JP4607290B2 - ポンプ付き容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、組成の異なる内容物をそれぞれ充てんした少なくとも2本のチャンバーから、ポンプによってそれぞれ内容物を同時に注出し、使用直前に各内容物を混合させるタイプのポンプ付き容器に関し、とくに、容器本体部分の再利用により、省資源化を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、毛染め剤や洗顔フォーム、トリートメント等においては組成の異なる少なくとも2種類の液状物を使用直前に混合してから使用するものが商品として流通してきている。かかる商品は、それぞれの液状物毎に別個の容器に充てんされていて、それらをまとめて1セットとして販売されるのが普通であり、使用に際してはそれぞれの容器から液状物を注出する必要があって、使い勝手が悪いという不具合がある。
【0003】
このような商品に対応させた容器としては、単一のポンプを使用してこのポンプのポンピング動作にて複数の容器からそれぞれの内容物を同時に注出するようにしたものが提案されており、この点に関する先行技術としては、例えば、特表平6−510013号公報に開示されている装置が知られている。
【0004】
上記公報に開示の装置は、単一のポンプにより2つの容器から同時に内容物を注出させることができることに加え、定量注出が可能であることから、別個の容器からそれぞれ液状物を取り出して混合、使用する従来タイプのものに比較し、使い勝手が格段に改善されている。
【0005】
ところで、上記の装置は、ポンプと内容物を収容する容器が一体的に組み込また構造を有するものであることから、容器自体が精巧に作られているわりには、内容物を使い切ったのちは廃棄処分されるため、省資源化を図るうえからは有用とはいえず、また、ポンピング動作のアンバランスや内容物の粘度の差等により何れか一方の容器において内容物が残存することがあっても、もう一方の容器の内容物を既に使い切ってしまっている場合に、かかる残存内容物もそのまま廃棄処分せざるを得ないところに問題を残している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、複数の容器に充てんされた内容物を同時に注出することが可能であり、内容物を使い切ったのちは、内容物を充てんしてある容器本体部分のみの取り替えでもって再利用することが可能な新規なポンプ付き容器を提案するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内容物の充てん状態においてその軸心に沿うスライドを可能とした底壁を有する内容物収容チャンバーと、内容物の吸込み口と排出口を有し該吸込み口において内容物収容チャンバーの開口部につながるポンプとを備え、
該ポンプのピストンヘッド部におけるポンピング動作にて内容物を内容物収容チャンバーの底壁とともに吸い上げ、該ポンプの排出口を経て容器の外へ注出するようにしたポンプ付き容器であって、
前記容器は、少なくとも2つのポンプと、これらのポンプをその吸込み口及び排出口を残して保持するベース部材とを有するものであり、
各ポンプの吸込み口のそれぞれに内容物収容チャンバーを連結し、
ポンプの排出口が存在するディスチャージ側に、各ポンプにつき、ピストンヘッド部のポンピング動作を同時に導くとともに、各ポンプの排出口を経た内容物をそれぞれ個別に誘導してノズルから容器外へ注出する注出経路を有するポンピング部材を配置し、
ベース部材に、ピストンヘッド部のポンピング動作に際して外気を取り込む開口を備え各内容物収容チャンバーの全てを収納して容器本体を形づくるケース部材を連結してなり、
該ケース部材とベース部材の相互間に、ベース部材に対するケース部材の取り付け、取り外しを可能とする着脱機構を設置し、
前記ポンピング部材は、その外表面が何れのポンプにおいても同等のポンピング力を作用させることができるように中央部において最も突き出した凸状を呈する形状を有するものであり、
前記ケース部材に、ポンピング動作に際して容器の倒れ込みを防止する張り出し部を設けた、ことを特徴とするポンプ付き容器である。
【0008】
本発明において、内容物収容チャンバーは、ベース部材にねじ結合により取り付けられるものとするのが望ましい。
【0009】
また、着脱機構は、ベース部材又はケース部材の何れか一方の少なくとも背面において形成される開口部と、もう一方において一体形成され該開口部に嵌合する嵌合突起を備えた弾性舌片からなるものとするのが望ましい。
【0010】
内容物収容チャンバー及びケース部材のうちの何れか一方には、それらの相互間で弾性的に係合してベース部材とケース部材との間で生じるがたつきをなくす弾性舌片を設けることができる。
【0011】
ケース部材の中央部域には、ポンピングに際しての滑りを防止する複数の突起を設けることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ベース部材に少なくとも2つのポンプを設け、各ポンプに着脱可能な内容物収容チャンバーをベース部材を介して連結するようにしたので、該チャンバーの内容物を使い切った後は、内容物が収容されている新品のチャンバーに取り替えるだけでよく、ポンプを含めた容器本体部分は再使用が可能になる。
【0013】
また、各チャンバーに収容された内容物について注出に際してばらつきがあり、特定のチャンバーに収容されている内容物を使い切ってしまった場合、その容器の取り替えのみで他の容器の内容物を注出することが可能になり、内容物を無駄に捨ててしまうこともない。
【0014】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1〜図4は本発明に従うポンプ付き容器の構成につき、内容物収容チャンバーを2本配置した場合を例としたものであり、図1は容器の正面を断面で示した図であり、図2は容器の側面を、図3は容器の平面を、また、図4は容器の底面をそれぞれその外観で示したものである。
【0015】
図において、番号1A、1Bは開口部の外周にねじ部を有する内容物収容チャンバーであり、このチャンバー1A、1Bは高いシール性を保持した状態でその底壁wa、wbがチャンバー1A、1Bの軸心に沿ってスライドできるようになっている。
【0016】
また、2A、2Bは内容物収容チャンバー1A、1B内の内容物を吸い上げて容器外へ注出する高粘度液状物の注出に適したポンプであり、このポンプ2A、2Bは内容物の吸込み口Scと排出口Dcを有しており、ポンプ2A、2Bのケーシング内に配置されたスプリングによって初期位置に附勢されたピストンヘッド部Pa、Pbを備える。
【0017】
また、3はポンプ2A、2Bをその吸込み口Scと排出口Dcを残し嵌合等によって保持するベース部材であり、ベース部材3に保持されたポンプ2A、2Bの内容物の吸込み口Scには、内容物収容チャンバー1A、1Bの開口部が位置するようにその先端部がベース部材3にねじ止めされている。
【0018】
4はノズルnを有し2つ割りの構成部材を組合せた例で示したポンピング部材である。このポンピング部材4は、ポンプ2A、2Bの排出口Dcが存在するディスチャージ側においてピストンヘッド部Pa、Pbに係合しており、各ポンプ2A、2Bにつき、ピストンヘッド部Pa、Pbの押圧とその解除を伴うポンピング動作を同時に導くとともに、各ポンプ2A、2Bの排出口Dcを経た内容物をそれぞれ個別に誘導してノズルnから容器外へ注出する注出経路4A、4Bを有する。そして、その外表面は、何れのポンプにおいても同等のポンピング力を作用させることができるようにその中央部が最も突き出た凸状を呈しており、その部位には、手掌によってポンピングする際に滑りを防止するための複数の突起tが設けられている。
【0019】
5はベース部材3に連結し内容物収容チャンバー1A、1Bの全てを収納して容器本体を形づくるケース部材であり、このケース部材5はその底面に設けた例で示した気液置換用の貫通孔5aを有する。また、6は着脱機構である。この着脱部材6はケース部材5の背面に形成した開口部6aとベース部材3に一体的に形成され開口部6aに嵌合する嵌合突起を備えた弾性舌片6bからなり、弾性舌片6bにおける突起の開口部6aに対する嵌合とその解除を行うことによりケース部材5をベース部材3から簡便に着脱する。
【0020】
また、7はケース部材5の底面で一体的に形成した例で示した弾性舌片である。この弾性舌片7はケース部材5の、ベース部材3への連結状態で内容物収容チャンバー1A、1Bとケース部材5の相互間で弾性的に係合するものであって、ケース部材5をベース部材3に装着した場合に生じるそれらの間のがたつきを防止する。
【0021】
8はケース部材5に一体的に形成した例で示した張り出し部である。この張り出し部8は内容物の注出、即ち、ポンプ2A、2Bのポンピング動作に際して容器自体の転倒を防止する。
【0022】
図5の仮想線で示す如く、ポンピング部材4を押圧しピストンヘッド部Pa、Pbがポンプケーシング内の最下端に位置した状態でポンピング部材4の押圧を解除すると、ポンプケーシング内の最下端に位置したピストンヘッド部Pa、Pbはスプリングによる弾性力でもって初期位置に復帰するように移動する。その際、ピストンPa−1、Pb−1も初期位置に復帰するようにピストンヘッド部Pa、Pbに帯同することとなるのでシリンダ室Pa−2、Pb−2内は負圧状態へと移行し、それに伴いチェック弁Pa−3、Pb−3が開となり吸込み口Scをとおしてチャンバー1A、1B内の内容物がそれぞれのポンプ2A、2Bのシリンダ室Pa−2、Pb−2に流入する。
【0023】
上記の過程で、ケース部材5の貫通孔5aからは外気が吸い込まれ図6に示すように、チャンバー1A、1Bの底部開口kを経て流入し、チャンバー1A、1Bの底壁wa、wbはチャンバー1A、1B内の内容物の注出度合いに応じてポンプ2A、2Bに向けてスライドする。
【0024】
ピストンヘッド部Pa、PbがピストンPa−1、Pb−1とともに初期位置に復帰したのち、さらに、図7に示すようにポンピング部材4を押圧すると、ピストンヘッド部Pa、PbがピストンPa−1、Pb−1とともに移動し、所定のストロークに達した時点でシリンダ室Pa−2、Pb−2とピストンPa−1、Pb−1の内部に設けられた通路とが連通するこになり、シリンダ室Pa−2、Pb−2内の内容物は排出口Dcから排出されるとともに、これにつながる注出経路4A、4Bを経てノズルnから容器外へと個別に注出される。かかる、ポンピング部材4の押圧と解除を繰り返し行うことにより、チャンバー1A、1B内の内容物は連続的に注出される。
【0025】
本発明のポンプ付き容器は、内容物を収容するチャンバー1A、1Bはベース部材3にねじ止めされた構造になるので、内容物を使い切った後に、かかるチャンバー1A、1Bを取り替えることが可能であり、ポンプ2A、2Bを含めた容器本体部分を半永久的に利用することができ、容器を構成する材料の省資源化に極めて有用である
【0026】
また、かかる構造の容器は、例えば一方のチャンバーに関し内容物を使い切り、もう一方のチャンバーに関し、内容物が残存している状態であっても、内容物を使い切ったほうのチャンバーのみを取り替えることにより、残存内容物を無駄なく利用できる。
【0027】
容器本体を形づくるケース部材5には外部からの水等の侵入してもその外部に排出することができ、かつ、ポンピング動作に際して底壁wa、wbがスムーズにスライドするように貫通孔5aを設けたが、これとともに多数の開口5bを設けることもできる。このような貫通孔5aや開口5bをケース部材5の底面に設ける場合、侵入した水等の迅速な排出が可能でかつ、空気の流入を容易ならしめることができる。
上掲図1〜4に示した容器の構成例では、底面の中央域を凹状とした場合について示したが、その底面と容器を載置する載置面との間にすき間を形成することができる図8に示すような複数の突起9を設けることも可能である。貫通孔5a、開口5bは、ケース部材5の底面のみならず、底面を含む側壁部分に設けてもよい。
【0028】
図9に本発明に従うポンプ付き容器の外観斜視図を、また、図10にポンピング部材4を取り外すとともに、着脱機構6を解除した状態における容器背面の外観斜視図をそれぞれ示す。
【0029】
図9において寸法Lは、ポンピング動作を行う際のポンピング部材4の可動代を確保するためのスペースであって、この領域の少なくとも半周を超えて適合する例えば、図11に示す如きストッパー10を装着することにより、商品の出荷、輸送段階あるいは不使用時における、ポンピング部材4の意に反する押圧での内容物の漏洩を防止することができる。
【0030】
また、かかる寸法Lにつき、その寸法Lよりも小さい作動代を確保することによりポンピング部材4を最大限押圧した状態ですき間が形成されるので、内容物の注出に際して手あるいは指等を挟み込むようなうれいはなくなる。
【0031】
図12はチャンバーに関してその開口部にキャップ11をねじ止めした例を示したものである。内容物を収容してあるチャンバーをレフィル容器として別途用意しておくことにより、ベース部材3に装着したチャンバー内の内用物を使い切ったとき、キャップ11を取り外しチャンバーをベース部材3にねじ込むだけで迅速な取り替えが可能になる。
また、ベース部材3に連結したチャンバー1A、1Bにつき、長期間使用しない場合には、内容物の品質劣化を避けるために、ベース部材3から取り外し、図11に示したようなキャップ11を取り付けておくことにより、内容物の品質を長期にわたり保持することができる。
【0032】
本発明に従う容器は、ポリエチレンテレフタレートの如き素材を使用して構成することができる他、耐薬品性に優れるポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂、あるいは、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系の熱可塑性樹脂や金属で構成することもできる。
【0033】
成形法に関してはインジェクション成形法等が適用できるが、とくにポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂によって容器を構成する場合、二軸伸延ブロー成形法やダイレクトブロー成形法の適用も可能である。
【0034】
容器として、とくにケース部材5、内容物収容チャンバーを半透明もしくは透明のものにて構成すれば容器の外部から内容物の残量を容易に確認することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、内容物収容チャンバーのみの取り替えが可能なので、ポンプを含めた容器本体部分の再利用により資源の有効活用を図ることができる。また、内容物を使い切ったチャンバーのみを適宜に取り替えることにより別のチャンバーについて内容物が残存している場合であってもその内容物を無駄なく使い切ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うポンプ付き容器の構成説明図(正面の断面)である。
【図2】図1に示したポンプ付き容器の側面の外観を示した図である。
【図3】図1に示したポンプ付き容器の平面の外観を示した図である。
【図4】図1に示したポンプ付き容器の底面の外観を示した図である。
【図5】本発明に従うポンプ付き容器の注出要領の説明図である。
【図6】本発明に従うポンプ付き容器の底壁のスライド要領の説明図である。
【図7】本発明に従うポンプ付き容器の注出要領の説明図である。
【図8】ケース部材の底面に突起を設けた例を示したものである。
【図9】本発明に従うポンプ付き容器の外観斜視図である。
【図10】本発明に従うポンプ付き容器の背面の外観斜視図である。
【図11】ストッパーの装着状態を示した図である。
【図12】キャップ付きチャンバーを示した図である。
【符号の説明】
1A チャンバー
1B チャンバー
2A ポンプ
2B ポンプ
3 ベース部材
4 ポンピング部材
5 ケース部材
6 着脱機構
7 弾性舌片
8 張り出し部分
9 突起
10 ストッパー
11 キャップ
Claims (5)
- 内容物の充てん状態においてその軸心に沿うスライドを可能とした底壁を有する内容物収容チャンバーと、内容物の吸込み口と排出口を有し該吸込み口において内容物収容チャンバーの開口部につながるポンプとを備え、
該ポンプのピストンヘッド部におけるポンピング動作にて内容物を内容物収容チャンバーの底壁とともに吸い上げ、該ポンプの排出口を経て容器の外へ注出するようにしたポンプ付き容器であって、
前記容器は、少なくとも2つのポンプと、これらのポンプをその吸込み口及び排出口を残して保持するベース部材とを有するものであり、
各ポンプの吸込み口のそれぞれに内容物収容チャンバーを連結し、ポンプの排出口が存在するディスチャージ側に、各ポンプにつき、ピストンヘッド部のポンピング動作を同時に導くとともに、各ポンプの排出口を経た内容物をそれぞれ個別に誘導してノズルから容器外へ注出する注出経路を有するポンピング部材を配置し、
ベース部材に、ピストンヘッド部のポンピング動作に際して外気を取り込む開口を備え各内容物収容チャンバーの全てを収納して容器本体を形づくるケース部材を連結してなり、
該ケース部材とベース部材の相互間に、ベース部材に対するケース部材の取り付け、取り外しを可能とする着脱機構を設置し、
前記ポンピング部材は、その外表面が何れのポンプにおいても同等のポンピング力を作用させることができるように中央部において最も突き出した凸状を呈する形状を有するものであり、
前記ケース部材に、ポンピング動作に際して容器の倒れ込みを防止する張り出し部を設けた、ことを特徴とするポンプ付き容器。 - 各内容物収容チャンバーは、ベース部材にねじ結合により取り付けられるものである、請求項1記載のポンプ付き容器。
- 着脱機構は、ベース部材又はケース部材の何れか一方の少なくとも背面で形成される開口部と、もう一方において一体形成され該開口部に嵌合する嵌合突起を備えた弾性舌片からなる、請求項1又は2記載のポンプ付き容器。
- 内容物収容チャンバー及びケース部材のうちの何れか一方に、それらの相互間で弾性的に係合してベース部材とケース部材との間で生じるがたつきをなくす弾性舌片を有する、請求項1〜3の何れかに記載のポンプ付き容器。
- ポンピング部材の表面中央部域に、ポンピングに際しての滑りを防止する複数の突起を備える、請求項1〜4の何れかに記載のポンプ付き容器。
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