JP4648721B2 - 建物免震用支承構造 - Google Patents
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ここで、防塵カバーの役割を果たすものとして、例えば、摺動面を防塵するために、摺動範囲の上方を覆った一枚のカバー部材を支承本体に設けた支承構造がある。このカバー部材は、支承本体を取り囲むようにして下方よりビス止め又は止め輪などの固定部材によって取り付けられている。そして、カバー部材と摺動面との間の空間には、摺動面の防塵範囲を確保して、この防塵範囲を囲う周壁をなす弾性体が設けられ、外部から密閉された防塵領域が形成されている。
このカバー部材を備えた支承構造の点検作業では、カバー部材を取り除いた後に、摺動面、支承本体及びカバー部材下面の粉塵の付着状態などを目視によって確認する。さらに、カバー部材を取り外さずに摺動面を点検する場合には、カバー部材及び支承本体を一方向に移動させて、目視可能となる摺動面の範囲を点検し、目視点検できない範囲については、カバー部材及び支承本体を反対方向に移動して確認する。
また、上述した以外の防塵カバーとしては、例えば特許文献1及び特許文献2に提案されている。
特許文献1及び特許文献2では、開口部側を摺動面に向け箱形に形成されている防塵カバーが、支承本体に設けられている。この防塵カバーは軽量部材から形成されているとともに分割されているため、取り外しが容易となる構造である。さらに、特許文献1では、防塵カバーの上部に止め具が設けられることにより、分割されている防塵カバー同士の分割又は接合が容易な構成となっている。
また、カバー部材を取り除かずに支承本体とカバー部材とを移動させて点検する方法では、建物の躯体を含めて強制的に移動させるための大掛かりな移動手段と手間が必要となる。
一方、上述した特許文献1及び特許文献2では、防塵カバーと摺動面との間が固定されてないうえ、防塵カバーが軽量部材により形成されていることから、隙間が発生して、この隙間から粉塵が防塵カバー内に進入するという問題がある。
本発明では、防塵用のカバー部材を備えた支承構造において、カバー部材が少なくとも2つ以上に分割され、これらの分割部材同士を接合するための固定部材が摺動面と反対側となるカバー部材の上方に設けられているため、例えば点検時において容易にカバー部材を取り外すことができる。そして、防塵領域内の摺動面や転がり材(すべり材)における粉塵の付着状態を確認できるとともに、取り外したカバー部材の下面側の状態をも確認することができる。
このように、支承本体にカバー部材を取り付けるための固定部材が、カバー部材と摺動面との間の狭い隙間にないため、従来のように点検時に支承本体を躯体から取り外す作業が不要となる。したがって、住宅などのように免震構造の設置箇所が狭い場所であっても点検作業の効率化を図ることができる。
本発明では、支承本体に取り付けられているカバー部材の摺動面側に、例えば止め輪などの支持部を設けることにより、このカバー部材が自重で摺動面側にずれることを防止できる。
支承本体にカバー部材を取り付けるための固定部材が、カバー部材と摺動面との間の狭い隙間にないため、従来のように点検時に支承本体を躯体から取り外す作業が不要となり、住宅などのように免震構造の設置箇所が狭い場所であっても点検作業の効率化を図ることができ、作業の安全性を図ることができる。
図1は実施の形態による建物免震用支承構造を示す側面図、図2は図1に示す支承構造の拡大図、図3(a)は図2に示すカバー鋼板の分解平面図、図3(b)は図3(a)に示すカバー鋼板の分解側面図、図4は変形例による支承構造を示す図である。
支承構造1は、球状の転がり材5aを回転可能に内装して転動面4aを転動可能に設けた支承本体5と、転動鋼板4の転動面4aを覆うように備えられ支承本体5の下方外周5bを囲って取り付けられたカバー鋼板6(カバー部材)とから概略構成されている。
この弾性体7は、下端7aが転動鋼板4の転動面4aに固着している。そして、弾性体7の上端7bにカバー鋼板6が当接するため、カバー鋼板6と弾性体7とが隙間なく密着し、防塵領域R内は外方から遮断されて防塵されることになる。
なお、この弾性体7は防塵領域Rを確保するために設けられていることが好ましいが、材質及び形状等については、この弾性体7に限定はされない。
そして、カバー鋼板6は、支承本体5の縮径部5cの上端を囲うように取り付けられ、カバー鋼板6の略中央となる上面6aが段差面5dに当接して固定されている。
図3(a)に示すように、第1分割部材61と第2分割部材62との接合部は、縮径部5cを挟み込み半円状に形成された半円接合部61a、62aと、その両側で両分割部材61、62を接合して固定させる接合部61b、62bとから構成されている。そして、図3(b)に示すように、接合部61b、62bは、カバー鋼板6の上方に起立してなる接合面61c、62cが形成されている。
また、接合面61cと62cとの間には、例えばゴムシートなどの弾力性を有したシール部材10が設けられている。これによって、第1分割部材61と第2分割部材62とが接合することで、この接合面61c、62cの隙間がなくなり、カバー鋼板6の防塵性が向上することになる。
このように、カバー鋼板6は、従来のようにカバー鋼板6の転動面4a側にボルト9aやナット9bのような固定部材がないため、点検時に支承本体5を躯体2から取り外す作業が不要となる。したがって、住宅などの狭い免震層の空間の中での作業で安全性を向上できるとともに、点検作業の効率化を図ることができる。
また、カバー鋼板6の接合面61c、62cにシール部材10を設けたことによって、防塵領域Rの密閉性を向上することができる。
図4に示すように、本変形例による支承本体5では、その下端が本体周部5fより大きく拡径された拡径部5g(支持部)を形成している。
そして、カバー鋼板6の円形接合部61a及び62aは、本体周部5fと同等の半径寸法を有する半円状に形成され、拡径部5gの上方に載置されて、本体周部5fを挟み込んでボルト9aとナット9bとによって固定されている。これにより、支承本体5に固定されたカバー鋼板6は、拡径部5gで支持されることで転動面4aの側にずれて下がることがない(図3参照)。
本変形例では、実施の形態と同様の効果を奏し、点検時などに支承本体5を取り外すことなく、容易にカバー鋼板6を取り除くことができる。
例えば、実施の形態及び変形例では転がり材5aを備えた転がり用の支承本体5としているが、必ずしも転がり用の支承本体5に限定されることはなく、支承本体5の下面に転がり材5aに代えて摺動面を摺動するすべり材を備えた支承本体5であってもよい。
また、実施の形態及び変形例ではカバー鋼板6が二分割されているが、分割数について限定されることはなく、少なくとも二分割以上となっていればよい。
さらに、実施の形態及び変形例ではカバー鋼板6の第1分割部材61と第2分割部材62の接続にボルト9aとナット9bによる固定部材としているが、これに限定されることはなく、容易に分割又は接合ができる固定部材であればよい。そして、カバー鋼板6の第1分割部材61と第2分割部材62の分割及び接合作業が、カバー鋼板6の転動面4aと反対側で行うことができればよい。
さらに、実施の形態及び変形例において第1分割部材61と第2分割部材62の接合面61c、62cにシール部材10を挟み込んでいるが、半円接合部61a、62aの一方又は両方にシール部材10を取り付けて防塵性を高めてもよい。なお、このシール部材10は、設けなくてもよい。
さらにまた、実施の形態及び変形例では、カバー鋼板6及び転動鋼板4は鋼板から形成されているが、必ずしもこの部材に限定されることはなく、例えばゴム製やプラスチック製などの部材であっても構わない。
4 転動鋼板
4a 転動面(摺動面)
5 支承本体
6 カバー鋼板(カバー部材)
61 第1分割部材
62 第2分割部材
61c、62c 接合面
7 弾性体
8 止め輪(支持部)
9a ボルト(固定部材)
9b ナット(固定部材)
10 シール部材
R 防塵領域
Claims (2)
- 転がり材又はすべり材を内装して摺動面を摺動可能に設けた支承本体と、
前記摺動面を覆い、前記支承本体を挟み込むように少なくとも2つ以上の分割部材に分割されたカバー部材と、
を備え、
前記分割部材同士の接合面は、前記支承本体を挟み込む半円状に形成された半円接合部の両側で前記半円接合部から離れた位置の接合部に設けられ、
接合面には、前記カバー部材の前記摺動面の反対側で水平方向に所定間隔をもって接合できるように固定部材が設けられ、
前記摺動面と前記カバー部材との間の防塵領域の側面を囲う周壁をなす弾性体が設けられていることを特徴とする建物免震用支承構造。 - 前記支承本体には、取り付けられた前記カバー部材が前記摺動面側にずれないように支持部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物免震用支承構造。
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