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JP4691849B2 - 係数データの生成装置および生成方法、それを使用した情報信号の処理装置および処理方法、それに使用する情報の取得装置および取得方法 - Google Patents

係数データの生成装置および生成方法、それを使用した情報信号の処理装置および処理方法、それに使用する情報の取得装置および取得方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばNTSC方式のビデオ信号をハイビジョンのビデオ信号に変換する際に適用して好適な係数データの生成装置および生成方法、それを使用した情報信号の処理装置および処理方法、それに使用する情報の取得装置および取得方法関する。詳しくは、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用される推定式の係数データを、教師信号を帯域制限して生徒信号を得るための帯域制限フィルタの所定帯域に対応した推定式の係数データおよび帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み上記所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求めるための算出式に基づいて構成される生成式により生成することによって、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招くことなく、パラメータの値の変化に対応して連続的に変化する係数データを得ることができるようにした係数データ生成装置等に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば525i信号というSD(Standard Definition)信号を、525p信号というHD(High Definition)信号に変換するフォーマット変換が提案されている。525i信号は、ライン数が525本でインタレース方式の画像信号を意味し、525p信号は、ライン数が525本でプログレッシブ方式の画像信号を意味する。
【0003】
図22は、525i信号と525p信号の、あるフレーム(F)の奇数(o)フィールドの画素位置関係を示している。ここで、大きなドットが525i信号の画素であり、小さなドットが525p信号の画素である。図示せずも、偶数フィールドでは、525i信号のラインが空間的に0.5ラインずれたものとなる。525i信号を525p信号に変換する場合、奇数、偶数のそれぞれのフィールドにおいて、525i信号の1画素に対応して525p信号の4画素を得る必要がある。
【0004】
従来、上述したようなフォーマット変換を行うために、525i信号の画素データより525p信号の画素データを得る際に、525i信号の画素に対する525p信号の各画素の位相に対応した推定式の係数データをメモリに格納しておき、この係数データを用いて推定式によって525p信号の画素データを求めることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように推定式によって525p信号の画素データを求めるものにおいては、この525p信号による画像の解像度は固定されており、従来のコントラストやシャープネス等の調整のように、画像内容等に応じて所望の解像度とすることができなかった。ユーザが所望の解像度に任意に調整するために、複数の解像度に対応する係数データを用意しておくことが考えられるが、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招き、装置のコストアップにつながる。
【0006】
この発明は、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招くことなく、パラメータの値の変化に対応して連続的に変化する係数データを得ることができるようにした係数データ生成装置等を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る係数データ生成装置は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用され、第2の情報信号に係る注目点の情報データを、第1の情報信号から抽出される複数の情報データから算出するための推定式の係数データを生成する係数データ生成装置であって、第2の情報信号に対応した教師信号とこの教師信号を帯域制限フィルタで所定帯域に制限して得られる第1の情報信号に対応した生徒信号との間の学習によって生成される、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データと、帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み上記所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報とを格納する格納手段と、パラメータの値を設定するパラメータ設定手段と、格納手段に格納されている算出式情報に基づいて構成された算出式と格納手段に格納されている上記所定帯域に対応した推定式の係数データとに基づいて構成された生成式により、パラメータ設定手段で設定されたパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成する係数データ生成手段とを備えるものである。
【0008】
また、この発明に係る係数データ生成方法は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用され、第2の情報信号に係る注目点の情報データを、第1の情報信号から抽出される複数の情報データから算出するための推定式の係数データを生成する係数データ生成方法であって、帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報に基づいて算出式を構成するステップと、この構成された算出式と、第2の情報信号に対応した教師信号とこの教師信号を帯域制限フィルタで上記所定帯域に制限して得られる第1の情報信号に対応した生徒信号との間の学習によって生成される、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データとに基づいて、上記推定式の係数データを生成する生成式を構成するステップと、パラメータの値を設定するステップと、構成された生成式により、設定されたパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成するステップとを備えるものである。
【0010】
この発明においては、第2の情報信号に対応した教師信号とこの教師信号を帯域制限フィルタで所定帯域に制限して得られる第1の情報信号に対応した生徒信号との間の学習によって生成される、上記所定帯域に対応した推定式の係数データと、帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み上記所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報とが、格納手段に格納されている。
【0011】
例えば、第1の情報信号および第2の情報信号は画像信号であり、算出式は、帯域制限フィルタの垂直方向の帯域を示す第1のパラメータを含む第1の算出式と、帯域制限フィルタの水平方向の帯域を示す第2のパラメータを含む第2の算出式とからなるものである。また例えば、第1の情報信号および第2の情報信号は画像信号であり、算出式は、帯域制限フィルタの垂直方向の帯域を示す第1のパラメータと、帯域制限フィルタの水平方向の帯域を示す第2のパラメータとを含むものである。
【0012】
格納手段に格納されている算出式情報に基づいて構成された算出式と、格納手段に格納されている所定帯域に対応した推定式の係数データに基づいて生成式が構成され、この生成式により、パラメータ設定手段で設定されたパラメータの値に対応した推定式の係数データが生成される。
【0013】
このように、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用される推定式の係数データを、教師信号を帯域制限して生徒信号を得るための帯域制限フィルタの所定帯域に対応した推定式の係数データおよび帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式に基づいて構成された生成式により生成するものであり、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招くことなく、パラメータの値を調整して第2の情報信号による出力の質を任意に調整することが可能となり、またパラメータの値の変化に対応して連続的に変化する係数データを得ることができ、第2の情報信号による出力の質をなめらかに変化させることが可能となる。
【0014】
この発明に係る情報信号処理装置は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理装置であって、第2の情報信号に対応した教師信号とこの教師信号を帯域制限フィルタで所定帯域に制限して得られる第1の情報信号に対応した生徒信号との間の学習によって生成される、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データと、帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み上記所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報とを格納する格納手段と、パラメータの値を設定するパラメータ設定手段と、格納手段に格納されている算出式情報に基づいて構成された算出式と格納手段に格納されている上記所定帯域に対応した推定式の係数データとに基づいて構成された生成式により、パラメータ設定手段で設定されたパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生する係数データ発生手段と、第1の情報信号から第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のデータ選択手段と、係数データ発生手段で発生された係数データと第1のデータ選択手段で選択された複数の第1の情報データとから、上記推定式を用いて上記注目点の情報データを算出して得る演算手段とを備えるものである。
【0015】
また、この発明に係る情報信号処理方法は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理方法であって、帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報に基づいて算出式を構成するステップと、この構成された算出式と、第2の情報信号に対応した教師信号と該教師信号を帯域制限フィルタで上記所定帯域に制限して得られる第1の情報信号に対応した生徒信号との間の学習によって生成される、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データとに基づいて、上記推定式の係数データを生成する生成式を構成するステップと、パラメータの値を設定するステップと、構成された生成式により、設定されたパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生するステップと第1の情報信号から第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択するステップと、発生された係数データと選択された複数の情報データとから、上記推定式を用いて上記注目点の情報データを算出して得るステップとを備えるものである。
【0017】
この発明においては、第2の情報信号に対応した教師信号とこの教師信号を帯域制限フィルタで所定帯域に制限して得られる第1の情報信号に対応した生徒信号との間の学習によって生成される、上記所定帯域に対応した推定式の係数データと、帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報とが、格納手段に格納されている。
【0018】
例えば、第1の情報信号および第2の情報信号は画像信号であり、算出式は、帯域制限フィルタの垂直方向の帯域を示す第1のパラメータを含む第1の算出式と、帯域制限フィルタの水平方向の帯域を示す第2のパラメータを含む第2の算出式とからなるものである。また例えば、第1の情報信号および第2の情報信号は画像信号であり、算出式は、帯域制限フィルタの垂直方向の帯域を示す第1のパラメータと、帯域制限フィルタの水平方向の帯域を示す第2のパラメータとを含むものである。
【0019】
格納手段に格納されている算出式情報に基づいて構成された算出式と、格納手段に格納されている所定帯域に対応した推定式の係数データに基づいて生成式が構成され、この生成式により、パラメータ設定手段で設定されたパラメータの値に対応した推定式の係数データが発生される。また、第1の情報信号から第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の第1の情報データが選択される。そして、この複数の第1の情報データと推定式の係数データとから、推定式を用いて、第2の情報信号に係る注目点の情報データが算出される。
【0020】
このように、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用される推定式の係数データを、教師信号を帯域制限して生徒信号を得るための帯域制限フィルタの所定帯域に対応した推定式の係数データおよび帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式に基づいて構成された生成式により生成するものであり、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招くことなく、パラメータの値を調整して第2の情報信号による出力の質を任意に調整することが可能となり、またパラメータの値の変化に対応して連続的に変化する係数データを得ることができ、第2の情報信号による出力の質をなめらかに変化させることが可能となる。
【0021】
この発明に係る情報取得装置は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用する推定式の係数データを生成する生成式を得るために用いられる、帯域制限フィルタで制限する所定帯域に対応した上記推定式の係数データおよび帯域制限フィルタの帯域を示すパターンを含み上記所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報を取得する情報取得装置であって、第2の情報信号に対応した教師信号を帯域制限フィルタで帯域を上記所定帯域に制限して得られる第1の情報信号に対応した生徒信号から、教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択するデータ選択手段と、このデータ選択手段で選択された複数の情報データおよび教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、その生成された学習データに基づいて、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データを生成する係数データ生成手段と、パラメータの複数の値に対応してそれぞれ決定される帯域制限フィルタの各タップのフィルタ係数を積分するフィルタ係数積分手段と、このフィルタ係数積分手段で得られるパラメータの複数の値にそれぞれ対応した複数の積分値に基づいて、算出式を構成するための算出式情報を取得する算出式情報取得手段とを備えるものである。
【0022】
また、この発明に係る情報取得方法は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用する推定式の係数データを生成する生成式を得るために用いられる、帯域制限フィルタで制限する所定帯域に対応した上記推定式の係数データおよび帯域制限フィルタの帯域を示すパターンを含み上記所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報を取得する情報取得方法であって、第2の情報信号に対応した教師信号を帯域制限フィルタで帯域を上記所定帯域に制限して得られる第1の情報信号に対応した生徒信号から、教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択する第1のステップと、この第1のステップで選択された複数の情報データおよび教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、その生成された学習データに基づいて、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データを生成する第2のステップと、パラメータの複数の値に対応してそれぞれ決定される帯域制限フィルタの各タップのフィルタ係数を積分して積分値を得る第3のステップと、この第3のステップで得られる、パラメータの複数の値にそれぞれ対応した複数の積分値に基づいて、算出式を構成するための算出式情報を取得する第4のステップとを備えるものである。
【0024】
この発明においては、第2の情報信号に対応した教師信号から、帯域制限フィルタで帯域が所定帯域に制限されて第1の情報信号に対応した生徒信号が得られる。この生徒信号から教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データが選択される。この複数の情報データおよび教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データが生成され、この学習データに基づいて、例えば正規方程式を用いて、所定帯域に対応した推定式の係数データが生成される。
【0025】
また、パラメータの複数の値に対応してそれぞれ決定される帯域制限フィルタの各タップのフィルタ係数が積分されて積分値が得られる。このように得られる複数の積分値に基づいて、帯域制限フィルタの帯域を示すパターンを含み所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報が取得される。例えば、パラメータの複数の値にそれぞれ対応した積分値の逆数をとり、所定帯域に対応した積分値の逆数が1となるように正規化し、それらの逆数を近似する当該パラメータを含む近似式を求めることによって算出式情報を取得できる。
【0026】
このように取得された所定帯域に対応した推定式の係数データおよび算出式情報を用いることによって、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用する推定式の係数データを生成するための生成式を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態としてのテレビ受信機100の構成を示している。このテレビ受信機100は、放送信号より525i信号というSD信号を得、この525i信号を525p信号というHD信号に変換し、そのHD信号による画像を表示するものである。
【0028】
テレビ受信機100は、マイクロコンピュータを備え、システム全体の動作を制御するためのシステムコントローラ101と、リモートコントロール信号を受信するリモコン信号受信回路102とを有している。リモコン信号受信回路102は、システムコントローラ101に接続され、リモコン送信機200よりユーザの操作に応じて出力されるリモートコントロール信号RMを受信し、その信号RMに対応する操作信号をシステムコントローラ101に供給するように構成されている。
【0029】
また、テレビ受信機100は、受信アンテナ105と、この受信アンテナ105で捕らえられた放送信号(RF変調信号)が供給され、選局処理、中間周波増幅処理、検波処理等を行って上述したSD信号(525i信号)を得るチューナ106と、このチューナ106より出力されるSD信号を一時的に保存するためのバッファメモリ109とを有している。
【0030】
また、テレビ受信機100は、バッファメモリ109に一時的に保存されるSD信号(525i信号)を、HD信号(525p信号)に変換する画像信号処理部110と、この画像信号処理部110より出力されるHD信号による画像を表示するディスプレイ部111と、このディスプレイ部111の画面上に文字図形などの表示を行うための表示信号SCHを発生させるためのOSD(On Screen Display)回路112と、その表示信号SCHを上述した画像信号処理部110から出力されるHD信号に合成してディスプレイ部111に供給するための合成器113とを有している。ディスプレイ部111は、例えばCRT(cathode-ray tube)ディスプレイ、あるいはLCD(liquid crystal display)等のフラットパネルディスプレイで構成されている。
【0031】
図1に示すテレビ受信機100の動作を説明する。
チューナ106より出力されるSD信号(525i信号)は、バッファメモリ109に供給されて一時的に保存される。そして、このバッファメモリ109に一時的に記憶されたSD信号は画像信号処理部110に供給され、HD信号(525p信号)に変換される。すなわち、画像信号処理部110では、SD信号を構成する画素データ(以下、「SD画素データ」という)から、HD信号を構成する画素データ(以下、「HD画素データ」という)が得られる。この画像信号処理部110より出力されるHD信号はディスプレイ部111に供給され、このディスプレイ部111の画面上にはそのHD信号による画像が表示される。
【0032】
ユーザは、リモコン送信機200の操作によって、上述したようにディスプレイ部111の画面上に表示される画像の水平、垂直の解像度を変更できる。画像信号処理部110では、後述するように、HD画素データが推定式によって算出されるが、この推定式の係数データとして、ユーザのリモコン送信機200の操作によって調整された水平、垂直の解像度を決めるパラメータh,vの値に対応したものが生成されて使用される。
【0033】
これにより、画像信号処理部110より出力されるHD信号による画像の水平、垂直の解像度は、調整されたパラメータh,vの値に対応したものとなる。なお、パラメータh,vの調整状態では、ディスプレイ部111の画面上に、パラメータh,vの値の表示が行われる。ユーザは、この表示を参照して、パラメータh,vの値を調整できる。
【0034】
次に、画像信号処理部110の詳細を説明する。
画像信号処理部110は、バッファメモリ109に記憶されているSD信号(525i信号)より、HD信号(525p信号)に係る注目画素の周辺に位置する複数のSD画素のデータを選択的に取り出して出力する第1〜第3のタップ選択回路121〜123を有している。
【0035】
第1のタップ選択回路121は、予測に使用するSD画素(「予測タップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。第2のタップ選択回路122は、SD画素データのレベル分布パターンに対応するクラス分類に使用するSD画素(「空間クラスタップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。第3のタップ選択回路123は、動きに対応するクラス分類に使用するSD画素(「動きクラスタップ」と称する)のデータを選択的に取り出するものである。なお、空間クラスを複数フィールドに属するSD画素データを使用して決定する場合には、この空間クラスにも動き情報が含まれることになる。
【0036】
また、画像信号処理部110は、第2のタップ選択回路122で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)のレベル分布パターンを検出し、このレベル分布パターンに基づいて空間クラスを検出し、そのクラス情報を出力する空間クラス検出回路124を有している。
【0037】
空間クラス検出回路124では、例えば、各SD画素データを、8ビットデータから1ビットデータに圧縮するような演算が行われる。そして、空間クラス検出回路124からは、各SD画素データに対応した圧縮データが空間クラスのクラス情報として出力される。本実施の形態においては、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)によって、データ圧縮が行われる。なお、情報圧縮手段としては、ADRC以外にDPCM(予測符号化)、VQ(ベクトル量子化)等を用いてもよい。
【0038】
本来、ADRCは、VTR(Video Tape Recorder)向け高性能符号化用に開発された適応再量子化法であるが、信号レベルの局所的なパターンを短い語長で効率的に表現できるので、上述したデータ圧縮に使用して好適なものである。ADRCを使用する場合、空間クラスタップのデータ(SD画素データ)の最大値をMAX、その最小値をMIN、空間クラスタップのデータのダイナミックレンジをDR(=MAX−MIN+1)、再量子化ビット数をPとすると、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データkiに対して、(1)式の演算により、圧縮データとしての再量子化コードqiが得られる。ただし、(1)式において、[ ]は切り捨て処理を意味している。空間クラスタップのデータとして、Na個のSD画素データがあるとき、i=1〜Naである。
qi=[(ki−MIN+0.5).2P/DR] ・・・(1)
【0039】
また、画像信号処理部110は、第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)より、主に動きの程度を表すための動きクラスを検出し、そのクラス情報を出力する動きクラス検出回路125を有している。
【0040】
この動きクラス検出回路125では、第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)mi,niからフレーム間差分が算出され、さらにその差分の絶対値の平均値に対してしきい値処理が行われて動きの指標である動きクラスが検出される。すなわち、動きクラス検出回路125では、(2)式によって、差分の絶対値の平均値AVが算出される。第3のタップ選択回路123で、例えば上述したように12個のSD画素データm1〜m6,n1〜n6が取り出されるとき、(2)式におけるNbは6である。
【0041】
【数1】
Figure 0004691849
【0042】
そして、動きクラス検出回路125では、上述したように算出された平均値AVが1個または複数個のしきい値と比較されて動きクラスのクラス情報MVが得られる。例えば、3個のしきい値th1,th2,th3(th1<th2<th3)が用意され、4つの動きクラスを検出する場合、AV≦th1のときはMV=0、th1<AV≦th2のときはMV=1、th2<AV≦th3のときはMV=2、th3<AVのときはMV=3とされる。
【0043】
また、画像信号処理部110は、空間クラス検出回路124より出力される空間クラスのクラス情報としての再量子化コードqiと、動きクラス検出回路125より出力される動きクラスのクラス情報MVに基づき、作成すべきHD信号(525p信号)の画素(注目画素)が属するクラスを示すクラスコードCLを得るためのクラス合成回路126を有している。
【0044】
このクラス合成回路126では、(3)式によって、クラスコードCLの演算が行われる。なお、(3)式において、Naは空間クラスタップのデータ(SD画素データ)の個数、PはADRCにおける再量子化ビット数を示している。
【0045】
【数2】
Figure 0004691849
【0046】
また、画像信号処理部110は、係数メモリ134を有している。この係数メモリ134は、後述する推定予測演算回路127で使用される推定式の複数の係数データを、クラス毎に、格納するものである。この係数データは、SD信号(525i信号)を、HD信号(525p信号)に変換するための情報である。係数メモリ134には上述したクラス合成回路126より出力されるクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この係数メモリ134からはクラスコードCLに対応した推定式の係数データWi(i=1〜n)が読み出され、推定予測演算回路127に供給されることとなる。
【0047】
また、画像信号処理部110は、情報メモリバンク135を有している。後述する推定予測演算回路127では、予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ134より読み出される係数データWiとから、(4)式の推定式によって、作成すべきHD画素データyが演算される。第1のタップ選択回路121で選択される予測タップ数が13個であるとき、(4)式におけるnは13となる。図2は、予測タップとしてのSD画素と、注目画素としての作成すべきHD画素との位置関係の一例を示している。
【0048】
【数3】
Figure 0004691849
【0049】
そして、この推定式の係数データWi(i=1〜n)は、(5)式あるいは(6)式で示す生成式によって生成される。情報メモリバンク135には、この生成式を得るための情報が記憶されている。
Wi=(W(i,0,0)−1/n)×apr(h)×apr(v)+1/n・・・(5)
Wi=(W(i,0,0)−1/n)×apr(h,v)+1/n・・・(6)
【0050】
(5)式において、W(i,0,0)は、h=0,v=0における推定式の係数データWi、nは予測タップ数、apr(h)は、h=0のときの水平間引きフィルタによる水平解像度を基準とした、hの各値のときの水平間引きフィルタによる水平解像度の低下の度合いを求める算出式であり、apr(v)は、v=0のときの垂直間引きフィルタによる垂直解像度を基準とした、vの各値のときの垂直間引きフィルタによる垂直解像度の低下の度合いを求める算出式である。推定式の係数データWiを(5)式により生成する場合、情報メモリバンク135には、係数データW(i,0,0)と、算出式apr(h),apr(v)を構成するための算出式情報とが格納される。
【0051】
また、(6)式において、W(i,0,0)は、h=0,v=0における推定式の係数データWi、nは予測タップ数、apr(h,v)は、h=0,v=0のときの水平、垂直の合成間引きフィルタによる解像度を基準とした、h,vの各値のときの合成間引きフィルタによる解像度の低下の度合いを求める算出式である。推定式の係数データWiを(6)式により生成する場合、情報メモリバンク135には、係数データW(i,0,0)と、算出式apr(h,v)を構成するための情報とが格納される。
【0052】
図3は、パラメータh,vの変化に対応した係数データWi(W1,W2,W3,W4,W5,・・・)の振る舞いを示している。係数データWi(i=1〜n)は、パラメータh,vが大きくなるにつれて、1/nに近づいていく。
【0053】
上述したように、525i信号を525p信号に変換する場合、奇数、偶数のそれぞれのフィールドにおいて、525i信号の1画素に対応して525p信号の4画素を得る必要がある。この場合、奇数、偶数のそれぞれのフィールドにおける525p信号を構成する2×2の単位画素ブロック内の4画素は、それぞれ中心予測タップに対して異なる位相ずれを持っている。
【0054】
図4は、奇数フィールドにおける525p信号を構成する2×2の単位画素ブロック内の4画素HD1〜HD4における中心予測タップSD0からの位相ずれを示している。ここで、HD1〜HD4の位置は、それぞれ、SD0の位置から水平方向にk1〜k4、垂直方向にm1〜m4だけずれている。
【0055】
図5は、偶数フィールドにおける525p信号を構成する2×2の単位画素ブロック内の4画素HD1′〜HD4′における中心予測タップSD0′からの位相ずれを示している。ここで、HD1′〜HD4′の位置は、それぞれ、SD0′の位置から水平方向にk1′〜k4′、垂直方向にm1′〜m4′だけずれている。
したがって、上述した情報メモリバンク135には、クラスおよび出力画素(HD1〜HD4,HD1′〜HD4′)の組み合わせ毎に、上述した生成式((5)式または(6)式)を得るための情報が格納されている。
【0056】
情報メモリバンク135に蓄えられる情報についてさらに詳細に説明する。
本出願人による先の出願(特願平2000−348730号)においては、各クラスにおける係数データWi(i=1〜n)を、例えば(7)式に示すように、パラメータh,vを含む生成式によって生成することを提案した。この生成式の係数データである係数種データwi0〜wi9は、予め学習によって求められ、情報メモリバンクに格納される。
Figure 0004691849
【0057】
この(7)式で示すような生成式は、パラメータh,vを含んでおり、パラメータh,vの値を変化させることで、そのパラメータh,vの値に対応した係数データWiを得ることができ、画質調整が可能となる。
【0058】
図6は、係数種データwi0〜wi9の生成方法を示している。
まず、HD信号から複数のSD信号を生成する。例えば、HD信号からSD信号を生成する際に使用する帯域制限フィルタの水平帯域と垂直帯域を可変するパラメータh,vをそれぞれ9段階に可変して、合計81種類のSD信号を生成する。
【0059】
図7は、パラメータh,vの値と、水平帯域、垂直帯域との相関を示している。この場合、パラメータhの値が大きくなる程、水平帯域が広くなり、従って生成されるSD信号の水平方向の解像度は高くなる。同様に、パラメータvの値が大きくなる程、垂直帯域が広くなり、従って生成されるSD信号の垂直方向の解像度は高くなる。
【0060】
図6に戻って、次に、上述した81種類の各SD信号とHD信号との間でそれぞれ学習を行って、上述した(4)式の推定式における係数データWi(i=1〜n)を生成する。これにより、81種類の係数データWi(i=1〜n)が得られる。なお、図6にはn=13の例を示している。そして、この81種類の係数データWi(i=1〜n)を使用して、(7)式の係数データである係数種データwi0〜wi9を生成する。
【0061】
このように、係数種データwi0〜wi9は、推定式の係数データWiを、帯域制限フィルタの帯域という離散的なパラメータh,vを含む連続関数で近似することで生成されたものである。すなわち、(7)式におけるパラメータh,vは学習時に連続的な値を取り得るものではなく、そのため(7)式によって生成される係数データWiは擬似的に連続したものとなる。したがって、(7)式を使用して推定式の係数データWiを求めるものとすれば、HD信号による画像の解像度を連続的に変化させることが困難である。
【0062】
さて、本実施の形態のように、情報メモリバンク135に(5)式または(6)式を生成するための情報が格納されるものとして、各情報の生成方法について説明する。
まず、(5)式における、係数データW(i,0,0)および算出式apr(h),apr(v)の求め方を説明する。
【0063】
[係数データW(i,0,0)の求め方]
帯域制限フィルタの水平帯域と垂直帯域をh=0,v=0に対応するものとして、HD信号からSD信号を生成する。そして、このSD信号とHD信号との間で学習を行って、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、(4)式の推定式の係数データWiを生成する。この係数データWiが、h=0,v=0に対応した係数データW(i,0,0)となる。
【0064】
推定式の係数データWiの求め方を説明する。
(4)式の推定式の係数データWi(i=1〜n)を最小二乗法により求める。一般化した例として、Xを入力データ、Wを係数データ、Yを予測値として、(8)式の観測方程式を考える。この(8)式において、mは学習データの数を示し、nは予測タップの数を示している。
【0065】
【数4】
Figure 0004691849
【0066】
(8)式の観測方程式により収集されたデータに最小二乗法を適用する。この(8)式の観測方程式をもとに、(9)式の残差方程式を考える。
【0067】
【数5】
Figure 0004691849
【0068】
(9)式の残差方程式から、各Wiの最確値は、(10)式のe2を最小にする条件が成り立つ場合と考えられる。すなわち、(11)式の条件を考慮すればよいわけである。
【0069】
【数6】
Figure 0004691849
【0070】
つまり、(11)式のiに基づくn個の条件を考え、これを満たす、W1,W2,・・・,Wnを算出すればよい。そこで、(9)式の残差方程式から、(12)式が得られる。さらに、(12)式と(8)式とから、(13)式が得られる。
【0071】
【数7】
Figure 0004691849
【0072】
そして、(9)式と(13)式とから、(14)式の正規方程式が得られる。
【0073】
【数8】
Figure 0004691849
【0074】
(14)式の正規方程式は、未知数の数nと同じ数の方程式を立てることが可能であるので、各Wiの最確値を求めることができる。この場合、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等を用いて連立方程式を解くことになる。
【0075】
[算出式apr(h),apr(v)の求め方]
算出式apr(h)について述べる。
図8は、HD信号からSD信号を得る際に使用される帯域制限フィルタとしての水平間引きフィルタにおける水平帯域を9段階(h=0,1,・・・,9)に可変した際の、当該水平間引きフィルタの各タップのフィルタ係数を示している。折れ線を構成する各点の横方向位置はHD信号の画素位置に対応し、横軸に付された数値はSD信号の画素位置に対応し、横軸の「0」の画素位置が生成すべきSD画素の位置となる。
【0076】
パラメータhの各値に対応した上述の水平間引きフィルタの各タップのフィルタ係数をそれぞれ積分して積分値を求める。この場合、例えば、パーシバルの等式を考慮して、各タップのフィルタ係数の二乗和を取って積分値を算出する。図9は、パラメータhの各値に対応した積分値のプロット例を示したものである。(15)式は、パーシバルの等式を示している。式中の、f(t)は時間軸上の信号であり、A(ω)はf(t)のフーリエスペクトルである。
【0077】
【数9】
Figure 0004691849
【0078】
このように得られたパラメータhの各値に対応した積分値の逆数をとり、h=0に対応する逆数が1となるように正規化する。この正規化後の積分値の逆数を劣化評価値と呼ぶ。この劣化評価値は、パラメータh=0のときの水平間引きフィルタによる水平解像度を基準とした、パラメータhの各値のときの水平間引きフィルタによる水平解像度の低下の度合いを示すものとなる。
【0079】
図10は、パラメータhの各値に対応した劣化評価値のプロット例を示したものである。このパラメータhの各値に対応した劣化評価値を近似する近似式が、上述した算出式apr(h)となる。この近似式は、例えば、パラメータhの各値に対応した積分値を最小二乗法等により一次式で近似し、この一次式の逆数を用いて表すことができる。(16)式は、パラメータhの各値に対応した積分値が図9に示すような値であるときのapr(h)を示している。式中の(0.0234*h+0.188)の部分が一次式に対応し、0.0234が傾き、0.188が切片である。
【0080】
【数10】
Figure 0004691849
【0081】
算出式apr(v)について述べる。
【0082】
図11は、HD信号からSD信号を得る際に使用される帯域制限フィルタとしての垂直間引きフィルタにおける垂直帯域を9段階(v=0,1,・・・,9)に可変した際の、当該垂直間引きフィルタの各タップのフィルタ係数を示している。折れ線を構成する各点の横方向位置はHD信号の画素位置に対応し、横軸に付された数値はSD信号の画素位置に対応し、横軸の「0」の画素位置が生成すべきSD画素の位置となる。
【0083】
パラメータvの各値に対応した上述の垂直間引きフィルタの各タップのフィルタ係数をそれぞれ積分して積分値を求める。この場合、例えば、パーシバルの等式((15)式参照)を考慮して、各タップのフィルタ係数の二乗和を取って積分値を算出する。図12は、パラメータvの各値に対応した積分値のプロット例を示したものである。
【0084】
このように得られたパラメータvの各値に対応した積分値の逆数をとり、v=0に対応する逆数が1となるように正規化する。この正規化後の積分値の逆数を劣化評価値と呼ぶ。この劣化評価値は、パラメータv=0のときの垂直間引きフィルタによる垂直解像度を基準とした、パラメータvの各値のときの垂直間引きフィルタによる垂直解像度の低下の度合いを示すものとなる。
【0085】
図13は、パラメータvの各値に対応した劣化評価値のプロット例を示したものである。このパラメータvの各値に対応した劣化評価値を近似する近似式が、上述した算出式apr(v)となる。この近似式は、例えば、パラメータvの各値に対応した積分値を最小二乗法等により一次式で近似し、この一次式の逆数を用いて表すことができる。(17)式は、パラメータvの各値に対応した積分値が図12に示すような値であるときのapr(v)を示している。式中の(0.0214*h+0.325)の部分が一次式に対応し、0.0214が傾き、0.325が切片である。
【0086】
【数11】
Figure 0004691849
【0087】
次に、(6)式における、係数データW(i,0,0)および算出式apr(h,v)の求め方を説明する。
[係数データW(i,0,0)の求め方]
帯域制限フィルタの水平帯域と垂直帯域をh=0,v=0に対応するものとして、HD信号からSD信号を生成する。そして、このSD信号とHD信号との間で学習を行って、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、(4)式の推定式の係数データWiを生成する。この係数データWiが、h=0,v=0に対応した係数データW(i,0,0)となる。この係数データW(i,0,0)は、(5)式における係数データW(i,0,0)と同じである。推定式の係数データWiの求め方も上述したと同様である。
【0088】
[算出式apr(h,v)の求め方]
図14A,Bは、HD信号からSD信号を得る際に使用される帯域制限フィルタとしての水平間引きフィルタにおける水平帯域を9段階(h=0,1,・・・,9)に可変すると共に、HD信号からSD信号を得る際に使用される帯域制限フィルタとしての垂直間引きフィルタにおける垂直帯域を9段階(h=0,1,・・・,9)に可変した際の、当該水平間引きフィルタおよび垂直間引きフィルタを合成したフィルタにおける各タップのフィルタ係数を示している。
【0089】
図14Aは、h=0,v=0〜h=0,v=8に対応した各タップのフィルタ係数を示しており、図14Bは、h=8,v=0〜h=8,v=8に対応した各タップのフィルタ係数を示している。h,vがその他の値をとる場合における各タップのフィルタ係数の図示は省略している。これら、図14A,Bは2次元のフィルタ係数面を垂直方向に切断した図である。折れ線を構成する各点の横方向位置はHD信号の画素位置に対応し、横軸の「0」の画素位置が生成すべきSD画素の位置となる。
【0090】
パラメータh,vの各値に対応した上述の合成フィルタの各タップのフィルタ係数をそれぞれ積分して積分値を求める。通常、周波数フィルタを合成する場合、時間軸では畳み込み積分が行われる((18)式参照)。図15は、パラメータh,vの各値に対応した積分値のプロット例を示したものである。
【0091】
【数12】
Figure 0004691849
【0092】
このように得られたパラメータh,vの各値に対応した積分値の逆数をとり、h=0,v=0に対応する逆数が1となるように正規化する。この正規化後の積分値の逆数を劣化評価値と呼ぶ。この劣化評価値は、パラメータh=0,v=0のときの合成フィルタによる解像度を基準とした、パラメータh,vの各値のときの合成フィルタによる解像度の低下の度合いを示すものとなる。
【0093】
図16は、パラメータh,vの各値に対応した劣化評価値のプロット例を示したものである。このパラメータh,vの各値に対応した劣化評価値を近似する近似式が、上述した算出式apr(h,v)となる。この近似式は、例えば、パラメータh,vの各値に対応した積分値を最小二乗法等により三次式で近似し、この三次式の逆数を用いて表すことができる。(19)式は、パラメータh,vの各値に対応した積分値が図15に示すような値であるときのapr(h,v)を示している。式中のvalの部分が三次式に対応している。
【0094】
また、図1に戻って、画像信号処理部110は、情報メモリバンク135に格納されている情報に基づいて、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、パラメータh,vの値に対応した推定式の係数データWiを演算で求める係数生成回路136とを有している。
【0095】
この場合、(5)式の生成式を使用するものにあっては、情報メモリバンク135に格納されている算出式情報に基づいて構成された算出式apr(h),apr(v)、および情報メモリバンク135に格納されている係数データW(i,0,0)に基づいて(5)式の生成式が構成され、この生成式により、パラメータh,vの値に対応した推定式の係数データWiが生成される。
【0096】
またこの場合、(6)式の生成式を使用するものにあっては、情報メモリバンク135に格納されている算出式情報に基づいて構成された算出式apr(h,v)、および情報メモリバンク135に格納されている係数データW(i,0,0)に基づいて(6)式の生成式が構成され、この生成式により、パラメータh,vの値に対応した推定式の係数データWiが生成される。
【0097】
係数生成回路136による推定式の係数データWiの生成は、例えば各垂直ブランキング期間で行われる。これにより、ユーザのリモコン送信機200の操作によってパラメータh,vの値が変更されても、係数メモリ134に格納される各クラスの係数データWiを、そのパラメータh,vの値に対応したものに即座に変更でき、ユーザによる画質調整がスムーズに行われる。
【0098】
また、画像信号処理部110は、係数生成回路136で求められる係数データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sを、(20)式によって、演算する正規化係数演算部137と、この正規化係数Sを格納する正規化係数メモリ138とを有している。正規化係数メモリ138には上述したクラス合成回路126より出力されるクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この正規化係数メモリ138からはクラスコードCLに対応した正規化係数Sが読み出され、後述する正規化演算回路128に供給されることとなる。
【0099】
【数13】
Figure 0004691849
【0100】
また、画像信号処理部110は、第1のタップ選択回路121で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ134より読み出される係数データWiとから、(4)式の推定式によって、作成すべきHD信号の画素(注目画素)のデータを演算する推定予測演算回路127を有している。
【0101】
上述したように、SD信号(525i信号)をHD信号(525p信号)に変換する際には、SD信号の1画素に対してHD信号の4画素(図4のHD1〜HD4、図5のHD1′〜HD4′参照)を得る必要があることから、この推定予測演算回路127では、HD信号を構成する2×2の単位画素ブロック毎に、画素データが生成される。すなわち、この推定予測演算回路127には、第1のタップ選択回路121より単位画素ブロック内の4画素(注目画素)に対応した予測タップのデータxiと、係数メモリ134よりその単位画素ブロックを構成する4画素に対応した係数データWiとが供給され、単位画素ブロックを構成する4画素のデータy1〜y4は、それぞれ個別に上述した(4)式の推定式で演算される。
【0102】
また、画像信号処理部110は、推定予測演算回路127より順次出力される4画素のデータy1〜y4を、正規化係数メモリ138より読み出される、それぞれの演算に使用された係数データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sで除算して正規化する正規化演算回路128を有している。上述せずも、係数生成回路136で生成式により推定式の係数データWiを求めるものであるが、求められる係数データは丸め誤差を含み、係数データWi(i=1〜n)の総和が1.0になることは保証されない。そのため、推定予測演算回路127で演算される各画素のデータy1〜y4は、丸め誤差によってレベル変動したものとなる。上述したように、正規化演算回路128で正規化することで、その変動を除去できる。
【0103】
また、画像信号処理部110は、正規化演算回路128で正規化されて順次供給される単位画素ブロック内の4画素のデータy1′〜y4′を線順次化して525p信号のフォーマットで出力する後処理回路129を有している。
【0104】
次に、画像信号処理部110の動作を説明する。
バッファメモリ109に記憶されているSD信号(525i信号)より、第2のタップ選択回路122で、作成すべきHD信号(525p信号)を構成する単位画素ブロック内の4画素(注目画素)の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第2のタップ選択回路122で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路124に供給される。この空間クラス検出回路124では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードqiが得られる((1)式参照)。
【0105】
また、バッファメモリ109に記憶されているSD信号(525i信号)より、第3のタップ選択回路123で、作成すべきHD信号(525p信号)を構成する単位画素ブロック内の4画素(注目画素)の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路125に供給される。この動きクラス検出回路125では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
【0106】
この動き情報MVと上述した再量子化コードqiはクラス合成回路126に供給される。このクラス合成回路126では、これら動き情報MVと再量子化コードqiとから、作成すべきHD信号(525p信号)を構成する単位画素ブロック毎にその単位画素ブロック内の4画素(注目画素)が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる((3)式参照)。そして、このクラスコードCLは、係数メモリ134および正規化係数メモリ138に読み出しアドレス情報として供給される。
【0107】
係数メモリ134には、例えば各垂直ブランキング期間に、係数生成回路136で、ユーザによって調整されたパラメータh,vの値に対応して、クラスおよび出力画素(HD1〜HD4,HD1′〜HD4′)の組み合わせ毎に、推定式の係数データWi(i=1〜n)が求められて格納される。この場合、係数生成回路136では、情報メモリバンク135に格納されている情報に基づいて、推定式の係数データWiを生成するための生成式が構成されて使用される。上述したように、生成式としては、(5)式あるいは(6)式が使用される。
【0108】
また、正規化係数メモリ138には、上述したように係数生成回路136で求められた推定式の係数データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sが正規化係数演算部137で生成されて格納される。
【0109】
係数メモリ134に上述したようにクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給されることで、この係数メモリ134からクラスコードCLに対応した4出力画素(奇数フィールドではHD1〜HD4、偶数フィールドではHD1′〜HD4′)分の推定式の係数データWiが読み出されて推定予測演算回路127に供給される。また、バッファメモリ109に記憶されているSD信号(525i信号)より、第1のタップ選択回路121で、作成すべきHD信号(525p信号)を構成する単位画素ブロック内の4画素(注目画素)の周辺に位置する予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。
【0110】
推定予測演算回路127では、予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ134より読み出される4出力画素分の係数データWiとから、作成すべきHD信号を構成する単位画素ブロック内の4画素(注目画素)のデータy1〜y4が演算される((4)式参照)。そして、この推定予測演算回路127より順次出力されるHD信号を構成する単位画素ブロック内の4画素のデータy1〜y4は正規化演算回路128に供給される。
【0111】
正規化係数メモリ138には上述したようにクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この正規化係数メモリ138からはクラスコードCLに対応した正規化係数S、つまり推定予測演算回路127より出力されるHD画素データy1〜y4の演算に使用された係数データWiに対応した正規化係数Sが読み出されて正規化演算回路128に供給される。この正規化演算回路128では、推定予測演算回路127より出力されるHD画素データy1〜y4がそれぞれ対応する正規化係数Sで除算されて正規化される。これにより、生成式((5)式、(6)式参照)から演算によって推定式((4)式参照)の係数データWiを求める際の丸め誤差によるデータy1〜y4のレベル変動が除去される。
【0112】
このように正規化演算回路128で正規化されて順次出力される単位画素ブロック内の4画素のデータy1′〜y4′は後処理回路129に供給される。この後処理回路129では、正規化演算回路128より順次供給される単位画素ブロック内の4画素のデータy1′〜y4′が線順次化され、525p信号のフォーマットで出力される。つまり、後処理回路129からは、HD信号としての525p信号が出力される。
【0113】
上述したように、図1に示すテレビ受信機100では、情報メモリバンク135に記憶されている情報に基づいて構成された生成式((5)式、(6)式参照)を使用して、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、パラメータh,vの値に対応した推定式の係数データWiが演算で求められる。このクラスおよび出力画素の組み合わせ毎の推定式の係数データWiが係数メモリ134に格納される。そして、この係数メモリ134より、クラスコードCLに対応して読み出される係数データWiを用いて推定予測演算回路127でHD画素データyが演算される。
【0114】
したがって、ユーザは、パラメータh,vの値を調整することで、HD信号によって得られる画像の水平、垂直の解像度を任意に調整することができる。なおこの場合、調整されたパラメータh,vの値に対応した、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎の係数データWiをその都度、係数生成回路136で生成して使用するものであり、大量の係数データを格納しておくメモリを必要としない。
【0115】
また、図1に示すテレビ受信機100では、推定式の係数データWiを、教師信号を帯域制限して生徒信号を得るための帯域制限フィルタの所定帯域(h=0,v=0の場合)に対応した推定式の係数データW(i,0,0)と、パラメータh,vを含み上記所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式(apr(h),apr(v)、またはapr(h,v))に基づいて構成された生成式により生成するものであり、パラメータh,vの値の変化に対応して連続的に変化する推定式の係数データWiを得ることができ、HD信号による画像の水平、垂直の解像度をなめらかに変化させることができる。
【0116】
なお、図1に示すテレビ受信機100においては、係数生成回路136で各クラスの係数データWiを生成して係数メモリ134に格納し、クラス合成回路126より出力されるクラスコードCLに対応した係数データWiをこの係数メモリ134より読み出して使用するものであったが、係数生成回路136でクラス合成回路126からのクラスコードCLに対応した係数データWiをその都度生成し、これを推定予測演算回路127で使用するようにしてもよい。その場合には、係数メモリ134は不要となる。またこの場合、正規化係数メモリ138も不要となる。
【0117】
図17は、上述したテレビ受信機100の情報メモリバンク135に格納される情報を取得する情報取得装置150の構成を示している。
この情報取得装置150は、教師信号としてのHD信号(525p信号)が入力される入力端子151と、このHD信号に対して水平および垂直の間引き処理を行って、生徒信号としてのSD信号を得るSD信号生成回路152とを有している。このSD信号生成回路152にはパラメータh,vが供給される。
SD信号生成回路152は、図18に示すように、垂直間引きフィルタ152aおよび水平間引きフィルタ152bが直列接続されて構成される。
【0118】
垂直間引きフィルタ152aは、間引き処理によって、垂直方向の画素数を、HD信号に対応した数からSD信号に対応した数に減少させる。この垂直間引きフィルタ152aは、帯域制限フィルタとしても機能し、供給されるパラメータvの値が大きくなる程、垂直方向の帯域が広くなるように、複数のHD画素データに乗算すべき各タップのフィルタ係数が決定される(図7、図11参照)。
【0119】
水平間引きフィルタ152bは、間引き処理によって、水平方向の画素数を、HD信号に対応した数からSD信号に対応した数に減少させる。この垂直間引きフィルタ152bは、帯域制限フィルタとしても機能し、供給されるパラメータhの値が大きくなる程、水平方向の帯域が広くなるように、複数のHD画素データに乗算すべき各タップのフィルタ係数が決定される(図7、図8参照)。
【0120】
また、情報取得装置150は、SD信号生成回路152より出力されるSD信号(525i信号)より、HD信号(525p信号)に係る注目画素の周辺に位置する複数のSD画素のデータを選択的に取り出して出力する第1〜第3のタップ選択回路153〜155を有している。これら第1〜第3のタップ選択回路153〜155は、上述した画像信号処理部110の第1〜第3のタップ選択回路121〜123と同様に構成される。
【0121】
また、情報取得装置150は、第2のタップ選択回路154で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)のレベル分布パターンを検出し、このレベル分布パターンに基づいて空間クラスを検出し、そのクラス情報を出力する空間クラス検出回路157を有している。この空間クラス検出回路157は、上述した画像信号処理部110の空間クラス検出回路124と同様に構成される。この空間クラス検出回路157からは、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データ毎の再量子化コードqiが空間クラスを示すクラス情報として出力される。
【0122】
また、情報取得装置150は、第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)より、主に動きの程度を表すための動きクラスを検出し、そのクラス情報MVを出力する動きクラス検出回路158を有している。この動きクラス検出回路158は、上述した画像信号処理部110の動きクラス検出回路125と同様に構成される。この動きクラス検出回路158では、第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)からフレーム間差分が算出され、さらにその差分の絶対値の平均値に対してしきい値処理が行われて動きの指標である動きクラスが検出される。
【0123】
また、情報取得装置150は、空間クラス検出回路157より出力される空間クラスのクラス情報としての再量子化コードqiと、動きクラス検出回路158より出力される動きクラスのクラス情報MVに基づき、HD信号(525p信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLを得るためのクラス合成回路159を有している。このクラス合成回路159も、上述した画像信号処理部110のクラス合成回路126と同様に構成される。
【0124】
また、情報取得装置150は、入力端子151に供給されるHD信号から得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、クラス毎に、係数データWi(i=1〜n)を得るための正規方程式((14)式参照)を生成する正規方程式生成部160を有している。
【0125】
この場合、1個のHD画素データyとそれに対応するn個の予測タップのデータ(SD画素データ)xiとの組み合わせで学習データが生成されるが、SD信号生成回路152からはh=0,v=0に対応した、つまり垂直帯域および水平帯域が最も狭くされたSD信号を得るようにされる。これにより、このSD信号に係る多くの学習データが登録された正規方程式が生成される。
【0126】
またこの場合、1個のHD画素データyとそれに対応するn個の予測タップのデータ(SD画素データ)xiとの組み合わせで学習データが生成されるが、正規方程式生成部161では、出力画素(図4のHD1〜HD4、図5のHD1′〜HD4′参照)毎に、正規方程式が生成される。例えば、HD1に対応した正規方程式は、中心予測タップに対するずれ値がHD1と同じ関係にあるHD画素データyから構成される学習データから生成される。
【0127】
また、情報取得装置150は、正規方程式生成部160で、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に生成された正規方程式のデータが供給され、当該正規方程式を解いて、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、h=0,v=0(垂直帯域および水平帯域が最も狭い)に対応した推定式の係数データWiを求める係数データ決定部161とを有している。係数種データ決定部161では、正規方程式が例えば掃き出し法などによって解かれて、係数データWiが求められる。
【0128】
また、情報取得装置150は、v=0,1,・・・,8に対応して決定される垂直間引きフィルタの各タップのフィルタ係数を積分すると共に、h=0,1,・・・,8に対応して決定される水平間引きフィルタの各タップのフィルタ係数を積分する積分値算出部171と、この積分値算出部171で得られるパラメータhの各値に対応した積分値を最小二乗法等により一次式で近似すると共に、積分値算出部171で得られるパラメータvの各値に対応した積分値を最小二乗法等により一次式で近似する近似式生成部172とを有している。
【0129】
なお、v=0,1,・・・,8に対応して決定される垂直間引きフィルタの各タップのフィルタ係数は、パラメータvを0,1,・・・,8と順次変化させることで、SD信号生成回路152より得られる。同様に、h=0,1,・・・,8に対応して決定される水平間引きフィルタの各タップのフィルタ係数は、パラメータhを0,1,・・・,8と順次変化させることで、SD信号生成回路152より得られる。
【0130】
また、情報取得装置150は、近似式生成部172で生成される、パラメータhに関する一次式(近似式)の逆数をとり、それをh=0で1となるように正規化処理して劣化評価値の算出式apr(h)((16)式参照)を得ると共に、近似式生成部172で生成される、パラメータvに関する一次式(近似式)の逆数をとり、それをv=0で1となるように正規化処理して劣化評価値の算出式apr(v)((17)式参照)を得る算出式生成部173を有している。
【0131】
また、情報取得装置150は、上述した係数データ決定部161で求められた係数データWiを、係数データW(i,0,0)として記憶すると共に、算出式生成部173で得られる算出式apr(h),apr(v)を構成するための情報INFを記憶する情報メモリ174を有している。
【0132】
図17に示す情報取得装置150の動作を説明する。
入力端子151には教師信号としてのHD信号(525p信号)が供給され、そしてこのHD信号に対してSD信号生成回路152で水平および垂直の間引き処理が行われて生徒信号としてのSD信号(525i信号)が生成される。この場合、SD信号生成回路152に供給されるパラメータh,vの値はそれぞれ0とされる。これにより、SD信号生成回路152からは、h=0,v=0(垂直帯域および水平帯域が最も狭い)に対応したSD信号が得られる。
【0133】
このSD信号(525i信号)より、第2のタップ選択回路154で、HD信号(525p信号)に係る注目画素の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第2のタップ選択回路154で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路157に供給される。この空間クラス検出回路157では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードqiが得られる((1)式参照)。
【0134】
また、SD信号生成回路152で生成されたSD信号より、第3のタップ選択回路155で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路158に供給される。この動きクラス検出回路158では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
【0135】
このクラス情報MVと上述した再量子化コードqiはクラス合成回路159に供給される。このクラス合成回路159では、これらクラス情報MVと再量子化コードqiとから、HD信号(525p信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる((3)式参照)。
【0136】
また、SD信号生成回路152で生成されるSD信号より、第1のタップ選択回路153で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。
【0137】
そして、入力端子151に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、正規方程式生成部160では、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、係数データWiを得るための正規方程式((14)式参照)が個別に生成される。
【0138】
そして、係数データ決定部161で各正規方程式が解かれ、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、h=0,v=0(垂直帯域および水平帯域が最も狭い)に対応した推定式の係数データWiを求められ、それらが係数データW(i,0,0)として情報メモリ174に記憶される。
【0139】
また、パラメータvを0,1,・・・,8と順次変化させることでSD信号生成回路152より出力される、パラメータvの各値に対応して決定される垂直間引きフィルタの各タップのフィルタ係数が積分値算出部171に供給されて積分され、パラメータvの各値に対応した積分値が得られる。同様に、パラメータhを0,1,・・・,8と順次変化させることでSD信号生成回路152より出力される、パラメータhの各値に対応して決定される水平間引きフィルタの各タップのフィルタ係数が積分値算出部171に供給されて積分され、パラメータhの各値に対応した積分値が得られる。
【0140】
そして、積分値算出部171で得られたパラメータvの各値に対応した積分値が近似式生成部172に供給され、各積分値が最小二乗法等により一次式で近似される。同様に、積分値算出部171で得られたパラメータhの各値に対応した積分値が近似式生成部172に供給され、各積分値が最小二乗法等により一次式で近似される。
【0141】
そして、近似式生成部172で生成されたパラメータvに関する一次式(近似式)の情報が算出式生成部173に供給され、その一次式(近似式)の逆数がとられ、さらにv=0で1となるように正規化処理されて劣化評価値の算出式apr(v)が得られる。同様に、近似式生成部172で生成されたパラメータhに関する一次式(近似式)の情報が算出式生成部173に供給され、その一次式(近似式)の逆数がとれ、さらにh=0で1となるように正規化処理されて劣化評価値の算出式apr(h)が得られる。
【0142】
このように算出式生成部173で得られる、算出式apr(h),apr(v)を構成するための情報INFが情報メモリ174に記憶される。
このように、図17に示す情報取得装置150においては、図1の画像信号処理部110の情報メモリバンク135に記憶される、推定式の係数データWiを生成するための生成式((5)式参照)を得るための情報を取得することができる。
【0143】
なお、推定式の係数データWiを生成するための生成式が(6)式である場合には、積分値算出部171でパラメータh,vの各値にそれぞれ対応して決定される合成フィルタの各タップのフィルタ係数(図14A,B参照)の積分値が算出され(図15参照)、近似式生成部172でパラメータh,vの各値に対応した積分値が最小二乗法等により三次式で近似され、算出式生成部173でその三次式(近似式)の逆数がとられ、さらにh=0,v=0で1となるように正規化処理されて劣化評価値の算出式apr(h,v)((19)式参照)が得られる。そして、この算出式apr(h,v)を構成するための情報INFが情報メモリ174に記憶されることとなる。
【0144】
なお、図1の画像信号処理部110における処理を、例えば図19に示すような画像信号処理装置300によって、ソフトウェアで実現することも可能である。
まず、図19に示す画像信号処理装置300について説明する。この画像信号処理装置300は、装置全体の動作を制御するCPU301と、このCPU301の処理プログラム、さらに推定式の係数データWiを生成する生成式を構成するための情報(図1の画像信号処理部110の情報メモリバンク135に予め蓄えられている情報と同じ)等が格納されたROM(read only memory)302と、CPU301の作業領域を構成するRAM(random access memory)303とを有している。これらCPU301、ROM302およびRAM303は、それぞれバス304に接続されている。
【0145】
また、画像信号処理装置300は、外部記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)305と、フロッピー(R)ディスク306をドライブするフロッピー(R)ディスクドライブ(FDD)307とを有している。これらドライブ305,307は、それぞれバス304に接続されている。
【0146】
また、画像信号処理装置300は、インターネット等の通信網400に有線または無線で接続する通信部308を有している。この通信部308は、インタフェース309を介してバス304に接続されている。
【0147】
また、画像信号処理装置300は、ユーザインタフェース部を備えている。このユーザインタフェース部は、リモコン送信機200からのリモコン信号RMを受信するリモコン信号受信回路310と、LCD(liquid crystal display)等からなるディスプレイ311とを有している。受信回路310はインタフェース312を介してバス304に接続され、同様にディスプレイ311はインタフェース313を介してバス304に接続されている。
【0148】
また、画像信号処理装置300は、SD信号を入力するための入力端子314と、HD信号を出力するための出力端子315とを有している。入力端子314はインタフェース316を介してバス304に接続され、同様に出力端子315はインタフェース317を介してバス304に接続される。
【0149】
ここで、上述したようにROM302に処理プログラム等を予め格納しておく代わりに、例えばインターネットなどの通信網400より通信部308を介してダウンロードし、ハードディスクやRAM303に蓄積して使用することもできる。また、これら処理プログラム、係数種データ等をフロッピー(R)ディスク306で提供するようにしてもよい。
【0150】
また、処理すべきSD信号を入力端子314より入力する代わりに、予めハードディスクに記録しておき、あるいはインターネットなどの通信網400より通信部308を介してダウンロードしてもよい。また、処理後のHD信号を出力端子315に出力する代わり、あるいはそれと並行してディスプレイ311に供給して画像表示をしたり、さらにはハードディスクに格納したり、通信部308を介してインターネットなどの通信網400に送出するようにしてもよい。
【0151】
図20のフローチャートを参照して、図19に示す画像信号処理装置300における、SD信号よりHD信号を得るため処理手順を説明する。
まず、ステップST1で、処理を開始し、ステップST2で、SD画素データをフレーム単位またはフィールド単位で入力する。このSD画素データが入力端子314より入力される場合には、このSD画素データをRAM303に一時的に格納する。また、このSD画素データがハードディスクに記録されている場合には、ハードディスクドライブ307でこのSD画素データを読み出し、RAM303に一時的に格納する。そして、ステップST3で、入力SD画素データの全フレームまたは全フィールドの処理が終わっているか否かを判定する。処理が終わっているときは、ステップST4で、処理を終了する。一方、処理が終わっていないときは、ステップST5に進む。
【0152】
このステップST5では、ユーザがリモコン送信機200を操作して入力した画質指定値、つまりパラメータh,vの値を例えばRAM303より読み込む。そして、ステップST6で、例えばROM302から、推定式の係数データWiを生成する生成式((5)式または(6)式)を構成するための情報を読み込む。
【0153】
次に、ステップST7で、ステップST5で読み込んだパラメータh,vおよびステップST6で取得された情報とから、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、生成式を使用してパラメータh,vの値に対応した推定式の係数データWiを生成する。
【0154】
次に、ステップST8で、ステップST2で入力されたSD画素データより、生成すべき各HD画素データに対応して、クラスタップおよび予測タップの画素データを取得する。そして、ステップST9で、入力されたSD画素データの全領域においてHD画素データを得る処理が終了したか否かを判定する。終了しているときは、ステップST2に戻り、次のフレームまたはフィールドのSD画素データの入力処理に移る。一方、処理が終了していないときは、ステップST10に進む。
【0155】
このステップST10では、ステップST9で取得されたクラスタップのSD画素データからクラスコードCLを生成する。そして、ステップST11で、そのクラスコードCLに対応した係数データと予測タップのSD画素データを使用して、推定式により、HD画素データを生成し、その後にステップST8に戻って、上述したと同様の処理を繰り返す。
【0156】
このように、図20に示すフローチャートに沿って処理をすることで、入力されたSD信号を構成するSD画素データを処理して、HD信号を構成するHD画素データを得ることができる。上述したように、このように処理して得られたHD信号は出力端子315に出力されたり、ディスプレイ311に供給されてそれによる画像が表示されたり、さらにはハードディスクドライブ305に供給されてハードディスクに記録されたりする。
また、処理装置の図示は省略するが、図8の情報取得装置150における処理を、ソフトウェアで実現することも可能である。
【0157】
図21のフローチャートを参照して、推定式の係数データWiを生成するための生成式を得るための情報を取得する処理手順を説明する。
まず、ステップST41で、処理を開始し、ステップST42で、帯域制限フィルタの水平および垂直の帯域を決定するパラメータh,vをそれぞれ0に設定する。この場合、水平および垂直の帯域はそれぞれ最も狭くなる。
【0158】
次に、ステップST43で、既知のHD画素データをフレーム単位またはフィールド単位で入力する。そして、ステップST44で、全てのHD画素データについて処理が終了したか否かを判定する。終了していないときは、ステップST45で、ステップST43で入力されたHD画素データより、h=0,v=0に対応した帯域に制限されたSD画素データを生成する。
【0159】
そして、ステップST46で、ステップST45で生成されたSD画素データより、ステップST43で入力された各HD画素データに対応して、クラスタップおよび予測タップの画素データを取得する。そして、ステップST47で、生成されたSD画素データの全領域において学習処理を終了しているか否かを判定する。学習処理を終了しているときは、ステップST43に戻って、次のHD画素データの入力を行って、上述したと同様の処理を繰り返し、一方、学習処理を終了していないときは、ステップST48に進む。
【0160】
このステップST48では、ステップST46で取得されたクラスタップのSD画素データからクラスコードCLを生成する。そして、ステップST49で、係数データを得るための正規方程式((14)式参照)を、クラス毎に、生成する。その後に、ステップST46に戻る。
【0161】
上述したステップST44で、全てのHD画素データについて処理が終了したときは、ステップST50で、ステップST49で生成された正規方程式を掃き出し法等で解いて、クラス毎に、h=0,v=0(垂直帯域および水平帯域が最も狭い)に対応した推定式の係数データWiを算出する。
【0162】
次に、ステップST51で、例えばROM302に記憶されているパラメータh,vの各値にそれぞれ対応して決定される帯域制限フィルタの各タップのフィルタ係数を用いた演算処理によって、劣化評価値の算出式((5)式のapr(h),apr(v)、または(6)式のapr(h,v))の情報INFを取得する。
【0163】
そして、ステップST52で、ステップST50で算出された推定式の係数データWiを係数データW(i,0,0)としてメモリに保存すると共に、ステップST51で取得された算出式の情報INFをメモリに保存し、その後にステップST53で、処理を終了する。
【0164】
このように、図21に示すフローチャートに沿って処理をすることで、図17に示す情報取得装置150と同様の手法によって、推定式の係数データWiを生成する生成式を構成するための情報を取得できる。
【0165】
なお、上述実施の形態においては、h=0,v=0に対応する帯域を基準としたものであるが、パラメータh,vのその他の値に対応する帯域を基準とすることもできる。その場合に、(5)式のapr(h),apr(v)、あるいは(6)式のapr(h,v)は、そのパラメータh,vの値で1となるように正規化されることとなる。
【0166】
また、上述実施の形態において、情報メモリバンク135には、出力画素(HD1〜HD4、HD1′〜HD4′)毎に、推定式の係数データWiを生成する生成式を構成するための情報が記憶されている。SD信号(525i信号)の画素に対する出力画素の位相を変更することで、525p信号以外のHD信号も同様にして得ることができる。
【0167】
また、上述実施の形態においては、クラス分けをするものを示したが、この発明はクラス分けをしないものにも同様に適用できることは勿論である。
また、上述実施の形態においては、HD信号を生成する際の推定式として線形一次方程式を使用したものを挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば推定式として高次方程式を使用するものであってもよい。
また、上述実地の形態においては、情報信号が画像信号である場合を示したが、この発明はこれに限定されない。例えば、情報信号が音声信号である場合にも、この発明を同様に適用することができる。
【0168】
【発明の効果】
この発明によれば、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用される推定式の係数データを、教師信号を帯域制限して生徒信号を得るための帯域制限フィルタの所定帯域に対応した推定式の係数データおよび帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み上記所定帯域を基準とする帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求めるための算出式に基づいて構成される生成式により生成するものであり、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招くことなく、パラメータの値を調整して第2の情報信号による出力の質を任意に調整することができ、またパラメータの値の変化に対応して連続的に変化する係数データを得ることができ、第2の情報信号による出力の質をなめらかに変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態としてのテレビ受信機の構成を示すブロック図である。
【図2】予測タップとしてのSD画素と注目画素としての作成すべきHD画素との位置関係の一例を示す図である。
【図3】パラメータh,vの変化に対応した係数データWi(W1,W2,W3,W4,W5,・・・)の振る舞いを示す図である。
【図4】HD信号(525p信号)の単位画素ブロック内の4画素の中心予測タップからの位相ずれ(奇数フィールド)を示す図である。
【図5】HD信号(525p信号)の単位画素ブロック内の4画素の中心予測タップからの位相ずれ(偶数フィールド)を示す図である。
【図6】係数種データwi0〜wi9の生成方法を説明するための図である。
【図7】パラメータh,vの値と水平帯域、垂直帯域との相関を示す図である。
【図8】HD信号からSD信号を得る際に使用される帯域制限フィルタとしての水平間引きフィルタにおける水平帯域を9段階(h=0,1,・・・,9)に可変した際の、当該水平間引きフィルタの各タップのフィルタ係数を示す図である。
【図9】パラメータhの各値に対応したフィルタ係数の積分値のプロット例を示す図である。
【図10】パラメータhの各値に対応した劣化評価値のプロット例を示す図である。
【図11】HD信号からSD信号を得る際に使用される帯域制限フィルタとしての垂直間引きフィルタにおける垂直帯域を9段階(v=0,1,・・・,9)に可変した際の、当該垂直間引きフィルタの各タップのフィルタ係数を示す図である。
【図12】パラメータvの各値に対応したフィルタ係数の積分値のプロット例を示す図である。
【図13】パラメータvの各値に対応した劣化評価値のプロット例を示す図である。
【図14】水平間引きフィルタおよび垂直間引きフィルタを合成したフィルタにおける、パラメータh,vの各値に対応した各タップのフィルタ係数を示す図である。
【図15】パラメータh,vの各値に対応したフィルタ係数の積分値のプロット例を示す図である。
【図16】パラメータh,vの各値に対応した劣化評価値のプロット例を示す図である。
【図17】テレビ受信機の情報メモリバンクに格納される情報を取得する情報取得装置の構成を示すブロック図である。
【図18】SD信号生成回路の具体構成を示すブロック図である。
【図19】ソフトウェアで実現するための画像信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図20】画像信号処理を示すフローチャートである。
【図21】情報取得処理を示すフローチャートである。
【図22】525i信号と525p信号の画素位置関係を示す図である。
【符号の説明】
100・・・テレビ受信機、101・・・システムコントローラ、102・・・リモコン信号受信回路、105・・・受信アンテナ、106・・・チューナ、110・・・画像信号処理部、111・・・ディスプレイ部、112・・・OSD回路、121・・・第1のタップ選択回路、122・・・第2のタップ選択回路、123・・・第3のタップ選択回路、124・・・空間クラス検出回路、125・・・動きクラス検出回路、126・・・クラス合成回路、127・・・推定予測演算回路、128・・・正規化演算回路、129・・・後処理回路、134・・・係数メモリ、135・・・情報メモリバンク、136・・・係数生成回路、137・・・正規化係数演算部、138・・・正規化係数メモリ、150・・・情報取得装置,151・・・入力端子、152・・・SD信号生成回路、153・・・第1のタップ選択回路、154・・・第2のタップ選択回路、155・・・第3のタップ選択回路、157・・・空間クラス検出回路、158・・・動きクラス検出回路、159・・・クラス合成回路、160・・・正規方程式生成部、161・・・係数データ決定部、171・・・積分値算出部、172・・・近似式生成部、173・・・算出式生成部、174・・・情報メモリ、200・・・リモコン送信機、300・・・画像信号処理装置

Claims (12)

  1. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用され、上記第2の情報信号に係る注目点の情報データを、上記第1の情報信号から抽出される複数の情報データから算出するための推定式の係数データを生成する係数データ生成装置であって、
    上記第2の情報信号に対応した教師信号と該教師信号を帯域制限フィルタで所定帯域に制限して得られる上記第1の情報信号に対応した生徒信号との間の学習によって生成される、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データと、上記帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み上記所定帯域を基準とする上記帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報とを格納する格納手段と、
    上記パラメータの値を設定するパラメータ設定手段と、
    上記格納手段に格納されている上記算出式情報に基づいて構成された上記算出式と上記格納手段に格納されている上記所定帯域に対応した推定式の係数データとに基づいて構成された生成式により、上記パラメータ設定手段で設定された上記パラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成する係数データ生成手段と
    を備えることを特徴とする係数データ生成装置。
  2. 上記第1の情報信号および上記第2の情報信号は画像信号であり、
    上記算出式は、上記帯域制限フィルタの垂直方向の帯域を示す第1のパラメータを含む第1の算出式と、上記帯域制限フィルタの水平方向の帯域を示す第2のパラメータを含む第2の算出式とからなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の係数データ生成装置。
  3. 上記第1の情報信号および上記第2の情報信号は画像信号であり、
    上記算出式は、上記帯域制限フィルタの垂直方向の帯域を示す第1のパラメータと、上記帯域制限フィルタの水平方向の帯域を示す第2のパラメータとを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の係数データ生成装置。
  4. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用され、上記第2の情報信号に係る注目点の情報データを、上記第1の情報信号から抽出される複数の情報データから算出するための推定式の係数データを生成する係数データ生成方法であって、
    帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み所定帯域を基準とする上記帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報に基づいて上記算出式を構成するステップと、
    上記構成された算出式と、上記第2の情報信号に対応した教師信号と該教師信号を上記帯域制限フィルタで上記所定帯域に制限して得られる上記第1の情報信号に対応した生徒信号との間の学習によって生成される、上記所定帯域に対応し
    た上記推定式の係数データとに基づいて、上記推定式の係数データを生成する生成式を構成するステップと、
    上記パラメータの値を設定するステップと、
    上記構成された生成式により、上記設定されたパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成するステップと
    を備えることを特徴とする係数データ生成方法。
  5. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理装置であって、
    上記第2の情報信号に対応した教師信号と該教師信号を帯域制限フィルタで所定帯域に制限して得られる上記第1の情報信号に対応した生徒信号との間の学習によって生成される、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データと、上記帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み上記所定帯域を基準とする上記帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報とを格納する格納手段と、
    上記パラメータの値を設定するパラメータ設定手段と、
    上記格納手段に格納されている上記算出式情報に基づいて構成された上記算出式と上記格納手段に格納されている上記所定帯域に対応した推定式の係数データとに基づいて構成された生成式により、上記パラメータ設定手段で設定された上記パラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生する係数データ発生手段と、
    上記第1の情報信号から上記第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のデータ選択手段と、
    上記係数データ発生手段で発生された上記係数データと上記第1のデータ選択手段で選択された上記複数の第1の情報データとから、上記推定式を用いて上記注目点の情報データを算出して得る演算手段と
    を備えることを特徴とする情報信号処理装置。
  6. 上記第1の情報信号から上記第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第2のデータ選択手段と、
    上記第2のデータ選択手段で選択された上記複数の第2の情報データに基づいて上記注目点が属するクラスを検出するクラス検出手段とをさらに備え、
    上記格納手段は、上記クラス検出手段で検出し得るクラス毎に、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データおよび上記算出式情報を格納しており、
    上記係数データ発生手段は、上記クラス検出手段で検出されたクラスおよび上記パラメータ設定手段で設定された上記パラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生する
    ことを特徴とする請求項5に記載の情報信号処理装置。
  7. 上記係数データ発生手段は、
    クラス毎に、上記格納手段に格納された上記算出式情報に基づいて構成された上記算出式と上記格納手段に格納されている上記所定帯域に対応した推定式の係数データとに基づいて構成された生成式により、上記パラメータ設定手段で設定された上記パラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成する係数データ生成部と、
    上記係数データ生成部で生成された上記クラス毎の推定式の係数データを格納する格納部と、
    上記格納部より上記検出手段で検出されたクラスに対応した上記推定式の係数データを読み出して出力する係数データ読み出し部とを有してなる
    ことを特徴とする請求項6に記載の情報信号処理装置。
  8. 上記第1の情報信号および上記第2の情報信号は画像信号であり、
    上記算出式は、上記帯域制限フィルタの垂直方向の帯域を示す第1のパラメータを含む第1の算出式と、上記帯域制限フィルタの水平方向の帯域を示す第2のパラメータを含む第2の算出式とからなる
    ことを特徴とする請求項5に記載の情報信号処理装置。
  9. 上記第1の情報信号および上記第2の情報信号は画像信号であり、
    上記算出式は、上記帯域制限フィルタの垂直方向の帯域を示す第1のパラメータと、上記帯域制限フィルタの水平方向の帯域を示す第2のパラメータとを含む
    ことを特徴とする請求項5に記載の情報信号処理装置。
  10. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理方法であって、
    帯域制限フィルタの帯域を示すパラメータを含み所定帯域を基準とする上記帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報に基づいて上記算出式を構成するステップと、
    上記構成された算出式と、上記第2の情報信号に対応した教師信号と該教師信号を上記帯域制限フィルタで上記所定帯域に制限して得られる上記第1の情報信号に対応した生徒信号との間の学習によって生成される、上記所定帯域に対応し
    た上記推定式の係数データとに基づいて、上記推定式の係数データを生成する生成式を構成するステップと、
    上記パラメータの値を設定するステップと、
    上記構成された生成式により、上記設定されたパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生するステップと
    上記第1の情報信号から上記第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択するステップと、
    上記発生された係数データと上記選択された複数の情報データとから、上記推定式を用いて上記注目点の情報データを算出して得るステップと
    を備えることを特徴とする情報信号処理方法。
  11. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用する推定式の係数データを生成する生成式を得るために用いられる、帯域制限フィルタで制限する所定帯域に対応した上記推定式の係数データおよび上記帯域制限フィルタの帯域を示すパターンを含み上記所定帯域を基準とする上記帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報を取得する情報取得装置であって、
    上記第2の情報信号に対応した教師信号を上記帯域制限フィルタで帯域を上記所定帯域に制限して得られる上記第1の情報信号に対応した生徒信号から、上記教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択するデータ選択手段と、
    上記データ選択手段で選択された複数の情報データおよび上記教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、該生成された学習データに基づいて、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データを生成する係数データ生成手段と、
    上記パラメータの複数の値に対応してそれぞれ決定される上記帯域制限フィルタの各タップのフィルタ係数を積分するフィルタ係数積分手段と、
    上記フィルタ係数積分手段で得られる上記パラメータの複数の値にそれぞれ対応した複数の積分値に基づいて、上記算出式を構成するための算出式情報を取得する算出式情報取得手段と
    を備えることを特徴とする情報取得装置。
  12. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用する推定式の係数データを生成する生成式を得るために用いられる、帯域制限フィルタで制限する所定帯域に対応した上記推定式の係数データおよび上記帯域制限フィルタの帯域を示すパターンを含み上記所定帯域を基準とする上記帯域制限フィルタによる解像度低下の度合いを求める算出式を構成するための算出式情報を取得する情報取得方法であって、
    上記第2の情報信号に対応した教師信号を上記帯域制限フィルタで帯域を上記所定帯域に制限して得られる上記第1の情報信号に対応した生徒信号から、上記教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択する第1のステップと、
    上記第1のステップで選択された複数の情報データおよび上記教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、該生成された学習データに基づいて、上記所定帯域に対応した上記推定式の係数データを生成する第2のステップと、
    上記パラメータの複数の値に対応してそれぞれ決定される上記帯域制限フィルタの各タップのフィルタ係数を積分して積分値を得る第3のステップと、
    上記第3のステップで得られる、上記パラメータの複数の値にそれぞれ対応した複数の積分値に基づいて、上記算出式を構成するための算出式情報を取得する第4のステップと
    を備えることを特徴とする情報取得方法。
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