JP4649786B2 - 係数データの生成装置および生成方法、それを使用した情報信号の処理装置および処理方法、それに使用する係数種データの生成装置および生成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばNTSC方式のビデオ信号をハイビジョンのビデオ信号に変換する際に適用して好適な係数データの生成装置および生成方法、それを使用した情報信号の処理装置および処理方法、それに使用する係数種データの生成装置および生成方法に関する。詳しくは、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用される推定式の係数データを、教師信号から複数の物理的な特徴量によってそれぞれ周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた複数種類の生徒信号と教師信号との間の学習によって生成される複数種類の係数種データに基づいて生成することによって、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招くことなく、パラメータの値の変化に対応した係数データを得ることができ、また多様に変化する係数データを得ることができるようにした係数データ生成装置等に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば525i信号というSD(Standard Definition)信号を、1050i信号というHD(High Definition)信号に変換するフォーマット変換が提案されている。525i信号は、ライン数が525本でインタレース方式の画像信号を意味し、1050i信号は、ライン数が1050本でインタレース方式の画像信号を意味する。
【0003】
図30は、525i信号と1050i信号の画素位置関係を示している。ここで、大きなドットが525i信号の画素であり、小さなドットが1050i信号の画素である。また、奇数フィールドの画素位置を実線で示し、偶数フィールドの画素位置を破線で示している。525i信号を1050i信号に変換する場合、奇数、偶数のそれぞれのフィールドにおいて、525i信号の1画素に対応して1050i信号の4画素を得る必要がある。
【0004】
従来、上述したようなフォーマット変換を行うために、525i信号の画素データより1050i信号の画素データを得る際に、525i信号の画素に対する1050i信号の各画素の位相に対応した推定式の係数データをメモリに格納しておき、この係数データを用いて推定式によって1050i信号の画素データを求めることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように推定式によって1050i信号の画素データを求めるものにおいては、この1050i信号による画像の解像度は固定されており、従来のコントラストやシャープネス等の調整のように、画像内容等に応じて所望の解像度とすることができなかった。ユーザが所望の解像度に任意に調整するために、複数の解像度に対応する係数データを用意しておくことが考えられるが、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招き、装置のコストアップにつながる。
【0006】
この発明は、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招くことなく、パラメータの値の変化に対応した係数データを得ることができ、また多様に変化する係数データを得ることができるようにした係数データ生成装置等を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る係数データ生成装置は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用され、第2の情報信号に係る注目点の情報データを、第1の情報信号から抽出される複数の情報データから算出するための推定式の係数データを生成する係数データ生成装置であって、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データと、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性より該周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、それぞれ第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを格納する格納手段と、第1のパラメータの値および第2〜第Nのパラメータの値を設定するパラメータ設定手段と、格納手段に格納されている第1の係数種データおよび第2〜第Nの係数種データに基づいて、パラメータ設定手段で設定された第1のパラメータおよび第2〜第Nのパラメータの値に対応した、上記推定式の係数データを生成する係数データ生成手段とを備えるものである。
【0008】
また、この発明に係る係数データ生成方法は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用され、第2の情報信号に係る注目点の情報データを、第1の情報信号から抽出される複数の情報データから算出するための推定式の係数データを生成する係数データ生成方法であって、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データを記憶部から取得するステップと、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性より該周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、それぞれ第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを記憶部から取得するステップと、第1のパラメータの値および第2〜第Nのパラメータの値を設定するステップと、取得された第1の係数種データ、および第2〜第Nの係数種データに基づいて、設定された第1のパラメータの値および第2〜第Nのパラメータの値に対応した、上記推定式の係数データを生成するステップとを備えるものである。
【0010】
この発明においては、第1の係数種データおよび第2〜第Nの係数種データが、格納手段に格納されている。
第1の係数種データは、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成されるものであって、第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである。
【0011】
同様に、第2〜第Nの係数種データは、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第2〜第Nの物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性よりその周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成されるものであって、それぞれ第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである。
【0012】
例えば、格納手段には、第1の係数種データの他に、第2の係数種データが格納される。また例えば、格納手段には、第1の係数種データの他に、第2および第3の係数種データが格納される。第3の係数種データは、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第1のパラメータの所定の値または第2のパラメータの所定の値に対応した周波数特性より、第3の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される。
【0013】
格納手段に格納されている第1の係数種データおよび上記第2〜第Nの係数種データに基づいて、パラメータ設定手段で設定された第1のパラメータおよび第2〜第Nのパラメータの値に対応した推定式の係数データが生成される。
【0014】
このように、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用される推定式の係数データを、教師信号から複数の物理的な特徴量によってそれぞれ周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた複数種類の生徒信号と教師信号との間の学習によって生成される複数種類の係数種データに基づいて生成することにより、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招くことなく、パラメータの値の変化に対応した係数データを得ることができ、従ってパラメータの値を調整して第2の情報信号による出力の質を任意に調整することが可能となり、また多様に変化する係数データを得ることができ、従って第2の情報信号による出力の質を多様に調整することが可能となる。
【0015】
この発明に係る情報信号処理装置は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理装置であって、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データと、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性よりこの周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、それぞれ第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを格納する格納手段と、第1のパラメータの値および第2〜第Nのパラメータの値を設定するパラメータ設定手段と、格納手段に格納されている第1の係数種データおよび第2〜第Nの係数種データに基づいて、パラメータ設定手段で設定された第1のパラメータの値および第2〜第Nのパラメータの値に対応した、上記推定式の係数データを発生する係数データ発生手段と、第1の情報信号から第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のデータ選択手段と、係数データ発生手段で発生された係数データと第1のデータ選択手段で選択された複数の第1の情報データとから、上記推定式を用いて上記注目点の情報データを算出して得る演算手段とを備えるものである。
【0016】
また、この発明に係る情報信号処理方法は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理方法であって、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データを記憶部から取得するステップと、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性よりこの周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、それぞれ第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを記憶部から取得するステップと、第1のパラメータの値および第2〜第Nのパラメータの値を設定するステップと、取得された第1の係数種データおよび第2〜第Nの係数種データに基づいて、設定された第1のパラメータの値および第2〜第Nのパラメータの値に対応した、上記推定式の係数データを発生するステップと、第1の情報信号から第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択するステップと、発生された係数データと選択された複数の情報データとから、上記推定式を用いて上記注目点の情報データを算出して得るステップとを備えるものである。
【0018】
この発明においては、第1の係数種データおよび第2〜第Nの係数種データが、格納手段に格納されている。
第1の係数種データは、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成されるものであって、第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである。
【0019】
同様に、第2〜第Nの係数種データは、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第2〜第Nの物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性よりその周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成されるものであって、それぞれ第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである。
【0020】
例えば、格納手段には、第1の係数種データの他に、第2の係数種データが格納される。また例えば、格納手段には、第1の係数種データの他に、第2および第3の係数種データが格納される。第3の係数種データは、第2の情報信号に対応した教師信号と、この教師信号から、第1のパラメータの所定の値または第2のパラメータの所定の値に対応した周波数特性より、第3の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される。
【0021】
格納手段に格納されている第1の係数種データおよび上記第2〜第Nの係数種データに基づいて、パラメータ設定手段で設定された第1のパラメータおよび第2〜第Nのパラメータの値に対応した推定式の係数データが発生される。
【0022】
また、第1の情報信号から第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の第1の情報データが選択される。そして、この複数の第1の情報データと推定式の係数データとから、推定式を用いて、第2の情報信号に係る注目点の情報データが算出される。
【0023】
このように、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用される推定式の係数データを、教師信号から複数の物理的な特徴量によってそれぞれ周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた複数種類の生徒信号と教師信号との間の学習によって生成される複数種類の係数種データに基づいて生成することにより、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招くことなく、パラメータの値の変化に対応した係数データを得ることができ、従ってパラメータの値を調整して第2の情報信号による出力の質を任意に調整することが可能となり、また多様に変化する係数データを得ることができ、従って第2の情報信号による出力の質を多様に調整することが可能となる。
【0024】
この発明に係る係数種データ生成装置は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用する推定式の係数データを求める際に使用する係数種データを生成する装置であって、第2の情報信号に対応した教師信号から第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られる、第1の情報信号に対応した複数の生徒信号より、教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択する第1のデータ選択手段と、この第1のデータ選択手段で選択された複数の情報データおよび教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、この生成された学習データに基づいて、第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データを生成する第1の係数データ生成手段と、第2の情報信号に対応した教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性よりこの周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られる、第1の情報信号に対応した複数の生徒信号より、教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択する第2のデータ選択手段と、この第2のデータ選択手段で選択された複数の情報データおよび教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、この生成された学習データに基づいて、第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを生成する第2の係数データ生成手段とを備えるものである。
【0025】
また、この発明に係る係数種データ生成方法は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用する推定式の係数データの算出時に使用する係数種データを生成する方法であって、第2の情報信号に対応した教師信号から第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られる、第1の情報信号に対応した複数の生徒信号より、教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択する第1のステップと、この第1のステップで選択された複数の情報データおよび教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、この生成された学習データに基づいて、第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データを生成する第2のステップと、第2の情報信号に対応した教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性よりこの周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られる、第1の情報信号に対応した複数の生徒信号より、教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択する第3のステップと、この第3のステップで選択された複数の情報データおよび教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、この生成された学習データに基づいて、第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを生成する第4のステップとを備えるものである。
【0027】
この発明においては、第2の情報信号に対応した教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて、第1の情報信号に対応した複数の生徒信号が得られる。この生徒信号から教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データが選択される。この複数の情報データおよび教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データが生成され、この学習データに基づいて、第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データが生成される。
【0028】
同様にして、第2の情報信号に対応した教師信号から、第2〜第Nの物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性よりこの周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて、第1の情報信号に対応した複数の生徒信号が得られる。この生徒信号から教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データが選択される。この複数の情報データおよび教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データが生成され、この生成された学習データに基づいて、第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データが生成される。
【0029】
このように生成される第1の係数種データおよび第2〜第Nの係数種データを用いることによって、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用する、第1のパラメータの値および第2〜第Nのパラメータの値に対応した、推定式の係数データを求めることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態としてのテレビ受信機100の構成を示している。このテレビ受信機100は、放送信号より525i信号というSD信号を得、この525i信号を1050i信号というHD信号に変換し、そのHD信号による画像を表示するものである。
【0031】
テレビ受信機100は、マイクロコンピュータを備え、システム全体の動作を制御するためのシステムコントローラ101と、リモートコントロール信号を受信するリモコン信号受信回路102とを有している。リモコン信号受信回路102は、システムコントローラ101に接続され、リモコン送信機200よりユーザの操作に応じて出力されるリモートコントロール信号RMを受信し、その信号RMに対応する操作信号をシステムコントローラ101に供給するように構成されている。
【0032】
また、テレビ受信機100は、受信アンテナ105と、この受信アンテナ105で捕らえられた放送信号(RF変調信号)が供給され、選局処理、中間周波増幅処理、検波処理等を行って上述したSD信号(525i信号)を得るチューナ106と、このチューナ106より出力されるSD信号を一時的に保存するためのバッファメモリ109とを有している。
【0033】
また、テレビ受信機100は、バッファメモリ109に一時的に保存されるSD信号(525i信号)を、HD信号(1050i信号)に変換する画像信号処理部110と、この画像信号処理部110より出力されるHD信号による画像を表示するディスプレイ部111と、このディスプレイ部111の画面上に文字図形などの表示を行うための表示信号SCHを発生させるためのOSD(On Screen Display)回路112と、その表示信号SCHを上述した画像信号処理部110から出力されるHD信号に合成してディスプレイ部111に供給するための合成器113とを有している。ディスプレイ部111は、例えばCRT(cathode-ray tube)ディスプレイ、あるいはLCD(liquid crystal display)等のフラットパネルディスプレイで構成されている。
【0034】
図1に示すテレビ受信機100の動作を説明する。
チューナ106より出力されるSD信号(525i信号)は、バッファメモリ109に供給されて一時的に保存される。そして、このバッファメモリ109に一時的に記憶されたSD信号は画像信号処理部110に供給され、HD信号(1050i信号)に変換される。すなわち、画像信号処理部110では、SD信号を構成する画素データ(以下、「SD画素データ」という)から、HD信号を構成する画素データ(以下、「HD画素データ」という)が得られる。この画像信号処理部110より出力されるHD信号はディスプレイ部111に供給され、このディスプレイ部111の画面上にはそのHD信号による画像が表示される。
【0035】
ユーザは、リモコン送信機200の操作によって、上述したようにディスプレイ部111の画面上に表示される画像の画質を変更できる。画像信号処理部110では、後述するように、HD画素データが推定式によって算出されるが、この推定式の係数データとして、ユーザのリモコン送信機200の操作によって調整された値h1,v1,h2,v2に対応したものが生成されて使用される。ここで、h1,v1は第1のパラメータの値を構成し、h2,v2は第2のパラメータの値を構成している。
【0036】
これにより、画像信号処理部110より出力されるHD信号による画像の画質は、調整された値h1,v1,h2,v2に対応したものとなる。なお、パラメータの調整状態では、ディスプレイ部111の画面上に、パラメータの値の表示が行われる。ユーザは、この表示を参照して、パラメータの値を調整できる。
【0037】
次に、画像信号処理部110の詳細を説明する。
画像信号処理部110は、バッファメモリ109に記憶されているSD信号(525i信号)より、HD信号(1050i信号)に係る注目画素の周辺に位置する複数のSD画素のデータを選択的に取り出して出力する第1〜第3のタップ選択回路121〜123を有している。
【0038】
第1のタップ選択回路121は、予測に使用するSD画素(「予測タップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。第2のタップ選択回路122は、SD画素データのレベル分布パターンに対応するクラス分類に使用するSD画素(「空間クラスタップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。第3のタップ選択回路123は、動きに対応するクラス分類に使用するSD画素(「動きクラスタップ」と称する)のデータを選択的に取り出するものである。なお、空間クラスを複数フィールドに属するSD画素データを使用して決定する場合には、この空間クラスにも動き情報が含まれることになる。
【0039】
また、画像信号処理部110は、第2のタップ選択回路122で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)のレベル分布パターンを検出し、このレベル分布パターンに基づいて空間クラスを検出し、そのクラス情報を出力する空間クラス検出回路124を有している。
【0040】
空間クラス検出回路124では、例えば、各SD画素データを、8ビットデータから2ビットデータに圧縮するような演算が行われる。そして、空間クラス検出回路124からは、各SD画素データに対応した圧縮データが空間クラスのクラス情報として出力される。本実施の形態においては、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)によって、データ圧縮が行われる。なお、情報圧縮手段としては、ADRC以外にDPCM(予測符号化)、VQ(ベクトル量子化)等を用いてもよい。
【0041】
本来、ADRCは、VTR(Video Tape Recorder)向け高性能符号化用に開発された適応再量子化法であるが、信号レベルの局所的なパターンを短い語長で効率的に表現できるので、上述したデータ圧縮に使用して好適なものである。ADRCを使用する場合、空間クラスタップのデータ(SD画素データ)の最大値をMAX、その最小値をMIN、空間クラスタップのデータのダイナミックレンジをDR(=MAX−MIN+1)、再量子化ビット数をPとすると、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データkiに対して、(1)式の演算により、圧縮データとしての再量子化コードqiが得られる。ただし、(1)式において、[ ]は切り捨て処理を意味している。空間クラスタップのデータとして、Na個のSD画素データがあるとき、i=1〜Naである。
qi=[(ki−MIN+0.5).2P/DR] ・・・(1)
【0042】
また、画像信号処理部110は、第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)より、主に動きの程度を表すための動きクラスを検出し、そのクラス情報を出力する動きクラス検出回路125を有している。
【0043】
この動きクラス検出回路125では、第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)mi,niからフレーム間差分が算出され、さらにその差分の絶対値の平均値に対してしきい値処理が行われて動きの指標である動きクラスが検出される。すなわち、動きクラス検出回路125では、(2)式によって、差分の絶対値の平均値AVが算出される。第3のタップ選択回路123で、例えば上述したように12個のSD画素データm1〜m6,n1〜n6が取り出されるとき、(2)式におけるNbは6である。
【0044】
【数1】
【0045】
そして、動きクラス検出回路125では、上述したように算出された平均値AVが1個または複数個のしきい値と比較されて動きクラスのクラス情報MVが得られる。例えば、3個のしきい値th1,th2,th3(th1<th2<th3)が用意され、4つの動きクラスを検出する場合、AV≦th1のときはMV=0、th1<AV≦th2のときはMV=1、th2<AV≦th3のときはMV=2、th3<AVのときはMV=3とされる。
【0046】
また、画像信号処理部110は、空間クラス検出回路124より出力される空間クラスのクラス情報としての再量子化コードqiと、動きクラス検出回路125より出力される動きクラスのクラス情報MVに基づき、作成すべきHD信号(1050i信号)の画素(注目画素)が属するクラスを示すクラスコードCLを得るためのクラス合成回路126を有している。
このクラス合成回路126では、(3)式によって、クラスコードCLの演算が行われる。なお、(3)式において、Naは空間クラスタップのデータ(SD画素データ)の個数、PはADRCにおける再量子化ビット数を示している。
【0047】
【数2】
【0048】
また、画像信号処理部110は、係数メモリ134を有している。この係数メモリ134は、後述する推定予測演算回路127で使用される推定式の複数の係数データWiを、クラス毎に、格納するものである。この係数データは、SD信号(525i信号)を、HD信号(1050i信号)に変換するための情報である。係数メモリ134には上述したクラス合成回路126より出力されるクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この係数メモリ134からはクラスコードCLに対応した推定式の係数データWi(i=1〜n)が読み出され、推定予測演算回路127に供給されることとなる。
【0049】
また、画像信号処理部110は、情報メモリバンク135を有している。後述する推定予測演算回路127では、予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ134より読み出される係数データWiとから、(4)式の推定式によって、作成すべきHD画素データyが演算される。第1のタップ選択回路121で選択される予測タップ数が10個であるとき、(4)式におけるnは10となる。
【0050】
【数3】
【0051】
情報メモリバンク135には、この推定式の係数データWi(i=1〜n)を生成する際に用いられる第1の係数種データとしての係数種データw1i0〜w1i9(i=1〜n)と、第2の係数種データとしての係数種データw2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9,w2ci0〜w2ci9(i=1〜n)が、記憶されている。
【0052】
上述したように、525i信号を1050i信号に変換する場合、奇数、偶数のそれぞれのフィールドにおいて、525i信号の1画素に対応して1050i信号の4画素を得る必要がある。この場合、奇数、偶数のそれぞれのフィールドにおける1050i信号を構成する2×2の単位画素ブロック内の4画素は、それぞれ中心予測タップに対して異なる位相ずれを持っている。
【0053】
図2は、奇数フィールドにおける1050i信号を構成する2×2の単位画素ブロック内の4画素HD1〜HD4における中心予測タップSD0からの位相ずれを示している。ここで、HD1〜HD4の位置は、それぞれ、SD0の位置から水平方向にk1〜k4、垂直方向にm1〜m4だけずれている。
【0054】
図3は、偶数フィールドにおける1050i信号を構成する2×2の単位画素ブロック内の4画素HD1′〜HD4′における中心予測タップSD0′からの位相ずれを示している。ここで、HD1′〜HD4′の位置は、それぞれ、SD0′の位置から水平方向にk1′〜k4′、垂直方向にm1′〜m4′だけずれている。
【0055】
したがって、上述した情報メモリバンク135には、クラスおよび出力画素(HD1〜HD4,HD1′〜HD4′)の組み合わせ毎に、係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9,w2ci0〜w2ci9(i=1〜n)が格納されている。
【0056】
図4は、係数種データw1i0〜w1i9の生成方法を示している。
まず、HD信号から複数のSD信号を生成する。この場合、HD信号からSD信号を得る際に使用する落としフィルタの水平周波数特性と垂直周波数特性を可変するパラメータh,vを、それぞれ4,5,6,7,8に5段階に可変して、合計25種類のSD信号を生成する。次に、生成された複数のSD信号とHD信号との間で学習を行って係数種データw1i0〜w1i9を生成する。
【0057】
図5は、パラメータh,vを4,5,6,7,8としたときの落としフィルタにおける水平、垂直の周波数特性を示している。このとき、パラメータh,vの値が「1」だけ変化する毎に、第1の物理的な特徴量としての帯域が一定幅だけ変化し、パラメータh,vの値が小さくなるほど帯域は狭くなる。なお、画像のサンプリング周波数をfsとし、フィルタのサンプリング周波数をfとするとき、横軸は2f/fsを表している。因に、パラメータh,vが6のときの落としフィルタは、ゲイン0.5において2f/fsが0.5であるため、ハーフバンドフィルタを構成している。
【0058】
図5に示す周波数特性の落としフィルタはいずれもある周波数fまで通過させる構成であるため、これらのフィルタを使うと、周波数fより小さな周波数帯の信号成分はすべて通過し、周波数fより大きい周波数帯の信号成分は通過できないことになる。したがって、これらのフィルタによって、画像のエッジ部分のボケ具合が異なる生徒信号が生成され、これらの生徒信号を使って学習をすると、エッジを強調するような推定式の係数データWiを得るための係数種データw1i0〜w1i9を得ることができる。
【0059】
係数種データw1i0〜w1i9の求め方を説明する。
ここでは、上述した(4)式の推定式の係数データWi(i=1〜n)を、(5)式の近似式で表現する。この(5)式における係数データwi0〜wi9を求める。
【0060】
ここで、以下の説明のため、(6)式のように、tj(j=0〜9)を定義する。
この(6)式を用いると、(5)式は、(7)式のように書き換えられる。
【0061】
【数4】
【0062】
最終的に、上述したように生成された25種類のSD信号(図4参照)を使用した学習によって、未定係数wijを求める。すなわち、クラスおよび出力画素毎に、複数のSD画素データとHD画素データを用いて、二乗誤差を最小にする係数値を決定する。いわゆる最小二乗法による解法である。学習数をm、k(1≦k≦m)番目の学習データにおける残差をek、二乗誤差の総和をEとすると、(4)式および(5)式を用いて、Eは(8)式で表される。ここで、xikはSD画像のi番目の予測タップ位置におけるk番目の画素データ、ykはそれに対応するk番目のHD画像の画素データを表している。
【0063】
【数5】
【0064】
最小二乗法による解法では、(8)式のwijによる偏微分が0になるようなwijを求める。これは、(9)式で示される。
【0065】
【数6】
【0066】
以下、(10)式、(11)式のように、Xipjq、Yipを定義すると、(9)式は、行列を用いて(12)式のように書き換えられる。
【0067】
【数7】
【0068】
【数8】
【0069】
この方程式は一般に正規方程式と呼ばれている。この正規方程式は、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等を用いて、wijについて解かれ、係数データwi0〜wi9が算出される。このように算出された係数データwi0〜wi9が係数種データw1i0〜w1i9となる。
このように求められる係数種データw1i0〜w1i9を、(5)式の近似式の係数データwi0〜wi9に適用した場合、当該(5)式は、図12に示すような、基底曲面を表すものとなる。
【0070】
図6は、係数種データw2ai0〜w2ai9の生成方法を示している。
まず、HD信号から複数のSD信号を生成する。この場合、HD信号からSD信号を得る際に使用する落としフィルタの水平周波数特性を可変するパラメータhを4,5,6,7,8に5段階に可変し、この落としフィルタの垂直周波数特性を可変するパラメータvを1,2,3,4,5,6の6段階に可変して、合計30種類のSD信号を生成する。次に、生成された複数のSD信号とHD信号との間で学習を行って係数種データw2ai0〜w2ai9を生成する。
【0071】
図7は、パラメータvを1,2,3,4,5,6としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性を示している。このとき、パラメータvの値が「1」だけ変化する毎に、第2の物理的な特徴量としての肩特性が一定幅だけ変化し、パラメータvの値が小さくなるほど肩部分が滑らかになる。なお、画像のサンプリング周波数をfsとし、フィルタのサンプリング周波数をfとするとき、横軸は2f/fsを表している。
【0072】
図7に示す周波数特性の落としフィルタはいずれも高域をある程度通過させながら、低域の通過部分を狭める構成であるため、これらのフィルタを使うと、エッジ部分が残りつつ、画像全体がうっすらとボケたようになる。したがって、これらのフィルタによって、画像全体のボケ具合が異なる生徒信号が生成され、これらの生徒信号を使って学習をすると、画像全体を強調するような推定式の係数データWiを得るための係数種データw2ai0〜w2ai9を得ることができる。
なお、パラメータhを4,5,6,7,8としたときの落としフィルタにおける水平周波数特性は、上述した係数種データw1i0〜w1i9を生成する場合と同様である(図5、図7の破線参照)。
【0073】
ここで、v=6としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性は、上述した係数種データw1i0〜w1i9を生成する場合においてv=6としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性と等しいものとされる。これにより、帯域(第1の物理的な特徴量)が所定値(v=6)であるときの周波数特性より、肩特性(第2の物理的な特徴量)を変化させて行くことになる。
【0074】
係数種データw2ai0〜w2ai9の求め方は、詳細説明は省略するが、上述した係数種データw1i0〜w1i9を求める場合と同様である。ただし、ここでは、上述したように生成された30種類のSD信号(図6参照)を使用した学習によって、未定係数wijを求めることとなる。
このように求められる係数種データw2ai0〜w2ai9を、(5)式の近似式の係数データwi0〜wi9に適用した場合、当該(5)式は、図12に示すような、派生曲面3を表すものとなる。
【0075】
図8は、係数種データw2bi0〜w2bi9の生成方法を示している。
まず、HD信号から複数のSD信号を生成する。この場合、HD信号からSD信号を得る際に使用する落としフィルタの水平周波数特性を可変するパラメータhを4,5,6,7,8に5段階に可変し、この落としフィルタの垂直周波数特性を可変するパラメータvを0,1,2,3,4,5の6段階に可変して、合計30種類のSD信号を生成する。次に、生成された複数のSD信号とHD信号との間で学習を行って係数種データw2bi0〜w2bi9を生成する。
【0076】
図9は、パラメータvを0,1,2,3,4,5としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性を示している。このとき、パラメータvの値が「1」だけ変化する毎に、第2の物理的な特徴量としての肩特性が一定幅だけ変化し、パラメータvの値が小さくなるほど肩部分が滑らかになる。なお、画像のサンプリング周波数をfsとし、フィルタのサンプリング周波数をfとするとき、横軸は2f/fsを表している。なお、パラメータhを4,5,6,7,8としたときの落としフィルタにおける水平周波数特性は、上述した係数種データw1i0〜w1i9を生成する場合と同様である(図5、図9の破線参照)。
【0077】
ここで、v=5としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性は、上述した係数種データw1i0〜w1i9を生成する場合においてv=5としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性と等しいものとされる。これにより、帯域(第1の物理的な特徴量)が所定値(v=5)であるときの周波数特性より、肩特性(第2の物理的な特徴量)を変化させて行くことになる。
【0078】
係数種データw2bi0〜w2bi9の求め方は、詳細説明は省略するが、上述した係数種データw1i0〜w1i9を求める場合と同様である。ただし、ここでは、上述したように生成された30種類のSD信号(図8参照)を使用した学習によって、未定係数wijを求めることとなる。
このように求められる係数種データw2bi0〜w2bi9を、(5)式の近似式の係数データwi0〜wi9に適用した場合、当該(5)式は、図12に示すような、派生曲面2を表すものとなる。
【0079】
図10は、係数種データw2ci0〜w2ci9の生成方法を示している。
まず、HD信号から複数のSD信号を生成する。この場合、HD信号からSD信号を得る際に使用する落としフィルタの水平周波数特性を可変するパラメータhを4,5,6,7,8に5段階に可変し、この落としフィルタの垂直周波数特性を可変するパラメータvを−1,0,1,2,3,4の6段階に可変して、合計30種類のSD信号を生成する。次に、生成された複数のSD信号とHD信号との間で学習を行って係数種データw2ci0〜w2ci9を生成する。
【0080】
図11は、パラメータvを−1,0,1,2,3,4としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性を示している。このとき、パラメータvの値が「1」だけ変化する毎に、第2の物理的な特徴量としての肩特性が一定幅だけ変化し、パラメータvの値が小さくなるほど肩部分が滑らかになる。なお、画像のサンプリング周波数をfsとし、フィルタのサンプリング周波数をfとするとき、横軸は2f/fsを表している。なお、パラメータhを4,5,6,7,8としたときの落としフィルタにおける水平周波数特性は、上述した係数種データw1i0〜w1i9を生成する場合と同様である(図5、図11の破線参照)。
【0081】
ここで、v=4としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性は、上述した係数種データw1i0〜w1i9を生成する場合においてv=4としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性と等しいものとされる。これにより、帯域(第1の物理的な特徴量)が所定値(v=4)であるときの周波数特性より、肩特性(第2の物理的な特徴量)を変化させて行くことになる。
【0082】
係数種データw2ci0〜w2ci9の求め方は、詳細説明は省略するが、上述した係数種データw1i0〜w1i9を求める場合と同様である。ただし、ここでは、上述したように生成された30種類のSD信号(図10参照)を使用した学習によって、未定係数wijを求めることとなる。
このように求められる係数種データw2ci0〜w2ci9を、(5)式の近似式の係数データwi0〜wi9に適用した場合、当該(5)式は、図12に示すような、派生曲面1を表すものとなる。
【0083】
上述した係数種データw2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9,w2ci0〜w2ci9は、いずれも肩特性(第2の物理的な特徴量)によって垂直周波数特性を変化させたフィルタで生成された生徒信号から求めたものであり、派生曲面1〜3の曲面形状は似通ったものとなる。
【0084】
なお、パラメータhを固定することで、図12に示すような係数空間は、図13に示すように平面で表すことができる。図14は、落としフィルタの帯域、肩特性と係数データWiとの対応関係を示している。左側の係数データA〜Iが、それぞれ右側のA〜Iの帯域、肩特性に対応している。
【0085】
また、図1に戻って、画像信号処理部110は、情報メモリバンク135に格納されている係数種データに基づいて、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、調整された値h1,v1,h2,v2に対応した推定式の係数データWiを演算で求める係数生成回路136とを有している。
【0086】
ここで、係数生成回路136における推定式の係数データWiの演算について説明する。
図15は、係数空間における係数データWiの指定の流れを示している。まず、値h1,v1によって基底曲面上の点を指定し、次に、値h2,v2によってこの指定された基底曲面上の点を含む派生曲面上の点を指定する。この指定された派生曲面上の点が、値h1,v1,h2,v2に対応した、求めるべき係数データWiとなる。なお、上述したように、肩特性を変化させる方向を垂直方向として、係数種データw2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9,w2ci0〜w2ci9を求めているので、h1=h2である。
【0087】
値h1,v1,h2,v2に対応した係数データWiの求め方を説明する。
まず、値h1,v1によって指定される基底曲面上の点を含む派生曲面(着目派生曲面)に対応した第2の係数種データが情報メモリバンク135に存在する場合について説明する。この場合、当該第2の係数種データを、(5)式の係数データwi0〜wi9に適用すると共に、この(5)式のパラメータh,vにh2,v2を代入することで、係数データWiを求める。
【0088】
次に、値h1,v1によって指定される基底曲面上の点を含む派生曲面(着目派生曲面)に対応した第2の係数種データが情報メモリバンク135に存在していない場合について説明する。この場合、補間処理によって、係数データWiを求める。
【0089】
図16に示すように、値h1,v1によって指定される基底曲面上の点を含む派生曲面(着目派生曲面)が派生曲面2,3の間に位置する場合を例にとり、図17を参照して補間処理を説明する。
この場合、値h1,v1,h2,v2に対応した係数データWiをXとすると、Xは(13)式で算出される。
X=(Wa*b+Wb*a)/(a+b) ・・・(13)
【0090】
ここで、Waは、派生曲面3に対応した係数種データw2ai0〜w2ai9を(5)式の係数データwi0〜wi9に適用すると共に、この(5)式のパラメータh,vにh2,vaを代入することで、求められる係数データWiである。ただし、va=v2+(6−v1)である。
【0091】
また、Wbは、派生曲面2に対応した係数種データw2bi0〜w2bi9を(5)式の係数データwi0〜wi9に適用すると共に、この(5)式のパラメータh,vにh2,vbを代入することで、求められる係数データWiである。ただし、vb=v2−(v1−5)である。
【0092】
また、基底曲面に対応した係数種データw1i0〜w1i9を(5)式の係数データwi0〜wi9に適用し、この(5)式のパラメータh,vにそれぞれ「h1,5」、「h1,v1」、「h1,6」を代入して得られる係数データWiをW5,Wv1,W6とするとき、a=W6−Wv1、b=Wv1−W5である。
【0093】
なお、値h1,v1によって指定される基底曲面上の点を含む派生曲面(着目派生曲面)が派生曲面1,2の間に位置する場合も、同様の補間処理によって、値h1,v1,h2,v2に対応した係数データWiを求めることができる。ただし、着目派生曲面が派生曲面1や派生曲面3の外側に位置する場合には、この補間処理を使用できない。したがって、本実施の形態においては、例えば着目派生曲面が派生曲面1〜派生曲面3の間に位置するように値v1の変化範囲が制限されるが、着目派生曲面が派生曲面1や派生曲面3の外側に位置する場合には、後述する平行移動処理を適用するようにしてもよい。
【0094】
図1に戻って、係数生成回路136による推定式の係数データWiの生成は、例えば各垂直ブランキング期間で行われる。これにより、ユーザのリモコン送信機200の操作によって値h1,v1,h2,v2が変更されても、係数メモリ134に格納される各クラスの係数データWiを、その値に対応したものに即座に変更でき、ユーザによる画質調整がスムーズに行われる。
【0095】
また、画像信号処理部110は、係数生成回路136で求められる係数データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sを、(14)式によって、演算する正規化係数演算部137と、この正規化係数Sを格納する正規化係数メモリ138とを有している。正規化係数メモリ138には上述したクラス合成回路126より出力されるクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この正規化係数メモリ138からはクラスコードCLに対応した正規化係数Sが読み出され、後述する正規化演算回路128に供給されることとなる。
【0096】
【数9】
【0097】
また、画像信号処理部110は、第1のタップ選択回路121で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ134より読み出される係数データWiとから、(4)式の推定式によって、作成すべきHD信号の画素(注目画素)のデータを演算する推定予測演算回路127を有している。
【0098】
上述したように、SD信号(525i信号)をHD信号(1050i信号)に変換する際には、SD信号の1画素に対してHD信号の4画素(図2のHD1〜HD4、図3のHD1′〜HD4′参照)を得る必要があることから、この推定予測演算回路127では、HD信号を構成する2×2の単位画素ブロック毎に、画素データが生成される。すなわち、この推定予測演算回路127には、第1のタップ選択回路121より単位画素ブロック内の4画素(注目画素)に対応した予測タップのデータxiと、係数メモリ134よりその単位画素ブロックを構成する4画素に対応した係数データWiとが供給され、単位画素ブロックを構成する4画素のデータy1〜y4は、それぞれ個別に上述した(4)式の推定式で演算される。
【0099】
また、画像信号処理部110は、推定予測演算回路127より順次出力される4画素のデータy1〜y4を、正規化係数メモリ138より読み出される、それぞれの演算に使用された係数データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sで除算して正規化する正規化演算回路128を有している。上述せずも、係数生成回路136で求められる推定式の係数データWiを求めるものであるが、求められる係数データは丸め誤差を含み、係数データWi(i=1〜n)の総和が1.0になることは保証されない。そのため、推定予測演算回路127で演算される各画素のデータy1〜y4は、丸め誤差によってレベル変動したものとなる。上述したように、正規化演算回路128で正規化することで、その変動を除去できる。
【0100】
また、画像信号処理部110は、正規化演算回路128で正規化されて順次供給される単位画素ブロック内の4画素のデータy1′〜y4′を線順次化して1050i信号のフォーマットで出力する後処理回路129を有している。
【0101】
次に、画像信号処理部110の動作を説明する。
バッファメモリ109に記憶されているSD信号(525i信号)より、第2のタップ選択回路122で、作成すべきHD信号(1050i信号)を構成する単位画素ブロック内の4画素(注目画素)の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第2のタップ選択回路122で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路124に供給される。この空間クラス検出回路124では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードqiが得られる((1)式参照)。
【0102】
また、バッファメモリ109に記憶されているSD信号(525i信号)より、第3のタップ選択回路123で、作成すべきHD信号(1050i信号)を構成する単位画素ブロック内の4画素(注目画素)の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第3のタップ選択回路123で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路125に供給される。この動きクラス検出回路125では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
【0103】
この動き情報MVと上述した再量子化コードqiはクラス合成回路126に供給される。このクラス合成回路126では、これら動き情報MVと再量子化コードqiとから、作成すべきHD信号(1050i信号)を構成する単位画素ブロック毎にその単位画素ブロック内の4画素(注目画素)が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる((3)式参照)。そして、このクラスコードCLは、係数メモリ134および正規化係数メモリ138に読み出しアドレス情報として供給される。
【0104】
係数メモリ134には、例えば各垂直ブランキング期間に、係数生成回路136で、ユーザによって調整された値h1,v1,h2,v2の値に対応して、クラスおよび出力画素(HD1〜HD4,HD1′〜HD4′)の組み合わせ毎に、推定式の係数データWi(i=1〜n)が求められて格納される。この場合、係数生成回路136では、情報メモリバンク135に格納されている第1の係数種データとしての係数種データw1i0〜w1i9(i=1〜n)と、第2の係数種データとしての係数種データw2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9,w2ci0〜w2ci9(i=1〜n)とに基づいて、上述したように補間処理等によって、推定式の係数データWiが求められる。
また、正規化係数メモリ138には、上述したように係数生成回路136で求められた推定式の係数データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sが正規化係数演算部137で生成されて格納される。
【0105】
係数メモリ134に上述したようにクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給されることで、この係数メモリ134からクラスコードCLに対応した4出力画素(奇数フィールドではHD1〜HD4、偶数フィールドではHD1′〜HD4′)分の推定式の係数データWiが読み出されて推定予測演算回路127に供給される。また、バッファメモリ109に記憶されているSD信号(525i信号)より、第1のタップ選択回路121で、作成すべきHD信号(1050i信号)を構成する単位画素ブロック内の4画素(注目画素)の周辺に位置する予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。
【0106】
推定予測演算回路127では、予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、係数メモリ134より読み出される4出力画素分の係数データWiとから、作成すべきHD信号を構成する単位画素ブロック内の4画素(注目画素)のデータy1〜y4が演算される((4)式参照)。そして、この推定予測演算回路127より順次出力されるHD信号を構成する単位画素ブロック内の4画素のデータy1〜y4は正規化演算回路128に供給される。
【0107】
正規化係数メモリ138には上述したようにクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この正規化係数メモリ138からはクラスコードCLに対応した正規化係数S、つまり推定予測演算回路127より出力されるHD画素データy1〜y4の演算に使用された係数データWiに対応した正規化係数Sが読み出されて正規化演算回路128に供給される。この正規化演算回路128では、推定予測演算回路127より出力されるHD画素データy1〜y4がそれぞれ対応する正規化係数Sで除算されて正規化される。これにより、係数生成回路136で係数データWiを求める際の丸め誤差によるデータy1〜y4のレベル変動が除去される。
【0108】
このように正規化演算回路128で正規化されて順次出力される単位画素ブロック内の4画素のデータy1′〜y4′は後処理回路129に供給される。この後処理回路129では、正規化演算回路128より順次供給される単位画素ブロック内の4画素のデータy1′〜y4′が線順次化され、1050i信号のフォーマットで出力される。つまり、後処理回路129からは、HD信号としての1050i信号が出力される。
【0109】
上述したように、図1に示すテレビ受信機100では、情報メモリバンク135に記憶されている係数種データに基づいて、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、値h1,v1,h2,v2に対応した推定式の係数データWiが演算で求められる。このクラスおよび出力画素の組み合わせ毎の推定式の係数データWiが係数メモリ134に格納される。そして、この係数メモリ134より、クラスコードCLに対応して読み出される係数データWiを用いて推定予測演算回路127でHD画素データyが演算される。
【0110】
したがって、ユーザは、値h1,v1,h2,v2を調整することで、HD信号によって得られる画像の画質を任意に調整することができる。なおこの場合、値h1,v1,h2,v2に対応した、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎の係数データWiをその都度、係数生成回路136で生成して使用するものであり、大量の係数データを格納しておくメモリを必要としない。
【0111】
また、教師信号から第1の物理的な特徴量としての帯域を変化させた落としフィルタを用いて得られた複数の生徒信号と教師信号との間の学習によって生成される第1の係数種データとしての係数種データw1i0〜w1i9と、教師信号から第1の物理的な特徴量としての肩特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた複数の生徒信号と教師信号との間の学習によって生成される第2の係数種データとしての係数種データw2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9,w2ci0〜w2ci9とに基づいて、推定式の係数データWiを生成するものであり、推定式の係数データWiとして多様に変化するものを得ることができ、従ってHD信号による画像の画質を多様に調整することができる。
【0112】
また、値h1,v1によって指定される基底曲面上の点を含む派生曲面(着目派生曲面)に対応した第2の係数種データが情報メモリバンク135に存在していいない場合には、値h1,v1,h2,v2に対応した推定式の係数データWiを補間処理によって求めるものであり((13)式参照)、情報メモリバンク135に格納しておく係数種データを大幅に削減することができ、情報メモリバンク135のメモリ容量を大幅に節約できる。また、同様の理由によって、係数種データの算出に伴う学習の数も減らすことができ、開発効率の向上にもつながる。
【0113】
なお、上述実施の形態においては、情報メモリバンク135に、第2の係数種データとして派生曲面1〜3に対応した係数種データw2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9,w2ci0〜w2ci9が格納されるものを示したが、情報メモリバンク135に、さらに多くの派生曲面に対応する係数種データを格納して使用するようにしてもよい。
【0114】
また、上述実施の形態においては、情報メモリバンク135に、第2の係数種データとして係数種データw2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9,w2ci0〜w2ci9が格納され、値h1,v1によって指定される基底曲面上の点を含む派生曲面(着目派生曲面)に対応した第2の係数種データが情報メモリバンク135に存在していない場合には、値h1,v1,h2,v2に対応した推定式の係数データWiを補間処理によって求めるものを示したが、情報メモリバンク135に、第2の係数種データとして例えば係数種データw2ai0〜w2ai9のみが格納され、この係数種データw2ai0〜w2ai9が値h1,v1によって指定される基底曲面上の点を含む派生曲面(着目派生曲面)に対応していない場合には、値h1,v1,h2,v2に対応した推定式の係数データWiを平行移動処理によって求めることも考えられる。
【0115】
この場合、情報メモリバンク135には、第1の係数種データとしての係数種データw1i0〜w1i9と、第2の係数種データとしての係数種データw2ai0〜w2ai9が格納される。これら係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9の生成方法は上述したと同様である。係数種データw1i0〜w1i9を、(5)式の近似式の係数データwi0〜wi9に適用した場合、当該(5)式は、図18に示すような、基底曲面を表すものとなる。また、係数種データw2ai0〜w2ai9を、(5)式の近似式の係数データwi0〜wi9に適用した場合、当該(5)式は、図18に示すような、派生曲面を表すものとなる。
【0116】
なお、パラメータhを固定することで、図18に示すような係数空間は、図19に示すように平面で表すことができる。図20は、落としフィルタの帯域、肩特性と係数データWiとの対応関係を示している。左側の係数データA〜Iが、それぞれ右側のA〜Iの帯域、肩特性に対応している。
このように情報メモリバンク135に係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9が格納される場合、係数生成回路136における推定式の係数データWiの演算は以下のように行われる。
【0117】
図21は、係数空間における係数データWiの指定の流れを示している。まず、値h1,v1によって基底曲面上の点を指定し、次に、値h2,v2によってこの指定された基底曲面上の点を含む派生曲面上の点を指定する。この指定された派生曲面上の点が、値h1,v1,h2,v2に対応した、求めるべき係数データWiとなる。なお、上述したように、肩特性を変化させる方向を垂直方向として、係数種データw2ai0〜w2ai9を求めているので、h1=h2である。
【0118】
値h1,v1,h2,v2に対応した係数データWiの求め方を説明する。
まず、情報メモリバンク135に存在する係数種データw2ai0〜w2ai9が、値h1,v1によって指定される基底曲面上の点を含む派生曲面(着目派生曲面)に対応している場合について説明する。この場合、係数種データw2ai0〜w2ai9を、(5)式の係数データwi0〜wi9に適用すると共に、この(5)式のパラメータh,vにh2,v2を代入することで、係数データWiを求める。
【0119】
次に、情報メモリバンク135に存在する係数種データw2ai0〜w2ai9が、値h1,v1によって指定される基底曲面上の点を含む派生曲面(着目派生曲面)に対応していない場合について説明する。この場合、平行移動処理によって、係数データWiを求める。図22を参照して補間処理を説明する。
この場合、値h1,v1,h2,v2に対応した係数データWiをXとすると、Xは(15)式で算出される。
X=Wa+(Wv1−W6) ・・・(15)
【0120】
ここで、Waは、派生曲面に対応した係数種データw2ai0〜w2ai9を(5)式の係数データwi0〜wi9に適用すると共に、この(5)式のパラメータh,vにh2,vaを代入することで、求められる係数データWiである。ただし、va=v2+(6−v1)である。
また、Wv1,W6は、基底曲面に対応した係数種データw1i0〜w1i9を(5)式の係数データwi0〜wi9に適用し、この(5)式のパラメータh,vにそれぞれ「h1,v1」、「h1,6」を代入することで、求められる係数データWiである。
【0121】
このように、情報メモリバンク135に係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9が格納される場合においても、値h1,v1,h2,v2に対応した推定式の係数データWiを良好に得ることができる。また、このように平行移動処理によって推定式の係数データWiを求めるものにあっては、上述した補間処理によって推定式の係数データWiを求めるものに比べて、情報メモリバンク135に格納する係数種データを少なくでき、メモリ容量をさらに節約できる。
また、上述実施の形態においては、肩特性を変化させる方向が垂直方向であるものを示したが、水平方向であっても同様に考えることができる。
【0122】
図23は、上述したテレビ受信機100の情報メモリバンク135に格納される係数種データを生成する係数種データ生成装置150の構成を示している。
この係数データ生成装置150は、教師信号としてのHD信号(1050i信号)が入力される入力端子151と、このHD信号に対して水平および垂直の間引き処理を行って、生徒信号としてのSD信号を得るSD信号生成回路152とを有している。このSD信号生成回路152にはパラメータh,vが供給される。図示せずも、SD信号生成回路152は、水平および垂直の間引きフィルタからなっている。
【0123】
水平間引きフィルタは、間引き処理によって、水平方向の画素数を、HD信号に対応した数からSD信号に対応した数に減少させる。この水平間引きフィルタは、落としフィルタとしても機能し、供給されるパラメータhの値によって、水平方向の周波数特性が変化する。すなわち、係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9およびw2ci0〜w2ci9を生成する場合、パラメータhの値が4,5,6,7,8であるとき、図5に示すように、帯域が変化する。
【0124】
垂直間引きフィルタは、間引き処理によって、垂直方向の画素数を、HD信号に対応した数からSD信号に対応した数に減少させる。この垂直間引きフィルタは、落としフィルタとしても機能し、供給されるパラメータvの値によって、垂直方向の周波数特性が変化する。
【0125】
すなわち、係数種データw1i0〜w1i9を生成する場合、パラメータvの値が4,5,6,7,8であるとき、図5に示すように、帯域が変化する。また、係数種データw2ai0〜w2ai9を生成する場合、パラメータvの値が1,2,3,4,5,6であるとき、図7に示すように、肩特性が変化する。また、係数種データw2bi0〜w2bi9を生成する場合、パラメータvの値が0,1,2,3,4,5であるとき、図9に示すように、肩特性が変化する。さらに、係数種データw2ci0〜w2ci9を生成する場合、パラメータvの値が−1,0,1,2,3,4であるとき、図11に示すように、肩特性が変化する。
【0126】
また、係数種データ生成装置150は、SD信号生成回路152より出力されるSD信号(525i信号)より、HD信号(1050i信号)に係る注目画素の周辺に位置する複数のSD画素のデータを選択的に取り出して出力する第1〜第3のタップ選択回路153〜155を有している。これら第1〜第3のタップ選択回路153〜155は、上述した画像信号処理部110の第1〜第3のタップ選択回路121〜123と同様に構成される。
【0127】
また、係数種データ生成装置150は、第2のタップ選択回路154で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)のレベル分布パターンを検出し、このレベル分布パターンに基づいて空間クラスを検出し、そのクラス情報を出力する空間クラス検出回路157を有している。この空間クラス検出回路157は、上述した画像信号処理部110の空間クラス検出回路124と同様に構成される。この空間クラス検出回路157からは、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データ毎の再量子化コードqiが空間クラスを示すクラス情報として出力される。
【0128】
また、係数種データ生成装置150は、第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)より、主に動きの程度を表すための動きクラスを検出し、そのクラス情報MVを出力する動きクラス検出回路158を有している。この動きクラス検出回路158は、上述した画像信号処理部110の動きクラス検出回路125と同様に構成される。この動きクラス検出回路158では、第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)からフレーム間差分が算出され、さらにその差分の絶対値の平均値に対してしきい値処理が行われて動きの指標である動きクラスが検出される。
【0129】
また、係数種データ生成装置150は、空間クラス検出回路157より出力される空間クラスのクラス情報としての再量子化コードqiと、動きクラス検出回路158より出力される動きクラスのクラス情報MVに基づき、HD信号(1050i信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLを得るためのクラス合成回路159を有している。このクラス合成回路159も、上述した画像信号処理部110のクラス合成回路126と同様に構成される。
【0130】
また、係数種データ生成装置150は、入力端子151に供給されるHD信号から得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、パラメータh,vの値と、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、クラス毎に、係数種データwi0〜wi9(i=1〜n)を得るための正規方程式((12)式参照)を生成する正規方程式生成部160を有している。
【0131】
この場合、1個のHD画素データyとそれに対応するn個の予測タップのデータ(SD画素データ)xiとの組み合わせで学習データが生成されるが、パラメータh,vの値の変化に対応してSD信号生成回路152における水平および垂直の周波数特性が可変され、複数のSD信号が順次生成されていく。これにより、正規方程式生成部160では、パラメータh,vの値が異なる多くの学習データが登録された正規方程式が生成され、係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9およびw2ci0〜w2ci9をそれぞれ求めることが可能となる。
【0132】
またこの場合、1個のHD画素データyとそれに対応するn個の予測タップのデータ(SD画素データ)xiとの組み合わせで学習データが生成されるが、正規方程式生成部160では、出力画素(図2のHD1〜HD4、図3のHD1′〜HD4′参照)毎に、正規方程式が生成される。例えば、HD1に対応した正規方程式は、中心予測タップに対するずれ値がHD1と同じ関係にあるHD画素データyから構成される学習データから生成される。
【0133】
また、係数種データ生成装置150は、正規方程式生成部160で、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に生成された正規方程式のデータが供給され、当該正規方程式を解いて、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9およびw2ci0〜w2ci9を求める係数種データ決定部161と、この求められた係数種データを記憶する係数種メモリ162とを有している。係数種データ決定部161では、正規方程式が例えば掃き出し法などによって解かれて、係数種データが求められる。
【0134】
図23に示す係数種データ生成装置150の動作を説明する。
入力端子151には教師信号としてのHD信号(1050i信号)が供給され、そしてこのHD信号に対してSD信号生成回路152で水平および垂直の間引き処理が行われて生徒信号としてのSD信号(525i信号)が生成される。
【0135】
このSD信号(525i信号)より、第2のタップ選択回路154で、HD信号(1050i信号)に係る注目画素の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第2のタップ選択回路154で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路157に供給される。この空間クラス検出回路157では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードqiが得られる((1)式参照)。
【0136】
また、SD信号生成回路152で生成されたSD信号より、第3のタップ選択回路155で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第3のタップ選択回路155で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路158に供給される。この動きクラス検出回路158では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
【0137】
このクラス情報MVと上述した再量子化コードqiはクラス合成回路159に供給される。このクラス合成回路159では、これらクラス情報MVと再量子化コードqiとから、HD信号(1050i信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる((3)式参照)。
【0138】
また、SD信号生成回路152で生成されるSD信号より、第1のタップ選択回路153で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。
【0139】
そして、入力端子151に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路153で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、パラメータh,vの値と、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路159より出力されるクラスコードCLとから、正規方程式生成部160では、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、係数種データwi0〜wi9を得るための正規方程式((12)式参照)が個別に生成される。
【0140】
ここで、係数種データw1i0〜w1i9を生成する場合、パラメータh,vが4,5,6,7,8のように順次変更され、そのとき垂直、水平の間引きフィルタの帯域が図5に示すように変化するようにされるため、正規方程式生成部160で生成される正規方程式は係数種データw1i0〜w1i9を得るためのものとなる。
【0141】
また、係数種データw2ai0〜w2ai9を生成する場合、パラメータhが4,5,6,7,8のように順次変更され、そのとき水平間引きフィルタの帯域が図5に示すように変化するようにされると共に、パラメータvが1,2,3,4,5,6のように順次変更され、そのとき垂直間引きフィルタの肩特性が図7に示すように変化するようにされる。そのため、正規方程式生成部160で生成される正規方程式は係数種データw2ai0〜w2ai9を得るためのものとなる。
【0142】
また、係数種データw2bi0〜w2bi9を生成する場合、パラメータhが4,5,6,7,8のように順次変更され、そのとき水平間引きフィルタの帯域が図5に示すように変化するようにされると共に、パラメータvが0,1,2,3,4,5のように順次変更され、そのとき垂直間引きフィルタの肩特性が図9に示すように変化するようにされる。そのため、正規方程式生成部160で生成される正規方程式は係数種データw2bi0〜w2bi9を得るためのものとなる。
【0143】
また、係数種データw2ci0〜w2ci9を生成する場合、パラメータhが4,5,6,7,8のように順次変更され、そのとき水平間引きフィルタの帯域が図5に示すように変化するようにされると共に、パラメータvが−1,0,1,2,3,4のように順次変更され、そのとき垂直間引きフィルタの肩特性が図11に示すように変化するようにされる。そのため、正規方程式生成部160で生成される正規方程式は係数種データw2ci0〜w2ci9を得るためのものとなる。
【0144】
そして、係数データ決定部161で各正規方程式が解かれ、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9およびw2ci0〜w2ci9が求められ、それらの係数種データは係数種メモリ162に記憶される。
【0145】
このように、図23に示す係数種データ生成装置150においては、図1の画像信号処理部110の情報メモリバンク135に記憶される、クラスおよび出力画素(HD1〜HD4,HD1′〜HD4′)の組み合わせ毎の、係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9およびw2ci0〜w2ci9を生成することができる。
なお、図1の画像信号処理部110における処理を、例えば図24に示すような画像信号処理装置300によって、ソフトウェアで実現することも可能である。
【0146】
まず、図24に示す画像信号処理装置300について説明する。この画像信号処理装置300は、装置全体の動作を制御するCPU301と、このCPU301の処理プログラム、さらに推定式の係数データWiを生成するために使用される係数種データ(図1の画像信号処理部110の情報メモリバンク135に予め蓄えられている情報と同じ)等が格納されたROM(read only memory)302と、CPU301の作業領域を構成するRAM(random access memory)303とを有している。これらCPU301、ROM302およびRAM303は、それぞれバス304に接続されている。
【0147】
また、画像信号処理装置300は、外部記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)305と、フロッピー(R)ディスク306をドライブするフロッピー(R)ディスクドライブ(FDD)307とを有している。これらドライブ305,307は、それぞれバス304に接続されている。
【0148】
また、画像信号処理装置300は、インターネット等の通信網400に有線または無線で接続する通信部308を有している。この通信部308は、インタフェース309を介してバス304に接続されている。
【0149】
また、画像信号処理装置300は、ユーザインタフェース部を備えている。このユーザインタフェース部は、リモコン送信機200からのリモコン信号RMを受信するリモコン信号受信回路310と、LCD(liquid crystal display)等からなるディスプレイ311とを有している。受信回路310はインタフェース312を介してバス304に接続され、同様にディスプレイ311はインタフェース313を介してバス304に接続されている。
【0150】
また、画像信号処理装置300は、SD信号を入力するための入力端子314と、HD信号を出力するための出力端子315とを有している。入力端子314はインタフェース316を介してバス304に接続され、同様に出力端子315はインタフェース317を介してバス304に接続される。
【0151】
ここで、上述したようにROM302に処理プログラム等を予め格納しておく代わりに、例えばインターネットなどの通信網400より通信部308を介してダウンロードし、ハードディスクやRAM303に蓄積して使用することもできる。また、これら処理プログラム、係数種データ等をフロッピー(R)ディスク306で提供するようにしてもよい。
【0152】
また、処理すべきSD信号を入力端子314より入力する代わりに、予めハードディスクに記録しておき、あるいはインターネットなどの通信網400より通信部308を介してダウンロードしてもよい。また、処理後のHD信号を出力端子315に出力する代わり、あるいはそれと並行してディスプレイ311に供給して画像表示をしたり、さらにはハードディスクに格納したり、通信部308を介してインターネットなどの通信網400に送出するようにしてもよい。
【0153】
図25のフローチャートを参照して、図24に示す画像信号処理装置300における、SD信号よりHD信号を得るため処理手順を説明する。
まず、ステップST1で、処理を開始し、ステップST2で、SD画素データをフレーム単位またはフィールド単位で入力する。このSD画素データが入力端子314より入力される場合には、このSD画素データをRAM303に一時的に格納する。また、このSD画素データがハードディスクに記録されている場合には、ハードディスクドライブ307でこのSD画素データを読み出し、RAM303に一時的に格納する。そして、ステップST3で、入力SD画素データの全フレームまたは全フィールドの処理が終わっているか否かを判定する。処理が終わっているときは、ステップST4で、処理を終了する。一方、処理が終わっていないときは、ステップST5に進む。
【0154】
このステップST5では、ユーザがリモコン送信機200を操作して入力した画質指定値、つまりh1,v1,h2,v2を例えばRAM303より読み込む。そして、ステップST6で、例えばROM302から、推定式の係数データWiを生成するために使用する係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9およびw2ci0〜w2ci9を読み込む。
【0155】
次に、ステップST7で、ステップST5で読み込んだ値h1,v1,h2,v2およびステップST6で取得された係数種データとから、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、値h1,v1,h2,v2に対応した推定式の係数データWiを生成する。
【0156】
次に、ステップST8で、ステップST2で入力されたSD画素データより、生成すべき各HD画素データに対応して、クラスタップおよび予測タップの画素データを取得する。そして、ステップST9で、入力されたSD画素データの全領域においてHD画素データを得る処理が終了したか否かを判定する。終了しているときは、ステップST2に戻り、次のフレームまたはフィールドのSD画素データの入力処理に移る。一方、処理が終了していないときは、ステップST10に進む。
【0157】
このステップST10では、ステップST9で取得されたクラスタップのSD画素データからクラスコードCLを生成する。そして、ステップST11で、そのクラスコードCLに対応した係数データと予測タップのSD画素データを使用して、推定式により、HD画素データを生成し、その後にステップST8に戻って、上述したと同様の処理を繰り返す。
【0158】
このように、図25に示すフローチャートに沿って処理をすることで、入力されたSD信号を構成するSD画素データを処理して、HD信号を構成するHD画素データを得ることができる。上述したように、このように処理して得られたHD信号は出力端子315に出力されたり、ディスプレイ311に供給されてそれによる画像が表示されたり、さらにはハードディスクドライブ305に供給されてハードディスクに記録されたりする。
また、処理装置の図示は省略するが、図23の係数種データ生成装置150における処理を、ソフトウェアで実現することも可能である。
【0159】
図26のフローチャートを参照して、推定式の係数データWiを生成するために使用する係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9およびw2ci0〜w2ci9を生成する処理手順を説明する。
まず、ステップST21で、処理を開始し、ステップST22で、学習に使われるSD画素データを生成する際に使用する落としフィルタの水平、垂直の周波数特性を選択する。そして、ステップST23で、水平、垂直の全周波数特性に対して学習が終わったか否かを判定する。全周波数特性に対して学習が終わっていないときは、ステップST24に進む。
【0160】
このステップST24では、既知のHD画素データをフレーム単位またはフィールド単位で入力する。そして、ステップST25で、全てのHD画素データについて処理が終了したか否かを判定する。終了したときは、ステップST22に戻って、次の周波数特性を選択して、上述したと同様の処理を繰り返す。一方、終了していないときは、ステップST26に進む。
【0161】
このステップST26では、ステップST24で入力されたHD画素データより、ステップST22で選択された水平、垂直の周波数特性の落としフィルタを使用してSD画素データを生成する。そして、ステップST27で、ステップST26で生成されたSD画素データより、ステップST24で入力された各HD画素データに対応してクラスタップおよび予測タップの画素データを取得する。
【0162】
そして、ステップST28で、生成されたSD画素データの全領域において学習処理を終了しているか否かを判定する。学習処理を終了しているときは、ステップST24に戻って、次のHD画素データの入力を行って、上述したと同様の処理を繰り返し、一方、学習処理を終了していないときは、ステップST29に進む。
【0163】
このステップST29では、ステップST27で取得されたクラスタップのSD画素データからクラスコードCLを生成する。そして、ステップST30で、係数種データwi0〜wi9を得るための正規方程式((12)式参照)を生成する。ここでは、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎に、正規方程式が個別に生成される。その後に、ステップST27に戻る。
【0164】
また、ステップST23で、全ての周波数特性に対して学習が終わったときは、ステップST31に進む。このステップST31では、各正規方程式を掃き出し法等で解くことによって、クラスおよび出力画素の組み合わせ毎の係数種データwi0〜wi9を算出し、ステップST32で、その係数種データwi0〜wi9をメモリに保存する。
【0165】
ここで、ステップST22で係数種w1i0〜w1i9を得るための周波数特性を選択することで、ステップST30では係数種データwi0〜wi9として係数種w1i0〜w1i9を得るための正規方程式が生成され、ステップST31で算出される係数種データwi0〜wi9はw1i0〜w1i9となる。以下同様にし、ステップST22で選択される周波数特性を変更することで、ステップST31で算出される係数種データwi0〜wi9はw2ai0〜w2ai9、w2bi0〜w2bi9またはw2ci0〜w2ci9となる。
【0166】
次に、ステップST33で、係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9およびw2ci0〜w2ci9の全てを算出したか否かを判定する。全てを算出していないときは、ステップST22に戻って、次の係数種データを算出するための処理に移る。一方、全てを算出したときは、ステップST34で、処理を終了する。
【0167】
このように、図26に示すフローチャートに沿って処理をすることで、図23に示す係数種データ生成装置150と同様の手法によって、図1の画像信号処理部110の情報メモリバンク135に記憶される係数種データw1i0〜w1i9,w2ai0〜w2ai9,w2bi0〜w2bi9およびw2ci0〜w2ci9を生成することができる。
【0168】
なお、上述実施の形態においては、落としフィルタの周波数特性を変化させる物理的な特徴量として、帯域および肩特性の2種類を使用する例を示したが、3種類以上の物理的な特徴量を使用することもできる。この場合、第3以降の物理的な特徴量によって、それぞれ他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性よりこの周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた生徒信号を用いて、第3以降の係数種データの算出が行われる。
【0169】
したがって、第3以降の係数種データに対応した派生曲面は、基底曲面や他の派生曲面に必ず交わる。例えば、第3の係数種データを考えると、この第3の係数種データに対応した派生曲面は、図27Aに示すように、第1の係数種データに対応した基底曲面と交わるか、あるいは図27Bに示すように、第2の係数種データに対応した派生曲面と交わる。
【0170】
図27Aの場合、第3の物理的な特徴量がv=6に対応した値であるときの落としフィルタの周波数特性は、第1の物理的な特徴量(例えば帯域)がv=6に対応した値であるときの落としフィルタの周波数特性と同じくなる。また、図27Bの場合、第3の物理的な特徴量がv=1に対応した値であるときの落としフィルタの周波数特性は、第2の物理的な特徴量(肩特性)がv=1に対応した値であるときの落としフィルタの周波数特性と同じくなる。
【0171】
ユーザは、使用する物理的な特徴量の数に対応した画質の調整軸をもつことになる。この場合、図27Aに示すように基底曲面▲1▼に派生曲面▲2▼,▲3▼が交わる場合と、図27Bに示すように基底曲面▲1▼に派生曲面▲2▼が交わり、この派生曲面▲2▼に派生曲面▲3▼が交わる場合とでは、係数データWiの指定の仕方が異なってくる。
【0172】
図27Aに示すような場合、図28に示すように、まず、基底曲面▲1▼上の点を指定し、この指定された点を含む派生曲面▲2▼′または▲3▼′上の点を指定する。つまり、この場合には、派生曲面▲2▼または▲3▼に対応した調整軸のいずれかを選択的に使用して調整することとなる。
【0173】
図27Bに示すような場合、図29に示すように、まず、基底曲面▲1▼上の点を指定し、次に、この指定された点を含む派生曲面▲2▼′上の点を指定し、さらにこの指定された点を含む派生曲面▲3▼′上の点を指定する。つまり、この場合には、派生曲面▲2▼,▲3▼に対応した調整軸の双方を使用して調整することとなる。
【0174】
このように、曲面の空間的なつながりを利用して、様々な調整軸で画質を調整でき、ユーザの好みに応じた任意の画質を得ることができる。このように、3種類以上の物理的な特徴量を使用する場合にも、上述した補間処理や平行移動処理等によって、指定された係数データWiを生成して、推定予測演算回路127で使用することができる。
【0175】
また、上述実施の形態において、情報メモリバンク135には、出力画素(HD1〜HD4、HD1′〜HD4′)毎に、推定式の係数データWiを生成するための係数種データが記憶されている。SD信号(525i信号)の画素に対する出力画素の位相を変更することで、1050i信号以外のHD信号も同様にして得ることができる。
また、上述実施の形態においては、クラス分けをするものを示したが、この発明はクラス分けをしないものにも同様に適用できることは勿論である。
【0176】
また、上述実施の形態においては、HD信号を生成する際の推定式として線形一次方程式を使用したものを挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば推定式として高次方程式を使用するものであってもよい。
また、上述実地の形態においては、情報信号が画像信号である場合を示したが、この発明はこれに限定されない。例えば、情報信号が音声信号である場合にも、この発明を同様に適用することができる。
【0177】
【発明の効果】
この発明によれば、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用される推定式の係数データを、教師信号から複数の物理的な特徴量によってそれぞれ周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた複数種類の生徒信号と教師信号との間の学習によって生成される複数種類の係数種データに基づいて生成するものであり、係数データを格納しておくメモリの容量増加を招くことなく、パラメータの値の変化に対応した係数データを得ることができ、従ってパラメータの値を調整して第2の情報信号による出力の質を任意に調整することができ、また多様に変化する係数データを得ることができ、従って第2の情報信号による出力の質を多様に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態としてのテレビ受信機の構成を示すブロック図である。
【図2】HD信号(1050i信号)の単位画素ブロック内の4画素の中心予測タップからの位相ずれ(奇数フィールド)を示す図である。
【図3】HD信号(1050i信号)の単位画素ブロック内の4画素の中心予測タップからの位相ずれ(偶数フィールド)を示す図である。
【図4】係数種データw1i0〜w1i9の生成方法を示す図である。
【図5】パラメータh,vを4,5,6,7,8としたときの落としフィルタにおける水平、垂直の周波数特性(帯域変化)を示す図である。
【図6】係数種データw2ai0〜w2ai9の生成方法を示す図である。
【図7】パラメータvを1,2,3,4,5,6としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性(肩特性変化)を示す図である。
【図8】係数種データw2bi0〜w2bi9の生成方法を示す図である。
【図9】パラメータvを0,1,2,3,4,5としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性(肩特性変化)を示す図である。
【図10】係数種データw2ci0〜w2ci9の生成方法を示す図である。
【図11】パラメータvを−1,0,1,2,3,4としたときの落としフィルタにおける垂直周波数特性(肩特性変化)を示す図である。
【図12】基底曲面、派生曲面を含む係数空間の模式図である。
【図13】基底曲面、派生曲面を含む係数空間(平面)の模式図である。
【図14】落としフィルタの帯域、肩特性と係数データWiとの対応関係を示す図である。
【図15】係数空間における係数データWiの指定の流れを示す図である。
【図16】着目派生曲面が派生曲面2,3の間に存在する場合を示す図である。
【図17】補間処理を説明するための図である。
【図18】基底曲面、派生曲面を含む係数空間の模式図である。
【図19】基底曲面、派生曲面を含む係数空間(平面)の模式図である。
【図20】落としフィルタの帯域、肩特性と係数データWiとの対応関係を示す図である。
【図21】係数空間における係数データWiの指定の流れを示す図である。
【図22】平行移動処理を説明するための図である。
【図23】係数種データ生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図24】ソフトウェアで実現するための画像信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図25】画像信号処理を示すフローチャートである。
【図26】係数種データ生成処理を示すフローチャートである。
【図27】第3の係数種データを考えた場合の係数空間の模式図である。
【図28】係数データの指定の仕方を説明するための図である。
【図29】係数データの指定の仕方を説明するための図である。
【図30】525i信号と1050i信号の画素位置関係を示す図である。
【符号の説明】
100・・・テレビ受信機、101・・・システムコントローラ、102・・・リモコン信号受信回路、105・・・受信アンテナ、106・・・チューナ、110・・・画像信号処理部、111・・・ディスプレイ部、112・・・OSD回路、121・・・第1のタップ選択回路、122・・・第2のタップ選択回路、123・・・第3のタップ選択回路、124・・・空間クラス検出回路、125・・・動きクラス検出回路、126・・・クラス合成回路、127・・・推定予測演算回路、128・・・正規化演算回路、129・・・後処理回路、134・・・係数メモリ、135・・・情報メモリバンク、136・・・係数生成回路、137・・・正規化係数演算部、138・・・正規化係数メモリ、150・・・係数種データ生成装置,151・・・入力端子、152・・・SD信号生成回路、153・・・第1のタップ選択回路、154・・・第2のタップ選択回路、155・・・第3のタップ選択回路、157・・・空間クラス検出回路、158・・・動きクラス検出回路、159・・・クラス合成回路、160・・・正規方程式生成部、161・・・係数種データ決定部、162・・・係数種メモリ、200・・・リモコン送信機、300・・・画像信号処理装置
Claims (20)
- 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用され、上記第2の情報信号に係る注目点の情報データを、上記第1の情報信号から抽出される複数の情報データから算出するための推定式の係数データを生成する係数データ生成装置であって、
上記第2の情報信号に対応した教師信号と、該教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、上記第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データと、上記第2の情報信号に対応した教師信号と、該教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性より該周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、それぞれ上記第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを格納する格納手段と、
上記第1のパラメータの値および上記第2〜第Nのパラメータの値を設定するパラメータ設定手段と、
上記格納手段に格納されている、上記第1の係数種データおよび上記第2〜第Nの係数種データに基づいて、上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータおよび上記第2〜第Nのパラメータの値に対応した、上記推定式の係数データを生成する係数データ生成手段と
を備えることを特徴とする係数データ生成装置。 - 上記格納手段には、上記第1の係数種データの他に、上記第2の係数種データが格納されており、
上記パラメータ設定手段は、上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値を設定するものであり、
上記係数データ生成手段は、上記格納手段に格納されている上記第1の係数種データおよび上記第2の係数種データに基づいて、上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の係数データ生成装置。 - 上記格納手段に格納されている上記第2の係数種データは、上記第1のパラメータの複数の値にそれぞれ対応した複数の周波数特性より、それぞれ上記第2の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで生成された生徒信号に係る複数の第2の係数種データからなり、
上記係数データ生成手段は、
上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値が上記複数の値のいずれかに対応しているとき、該第1のパラメータの値に対応した周波数特性より上記第2の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで生成された生徒信号に係る第2の係数種データに基づいて、上記生成式により、上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成し、
上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値が上記複数の値のいずれにも対応していないとき、上記複数の値のうち上記第1のパラメータの値の前後の値に対応した2つの周波数特性より、それぞれ上記第2の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで生成された生徒信号に係る2つの第2の係数種データに基づいて上記生成式により上記パラメータ設定手段で設定された上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の2つの係数データを求め、該2つの係数データから、上記第1の係数種データに基づいて上記生成式により求められた、上記第1のパラメータの値および上記前後の値に対応した上記推定式の係数データを用いた補間処理によって、上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の係数データ生成装置。 - 上記格納手段に格納されている上記第2の係数種データは、上記第1のパラメータの単一の値に対応した周波数特性より、上記第2の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで生成された生徒信号に係る単一の第2の係数種データからなり、
上記係数データ生成手段は、
上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値が上記単一の値であるとき、上記単一の第2の係数種データに基づいて、上記生成式により、上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成し、
上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値が上記単一の値でないとき、上記単一の第2の係数種データに基づいて上記生成式により上記パラメータ設定手段で設定された上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを求め、該係数データから、上記第1の係数種データに基づいて上記生成式により求められた、上記第1のパラメータの値および上記単一の値に対応した上記推定式の係数データを用いた平行移動処理によって、上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の係数データ生成装置。 - 上記格納手段は、
上記第2の情報信号に対応した教師信号と、該教師信号から、上記第1のパラメータの所定の値または上記第2のパラメータの所定の値に対応した周波数特性より、第3の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、上記第3の物理的な特徴量を示す第3のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第3の係数種データをさらに格納しており、
上記パラメータ設定手段は、上記第3のパラメータの値をさらに設定し、
上記係数データ生成手段は、上記格納手段に格納されている上記第1〜第3の係数種データに基づいて、上記パラメータ設定手段で設定された上記第1〜第3のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の係数データ生成装置。 - 上記格納手段に格納されている上記第3の係数種データは、上記第1のパラメータの所定の値に対応した周波数特性より、上記第3の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで得られた生徒信号に係るものであり、
上記係数データ生成手段は、上記第1のパラメータの値、および上記第2のパラメータの値または上記第3のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成する
ことを特徴とする請求項5に記載の係数データ生成装置。 - 上記格納手段に格納されている上記第3の係数種データは、上記第2のパラメータの所定の値に対応した周波数特性より、上記第3の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで得られた生徒信号に係るものであり、
上記係数データ生成手段は、上記第1〜第3のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを生成する
ことを特徴とする請求項5に記載の係数データ生成装置。 - 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用され、上記第2の情報信号に係る注目点の情報データを、上記第1の情報信号から抽出される複数の情報データから算出するための推定式の係数データを生成する係数データ生成方法であって、
上記第2の情報信号に対応した教師信号と、該教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、上記第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データを記憶部から取得するステップと、
上記第2の情報信号に対応した教師信号と、該教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性より該周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、それぞれ上記第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを記憶部から取得するステップと、
上記第1のパラメータの値および上記第2〜第Nのパラメータの値を設定するステップと、
上記取得された第1の係数種データ、および第2〜第Nの係数種データに基づいて、上記設定された第1のパラメータの値および第2〜第Nのパラメータの値に対応した、上記推定式の係数データを生成するステップと
を備えることを特徴とする係数データ生成方法。 - 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理装置であって、
上記第2の情報信号に対応した教師信号と、該教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、上記第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データと、上記第2の情報信号に対応した教師信号と、該教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性より該周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、それぞれ上記第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを格納する格納手段と、
上記第1のパラメータの値および上記第2〜第Nのパラメータの値を設定するパラメータ設定手段と、
上記格納手段に格納されている、上記第1の係数種データおよび上記第2〜第Nの係数種データに基づいて、上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値および上記第2〜第Nのパラメータの値に対応した、上記推定式の係数データを発生する係数データ発生手段と、
上記第1の情報信号から上記第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のデータ選択手段と、
上記係数データ発生手段で発生された上記係数データと上記第1のデータ選択手段で選択された上記複数の第1の情報データとから、上記推定式を用いて上記注目点の情報データを算出して得る演算手段と
を備えることを特徴とする情報信号処理装置。 - 上記格納手段には、上記第1の係数種データの他に、上記第2の係数種データが格納されており、
上記パラメータ設定手段は、上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値を設定するものであり、
上記係数データ発生手段は、上記格納手段に格納されている上記第1の係数種データおよび上記第2の係数種データに基づいて、上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生する
ことを特徴とする請求項9に記載の情報信号処理装置。 - 上記格納手段に格納されている上記第2の係数種データは、上記第1のパラメータの複数の値にそれぞれ対応した複数の周波数特性より、それぞれ上記第2の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで生成された生徒信号に係る複数の第2の係数種データからなり、
上記係数データ発生手段は、
上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値が上記複数の値のいずれかに対応しているとき、該第1のパラメータの値に対応した周波数特性より上記第2の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで生成された生徒信号に係る第2の係数種データに基づいて、上記生成式により、上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生し、
上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値が上記複数の値のいずれにも対応していないとき、上記複数の値のうち上記第1のパラメータの値の前後の値に対応した2つの周波数特性より、それぞれ上記第2の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで生成された生徒信号に係る2つの第2の係数種データに基づいて上記生成式により上記パラメータ設定手段で設定された上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の2つの係数データを求め、該2つの係数データから、上記第1の係数種データに基づいて上記生成式により求められた、上記第1のパラメータの値および上記前後の値に対応した上記推定式の係数データを用いた補間処理によって、上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生する
ことを特徴とする請求項10に記載の情報信号処理装置。 - 上記格納手段に格納されている上記第2の係数種データは、上記第1のパラメータの単一の値に対応した周波数特性より、上記第2の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで生成された生徒信号に係る単一の第2の係数種データからなり、
上記係数データ発生手段は、
上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値が上記単一の値であるとき、上記単一の第2の係数種データに基づいて、上記生成式により、上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生し、
上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値が上記単一の値でないとき、上記単一の第2の係数種データに基づいて上記生成式により上記パラメータ設定手段で設定された上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを求め、該係数データから、上記第1の係数種データに基づいて上記生成式により求められた、上記第1のパラメータの値および上記単一の値に対応した上記推定式の係数データを用いた平行移動処理によって、上記第1のパラメータの値および上記第2のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生する
ことを特徴とする請求項10に記載の情報信号処理装置。 - 上記格納手段は、
上記第2の情報信号に対応した教師信号と該教師信号から、上記第1のパラメータの所定の値または上記第2のパラメータの所定の値に対応した周波数特性より、第3の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、上記第3の物理的な特徴量を示す第3のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第3の係数種データをさらに格納しており、
上記パラメータ設定手段は、上記第3のパラメータの値をさらに設定し、
上記係数データ発生手段は、上記格納手段に格納されている上記第1〜第3の係数種データに基づいて、上記パラメータ設定手段で設定された上記第1〜第3のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生する
ことを特徴とする請求項10に記載の情報信号処理装置。 - 上記格納手段に格納されている上記第3の係数種データは、上記第1のパラメータの所定の値に対応した周波数特性より、上記第3の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで得られた生徒信号に係るものであり、
上記係数データ発生手段は、上記第1のパラメータの値、および上記第2のパラメータの値または上記第3のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生する
ことを特徴とする請求項13に記載の情報信号処理装置。 - 上記格納手段に格納されている上記第3の係数種データは、上記第2のパラメータの所定の値に対応した周波数特性より、上記第3の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタで得られた生徒信号に係るものであり、
上記係数データ発生手段は、上記第1〜第3のパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生する
ことを特徴とする請求項13に記載の情報信号処理装置。 - 上記第1の情報信号から上記第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第2のデータ選択手段と、上記第2のデータ選択手段で選択された上記複数の第2の情報データに基づいて上記注目点が属するクラスを検出するクラス検出手段とをさらに備え、
上記格納手段は、上記クラス検出手段で検出し得るクラス毎に、上記第1の係数種データおよび上記第2〜第Nの係数種データを格納しており、
上記係数データ発生手段は、上記クラス検出手段で検出されたクラスおよび上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値および上記第2〜第Nのパラメータの値に対応した上記推定式の係数データを発生する
ことを特徴とする請求項9に記載の情報信号処理装置。 - 上記係数データ発生手段は、
クラス毎に、上記格納手段に格納されている上記第1の係数種データおよび上記第2〜第Nの係数種データに基づいて、上記パラメータ設定手段で設定された上記第1のパラメータの値および上記第2〜第Nのパラメータの値に対応した、上記推定式の係数データを生成する係数データ生成部と、
上記係数データ生成部で生成された上記クラス毎の推定式の係数データを格納する格納部と、
上記格納部より上記検出手段で検出されたクラスに対応した上記推定式の係数データを読み出して出力する係数データ読み出し部とを有してなる
ことを特徴とする請求項16に記載の情報信号処理装置。 - 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理方法であって、
上記第2の情報信号に対応した教師信号と、該教師信号から、第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、上記第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データを記憶部から取得するステップと、
上記第2の情報信号に対応した教師信号と、該教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性より該周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られた上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号との間の学習によって生成される、それぞれ上記第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを記憶部から取得するステップと、
上記第1のパラメータの値および上記第2〜第Nのパラメータの値を設定するステップと、
上記取得された第1の係数種データ、および第2〜第Nの係数種データに基づいて、上記設定された第1のパラメータの値および第2〜第Nのパラメータの値に対応した、上記推定式の係数データを発生するステップと、
上記第1の情報信号から上記第2の情報信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択するステップと、
上記発生された係数データと上記選択された複数の情報データとから、上記推定式を用いて上記注目点の情報データを算出して得るステップと
を備えることを特徴とする情報信号処理方法。 - 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用する推定式の係数データを求める際に使用する係数種データを生成する装置であって、
上記第2の情報信号に対応した教師信号から第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られる、上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号より、上記教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択する第1のデータ選択手段と、
上記第1のデータ選択手段で選択された複数の情報データおよび上記教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、該生成された学習データに基づいて、上記第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データを生成する第1の係数データ生成手段と、
上記第2の情報信号に対応した教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性より該周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られる、上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号より、上記教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択する第2のデータ選択手段と、
上記第2のデータ選択手段で選択された複数の情報データおよび上記教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、該生成された学習データに基づいて、上記第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを生成する第2の係数データ生成手段と
を備えることを特徴とする係数種データ生成装置。 - 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用する推定式の係数データの算出時に使用する係数種データを生成する方法であって、
上記第2の情報信号に対応した教師信号から第1の物理的な特徴量によって周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られる、上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号より、上記教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択する第1のステップと、
上記第1のステップで選択された複数の情報データおよび上記教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、該生成された学習データに基づいて、上記第1の物理的な特徴量を示す第1のパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第1の係数種データを生成する第2のステップと、
上記第2の情報信号に対応した教師信号から、第2〜第N(Nは2以上の整数)の物理的な特徴量によって、それぞれ、他の物理的な特徴量の所定値に対応した周波数特性より該周波数特性を変化させた落としフィルタを用いて得られる、上記第1の情報信号に対応した複数の生徒信号より、上記教師信号に係る注目点の周辺に位置する複数の情報データを選択する第3のステップと、
上記第3のステップで選択された複数の情報データおよび上記教師信号に係る注目点の情報データに基づいて学習データを生成し、該生成された学習データに基づいて、上記第2〜第Nの物理的な特徴量を示す第2〜第Nのパラメータを含み上記推定式の係数データを生成するための生成式の係数データである第2〜第Nの係数種データを生成する第4のステップと
を備えることを特徴とする係数種データ生成方法。
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