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JP4652111B2 - シートリクライニング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シートリクライニング装置に関し、特に傾動前の角度位置を記憶させた状態でシートバックを傾動させることが可能なリクライニングメモリ機能を有するシートリクライニング装置に関する。
自動車の前席などには、シートバックを任意の角度に傾斜(後傾)させることが可能なリクライニング機能が多用されている。リクライニング機能付きのシート装置ではさらに、ウォークイン動作などでシートバックを前傾させるとき、前傾前のリクライニング角度を記憶させておくことが可能なリクライニングメモリ機能を有するものが知られている。
このようなリクライニングメモリ機能を有するシートリクライニング装置において、リクライニングメモリ用の操作部材を操作してからリクライニングロック解除用の操作部材を操作すると、リクライニングメモリが正常に機能しなくなってしまうおそれがあった。具体的には、シートバックとシートクッションの双方に対して相対回動可能なラチェットが設けられており、リクライニングロック機構はシートクッションに対するラチェットの相対回動を規制(ロック状態)及び許容(アンロック状態)し、リクライニングメモリ機構はシートバックに対するラチェットの相対回動を規制(メモリ解除状態)及び許容(メモリ作動状態)する。ここで、リクライニングメモリ機構をメモリ作動状態にし、リクライニングロック機構をアンロック状態にすると、ラチェットはシートクッションとシートバックの両方に対して回動可能になってしまい、その角度位置に狂いが生じるおそれがある。
本発明は、リクライニングロック機構とリクライニングメモリ機構を有するシートリクライニング装置において、リクライニングメモリの作動時にリクライニングロック解除操作を行ってしまうことで生じる不具合を、安価かつ簡単な構造で防ぐことを目的とする。
本発明のシートリクライニング装置は、シートクッションに対して傾動可能なシートバックと、シートバックの傾動を規制するロック状態と規制解除するアンロック状態とに切替可能なリクライニングロック機構と、リクライニングロック機構とは独立して、傾動前の角度を記憶してシートバックを傾動可能とさせるメモリ作動操作と該メモリ作動状態を解除するメモリ解除操作とが可能なリクライニングメモリ機構と、回動操作によってリクライニングロック機構をアンロック状態にさせるアンロック操作ハンドルと、このアンロック操作ハンドルの回動軸と平行な回動軸で軸支され、メモリ操作部材の操作に応じてリクライニングメモリ機構のメモリ作動位置とメモリ解除位置とに回動されるメモリ制御レバーと、アンロック操作ハンドルと同軸一体に回動する第1の回動規制部材と、メモリ制御レバーと同軸一体に回動する第2の回動規制部材とを備え、メモリ制御レバーがメモリ作動位置にあるとき、第2の回動規制部材が第1の回動規制部材との係合位置に進出してアンロック操作ハンドルのアンロック回動操作を規制し、メモリ制御レバーがメモリ解除位置にあるとき、第2の回動規制部材が第1の回動規制部材との係合位置から退避してアンロック操作ハンドルのアンロック回動操作を許すことを特徴としている。
本発明に好適な具体的構成として、シートクッションとシートバックのそれぞれに対してシートバックの傾動中心と同軸で相対回動可能に接続するラチェットを設け、リクライニングロック機構には、シートクッションに対するラチェットの相対回動を規制させかつアンロック操作ハンドルのアンロック操作によって該規制を解除させる一方、リクライニングメモリ機構には、シートバック側に軸支されてラチェットに係脱してシートバックに対する該ラチェットの相対回動を規制及び許容するポールを設け、メモリ制御レバーのメモリ解除位置でポールとラチェットを係合させ、メモリ作動位置で該係合を解除させるとよい。
以上の本発明によれば、簡単かつ安価な構造によって、リクライニングメモリの作動時にリクライニングロック機構のロック解除操作を確実に阻止することができ、シートバックの角度位置を正確に定めることができる。
図1は自動車の前席のシート11を示している。シート11は、着座者の尻部を支えるシートクッション12と、着座者の背部を支えるシートバック13とを有している。シート11は、周知のスライド機構により、車両の床面14に対して前後方向に進退可能に支持されている。シートバック13は、シートバック回動中心軸13Xを中心として、起立位置13Aから最大後傾位置13Bまで後傾可能に支持されている。シートバック13はまた、シートバック回動中心軸13Xを中心として、起立位置13Aよりも前方の前傾位置13Cに回動することができる。
シート11の内部には、図2に示すように、シートクッション12の骨格を形成するシートクッションフレーム15と、シートバック13の骨格を形成するシートバックフレーム16が設けられている。シートクッションフレーム15とシートバックフレーム16はそれぞれ左右一対設けられているが、図2以下ではシート右サイドのものだけを図示している。以下では、この図示されたシート右サイドを参照してリクライニングロック機構やリクライニングメモリ機構の構造と動作を説明するが、シートの左サイドにも図示しない同様のリクライニングロック機構とリクライニングメモリ機構を備えている。また、以下の説明中での時計方向及び反時計方向とは、図2の矢印Tに沿って見た場合の部材の回動方向を指すものとする。
シートクッションフレーム15の後端部付近には、図7に示すロアアーム21が固定され、該ロアアーム21に対して、ヒンジピン19が相対回動可能に嵌まっている。ヒンジピン19の軸線はシートバック回動中心軸13Xと一致する。ヒンジピン19は一体に回動するヒンジカム19aを有し、このヒンジカム19aから径方向へ向けて不図示のカムアームが突設されている。ロアアーム21には、ヒンジカム19aの外側に位置させて、シートバック回動中心軸13Xに対する径方向に直進移動可能に支持されたスライドカム23が設けられ、ヒンジピン19が正逆に回動すると、ヒンジカム19aのカムアームによってスライドカム23が進退移動される。ロアアーム21はさらに、スライドカム23の移動方向と略直交する径方向へ直進移動可能な一対のスライドポール22を支持している。スライドポール22とスライドカム23の対向面には不図示のカム機構が形成されており、スライドカム23が進退移動すると、このカム機構の作用によって一対のスライドポール22が進退移動される。具体的には、スライドカム23の正逆移動に応じて一対のスライドポール22は、互いにシートバック回動中心軸13Xから離間する移動と、互いにシートバック回動中心軸13Xへ接近する移動とを行う。また、ロアアーム21の内側には、シートバック回動中心軸13Xを中心として該ロアアーム21に対して相対回動可能な環状のロックプレート20が支持されている。
ロックプレート20の内縁部とスライドポール22の外縁部は対向しており、互いの対向領域に係止歯(内歯と外歯)が形成されている。スライドカム23は、ロック方向の移動によって、この係止歯が噛合する方向(シートバック回動中心軸13Xから離れる方向)へと一対のスライドポール22を移動させ、これと反対のアンロック方向へのスライドカム23の移動によって、係止歯の噛合を解除する方向(シートバック回動中心軸13Xに接近する方向)へと一対のスライドポール22が移動される。各スライドポール22がロアアーム21に対して径方向移動のみ行う(回動しない)ように支持されているため、ロックプレート20とスライドポール22の互いの係止歯が噛合するロック状態では、ロアアーム21に対してロックプレート20の回動が規制される。一方、この係止歯の噛合が解除されたアンロック状態では、ロックプレート20はロアアーム21に対して相対回動が可能となる。すなわち、ヒンジピン19の正逆方向の回動によりロアアーム21に対するロックプレート20のロック状態とアンロック状態が切り換わる。ヒンジピン19は、スパイラルスプリング(ロック付勢ばね)24によってロック方向へ回動付勢されていて、ヒンジピン19に固定されたリクライニングハンドル(アンロック操作ハンドル)25を回動操作することにより、スパイラルスプリング24の付勢力に抗してアンロック方向へ回動させることができる。具体的には、リクライニングハンドル25は、図3、図5及び図6に示すロック位置と図4に示すアンロック位置との間を往復回動可能であり、スパイラルスプリング24の付勢力に抗して、ロック位置からアンロック位置へと時計方向にリクライニングハンドル25を回動させることによりアンロック状態となる。以上のヒンジピン19、ロックプレート20、ロアアーム21、スライドポール22、スライドカム23、スパイラルスプリング24及びリクライニングハンドル25が、シートクッションフレーム15側からシートバック13の傾動を規制させるリクライニングロック機構を構成している。より詳細には、リクライニングハンドル25は、該リクライニングロック機構によるロック状態を解除させるためのアンロック操作部材を構成している。
ロックプレート20に対してはラチェット30が相対回動不能に結合しており、ラチェット30は、シートバックフレーム16の下端部付近に形成された円形孔に対して、シートバック回動中心軸13Xを中心として相対回動可能に嵌まっている。シートバックフレーム16は図7に示すリターンスプリング26によって、シートバック13を前傾させる方向(図3ないし図6の反時計方向)に付勢されている。
図2に示すように、ラチェット30の外縁部には一対のメモリ凹部30aが形成されている。シートバックフレーム16にはラチェット30の上方に回動軸32Xを介してポール32が枢着されており、ポール32の先端部付近に設けた一対のメモリ突起32aが、ラチェット30の一対のメモリ凹部30aに対して係脱可能となっている。ポール32はさらに、シートバック回動中心軸13Xと平行な方向へ突出された連動ピン32bと、メモリ突起32aに続く外縁部の一部として形成されたカム面32cを有している。
ポール32の上方には、回動軸33Xによってレリーズレバー(メモリ制御レバー)33が枢着されている。この回動軸33Xとポール32の回動軸32Xはヒンジピン19の軸線とそれぞれ平行であり、したがってリクライニングハンドル25、ポール32及びレリーズレバー33は互いに平行な回動中心軸によって回動される。レリーズレバー33は、円弧状のピン挿入孔33aと、レリーズレバー33本体と一体に回動するサブアーム33bと、ばね掛けアーム33cを有している。ピン挿入孔33aにはポール32の連動ピン32bが挿入され、サブアーム33bの回動軌跡上にはポール32のカム面32cが位置している。また、ばね掛けアーム33cとシートバックフレーム16上のばね掛け部16aの間には引張ばね34が張設され、この引張ばね34によって、レリーズレバー33が図3ないし図6中の反時計方向に回動付勢されている。この付勢方向はサブアーム33bがカム面32cを押し下げる方向であり、したがってレリーズレバー33が自由状態にあるときには、ポール32は、引張ばね34の付勢力によってメモリ突起32aをメモリ凹部30aに係合させる角度位置に保持される。メモリ突起32aとメモリ凹部30aを係合させるレリーズレバー33の当該角度位置をメモリ解除位置と称する。
レリーズレバー33はさらに、回動軸33Xを中心とする径方向に延出されたワイヤ接続アーム33dを有し、このワイヤ接続アーム33dに対してメモリ操作ワイヤ35の一端部が接続している。メモリ操作ワイヤ35が牽引されると、引張ばね34に抗してレリーズレバー33が(図3ないし図6の)時計方向に回動される。すると、サブアーム33bがカム面32cから退避してポール32に対する押圧を解除すると同時に、ピン挿入孔33aが連動ピン32bをラチェット30から離間する方向(図3ないし図6の上方)へ押圧するので、ポール32が図3ないし図6の反時計方向に回動されてメモリ突起32aをメモリ凹部30aから離脱させる。メモリ突起32aとメモリ凹部30aの係合を解除させるレリーズレバー33の当該角度位置をメモリ作動位置と称する。
図2に示すように、メモリ操作ワイヤ35の他端部は、シートバック13の上端部付近に設けたメモリ操作ハンドル(メモリ操作部材)37のワイヤ接続部37aに接続している。メモリ操作ハンドル37は、ワイヤ接続部37aから偏心した位置の回動軸37Xを介してブラケット38に軸支されており、図2に示す非操作位置と、該非操作位置から図2の矢印M方向へ回動されたメモリ操作位置との間を往復回動することが可能である。メモリ操作ハンドル37は、引張ばね39により非操作位置に回動付勢されている。
メモリ操作ハンドル37を図2の非操作位置からメモリ操作位置(矢印M方向)へと回動させると、メモリ操作ワイヤ35が牽引され、引張ばね34に抗してレリーズレバー33が図3の時計方向、すなわちメモリ作動位置に回動される。すると、前述の通り、ポール32が図3の反時計方向に回動されてメモリ突起32aがメモリ凹部30aとの係合を解除する。詳細は後述するが、このメモリ突起32aの離脱状態が、シートバック13の角度を記憶したメモリ作動状態であり、逆にメモリ突起32aとメモリ凹部30aの係合状態がメモリ解除状態である。
すなわち、ラチェット30、ポール32、レリーズレバー33、メモリ操作ハンドル37が、傾動前の角度を記憶させた状態でシートバック13の傾動を可能にさせるリクライニングメモリ機構を構成している。より詳細には、メモリ操作ハンドル37は、メモリ作動状態にさせるためのメモリ操作部材を構成している。また、ラチェット30は、広義にはリクライニングメモリ機構を構成するものであるが、シートクッションフレーム15とシートバックフレーム16の間に設けた中間回動部材であるとも言える。すなわち、シートクッションフレーム15(ロアアーム21)に対してラチェット30は、リクライニングロック機構によって相対回動可能なアンロック状態と相対回動不能なロック状態とに切り換えられる。またシートバックフレーム16に対してラチェット30は、リクライニングメモリ機構によって相対回動可能なメモリ作動状態と相対回動不能なメモリ解除状態とに切り換えられる。
なお、リクライニングロック機構やリクライニングメモリ機構はシートの左右両サイドに設けられていると前述したが、操作部材であるリクライニングハンドル25とメモリ操作ハンドル37については、図2で示しているシートの右サイドにのみ設けられており、左サイドには設けられていない。しかし、シート右サイドのヒンジピン19はシート左サイドの対応するヒンジピンを連動させるように構成されており、リクライニングハンドル25をアンロック方向に回動操作すると、シート左サイドにおいても前述したリクライニングロック機構のロック解除(係止歯の噛合解除)が生じる。また、メモリ操作ハンドル37には、ワイヤ接続部37aと異なる位置に設けたワイヤ接続アーム37bに対してメモリ操作ワイヤ40が接続しており、このメモリ操作ワイヤ40は、図示しないシート左サイドのリクライニングメモリ機構において、メモリ操作ワイヤ35と同様に機能する。
本実施形態のシート11は、メモリ操作ハンドル37をメモリ操作位置に操作したときにリクライニングハンドル25のアンロック回動操作を規制する操作規制手段を備えている。この操作規制手段は、リクライニングハンドル25と同軸一体に回動する第1規制レバー(第1の回動規制部材)50と、レリーズレバー33と同軸一体に回動する第2規制レバー(第2の回動規制部材)51とからなっている。図2ないし図6に示すように、第1規制レバー50は略コ字形の形状をしており、ヒンジピン19が挿通固定される固定孔50aを一端部に有し、他端部に回動規制アーム50bを有している。第2規制レバー51は、レリーズレバー33の回動軸33Xに対して回動可能に嵌まる回動軸孔51aと、レリーズレバー33のワイヤ接続アーム33dに沿って延出された固定アーム51bと、該固定アーム51bとは異なる方向に延出された回動規制アーム51cとを有している。固定アーム51bの先端部は固定ピン51d(図3〜図6)を介してレリーズレバー33のワイヤ接続アーム33dと固定されており、第2規制レバー51は回動軸33Xを中心としてレリーズレバー33と一体に回動される。
図2及び図7に示すように、回動規制アーム50bの先端部は略直角に折り曲げられた折返係合部50cとなっており、第1規制レバー50及びリクライニングハンドル25を回動させたときの折返係合部50cの外縁部の回動軌跡REを図3ないし図6に二点鎖線で示している。レリーズレバー33と一体に回動する第2規制レバー51は、該レリーズレバー33の正逆回動に応じて、回動規制アーム51cを外縁回動軌跡REの内側に進入させて折返係合部50cに係合させる操作規制位置(図6)と、回動規制アーム51cを外縁回動軌跡REの外側に退避させて折返係合部50cとの係合を解除させる操作許容位置(図3、図4、図5)とに回動される。
以上のシート装置は次のように動作する。リクライニングハンドル25とメモリ操作ハンドル37のいずれも操作していないときには、操作規制手段は図3の状態にある。この状態では、第2規制レバー51の回動規制アーム51cが第1規制レバー50の折返係合部50cの外縁回動軌跡RE上から退避しているので、第1規制レバー50の回動が制限されておらず、該第1規制レバー50と共にリクライニングハンドル25を図中の時計方向(アンロック方向)に回動させることが可能である。
図3における各ハンドル25、37の非操作状態では、リクライニングロック機構によって、シートクッションフレーム15(ロアアーム21)に対するロックプレート20の回動が規制されている。一方、シートバックフレーム16側では、ロックプレート21と結合されたラチェット30の一対のメモリ凹部30aに対し、ポール32に設けた一対のメモリ突起32aが係合している。レリーズレバー33は、引張ばね34の付勢力によって、サブアーム33bがカム面32cを押圧するメモリ解除位置に保持されており、該付勢力によってメモリ突起32aがメモリ凹部30aに係合する状態が維持される。つまり、ロックプレート21、ラチェット30及びシートバックフレーム16(ポール32)は、シートバック回動中心軸13Xを中心とした回動を行わないように一体化してロックされており、シートバック13の傾動動作が規制される。
リクライニングハンドル25を図3の位置から図4の位置へとアンロック方向に回動動作すると、ヒンジピン19を介してアンロック方向へスライドカム23が移動され、スライドポール22がロックプレート20との噛合解除位置(シートバック回動中心軸13Xに接近する方向)に移動される。その一方、引張ばね34の付勢力によってメモリ突起32aとメモリ凹部30aの係合状態は維持されているので、ラチェット30はポール32を介してシートバックフレーム16と一体化されている(相対回動が規制されている)。したがって、ロックプレート20、ラチェット30及びシートバックフレーム16の結合体は、ロアアーム21に対してシートバック回動中心軸13Xを中心として一体に相対回動可能となる。このアンロック状態では、シートバック13の後傾角度を図1に示す起立位置13Aと最大後傾位置13Bの間で任意に調整することができる。シートバック後傾角の調整後は、リクライニングハンドル25から手を離せば、以上とは逆の動作が生じてシートバック13が再びロック状態になり、図5のようにリクライニングハンドル25はアンロック操作前の位置に戻る。
リクライニングハンドル25によってリクライニングロック機構のアンロック操作を行った際にシートバック13を保持または後傾させなければ、リターンスプリング26の付勢力によってシートバック13は図1に示す前傾位置13Cになる。図4はこの状態を示している。リクライニングロック機構は、シートバック13が前傾位置13Cにあるときには、リクライニングハンドル25から手を離してもロックプレート20とスライドポール22の噛合が生じないように構成されており、したがってシートバック13の前傾状態では、図4に示すようにリクライニングハンドル25がアンロック操作位置に保たれる。
一方、ウォークイン動作時などにおいて、図3の状態からメモリ操作ハンドル37によってメモリ作動操作を行った場合には、図6のようになる。メモリ操作ハンドル37を、図2の非操作位置から同図中の矢印M方向のメモリ操作位置へ回動操作すると、メモリ操作ワイヤ35が牽引されて、レリーズレバー33が引張ばね34に抗して時計方向、すなわちメモリ作動位置へ回動する。すると、ピン挿入孔33aが連動ピン32bを持ち上げてポール32が図3中の反時計方向に回動され、メモリ突起32aとメモリ凹部30aの噛合が解除される。これにより、ラチェット30とシートバックフレーム16の結合関係が解除され、シートバックフレーム16はラチェット30に対して相対回動可能となる。また、メモリ操作ハンドル37の操作によりメモリ操作ワイヤ40が牽引され、シート左サイドのリクライニングメモリ機構においても、シートバックフレームがラチェットに対して相対回動可能となる。一方、ロックプレート20はスライドポール22と噛合を維持している(リクライニングロック機構がロック状態を維持している)から、ラチェット30は回動規制されたままの状態である。
したがって、回動規制されたラチェット30に対してシートバックフレーム16が相対回動することにより、シートバック13は傾動可能になる。例えば、このメモリ作動状態でシートバック13から手を離すと、リターンスプリング26の付勢力によってシートバック13が前方に倒れる。そして、シートバック13を起こしていくと、上記のリクライニングメモリ操作を行った時点と同じ角度においてシートバック13が係止される。具体的には、回動規制されているラチェット30に対して、前傾していたシートバックフレーム16が起立方向へ相対回動していくと、ラチェット30の周方向においてメモリ突起32aがメモリ凹部30aに接近していく。そして一対のメモリ突起32aが一対のメモリ凹部30aに対向する位置までシートバックフレーム16が回動されると、引張ばね34の付勢力によってポール32が回動され、各メモリ突起32aがメモリ凹部30aに係合する。これによりラチェット30とポール32の相対回動が規制され、シートバックフレーム16はロアアーム21に対して再び傾動不能になる。ラチェット30はメモリ操作ハンドル37の操作当初からシートクッションフレーム15に対して回動していないので、この回動規制された位置が記憶されたシートバック13の角度である。
リクライニングメモリ機構において、レリーズレバー33が図3のメモリ解除位置から図6のメモリ作動位置へと時計方向に回動されると、第2規制レバー51がレリーズレバー33と一体に回動する。すると、第2規制レバー51の回動規制アーム51cが第1規制レバー50の折返係合部50cの外縁回動軌跡REの内側まで進出し、図6の時計方向へ第1規制レバー50を回動させようとしたときに、折返係合部50cと回動規制アーム51cの係合によって当該回動が規制される。第1規制レバー50はリクライニングハンドル25と一体回動する部材であるため、結果としてリクライニングハンドル25をアンロック方向(図6中の時計方向)へ回動操作することができなくなる。メモリ操作ハンドル37によるメモリ操作ワイヤ35の牽引が解除されてレリーズレバー33が図3のメモリ解除位置へと復帰すると、第2規制レバー51の回動規制アーム51cが第1規制レバー50の折返係合部50cの外縁回動軌跡REよりも外側に退避するので、リクライニングハンドル25が再び操作可能になる。
以上の説明から明らかな通り、本実施形態のシート11では、メモリ操作ハンドル37によってシートバック13のメモリ作動操作を行ったときに、リクライニングハンドル25におけるアンロック操作を規制する操作規制手段を備えている。これにより、リクライニングロック機構を構成するスライドポール22とリクライニングメモリ機構を構成するポール32の両方に対してラチェット30が同時に回動フリーになることが避けられ、シートバック13の角度がずれるおそれがなくなる。そしてこの操作規制手段は、リクライニングハンドル25と同軸一体に回動する第1規制レバー50と、レリーズレバー33と同軸一体に回動する第2規制レバー51の近接した2つの回動部材のみからなっているので、部品点数が少なく簡略かつ小型な構造であり、製造コストを低く抑えることができる。
以上、図示実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、図示実施形態では第1規制レバー50と第2規制レバー51のそれぞれを独立した部材としているが、リクライニングロック機構やリクライニングメモリ機構の構成部材と干渉しないことを前提として、第1規制レバー50に相当する回動規制部材をリクライニングハンドル25に相当するアンロック操作ハンドルと一体に形成したり、第2規制レバー51に相当する回動規制部材をレリーズレバー33に相当するメモリ制御レバーと一体に形成することも可能である。
本発明を適用したシート装置の側面図である。 図1のシート装置の内部構造の一部を示す斜視図である。 リクライニングハンドルとメモリ操作ハンドルのいずれも操作していない状態における、リクライニングメモリ機構とリクライニングハンドル付近を示す側面図である。 図3の状態からリクライニングハンドルをアンロック方向に回動操作してシートバックが前傾した状態を示す側面図である。 同シートバックを後傾させた状態を示す側面図である。 図3の状態からメモリ操作ハンドルがメモリ作動操作されシートバックが前傾した状態を示す側面図である。 図3のVII-VII線に沿う断面図である。
符号の説明
RE 第1規制レバーの外縁回動軌跡
11 シート
12 シートクッション
13 シートバック
13X シートバック回動中心軸
15 シートクッションフレーム
16 シートバックフレーム
19 ヒンジピン
20 ロックプレート
21 ロアアーム
22 スライドポール
23 スライドカム
24 スパイラルスプリング(ロック付勢ばね)
25 リクライニングハンドル(アンロック操作ハンドル)
26 リターンスプリング
30 ラチェット
32 ポール
33 レリーズレバー(メモリ制御レバー)
33X 回動軸
34 引張ばね
35 メモリ操作ワイヤ
37 メモリ操作ハンドル(メモリ操作部材)
50 第1規制レバー(第1の回動規制部材)
50a 固定孔
50b 回動規制アーム
50c 折返係合部
51 第2規制レバー(第2の回動規制部材)
51a 回動軸孔
51b 固定アーム
51c 回動規制アーム

Claims (2)

  1. シートクッションに対して傾動可能なシートバック;
    上記シートバックの傾動を規制するロック状態と規制解除するアンロック状態とに切替可能なリクライニングロック機構;
    リクライニングロック機構とは独立して、傾動前の角度を記憶してシートバックを傾動可能とさせるメモリ作動操作と該メモリ作動状態を解除するメモリ解除操作とが可能なリクライニングメモリ機構;
    回動操作によって上記リクライニングロック機構をアンロック状態にさせるアンロック操作ハンドル;
    このアンロック操作ハンドルの回動軸と平行な回動軸で軸支され、メモリ操作部材の操作に応じて上記リクライニングメモリ機構のメモリ作動位置とメモリ解除位置とに回動されるメモリ制御レバー;
    上記アンロック操作ハンドルと同軸一体に回動する第1の回動規制部材;及び
    上記メモリ制御レバーと同軸一体に回動する第2の回動規制部材;
    を備え、
    メモリ制御レバーがメモリ作動位置にあるとき、第2の回動規制部材が第1の回動規制部材との係合位置に進出してアンロック操作ハンドルのアンロック回動操作を規制し、メモリ制御レバーがメモリ解除位置にあるとき、第2の回動規制部材が第1の回動規制部材との係合位置から退避してアンロック操作ハンドルのアンロック回動操作を許すことを特徴とするシートリクライニング装置。
  2. 請求項1記載のシートリクライニング装置において、シートクッションとシートバックのそれぞれに対してシートバックの傾動中心と同軸で相対回動可能に接続するラチェットを備え、
    リクライニングロック機構は、シートクッションに対するラチェットの相対回動を規制し、かつ上記アンロック操作ハンドルのアンロック操作によって該規制を解除し、
    リクライニングメモリ機構は、シートバック側に軸支され、ラチェットに係脱してシートバックに対する該ラチェットの相対回動を規制及び許容するポールを備え、
    メモリ制御レバーは、上記メモリ解除位置でポールとラチェットを係合させ、メモリ作動位置で該係合を解除させることを特徴とするシートリクライニング装置。

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