JP4537664B2 - 光路偏向素子、光路偏向装置、画像表示装置、光書込み装置、光インターコネクション装置、光学素子及びその製造方法 - Google Patents
光路偏向素子、光路偏向装置、画像表示装置、光書込み装置、光インターコネクション装置、光学素子及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光路偏向素子、光路偏向装置、画像表示装置、光書込み装置、光インターコネクション装置、光学素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光路偏向素子なる光学素子として、従来から、KH2PO4(KDP),NH4H2PO4(ADP),LiNbO3,LiTaO3,GaAs,CdTeなど第1次電気光学効果(ポッケルス効果)の大きな材料や、KTN,SrTiO3,CS2,ニトロベンゼン等の第2次電気光学効果の大きな材料を用いた電気光学デバイスや、ガラス、シリカ、TeO2などの材料を用いた音響光学デバイスが知られている(例えば、非特許文献1参照)。これらの場合、一般的に、十分大きな光偏向量を得るためには光路長を長く取る必要があり、また、材料が高価であるため用途が制限されている。
【0003】
一方で、液晶材料を用いた光路偏向素子なる光学素子も各種提案されており、その数例を挙げると、以下に示すような提案例がある。
【0004】
例えば、特許文献1によれば、光空間スイッチの光の損失を低減することを目的に、人工複屈折板からなる光ビームシフタが提案されている。内容的には、2枚のくさび形の透明基板を互いに逆向きに配置し、該透明基板間に液晶層を挟んだ光ビームシフタ、及びマトリクス形偏向制御素子の後面に前記光ビームシフタを接続した光ビームシフタが提案され、併せて、2枚のくさび形の透明基板を互いに逆向きに配置し、該透明基板間にマトリクス駆動が可能で、入射光ビームを半セルシフトする液晶層を挟んだ光ビームシフタを半セルずらして多段接続した光ビームシフタが提案されている。
【0005】
また、特許文献2によれば、大きな偏向を得ることが可能で、偏向効率が高く、しかも、偏向角と偏向距離とを任意に設定することができる光偏向スイッチが提案されている。具体的には、2枚の透明基板を所定の間隔で対向配置させ、対向させた面に垂直配向処理を施し、透明基板間にスメクチックA相の強誘電性液晶を封入し、前記透明基板に対して垂直配向させ、スメクチック層と平行に交流電界を印加できるように電極対を配置し、電極対に交流電界を印加する駆動装置を備えた液晶素子である。即ち、スメクチックA相の強誘電性液晶による電傾効果を用い、液晶分子の傾斜による複屈折によって、液晶層に入射する偏光の屈折角と変位する方向を変化できるようにしたものである。
【0006】
前者の特許文献1においては、液晶材料にネマチック液晶を用いているため、応答速度をサブmsにまで速めることは困難であり、高速なスイッチングが必要な用途には用いることはできない。
【0007】
また、後者の特許文献2においては、スメクチックA相の強誘電液晶を用いているが、スメクチックA相は自発分極を持たないため、高速動作は望めない。
【0008】
次に、ピクセルシフト素子に関して従来提案されている技術を数例挙げて説明する。
【0009】
例えば、特許文献3に示されるように、表示素子に表示された画像を投写光学系によりスクリーン上に拡大投影する投影表示装置において、前記表示素子から前記スクリーンに至る光路の途中に透過光の偏光方向を旋回できる光学素子を少なくとも1個以上と複屈折効果を有する透明素子を少なくとも1個以上を有してなる投影画像をシフトする手段と、前記表示素子の開口率を実効的に低減させ、表示素子の各画素の投影領域が前記スクリーン上で離散的に投影される手段と、を備えた投影表示装置がある。
【0010】
特許文献3においては、偏光方向を旋回できる光学素子(旋光素子)を少なくとも1個以上と複屈折効果を有する透明素子(複屈折素子)を少なくとも1個以上を有してなる投影画像シフト手段(ピクセルシフト手段)によりピクセルシフトを行っているが、問題点として、旋光素子と複屈折素子とを組合せて使用するため、光量損失が大きいこと、光の波長によりピクセルシフト量が変動し解像度が低下しやすいこと、旋光素子と複屈折素子との光学特性のミスマッチから本来画像が形成されないピクセルシフト外の位置に漏れ光によるゴースト等の光学ノイズが発生しやすいこと、素子化のためのコストが大きいこと、が挙げられる。特に、複屈折素子に前述したようなKH2PO4(KDP),NH4H2PO4(ADP),LiNbO3,LiTaO3,GaAs,CdTeなど第1次電気光学効果(ポッケルス効果)の大きな材料を使用した場合、顕著である。
【0011】
また、特許文献4に示される投影機においては、制御回路により、画像蓄積回路に蓄積した本来表示すべき画像を市松状に画素選択回路へサンプリングして順次空間光変調器に表示し、投影させ、さらに、制御回路により、この表示に対応させてパネル揺動機構を制御して空間光変調器の隣接画素ピッチ距離を整数分の一ずつ移動させることで、本来表示すべき画像を時間的な合成により再現するようにしている。これにより、空間光変調器の画素の整数倍の分解能で画像を表示可能にするとともに、画素の粗い空間光変調器と簡単な光学系を用いて安価に投影機を構成可能としている。
【0012】
ところが、特許文献4においては、画像表示用素子自体を画素ピッチよりも小さい距離だけ高速に揺動させるピクセルシフト方式が記載されており、この方式では、光学系は固定されているので諸収差の発生が少ないが、画像表示素子自体を正確かつ高速に平行移動させる必要があるため、可動部の精度や耐久性が要求され、振動や音が問題となる。
【0013】
さらに、特許文献5によれば、LCD等の画像表示装置の画素数を増加させることなく、表示画像の解像度を、見掛け上、向上させるため、縦方向及び横方向に配列された複数個の画素の各々が、表示画素パターンに応じて発光することにより、画像が表示される画像表示装置と、観測者又はスクリーンとの間に、光路をフィールド毎に変更する光学部材を配し、また、フィールド毎に、前記光路の変更に応じて表示位置がずれている状態の表示画素パターンを画像表示装置に表示させるようにしている。ここに、屈折率が異なる部位が、画像情報のフィールド毎に、交互に、画像表示装置と観測者又はスクリーンとの間の光路中に現れるようにすることで、前記光路の偏向が行われるものである。
【0014】
特許文献5においては、光路を偏向する手段として、電気光学素子と複屈折材料の組合せ機構、レンズシフト機構、バリアングルプリズム、回転ミラー、回転ガラス等が記述されており、上記旋光素子と複屈折素子を組合せてなる方式の他に、ボイスコイル、圧電素子等によりレンズ、反射板、複屈折板等の光学素子を変位(平行移動、傾斜)させ光路を切換える方式が提案されているが、この方式においては、光学素子を駆動するために構成が複雑となりコストが高くなる。
【0015】
また、特許文献6によれば、回転機械要素を不要化でき、全体の小型化、高精度・高分解能化を実現でき、しかも外部からの振動の影響を受け難い光ビーム偏向装置が提案されている。具体的には、光ビームの進行路上に配置される透光性の圧電素子と、この圧電素子の表面に設けられた透明の電極と、圧電素子の光ビーム入射面Aと光ビーム出射面Bとの間の光路長を変化させて光ビームの光軸を偏向させるために電極を介して圧電素子に電圧を印加する電圧印加手段とを備えている。
【0016】
特許文献6では、透光性の圧電素子を透明の電極で挟み、電圧を印加することで厚みを変化させて光路をシフトさせる方式が提案されているが、比較的大きな透明圧電素子を必要とし、装置コストがアップする等、前述の特許文献5の場合と同様の問題点がある。
【0017】
ここで、画像表示装置以外の光書き込み及び光接続に関する技術について述べる。
【0018】
特許文献7によれば、低い解像度の発光素子アレイを使用しながらも、偏光面を90 度回転させる強誘電性液晶セルと複屈折板とを組み合わせることによって、電気光学的に露光位置を変化させる結像位置制御手段を用いることで、高い解像度で印刷することができるようにした光書込み装置が提案されている。具体的には、一対の透明な基板上に一対の透明電極と水平配向膜とが形成され、2枚の基板の間にはキラルスメクチックC相からなる強誘電性液晶からなる液晶層が挟まれている。この液晶セルの後に複屈折板を設けておくと、複屈折板に対して常光成分となる偏光面の時に光は直進し、異常光成分となる偏光面の時に光は平行にシフトする光路シフト手段が構成できる。この際、光路のシフト量は、複屈折板の光学軸の方向や厚みによって決まり、このようにして構成されている光路シフト手段を発光体アレイと記録体との間に介在させることで光書込み装置が実現できる。
【0019】
特許文献7では、偏光面を90 度回転させる強誘電性液晶セルと複屈折板とを組み合わせることによって、偏向機能を実現しているが、複屈折板として機能する光学結晶は一般に高価であり、発光体アレイの大きさに対応した面積の光学結晶を用いることはコストが高くなる。
【0020】
特許文献8によれば、複数の入射光ビームに対し光ビームの伝搬方向を個々に偏向することが可能な光偏向器が提案されている。これは透明基板に鋸歯形状の溝を形成した基板を用い、予め一定方向に配向させたネマチック液晶を鋸歯形成基板と平坦基板間に封入し、各鋸歯形状に対応する分割した電極により、電場を印加して液晶の屈折率を変化させる構成としており、各鋸歯形状に入射した光を個々偏向させることが可能である。
【0021】
特許文献8では、用いている液晶がネマチック液晶であるため応答性が数十ミリsecと非常に遅く、光インターコネクション等に用いた場合、伝搬損失が大きいといった問題がある。
【0022】
【特許文献1】
特開平6−18940号公報
【特許文献2】
特開平9−133904号公報
【特許文献3】
特許第2939826号公報
【特許文献4】
特開平5−313116号公報
【特許文献5】
特開平6−324320号公報
【特許文献6】
特開平10−133135号公報
【特許文献7】
特開平8−118726号公報
【特許文献8】
特開平7−92507号公報
【非特許文献1】
青木昌治編;「オプトエレクトロニックデバイス」、昭晃堂
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術の課題を整理すると、従来のピクセルシフト素子(光路偏向素子)において問題となっているのは
▲1▼構成が複雑であることに伴う高コスト、装置大型化、光量損失、ゴースト等の光学ノイズ又は解像度低下
▲2▼特に可動部を有する構成の場合の位置精度や耐久性、振動や音の問題
▲3▼ネマチック液晶などにおける応答速度
である。
【0024】
▲3▼の応答速度に関し、画像表示装置におけるピクセルシフトに必要な光偏向の速度は以下のように見積ることができる。画像フィールド(時間WField)を時間的にn分割し、各n個のサブフィールド毎に画像表示素子と光学部材との間の光路を偏向してピクセルシフトのシフト位置をn箇所に定めた場合、1つのサブフィールドの時間tSFは、
tSF=tField/n
で表される。この時間tSFの期間中に光偏向がなされるが、その時間をWshiftとするとこのWshiftの期間は表示が行えないため、この期間に相当する分だけ光利用効率が低下する。
【0025】
光利用効率Eは以下の式で表される。
【0026】
E=(tSF−Wshift)/tSF
仮にピクセルシフト位置nがn=4、画像フィールドtFieldが16.7msである場合に、光利用効率Eを90%以上確保するためには、
0.9<(16.7/4−tshift)/(16.7/4)
Wshift<0.42(ms)
となり、光偏向を0.42msで行う必要がある。通常のネマチック液晶は応答速度が数ms以上であるため、ここに示すような高速ピクセルシフトのための光学素子としては使用することはできない。
【0027】
特許文献1においては液晶材料にネマチック液晶を用いているため、応答速度をサブmsにまで速めることは困難であり、ピクセルシフトに用いることはできない。一方、キラルスメクチックC相よりなる強誘電液晶ではその応答速度は十分0.42ms以下に設定することが可能である。
【0028】
また、特許文献2においてはスメクチックA相の強誘電液晶を用いているが、スメクチックA相は自発分極を持たないため、キラルスメクチックC相に見られるような高速動作はやはり望めない。
【0029】
このような点を考慮すると、従来の光路偏向素子における問題点、即ち、構成が複雑であることに伴う高コスト、装置大型化、光量損失、光学ノイズを改善し、構成が簡単で、小型であり、光量損失、光学ノイズ、解像度低下が少なく、低コスト化を図ることができる光路偏向素子ないしは光偏向装置の提案が待たれる。
【0030】
このようなことから、本出願人によれば、透明な一対の基板と、これらの基板間に充填されたホモジニアス配向されたキラルスメクチックC相よりなる液晶と、一対の基板と液晶との間に形成された電極対による電界印加手段とを備え、光の入射方向が基板面法線方向と異なる方向に設定された光偏向素子や、透明な一対の基板と、これらの基板間に充填されたキラルスメクチックC相よりなる液晶と、少なくとも1組以上の電界印加手段とを備え、液晶を挟む両基板面が光偏向方向に対応して傾斜して対向する光偏向素子や、このような光偏向素子を光進行方向上に所定距離を隔てて2組備える光偏向デバイスが提案されている。
【0031】
この提案例によれば、液晶材料としてキラルスメクチックC相よりなる液晶を用いており、上述した各種従来技術と比べて極めて高速なスイッチングが可能であるが、反面、キラルスメクチックC相よりなる液晶は所定の領域内を均一に配向させることが難しい。また、基板間隔が非平行である場合には、従来、これを均一に配向させるための技術に関する報告はなかった。
【0032】
この点、表示素子として一般的に知られているキラルスメクチックC相よりなる表面安定化型強誘電性液晶素子は、2方向への安定状態を持つ双安定なホモジニアス配向状態を取らせれば、表示素子に印加する電界の極性により、この双安定な状態間をスイッチングさせることができる。また、一方の安定状態で電界を切ってもその安定状態が保たれるメモリ性や、スメクチックA相よりなる液晶やネマチック液晶などに比較してスメクチックC相よりなる液晶での高速応答性も特徴として挙げられる。
【0033】
ここに、液晶分子の配向方向を電気的に切換えて入射光に対する液晶分子の屈折率を変化させることで傾斜面での出射偏向角度を変化させる光路偏向素子の場合、偏向角を大きく設定可能とするためには液晶配向切換え時の屈折率変化が大きいことが好ましい。強誘電性液晶の特性としては、分子長軸と短軸との屈折率差Δnが大きいことや、スメクチックC相のチルト角(スメクチック層法線に対する液晶分子の傾斜角度)が大きく、コーン角(電界反転時の配向切換え角度=チルト角の2倍)が大きい(例えば、90°程度)ことが好ましい。光路シフトを正確に行うためには、傾斜領域を持つ基板間に充填する強誘電性液晶層が欠陥のないホモジニアス配向状態を形成する必要がある。
【0034】
しかしながら、分子長軸と短軸との屈折率差Δnを大きくするために、通常の液晶の場合に比較して、極めて大きなコーン角を有する強誘電性液晶を用いる場合を想定すると、双安定なホモジニアス配向状態を安定して作製することが極めて難しい。特に、コーン角の大きな強誘電性液晶であるスメクチック液晶の場合には、その相転移系列としてスメクチックA相を通らないことが多いため、均一に配向させることは特に難しい。
【0035】
この結果、コーン角が大きくて双安定なホモジニアス配向状態を意図した場合には、配向不良に伴う素子製造時の歩留まり低下が懸念される。
【0036】
また、前述したようなピクセルシフト方式の画像表示装置への適用を考えた場合には、このような配向不良に基づく画像劣化の発生が懸念される。
【0037】
本発明は、透明な一対の基板間に傾斜角を持たせて傾斜領域を形成し、この傾斜領域にキラルスメクチックC相よりなる液晶層を充填する構成下に、大きなコーン角を持ちながら均一な配向状態を容易に実現できる光路偏向素子、光路偏向装置、光学素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0038】
本発明は、温度依存性の少ない光路偏向素子、光路偏向装置及び光学素子を提供することを目的とする。
【0039】
本発明は、スイッチング時の液晶分子の配向状態の安定性を向上させ得る光路偏向素子、光路偏向装置及び光学素子を提供することを目的とする。
【0040】
本発明は、大面積での光路偏向が可能な光路偏向素子、光路偏向装置及び光学素子を提供することを目的とする。
【0041】
本発明は、高速応答が可能な光路偏向機能が得られる光路偏向素子、光路偏向装置及び光学素子を提供することを目的とする。
【0042】
本発明は、光の利用効率の向上により高効率な光路偏向素子及び光路偏向装置を提供することを目的とする。
【0043】
本発明は、不要なノイズ光の除去が可能で高精度な光路偏向素子及び光路偏向装置を提供することを目的とする。
【0044】
本発明は、液晶の物性と入射光の特性とを最適化することより、より効率のよい光路偏向素子及び光路偏向装置を提供することを目的とする。
【0045】
本発明は、光路を平行シフト可能な光路偏向素子及び光路偏向装置を提供することを目的とする。
【0046】
本発明は、光路を直交する2方向に角度偏向或いは平行シフト可能な光路偏向装置を提供することを目的とする。
【0047】
本発明は、配向特性の安定した角度偏向或いは平行シフト可能な光路偏向装置を用いることにより、画素数の少ない画像表示素子を用いて、見掛け上、高精細で光利用効率が高くて配向不良に基づく画像劣化のない画像表示装置を提供することを目的とする。
【0048】
本発明は、高速応答かつ配向特性の安定した角度偏向或いは平行シフト可能な光路偏向装置を用いることにより、低い解像度の発光体アレイを用いて、高い解像度で印刷することが可能な光書込み装置を提供することを目的とする。
【0049】
本発明は、高速応答かつ配向特性の安定した角度偏向或いは平行シフト可能な光路偏向装置を多段に用いることにより、応答性に基づく損失の少ない可変2次元光配線が可能な光インターコネクション装置を提供することを目的とする。
【0050】
本発明は、大面積用の光学素子を作製する上で、その作製時間の短縮と余分な液晶を注入することがなくコストダウンを図れる光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0051】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の光路偏向素子は、対向配置させた透明な一対の基板と、前記基板上に設けられて、極性を反転させた電圧が選択的に印加される透明電極膜と、前記基板の内面側に設けられた配向膜と、前記基板間に前記配向膜を介して充填され、前記配向膜によりホモジニアス配向をなすキラルスメクチックC相よりなる液晶層と、を備え、一対の前記基板は、両基板間に傾斜角度を持たせた配置により前記液晶層用の傾斜領域を形成し、前記液晶層は、安定状態の方向と非安定状態の方向とが前記傾斜領域内で同一平面内に存在する単安定状態に液晶がホモジニアス配向されて形成され、前記透明電極膜間に印加される電圧の極性に応じて前記安定状態の方向と前記非安定状態の方向とが切換えられる。
【0052】
従って、透明な一対の基板間に傾斜角を持たせて傾斜領域を形成し、この傾斜領域にキラルスメクチックC相よりなる液晶層を充填する構成下に、このキラルスメクチックC相よりなる液晶を安定状態の方向と非安定状態の方向とが存在する単安定状態に配向させることにより、双安定状態に配向させる場合に比べて極めて容易に均一配向させることができる。よって、素子製造時の歩留まりも改善できる。
【0053】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光路偏向素子において、前記液晶層は、スメクチックA相を通らない相転移系列の液晶材料により形成されている。
【0054】
従って、コーン角の大きなものが存在するスメクチックA相を通らない相転移系列の液晶材料により液晶層を形成することにより、温度依存性が少ないため、偏向特性に関して温度依存性の少ない光路偏向素子を提供できる。
【0055】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の光路偏向素子において、前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向は、配向処理を施した方向に液晶分子の長軸方向が従う方向であり、前記非安定状態の方向は、前記安定状態の方向とは異なる方向であって、前記透明電極膜間に電圧を印加した場合にのみその印加電圧に応じて前記液晶分子の長軸方向が配向する方向である。
【0056】
従って、透明電極膜間に印加する電圧の極性を反転切換えすることにより、安定状態の方向と非安定状態の方向とにスイッチングさせることができる。
【0057】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一記載の光路偏向素子において、前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向又は前記非安定状態の方向が、前記傾斜領域の傾斜方向に垂直な方向と一致するようにその配向処理の方向が設定されている。
【0058】
従って、基本的には、ホモジニアス配向の安定状態の方向と非安定状態の方向とは傾斜領域に対してどの角度で配置されても高効率な光路偏向素子となり得るが、ホモジニアス配向の一方の配向方向(安定状態の方向と非安定状態の方向との何れか)を、傾斜領域の傾斜方向に垂直な方向に一致させることにより、スイッチング時の液晶分子の配向状態の安定性が一層向上し、動作の信頼性が増す。
【0059】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の光路偏向素子において、一方の前記基板の対向面側に断面鋸歯形状の周期構造が形成され、前記傾斜領域の傾斜面は、前記周期構造をなす鋸歯形状の複数の斜辺により分割形成されている。
【0060】
従って、傾斜領域の傾斜面を、一方の基板の対向面側に形成された断面鋸歯形状の周期構造における鋸歯形状の複数の斜辺により分割形成することにより、素子の厚みを制限した状態で巨視的に連続した傾斜領域の形成が可能となり、大面積での光路シフトが可能な光路偏向素子を提供できる。
【0061】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一記載の光路偏向素子において、前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向と前記非安定状態の方向とは、当該液晶層に入射する直線偏光の偏光方向を中心軸としたときに中心軸に対して非対称となるように設定されている。
【0062】
従って、液晶層に入射する直線偏光の偏光方向に対して単安定状態における安定状態の方向と非安定状態の方向とを非対称とすることにより、両方向間に屈折率変化を生じさせることができ、キラルスメクチックC相を利用した高速応答が可能な光路偏向機能が得られる。
【0063】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか一記載の光路偏向素子において、前記液晶層に入射する直線偏光の偏光方向が、前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向と前記非安定状態の方向との何れかの方向に一致するように設定されている。
【0064】
従って、液晶層に入射する直線偏光の偏光方向を、液晶層の単安定状態における安定状態の方向と非安定状態の方向との何れかの方向に一致するように設定することで、光の利用効率が向上し、効率のよい光路偏向素子を提供できる。
【0065】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一記載の光路偏向素子において、当該素子の出射側に偏光板を備える。
【0066】
従って、偏向量が異なり、偏光方向も揃っていない光成分であるノイズ光を出射させないように偏光板によって除去させることができ、光路偏向動作におけるコントラストを向上させることができる。
【0067】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし6の何れか一記載の光路偏向素子において、前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向と前記非安定状態の方向とのなす角度が直角であり、前記液晶層に入射する直線偏光の偏光方向が、前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向と前記非安定状態の方向との何れかの方向と平行になるように設定されている。
【0068】
従って、ホモジニアス配向における安定状態の方向と非安定状態の方向との2方向間の角度を直角(厳密に直角である必要はない)とし、入射する直線偏光の方向が、ホモジニアス配向における2方向のうちの一方の方向と平行となるように設定することで、入射する偏光方向が液晶分子の長軸又は短軸の方向と一致するため、より効率の良い光偏向が可能となる。
【0069】
請求項10記載の発明は、請求項5記載の光路偏向素子において、前記基板に形成される周期構造をなす鋸歯形状領域の山と谷の段差部高さhが、1μm≦h≦10μmの範囲に設定されている。
【0070】
従って、基板に形成される鋸歯形状、入射光の主となる波長、液晶層の屈折率から回折現象を利用して光路偏向をなす場合において、基板に形成される鋸歯形状の段差部高さhを1μm≦h≦10μmの範囲に設定することで、1次回折光の効率が最も高く設定できるため、最も効率のよい光偏向が可能となる。
【0071】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の光路偏向素子において、前記液晶層における常光成分の屈折率no又は異常光成分の屈折率neが、前記基板に形成される鋸歯形状領域の屈折率ngに対して±7%の範囲に設定されている。
【0072】
従って、基板に形成される鋸歯形状、入射光の主となる波長、液晶層の屈折率から回折現象を利用して光路偏向をなす場合において、基板に形成される鋸歯形状領域の屈折率ngと液晶層の屈折率no(又は、ne)のずれが±7%以下であるとき、直進光と偏向光の効率は、直進光では80%以上、偏向光では10%以下となるため、液晶の屈折率no(又は、ne)を鋸歯形状の屈折率ngに対して±7%の範囲に設定することで、光を直進させる際にノイズ光となる偏向光成分を抑制することが可能となる。
【0073】
請求項12記載の発明は、請求項10又は11記載の光路偏向素子において、前記基板に形成される鋸歯形状領域の屈折率ngと前記液晶層の屈折率no(又は、ne)との差の絶対値Δn=|ng−no(又は、ng−ne)|と、前記基板に形成される鋸歯形状領域の段差部高さhと、入射する光の波長λの少なくとも一部が、0.8・Δn・h≦λ≦1.25・Δn・hの範囲に設定されている。
【0074】
従って、基板に形成される鋸歯形状、入射光の主となる波長、液晶層の屈折率から回折現象を利用して光路偏向をなす場合において、基板に形成される鋸歯形状領域の屈折率ngと液晶層の屈折率no(又は、ne)との差の絶対値Δn=|ng−no(又は、ng−ne)|と、前記基板に形成される鋸歯形状領域の段差部高さhと、入射する光の波長λの全部又は一部を、0.8・Δn・h≦λ≦1.25・Δn・hの範囲に設定することで、入射する光の波長を80%以上の効率で偏向させることができ、また、その際の直進光成分の効率は10%以下と少なく設定できるため、光を偏向させる際にノイズ光となる直進光成分を抑制することが可能となる。
【0075】
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12の何れか一記載の光路偏向素子において、前記液晶層を形成する前記傾斜領域は、入射光の進行方向に対して所定間隔隔てて第1の傾斜領域と第2の傾斜領域とに分割され、前記第1の傾斜領域と前記液晶層との屈折率差によって偏向した光が前記第2の傾斜領域と前記液晶層との屈折率差によって再度偏向されて、出射する際に前記入射光に対して平行光となるように前記第1の傾斜領域と前記第2の傾斜領域の傾斜面とが平行に対向配置されている。
【0076】
従って、1つの傾斜領域のみでは光路偏向としてその出射角度しか変えることができないが、第1の傾斜領域と第2の傾斜領域とに分割してその第1の傾斜面と第2の傾斜面とを平行に対向配置させることにより、光路偏向として光路の平行シフトが可能となる。この際、第1の傾斜領域と第2の傾斜領域との間の所定間隔を調整することにより、平行シフト量の調整も可能となる。
【0077】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の光路偏向素子において、前記第1の傾斜領域と前記第2の傾斜領域とを所定間隔隔てる透明な中間基板を備える。
【0078】
従って、請求項13記載の光路偏向素子を容易に実現できる。また、この中間基板の厚さに応じて平行シフト量の調整も可能となる。
【0079】
請求項15記載の発明の光路偏向装置は、請求項1ないし14の何れか一記載の光路偏向素子と、この光路偏向素子の透明電極膜間に極性を反転させた電圧を選択的に印加する電圧印加手段と、を備える。
【0080】
従って、配向特性の安定した光路偏向素子の透明電極膜間に印加する電圧の極性を電圧印加手段により反転切換えすることにより、安定状態の方向と非安定状態の方向とにスイッチングさせて、入射光に対して確実に光路偏向を行わせることができる。
【0081】
請求項16記載の発明の光路偏向装置は、請求項1ないし14の何れか一記載の第1の光路偏向素子と、この第1の光路偏向素子と同一の光路上に配設されて、光路偏向方向を直交させた請求項1ないし14の何れか一記載の第2の光路偏向素子と、これらの光路偏向素子の透明電極膜間に極性を反転させた電圧を選択的に印加する電圧印加手段と、を備える。
【0082】
従って、1方向への光路偏向が可能な光路偏向素子を2枚組合せ、両者の光路偏向方向を直交させて配置し、2次元方向への光路偏向(角度偏向或いは平行シフト)が可能となり、かつ、構成も単純で製造コストを抑えることができ、光利用効率を高めることができる。
【0083】
請求項17記載の発明の光路偏向装置は、請求項1ないし14の何れか一記載の第1の光路偏向素子と、この第1の光路偏向素子と同一の光路上に配設されて光路偏向方向を直交させた請求項1ないし14の何れか一記載の第2の光路偏向素子と、これらの光路偏向素子の透明電極膜間に極性を反転させた電圧を選択的に印加する電圧印加手段と、前記第1の光路偏向素子と前記第2の光路偏向素子との間に配設されて前記第1の光路偏向素子からの出射光の偏光方向を90°切換える偏光方向切換手段と、を備える。
【0084】
従って、1方向への光路偏向が可能な光路偏向素子を2枚組合せ、両者の光路偏向方向を直交させて配置し、入射側の第1の光路偏向素子から出射した光の偏光方向を偏光方向切換手段により90°回転させて、第2の光路偏向素子に入射させることで、確実に2次元方向への光路偏向(角度偏向或いは平行シフト)が可能となる。また、電圧の極性と光の偏向方向の対応が、第1及び第2の光偏向素子で等しく設定できるため、制御系を共通化することができる。
【0085】
請求項18記載の発明は、請求項16又は17記載の光路偏向装置において、前記第1の光路偏向素子の傾斜領域の最大傾斜方向と前記第2の光路偏向素子の傾斜領域の最大傾斜方向とが直交するように前記第1の光路偏向素子と前記第2の光路偏向素子とを配設させた。
【0086】
従って、請求項16又は17記載の光路偏向装置を実現する上で、第1,2の光路偏向素子の傾斜領域の最大傾斜方向を90°回転させて配置させることにより、光路偏向方向が直交する配置が可能となる。
【0087】
請求項19記載の発明は、請求項17記載の光路偏向装置において、前記偏光方向切換手段は、半波長板である。
【0088】
従って、水晶や雲母からなる半波長板を用いることにより、請求項17記載の光路偏向装置を容易に実現できる。
【0089】
請求項20記載の発明は、請求項17記載の光路偏向装置において、前記偏光方向切換手段は、ツイストネマチック型液晶セルである。
【0090】
従って、入射側基板の配向方向が入射光の偏光方向と一致するように配置させれば、ツイストネマチック型液晶セルを透過した光は偏光方向が90°回転して出射するので、ツイストネマチック型液晶セルを電界駆動させることなく請求項17記載の光路偏向装置を容易に実現できる。
【0091】
請求項21記載の発明の画像表示装置は、画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を2次元的に配列した画像表示素子と、この画像表示素子を照明する照明装置と、前記画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学装置と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールドで形成する表示駆動手段と、前記画像表示素子の各画素からの出射光の光路を前記サブフィールド毎に偏向する請求項15ないし20何れか一記載の光路偏向装置と、を備える。
【0092】
従って、いわゆるピクセルシフトデバイスとして請求項15ないし20の何れか一記載の光路偏向可能な光路偏向装置を用いているので、投射光路をサブフィールド画像に対応して高速に偏向させることができ、見掛け上、高精細な画像表示が可能となる。この際、配向不良に基づく画像劣化も生じない。
【0095】
請求項22記載の発明の画像表示装置は、画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を2次元的に配列した画像表示素子と、この画像表示素子を照明する照明装置と、前記画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学装置と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールドで形成する表示駆動手段と、前記画像表示素子の各画素からの出射光の光路を前記サブフィールド毎に偏向する請求項15記載の光路偏向装置と、を備え、前記光路偏向装置が、前記画像表示素子の画素配列斜め方向に光路偏向をなすように配置されている。従って、ピクセルシフトデバイスとして請求項15記載の光路偏向可能な光路偏向装置を用い、光路偏向素子の鋸歯形状の稜線が画像表示素子の画素の配列方向に対して斜め(45°)に傾いた方向となるように、光路偏向装置を配置しているため、画素配列に対して斜め方向に光路を偏向することができる。即ち、投射光路をサブフィールド画像に対応して高速かつ画素配列に対して斜めに偏向させることができ、見掛け上、高精細な画像表示が可能となる。この斜め方向への偏向は1つの光路偏向装置で、2つの光路偏向装置を用いた場合と同様の高解像度表示が可能となる。
【0098】
請求項23記載の発明の光書込み装置は、複数の発光部を予め決められた画素ピッチで配列する発光体アレイと、前記発光部が放射した光を記録体上に集束させる光学レンズと、前記発光部から放射された光の光路を前記発光部の配列方向にシフトする請求項15ないし20の何れか一記載の光路偏向装置と、を備える。
【0099】
従って、本発明の光書込み装置は、発光体アレイの配列方向へ光路をシフトするように光路偏向装置を配置した構成としているため、画素ピッチ間が補間された光を、記録体に照射できる。即ち、低解像度の発光体アレイを用いて高解像度の画像露光が可能となる。また、光路偏向素子は従来に比べて、狭ギャップによる低電界で駆動することができ、数十μsecの高速応答といった利点がある。
【0100】
請求項24記載の発明の光路偏向装置は、請求項5記載の光路偏向装置において、前記透明電極が、前記基板に形成される鋸歯形状ピッチに対応したライン状の分割電極構造を有する。
【0101】
従って、透明電極を鋸歯形状ピッチに対応するように、ライン状に分割することで、各鋸歯形状への入射光の方向を各々偏向することがきる。また、電界を周期的に印加して新たな周期構造を形成することで、光路の偏向方向を新たに設定することができる。即ち、入射光の本数や幅等に対応して光路を偏向することができる。
【0102】
請求項25記載の発明の光インターコネクション装置は、光ビームアレイを発生する光源アレイと、光ビームアレイを集光させるレンズアレイと、前記光ビームアレイを受光する光ディテクタアレイと、前記光源アレイと前記光ディテクタアレイ間に多段に配置されて前記光ビームアレイの進行方向を偏向する請求項24記載の光路偏向装置と、を備える。
【0103】
従って、複数ビームに対応した光路偏向をなす請求項26記載の光路偏向装置を多段に用いて、光源アレイと光ディテクタアレイ間の光ビームアレイを接続する構成としているため、2次元方向において高速応答な光配線が実現できる。本発明は従来に比べて、高速応答であるため、伝搬損失が非常に少ないといった利点がある。
【0104】
請求項26記載の発明の光学素子は、対向配置させた透明な一対の基板と、前記基板上に設けられた透明電極膜と、前記基板の内面側に設けられた配向膜と、前記基板間に前記配向膜を介して充填され、前記配向膜によりホモジニアス配向をなすキラルスメクチックC相よりなる液晶層と、を備え、一対の前記基板は、両基板間に傾斜角度を持たせた配置により前記液晶層用の傾斜領域を形成し、前記液晶層は、安定状態の方向と非安定状態の方向とが前記傾斜領域内で同一平面内に存在する単安定状態に液晶がホモジニアス配向されて形成されている。
【0105】
従って、透明な一対の基板間に傾斜角を持たせて傾斜領域を形成し、この傾斜領域にキラルスメクチックC相よりなる液晶層を充填する構成下に、このキラルスメクチックC相よりなる液晶を安定状態の方向と非安定状態の方向とが存在する単安定状態に配向させることにより、双安定状態に配向させる場合に比べて極めて容易に均一配向させることができ、素子製造時の歩留まりも改善できる。
【0106】
請求項27記載の発明は、請求項26記載の光学素子において、前記液晶層は、スメクチックA相を通らない相転移系列の液晶材料により形成されている。
【0107】
従って、コーン角の大きなものが存在するスメクチックA相を通らない相転移系列の液晶材料により液晶層を形成することにより、温度依存性が少ないため、温度依存性の少ない光学素子を提供できる。
【0108】
請求項28記載の発明は、請求項26又は27記載の光学素子において、前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向又は前記非安定状態の方向が、前記傾斜領域の傾斜方向に垂直な方向と一致するようにその配向処理の方向が設定されている。
【0109】
従って、基本的には、ホモジニアス配向の安定状態の方向と非安定状態の方向とは傾斜領域に対してどの角度で配置されても高効率な光学素子となり得るが、ホモジニアス配向の一方の配向方向(安定状態の方向と非安定状態の方向との何れか)を、傾斜領域の傾斜方向に垂直な方向に一致させることにより、例えばスイッチング時の液晶分子の配向状態の安定性が一層向上し、動作の信頼性が増す。
【0110】
請求項29記載の発明は、請求項26ないし28の何れか一記載の光学素子において、一方の前記基板の対向面側に断面鋸歯形状の周期構造が形成され、前記傾斜領域の傾斜面は、前記周期構造をなす鋸歯形状の複数の斜辺により分割形成されている。
【0111】
従って、傾斜領域の傾斜面を、一方の基板の対向面側に形成された断面鋸歯形状の周期構造における鋸歯形状の複数の斜辺により分割形成することにより、素子の厚みを制限した状態で巨視的に連続した傾斜領域の形成が可能となり、大面積化が可能な光学素子を提供できる。
【0112】
請求項30記載の発明は、請求項26ないし29の何れか一記載の光学素子において、前記液晶層を形成する前記傾斜領域は、入射光の進行方向に対して所定間隔隔てて第1の傾斜領域と第2の傾斜領域とに分割され、前記第1の傾斜領域と前記液晶層との屈折率差によって偏向した光が前記第2の傾斜領域と前記液晶層との屈折率差によって再度偏向されて、出射する際に前記入射光に対して平行光となるように前記第1の傾斜領域と前記第2の傾斜領域の傾斜面とが平行に対向配置されている。
【0113】
従って、1つの傾斜領域のみでは例えば光路偏向としてその出射角度しか変えることができないが、第1の傾斜領域と第2の傾斜領域とに分割してその第1の傾斜面と第2の傾斜面とを平行に対向配置させることにより、光路偏向として光路の平行シフトが可能となる。この際、第1の傾斜領域と第2の傾斜領域との間の所定間隔を調整することにより、平行シフト量の調整も可能となる。
【0114】
請求項31記載の発明は、請求項30記載の光学素子において、前記第1の傾斜領域と前記第2の傾斜領域とを所定間隔隔てる透明な中間基板を備える。
【0115】
従って、請求項30記載の光学素子を容易に実現できる。
【0116】
請求項32記載の発明は、請求項26ないし29の何れか一記載の光学素子の製造方法として、等方相又はコレステリック相から冷却過程で降温速度を制御しながら透明電極膜間に電圧を印加することにより液晶層の液晶をホモジニアス配向させて単安定状態の安定状態の方向を設定する配向処理工程を含む。
【0117】
従って、安定状態の方向と非安定状態の方向とが傾斜領域内で同一平面内に存在する単安定状態に液晶がホモジニアス配向される請求項26ないし29の何れか一記載の光学素子を歩留まり高く容易に製造することができる。
【0118】
請求項33記載の発明は、請求項29記載の光学素子の製造方法として、一方の基板の対向面側に形成された断面鋸歯形状の周期構造に沿う方向に液晶を注入する液晶注入工程を含む。
【0119】
従って、一方の基板の対向面側に断面鋸歯形状の周期構造を有する請求項29記載の光学素子を作製する上で、断面鋸歯形状の周期構造に沿う方向に液晶を注入することにより、液晶を効率的に注入でき、注入時間を短縮でき、かつ、余分な液晶を注入することがなく製造コストのダウンを図れる。
【0120】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図5に基づいて説明する。本実施の形態の光路偏向素子は、基本的には、液晶分子の配向方向を電気的に切換えて入射光に対する液晶分子の屈折率を変化させることで傾斜面での出射角度を変化させるものである。即ち、本明細書において、「光路偏向素子」とは、外部からの電気信号により光の光路を偏向、即ち、入射光に対して出射光を平行にシフトさせるか(平行シフト)、或る角度を持って回転させるか(角度偏向)、或いは、その両者を組合せて光路を切換えることが可能な光学素子を意味する。
【0121】
図1は、本実施の形態の光路偏向素子(或いは、光学素子)ないしは光路偏向装置の概略構成例を示す。まず、本実施の形態の光学素子でもある光路偏向素子1は、対向配置させた透明な一対の基板2,3と、これらの基板2,3の内面側に設けられたITO等の透明電極膜4,5と、これらの透明電極膜4,5上に設けられた配向膜6,7と、基板2,3間に配向膜6,7を介して充填され、配向膜6,7により液晶分子8がホモジニアス配向をなすキラルスメクチックC相よりなる液晶層9と、を備えて構成されている。ここに、一対の基板2,3は、両基板2,3間の少なくとも一部に傾斜角度θを持たせて対向配置させることにより、両基板2,3間には断面的(側面的)に見て傾斜面10を有する傾斜領域11が形成されている。この結果、液晶分子8はこの傾斜領域11に充填されるため、液晶層9の形状も傾斜領域11に倣う形状となる。このような基板2,3間の傾斜角度θを規制するためのスペーサ12が光路と重ならない位置(基板端部)に配設されている。
【0122】
このような光路偏向素子1の透明電極膜4,5間に極性を反転させた電圧を選択的に印加して液晶層9に電界を付与する矩形電圧電源による電圧印加手段13が設けられて光路偏向装置14が構成されている。
【0123】
ここに、偏向角度を大きく設定可能とするためには液晶配向切換え時の屈折率変化が大きいことが好ましい。強誘電性液晶の特性としては、分子長軸と短軸との屈折率差Δnが大きいことや、スメクチックC相のチルト角(スメクチック層法線に対する液晶分子の傾斜角度)が大きく、コーン角(電界反転時の配向切換え角度=チルト角の2倍)が大きいことが好ましい。
【0124】
また、光路シフトを正確に行うためには、傾斜領域11を持つ基板2,3間に充填する強誘電性液晶層が欠陥のないホモジニアス配向状態を形成する必要がある。そのための配向処理の方向を検討した。一般に、コーン角の大きい強誘電性液晶はスメクチックA相を通らない相転移系列である場合が多く、前述したようにスメクチックC相で双安定状態を取り得る均一配向状態を形成することは難しい。ちなみに、従来の表示素子用表面安定化型強誘電性液晶セルのように、上下基板上の液晶分子配列を液晶材料のコーン角程度の開き角を持って交差する方向に施して配向状態を制御しよう試みたが、良好な配向状態は得られなかった。また、傾斜面に対しての分子配列方向を何れかの方向に処理を施した場合でも配向欠陥の程度は同じであった。
【0125】
本実施の形態の強誘電性液晶層9では、双安定ではなく、図1(b)に示すように、安定状態の方向と非安定状態の方向とが存在する単安定状態に液晶分子8を配向させることで、双安定な状態に配向させる場合に比較し、極めて容易に均一な配向状態を得ることができるようにしたものである。
【0126】
光路偏向素子1(光学素子)を製造する上で、このような単安定状態のホモジニアス配向のための配向処理法としては、等方相又はコレステリック相からの冷却過程において降温速度を適当にコントロールした上で電圧をセル(当該光路偏向素子1)の透明電極膜4,5間に印加し、所定極性の電界を作用させる配向処理工程を含ませればよい。この結果、液晶分子8中のカルボニル基などの双極子に電界が作用して液晶層9全体の自発分極の方向が一致するようにスメクチック層の配向方向が決まるため、均一なホモジニアス配向状態を形成することができる。
【0127】
ここに、単安定なホモジニアスの配列の安定状態の方向は、液晶長軸(液晶ダイレクタ)がほぼ配向処理方向(ラビング方向)に沿う形で発生する。この方向が安定状態の方向であり、無電界時或いはセル作製時と同一の極性方向の電界を印加した場合には、この安定状態の方向に液晶ダイレクタが配向する。一方、液晶セル(当該光路偏向素子1)の透明電極膜4,5間に印加する電圧の極性を反転させて電界の極性を切換えると、液晶ダイレクタの方向が変化する。この状態は配向処理方向(ラビング方向)とは異なっているので非安定状態である。つまり、非安定状態の方向は、透明電極膜4,5間に電圧を印加した場合にのみその印加電圧に応じて液晶分子8の長軸方向が配向する方向であり、無電界時或いはセル作製時と同一の極性方向の電界に反転させた場合には、安定状態の方向に切換えられる。従って、電界の極性を切換えることで、図1(b)に示すように安定状態の方向と非安定状態の方向とをスイッチングできる。また、安定状態の方向と非安定状態の方向とはセル作製時のラビング方向を変えることにより、逆になる。
【0128】
ところで、2方向(安定状態の方向と非安定状態の方向)への液晶ダイレクタの切換えで光路シフトを行うためには、入射光の直線偏光の偏光方向に対して、2方向の各々が非対称な位置になるようにその方向を設定する必要がある。
【0129】
図2を用いて傾斜面10での屈折率変化による偏向動作について説明する。液晶分子8の長軸方向の屈折率をne、短軸方向の屈折率をnoとすると、入射した直線偏光は屈折率no,ne及び液晶ダイレクタの方向に対応した実効的な屈折率差に応じて偏向を受けシフトする。図2(a)に示すように液晶分子8の長軸方向が入射光の偏光方向に比較的近い場合、光は液晶層9内の屈折率を大きく感じるため、液晶層9と基板3との傾斜界面(傾斜面10)で比較的大きく屈折し、角度θeで出射する。一方、図2(b)に示すように液晶分子8の短軸方向が入射光の偏光方向に比較的近い場合、光は液晶層9内の屈折率を小さく感じるため、液晶層9と基板3との傾斜界面(傾斜面10)で比較的小さく屈折し、角度θoで出射する。
【0130】
この2つの状態での角度の差θe−θoが偏向角度となる。本実施の形態では、安定状態の方向と非安定状態の方向との配向状態の屈折角度の差を偏向角度として利用するので、必ずしも液晶分子8の屈折率ne或いはnoと基板2,3或いは配向膜6,7の屈折率ngとが一致している必要はない。入射する直線偏光の偏光方向に対して、安定状態の方向と非安定状態の方向との配向状態での屈折率差が生じるように構成されていれば良い。逆にいえば、入射する直線偏光の位置を中心軸とした場合にこの中心軸に対して対称となる位置に安定状態の方向と非安定状態の方向とが設置されていては、2方向間で切換えを行っても屈折率差が発生せず光路シフトの機能が得られないためである。
【0131】
ここで、液晶ダイレクタ方向の切換え角度αについ説明する。この切換え角度αは、図3に示すように、印加する電界強度と共に増加し、一定角度で飽和する傾向がある。図3ではコーン角が大きな液晶を用いて、液晶層9の厚みが異なる場合(3.0μmと1.4μm)を比較している。液晶層9が厚い場合(厚さ3.0μm)には比較的低電界で切換え角度が飽和するが、液晶層が薄い場合(厚さ1.4μm)には配向規制力の影響が大きくなるために飽和電界が大きく、切換え角度αが小さくなる。
【0132】
しかし、本実施の形態の光路偏向素子1では、図1(a)に示すように、液晶層9の厚みが薄くなると同時に透明電極膜4,5間の距離も小さくなるので、液晶層9が薄い部分には大きな電界強度が印加される。従って、実際には図4に示すように透明電極膜4,5間への印加電圧に対する切換え角度αの液晶層9の厚さによる差は少なくなる。図4に示す例では切換え角度αが飽和するような20〜30V程度の電圧を印加することが好ましい。この時、液晶層9の厚さによって切換え角度αの値が異なっているが、完全に一致している必要はなく、数度程度の違いならば実用上に問題は無い場合が多い。
【0133】
また、光路偏向素子1としての偏向角度を大きく得るためには基板2,3間の傾斜角度θが大きくなるので、液晶層9の厚い部分と薄い部分との差が大きくなる。一般に、傾斜領域11での液晶層9の厚みが大きくなると、液晶層9の中間部分では配向処理の規制力が弱まり、液晶分子8の配向欠陥が発生し易くなる。また、初期の配向状態は良好でも、継続的な使用には信頼性の低下が懸念される。しかしながら、本実施の形態の光路偏向素子1は、表面安定型強誘電性液晶セルのようにメモリ性を必ずしも必要とせず、常時電界を印加して配向状態を維持することができる。従って、表面安定型セルに比べて液晶層9を比較的厚く設定することができ、設計上、有利となる。
【0134】
また、光路偏向素子1として適切な液晶層9の厚みは使用する強誘電性液晶材料の螺旋ピッチなどの特性値によっても異なるが、0.5μm以上から20μm以下の範囲が好ましい。これ以上に厚い部分では液晶に白濁が発生する場合があり、これ以下に薄い部分では配向規制力が強すぎて切換え角度αが小さくなってしまう場合がある。さらに好ましくは、基板2,3間のギャップを形成し易い1μm以上で、キラルスメクチックC相の螺旋ピッチ以下の厚みにすることが好ましい。キラルスメクチックC相の螺旋ピッチ以下の厚みにすると表面安定化型の強誘電性液晶セルと同様になり、配向安定性の向上と応答速度の高速化が期待できる。
【0135】
ところで、単安定なホモジニアスの配列方向はどの方向でも良いが、安定した液晶分子8の動作をさせるためには、図5に示すように、液晶分子8の非安定状態の方向(又は、ラビング方向を破線で示す方向とした場合の安定状態の方向)が傾斜領域11内での安定な位置とされる傾斜方向に垂直な方向に配向処理をするのが好ましい。処理方向の設定は、用いる液晶材料のコーン角によって配向処理の方向が容易に決定できる。
【0136】
図5に示すように液晶分子8の非安定状態の方向(又は、安定状態の方向)が基板3の傾斜面10の傾斜方向に垂直な方向となるように形成した光路偏向素子1で、より効率の良い光偏向を行うためには、入射する直線偏光の方向が、ホモジニアス配向の安定状態の方向又は非安定状態の方向と一致するように設定することが好ましい。このような配置関係により、液晶分子8の長軸方向と直線偏光の偏光方向とを一致させることで、光利用効率が向上し、高効率な光路偏向素子1となる。
【0137】
もっとも、図1、図5に示した何れの構成の場合も、液晶分子8の長軸方向と入射光の偏光方向とが水平(平行)或いは垂直(直交)なる関係にない場合、即ち、液晶分子8のコーン角が90°ではなく、安定状態の方向と非安定状態の方向とに対して斜めに直線偏光が入射する条件では、偏向されないノイズ光成分が発生する。また、このようなノイズ光は偏光面が回転している。このようなノイズ光を除去するためには出射光側に偏光板15(図1又は図5参照)を設けることで、ノイズ光成分をカットする効果が得られ、確実に光路シフトを行うことができ、より高精度な光路偏向素子1となる。
【0138】
本発明の第二の実施の形態を図6及び図7に基づいて説明する。第一の実施の形態で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以降の各実施の形態でも同様とする)。
【0139】
前述の実施の形態では、光路偏向素子の原理的構成として、光路偏向機能を持たせる強誘電性液晶セルの配向処理方法や入射光の直線偏光の方向を中心に説明したが、本実施の形態では、さらに液晶分子8の長軸と短軸との屈折率差を効率良く利用できる高機能な光路偏向素子21として構成したものである。
【0140】
本実施の形態の光路偏向素子21においても、基本的には、図1等に示した液晶セル構成とされているが、基板2,3間にはほぼ直角のコーン角を持つ強誘電性液晶が図6に示すような安定状態の方向と非安定状態の方向との配列方向を取るように配向処理がなされ充填されている。図6は光路偏向素子21の液晶層9を入射光側から見た正面図である。入射する直線偏光の偏光方向は、単安定なホモジニアス配向における非安定状態の方向と一致するように設定されている。
【0141】
このような構成において、電圧印加手段13により透明電極膜4,5間に液晶分子8の長軸が非安定状態の方向を向くように電圧を印加して電界を作用させると、入射光は異常光屈折率neに応じた出射角で透過する。一方、電圧印加手段13による印加電圧の極性を反転させて、反転された電界を作用させ液晶分子8の長軸が安定状態の方向を向くようにした時、傾斜領域11に沿って傾斜した液晶分子8内を通過する直線偏光は常光屈折率noに応じた出射角で透過する。これらの出射角度の差が偏向角となる。この場合、液晶分子8の複屈折を最大限利用しているので、光利用効率が極めて向上し、高効率な光路偏向素子21となる。
【0142】
ここで、2方向(安定状態の方向と非安定状態の方向)の切換え角度αの許容範囲について説明する。液晶分子8の長軸と短軸との屈折率差を最大限に利用するためにはコーン角が直角(90°)の液晶を用いて配向方向の切換え角度αを90°にすることが好ましいが、実際には図2により前述したように液晶層9の厚みが薄い部分では切換え角度αは数度程度小さくなる場合がある。また、温度上昇と共に切換え角度αは小さくなる傾向がある。切換え角度αが90°よりも小さくなっていくと、偏向されない光の成分が発生してノイズ光となり、S/N比が低下する。このようなノイズ光は偏光面が回転するので、偏光板を透過する光量を測定することで、理想的な配向方向からのズレ角度とノイズ光量との関係を測定することができる。
【0143】
図7に直交した2枚の偏光板の間に上述したような単安定型のホメオトロピック配向した強誘電性液晶セルを挟み、液晶配向方向が一方の偏光板の偏光方向と一致した状態を0°として、そこからのズレ角に対する透過率の変化を示す。縦軸の値を100倍するとパーセント表示となる。透過率の増加は漏れ光、即ち、上述のノイズ光量に比例する。ここでは、液晶層9の厚みが3μmのセルを用いている。ズレ角が0°でもわずかに漏れ光が観測されるが、これは配向処理方向の不均一性や偏光板の特性によるものと考えられる。ズレ角が5°までは透過率は3パーセント以下で波長依存性も少なく、実用上問題ないと考えられる。ズレ角が10°になると10パーセント近いノイズ光が発生し無視できない。従って、ズレ角が5°以下、即ち、配向方向の切換え角度αが90±5°の範囲であれば実用上問題なく、本発明で言う直角の範囲に含まれる。なお、この90±5°という数値は直角の設計思想を表す一例に過ぎず、この数値に限定されない。
【0144】
また、本実施の形態の光路偏向素子21によれば、液晶層9内を通過した光の偏光回転が起こらないので、出射異常光を除去するための偏光板15を設けなくても良いという利点もある。
【0145】
また、本実施の形態にあっても、安定状態の方向と非安定状態の方向とは傾斜領域11に対してどの角度で配置されていても高効率な光路偏向素子21となり得るが、より安定に動作させるために、図5で説明した場合と同様に、液晶分子8の一方の配向方向(例えば、非安定状態の方向)が傾斜領域11内での安定な位置とされる傾斜方向に垂直な方向となるように配置することが好ましい。
【0146】
本発明の第三の実施の形態を図8に基づいて説明する。本実施の形態は、大面積対応の光路偏向素子31への適用例を示す。
【0147】
大面積対応の光路偏向素子を作製する場合でも基本的には前述した実施の形態の如く作製すればよいが、大面積化すればするほど、傾斜領域11の拡開側の液晶層厚が極めて厚くなってしまう。そこで、本実施の形態の光路偏向素子31では、対向する一対の基板2,3のうちの一方、ここでは、基板3の対向面側について断面鋸歯形状の周期構造32を形成し、傾斜領域11の傾斜面10をこの周期構造32をなす鋸歯形状の複数の斜辺32aにより分割形成するようにしたものである。即ち、傾斜領域11の傾斜面10は、周期構造32における鋸歯形状の複数の斜辺32aにより分割形成することにより、素子の厚みを制限した状態で巨視的に連続した傾斜面として形成されていることとなる。なお、図8では説明を簡略化するため、透明電極膜、配向膜等は省略してある。また、基板2,3の内面側には配向膜が、図8(b)に示す方向にラビング処理され液晶分子8の安定状態の方向が鋸歯形状の傾斜方向に対して垂直な方向に設定されている。また、液晶層9の厚みは最大部で20μm程度よりも薄くなるようにスペーサ12により制御されている。配向欠陥部分を生じないようにするためには、液晶層9の厚みの差が5μm以下になるような鋸歯形状の周期構造32に形成するのが好ましい。鋸歯形状の周期構造32を形成する方法としてはガラス基板をエッチングするか透明プラスチック材料を射出成形等により加工しても良い。このように鋸歯形状の周期構造32を利用して巨視的に連続した傾斜領域11を形成することで、大面積での光偏向が可能な光路偏向素子31となる。
【0148】
また、このような鋸歯形状の周期構造32を含む光路偏向素子31(光学素子)を製造する工程としては、後述するように、液晶の注入方向を鋸歯形状の周期構造32に沿うように設定して注入することにより、効率的に注入でき、注入時間の短縮化、無駄となる過剰液晶の少量化が可能となる。
【0149】
ここで、基本的な光偏向動作としては図2に示したように、液晶分子の屈折率を変化させ、傾斜界面における屈折により偏向がなされると前述したが、その他にも、周期構造による回折を利用して偏向動作をなすことが可能である。
【0150】
本実施の形態では基板3に周期的な鋸歯形状を有しているため、鋸歯周期構造32による回折を利用して偏向をなす場合もあり、図9に基づいて回折による光偏向動作について説明する。
【0151】
基本的には、屈折を利用した場合と同様にして、液晶分子の屈折率を変化させて偏向することができる。ただし、偏向角は鋸歯形状のピッチによって定まっており、偏向光(回折光)の効率はスカラ理論により、鋸歯形状の段差高さ、液晶層9の屈折率と鋸歯形状界面の屈折率差によって定まるものである。例えば、入射光の波長をλ、鋸歯形状のピッチをd、段差高さをhとし、液晶層9の平均的な屈折率をno又はne、鋸歯形状の屈折率をngとするとき、液晶層9の平均的な屈折率と鋸歯形状の屈折率が一致する(no=ng)場合、入射光は周期的な鋸歯形状がないものと感じ、図9(a)に示すように光は直進する。
【0152】
また、液晶層9の平均的な屈折率と鋸歯形状の屈折率が異なる(ne≠ng)場合、入射光は周期的な鋸歯形状を感じ、図9(b)に示すように光は回折により偏向する。その偏向角θはθ=sin−1(m・λ/d)となり、その効率ηはη=sinc2((h・Δn/λ)−m)となる。ここで、mは回折光の次数であり、所望の偏向角を得る次数に設定される。効率、設計面において1次回折光(m=1)を設定することが好ましい。Δnは鋸歯形状界面と液晶の屈折率差である。このようにして液晶の屈折率を変化させることで、回折の有無(回折の発生、未発生)により光偏向動作がなされる。
【0153】
この際、1次回折光の回折効率を高くするための鋸歯形状の段差高さhはΔnと設計波長λから
h=λ/Δn
で設定され、λ=400nm〜800nmの波長帯域、Δn=0.08〜0.4の範囲における1次光の回折効率光が高くなる最適高さhを図10に示す。従って、鋸歯形状の段差部高さを
1μm≦h≦10μm
の範囲に設定することで、1次回折光の回折効率を最も高く設定することができる。
【0154】
回折を利用した光偏向動作において、前述したように、液晶の屈折率と鋸歯形状の屈折率が完全に一致する(no=ng又はne=ng)場合、入射光は周期的な鋸歯形状がないものと感じ光は直進する(図9(a)参照)が、液晶の屈折率が鋸歯形状の屈折率に対して少しでもずれているときは、直進光と偏向光が発生する。この際の直進光と偏向光(1次回折光)の効率をスカラ理論により検討したところ、屈折率のずれが±10%のときは、直進光の効率は約60%であり、偏向光(1次回折光)の効率は約20%である。また、屈折率のずれが±7%のときは、直進光の効率は約80%であり、偏向光(1次回折光)の効率は約10%である。このようにして屈折率のずれから、直進光の効率低下、偏向光によるノイズ光発生の問題が生じるが、一般的に屈折率の波長分散等から、液晶の屈折率と鋸歯形状の屈折率を完全に一致させることは難しく、直進光モード(図9(a))をとる場合において、直進光と偏向光の効率から±7%のずれによるノイズ光は実用上問題ない場合が多い。
【0155】
一方、液晶の屈折率と鋸歯形状の屈折率が異なり、入射光が周期的な鋸歯形状を感じて、光を回折により偏向する偏向光モード(図9(b))となる場合において、入射する光の波長λの全部又は一部が、
0.8・Δn・h≦λ≦1.25・Δn・h
の範囲に設定されているとき、入射する光の波長をおよそ80%以上の効率で偏向させることができ、また、その際の直進光成分の効率はおよそ5%以下程度と少なく設定できる(スカラ理論検討値)。即ち、光を偏向させる際にノイズ光となる直進光成分を抑制することができ、この範囲についてもノイズ光(直進光)は実用上問題ない場合が多い。
【0156】
本発明の第四の実施の形態を図11に基づいて説明する。本実施の形態の光路偏向素子41は、入射光に対して出射光を平行シフトさせて出射させるように構成したものである。即ち、基板2,3間において、傾斜領域11は第1の傾斜領域42と第2の傾斜領域43とに分割され、透明な中間基板44によりこれらの傾斜領域42,43間が所定間隔に設定されている。ここに、これらの傾斜領域42,43は中間基板44側に各々第1,2の傾斜面45,46を有し、これらの傾斜面45,46同士が平行に対向配置するように設定されている。このような傾斜領域42,43中に液晶層47,48が形成されている。なお、この図11でも簡単化させるため、透明電極膜、配向膜、スペーサ、電源等は図示を省略してあり、また、液晶層47,48の単安定状態の配向状態等は前述の実施の形態で説明した場合と同様である。
【0157】
このような構成の光路偏向素子41によれば、第1の傾斜領域42の第1の傾斜面45で屈折された光が、一定間隔をおいて配設された第2の傾斜領域43に入射し、その第2の傾斜面46で再度屈折されるが、第1,2の傾斜面45,46は平行であるため、出射光は入射光と平行な状態で出射する。このようにして、光路を一方向に平行シフトさせることが可能になる。また、両傾斜領域42,43の間隔を中間基板44の厚みにより調整することで、平行シフト量を容易に調整することもできる。
【0158】
なお、図11に示した例では、2つの傾斜領域42,43に対して共通の中間基板44を用いているが、この中間基板44に代えて2枚の基板を用意して、第1,2の傾斜領域42,43を個別に有する2つの光路偏向素子として構成し、これらの2つの光路偏向素子を空間を介して所定間隔隔てて対向配置させるようにしてもよい。
【0159】
図12は図8に示したような鋸歯形状の周期構造32を利用する場合の平行シフト可能な光路偏向素子51の構成例を示す変形例である。即ち、基板2,3間において、傾斜領域11は第1の傾斜領域52と第2の傾斜領域53とに分割され、透明な中間基板54によりこれらの傾斜領域52,53間が所定間隔に設定されている。ここに、これらの傾斜領域52,53は基板2,3側に各々鋸歯形状の周期構造32の利用により巨視的に連続する第1,2の傾斜面55,56を有し、これらの傾斜面55,56同士が平行に対向配置するように設定されている。このような傾斜領域52,53中に液晶層57,58が形成されている。なお、この図10でも簡単化させるため、透明電極膜、配向膜、スペーサ、電源等は図示を省略してあり、また、液晶層57,58の単安定状態の配向状態等は前述の実施の形態で説明した場合と同様である。このように一対の鋸歯状基板2,3を対向配置することで、比較的広い面積で光路の平行シフトが可能になる。
【0160】
本発明の第五の実施の形態を図13に基づいて説明する。前述と同様にして、1つのみの光路偏向素子では1方向のみの光路偏向(光路シフト)しかできないので、本実施の形態では、2つの光路偏向素子61,62を組合せることにより、直交する2方向に光路偏向(光路シフト)させることができる光路偏向装置63への適用例を示す。
【0161】
即ち、図11等に示したような平行シフト可能な第1の光路偏向素子61と第2の光路偏向素子62とが同一光路上に設けられ、これらの光路偏向素子61,63間に偏光方向切換手段64を設けることにより光路偏向装置63が構成されている。ここに、入射光をY方向(上下方向)に平行シフトする第1の光路偏向素子61に対して、第2の光路偏向素子62はそれらの傾斜領域11の最大傾斜方向が互いに直交するように配置されて、入射する直線偏光をX方向(左右方向)に平行シフトするように設定されている。偏光方向切換手段64は第1の光路偏向素子61からの出射光の偏光方向を90°回転させて第2の光路偏向素子62に入射させる。
【0162】
よって、本実施の形態の光路偏向装置63によれば、光路をXYの2方向に平行シフトさせることが可能となる。
【0163】
また、光路をXYの2方向に平行シフトさせるには、光路偏向装置63において、偏光方向切換手段64を設けなくても実現できる。ただしこの場合、第1の光路偏向素子61、第2の光路偏向素子62へ印加する電圧の極性と偏向方向の対応を、各光路偏向素子への各々の制御系により設定する必要があるが、このような偏光方向切換手段64が必要ない構成は、光路偏向装置63に比べて簡単な構造となり、低コスト化にもつながる。一方、偏光方向切換手段64を設ける場合には、ノイズ光を抑制する効果、制御系を共通化できる効果があるため、光路をXYの2方向に平行シフトさせるには偏光方向切換手段64を設けることが好ましい。
【0164】
なお、ここでは平行シフトの例で説明したが、同様に、2つの角度偏向用の光路偏向装置(光路偏向素子)を組合せて2方向への角度偏向を行わせるように構成してもよい。
【0165】
図13では、第1の光路偏向素子61と偏光方向切換手段64と第2の光路偏向素子62とは間隔を空けて配置させた状態として模式的に図示しているが、実際には、各素子61,64,62が接して配置されることが好ましい。
【0166】
偏光方向切換手段64としては水晶や雲母からなる半波長板やツイストネマチック(TN)液晶セル、TN液晶ポリマーなどを用いることができる。例えば、半波長板の場合、極めて簡単に構成できる。また、TN液晶セルの場合、ガラス基板上に配向膜を形成した後、ラビングなどの配向処理を行い、配向方向が直交するようにセルを作成してネマチック液晶を注入して作製する。図14に示すように入射側基板71の配向方向が入射光の偏光方向と一致するように配置させることで、TN液晶セル72の液晶73、出射側基板74を透過した光は偏光方向が90°回転した出射光となる。この場合、TN液晶セル72を電界駆動する必要は無いので、透明電極は必要無く簡単な構成となる。また、光偏向素子の基板とTN液晶セル72の基板を共通化することで基板界面の数を減少させ、界面反射による光利用効率のロスを低減することもできる。
【0167】
本発明の第六の実施の形態を図15に基づいて説明する。本実施の形態は、ピクセルシフト方式の画像表示装置81への適用例を示す。図15において、82はLEDランプを2次元アレイ状に配列した照明装置用の光源であり、この光源82からスクリーン83に向けて発せられる光の進行方向には拡散板84、コンデンサレンズ85、画像表示素子としての透過型液晶パネル86、画像パターンを観察するための光学装置としての投射レンズ87とが順に配設されている。88は光源82に対する光源ドライブ部、89は透過型液晶パネル86に対する表示駆動手段としての液晶ドライブ部である。
【0168】
ここに、透過型液晶パネル86と投射レンズ87との間の光路上にはピクセルシフト素子として機能する光路偏向装置90の光路偏向素子91が介在されている。この光路偏向装置90は各実施の形態で前述したような光路偏向装置であり、電圧印加手段13がドライブ制御部92として接続されている。
【0169】
光源ドライブ部88で制御されて光源82から放出された照明光は、拡散板84により均一化された照明光となり、コンデンサレンズ85により液晶ドライブ部89で照明光源と同期して制御されて透過型液晶パネル86をクリティカル照明する。この透過型液晶パネル86で空間光変調された照明光は、画像光として光路偏向装置90に入射し、この光路偏向装置90によって画像光が画素の配列方向に任意の距離だけシフトされる。この光は投射レンズ87で拡大されスクリーン83上に投射される。
【0170】
ここに、光路偏向装置90により画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎の光路の偏向に応じて表示位置がずれている状態の画像パターンを表示させることで、透過型液晶パネル86の見掛け上の画素数を増倍して表示する。このように光路偏向装置90によるシフト量は透過型液晶パネル86の画素の配列方向に対して2倍の画像増倍を行うことから、画素ピッチの1/2に設定される。シフト量に応じて透過型液晶パネル86を駆動する画像信号をシフト量分だけ補正することで、見掛け上高精細な画像を表示することができる。この際、光路偏向装置90ないしは光路偏向素子91として、前述した各実施の形態のような光路偏向装置ないしは光路偏向素子を用いているので、液晶の配向不良による画像劣化を生ずることなく、光の利用効率を向上させ、光源の負荷を増加することなく観察者により明るく高品質の画像を提供できる。
【0171】
なお、画像表示装置93としては画像表示素子に透過型液晶パネル86を用いるタイプに限らず、例えば、図16に示すように反射型液晶パネル94を用いるタイプにも同様に適用できる。この場合、図15に示した画像表示装置81に比較して偏光ビームスプリッタ(PBS)95が付加され、照明系からの光はPBS95により反射型液晶パネル94側に折り返され、光路偏向装置90を介して反射型液晶パネル94に照射される。この反射型液晶パネル94に入射した照明光は、液晶パネル背面に配した反射板(図示せず)によって反射されながら画像に対応した空間変調を受け画像光として出射する。その後、光路偏向装置90に入射し、この光路偏向装置90によって画像光が画素の配列方向に所定距離だけシフトされる。その後の経路は図15に示した透過型液晶パネル86の場合と同様である。
【0172】
なお、ここでは平行シフトの例で説明したが、同様に、2つの角度偏向用の光路偏向装置(光路偏向素子31)を組合せて2方向への角度偏向を行わせるように構成してもよい。
【0173】
2つの角度偏向用の光路偏向装置(光路偏向素子31)を組合せて2方向への角度偏向を行わせる場合には、平行シフトにおける対向鋸歯基板、中間基板が不要となるため、比較的簡単な構造で作製することができる。ただし、光路シフト量は画像表示素子と光路偏向素子31との間の光路長Lによって、設定されるため、光路偏向素子31をなす鋸歯形状のピッチd
0.9・(2・λ・L/X)<d<1.1・(2・λ・L/X)
の範囲に設定することで、画像表示素子の画素ピッチXの半分X/2の光路を±10%より小さいずれでシフトすることができる。λは入射する光の全部又は一部の波長である。シフト量のずれはコントラストの低下を発生するものであるが、±10%より小さいずれであれば、コントラストの低下は実用上問題ない程度の場合が多い。
【0174】
ここで、ピクセルシフト方式の画像表示装置81又は93への別の適応例について説明する。画像表示装置81の基本的な構成は図15又は図16と同様であるが、光路偏向装置90ないし光路偏向装置91について、どちらか一方の光路偏向装置90又は91のみ配置すればよい。この光路偏向装置の配置は、画像表示素子86又は94の画素配列方向に大きく関係し、画素配列方向に対して、光路が斜め方向にシフトするように配置される。即ち、図17に示すように、光路偏向素子31における鋸歯形状の稜線方向が画像表示素子86又は94の画素配列方向に対して45°斜めの方向に向くように配置される。
【0175】
ここで、本説明では鋸歯形状についてのみ記載したが、傾斜領域のみを有する場合に関しても同様にして、画素配列方向に対して、光路が斜め方向にシフトするように配置されていればよく、斜め方向の角度は画素の配列により適宜設定される。図18に画素を斜め方向にシフトした場合(シフトなしの表示画素→斜めシフト時の表示画素)の表示画素例を示す。これは、光路偏向素子31を2つ用いて、XYの2方向に画素シフトした場合の表示画像と同様の高い解像度が得られていることが分かる。即ち、画像表示素子86又は94の画素配列方向に対して斜め方向に光路をシフトするように、1つの光路偏向装置90又は91を配置する非常に簡単な構成で、高精細画像を表示することができる。
【0176】
この斜め方向の光路シフトにおいても、前述したように角度偏向用の光路偏向装置(光路偏向素子31)を用いて角度偏向を行わせる場合には、平行シフトにおける対向鋸歯基板、中間基板が不要となるため、更に簡単な構成で高精細画像表示装置を作製することができる。このときの光路偏向素子31をなす鋸歯形状のピッチdはコントラスト等の面から、
0.9・(2√2・λ・L/X)<d<1.1・(2√2・λ・L/X)
の範囲に設定する必要がある。前式の範囲については、画素配列に対して斜めシフトを有さない、前述の角度偏向に記載した場合と同様のため省略する。
【0177】
本発明の第七の実施の形態を図19に基づいて説明する。本実施の形態は、光書込み装置111への適用例を示す。本実施の形態の光書込み装置111は、図19に示すように複数個の発光体(発光部)112を予め決められた画素ピッチ(発光体ピッチ)で配列させた発光体アレイ113と、発光体112が放射した光を記録体114上に集束させるレンズ(図示せず)と、発光体112から放射された光を発光体112の配列方向に電気的にシフト可能な光路シフト手段115と、により構成されている。光路シフト手段115としては前述した実施の形態の場合のような平行シフト可能な光路偏向素子31を用いることができ、本実施の形態の光書込み装置111は、光路偏向素子31を電界駆動制御することにより発光体112から放射された光をシフトさせ、これによって画素ピッチ間が補完された光照射を記録体114に対して行なうことができる。
【0178】
ここで、光路シフト手段115は、発光体アレイ113から記録体114に向かう光路上に配置されている。このような本実施の形態の光書込み装置111では、発光体アレイ113に所定のピッチで配列された発光体112が画像信号に応じて駆動され、発光体112から光が放射される。各発光体112から放射された光は、レンズ(図示せず)及び光路シフト手段115を透過して記録体114上に集束され、これによって、記録体114に画素が露光される。そこで、記録体114が発光体アレイ113に対して相対的に移動することで、2次元の画像情報が記録体114上に露光される。
【0179】
この際、光路シフト手段115は、発光体112の配列方向に光路をシフトさせる。そこで、発光体112の配列ピッチがPμmであるとすると、光路シフト手段115によって光路を発光体112の配列方向にP/2μm高速にシフトすることで、画素間を補間した2倍の画素密度の露光が可能となる。
【0180】
ここで、発光体112としては、LED(発光ダイオード)、レーザダイオード(半導体レーザ)、光源と液晶シャッタを組み合わせたもの、光源とマイクロミラーを組み合わせたものなどを用いることができる。記録体114上での高精細な画素露光を行なうためには、発光体112の面積が小さく、発光体112から放射される光の指向性が高いことが好ましい。また、発光体112から放射される光の波長は、発光材料やフィルタの特性より設計可能であり、露光される記録体114の分光感度に応じて適宜設定される。これらの発光体112を1次元或いは2次元状に複数個配列して発光体アレイ113とする。
【0181】
また、発光体アレイ113に近接させて、各発光体112からの放射光を集光して発光スポットの輝度分布を変化させ、記録体114上での露光スポット形状を制御するためのマイクロレンズアレイを設けても良い。また、このマイクロレンズアレイとして液晶マイクロレンズアレイを用い、電界による可変焦点機能により記録体上での露光スポットサイズを可変としても良い。
【0182】
発光体112が放射した光を記録体114上に集束させるレンズとしては、球面レンズ、非球面レンズ、屈折率分布型レンズアレイなどを用いることができるが、光学系の小型化のためには物体像面間距離が短くできる屈折率分布型レンズアレイ(セルフォックレンズアレイ)が好ましい。
【0183】
また、このレンズの一部に液晶層を設けて液晶レンズとし、電界による可変焦点機能により記録体上での露光スポットサイズを可変としても良い。
【0184】
本発明の第八の実施の形態を図20及び図21に基づいて説明する。本実施の形態は、光路偏向装置121への適用例を示す。本実施の形態の光路偏向装置121の基本的な構成は図8に示した光路偏向素子31の場合と同様であるが、基板2,3の内面に形成されている透明電極122,123が図20に示すように、鋸歯形状ピッチに対応した複数のライン状の電極として分割されて形成されている。分割ライン電極は鋸歯基板3側のみに形成し(即ち、透明電極123のみ)、対向基板(平滑基板)2側は透明電極122全面ベタ電極でもよいが、対向基板2に対しても鋸歯形状ピッチに対応した分割ライン電極を設けることが好ましい。分割ライン電極の分割数、ピッチ、幅は鋸歯形状の本数、ピッチ、幅によって適宜設定される。また、分割ライン電極(透明電極123)の各電極毎に各々可変抵抗素子VRを個別に設けて電界印加手段なる電源124に接続することで、各分割ライン電極の電界強度を設定することが可能となる。ここで、簡略化のため配向膜は省略している。
【0185】
ここで、本実施の形態の光路偏向動作について説明する。まず、図21(a)に示すように、光路偏向装置121へ入射する光の幅が、鋸歯形状の幅より小さい場合、光路偏向動作は図2に示した場合のように屈折によってなされる。このような光偏向動作において、鋸歯形状の幅より小さい幅の複数光が各鋸歯形状へ入射する場合には、各電極に設けられている可変抵抗素子VRの抵抗値を各々設定することで、各鋸歯形状へ入射する光に対して偏向動作をなすことができる。
即ち、複数の入射光の各々の光路を偏向することができる。
【0186】
また、図21(b)に示すように、光路偏向装置121へ入射する光の幅が鋸歯形状の幅より大きな場合、光路偏向動作は図9に示すように回折によってなされる。このような光偏向動作において、分割ライン電極の各電極に設けられている可変抵抗素子VRの抵抗値を設定することで、鋸歯形状とは異なる周期構造を形成することができ、この新たな周期構造によって光路を偏向することができる。即ち、分割ライン電極に設けられている可変抵抗素子VRの抵抗値を設定することで、偏向角を設定することができる。
【0187】
本発明の第九の実施の形態を図22ないし図24について説明する。本実施の形態は、光インターコネクション装置131への適用例を示す。本実施の形態の光インターコネクション装置131は図22のように光ビームアレイを発生する光源アレイ132と、光ビームアレイを集光させるレンズアレイ133と、光ビームアレイを受光するレンズアレイ134付きの光ディテクタアレイ135とを備えており、光源アレイ132と光ディテクタアレイ134との間に図20に示したような光路偏向装置136▲1▼▲2▼…が多段に配置されているものである。
【0188】
ここで、光源アレイ131の光源132aはLED、レーザダイオード、面発光レーザ等を用いることができ、集光用レンズアレイ133は球面レンズ、非球面レンズ、屈折率分布型レンズアレイなどを用いることができる。また、このレンズの一部に液晶層を設けて液晶レンズとし、電界による可変焦点機能によりスポットサイズを可変としても良い。光ディテクタとしてはフォトダイオード等を用いることができる。
【0189】
ここで、多段に配置された複数の光路偏向装置136▲1▼▲2▼…を選択的に駆動することで、光ビームは任意の位置へ出力可能となる。例えば、図23に示すように光路偏向装置136▲1▼▲2▼▲3▼を多段に配置し、入力光を出力位置2に出力する場合、光路偏向装置136▲1▼をONにし、光路偏向装置136▲2▼はON、光路偏向装置136▲3▼をOFFにすることで出力位置2に出力することができる。(出力位置2に出力するために駆動する光偏向素子の選択は他にもある。例えば、光路偏向装置136▲1▼をOFFにし、光路偏向装置136▲2▼はON、光路偏向装置136▲3▼をONなど)このようにして光路偏向装置136▲1▼▲2▼▲3▼を選択的に駆動することで、入力光は任意の位置へ出力可能になる。
【0190】
また、光路の偏向方向がXYの2方向となるように多段配置することで、2次元方向における光配線をなすことが可能となり、ボード間における光インターコネクション等に適応することができる。
【0191】
ボード間光インターコネクション装置141は図24に示すように、ボード142とボード143がバックプレーン基板144上のスロット145、スロット146に各々差し込まれて固定されている。ここで、光源アレイ132としては面発光レーザアレイ147が用いられおり、ボード142上のLSIによって電気的に処理された結果は、各レーザを高速に変調することにより光に変換される。ここで、位置精度を確保するため、位置検出用の面発光レーザを設けておくことが好ましい。
【0192】
面発光レーザアレイ147からの光は集光作用を有するマイクロレンズアレイ(図示せず)を介して、光路偏向装置148(136に相当する)に入力される。面発光レーザアレイ147からの光の偏光は一定方向であり、XYの2方向の偏向をなすように多段に配置された光路偏向装置148を電気的に駆動制御することで、XY2方向の光路偏向が自由に設定できる。
【0193】
偏向された光はフォトダイオードアレイ149からなる光ディテクタアレイ135により検出され、光信号を電気信号に変換し、ボード143上のLSIに送られる。ここで、光ディテクタアレイ135には位置検出用の面発光レーザから送られたビームを常に検出しているビーム位置検出用光ディテクタを設けていることが好ましく、この位置検出用光ディテクタの出力が最大になるように光路偏向装置148を制御することで、光ビームアレイ全体の位置を正確に制御できる。
【0194】
本実施の形態に用いる光路偏向装置148の応答性は数μsecと非常に高速応答可能であるため、光配線における従来技術に比べて、伝搬損失が非常に少ないといった利点がある。
【0195】
【実施例】
[実施例1]
図25に示すように、大きさ3cm×3cm、厚さ3mmの2枚のITO(透明電極膜)付きガラス基板101,102を洗浄し、ポリイミド配向剤AL3046(配向膜)を約800Åの厚さに塗布した。その基板101,102の表面を図25(a)(b)(c)に示すような3種類の方向に上下基板の配向処理方向が同一方向となるようにラビング配向処理を行った。次に、基板101,102の一部に37μmの厚さのスペーサ103を入れて貼り合わせて基板101,102間の傾斜角が0.2°の傾斜領域を持つクサビ型の液晶セルを3種類作製した。基板101,102を90℃に加熱した状態で2枚の基板101,102間にコーン角が約90°の強誘電性液晶(クラリアント製R5002)を毛管法で注入した。徐冷過程において、70℃から55℃の範囲で40Vの直流電圧を印加し均一配向を行った。接着剤で封止して配向状態を偏光顕微鏡で観察したところ、液晶層厚が6μm以下の部分では、均一な配向が得られていた。
【0196】
図25(a)(b)(c)の如くラビング方向が異なる3種類のセルに40Vの電圧を印加してコーン角の角度を測定した。測定方向は安定状態の方向と非安定状態の方向とを印加電圧の極性を変えてスイッチングして、クロスニコル間で透過率が最小となる2方向の角度を求めた。3種類の液晶セル共、安定状態の方向はほぼラビング方向に向かい、非安定状態の方向は安定状態の方向から90°の位置にあり、強誘電性液晶のクサビセルにおいてもラビング方向に依存した単安定な単一ドメインの綺麗な配向が得られたものである。
【0197】
[比較例1]
実施例1において冷却時に直流電圧を加えない以外は全く同様な処理により液晶の配向処理を行った場合、単一ドメインの均一配向が全く得られなかったものである。
【0198】
[実施例2]
実施例1で作製したラビング方向が図25(a)のセルの液晶層厚が2.5μmの部分に、レーザ光を入射し、±40Vの印加電圧で液晶分子のスイッチングを行って出射側のCCD面でのシフト量を測定した。入射光(直線偏光)の偏光方向を安定状態の方向と非安定状態の方向とのなす角を2等分する方向に配置したところ、光路はシフトされなかった。しかし、入射光の偏光方向を2等分する位置から30°の位置にずらして非対称としたところ。1mの距離で約0.5mmの光路シフトが得られた。但し、光路の2個所のシフト位置に残像のようなノイズ光成分があり、コントラストは比較的小さかったものである。
【0199】
[実施例3]
実施例1で作製したラビング方向が図25(b)(c)のセルの液晶層厚が2.5μmの部分に、レーザ光を入射し、±40Vの印加電圧で液晶分子のスイッチングを行って出射側のCCD面でのシフト量を測定した。入射光(直線偏光)の偏光方向は液晶分子の安定状態の方向と一致させて設定した。何れのセルでも1mの距離で約0.8mmの比較的大きな光路シフトが確認できた。但し、光路の2個所のシフト位置の一方に残像のようなノイズ光成分があり、コントラストは比較的小さかったものである。
【0200】
[実施例4]
実施例3と同様の構成で、出射側に偏光板を設置した。光路シフト量は実施例3の場合と変化がなかったが、ノイズ光成分が除去され、コントラストが向上した。但し、偏光板の設置により光量が僅かに減少した。
【0201】
[実施例5]
大きさ3cm×3cm、厚さ1mmの石英ガラス基板をドライエッチングして、傾き角が約0.5°、ピッチ100μmの鋸歯形状の周期構造を1cm×1cmの面積に形成した後、鋸歯形状面にITO(透明電極膜)を2000Åの厚さにスパッタした。次に、ポリイミド配向剤AL3046(配向膜)を約800Åの厚さに塗布し、その基板表面を、ホモジニアス方向の安定状態の方向が傾斜領域の傾斜方向に垂直な方向になるような条件でラビング法により配向処理を行った。平滑な面のITO付きガラス基板を対向基板として、液晶層厚の小さい部分が1.5μmになるようにビーズを混入した接着剤を用いて貼り合わせた。基板を90℃に加熱した状態で2枚の基板間に強誘電性液晶(クラリアント製R5002)を毛管法で注入方向が図26に示すように周期構造をなす鋸歯形状に沿うように設定して注入し、70℃から55℃までを20V/μmの直流電圧を印加した状態で冷却後に封止した。配向状態を観察したところ、鋸歯形状の1cm×1cmの部分はほぼ均一な配向状態であった。
【0202】
この液晶セルに、レーザ光を入射し±40Vの印加電圧で液晶分子のスイッチングを行って出射側のCCD面でのシフト量を測定した。入射光の偏光方向は鋸歯形状の傾斜方向に垂直な方向にした。鋸歯形状部分を対角に5点測定したところ、光路シフト量は全ての点で0.8mmであった。広い範囲で均一な光路シフト量が得られた。
【0203】
[比較例2]
実施例5において、液晶の注入方向を図27に示すように鋸歯形状の周期構造に対して垂直となるように設定して注入を行いそれ以外は同様に素子を作製した。
この場合には液晶の注入時間が2倍以上かかり、さらに注入ムラが発生し均一な配向ができなかったものである。
【0204】
[実施例6]
実施例5と同様の方法で、傾き角が約0.2°、ピッチ1mmの鋸歯形状の周期構造を形成し、厚さ3mmの中間基板を用いて、図12に示すような液晶セルを作製した。この液晶セルに波長633nmのレーザ光を入射し、両鋸歯形状に同じ極性、同じ大きさの電圧を印加して液晶分子のスイッチングを行った。シフト量は出射側に設けた高解像度CCDカメラにより観測し、その結果は測定距離30cmにおいて約20μmであった。また、測定距離を50cm、1mと変化させてシフト量を測定したところ、光路シフト量は共に約20μmであり、セル出射後(通過)におけるシフト量は常に一定であった。
【0205】
[実施例7]
実施例6で作製した液晶セルと同様のものをもう1つ作製し、2つの液晶セルの鋸歯形状の稜線方向が直交するように各々のセルの方向を調整して配置した。この液晶セルにレーザ光を入射し、各々のセルに電圧を印加して液晶のスイッチングを行ったところ、一方のセルのみ駆動させたときは横方向のシフト動作が確認でき、もう一方のセルのみ駆動させたときは縦方向のシフト動作が確認できた。そこで、2つのセルを同じタイミングで駆動し、CCDにより出射ビームを観察したところ、ビームは各シフト位置の4個所で確認された。このとき、駆動電圧の極性は2つのセルでは異なるように印加し、駆動周波数は100Hzとした。
また、観察されたビームは少しボケていた。
【0206】
[実施例8]
実施例7と同様配置された2つの液晶セル間に、マイカからなるλ/2板を配置して2つの液晶セルを駆動したところ、実施例7と同様にして縦横2方向のシフト動作が確認できた。このときの、駆動電圧の極性は2つのセルで同じになるように印加し、駆動周波数は100Hzとした。CCDにより観察された4箇所のビームは、λ/2板を配置しない場合に比べてボケが少なかった。
【0207】
[実施例9]
実施例5と同様の方法で、傾き角が約0.2°、ピッチ1mmの鋸歯形状の周期構造を形成し、液晶セルを作製した。この際、ITO透明電極は各鋸歯形状に対応させて図23のようにライン状に形成し、各鋸歯形状に対応している可変抵抗素子を設けた。この液晶セルに波長633nmのレーザ光を入射し、各鋸歯形状の各々に電圧を印加して液晶分子のスイッチングを行い、出射側のCCD面でのシフト量を測定した。
【0208】
まず、入射レーザ光を複数本とし、各鋸歯形状に対応させた位置に入射させた。ここで、シフトさせたい光に対応する鋸歯形状へ電圧が印加されるように、可変抵抗素子の値を設定したところ所望の光のみをシフトすることができた。このときの光路シフト量は1mの距離で約0.7mmであり、屈折による計算値とほぼ一致した。
【0209】
次に、入射レーザ光を一本とし、そのビーム径をビームエキスパンダにより10mmに拡大した。そこで、各鋸歯形状全てに±40Vの電圧が印加されるように、可変抵抗素子の値を設定したところ光路シフトが確認された。このときの光路シフト量は1mの距離で約0.6mmであり、回折の1次回折光による計算値とほぼ一致した。また、各鋸歯形状への電圧のかけ方が周期的になるように、可変抵抗素子の値を設定した。具体的には、各鋸歯形状〔鋸歯1/鋸歯2/鋸歯3/鋸歯4/鋸歯5/鋸歯6/…〕に対応して、印加電圧が〔印加/印加/無印加/無印加/印加/印加/…〕となるように設定した。このときの光路シフト量は1mの距離で約0.3mmであり、新たな周期構造によりシフトが確認された。
【0210】
[実施例10]
従来の画像表示装置に組み込まれるピクセルシフト素子用の光路偏向手段の例(特許文献5)の場合、光路偏向手段としての光学素子は水平・垂直方向に各2位置、合計4位置の光シフトを行うための素子であり(2次元の4点絵素ずらし)、強誘電液晶等よりなる結晶位相変調素子と電気光学素子等よりなる複屈折媒体との組合せが水平・垂直方向用に各2組で構成される。従来のこの光学素子を用いた画像表示装置では、この光学素子が
▲1▼ 結晶位相変調素子と複屈折媒体との組合せで光偏向を達成しているため、この界面での光損失がある
▲2▼ 同様に、界面での光散乱によりコントラストが低下しやすい
▲3▼ 複屈折媒体用の電気光学素子が高価であるためコストが高い
などの問題のため、必ずしも得られる画像品質が良好なものではなく、装置コストも大幅に増加する傾向にあった。そこで、本実施例として、図15に示したような画像表示装置81を作製したところ、本実施例の光路偏向装置90のような構成の場合、各実施の形態で前述した通り、これらの要因を排除できるため、画像品質が良好であり、コスト的にも有利となったものである。
【0211】
[実施例11]
図22のような光書込み装置を作製した。発光体はLEDをアレイ状にしたものであり、画素ピッチは40μmとした。次に、実施例6と同様にして作製した液晶セルを光路偏向素子として設置し、記録体上に集束させるためにマイクロレンズアレイ(図示せず)を設置した。このような構成の光書込み装置を用いて、記録体に画像を露光した。まず、光路偏向素子を駆動せずに露光した画像は発光体アレイの画素ピッチと同様のピッチであった。次に、光路偏向素子を駆動して露光したところ記録された画像は発光体アレイの画素ピッチより細かくなっており、高精細なものであった。
【0212】
[実施例12]
図24に示すようなボード間光インターコネクション装置を作製した。ボード間距離は約30mm、レーザレイ及びディテクタのピッチは250μmとしている。ここで、光路偏向素子は鋸歯形状を対向配置した構成のものを5段重ねて配置した。鋸歯形状の作製はニッケルからなる金駒に切削工程で作製し、この金駒にフォトポリマー樹脂を滴下し、UV照射をして鋸歯形状基板(ピッチが約10μm、傾き角が約22°)を作製した。他の作製工程については、前述した実施例とほぼ同様である。5段配列した光路偏向素子の駆動を各々設定することで、ボード間の光配線が実現できた。本実施例では、従来数msec〜数sec有していた応答時間が数100μsec程度に短縮することができた。
【0213】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の光路偏向素子によれば、透明な一対の基板間に傾斜角を持たせて傾斜領域を形成し、この傾斜領域にキラルスメクチックC相よりなる液晶層を充填する構成下に、このキラルスメクチックC相よりなる液晶を安定状態の方向と非安定状態の方向とが存在する単安定状態に配向させたので、双安定状態に配向させる場合に比べて極めて容易に均一配向させることができ、よって、素子製造時の歩留まりも改善することができる。
【0214】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の光路偏向素子において、コーン角の大きなものが存在するスメクチックA相を通らない相転移系列の液晶材料により液晶層が形成され、温度依存性が少ないため、偏向特性に関して温度依存性の少ない光路偏向素子を提供することができる。
【0215】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の光路偏向素子において、透明電極膜間に印加する電圧の極性を反転切換えすることにより、安定状態の方向と非安定状態の方向とにスイッチングさせて偏向を行わせることができる。
【0216】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3の何れか一記載の光路偏向素子において、ホモジニアス配向の一方の配向方向(安定状態の方向と非安定状態の方向との何れか)を、傾斜領域の傾斜方向に垂直な方向に一致させたので、スイッチング時の液晶分子の配向状態の安定性を一層向上させることができ、動作の信頼性を向上させることができる。
【0217】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一記載の光路偏向素子において、傾斜領域の傾斜面を、一方の基板の対向面側に形成された断面鋸歯形状の周期構造における鋸歯形状の複数の斜辺により分割形成したので、素子の厚みを制限した状態で巨視的に連続した傾斜領域の形成が可能となり、大面積での光路シフトが可能な光路偏向素子を提供することができる。
【0218】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし5の何れか一記載の光路偏向素子において、液晶層に入射する直線偏光の偏光方向に対して単安定状態における安定状態の方向と非安定状態の方向とを非対称としたので、両方向間に屈折率変化を生じさせることができ、キラルスメクチックC相を利用した高速応答が可能な光路偏向機能を得ることができる。
【0219】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし6の何れか一記載の光路偏向素子において、液晶層に入射する直線偏光の偏光方向を、液晶層の単安定状態における安定状態の方向と非安定状態の方向との何れかの方向に一致するように設定したので、光の利用効率を向上させることができ、効率のよい光路偏向素子を提供することができる。
【0220】
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし7の何れか一記載の光路偏向素子において、当該素子の出射側に偏光板を備えるので、偏向量が異なり、偏光方向も揃っていない光成分であるノイズ光を出射させないように偏光板によって除去させることができ、光路偏向動作におけるコントラストを向上させることができる。
【0221】
請求項9記載の発明によれば、請求項1ないし6の何れか一記載の光路偏向素子において、ホモジニアス配向における安定状態の方向と非安定状態の方向との2方向間の角度を直角(厳密に直角である必要はない)とし、入射する直線偏光の方向が、ホモジニアス配向における2方向のうちの一方の方向と平行となるように設定したので、入射する偏光方向が液晶分子の長軸又は短軸の方向と一致するため、より効率の良い光偏向を行わせることができる。
【0222】
請求項10記載の発明によれば、請求項5記載の光路偏向素子において、基板に形成される鋸歯形状、入射光の主となる波長、液晶層の屈折率から回折現象を利用して光路偏向をなす場合、基板に形成される鋸歯形状の段差部高さhを1μm≦h≦10μmの範囲に設定しているので、1次回折光の効率が最も高く設定できるため、最も効率のよい光偏向を実現することができる。
【0223】
請求項11記載の発明によれば、請求項10記載の光路偏向素子において、基板に形成される鋸歯形状、入射光の主となる波長、液晶層の屈折率から回折現象を利用して光路偏向をなす場合、液晶の屈折率no(又は、ne)が鋸歯形状の屈折率ngに対して±7%の範囲に設定されているので、光を直進させる際にノイズ光となる偏向光成分を抑制することができる。
【0224】
請求項12記載の発明によれば、請求項10又は11記載の光路偏向素子において、基板に形成される鋸歯形状、入射光の主となる波長、液晶層の屈折率から回折現象を利用して光路偏向をなす場合、基板に形成される鋸歯形状領域の屈折率ngと液晶層の屈折率no(又は、ne)との差の絶対値Δn=|ng−no(又は、ng−ne)|と、前記基板に形成される鋸歯形状領域の段差部高さhと、入射する光の波長λの少なくとも一部が、0.8・Δn・h≦λ≦1.25・Δn・hの範囲に設定されているので、光を偏向させる際にノイズ光となる直進光成分を抑制することができる。
【0225】
請求項13記載の発明によれば、請求項1ないし12の何れか一記載の光路偏向素子において、1つの傾斜領域のみでは光路偏向としてその出射角度しか変えることができないが、第1の傾斜領域と第2の傾斜領域とに分割してその第1の傾斜面と第2の傾斜面とを平行に対向配置させたので、光路偏向として光路の平行シフトを行わせることができる。
【0226】
請求項14記載の発明によれば、第1の傾斜領域と第2の傾斜領域とを所定間隔隔てる透明な中間基板を備えるので、請求項13記載の光路偏向素子を容易に実現することができ、かつ、この中間基板の厚さに応じて平行シフト量の調整も可能となる。
【0227】
請求項15記載の発明の光路偏向装置によれば、配向特性の安定した光路偏向素子の透明電極膜間に印加する電圧の極性を電圧印加手段により反転切換えすることにより、安定状態の方向と非安定状態の方向とにスイッチングさせて、入射光に対して確実に光路偏向を行わせることができる。
【0228】
請求項16記載の発明の光路偏向装置によれば、1方向への光路偏向が可能な光路偏向素子を2枚組合せ、両者の光路偏向方向を直交させて配置し、2次元方向への光路偏向(角度偏向或いは平行シフト)を簡単な構成で実現することができる。
【0229】
請求項17記載の発明の光路偏向装置によれば、1方向への光路偏向が可能な光路偏向素子を2枚組合せ、両者の光路偏向方向を直交させて配置し、入射側の第1の光路偏向素子から出射した光の偏光方向を偏光方向切換手段により90°回転させて、第2の光路偏向素子に入射させることで、確実に2次元方向への光路偏向(角度偏向或いは平行シフト)を行わせることができる。
【0230】
請求項18記載の発明によれば、請求項16又は17記載の光路偏向装置を実現する上で、第1,2の光路偏向素子の傾斜領域の最大傾斜方向を90°回転させて配置させることにより、光路偏向方向が直交する配置が可能となる。
【0231】
請求項19記載の発明によれば、偏光方向切換手段として水晶や雲母からなる半波長板を用いることにより、請求項17記載の光路偏向装置を容易に実現することができる。
【0232】
請求項20記載の発明によれば、偏光方向切換手段としてツイストネマチック型液晶セルを用い、その入射側基板の配向方向が入射光の偏光方向と一致するように配置させれば、ツイストネマチック型液晶セルを透過した光は偏光方向が90°回転して出射するので、ツイストネマチック型液晶セルを電界駆動させることなく請求項17記載の光路偏向装置を容易に実現することができる。
【0233】
請求項21記載の発明の画像表示装置によれば、いわゆるピクセルシフトデバイスとして請求項15ないし20の何れか一記載の光路偏向可能な光路偏向装置を用いているので、投射光路をサブフィールド画像に対応して高速に偏向させることができ、見掛け上、高精細な画像表示が可能となり、この際、配向不良に基づく画像劣化も回避することができる。
【0235】
請求項22記載の発明の画像表示装置によれば、ピクセルシフトデバイスとして請求項15記載の光路偏向可能な光路偏向装置を用い、光路偏向素子の鋸歯形状の稜線が画像表示素子の画素の配列方向に対して斜め(45°)に傾いた方向としているので、投射光路をサブフィールド画像に対応して高速かつ画素配列に対して斜めに偏向させることができ、見掛け上、高精細な画像表示が可能となる。この斜め方向への偏向は1つの光路偏向装置で、2つの光路偏向装置を用いた場合と同様の高解像度表示が実現できる。
【0237】
請求項23記載の発明の光書込み装置によれば、発光体アレイの配列方向へ光路をシフトするような構成としているので、画素ピッチ間が補完された光を、記録体に照射でき、高解像度の画像露光ができる。また、低電界駆動、応答速度が速くなる。
【0238】
請求項24記載の発明の光路偏向装置によれば、透明電極を鋸歯形状ピッチに対応するように、ライン状に分割するので、各鋸歯形状への入射光の方向を各々偏向することがきる。また、電界を周期的に印加することで、光路の偏向方向を新たに設定することができ、入射光の本数や幅等に対応して光路を偏向することができる。
【0239】
請求項25記載の発明の光インターコネクション装置によれば、複数ビームに対応した光路偏向をなす請求項24記載の光路偏向装置を多段に用いているので、2次元方向において高速応答な光配線が実現できる。
【0240】
請求項26記載の発明の光学素子によれば、透明な一対の基板間に傾斜角を持たせて傾斜領域を形成し、この傾斜領域にキラルスメクチックC相よりなる液晶層を充填する構成下に、このキラルスメクチックC相よりなる液晶を安定状態の方向と非安定状態の方向とが存在する単安定状態に配向させたので、双安定状態に配向させる場合に比べて極めて容易に均一配向させることができ、素子製造時の歩留まりも改善することができる。
【0241】
請求項27記載の発明によれば、請求項26記載の光学素子において、コーン角の大きなものが存在するスメクチックA相を通らない相転移系列の液晶材料により液晶層を形成することで、温度依存性が少ないため、温度依存性の少ない光学素子を提供することができる。
【0242】
請求項28記載の発明によれば、請求項26又は27記載の光学素子において、ホモジニアス配向の一方の配向方向(安定状態の方向と非安定状態の方向との何れか)を、傾斜領域の傾斜方向に垂直な方向に一致させたので、例えばスイッチング時の液晶分子の配向状態の安定性を一層向上させ、動作の信頼性を向上させることができる。
【0243】
請求項29記載の発明によれば、請求項26ないし28の何れか一記載の光学素子において、傾斜領域の傾斜面を、一方の基板の対向面側に形成された断面鋸歯形状の周期構造における鋸歯形状の複数の斜辺により分割形成したので、素子の厚みを制限した状態で巨視的に連続した傾斜領域の形成が可能となり、大面積化が可能な光学素子を提供することができる。
【0244】
請求項30記載の発明によれば、請求項26ないし29の何れか一記載の光学素子において、第1の傾斜領域と第2の傾斜領域とに分割してその第1の傾斜面と第2の傾斜面とを平行に対向配置させることにより、光路偏向として光路の平行シフトを行わせることができる。
【0245】
請求項31記載の発明によれば、第1の傾斜領域と第2の傾斜領域とを所定間隔隔てる透明な中間基板を備えることで、請求項30記載の光学素子を容易に実現することができる。
【0246】
請求項32記載の発明によれば、等方相又はコレステリック相から冷却過程で降温速度を制御しながら透明電極膜間に電圧を印加することにより液晶層の液晶をホモジニアス配向させて単安定状態の安定状態の方向を設定する配向処理工程を含むことにより、安定状態の方向と非安定状態の方向とが傾斜領域内で同一平面内に存在する単安定状態に液晶がホモジニアス配向される請求項26ないし29の何れか一記載の光学素子を歩留まり高く容易に製造することができる。
【0247】
請求項33記載の発明によれば、一方の基板の対向面側に断面鋸歯形状の周期構造を有する大面積化に適した請求項29記載の光学素子を作製する上で、断面鋸歯形状の周期構造に沿う方向に液晶を注入することにより、液晶を効率的に注入でき、注入時間を短縮でき、かつ、余分な液晶を注入することがなく製造コストのダウンを図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の光路偏向素子及び光路偏向装置を示し、(a)は(b)のA−A線断面図、(b)は正面図である。
【図2】偏向動作の原理を示す模式図である。
【図3】液晶層厚をパラメータとして電界強度と配向方向切換え角度αとの関係を示す特性図である。
【図4】液晶層厚をパラメータとして印加電圧と配向方向切換え角度αとの関係を示す特性図である。
【図5】傾斜領域の傾斜方向と配向方向との関係を示し、(a)は(b)のA−A線断面図、(b)は正面図である。
【図6】本発明の第二の実施の形態の光路偏向素子及び光路偏向装置を示す正面図である。
【図7】切換え角度の90°からのズレ角をパラメータとして波長と透過率との関係を示す特性図である。
【図8】本発明の第三の実施の形態の光路偏向素子及び光路偏向装置を示し、(a)は(b)のA−A線断面図、(b)は正面図である。
【図9】鋸歯周期構造による回折を利用して偏向をなす場合の回折による光偏向動作を示し、(a)はno=ngなる直進モードの模式図、(b)はno≠ngなる偏向モードの模式図である。
【図10】波長における鋸歯形状の最適段高さを示す特性図である。
【図11】本発明の第四の実施の形態の光路偏向素子を示す概略断面図である。
【図12】その変形例を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第五の実施の形態の光路偏向装置の構成を示す概略斜視図である。
【図14】その偏光方向切換手段の一例を示すTN液晶セルの原理図である。
【図15】本発明の第六の実施の形態の画像表示装置の構成例を示す概略側面図である。
【図16】その変形例を示す概略側面図である。
【図17】斜めシフトによる光路偏向素子の配置例に関して画素面、鋸歯形状面の様子を併せて示す斜視図である。
【図18】斜めシフトによる表示画素例を示す模式的な正面図である。
【図19】本発明の第七の実施の形態の光書込み装置の構成例を示す概略側面図である。
【図20】本発明の第八の実施の形態の分割ライン電極を有する光偏向装置の構成例を示す概略側面図である。
【図21】(a)は屈折による光路偏向動作を示す概略側面図、(b)は回折による光路偏向動作を示す概略側面図である。
【図22】本発明の第九の実施の形態の光インターコネクション装置の構成例を示す概略側面図である。
【図23】その光路偏向素子の多段構成例を示す説明図である。
【図24】ボード間光インターコネクション装置の構成例を示す斜視図である。
【図25】実施例を説明するためのセルのラビング方向等を示す概略斜視図である。
【図26】実施例における鋸歯形状の周期構造に対する液晶の注入方向を示す斜視図である。
【図27】比較例における鋸歯形状の周期構造に対する液晶の注入方向を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 光路偏向素子
2,3 透明な基板
4,5 透明電極膜
6,7 配向膜
8 液晶分子
9 液晶層
10 傾斜面
11 傾斜領域
13 電圧印加手段
14 光路偏向装置
15 偏光板
21,31 光路偏向素子
32 周期構造
32a 斜辺
41 光路偏向素子
42 第1の傾斜領域
43 第2の傾斜領域
44 中間基板
45 第1の傾斜面
46 第2の傾斜面
47,48 液晶層
51 光路偏向素子
52 第1の傾斜領域
53 第2の傾斜領域
54 中間基板
55 第1の傾斜面
56 第2の傾斜面
57,58 液晶層
61 第1の光路偏向素子
62 第2の光路偏向素子
63 光路偏向装置
64 偏光方向切換手段
72 ツイストネマチック液晶セル
82 照明装置
86 画像表示素子
87 光学装置
89 表示駆動手段
90 光路偏向装置
94 画像表示素子
112 発光部
113 発光体アレイ
114 記録体
115 光路偏向装置
123 分割構造電極
132 光源アレイ
133,134 レンズアレイ
135 光ディテクタアレイ
136 光路偏向装置
Claims (33)
- 対向配置させた透明な一対の基板と、
前記基板上に設けられて、極性を反転させた電圧が選択的に印加される透明電極膜と、
前記基板の内面側に設けられた配向膜と、
前記基板間に前記配向膜を介して充填され、前記配向膜によりホモジニアス配向をなすキラルスメクチックC相よりなる液晶層と、を備え、
一対の前記基板は、両基板間に傾斜角度を持たせた配置により前記液晶層用の傾斜領域を形成し、
前記液晶層は、安定状態の方向と非安定状態の方向とが前記傾斜領域内で同一平面内に存在する単安定状態に液晶がホモジニアス配向されて形成され、前記透明電極膜間に印加される電圧の極性に応じて前記安定状態の方向と前記非安定状態の方向とが切換えられる光路偏向素子。 - 前記液晶層は、スメクチックA相を通らない相転移系列の液晶材料により形成されている請求項1記載の光路偏向素子。
- 前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向は、配向処理を施した方向に液晶分子の長軸方向が従う方向であり、前記非安定状態の方向は、前記安定状態の方向とは異なる方向であって、前記透明電極膜間に電圧を印加した場合にのみその印加電圧に応じて前記液晶分子の長軸方向が配向する方向である請求項1又は2記載の光路偏向素子。
- 前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向又は前記非安定状態の方向が、前記傾斜領域の傾斜方向に垂直な方向と一致するようにその配向処理の方向が設定されている請求項1ないし3の何れか一記載の光路偏向素子。
- 一方の前記基板の対向面側に断面鋸歯形状の周期構造が形成され、前記傾斜領域の傾斜面は、前記周期構造をなす鋸歯形状の複数の斜辺により分割形成されている請求項1ないし4の何れか一記載の光路偏向素子。
- 前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向と前記非安定状態の方向とは、当該液晶層に入射する直線偏光の偏光方向を中心軸としたときに中心軸に対して非対称となるように設定されている請求項1ないし5の何れか一記載の光路偏向素子。
- 前記液晶層に入射する直線偏光の偏光方向が、前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向と前記非安定状態の方向との何れかの方向に一致するように設定されている請求項1ないし6の何れか一記載の光路偏向素子。
- 当該素子の出射側に偏光板を備える請求項1ないし7の何れか一記載の光路偏向素子。
- 前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向と前記非安定状態の方向とのなす角度が直角であり、前記液晶層に入射する直線偏光の偏光方向が、前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向と前記非安定状態の方向との何れかの方向と平行になるように設定されている請求項1ないし6の何れか一記載の光路偏向素子。
- 前記基板に形成される周期構造をなす鋸歯形状領域の山と谷の段差部高さhが、1μm≦h≦10μmの範囲に設定されている請求項5記載の光路偏向素子。
- 前記液晶層における常光成分の屈折率no又は異常光成分の屈折率neが、前記基板に形成される鋸歯形状領域の屈折率ngに対して±7%の範囲に設定されている請求項10記載の光路偏向素子。
- 前記基板に形成される鋸歯形状領域の屈折率ngと前記液晶層の屈折率no(又は、ne)との差の絶対値Δn=|ng−no(又は、ng−ne)|と、前記基板に形成される鋸歯形状領域の段差部高さhと、入射する光の波長λの少なくとも一部が、
0.8・Δn・h≦λ≦1.25・Δn・h
の範囲に設定されている請求項10又は11記載の光路偏向素子。 - 前記液晶層を形成する前記傾斜領域は、入射光の進行方向に対して所定間隔隔てて第1の傾斜領域と第2の傾斜領域とに分割され、前記第1の傾斜領域と前記液晶層との屈折率差によって偏向した光が前記第2の傾斜領域と前記液晶層との屈折率差によって再度偏向されて、出射する際に前記入射光に対して平行光となるように前記第1の傾斜領域と前記第2の傾斜領域の傾斜面とが平行に対向配置されている請求項1ないし12の何れか一記載の光路偏向素子。
- 前記第1の傾斜領域と前記第2の傾斜領域とを所定間隔隔てる透明な中間基板を備える請求項13記載の光路偏向素子。
- 請求項1ないし14の何れか一記載の光路偏向素子と、この光路偏向素子の透明電極膜間に極性を反転させた電圧を選択的に印加する電圧印加手段と、を備える光路偏向装置。
- 請求項1ないし14の何れか一記載の第1の光路偏向素子と、
この第1の光路偏向素子と同一の光路上に配設されて光路偏向方向を直交させた請求項1ないし14の何れか一記載の第2の光路偏向素子と、
これらの光路偏向素子の透明電極膜間に極性を反転させた電圧を選択的に印加する電圧印加手段と、を備える光路偏向装置。 - 請求項1ないし14の何れか一記載の第1の光路偏向素子と、
この第1の光路偏向素子と同一の光路上に配設されて光路偏向方向を直交させた請求項1ないし14の何れか一記載の第2の光路偏向素子と、
これらの光路偏向素子の透明電極膜間に極性を反転させた電圧を選択的に印加する電圧印加手段と、
前記第1の光路偏向素子と前記第2の光路偏向素子との間に配設されて前記第1の光路偏向素子からの出射光の偏光方向を90°切換える偏光方向切換手段と、を備える光路偏向装置。 - 前記第1の光路偏向素子の傾斜領域の最大傾斜方向と前記第2の光路偏向素子の傾斜領域の最大傾斜方向とが直交するように前記第1の光路偏向素子と前記第2の光路偏向素子とを配設させた請求項16又は17記載の光路偏向装置。
- 前記偏光方向切換手段は、半波長板である請求項17記載の光路偏向装置。
- 前記偏光方向切換手段は、ツイストネマチック型液晶セルである請求項17記載の光路偏向装置。
- 画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を2次元的に配列した画像表示素子と、
この画像表示素子を照明する照明装置と、
前記画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学装置と、
画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールドで形成する表示駆動手段と、
前記画像表示素子の各画素からの出射光の光路を前記サブフィールド毎に偏向する請求項15ないし20の何れか一記載の光路偏向装置と、を備える画像表示装置。 - 画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を2次元的に配列した画像表示素子と、
この画像表示素子を照明する照明装置と、
前記画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学装置と、
画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールドで形成する表示駆動手段と、
前記画像表示素子の各画素からの出射光の光路を前記サブフィールド毎に偏向する請求項15記載の光路偏向装置と、を備える画像表示装置において、
前記光路偏向装置が、前記画像表示素子の画素配列斜め方向に光路偏向をなすように配置されている画像表示装置。 - 複数の発光部を予め決められた画素ピッチで配列する発光体アレイと、
前記発光部が放射した光を記録体上に集束させる光学レンズと、
前記発光部から放射された光の光路を前記発光部の配列方向にシフトする請求項15ないし20の何れか一記載の光路偏向装置と、を備える光書込み装置。 - 前記透明電極が、前記基板に形成される鋸歯形状ピッチに対応したライン状の分割電極構造を有する請求項5記載の光路偏向装置。
- 光ビームアレイを発生する光源アレイと、
光ビームアレイを集光させるレンズアレイと、
前記光ビームアレイを受光する光ディテクタアレイと、
前記光源アレイと前記光ディテクタアレイ間に多段に配置されて前記光ビームアレイの進行方向を偏向する請求項24記載の光路偏向装置と、を備える光インタコネクション装置。 - 対向配置させた透明な一対の基板と、
前記基板上に設けられた透明電極膜と、
前記基板の内面側に設けられた配向膜と、
前記基板間に前記配向膜を介して充填され、前記配向膜によりホモジニアス配向をなすキラルスメクチックC相よりなる液晶層と、を備え、
一対の前記基板は、両基板間に傾斜角度を持たせた配置により前記液晶層用の傾斜領域を形成し、
前記液晶層は、安定状態の方向と非安定状態の方向とが前記傾斜領域内で同一平面内に存在する単安定状態に液晶がホモジニアス配向されて形成されている光学素子。 - 前記液晶層は、スメクチックA相を通らない相転移系列の液晶材料により形成されている請求項26記載の光学素子。
- 前記液晶層の単安定状態における前記安定状態の方向又は前記非安定状態の方向が、前記傾斜領域の傾斜方向に垂直な方向と一致するようにその配向処理の方向が設定されている請求項26又は27記載の光学素子。
- 一方の前記基板の対向面側に断面鋸歯形状の周期構造が形成され、前記傾斜領域の傾斜面は、前記周期構造をなす鋸歯形状の複数の斜辺により分割形成されている請求項26ないし28の何れか一記載の光学素子。
- 前記液晶層を形成する前記傾斜領域は、入射光の進行方向に対して所定間隔隔てて第1の傾斜領域と第2の傾斜領域とに分割され、前記第1の傾斜領域と前記液晶層との屈折率差によって偏向した光が前記第2の傾斜領域と前記液晶層との屈折率差によって再度偏向されて、出射する際に前記入射光に対して平行光となるように前記第1の傾斜領域と前記第2の傾斜領域の傾斜面とが平行に対向配置されている請求項26ないし29の何れか一記載の光学素子。
- 前記第1の傾斜領域と前記第2の傾斜領域とを所定間隔隔てる透明な中間基板を備える請求項30記載の光学素子。
- 等方相又はコレステリック相から冷却過程で降温速度を制御しながら透明電極膜間に電圧を印加することにより液晶層の液晶をホモジニアス配向させて単安定状態の安定状態の方向を設定する配向処理工程を含む請求項26ないし29の何れか一記載の光学素子の製造方法。
- 一方の基板の対向面側に形成された断面鋸歯形状の周期構造に沿う方向に液晶を注入する液晶注入工程を含む請求項29記載の光学素子の製造方法。
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