JP4611583B2 - 人工結晶体の形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に微粒子を三次元的に配置させた微粒子構造体に関し、例えば、微粒子が周期的に配列された構造の効果を利用する分野に適用して好適なものであり、具体的には、フォトニクス結晶、光学部品、光集積回路などのように、微粒子構造体中の欠陥及び転移が大幅に減少することにより、利益を得られる分野に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
微粒子の配列膜に関して先駆的な仕事をした永山国昭氏等の先願特許について、PVを用いて、発明者を“永山国昭”とし、要約に含まれる語句に“粒子”をかけたものと、発明者を“永山国昭”とし、発明の名称に含まれる語句に“粒子”をかけたものを参考にした。調べた結果、本発明に関係ありそうな特許は以下の通りであった。要約は以下のとおりである。
【0003】
特許第2783487号:ミリメートルサイズの円形セルの内部に粒子径200nm以下のナノメートル粒子の溶液を満たして、空気または酸素等の制御雰囲気下において溶媒を蒸発させることにより、ナノメートル粒子を固体表面上に二次元的に結晶化する方法に関するものである。
【0004】
特許第2828374号:微粒子の液状分散媒体を表面平坦基板上に供給して液体薄膜を形成し、液状分散媒体の液厚を蒸発等により制御することにより、微粒子を2次元で凝集させる方法に関するものである。
【0005】
特許第2828375号:これは、微粒子の液状分散媒体を基板上でためるためのセル構造体により、液面のメニスカス形状を実現し、このセル構造体を密閉性容器体フードで覆い、液の蒸発量を制御することにより、微粒子分散液体の液膜厚を制御し、微粒子の2次元凝集を形成する微粒子の2次元凝集形成装置に関するものである。
【0006】
特許第2828384号:担持用基板上に液体膜を配設した後に、この液体膜上に粒子分散液を該液体膜と混合することなく展開し、分散媒と液体膜とを蒸発させて担持用基板上に粒子薄膜を形成する方法に関するものである。
【0007】
特許第2828386号:基板を、微粒子の分散懸濁液と接触させ、雰囲気、基板および懸濁液の3相接触線にあるメニスカス先端部を掃引展開して移動させ、微粒子の集積により微粒子膜を製造するにあたり、メニスカス先端部の移動速度(Vc)、微粒子の体積分率、および液体蒸発速度(je)をパラメーターとして微粒子薄膜の微粒子密度および微粒子層数を制御する方法に関するものである。
【0008】
特許第2834416号:微粒子の体積分率φが、液媒体の蒸発速度、液媒体の粘性率等に依存する係数、平均粒子速度を平均液分子速度で割った数、既に生成されている微粒子膜とぬれ膜の表面から蒸発する単位時間あたりの分子数、液媒体の有効体積、ぬれ膜の膜厚、混合流体の粘性率、接触線の実効密度により算出する値よりも大きくする方法、及び、基板の引き上げ速度を帰還制御する方法に関するものである。
【0009】
特許第2885587号:微粒子を含有している液体、または、反応により微粒子を形成する液体を高密度液体表面に一旦展開し、微粒子の原料となる液体の展開厚みを制御して微粒子を2次元凝集させ、凝集形成された2次元粒子薄膜を固体基板表面に接触させて転写固定することにより微粒子膜を形成する方法に関するものである。
【0010】
特許第2912562号:サブミクロンの微粒子の単粒子膜や多粒子膜上にエネルギー線を直接作用させることにより、所定パターンに従い局所的に粒子の溶解度、融解度を変化させ、パターン化した単粒子膜や多粒子膜を得る方法に関するものである。
【0011】
特許第2915812号:固体2次基板の表面をエネルギー線照射による活性化、または疎水化処理することにより、疎水面を生成したりする微粒子膜の形成方法、固体2次基板の表面に特異的結合リガンド膜を配設、またはチオール基を吸着させることにより変性蛋白質を生成させて微粒子膜を転写付着させる微粒子膜の形成方法、もしくは、超微粒子にエネルギー線を照射して活性ラジカルを生成させて転写付着させる微粒子膜の形成方法に関するものである。
【0012】
特開平8−229474号公報:移流集積によって、粒径がナノメートルオーダーの微粒子の単粒子膜、多粒子膜の形成において、高分子からなるLB膜または界面膜をバインダー層として用い、粒子薄膜の形成を制御するとともに転写基板に固定することにより粒子膜を形成する方法に関するものである。
【0013】
特開平9−92617号公報:イオン強度の制御によって電解質液膜中の荷電粒子に対するポテンシャルエネルギーを2次極小化してナノスケールの2次薄膜を形成し、これにナノスケール微粒子を閉じ込めて集積する方法に関するものである。
【0014】
さらに、PVを用いて、微粒子,微小物、構造体,二次元,2次元,三次元,3次元、B01J,H01Lを条件に調べた結果、以下のものがあった。
【0015】
特開平6−123886号公報:微粒子の配列制御方法に関するもので、レーザー光のトラップ力を利用して、面内に微粒子を選択的に配列させた後、この微粒子の面内パターン配列を凍結や紫外線硬化樹脂などで固定する微粒子の配列制御方法について述べている。
【0016】
特開平6−212409号公報:微粒子を成長させるべき位置に電子ビームを照射することにより、その部位を帯電させることにより、周囲から微粒子をひきつけて、微粒子を原料として構造体の製造法について述べている。なお、原料とする微粒子には、カーボン粒子を想定している。
【0017】
特開平9−82939号公報:基板の凹部に微粒子が配置された微細構造素子と、その製法について述べられている。微粒子を堆積させる方法は、熱、光、超音波、粒子線、微小プローブなどにより基板表面の狙った位置にエネルギーを与えることにより、表面励起し、選択的に微粒子を堆積させるという方法について述べている。この発明が解決しようとしている課題は、従来の微細加工技術よりもより微細な領域において、特性の揃った素子を形成しようとするものであって、粒子の周期構造によって発現する機能の組み合わせについては、言及されていない。
【0018】
特開平10−102243号公報:超微粒子が配置されてなる超微細構造体に関するものである。超微粒子は、高エネルギーのビームをターゲットに照射することによって、形成する。製法からもわかるように、この発明では、微粒子が周期構造をとることによる効果は、用いていない。
【0019】
特開平10−173181号公報:微粒子を用いた三次元量子ドットアレイによる電子素子に関するものである。電子素子には、具体的にメモリ素子を想定している。この発明では、三次元量子ドットアレイということで、微粒子の周期構造による特性を活用しているといえるが、周期構造の異なるものを同時に活用するという視点はない。情報を記憶する。
【0020】
特開平10−189601号公報:微粒子をマスクとして用いた微細構造の製造方法に関するものである。マスクとなる微粒子を配列させる際に六方最密構造となる特徴を利用しているが、微粒子が周期的であることによる特性を積極的に利用しているものではない。
【0021】
特許第2859477号:超微粒子を規則的に配列させる方法に関するもので、光反応性ビオチンを混合した重炭酸バッファ中に石英基板を浸漬し、この後、基板にホトマスクを通して光を選択的に照射して、基板の光照射部分にビオチンの結合領域を形成させておき、同時に、超微粒子をアビジンに結合させたコロイドアビジンを調製しておき、このコロイドアビジンを含むリン酸バッファ中に基板を浸漬させることにより、ビオチンにアビジンを介して超微粒子を結合させ、超微粒子配列させるというものである。この発明も、微粒子が周期的であることによる特性を積極的に利用しているものではない。
【0022】
さらに、微粒子をはじめとする微小物の構造体構築に関する研究を行っている化学技術庁金属材料研究所の新谷紀雄氏等による特許出願について調べた結果、微小物の構造体に関する発明としては以下のものがあった。
【0023】
特開平2000−167387号公報:粒子微小物を1個づつ基板上に精密配置する方法に関するものであり、絶縁性等の基板上に、集束イオンビーム等によって帯電スポットを形成して、その位置に、微小物を誘引・付着させるというものである。この発明も、微粒子が周期的であることによる特性を積極的に利用しているものではない。
【0024】
特許第2653424号:マイクロプローブにより金属微小物を操作、接合、加工して、微小部品・微小構造物を作製する方法に関するものである。
【0025】
特許第2967198号:微小物の3次元精密配列法に関するもので、微小物の配列は、対向させた電極で行い、片方の電極の表面に突起を作り、この部分で電界が集中する構成としておき、対抗させた電極間に、溶媒中に粒子状あるいは繊維状の微小物が分散している溶液で満たして、電界をかけることにより、突起部に微小物からなる鎖状体を成長させるというものである。この発明も、微粒子が周期的であることによる特性を積極的に利用しているものではない。
【0026】
特許第3069579号:微小物をハンドリングするための双極子電極プローブに関するものである。
【0027】
更に、PVを用いて、フォトニック、結晶を条件に調べた結果、以下のものが見つかった。
【0028】
特開2000−233998号公報:コロイド結晶をテンプレートとして用い、このテンプレートを電解液内に置いて、コロイド結晶内に格子材料を電気化学的に形成した後、コロイド結晶粒子を除去することにより周期性構造物を形成する。
【0029】
特開2000−233999号公報:コロイド結晶をテンプレートとして用い、このコロイド結晶へナノ粒子液体分散を導入、乾燥した後、コロイド結晶粒子を除去することにより周期性構造物を形成する。
【0030】
これらの発明で述べられているコロイド結晶とは、微粒子が凝集する際に、微粒子が規則的に配列される現象を利用した微粒子の人工結晶体のことを述べている。こうしたコロイド結晶に転移・欠陥が多く含まれる課題が存在しているという点は、本発明が解決しようとする課題で述べるとおりである。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
微粒子あるいは微細な構造体の周期的な繰り返し構造により発現する物性を利用したものには、フォトニック結晶をはじめとする光学部品、あるいは、それを集積させた光集積回路などがある。
こうした周期構造体を作る方法には大きく分けて以下の二つの方法がある。
(1)微細加工技術により、周期構造体を作る方法。
(2)形態の揃った微粒子を凝集、あるいは、配置させて周期構造体を作る方法。
【0032】
それぞれの方法の特徴を簡単に述べると、
(1)の微細加工を利用した方法では、デバイスプロセスとの融合性は良いという利点があるものの、基本的に二次元加工であるため、三次元化が難しかったり、周期構造の周期が利用光の半分程度であることが必要であるため、短波長光用にはかなり微細な加工技術が必要になってくるという欠点もある。しかしながら、最初に述べた利点から、現時点で、光集積回路などへの応用はこの方法に限られている。
一方、(2)の形態の揃った微粒子を凝集、あるいは、配置させて周期構造体を作る方法は、微粒子の結晶体として作れるため、三次元化が容易であったり、高度な微細加工技術が必要ないなどの利点があるものの、いくつかの課題が解決されていないため、光集積回路などのデバイスに応用した例はない。この未解決の課題の中で、最も大きな課題は、微粒子の構造体(人工結晶体)を形成する際に、転移・欠陥が数多く発生してしまい、マルチドメイン構造となってしまう点である。
【0033】
ここでいうマルチドメイン構造とは、図7に示すように(図7において、微粒子人工結晶体におけるドメインを示す)、微粒子の集合体が、結晶方位の異なる、あるいは、結晶構造の異なるブロックの集まりから構成されているということを述べている。微粒子凝集を利用した手法において、微粒子の人工結晶体がマルチドメイン構造となってしまうという課題は、最近のデータでも依然として解消されていない(例えば、Phys.Rev.E61,5784(2000))。
【0034】
以下に、微粒子凝集を利用した手法においては、微粒子人工結晶の結晶成長中に発生する欠陥や転移を防止して、こうしたマルチドメイン構造をシングルドメインとすることは、物理的に、非常に困難であることを説明する。
【0035】
微粒子凝集を利用した手法は、微粒子を含む分散液が乾く際、あるいは、沈殿して液中で降り積もった粒子間に働く凝集力(引力)を利用することにより、粒子の集合体の構造を最密充填構造とするという点に基盤を置いている。各粒子層が形成される際に、粒子の凝集力は十分であり、各層の内部で最密充填とならない欠陥はないとすると、まず、粒子第1層目は、図8のようになる。この上に形成される第2層目は、第1層目によって形成される窪みの位置に第2層目の粒子が配置されるため、図9に示す状態か、あるいは、これと等価な図10に示すような状態で形成される。第2層が形成される際にも粒子の凝集力を十分に作用させてやることにより、図11に示すような図9の状態と図10の状態が混在したような状態の発生は防止することができる。
【0036】
図9の状態と図10の状態は、まったく、等価な状態なので、第3層目の説明は、図9に示す第2層の上に第3層が形成されるとして、説明を行う。第3層目を形成する際にも、第3層目の粒子を第2層目粒子の窪み位置で、最密充填となるように、配置する並べ方には、図12と図13の状態がある。第2層目と第3層目の関係で見る限り、図12の状態と図13の状態は、等価であるが、図12と図13では、第1層目と第3層目の関係が異なっているために、図12では面心立方晶、図13では六方最密充填構造となっている。
【0037】
微粒子の凝集を利用する方法では、近接する粒子同士の引力が支配しているために、図12の状態と図13の状態では、内部エネルギーにほとんど差が生じない。このため、微粒子の凝集を利用した微粒子人工結晶体の形成では、人工結晶体の成長中に面心立方と六方最密充填構造の転移が繰り返されることとなり、人工結晶体をシングルドメイン化することが極めて困難となっている。
【0038】
本発明は、以上で説明したような微粒子の構造体(人工結晶体)を形成する際に発生する転移及び欠陥を大幅に減少させ、形成後の微粒子の構造体(人工結晶体)をシングルドメイン構造とすることを目的とする。
【0039】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、原料となる微粒子分散液の供給量と分散液の乾燥速度を制御でき、且つ、分散液乾燥界面を掃引することが可能な機構を有する移流集積微粒子単層形成部と、粒子固定化機構部と、マイクロピンセットと粒子層間の位置合わせ機構を有する微粒子層積み上げ部からなることを特徴としたものである。
【0044】
【発明の実施の形態】
本出願人は、別途「微粒子構造体の製造方法」について提案したが、この「微粒子構造体の製造方法」は、基板の凹凸を利用することにより、二次元パターンの微粒子配列膜を形成し、この微粒子膜をマイクロピンセットを用いて、基板より剥がして持ち上げ、他の微粒子膜の上まで移動して、積み重ねていくことにより、自在な形状の微粒子構造体を作るというものであった。
【0045】
上記「微粒子構造体の製造方法」では、二次元パターンの微粒子配列膜が、何粒子層であるかは特定していなかった。本発明では、転移の発生しない第2粒子層までを、まず、微粒子の凝集により作成して、この後、2層の微粒子膜をマイクロピンセットを用いて、基板より剥がして持ち上げ、他の微粒子膜の上まで移動して、下地の粒子膜とアライメントをとって、積み重ねていくものであるが、もちろん、微粒子の最終構造体がマルチドメインでも良い場合には、第3層以降も微粒子凝集法により形成して、微粒子膜を積み重ねていってもよい。
【0046】
(実施例)本発明では、微粒子には、粒径300nmの球形のSiO2粒子を使用し、図1に示すがごとき移流集積微粒子単層形成部と、図2に示すがごとき微粒子層積み上げ部からなる人工結晶体の形成装置を用いて、人工結晶の形成をおこなった。
【0047】
図1に示す移流集積微粒子単層形成部では、原料となる微粒子分散液1の量を制御して微粒子単層2の成長界面に供給する微粒子分散液供給量制御機構部11と、分散液1の乾燥速度を制御するための容器と温湿度を制御する雰囲気制御機構部12と、微粒子単層2の成長界面を掃引するための基板ステージ4の駆動機構部13を有している。また、本実施例では、粒子同士の固定化は、固定化液の添加によりおこなっているので、固定化液の添加機構14も図8中に示されている。粒子の固定化液は粒子同士が固定化されるという目的が達せられるのであれば、何でも良いが、粒子同士をSi−O−Si結合により固定化する場合について簡単に述べる。この場合には、SiO2粒子の表面をフェニルトリクロロシラン(PTCS)で表面修飾しておき、この表面修飾されたSiO2粒子を用いて、単粒子層を形成した後、塩酸を微量滴下する。このことにより、粒子間でSi−O−Si結合が形成され、粒子同士が固定化される。
【0048】
図2では、微粒子の2粒子層5を基板3から剥がし、他の場所6に積み上げるためにハンドリングを行うマイクロピンセット15と、粒子層間の位置合わせを行うためのアライメント機構16を有した微粒子層積み上げ部を示している。
【0049】
図3を用いてプロセス全体の説明を行う。まず、基板3上に移流集積を利用して、粒子第1層目21を形成した後(図3(A))、固定化液を滴下乾燥させることにより、第1層目の粒子同士の固定化を行う(図3(B))。次に、移流集積を利用して、第1層目21の上に、第2層目22を形成して(図3(C))、固定化液を滴下乾燥させることにより、第2層目の粒子22同士及び第1層目の粒子21との固定化を行う(図3(D))。こうして形成した微粒子の2粒子層を、マイクロピンセット15を用いて、基板3より剥離する。剥離した2粒子層51は、他の2粒子層52の上方に持っていき(図3(E))、下の2粒子層52との位置合わせをおこなった後(図3(F))、積み上げる(図3(G))。以上の積み上げ工程を繰り返した後、固定液、あるいは、アニールなどにより、各積み上げ層間の固定化を行い、微粒子の人工結晶体が形成される(図3(H))。
【0050】
(参考例)本願発明の実施例とは別に参考例をあげる。参考例では、微粒子には、粒径300nmの球形のSiO2粒子を使用し、基板3には、図4に示すがごとき微粒子2粒子層形成部31と、図5に示すがごとき微粒子層積み上げ部32からなる人工結晶体の形成装置を用いて、人工結晶の形成をおこなった。
【0051】
図4に示す微粒子2粒子層形成部31では、原料となる微粒子分散液の供給量を制御して基板表面に滴下・展開する機構11と、分散液中の微粒子の沈降及び液の乾燥を安定に行うための容器と温湿度制御機構12と、分散液中の微粒子の沈降及び液の乾燥を安定に行うための除振機構17を有しており、前記機構11及び12は、除振機構17の上に構築されている。
【0052】
図5は、微粒子層積み上げ部を示しているが、参考例では、粒子同士の固定化は、フラッシュランプアニールによりおこなっているので、図5にはランプアニール機構18も示されている。また、図5では、微粒子の2粒子層52を基板3から剥がし、他の場所に積み上げるためにハンドリングを行うマイクロピンセット15と、粒子層間の位置合わせを行うためのアライメント機構16を有した微粒子層積み上げ部も示されている。
【0053】
図6を用いてプロセス全体の説明を行う。まず、基板3上に、原料となる微粒子分散液1を基板表面に滴下・展開する(図6(A))。この際、分散液中の微粒子量は、ちょうど2粒子層が形成できるだけの量に制御する(図6(B))。原料の量の制御なので、基板3上では、第2層目の粒子が少し足りなかったり、部分的に第3層目が形成されている個所ができる場合もあるが、積み上げに使用する2粒子層膜の部品パターンを余分に作っておけば問題はない。部品パターンは、基板へ施した凹凸のテンプレートを利用して形成する。
【0054】
次に、基板3上で形成された2粒子層膜をフラッシュランプアニール18により粒子同士の固定化を行う(図6(C))。粒子の固定だけであれば、通常のアニールでもよいのであるが、ここでは、この後の工程で、2粒子層膜を基板より剥離するためにフラッシュランプアニールを使用している。こうして形成した微粒子の2粒子層膜を、マイクロピンセット15を用いて、基板3より剥離する(図6(D))。剥離した2粒子層は、他の2粒子層の上方に持っていき、下の2粒子層との位置合わせをおこなった後、積み上げる(図6(E),(F))。以上の積み上げ工程を繰り返した後、ランプアニールにより、各積み上げ層間の固定化を行い(図6(G))、微粒子の人工結晶体が形成される(図6(H))。
【0055】
【発明の効果】
本発明による微粒子による人工結晶体の形成装置は、移流集積法により1粒子層ごと形成することにより、結晶の転移が発生しない第2粒子層まで微粒子凝集による人工結晶形成を行い、第3層以降の構築は、欠陥のない2粒子層をアライメントしながら、積み上げていく装置であるため、従来、第3層以降も凝集法を用いて場合に発生していた人工結晶体中の転移や欠陥の発生を防止することができ、欠陥を含まない最密充填構造で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例による移流集積微粒子単層形成部を説明するための図である。
【図2】 本発明の実施例による微粒子層積み上げ部を説明するための図である。
【図3】 本発明の実施例のプロセスを説明するための図である。
【図4】 参考例の微粒子2粒子層形成部を説明するための図である。
【図5】 参考例の微粒子層積み上げ部を説明するための図である。
【図6】 参考例のプロセスを説明するための図である。
【図7】 マルチドメイン構造の説明図である。
【図8】 微粒子第1層目(最密充填構造)を示す図である。
【図9】 微粒子第1層目の上に形成された第2層目(最密充填構造)の一例を示す図である。
【図10】 微粒子第1層目の上に形成された第2層目(最密充填構造)の他の例を示す図である。
【図11】 微粒子第1層目の上に形成された第2層目(欠陥を含む)の例を示す図である。
【図12】 微粒子第2層目の上に形成された第3層目(面心立方構造)の例を示す図である。
【図13】 微粒子第2層目の上に形成された第3層目(六方最密充填構造)の例を示す図である。
【符号の説明】
1…微粒子分散液、2…微粒子単層、21…第1層目、22…第2層目、3…基板、31…微粒子2粒子層形成部、32…微粒子層積み上げ部、4…基板ステージ、5…微粒子の2粒子層、51,52…2粒子層、6…微粒子2粒子層を積み重ねた微粒子人工結晶、11…微粒子分散液供給量制御機構部、12…温湿度制御機構、13…駆動機構、14…添加機構、15…マイクロピンセット、16…アライメント機構、17…除振機構、18…ランプアニール機構。
Claims (1)
- 原料となる微粒子分散液の供給量と分散液の乾燥速度を制御でき、且つ、分散液乾燥界面を掃引することが可能な機構を有する移流集積微粒子単層形成部と、粒子固定化機構部と、マイクロピンセットと粒子層間の位置合わせ機構を有する微粒子層積み上げ部からなることを特徴とする微粒子による人工結晶体の形成装置。
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