JP4679832B2 - 微粒子集積体の製造方法及び微粒子細線アレイ - Google Patents
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Description
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、一定の粒径の微粒子が分散されたコロイド液に対して、その液面に交差するように微粒子集積体の基板を縦向きに浸漬し、コロイド液の溶媒を蒸発させてコロイド液の液面近傍の微粒子を順次基板の表面に供給することにより、微粒子が単層又は2層以上で規則的に集積・配列した微粒子層を基板上に自己組織的に形成させる、微粒子集積体の製造方法である。
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、以下のいずれか1以上の手段により、前記第1発明に係るコロイド液中の微粒子を良好な分散状態に維持する、微粒子集積体の製造方法である。
(1)pHの調整
(2)界面活性剤の使用
(3)微粒子表面の修飾
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る基板上に微粒子層を形成させるに当たり、溶媒の蒸発によるコロイド液の液面低下速度を一定の程度以上に設定することにより、又は、コロイド液の液面に対する基板の位置を間欠的に所要の速度で上方へ相対的に変位させることにより、前記微粒子層を多数の平行な細線状に形成させる微粒子集積体の製造方法である。
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第3発明に係る多数の細線状の微粒子層の幅と、それらの微粒子層の間隔とを、基板の前記相対的変位の制御によって規則的に調整する、微粒子集積体の製造方法である。
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、微粒子が単層又は多層で規則的に集積・配列した細線状の微粒子層が、基板上に平行に多数形成されている、粒子細線アレイである。
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、前記第5発明に係る多数の細線状の微粒子層が、それぞれ同一幅で、かつ同一間隔で形成されている、粒子細線アレイである。
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、前記第5発明又は第6発明に係る細線状の微粒子層の幅が70μm以下であり、それらの微粒子層の間隔が250μm以下である、粒子細線アレイである。
上記課題を解決するための本願第8発明の構成は、前記第5発明〜第7発明のいずれかに係る微粒子が、100nm〜10μmの範囲内で同一の粒径を有するBaTiO3 、TiO2 又はSiO2 の微粒子である、粒子細線アレイである。
第1発明に係る微粒子集積体の製造方法によれば、前記のコロイド液と基板とを準備し、コロイド液に対して基板を縦向きに浸漬しコロイド液の溶媒を蒸発させると言う極めて簡単な操作だけで、コロイド液の液面近傍の微粒子が順次基板の表面に供給(移流集積)され、多数の微粒子が面心立方構造(六方最密充填構造)に集積・配列した微粒子層が自己組織的に形成される。従って、このような微粒子集積体を簡易に、かつ低コストに製造することができる。
微粒子集積体の製造方法において、コロイド液中の微粒子を良好な分散状態に維持することは、第1発明のような一般的な微粒子集積体を製造する際にも、第3発明のような粒子細線アレイを製造する際にも、微粒子の沈降防止のために、あるいはノイズ粒子(規則的に集積・配列していない微粒子)を少なくするために、重要である。
第3発明によれば、溶媒の蒸発によるコロイド液の液面低下速度を一定の程度以上に設定することにより、又は、コロイド液の液面に対する基板の相対位置を間欠的に所要の速度で上方へ変位させると言う簡易な操作により、微粒子が規則的に集積・配列した微粒子層を多数の平行な細線状に形成させることができる。即ち、「粒子細線アレイ」と呼ぶべき微粒子集積体を製造することができる。このような粒子細線アレイの製造方法は、本願発明者の発表によるものを除き、未だ報告されていない。
前記の第3発明において、多数の細線状の微粒子層の幅と、それらの微粒子層の間隔とは、基板の前記相対的変位の制御によって規則的に調整することができる。そしてコロイド液の液面に対する基板の相対的変位は、コロイド液の液面に対して基板を引き上げることにより、及び/又は、基板に対してコロイド液の液面を下げる(例えば、コロイド液の容器を下方へ変位させる)ことにより、行うことができる。
第5発明に記載したような粒子細線アレイは、本願発明者の発表によるものを除き、未だ報告されていない。
粒子細線アレイとしては、第6発明のように、多数の細線状の微粒子層が、それぞれ同一幅(幅A)を持ち、かつ同一間隔(間隔B)で形成されていることが、フォトニック結晶等への応用において、高い周期性を有すると言う理由から、特に好ましい。幅Aと間隔Bとが同一であることは特段に要求されないが、これらの幅Aと間隔Bとをそれぞれ任意に設計できる点は、粒子細線アレイの応用の幅を広げる上で有利である。
又、粒子細線アレイにおける細線状の微粒子層の幅と、それらの相互間隔とは、それぞれ任意に設計することができるが、例えば第7発明のように、70μm以下の幅の細線状の微粒子層が250μm以下の間隔を以て多数並列しているものが、特に好ましい。なぜなら、フォトニック結晶は可視光波長程度の周期性構造体であるし、デバイスの小型化のためには微細な構造体の作製が必要だからである。
微粒子層を構成する多数の微粒子の粒径は限定されないが、製造プロセス上は、100nm〜10μmの範囲内で同一の粒径であることが、特に好ましい。微粒子の粒径が余りに大きいものは、製造プロセスにおいてコロイド溶液中で沈降又は浮遊し易く、微粒子の粒径が余りに小さいものは、ファンデルワールス力が優勢になって凝集し易い。
本発明に係る微粒子集積体の製造方法は、微粒子集積体の基板と、一定の粒径の微粒子が分散されたコロイド液とを用い、このコロイド液に含まれる多数の微粒子を基板上に自己組織的に集積・配列させることによって行われる。
微粒子集積体を構成するために用いる微粒子の種類、粒径等については限定されないが、同一の粒径の(あるいは、粒径分布の極めて狭い)微粒子群を用いることが望ましい。その粒径は任意に選択することができるが、前記の理由から、製造プロセス上は100nm〜10μmの範囲内、とりわけ100nm〜1μmの範囲内の一定の粒径が好ましい。
微粒子が分散されたコロイド液の溶媒(分散媒)は、水、エタノール等の有機溶媒、又はこれらの混合液等から任意に選択することができる。溶媒の選択に当たり、加熱等による蒸発又は揮発の速度を考慮することができる。溶媒の蒸発又は揮発の速度は、微粒子集積体の製造効率等に影響する。
基板の形状、サイズ、材質、表面性状等は限定されない。基板の形状に関しては、任意の平面形状を持つ平坦な板状体が一般的であるが、球面等の湾曲した表面を持つ形状であっても、使用することができる。基板の材質に関しては、例えば各種のセラミックス、プラスチックス、金属等の基板を使用できるが、微粒子集積体の用途を考慮した場合、シリコン基板が代表的に例示される。
本発明に係る粒子細線アレイにおいては、微粒子が単層又は多層で規則的に集積・配列した細線状の微粒子層が、基板上に平行に多数形成されている。これら多数の細線状の微粒子層の幅や相互間隔は、機能上の要求からは、それぞれ同一幅(幅A)で、かつ同一間隔(間隔B)で形成されていることが好ましい。幅Aや間隔Bは任意に設定できるが、例えばそれぞれ、幅Aを10〜70μm程度とし、間隔Bを50〜250μm程度とすることができる。
1vol.%のオクタデシルトリクロロシランを含む無水トルエンに、窒素雰囲気下でシリコンプレートを5分間浸漬して表面を疎水化し、微粒子集積体用の基板を得た(以下、これを単に「基板」と言う)。この基板のエタノールに対する接触角は10〜20°であり、水に対する接触角は96°であった。
上記の実施例1に比較して、エタノールの蒸発に基づく液面低下の速度を、およそ3cm/8時間とし、それ以外の点は実施例1と全く同様にして、実施例2を行った。
上記の実施例1に比較して、前記した基板の上方への引き上げによる相対変位操作を行わず、エタノールの蒸発に基づくコロイド液の液面の緩徐な低下(およそ1cm/8時間の速度)のみを起こさせ、それ以外の点は実施例1と全く同様にして実施例3を行った。
Claims (2)
- 一定の粒径の微粒子が分散されたコロイド液に対して、その液面に交差するように微粒子集積体の基板を縦向きに浸漬し、コロイド液の溶媒を蒸発させてコロイド液の液面近傍の微粒子を順次基板の表面に供給し、溶媒の蒸発によるコロイド液の液面低下速度を一定の程度以上に設定することにより、又は、コロイド液の液面に対する基板の位置を間欠的に所要の速度で上方へ相対的に変位させることにより、多数の前記液面に平行な細線状に微粒子が単層又は2層以上で規則的に集積・配列した微粒子層を基板上に自己組織的に形成させることを特徴とする微粒子集積体の製造方法。
- 前記多数の細線状の微粒子層の幅と、それらの微粒子層の間隔とを、基板の前記相対的変位の制御によって規則的に調整することを特徴とする請求項1に記載の微粒子集積体の製造方法。
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