に対して、出力ラインIoutjから得られる出力結果はカレントコピア構造と同じである。したがって、ここでは、より詳細な動作についての説明を省略する。
ただし、画素回路Aijの構成と同様に、出力電流の精度はカレントコピア構造の方がよいと指摘されているため、本実施形態においては、より好ましいカレントコピア構造をDCC回路DCに用いた例について説明を行う。
また、図1において、それぞれのDCC回路DCを構成するトランジスタSW1〜SW3,SWD1は、対応するトランジスタ同士でゲート長やゲート幅などが統一されていることが望ましい。
これは、すべてのDCC回路DCにおいて、電流記憶および電流出力の特性を一致させることができるためである。また、このような構成とすることで、あるDCC回路DCの電流記憶動作を行っている時の基準電流信号ラインSCLの電位を、他のDCC回路DCの電流記憶動作を行っている時の基準電流信号ラインSCLの電位に近づけることができ、その結果、トランジスタSW2のソース−ドレイン間電圧を小さく抑えることができる。
同様にして、ダミーDCC回路DCdにおいても、これを構成するトランジスタSW1d〜SW3d,SWD1dは、それぞれトランジスタSW1〜SW3,SWD1と同等の構成とすることが望ましい。特に、電流記憶用かつ電流出力用のトランジスタであるトランジスタSWD1とトランジスタSWD1d、電流記憶用かつ電流出力用のトランジスタのゲート電位を保持するためのトランジスタであるトランジスタSW2とトランジスタSW2dは、同等の構成とすることが好ましい。
さらに、図6に示すカレントミラー型のDCC回路を用いた場合においても、同様に疑似信号出力回路であるダミーDCC回路の構成は、通常のDCC回路と同等の構成とすることが望ましい。特に、ダミーDCC回路DCdにおける電流出力用のトランジスタのゲート電位を保持するためのトランジスタSW91、および電流記憶用のトランジスタSW94は、通常のDCC回路DCにおける電流出力用のトランジスタのゲート電位を保持するためのトランジスタSW91d、および電流記憶用のトランジスタSW94dとそれぞれ同等の構成とすることが好ましい。
続いて、それぞれのDCC回路DCおよびダミーDCC回路DCdが、どのようなタイミングで電流記憶を行うか説明する。
本実施の形態において、DCC回路DCは、画素回路に電流を出力していない期間のみ、リフレッシュが可能である。前記の時間分割階調表示方式の駆動回路では、どのような画像信号が入力されたとしても、ブランキング走査期間のみ、どのDCC回路でも出力をしない。画素回路に電流を出力していない期間は、このブランキング走査期間に相当し、この期間においてDCC回路DCのリフレッシュが可能である。したがって、DCC回路でのリフレッシュ動作は断続的に行われるため、基準電流信号ラインSCLからいずれかのDCC回路DCへ電流が流れる期間は、例えば8個の指示データを用いる場合には、全期間の1/8の時間を占める、ブランキング走査が行われる期間(ブランキング走査期間)のみである。
上記のように、ブランキング走査期間に同期して、順次、DCC回路DCのリフレッシュ動作を行う駆動方法は以下のようになる。
セレクタ信号SELは、ブランキング走査期間を示す信号である。言い換えると、セレクタ信号SELは、Highレベルとなる期間がブランキング走査期間と同期されている。これによって、タイミング回路TGにより、シフトレジスタ31で指定されたDCC回路DCjにのみ、電流記憶制御パルスMSjを送信し、そのDCC回路DCjにリフレッシュ動作をさせるようにDCC回路DCを制御することが可能となる。反面、タイミング回路TGは、ブランキング走査期間以外の走査期間(非ブランキング走査期間)では、DCC回路DCのいずれも電流記憶の動作を行わないようにDCC回路DCを制御する。したがって、セレクタ信号がLowレベルとなる期間、すなわち非ブランキング走査期間では、基準電流信号ラインSCLからいずれのDCC回路DCにも電流を流すことがない。しかし、この非ブランキング走査期間では、前記のような論理回路のタイミング回路TGdから電流記憶制御パルス、すなわちリフレッシュ信号がダミーDCC回路DCdに送信される。したがって、ダミーDCC回路DCdにおいて電流記憶が可能な状態となるため、常時、いずれかのDCC回路DCもしくはダミーDCC回路Dcdが排他的に動作し、いずれか1つのDCC回路(DCC回路DCおよびダミーDCC回路Dcdのうちのいずれか1つ)に基準電流信号ラインSCLから電流が流れる状態とすることが可能となる。
また、ダミーDCC回路DCdは、信号を出力する必要はないため、本来、トランジスタSW3dは不要である。しかし、基準電流信号ラインSCLの電位をなるべく一定にするには、電流を流す経路の負荷を揃えることが望ましいため、本実施の形態のダミーDCC回路DCdにおいては、トランジスタSW3dを設置し、DCC回路DCと同一の回路構成としている。ただし、ダミーDCC回路DCdが信号を出力しないように制御しておく必要があるため、トランジスタSW3dのゲート電位は常にLowレベルとしておくことが必要である。トランジスタSW3dのゲート電位を常にLowレベルとしておく方法としては、例えば、デジタルデータ出力ラインDdを電源ラインVSSに接続することによって、トランジスタSW3dの動作を禁止する(トランジスタSW3dをオフ状態とする)方法がある。
図7(a)〜図7(c)は、上記のブランキング走査期間を設けた駆動方法における、電流値書き込み(リフレッシュ)、画素へのデータ送信それぞれのタイミングにおけるDCC回路DCとダミーDCC回路DCdの動作を示している。なお、ダミーDCC回路DCdでは、トランジスタSW3dのゲートおよび出力端子は、電源ラインVSSに接続している。これにより、ダミーDCC回路DCdの出力動作が禁止されている。
まず、図7(a)の状態は、あるブランキング走査期間、すなわちシフトレジスタ31から供給される電流記憶制御パルスにしたがって、DCC回路DCをリフレッシュする時の状態である。この状態では、各DCC回路DCには、基準電流源6から基準電流信号ラインSCLを通じて基準電流Istdが供給される。また、ブランキング走査期間であるため、ラインラッチ23の出力すなわちデジタルデータ出力ラインDjの電位がすべてLowとなり、DCC回路DCのトランジスタSW3が非導通状態となる。このため、データラインSにはDCC回路DCより一切電流が出力されない。
電圧/電流変換回路24は、ブランキング走査期間となる度にこのような状態となる。シフトレジスタ31から電流記憶信号ラインMSを介して各DCC回路DCに順次、Highレベルの電流記憶制御パルスが出力されると、基準電流Istdの電流値が各々のDCC回路DCのキャパシタC1に記憶される。これにより、複数のDCC回路DCで同時にトランジスタSW1,SW2が導通状態となることはない。図7(a)は、DCC回路DC1にHighレベルの電流記憶制御パルスが与えられた状態を示している。
また、どのブランキング走査期間においても、タイミング回路TGdからはLowレベルの信号が出力されるため、DCC回路DCのいずれかと、ダミーDCC回路DCdとが同時に、リフレッシュされることはない。したがって、ブランキング走査期間では、ダミーDCC回路DCdのリフレッシュ動作は禁止される。
このような状態において、複数のDCC回路DCおよびダミーDCC回路DCdのいずれか1つに所定の基準電流Istdを流していることで、基準電流信号ラインSCLの電位がトランジスタSW1のゲート電位に近い電位となっている。また、複数のDCC回路DCおよびダミーDCC回路DCdの間で、各DCC回路(DCまたはDcd)を構成するトランジスタの動作特性がなるべく一致するように、各DCC回路(DCまたはDcd)を構成するトランジスタの仕様を統一している。これによって、基準電流信号ラインSCLの電位は、複数のDCC回路DCおよびダミーDCC回路DCdのいずれにおけるSW1のゲート電位と比較しても非常に近い値となっている。したがって、各DCC回路DCのトランジスタSW2のソース−ドレイン間電圧は非常に小さい値となるため、トランジスタSW2における漏れ電流の発生を小さく抑えることができる。
図7(b)の状態は、ブランキング信号以外の信号、すなわち画像データが画素回路Aijへ送信される期間(非ブランキング走査期間)の状態である。この状態では、ラインラッチ23に転送されたデジタル画像データにしたがって、それぞれ対応するデジタルデータ出力ラインDjの電位を“High”もしくは“Low”にする。これにより、デジタルデータ出力ラインDjの電位に応じて、電気光学素子が発光状態となる基準電流Istdが各データラインSに出力されるか、あるいは、各データラインSに電流が出力されず、それゆえ電気光学素子が非発光状態となるオフ電流Ioffが画素回路Aijに記憶される。すなわち、デジタルデータ出力ラインDjの電位が“High”のときには各データラインSに基準電流Istdが出力される一方、デジタルデータ出力ラインDjの電位が“Low”のときには各データラインSに基準電流Istdが出力されず、オフ電流Ioffが画素回路Aijに記憶される。
この非ブランキング走査期間では、セレクタ信号SELがLowレベルであるため、DCC回路DCのいずれもリフレッシュ動作は禁止されている。しかし、電流記憶信号ラインMSdには、タイミング回路TGdを介してHighレベルの信号が印加される。そのため、非ブランキング走査期間では、どのようなタイミングにおいても、ダミーDCC回路DCdは、リフレッシュされることになる。
図7(c)の状態は、図7(b)と同じく、画素回路Aijへ画像データを送信する非ブランキング走査期間の状態である。ここで、それぞれのDCC回路DCにおいて、トランジスタSW2のソース−ドレイン間電圧Vsdは、それぞれのDCC回路DCにおけるキャパシタC1と基準電流信号ラインSCLとの電位差である。
ここでは、ダミーDCC回路DCdにより所定の基準電流Istdを基準電流信号ラインSCLに流していることで、基準電流信号ラインSCLの電位がトランジスタSW1dのゲート電位に近い電位となっている。また、ダミーDCC回路DCdを構成するトランジスタも、各DCC回路DCを構成するトランジスタと同等の構成としている。これにより、基準電流信号ラインSCLの電位は、どのDCC回路DCにおけるトランジスタSW1のゲート電位にも非常に近い値となっている。したがって、各DCC回路DCのトランジスタSW2のソース−ドレイン間電圧は非常に小さい値となるため、トランジスタSW2における漏れ電流の発生を小さく抑えることができる。
上記駆動方式を用いた表示装置において、例えば表示品位がQCIF(Quarter Common Intermediate Format)クラス(データライン176本×走査ライン220本)、指示データの分割数を8、各指示データの重みをビット番号1,2,3,4,5,6,7,B(Bはブランキング信号であり、重み0のビットに相当する)に対して1:2:4:7:14:14:21:0の重みの比を有する8個の指示データを用いるとする。このときの図1に示す電圧/電流変換回路24を備える表示装置の駆動タイミングチャートを図8に示す。
図8において、縦軸の単位時間と占有時間は、それぞれ1フィールドとそのサブフィールドとする。1フィールド期間は、1フレーム期間を走査ライン数で割ったものであり、その1フレーム期間を指示データ数で割ったものが1サブフレーム期間となる。したがって、本実施の形態にて示す駆動回路の駆動タイミングでは、1フィールドは8サブフィールドからなる。なお、それぞれのサブフィールドが、各指示データのビット番号1,2,3,4,5,6,7,Bのいずれか1つのビットを担当する。各サブフィールドでは、それに対応するビット番号のビットのデータを電圧/電流変換回路24が画素回路に送信する。
なお、上記表示装置におけるDCC回路のリフレッシュ動作や画素回路の書き込みのための動作は、本件出願人が先に出願した特願2003−209331に詳細な説明があるが、ここでも詳しく説明する。
図8において、横軸は時間を示し、縦軸の単位時間と占有時間とは、図5に示した単位時間と占有期間と同じ意味を示している。また、縦軸の指示データは、それぞれの占有期間で選択されている走査ラインGへ与えられる指示データを示す。また、縦軸のラインラッチ出力は、データラッチ22の出力がラインラッチ23に転送されて、ラインラッチ23の出力として電圧/電流変換回路24に与えられる状態を示す。また、縦軸の出力ラインは、ラインラッチ出力にしたがって、DCC回路DCから出力ラインIout1〜Iout176へ出力される電流の状態を示し、縦軸のシフトレジスタ出力は、DCC回路DCのリフレッシュを指示するための、電流記憶信号ラインMS1〜MS176に出力される電流記憶制御パルスの状態が示されている。
図8において、いずれの占有期間“1”〜“7”においても、画像データによって高電位あるいは低電位のどちらかがラインラッチ出力に現れるが、占有期間“8”における指示データBに対してはブランキング走査が行われるため、ラインラッチ出力はすべて低電位である。したがって、占有時間“1”〜“7”においては出力ラインIout1〜Iout176に、DCC回路DCから発光信号、もしくは非発光信号のいずれかが出力される状態にあるが、占有期間“8”においてはいずれも出力ラインIout1〜Iout176にはDCC回路DCから非発光信号が出力される状態にある。
上記の駆動方法を用いる表示装置は、220本の走査ラインG1〜G220と、176個のDCCDC1〜DC176とを有している。このため、タイミング回路32からは、DCC回路DCに与えられる電流記憶制御パルスを、単位時間“1”〜“176”の占有期間“8”に同期して、1個ずつ順次DCC回路DCがリフレッシュされるようなタイミングで出力することで、176個すべてのDCC回路DCを1フレーム期間でリフレッシュすることができる。また、残りの単位時間“177”〜“220”ではDCC回路DCをリフレッシュせず、1フレーム期間終了後、再び単位時間“1”の占有期間“8”から電流記憶信号ラインMS1への電流記憶制御パルスの送信を開始する。
このように、本実施形態の駆動方法を用いてDCC回路DCを1フレーム期間の間にリフレッシュと画像データ信号の出力とを連続して行う場合、走査ライン数がDCC回路DCの個数(データライン数)より多い表示装置においては、次のようにリフレッシュが行なわれる。つまり、ブランキング走査の度に1個ずつDCC回路DCを順次リフレッシュするタイミングをシフトレジスタ31で生成し、各DCC回路DCへ送信することによって、データラインSの1本当たりに接続されるDCC回路DCが1個の構成においても、1フレーム期間にすべてのDCC回路DCをリフレッシュすることができる。
DCC回路DCの個数をbとすると、上記のb=1の場合、走査ラインの本数よりデータラインの本数が少ない構成では1フレーム期間内で、逆にデータラインの本数が多い構成では複数フレーム期間に亘って、DCC回路DCの電流値を再設定する手段を採る必要がある。したがって、例えば駆動回路の設計上、電流値の保持期間が1フレーム期間に対して十分に長く確保できないとすると、b=1の構成の実施が困難になる。ただし、DCC回路DCとその電流値を再設定するタイミング信号を生成する回路は1対1で対応する規模でよい。したがって、DCC回路DCの電流値を保持する期間が十分に長い場合、b=1の場合を適用することで、DCC回路DCの電流値を再設定するための回路は比較的小さな規模で本発明を実施することができる。
また、例えば、上記の駆動方法を用いた表示装置の表示品位がVGA(640(データライン数)×480(走査ライン数))であり、フレーム周波数が60Hzである場合、上記の8ビットの指示データを用いた時間分割表示方式で駆動させる。この場合、1Hの期間はおよそ1/(60×480×8)=4.3μ秒程度になる。
この1水平走査期間のすべてあるいは一部を用いてある走査ラインGを選択し、データドライバ回路5から画像データ信号を画素回路Aijへ書き込むため、VGAクラスの表示装置に上記の駆動方法を用いた場合、ある指示データをDCC回路DCから出力する時間は少なくとも4.3マイクロ秒以内でなければならない。したがって、ブランキング走査期間も4.3マイクロ秒以内に制限される。
ここで、データライン数(n)はVGAクラスの表示装置のために640を想定しており、DCC回路DCも同数必要とする。しかし、前述の通り、1フレーム期間においてブランキング走査の回数は走査ライン数(m)480本と同数しかない。
1水平走査期間の時間HとDCCのリフレッシュに必要な時間Tとを比較すると、時間Hの方が長く(H>TかつH≧bT)、少なくとも2つのDCC回路DCがあれば十分リフレッシュが可能である。よって、タイミング回路32の出力タイミングを調整し、ブランキング走査の度にDCC回路DCをb(bは2以上の整数)個(ここでは、b=2)ずつ順次リフレッシュすることで、1フレーム期間全体では480(m)×2(b)=960(≧n)個までのDCC回路DCをリフレッシュできる。これにより、m≧n/bの関係が成り立つことがわかる。
次に、本発明における効果を説明するために必要となる、DCC回路DCおよびダミーDCC回路DCdのリフレッシュ動作と、基準電流信号ラインSCLとに関して説明する。
図8において、横軸は時間を示し、縦軸の指示データは、それぞれのサブフィールドで選択されている走査ラインGへ与えられる指示データを示す。縦軸のラインラッチ出力は、データラッチ22の出力がラインラッチ23に転送されて、ラインラッチ23の出力として電圧/電流変換回路24に与えられる状態を示す。縦軸の出力ラインは、ラインラッチ出力にしたがって、DCC回路DCから出力ラインIout1〜Iout176へ出力される電流の状態を示す。
さらに、シフトレジスタ31の出力信号とセレクタ信号SELとの論理合成によって、DCC回路DCのリフレッシュを指示するための、電流記憶信号ラインMS1〜MS176に出力される電流記憶制御信号MS1〜MS176の状態が示されている。なお、上記駆動回路において、例えば前記のタイミング回路TGをAND回路とすることで、シフトレジスタ31の出力信号とセレクタ信号SELとの論理積演算により図8における電流記憶信号MS1〜MS176が生成される。
一方、前記のタイミング回路TGdは、例えばNOT回路とする。これにより、セレクタ信号SELの否定演算により図8におけるダミーDCC回路DCdのリフレッシュ(電流記憶)を指示する電流記憶制御パルスMSdが生成される。
図8において、いずれのサブフィールド“1”〜“7”においても、画像データによってHighレベルあるいはLowレベルのどちらかの電位がラインラッチ23の出力に現れる。一方、サブフィールド“8”における指示データBに対してはブランキング走査が行われるため、ラインラッチ23の出力電圧はすべてLowレベルとなる。したがって、サブフィールド“1”〜“7”においては、画像データに応じて発光信号および非発光信号のいずれかがDCC回路DCから出力ラインIout1〜Iout176に出力される状態にあるが、サブフィールド“8”においては、画像データに係わらず常に非発光信号がDCC回路DCから出力ラインIout1〜Iout176に出力される状態にある。
上記の駆動方法を用いる表示装置は、220本の走査ラインG1〜G220と、176個のDCCDC1〜DC176とを有している。このため、シフトレジスタ31の出力とセレクタ信号SELとを図8のように設定することによって、DCC回路DCに与えられる電流記憶制御パルスを、フィールド“1”〜“176”のサブフィールド“8”に同期して、1個ずつ順次、DCC回路DCがリフレッシュされるようなタイミングで出力することで、176個すべてのDCC回路DCを1フレーム期間でリフレッシュすることができる。また、残りのフィールド“177”〜“220”ではDCC回路DCをリフレッシュせず、1フレーム期間終了後、再びフィールド“1”のサブフィールド“8”から電流記憶信号ラインMS1への電流記憶制御パルスの送信を開始する。
また、サブフィールド“1”〜“7”においては、いずれのフィールドにおいても、電流記憶信号ラインMS1〜MS176に出力される電流記憶制御信号(リフレッシュ信号)MS1〜MS176がLowレベルとなるが、電流記憶信号ラインMSdに出力される電流記憶制御信号は常にHighレベルとなる。この期間では、ダミーDCC回路DCdのみがリフレッシュされる。したがって、非ブランキング走査期間、すなわちDCC回路DCのいずれにおいてもリフレッシュが行われない期間においても、基準電流信号ラインSCLに所定の基準電流Istdを流すことができる。
さらに、ダミーDCC回路DCdは、その構成要素であるトランジスタの仕様をDCC回路DCを構成するトランジスタと同等にすることによって、DCC回路DCに基準電流を流すための基準電流信号ラインの電位を一定にすることが可能となる。実際にはトランジスタの特性のばらつきにより、ダミーDCC回路DCdの特性とDCC回路DCの特性とを完全に等しくすることは困難であるため、基準電流信号ラインの電位を完全に一定にすることは困難である。しかしながら、基準電流信号線SCLの電位を他のDCC回路DCのリフレッシュ動作時に近づけることができる。したがって、DCC回路DCのいずれの回路においても、電流記憶および電流出力用のトランジスタSWD1のゲート電位を保持するキャパシタC1からの電荷の流出を低く抑えることが可能となる。したがって、DCC回路DCのリフレッシュ期間内での電流値の変動を低く抑えることが期待できる。
また、このようにキャパシタC1からの電荷の流出を低く抑えることが可能となれば、リフレッシュ期間の長さを短くすることなく(同じリフレッシュ期間の長さのままで)、キャパシタC1のキャパシタンスを小さくすることができる。そのため、回路の小型化が期待できる。また、キャパシタC1に電荷量を保持できる期間が延びることで、キャパシタC1のキャパシタンスを大きくすることなく(同じ回路構成のままで)相対的にリフレッシュ期間を延長することができるという効果がある。したがって、リフレッシュ動作の制御を行う回路の動作周波数を低減することが可能となり、駆動回路の消費電力を低減する効果が期待できる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図2および図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態では、電気光学素子の表示状態を1フレーム期間でM回(Mは1以上の整数)変化させ、上記のDCC回路DCからの電流出力で各R個(Rは2以上の整数)の表示状態のいずれかに設定することで、N階調表示(N≦RM)を行う表示装置のうち、M=1となる表示装置、すなわち一般的なアナログ駆動方式において前記の駆動方法を用いた表示装置の構成例を示す。
本実施形態の表示装置は、基本的には、図2に示す実施の形態1の表示装置と同じ構成であるが、1ビットの電流出力を行う電圧/電流変換回路を含むデータドライバ回路5に代えて、kビット(k>1;2k=R)の電流出力を行うことが可能な複数のDCC回路を含むデータドライバ回路8を備えている。具体的には、本実施形態の表示装置は、図2に括弧書きで示すように、実施の形態1の表示装置と比べ、個々の電気光学素子をR個の異なる階調で表示するアナログ駆動が可能となるように、基準電流源6に代えて、R個の異なる電流を出力する構成の基準電流源9(R個の電流源)を備え、データドライバ回路5に代えて、各出力段(DCC回路)がR個の異なる電流値を出力できる構成のデータドライバ回路8を備えている点が異なる。データドライバ回路8は、図4に括弧書きで示すように、データラッチ22に代えてデータラッチ72を備え、ラインラッチ23に代えてラインラッチ73を備え、電圧/電流変換回路24に代えて電圧/電流変換回路74を備えている以外は、データドライバ回路5と同一の構成を備えている。
電圧/電流変換回路74は、例えば、ある基準電流Istdを記憶する、1ビットのDCC回路DCの出力と、基準電流をIstdの2倍、4倍、8倍…、2k-1倍とした(R−1)個のDCC回路の出力とを組み合わせることで、全体として異なるR個の電流値を出力できる。仮に、k=6(すなわち6ビット)とした場合は、出力は26=64通りが得られる。また、この場合、それぞれの電流値を記憶したnビット目のDCC回路DCの出力を決定するデジタル画像データは、ビットごとのデータラッチ72およびラインラッチ73より供給される。したがって、6ビットの電流出力を得る構成のデータドライバ回路8は、図2におけるデータドライバ回路5を、6ビットのデジタル画像データを入力し、6ビットそれぞれのデータラッチ72、ラインラッチ73および電圧/電流変換回路74を有し、それぞれの出力を1つにまとめる回路に変更したものである。
このような回路構成をとる本実施形態として、電圧/電流変換回路74の構成例を図14に示す。図14に示す電圧/電流変換回路74は、実施の形態1にて示した1ビットの電流出力を得る構成の電圧/電流変換回路24を基に、上記の6ビットの電流出力が得られるようにラインラッチ、DCC回路などの構成、接続数を変更したものである。電圧/電流変換回路74は、1つのデータラインSj(jは1〜nの整数の何れか)ごとに、基準電流Istd1を流す基準電流線Istd1に接続されたDCC回路DCj1、基準電流Istd2(Istd2=2×Istd1)を流す基準電流線Istd2に接続されたDCC回路DCj2、基準電流Istd3(Istd3=4×Istd1)を流す基準電流線Istd3に接続されたDCC回路DCj3、基準電流Istd4(Istd4=8×Istd1)を流す基準電流線Istd4に接続されたDCC回路DCj4、基準電流Istd5(Istd5=16×Istd1)を流す基準電流線Istd5に接続されたDCC回路DCj5、基準電流Istd6(Istd6=32×Istd1)を流す基準電流線Istd6に接続されたDCC回路DCj6の6つのDCC回路を備えている。
図14の回路構成において、ある1つの基準電流線Istdp(pは1〜6の整数の何れか)に接続されているn個のDCC回路DC1p、DC2p、・・・、DCnpのみに着目すれば、基本的な動作は図1の回路構成の場合と同じ動作を行う。例えば、基準電流線Istd1に接続されるDCC回路DC11、DC21、・・・、DCn1では、所定期間(ブランキング走査期間)内にタイミング回路TG1〜TGnにより少なくとも1つのDCC回路に基準電流Istd1が流れて電流値の設定が行われる。また、前記電流値の設定が行われていない期間の少なくとも一部に、ダミーDCC回路用タイミング回路TGd1よりDCC回路DCd1に基準電流線Istd1より基準電流線Istd1が流れるように制御されている。同様にして、基準電流線Istd2〜Istd6までに接続されているそれぞれのDCC回路DC12〜DC16、DC22〜DC26、・・・、DCn2〜DCn6においても、電流値の設定が行われ、前記電流値の設定が行われていない期間の少なくとも一部に、ダミーDCC回路用タイミング回路TGd2〜TGd6よりDCC回路DCd2〜DCd6に基準電流線Istd1より基準電流線Istd1が流れる。次に、電流信号をデータラインS1〜Snへ出力する際には、それぞれの電流値(基準電流Istd1〜Istd6)をどのように組み合わせるかを決定するため、6ビットの出力に対応したラインラッチ73より、各ビットに対応する6種類の電流(基準電流Istd1〜Istd6)を各々出力するかどうかを示す信号がデジタルデータ出力ラインD11〜Dn6のそれぞれに出力される。これによって、例えば、データラインS1に出力される電流値は、デジタルデータ出力ラインD11〜D16の信号によって決定され、デジタルデータ出力ラインD11〜D16のすべてによって電流値を出力するように指示された場合にはIout11+Iout12+Iout13+Iout14+Iout15+Iout16、デジタルデータ出力ラインD11とD16のみが電流値を出力するように指示した場合にはIout11+Iout16となる。このように、ラインラッチ73からの指示によって、各DCC回路からの出力の組み合わせによって、26通りの電流値を各データラインSj(jは1〜nの整数の何れか)に出力することができる。なお、図14に示すように、DCC回路DC11〜DCn6の回路構成は、電圧/電流変換回路24のDCC回路DC1〜DCnの回路構成と同一であり、ダミーDCC回路DCd1〜DCd6の回路構成は、電圧/電流変換回路24のDCC回路DCdの回路構成と同一である。
また、上記表示装置は、上記の特徴を備えているならば、電圧/電流変換回路およびその周辺回路がどのような構成であっても構わない。例えば、図10および図11に示した、特許文献1(特開2003−195812公報)にて開示された回路構成であっても構わない。本実施の形態においては、上記k=6の場合の電圧/電流変換回路の組み合わせを行った回路を用いることとする。
また、本実施形態のアナログ駆動方式は、ある走査ラインGiを選択している時間である1水平走査期間を分割し、前半をブランキング走査期間、すなわちデータラインSとデータドライバ回路5の出力トランジスタとを非導通状態としてDCC回路DCのリフレッシュに充てる期間とし、後半を画素回路Aijへの画像データ信号を出力する期間としている。すなわち、本来、アナログ駆動方式では、1フレーム期間には画像データ信号を送信する1回しか走査が行われないことに対し、本実施形態では、その画像データ信号の走査期間を2分割し、ブランキング信号と画像データ信号とを連続して送信することで、連続する2回の走査が行われているのと同じ状態とする。なお、ブランキング走査期間と通常の走査期間は、どちらが先であっても構わないが、本実施の形態では前半をブランキング走査期間とする。また、ここで、ブランキング信号を送信するとは、前記信号出力回路より信号の出力を停止することを指すものとする。
上記駆動方式を用いた表示装置において、例えば表示品位がQCIFクラス(データライン176×走査ライン220)の表示パネルを駆動させたときの駆動タイミングチャートを図9に示す。
図9において、それぞれのビットに対応するラインラッチ23から、デジタル画像データD1〜D176が出力され、電圧/電流変換部74を経て、6ビットのアナログ電流信号となって画素回路へと送信される。このとき、通常はある1つの水平期間(1H)はすべてこのアナログ電流信号の送信に使われる。しかし、図9においては、1Hの前半はデジタル画像データを必ずLowレベルとするように制御されている。したがって、いずれの1H期間においても、その前半では電圧/電流変換部74の出力はoffであり、リフレッシュ動作が可能な状態となっている。この期間を利用して、電流記憶信号ラインMSjに順次リフレッシュパルスを送信することで、各DCC回路DCのリフレッシュが可能となる。ただし、上記の通り、本実施形態において、ある1本のデータラインSjに電流信号を出力するDCC回路DCjは、異なる電流を記憶する6個のDCC回路から成っており、それぞれは異なる基準電流信号ライン(流れる基準電流の電流値が異なる)に接続されている。これにより、DCC回路DCjを構成する6個のDCC回路DCはまとめてリフレッシュを行うことが可能である。したがって、ある電流記憶信号MSjは、j列目に相当するデータラインSjに接続されたDCC回路DCjを構成する複数のDCC回路の全てに送信されることが実施の形態1とは異なる。
また、上記1H期間の前半にて、後半に選択するラインとは異なる走査ラインを選択し、非発光信号を送信することによって、ブランキング信号を画素回路に送信することが可能である。このようにして、実質2回の走査を1フレーム期間で行うことで、アナログ駆動方式においてもブランキング走査を設けることが可能である。
このブランキング走査期間にてDCC回路DCjのリフレッシュを行うことで、従来例の回路構成とは異なり、1データライン当たりに2組のDCC回路DCjを接続し、フレーム期間などに同期して交互に電流信号の出力とリフレッシュとを行う必要がなくなり、1データラインあたりには1組の(6ビットの電流値を出力するため、DCC回路DCj自体は6つ)のDCC回路DCjで駆動回路を構成することが可能となる。したがって、従来例に比べて回路規模を縮小することが可能となる。
次に、上記1H期間の後半では、通常の走査と同じく、デジタル画像データを各DCC回路DCへと送信し、データラインを介して画素回路に6ビットのアナログ電流信号を送信する。
このとき、各DCC回路DCではリフレッシュができないため、電流記憶信号MSjはいずれもLowレベルとなる。したがってどのDCC回路DCでもリフレッシュが禁止されるが、ダミーDCC回路DCdへ送信する電流記憶信号MSdは反対にHighレベルとなるように設定する。したがって、1H期間の前半はいずれかのDCC回路DCが、1H期間の後半はダミーDCC回路DCdが必ず動作することとなり、基準電流信号ラインSCLは常時いずれかのDCC回路DCへと電流を流す状態となる。
このようにして、ブランキング走査期間などを設けたアナログ駆動方式においても、ダミーDCC回路DCdを設けることにより、基準電流信号ラインSCLの電位をなるべく一定にし、DCC回路のDC電流記憶の精度を向上させる効果を得ることが可能である。したがって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明の一実施形態に係る表示装置の駆動回路(5)は、複数の走査ライン(G1〜Gm)と、少なくとも1つのデータライン(S1〜Sn)と、電気光学素子(11)とを含み、前記走査ライン(G1〜Gm)と前記データライン(S1〜Sn)との交点に応じてマトリクス状に配置された画素回路(Aij)とを備えた表示装置において、前記電気光学素子(11)を発光させるための基準となる発光信号の電流値を保持し、発光のデータにより保持された電流値の前記発光信号を前記データライン(S1〜Sn)へ出力する一方、非発光のデータにより前記電気光学素子(11)を非発光状態とする非発光信号を前記データライン(S1〜Sn)へ出力する信号出力回路(DC1〜DCn)を備えた、前記画素回路(Aij)を駆動する駆動回路(5)であって、基準となる電流(Istd)を流す配線(SCL1〜SCLn)は、同じ電流値を保持することを目的とする信号出力回路(DC1〜DCn)で共有され、前記の基準となる電流(Istd)を流す配線(SCL1〜SCLn)に、前記画素回路(Aij)にデータの出力を行わない疑似信号出力回路(DCd)を接続し、前記データライン(S1〜Sn)に接続された信号出力回路(DC1〜DCn)のいずれにおいても電流値の再設定が行われていない期間において、前記の疑似信号出力回路(DCd)にて電流値の再設定の動作を行うことで、常にいずれかの信号出力回路(DC1〜DCn、DCd)において、前記の電流値の再設定を行う構成である。
上記構成によれば、前記の信号(発光信号または非発光信号)を出力しない状態において電流値の再設定を行うことができる。また、疑似信号出力回路(DCd)は、信号出力を行わない回路であるため、常に電流値の再設定が可能である。したがって、前記の信号出力回路(DC1〜DCn)における電流値の再設定の制御にどのようなタイミングを用いたとしても、疑似信号出力回路(DCd)を動作させることで、常に基準となる電流(Istd)を流す配線(SCL1〜SCLn)から信号出力回路(DC1〜DCn、DCd)へと電流を流すことが可能となる。その結果、各信号出力回路(DC1〜DCn)で共有する基準電流信号ライン(SCL1〜SCLn)の電位をほぼ一定に保ち、信号出力回路(DC1〜DCn)から保持している電荷が流出することを防ぐことができる。
また、前記の信号出力回路(DC1〜DCn)は、例えば、電流記憶用かつ電流出力用の第1トランジスタ(SWD1)のゲート電極とソース電極との間にコンデンサ(C1)が接続され、さらに第1トランジスタ(SWD1)のゲート電極は、第1のトランジスタ(SWD1)のゲート電位を保持するための第2トランジスタ(SW2)を介して、前記の基準となる電流を流す配線に接続され、基準となる電流を第1トランジスタ(SWD1)に流す際に、第2トランジスタ(SW2)を導通状態とすることで、ゲート電位をコンデンサ(C1)に充電した後、第2トランジスタ(SW2)を非導通状態とすることで、第1トランジスタ(SWD1)のゲート電位を保持し、第1トランジスタ(SWD1)に基準となる電流が流れるようにゲート電位を記憶することで基準となる電流値を再設定する、カレントコピア構造である。
あるいは、前記の信号出力回路(DC1〜DCn)は、電流出力用の第1トランジスタ(SWD91)のゲート電極とソース電極との間にコンデンサ(C91)が接続され、さらに第1トランジスタ(SWD91)のゲート電極は、第1のトランジスタ(SWD91)のゲート電位を保持するための第2トランジスタ(SW91)を介して、前記の基準となる電流(Istd)を流す配線(SCL1〜SCLn)に接続され、また第1トランジスタ(SWD91)のゲート電極と電流記憶用の第3トランジスタ(SW94)のゲート電極が接続され、基準となる電流(Istd)を第3トランジスタ(SW94)に流す際に、第2トランジスタ(SW91)を導通状態とすることで、ゲート電位をコンデンサ(C91)に充電した後、第2トランジスタ(SW91)を非導通状態とすることで、第3トランジスタ(SW94)のゲート電位を保持し、第1トランジスタ(SWD91)に基準となる電流(Istd)が流れるようにゲート電位を記憶することで基準となる電流値を再設定する、カレントミラー構造であってもよい。
また、信号出力回路(DC1〜DCn)および疑似信号出力回路(DCd)に前記カレントコピア構造を用いた場合、前記の疑似信号出力回路(DCd)が、少なくとも、電流記憶用かつ電流出力用である第1トランジスタ(SWD1,SWD1d)と、第1トランジスタ(SWD1,SWD1d)のゲート電位を保持するための第2トランジスタ(SW2,SW2d)とについて、前記データライン(S1〜Sn)に接続された信号出力回路(DC1〜DCn)と同等の構成をとることが好ましい。
また、信号出力回路(DC1〜DCn)および疑似信号出力回路(DCd)に前記カレントミラー構造を用いた場合、前記の疑似信号出力回路(DCd)が、少なくとも、電流出力用である第1トランジスタ(SWD91,SWD91)のゲート電位を保持するための第2トランジスタ(SW91,SW91d)と、電流記憶用である第3のトランジスタ(SW94,SW94d)とについて、前記データライン(S1〜Sn)に接続された信号出力回路(DC1〜DCn)と同等の構成をとることが好ましい。
なお、前記信号出力回路(DC1〜DCn)は、1種類または2種類以上の前記発光信号の電流値を再設定する。
また、前記信号出力回路(DC1〜DCn)は、1種類の前記発光信号の電流値を再設定し、前記データドライバ回路(8)には基準となる電流を出力する電流源をn個備え、異なる電流値を再設定したn個の信号出力回路(DC1〜DCn)を1つのデータラインに接続し、どの信号出力回路(DC1〜DCn)を出力するかを選択することで2n個の異なる電流値を出力することが可能である。
また、本発明の実施の一形態に係る表示装置は、前記電気光学素子(11)の表示状態を1フレーム期間でM回(Mは2以上の整数)変化させ、各R個(Rは2以上の整数)の表示状態のいずれかにすることで、N階調表示(N≦RM)を行うものである。
さらに、前記時間分割階調を用いる表示装置は、1つの前記電気光学素子(11)にa個のデータが対応し、a個のデータのうち、少なくとも1つが前記電気光学素子(11)を設定期間において非発光状態とするデータであり、連続するa個の選択期間に、上記データライン(S1〜Sn)へ上記a個のデータに応じた発光信号または非発光信号を出力することが好ましい。
なお、ここでの非発光信号とは、信号出力回路の出力をonにして画像データ信号などの表示のための信号をデータラインに出力するのではなく、信号出力回路の出力をoffとして上記の信号を出力しないことで電気光学素子の非発光を実現することを意味する。これは、画素回路にとっては発光しない電流値がデータラインに付与されている状態となるため、便宜上、非発光信号を送信しているとする。したがって、信号出力回路は、電流値の再設定を行うことができる状態にある。
また、本発明の他の実施の形態に係る表示装置は、前記駆動回路のうちアナログ駆動方式に対応可能な駆動回路を備え、前記電気光学素子(11)の表示状態を1フレーム期間で1回変化させ、各R個(Rは2以上の整数)の表示状態のいずれかにすることで、N階調表示(N≦R)を行うものである。
また、本発明の他の実施の形態に係る表示装置は、前記のアナログ駆動方式において、前記電気光学素子(11)の表示状態を1フレーム期間で1回変化させ、各R個(Rは2以上の整数)の表示状態のいずれかにすることで、N階調表示(N≦R)を行うとともに、1フレームに前記走査ライン(G1〜Gm)の走査を分割し、前記走査ライン(G1〜Gm)における前記画素回路(Aij)へ表示のための前記発光信号または非発光信号を与える期間と、少なくとも1回の前記非発光信号を設定期間とで走査を行うことを特徴としている。
さらに、本発明の実施の一形態に係る表示装置は、選択された走査ライン(G1〜Gm)上のすべての画素回路(Aij)の表示状態をある特定の状態に設定する設定期間に、保持される前記発光信号の電流値を再設定可能となるように前記信号出力回路(DC1〜DCn)の保持動作を制御する制御手段(32)を備えていることを特徴とする。
また、前記電流値の再設定が可能になった前記信号出力回路(DC1〜DCn)は、前記設定期間において非発光信号が与えられる画素回路(Aij)を含む走査ライン(G1〜Gm)を選択する度に、順次異なるように前記信号出力回路(DC1〜DCn)の保持動作を制御するものである。