JP4655406B2 - 面発光式吸着テーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はワークを吸着する吸着テーブルに関し、 特に面発光式吸着テーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイシング装置等でワークを吸着載置する吸着テーブルは、セラミックスの焼結体からなる吸着板を上面に組み込んだポーラステーブルが一般的であった。ダイシング装置では、このポーラステーブルに半導体ウエーハ等の前記ワークの裏面を吸着載置して、該ワークの表面に形成された回路パターン若しくはアライメントマークをCCDカメラで撮像し、パターンマッチング手法によってアライメントをおこなっている。アライメントされたワークは、次に高速で回転するブレードで個々のチップに切断される。ところが、例えば加速度センサのパターンが形成されたウエーハのように、ダイシング時の切削水を表面にかけたくない、あるいは切り屑等を付着させたくない等、加工するワークの表面を保護する目的でワークの裏面側から加工しなければならないワークが存在する。
【0003】
このようなワークの場合、該ワークの表面側を吸着テーブルに吸着載置して、該ワークの裏面から加工することになる。この時の該ワークのアライメントは、ワークの表面側(吸着テーブル側)から光を照射して、透過光から得られる画像をワークの裏面側上方に配置したCCDカメラで撮像して行われる。このため、このようなワークの場合には、面発光式の吸着テーブルが用いられる。ここで用いられる照射光は、ワークが非常に薄い場合は可視光でも構わないが、ワークに厚みがあって透過しない場合には赤外光が用いられる。
【0004】
従来の面発光式吸着テーブルを図6に示す。図6(a)は平面図、図6(b)は側断面図である。図6(a)及び図6(b)に示すように、従来の面発光式吸着テーブルは、吸着テーブル本体11の上面に吸着板12、底板13、空気室17、及び赤外線ランプ16A、16A、…とからなっている。吸着板12は円盤状のポーラス部12Pの面内に数個の透明体12Q、12Q、…が混在している。ポーラス部12Pに存在する無数の空洞部は、吸着テーブル本体11に設けられた連通孔11Pを経由して空気室17につながり、チューブ18Aを介してバキュームポンプと接続されている。これにより吸着テーブルに搭載されたワークは吸着載置される。また透明体12Q、12Q、…の下方には夫々赤外線ランプ16Aが配置され、発光された赤外線は吸着テーブル本体11に設けられた窓11Q、11Q、…から各透明体12Qを通してワークに照射される。
【0005】
このように構成された従来の面発光式吸着テーブルにおいては、吸着載置されたワークは、吸着板12の面内に複数個配置された透明体12Q、12Q、…を介して光を照射され、ワークを透過した光によるパターン画像が撮像されてアライメントされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来の面発光式吸着テーブルにおいては、透明体12Qの位置が固定されているので、ワークのパターンの撮像位置が限られ、アライメントに最適なパターンの撮像位置を選択できない。またワークに専用のアライメントマークが設けられている場合は、前記透明体12Qを専用のアライメントマーク位置に合わせて配置した吸着テーブルを各ワーク毎に夫々用意しなければならなかった。更にワークが割れウエーハの場合、そのウエーハ全体を撮像してウエーハの外形形状を認識し、その外形形状に適応したアライメント画像の撮像位置を設定したり、その外形形状に適応した加工範囲を設定することが必要であるが、この従来の面発光式吸着テーブルではウエーハ全体を撮像することができず、このようなウエーハには対応することができなかった。また、従来の面発光式吸着テーブルは、透明体12Q部分ではワークを吸引していないので、この部分ではワークの吸着力が無く、ダイシングのような切断加工の場合にはこの部分のみにチッピングが生じる等、加工品質が低下するという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、吸着載置するワークの全面を吸着でき、更にワーク全体又は任意の領域を撮像できる透過光を照射できる面発光式吸着テーブルを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、筒状の吸着テーブル本体と、全面が光透過性を有すると共に通気性を有する円盤状に形成され、前記吸着テーブル本体の内側面に形成された第1の段部の上に周縁部が載置されて、上面が前記吸着テーブル本体の上面と同一面になるように配置される吸着板と、前記吸着テーブル本体の底部に配置される底板と、前記底板に取り付けられて、前記吸着テーブル本体の内部に設けられ、前記吸着板の全領域に光を照射する面発光体と、複数の導通孔を有する透明な円盤状に形成され、前記吸着テーブル本体の内側面に形成された第2の段部に周縁部が載置されて、前記吸着テーブル本体の内部に設けられ、前記底板との間で空気室を形成するサポート板と、帯状板を渦巻状に成形して構成され、前記サポート板の上に載置されて、前記吸着板を前記吸着テーブル本体の内部で支える中間支持部材と、前記吸着テーブル本体に接続され、前記空気室の内部の空気を吸引するバキュームポンプと、前記吸着テーブル本体の上方に設置され、前記吸着板に吸着保持されたワークの全体を撮影可能なカメラと、を備えたことを特徴としている。
また、本発明は、前記目的を達成するために、筒状の吸着テーブル本体と、全面が光透過性を有すると共に通気性を有する円盤状に形成され、前記吸着テーブル本体の内側面に形成された第1の段部の上に周縁部が載置されて、上面が前記吸着テーブル本体の上面と同一面になるように配置される吸着板と、前記吸着テーブル本体の底部に配置される底板と、前記底板に取り付けられて、前記吸着テーブル本体の内部に設けられ、前記吸着板の全領域に光を照射する面発光体と、複数の導通孔を有する透明な円盤状に形成され、前記吸着テーブル本体の内側面に形成された第2の段部に周縁部が載置されて、前記吸着テーブル本体の内部に設けられ、前記底板との間で空気室を形成するサポート板と、前記サポート板の上に設けられて、前記吸着板を前記吸着テーブル本体の内部で支えるハニカム状の中間支持部材と、前記吸着テーブル本体に接続され、前記空気室の内部の空気を吸引するバキュームポンプと、前記吸着テーブル本体の上方に設置され、前記吸着板に吸着保持されたワークの全体を撮影可能なカメラと、を備えたことを特徴としている。
【0009】
本発明に係る面発光式吸着テーブルは前述のように構成されているので、吸着載置するワークの全面を吸着することができると共に、ワークの吸着面全面に光を照射することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るダイシング装置の好ましい実施の形態について詳説する。尚各図において、同一の部材については同一の番号又は記号を付している。
【0011】
図1は本発明に係る面発光式吸着テーブルの平面図で、図2は図1におけるX−X断面を示す側断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、面発光式吸着テーブル10は、円筒上の吸着テーブル本体11の上部に、後述する吸着板12が吸着板12の上面と吸着テーブル本体11の上面とが同一面になるように接着剤で固定されると共に、中間支持部材15を介してサポート板14で支持されている。前記吸着テーブル本体11の底部には底板13があり、底板13と前記サポート板14及び前記吸着テーブル本体11の内側面とで囲われた空間が空気室を形成している。この空気室はニップル18に連結されたチューブ18Aにて図示しないバキュームポンプに接続されている。また前記底板13には面発光体16が取付けられ、この面発光体16に接続されているリード線19A、19Aはシール19を経由して吸着テーブル本体11の外部に取り出されている。
【0013】
吸着板12は、図1に示すように、上面と下面とが平行な透明円柱体12Aを多数並列に並べて、互いの接触部分を接着剤で接着して板状に形成されたものである。この透明円柱体12A同士を接着する方法は、先ず個々の透明円柱体12Aの円柱側面にガラス接着剤を薄く塗布して乾燥させる。ガラス接着剤が乾燥した後、透明円柱体12Aを円柱の軸心を夫々平行にして多数並べて円盤状となし、この円盤状の外周を剥離剤の付いたテープで仮留めする。この状態でこの円盤を炉に入れて前記ガラス接着剤の溶融点まで昇温する。炉から出した前期円盤が室温になった状態で先に仮留めしたテープを外周から剥離する。このようにして得られた円盤は、多数の前記透明円柱体12A、12A、…の互いに接触する部分が前記ガラス接着剤で溶着されて一体となり、また並列に並べた時に夫々3本又は4本の隣り合う間にできる微小隙間は通気孔12Bを形成している。これで光透過性と通気性とを併せ持った吸着板12が得られる。
【0014】
中間支持部材15を介して前記吸着板12を支持するサポート板14は、透明ガラス板でできており、上面と下面とを連通する導通孔14A、14A、…を有している。この導通孔14A、14A、…はサポート板14の上方と空気室17とを連通している。
【0015】
図3は図2上のA−A矢視図であって、中間支持部材15の形状を表している。中間支持部材15は、ワークWを吸着板12上に載置して真空吸着した時に、吸着板12の中央部が吸引力によって下方に撓むのを防止するために設けられているものである。この中間支持部材15は、適度の間隔で前記吸着板12を支えると共に、前記面発光体16から照射される赤外光の遮蔽をできるだけ少なくし、また前記吸着板12とサポート板14間の通気性もできるだけ損なわないような形状が求められる。本実施の形態の場合は、図3に示すように、0.01mm程度の薄い帯状鋼板を渦巻状に成形したものが用いられている。
【0016】
図4は同じく図2上のA−A矢視図であって、中間支持部材15の別の実施形態を表している。
【0017】
この中間支持部材15の別の実施形態は、図4に示すように、平面形状がハニカム状に形成された鋼材で、六角形を形成する壁はやはり0.01mm程度の薄いものである。
【0018】
尚、この中間支持部材15の形状は前記渦巻状及びハニカム状に限らず、種々の形状が可能であり、また吸着板12とサポート板の形状によっては不要とすることもできる。
【0019】
図5は面発光式吸着テーブル10の吸着板12の別の実施形態を表している。
図5に示す吸着板12は、透明なガラス板でできており、上下を貫通する無数の微小孔からなる通気孔12B、12B、…が形成されている。この微小孔の通気孔12B、12B、…は直径0.01mm程度で、レーザー加工機によって孔加工されている。この微小な通気孔12B、12B、…によって、ワークWの全面を吸着するようになっている。
【0020】
以上のように構成された本発明に係る面発光式吸着テーブル10の作用を説明する。 先ず、ワークWがパターンの形成された表面を下にして面発光式吸着テーブル10の吸着板12に載置される。次に図示しないバキュームポンプが作動し、吸着テーブル本体11に設けられたニップル18に接続されたチューブ18Aから空気室17内の空気を吸込み、空気室17内部は負圧となる。空気室17内部はサポート板14に設けられている導通孔14A、14A、…を介して吸着板12の無数の通気孔12B、12B、…と連通しているので、吸着板12に載置されたワークWは負圧により吸引されて吸着保持される。一方、図示しない電源にリード線19A、19Aで接続された面発光体16がその上面全体で発光する。尚、リード線19A、19Aは吸着テーブル本体11に設けられたシール19を経由して外部に出ているので、空気室17の密閉度が損なわれることはない。面発光体16から発光された可視光又は赤外光は、透明ガラス板でできたサポート板14、及び吸着板12を構成する透明円柱体12A、12A、…を透過すると共に、透明円柱体12A、12A、…間の微小隙間でできた通気孔12Bを通過してワークWの表面(吸着面)に照射される。ワークWの外形形状を撮像する場合や特定部分のパターンを撮像する場合は、ワークWの吸着面に照射されワークWを透過した光をワークWの上方に設置されたCCDカメラで撮影する。このようにしてワークWの裏面から撮影した画像からワークWの外形形状を認識し、加工範囲を設定したり、あるいは撮影して得られたパターン画像を基にワークWのアライメントを行う。
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、載置されたワークWの全面にわたって吸着することができると共に、吸着面全領域に光を照射することができる。
【0022】
尚、前記した吸着板12は、本実施の形態で説明した2つの例に限らず、光透過性と通気性とを併せ持った材質及び構造であれば面発光式吸着テーブル10の吸着板12として適用できる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る面発光式吸着テーブルよれば、吸着載置するワークの全面を吸着でき、更にワーク全体又は任意の領域を撮像できる透過光を照射できる。従って本発明に係る面発光式吸着テーブルをダイシング装置等に適用した場合、加工するワークの表面を保護する目的でワークの裏面から加工するために、ワークの表面側を吸着テーブルに載置した時に、ワークの裏面側からであってもワークのアライメントに最適なパターンの撮像位置を選択できる。またワークに専用のアライメントマークが設けられている時でも、専用の吸着テーブルを各ワーク毎に夫々用意する必要がない。更にワークが割れウエーハの場合、そのウエーハ全体を撮像してウエーハの外形形状を認識し、その外形形状に適応したアライメント画像の撮像位置を設定したり、その外形形状に適応した加工範囲を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る面発光式吸着テーブルの平面図
【図2】本発明の実施の形態に係る面発光式吸着テーブルの側断面図
【図3】本発明の実施の形態に係る面発光式吸着テーブルの中間支持部材を説明する矢視図
【図4】本発明の実施の形態に係る面発光式吸着テーブルの中間支持部材の他の実施形態を説明する矢視図
【図5】本発明の実施の形態に係る面発光式吸着テーブルの吸着板の他の実施形態を説明する平面図
【図6】従来の面発光式吸着テーブルの平面図及び側断面図
【符号の説明】
W…ワーク、10…面発光式吸着テーブル、11…吸着テーブル本体、12…吸着板、12A…透明円柱体、16…面発光体、17…空気室
Claims (3)
- 筒状の吸着テーブル本体と、
全面が光透過性を有すると共に通気性を有する円盤状に形成され、前記吸着テーブル本体の内側面に形成された第1の段部の上に周縁部が載置されて、上面が前記吸着テーブル本体の上面と同一面になるように配置される吸着板と、
前記吸着テーブル本体の底部に配置される底板と、
前記底板に取り付けられて、前記吸着テーブル本体の内部に設けられ、前記吸着板の全領域に光を照射する面発光体と、
複数の導通孔を有する透明な円盤状に形成され、前記吸着テーブル本体の内側面に形成された第2の段部に周縁部が載置されて、前記吸着テーブル本体の内部に設けられ、前記底板との間で空気室を形成するサポート板と、
帯状板を渦巻状に成形して構成され、前記サポート板の上に載置されて、前記吸着板を前記吸着テーブル本体の内部で支える中間支持部材と、
前記吸着テーブル本体に接続され、前記空気室の内部の空気を吸引するバキュームポンプと、
前記吸着テーブル本体の上方に設置され、前記吸着板に吸着保持されたワークの全体を撮影可能なカメラと、
を備えたことを特徴とする面発光式吸着テーブル。 - 筒状の吸着テーブル本体と、
全面が光透過性を有すると共に通気性を有する円盤状に形成され、前記吸着テーブル本体の内側面に形成された第1の段部の上に周縁部が載置されて、上面が前記吸着テーブル本体の上面と同一面になるように配置される吸着板と、
前記吸着テーブル本体の底部に配置される底板と、
前記底板に取り付けられて、前記吸着テーブル本体の内部に設けられ、前記吸着板の全領域に光を照射する面発光体と、
複数の導通孔を有する透明な円盤状に形成され、前記吸着テーブル本体の内側面に形成された第2の段部に周縁部が載置されて、前記吸着テーブル本体の内部に設けられ、前記底板との間で空気室を形成するサポート板と、
前記サポート板の上に設けられて、前記吸着板を前記吸着テーブル本体の内部で支えるハニカム状の中間支持部材と、
前記吸着テーブル本体に接続され、前記空気室の内部の空気を吸引するバキュームポンプと、
前記吸着テーブル本体の上方に設置され、前記吸着板に吸着保持されたワークの全体を撮影可能なカメラと、
を備えたことを特徴とする面発光式吸着テーブル。 - ダイシング装置に適用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の面発光式吸着テーブル。
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