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JP4533275B2 - 液体塗布装置およびインクジェット記録装置 - Google Patents

液体塗布装置およびインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、液体塗布装置およびインクジェット記録装置に関する。詳しくは、顔料を色材とするインクで記録した際に顔料の凝集を早めるなど所定の目的で媒体に液体を塗布する液体塗布装置に関するものである。また、同様に、インクジェット記録で用いられる記録媒体に対して、顔料を色材とするインクで記録した際に顔料の凝集を早めるなどの目的で液体を塗布する機構を備えたインクジェット記録装置に関するものである。
従来印刷の分野では、塗布液としてのインクをローラに供給する部分をシールする構成が知られている(特許文献1参照)。同文献に記載の塗布機構は、グラビア印刷装置において印刷版のパターンが表面に形成されたローラにインクを塗布する機構である。ここでは、ローラの周面に沿った上下2ヶ所に対応した位置で、ローラの長手方向に延在するドクターブレードと、この2つのドクターブレードの両側部にそれぞれ設けられた弾性部材と、を有したインクチャンバーを用いたものである。このチャンバーをローラの周面に当接させることにより、ローラとの間で液室を形成する。
特許文献1記載のグラビア印刷装置では、上記液室を形成するために、ドクターブレードの両側に設けられた、該ドクターブレードとは別部材の弾性部材を、ローラに当接させている。このとき、ドクターブレードおよび弾性部材をローラに当接する際の当接圧は、ドクターブレードおよび弾性部材を備えたインクチャンバーの位置を単に固定することによって生じさせる。このインクチャンバーは、これとねじ溝が形成されたシャフトが係合しその軸の回転によって移動するものである。
このような構成において、ローラが回転することにより、上記液室の塗布液がローラに供給される。
特開平08−58069号公報 特開2002−96452号公報
特許文献1に記載の装置の場合、ローラと弾性部材とが当接していることから、ローラの回転に伴いローラが磨耗してしまう。ローラが磨耗すると、ローラの使用寿命が短縮化する。そして、このローラ寿命の短縮化は、装置寿命の短縮化やローラ交換頻度の増加を招く。
また、ローラの磨耗はローラ表面で均一に起こるものではなく、その磨耗量はローラ表面の部位によって異なる。具体的には、塗布媒体に液体を塗布するための回転回数が増えるにつれ、ローラのうち、塗布媒体が通った部位、すなわち、塗布媒体に接した部位が、塗布媒体が通ってない部位に比べて多く削れてしまう。そのため、その部分だけローラが細くなってしまう。このように、ローラのうち、塗布媒体が多く通る部位では、ローラの磨耗量が増えることになる。
市場にはA4、A5、A3、B5、B4、など、様々なサイズの塗布媒体があり、記録装置は各種のサイズに対応するため、記録装置はサポートする塗布媒体の最大幅を持つ。例えば、塗布媒体を突き当てる基準を右端にもつ装置であるとすると、基準側とその反対側(非基準側と呼ぶ)とでは、明らかに塗布媒体の通る頻度が違う。つまり、基準側はどんなサイズの塗布媒体も必ず通ることになるが、非基準側は、塗布媒体のサイズによっては、通らない事もある。これにより、基準側と非基準側とで磨耗量が変わってしまう。
というのも、潤滑剤となる塗布液が存在するか否かによってローラと該ローラに当接する弾性部材との摩擦力が変わってしまうからである。つまりこの場合、ローラのうち、塗布媒体が通った所と通ってない所で、摩擦力が変わってしまうため、塗布媒体の多く通る場所でローラがより削れるのである。以上のようにローラの場所によって磨耗量が異なると、1枚の塗布媒体の中で塗布ムラを生じてしまう。
また、弾性部材がローラへ当接している時は、インクチャンバーは固定されているので、上記磨耗によりローラの径が細くなると、ローラへの当接圧が変わってしまう。この当接圧が変わると、塗布量にも影響を与えてしまう。よって、使用回数によっては塗布動作毎に、塗布媒体への塗布量にムラを生じてしまう。 本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ローラの使用回数が増えることによる塗布ムラを低減させ、耐久性を向上した液体塗布装置およびインクジェット記録装置を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明は、液体塗布装置であって、媒体に接触して液体を塗布するための塗布部材を回転させるための回転手段と、前記塗布部材と、前記塗布部材に当接して形成される液体保持空間に液体を保持するための保持部材とを備え、前記回転手段によって前記塗布部材を回転させることにより、前記液体保持空間内の液体を前記塗布部材を介して前記媒体に塗布する液体塗布手段と、前記回転手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記媒体への前記液体の塗布を支持する情報を受信すると、前記媒体が前記塗布部材と接触する前に前記回転手段によって前記塗布部材を回転させて、前記塗布部材の表面が前記保持部材に突入する側における前記塗布部材と前記保持部材との当接部分よりも回転方向上流側の部分であって、前記媒体が搬送されたときに前記塗布部材と当接する部分よりも回転方向下流側の部分に、前記液体の溜まりを形成する予備回転動作を行うように前記回転手段を制御することを特徴とする。
本発明によれば、所定の塗布動作の前に、液体保持部材が再突入する側における、塗布部材と保持部材とが当接する部分の液体保持空間の外側に、液体の溜まりを形成するので、上記当接する部分における摩擦を低減することができる。この結果、塗布部材の磨耗を低減することが可能となる。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の液体塗布装置100に係る実施形態の全体構成を示す斜視図である。
ここに示す液体塗布装置100は、概略、塗布媒体に対し所定の塗布液を塗布する液体塗布手段と、この液体塗布手段に塗布液を供給する液体供給手段を有して構成されている。
液体塗布手段は、円筒状の塗布ローラ1001、この塗布ローラ1001に対向して配置された円筒状のカウンターローラ(媒体支持部材)1002、および塗布ローラ1001を駆動するローラ駆動機構1003などを有する。このローラ駆動機構1003は、ローラ駆動モータ1004と、このローラ駆動モータ1004の駆動力を塗布ローラ1001に伝達するギアトレインなどを有する動力伝達機構1005とによって構成されている。
また、液体供給手段は、塗布ローラ1001の周面との間で塗布液を保持する液体保持部材2001、およびこの液体保持部材2001に液体を供給する後述の液体流路3000(図1では不図示)などを有して構成される。塗布ローラ1001およびカウンターローラ1002は、それぞれ、それらの両端が不図示のフレームに対して回動自在に取り付けられた、互いに平行な軸によって回動自在に支持されている。また、液体保持部材2001は、塗布ローラ1001の長手方向のほぼ全体にわたって延在するものであり、塗布ローラ1001の周面に対して接離動作を可能とする機構を介して上記のフレームに移動可能に取り付けられている。
本実施形態の液体塗布装置は、さらに、塗布ローラ1001とカウンターローラ1002とのニップ部に塗布媒体を搬送するための、ピックアップローラなどからなる塗布媒体供給機構1006を備える。また、この塗布媒体の搬送路において、塗布ローラ1001およびカウンターローラ1002の後流側には、塗布液が塗布された塗布媒体を排紙部(不図示)へ向けて搬送する、排紙ローラなどからなる排紙機構1007が設けられる。これらの給紙機構や排紙機構も、塗布ローラなどと同様、動力伝達機構1005を介して伝えられる駆動モータ1004の駆動力によって動作する。
なお、本実施形態で使用する塗布液は、顔料を色材とするインクで記録した際に顔料の色材の凝集を早めることを目的とした液体である。
塗布する液体の成分の一例を以下に記述する。
硝酸カルシウム・4水和物 10%
グリセリン 42%
界面活性剤 1%
水 残量
また、前記塗布液の粘度は25℃で5〜6cP(センチポアズ)である。
なお、本発明の適用において塗布液は、上記のものに限られないことは勿論である。例えば、別の塗布液として、染料を不溶化あるいは凝集させる成分を含有する液体を用いることも可能である。また、別の塗布液として、塗布媒体のカール(媒体が湾曲形状となる現象)を抑制する成分を含有する液体を用いることも可能である。
塗布する液体に水を用いる場合、本発明の塗布ローラとの液体保持部材の当接部分での周動性は、表面張力を下げる成分を前記液体に含ませることで良好なものとなる。
上述の塗布する液体の成分の一例では、グリセリン及び界面活性剤が水の表面張力を下げる成分である。
次に、以上概略を説明した液体塗布装置を構成する各部の要素についてより詳細に説明する。
図2は、塗布ローラ1001、カウンターローラ1002および液体保持部材2001などの配置の一例を示す説明縦断側面図である。
カウンターローラ1002は、不図示の付勢手段によって塗布ローラ1001の周面に向けて付勢されており、塗布ローラ1001を図中、時計方向に回転させることにより、両ローラの間に塗布液を塗布すべき塗布媒体Pを挟持し得る。これと共に、塗布媒体Pを図中の矢印方向に搬送し得るようになっている。
また、液体保持部材2001は、バネ部材(押圧手段)2006の付勢力によって塗布ローラ1001の周面に対して付勢されて当接するとき、塗布ローラ1001による液体塗布領域全体に亘って延在する長尺な液体保持空間Sを形成するようになっている。この液体保持空間S内には、後述の液体供給経路3000から液体保持部材2001を介して塗布液が供給される。本実施形態では、液体保持部材2001が以下のように構成されているため、塗布ローラ1001の停止状態において、液体保持空間Sから外方へ不用意に塗布液が漏出するのを防止することができる。
この液体保持部材2100の構成を、図3ないし図8に示す。
図3に示すように、液体保持部材2001は、空間形成基材2002と、この空間形成基材2002の一方の面に設けられた環状の当接部材2009とを有して構成されている。空間形成基材2002には、その中央部分における長手方向に沿って、底部の断面形が円弧状をなす凹部2003が形成される。そして、当接部材2009は、その直線部分がこの凹部2003の上縁部に沿って固着され、また、円周部分が上記上縁部から底部を経て反対側の上縁部に至るように固着される。これにより、液体保持部材2001の当接部2009が塗布ローラ1001に当接したとき、塗布ローラの周面形状に沿った当接が可能となり、均一な圧力の当接を実現することができる。
上記のようにこの実施形態における液体保持部材は、継ぎ目のない一体に形成された当接部材2009が、バネ部材2006の付勢力によって塗布ローラ1001の外周面に隙間なく連続した状態で当接する。その結果、液体保持空間Sは、この当接部材2009と、空間形成基材の一面と、塗布ローラ1001の外周面とによる実質的に閉塞した空間となり、この空間に塗布液が保持される。そして、塗布ローラ1001の回転が停止した状態では、当接部材2009と塗布ローラ1001の外周面とは液密状態を維持し、液体が外部へと漏出するのを確実に防止することができる。一方、塗布ローラ1001が回転するときは、後述されるように、塗布液は塗布ローラ1001の外周面と当接部材2009との間をすり抜けて、塗布ローラの外周面に層状に付着する。ここで、塗布ローラ1001の停止状態において、その外周面と当接部材2009とが密接状態にあるとは、上記のとおり、上記液体保持空間Sの内と外との間で液体を通さないことである。この場合、当接部材2009の当接状態としては、それが塗布ローラ1001の外周面に対し、直に接する状態の他、毛管力によって形成される液体の膜を解して上記外周面に当接する状態を含むものである。
また、当接部材2009の長手方向における左右両側部は、図3ないし図8に示すように、正面(図3)、平面(図6)および側面(図7、図8)のいずれの方向から見ても緩やかに湾曲する形状をなしている。このため、塗布ローラ1001に対し、比較的強い押圧力で当接部材2120を当接させても、当接部材2009の全体が略均一に弾性変形し、局所的に大きな歪みが生じることはない。このため、当接部材2009は図6ないし図8に示すように、隙間なく連続的に塗布ローラ1001の外周面に当接し、上記の実質的に閉塞した空間を形成することができる。
一方、空間形成基材2002には、図3ないし図5に示すように、当接部材2009に囲繞された領域内に、それぞれ空間形成基材2002を貫通する孔を有して構成される液体供給口2004および液体回収口2005が設けられている。これらは空間形成基材の背面側に突設された円筒状の連結部20041,20051にそれぞれ連通している。また、この連結部20041,20051は、後述の液体供給流路3000に連結されている。なお、この実施形態では、液体供給口2004が当接部材2009に囲繞された領域の一端部(図3では左端部)近傍に形成され、液体回収口2005が同領域の他端部(図3では右端部)近傍に設けられる。この液体供給口2004は、液体流路3000から供給される塗布液を前述の液体保持空間Sに供給し、液体回収口2005は液体保持空間S内の液体を液体流路3000へと流出させるためのものである。この液体の供給、流出を行うことにより、液体保持空間S内において、塗布液は上記の左端部から右端部へと流動する。
(塗布液流路)
図11は、前記塗布液供給手段の液体保持部材2001に連結される液体流路3000の概略構成を示す説明図である。
この液体流路3000は、液体保持部材2001を構成する空間形成基材2002の液体供給口2004と塗布液を貯蔵する貯蔵タンク3003とを連結する第1流路(供給流路)3001を有する。また、液体流路3000は、空間形成基材2002の液体回収口2005と前記貯蔵タンク3003とを連結する第2流路(回収流路)3002を有する。この貯蔵タンク3003には、大気連通口3004が設けらており、また、この大気連通口には、大気との連通、遮断を切換える大気連通弁3005が設けられている。また、第1流路3001内には切換弁3006が設けられており、この切換弁3006によって第1流路3001と大気との連通、遮断が切換え可能となっている。さらに第2流路3002内には、本液体流路3000内で塗布液および空気を所望の方向へと強制的に流動させるためのポンプ3007が連結されている。
また、この実施形態における切換弁3006は、第1流路3001と大気との連通、遮断を切換え得るものであれば、種々のものが適用可能であるが、ここでは図11に示すような三方弁を使用している。この三方弁3006は、互いに連通する3つのポートを有している。このポートのうち2つのポートは、第1流路3001における貯蔵タンク側チューブ3011と、液体保持部材側チューブ3012と、大気連通口3013の中のいずれか二つに選択的に連通することができる。そして、この三方弁3006の切換えにより、チューブ3011とチューブ3012とを連通させる連結状態と、チューブ3012と大気連通口3013とを連通させる連結状態とが選択的に切り換えられる。これにより、液体保持部材2001と塗布ローラ1001とによって形成される空間Sに対し、貯蔵タンク3003内の塗布液あるいは大気連通口3013から取り込まれる空気の何れかを選択して供給することが可能となる。なお、三方弁3006の切換えは、後述の制御部4000からの制御信号によって行われ、塗布液の充填、供給などが行われる。
図において、4000は液体塗布装置全体を制御する制御手段としての制御部である。この制御部4000は、種々の演算、制御、判別などの処理動作を実行するCPU4001を有する。また、制御部4000は、CPU4001によって実行される、図13、図16、図19にて後述される処理などの制御プログラムや、図20にて後述されるルックアップテーブルなどを格納するROM4002を有する。さらに、制御部4000は、CPU4001の処理動作中のデータや入力データなどを一時的に格納するRAM4003などを有する。
また、制御部4000には、所定の指令あるいはデータなどを入力するキーボードあるいは各種スイッチなどを含む入力操作部4004、液体塗布装置の入力・設定状態などをはじめとする種々の表示を行う表示部4005が接続されている。また、制御部4000には、塗布媒体の位置や各部の動作状態などを検出するセンサなどを含む検出部4006が接続されている。さらに、制御部4000には、前記ローラ駆動モータ1004、ポンプ駆動モータ4009、大気連通弁3005および切換弁3006などがそれぞれ駆動回路4007、4008、4010、4011を介して接続されている。本実施形態において、前回の予備回転動作終了時からの記録枚数を記憶させる必要がある場合があるが、そのときは、上記枚数に関する情報をRAM4003に記憶する。
(液体塗布動作シーケンス)
図13は、本実施形態の液体塗布装置の液体塗布に係わる処理手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照して、液体塗布にかかる各工程を説明する。 すなわち、液体塗布装置に電源が投入されると、制御部4000は、図13に示すフローチャートに従って以下の塗布動作シーケンスを実行する。
充填工程
ステップS1では、前記塗布空間Sに対する塗布液の充填工程を実行する。この充填工程では、まず、貯蔵タンク3003の大気連通弁3005を大気に開放させると共に、ポンプ3007を一定時間駆動する。これにより、液体塗布空間Sおよび各流路3001,3002内に塗布液が充填されていない場合には、ポンプによって内部の空気が貯留部へと送られて大気へと排出されると共に各部に塗布液が充填される。また、既に各部に塗布液が充填されている場合には、各部の塗布液が流動して適正な濃度および粘度の塗布液が供給される。この初期動作によって、塗布ローラ1001に対し塗布液が供給された状態となり、塗布媒体への塗布が可能となる。
予備回転動作
記録ジョブを受信すると(ステップS2)、予備回転動作を行う(ステップS3)。この予備回転動作は、塗布ローラ1001を回転させることによって行われるが、その回転数は、磨耗の抑制が期待できる量や、画像とスループットとのバランスによって決定される。すなわち、後述する塗布液の溜まりに、所定量の塗布液が溜まるように予備回転動作を制御する。
本実施形態では、塗布ローラの回転数によって予備回転動作を制御しているが、これに限らない。本実施形態では、予備回転動作によって、塗布ローラ1001の液体保持部材2001への戻り位置において、液体保持部材2001の外側に塗布液を溜めることができれば良い。よって、例えば、予備回転動作を、塗布ローラの回転時間によって制御しても良い。
本明細書において、「予備回転動作」とは、塗布ローラによる塗布媒体への実際の塗布動作の前に行う塗布ローラの回転動作であって、塗布ローラの液体保持部材への戻り位置における、塗布ローラと当接部材との間に塗布液を溜めるための動作である。
以下で、予備回転動作について説明する。
図9は、液体保持空間Sに塗布液が充填され、塗布ローラ1001の回転により塗布媒体Pに液体が塗布されている状態を示す図である。図9において、交差する斜線で表現した部分が塗布液Lを示している。なお、ここでは、塗布ローラ1001および塗布媒体Pにおける塗布液の層の厚みは、塗布時における塗布液Lの様子を明確に図示する上で、実際の厚みよりもかなり過大に表している。
ここで、図9の破線で示した領域Aは、塗布ローラ1001が液体保持部材2001に再突入する部分である。この領域Aは、図9のように塗布液が塗布媒体Pに転写されることにより、塗布液が希薄になっている塗布ローラ1001の部位が、液体保持空間2001に再突入する部分である事が分る。すなわち、領域Aは、塗布ローラ1001と上縁部2010との当接部における、塗布ローラ1001の回転方向上流側であって、塗布ローラ1001とカウンタローラ1002とのニップ部の回転方向下流側の領域である。
ところで、塗布液は潤滑剤としての働きもある。また、後で詳しく述べるが、塗布媒体が通った後の塗布ローラ1001には、塗布媒体へと塗布液が塗布されるので、少量しか塗布液が残らない。つまり、塗布ローラ1001が再び液体保持空間2001のニップ部(塗布ローラ1001と当接部材2009の上縁部2010との間のニップ部)に突入する領域Aでは、潤滑剤としての塗布液が不足し摩擦が大きくなる。この摩擦により、塗布ローラ1001の通紙部が磨耗してしまう。反対に、塗布ローラ1001の塗布媒体が通紙していない部分は、図10に示すような状態である。すなわち、領域Aにおいて塗布ローラ1001は、潤滑剤である塗布液を介して液体保持部材2001に突入するため、摩擦力が大きくなる事は無い。これは例えば、最大幅がA3サイズの記録紙に対応する塗布ローラ1001に、A4サイズの記録紙が通過した場合の、非基準側において記録紙が通過しない場合などにも当てはまる。
塗布ローラ1001の回転時に、塗布媒体が存在しない場合の塗布ローラや、塗布ローラの、塗布動作時に塗布媒体が通過しない部位では、図14に示すように、塗布ローラ1001の表面に存在する塗布液の100%が、液体保持空間S内に戻るわけではない。塗布ローラ1001に転写された量が、液体保持空間Sへと戻る量に比べて多い場合、塗布液は液体保持空間S内に戻りきらずに、領域Aに残り、貯まることがある。すなわち、塗布ローラの表面に存在する塗布液の幾量かは、塗布ローラが液体保持部材へと再突入する側の当接部材である上縁部2010と、塗布ローラとによって形成される領域であって、液体保持部材2001の外側の領域(領域A)に溜められる。このように領域Aに溜められた塗布液6001は、潤滑剤として機能する。
塗布ローラ1001において、塗布液が潤沢に無い部分での磨耗は、先程述べたように、塗布媒体が通った後の領域で起こりやすい。そのため本実施形態では、塗布媒体を搬送する前に、上述のように塗布媒体を通していない塗布ローラ1001の回転動作(予備回転動作)を行う。これによって、上述のような塗布液の貯まりを作る。すなわち、塗布ローラ1001の回転により、塗布ローラ1001と上縁部2010の回転方向上流側であって、塗布ローラ1001と塗布媒体との当接部の回転方向下流側に塗布液の溜まりを形成する。その後、塗布媒体を通紙する。このように塗布液の溜まりを形成すると、塗布動作後に塗布ローラ1001が液体保持部材2001に再突入する際に、ローラに塗布液がほとんど残存していなくても、上記塗布液の溜まりによって塗布液をローラ表面に補給することができる。この補給された塗布液がまさに潤滑剤の働きをして、塗布ローラ1001と上縁部2010との摩擦を低減させるのである。
つまり、図15のように、塗布媒体Pを塗布したことにより、液体保持部材2001への再突入時に塗布ローラ1001に塗布液が潤沢に無くても、上記再突入側の当接部に液だまりがある。よって、塗布ローラ1001と液体保持部材2001との摩擦力を下げる事ができる。よって、塗布ローラの磨耗を低減することができる。
本実施形態では、このように磨耗を低減させることができるので、塗布ローラの耐久性を向上させることができる。よって、使用回数を増やしても、塗布動作毎の塗布ムラを低減することができる。また、塗布ローラ1001においても、場所による磨耗の大小も小さくすることができるので、一枚の塗布媒体に対する塗布ムラを低減することができる。
塗布工程
ステップS3にて予備回転動作が終了すると、再びポンプ3007が作動を開始すると共に、塗布ローラ1001が図1の矢印に示すように、時計周りに回転を開始する。この塗布ローラ1001の回転により、液体保持空間Sに充填された塗布液Lは、塗布ローラ1001に対する液体保持部材2001の当接部材2009の押圧力に抗して、塗布ローラ1001と当接部材2009の下縁部2011との間を摺り抜ける。この擦り抜けた塗布液は、塗布ローラ1001の外周に層状態となって付着する。塗布ローラ1001に付着した塗布液Lは、塗布ローラ1001とカウンターローラ1002との当接部に送られる。
次いで、塗布媒体送給機構1006によって塗布ローラ1001とカウンターローラ1002との間に塗布媒体が搬送され、これらのローラの間に塗布媒体が挿入される。これと共に、塗布媒体は、塗布ローラ1001とカウンターローラ1002の回転に伴い排紙部へ向けて搬送される。この搬送の間に、塗布ローラ1001の外周面に塗布された塗布液が、図9に示すように塗布ローラ1001から塗布媒体Pに転写される。このようにして、塗布媒体に対して塗布液の塗布が行われる(ステップS4)。なお、塗布ローラ1001とカウンターローラ1002との間に塗布媒体を供給する手段としては、上記の送給機構に限られないことは勿論である。例えば、所定のガイド部材を補助的に用いる手差しによる手段を併せて用いてもよく、また、手差し手段を単独で用いる構成など、どのような手段を用いてもよい。
上記のようにして、塗布媒体Pの塗布済み部分は塗布ローラの搬送力により矢印方向に搬送されると共に、カウンタローラと塗布ローラとの間に塗布媒体Pの未塗布部分が搬送さる。この動作を連続もしくは間欠的に行うことで塗布媒体全体に塗布液を塗布して行く。
図23,図24,図18は、媒体Pが普通紙である場合における媒体の表面と塗布面での塗布過程を説明する説明図である。本図では液体を黒く塗りつぶしてある。
図23は塗布ローラ1001とカウンタローラ1002とのニップ部より上流側での状態を示している。同図において塗布ローラ1001の塗布面には液体が塗布面の表面の微細な凹凸をわずかに被うように液体が付着している。
図24は塗布ローラ1001とカウンタローラ1002とのニップ部での、媒体Pである普通紙の表面と塗布ローラ1001の塗布面の状態を示している。同図において媒体Pである普通紙の表面の凸部は塗布ローラ1001の塗布面と接触し、接触した部分より液体が瞬時に媒体Pである普通紙の表面の繊維に浸透ないし吸着する。また塗布ローラ1001の塗布面には普通紙の表面の凸部と接触しない部分に付着した液体が残留される。
図18は塗布ローラ1001とカウンタローラ1002とのニップ部より下流側での状態を示している。同図は媒体と塗布ローラ1001の塗布面が完全に離脱した状態である。塗布ローラ1001の塗布面には普通紙の表面の凸部と接触しない部分に残留した液体と接触部における液体も極微量ながら塗布面に残留する。
また、この塗布ローラ1001に残留した塗布液は、塗布ローラ1001に対する液体保持部材2001の当接部材2009の押圧力に抗して、塗布ローラ1001と当接部材2009の上縁部2010との間を摺り抜けて液体保持空間S内に戻る。この液体保持空間S内に戻った塗布液は、同空間S内に充填されている塗布液と混合される。
さらに、この塗布液の戻し動作は、図10に示すように塗布媒体が存在しない状態で塗布ローラ1001を回転させた場合にも同様に行われる。すなわち、塗布ローラ1001を回転することで塗布ローラ1001の外周に付着した塗布液は、カウンターローラ1002と当接する部分(ニップ部)の間をすり抜ける。すり抜けた後は塗布ローラ1001側とカウンターローラ1002側とに塗布液が分離し、塗布ローラ1001に塗布液が残留する。そして、塗布ローラ1001側に付着した塗布液Lは当接部材2009の上縁部2010と塗布ローラ1001との間をすり抜けて液体保持空間S内に侵入し、同空間S内に充填されている塗布液に混合する。
終了工程
ステップS4にて塗布媒体への塗布が終了すると、ステップS2にて受信した記録ジョブの全ての枚数分の塗布が終了したか否かの判断を行う(ステップS5)。ステップS5にて、記録ジョブの全ての枚数分の塗布が終了していないと判断すると、ステップS3に戻り、記録ジョブの全てに塗布が完了するまで、ステップS3〜S5を繰り返す。
ステップS5にて、記録ジョブの全ての枚数分の塗布が終了したと判断すると、塗布ローラ1001を停止させ、さらに、ポンプ3007の駆動を停止させる。次いで、塗布空間Sおよび液体流路内の塗布液を回収する回収動作などの後処理を行い、塗布にかかる処理を終了する。
なお、上記回収動作は、前記大気連通弁3005および切換弁3006を開放し、ポンプ3007を駆動することによって塗布液を塗布液保持空間Sおよび第2流路3002内の塗布液を液体貯留タンク3003へと流入させることによって行う。この回収動作を行うことにより、液体保持空間Sからの塗布液の蒸発を軽減することができる。また、回収動作後は大気連通弁3005を閉じ、切換弁3006を切換えて第1流路3001および大気連通口3013との連通を遮断することにより、貯蔵タンク3003を大気から遮断する。これにより、液体貯蔵タンク3003からの塗布液の蒸発を軽減することができると共に、移動、運搬などにおいて装置の姿勢が傾いた場合にも塗布液が外部へ流出するのを軽減することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、一枚毎に予備回転動作を行っているが、本実施形態では、ある閾値枚数を超えるまでは予備回転動作を行わず、上記閾値枚数を超える場合に予備回転動作を行う。
図16は、本実施形態の液体塗布装置の液体塗布に係わる処理手順を示すフローチャートである。
同図において、ステップS21、S22、S26、S28、S30の処理は、図13に示した、それぞれ、ステップS1、S2〜S5の処理と同様である。
本実施形態では、液体保持部材2001に塗布液を充填し(ステップS21)、その後、記録ジョブを受信する(ステップS22)。記録ジョブを受信すると、初期予備回転動作を行い、液体保持部材2001への戻り位置に、塗布液の溜まりを形成する。
なお、本明細書において、「初期予備回転動作」とは、装置の立ち上げ時や、前回からの塗布動作から長時間経過した後の塗布動作前に行う予備回転動作であり、後述の閾値分の予備回転シーケンスを行う。本実施形態では、前回の予備回転動作終了時を基準として、今回の塗布動作の前までに塗布が行われた記録媒体の枚数が閾値と同じ枚数になる場合に予備回転動作を行う。この予備回転動作を行うためのシーケンスが、「閾値分の予備回転シーケンス」である。
初期予備回転動作が終了すると、RAM4003に記憶されている枚数カウンタ値を読み込む(ステップS24)。
なお、本明細書において、「枚数カウンタ値」とは、前回の予備回転動作終了時から何枚の塗布媒体に塗布を行ったかに対応した情報(記録枚数に対応した情報)を示す。よって、“枚数カウンタ値N”とは、前回の予備回転動作終了時から、N枚の塗布媒体に塗布が行われたことを示す。
ステップS24にて読み込まれた枚数カウンタ値と、閾値とを比較する(ステップS25)。枚数カウンタ値が閾値に達していない場合は、塗布液の溜まりにまだ潤滑剤として機能する塗布液が適量あるので、ステップS28へと進み、塗布動作を行う。枚数カウンタ値が閾値に達している場合は、塗布液の溜まりに塗布液を溜めるために、ステップS26へと進み、予備回転動作を行う。
本実施形態では、上記閾値を、画像とスループットとのバランス、装置の性質等に応じて設定すれば良い。また、閾値が大きい程、次の予備回転動作までの塗布媒体の記録枚数は多くなる。よって、図17に示すように、閾値が大きい程、予備回転数を大きくするのが好ましい。
ステップS26にて予備回転動作を行うと、RAM4003に記憶されている枚数カウンタ値をゼロにリセットして(ステップS27)、塗布ローラ1001により塗布媒体へと塗布液塗布を行う(ステップS28)。塗布が終了すると、RAM4003に枚数カウンタの値を「1」だけカウントアップする(ステップS29)。ステップS27にてリセットされていない場合は、すでに記録されている枚数カウンタ値に、今回の枚数カウンタ値1を累積することになる。
次いで、ステップS22にて受信した記録ジョブの全ての枚数分の塗布が終了したか否かの判断を行う(ステップS30)。記録ジョブの全ての枚数分の塗布が終了していないと判断すると、ステップS24に戻り、記録ジョブの全てに塗布が完了するまで、ステップS24〜S30を繰り返す。記録ジョブの全ての枚数分の塗布が終了したと判断すると、終了工程を行い塗布にかかる処理を終了する。
なお、本実施形態では、予備回転動作を行うか否かの判断基準として、記録媒体の枚数に関する情報を用いているが、記録媒体の枚数そのもの値を用いる必要はない。例えば、記録媒体のサイズに関する情報(A4サイズ、A3サイズ等)や、記録データのサイズに関する情報、あるいは記録媒体の搬送量に関する情報等を用いても良い。 (第3の実施形態)
本実施形態では、記録ジョブ毎に、該記録ジョブに対応する記録枚数に適切な予備回転動作を行う。
図19は、本実施形態の液体塗布装置の液体塗布に係わる処理手順を示すフローチャートである。
同図において、ステップS41、S42、S45の処理は、図13に示した、それぞれ、ステップS1〜3の処理と同様である。
本実施形態では、液体保持部材2001に塗布液を充填し(ステップS41)、その後、記録ジョブを受信する(ステップS42)。記録ジョブを受信すると、記録ジョブに含まれている情報から、記録枚数に関する情報を取得する(ステップS43)。図20のように定義されたルックアップテーブルを参照して、取得された記録枚数に関する情報から、受信した記録ジョブにより記録する記録枚数に適切な予備回転シーケンスを決定する(ステップS44)。本実施形態では、予備回転を1回転行えば、塗布媒体が1枚通過する場合に必要な塗布液が、塗布液の溜まり溜まることになる。よって、図20に定義したルックアップテーブルでは、記録枚数が1枚のときには、予備回転数が1回と設定されている。なお、予備回転1回では、塗布媒体1枚が通過するのに十分な塗布液が溜まらない場合は、記録枚数1枚に対して、例えば、予備回転数を1.5回や2回など、塗布液の溜まりに適量の塗布液が溜まるようにルックアップテーブルを設定すれば良い。すなわち、記録枚数に対して、適量の塗布液が溜まるように、予備回転動作を制御するのである。
ステップS44にて決定された予備回転シーケンスに基づいて、予備回転動作を行い(ステップS45)、塗布動作を行う(ステップS46)。ここまでの工程において、塗布液の溜まりには、すでに本記録ジョブに適切な量の塗布液が溜まっている。よって、ステップS46では、本記録ジョブに対応する枚数分の塗布動作が行われる。次いで、次の記録ジョブがあるか否かの判断を行う(ステップS47)。次の記録ジョブがある場合は、ステップS42に戻り、ステップS42〜S47を繰り返す。次の記録ジョブが無いと判断すると、終了工程を行い塗布にかかる処理を終了する。
本実施形態では、記録ジョブに含まれている記録枚数に関する情報に基づいて、上記記録ジョブに適切な量の塗布液を予め溜めておく。これを記録ジョブ毎に行うのである。
(インクジェット記録装置の実施形態)
図21は、上述の液体塗布装置とほぼ同様の構成を有した塗布機構を備えたインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。
このインクジェット記録装置1には、複数枚の記録媒体Pを積載する給送トレイ2が設けられており、半月形状の分離ローラ3が、給送トレイに積載された記録媒体Pを1枚づつ分離して搬送経路に給送する。搬送経路中には、上記液体塗布機構の液体塗布手段を構成する塗布ローラ1001およびカウンターローラ1002が配置されており、給送トレイ2から給送された記録媒体Pは、両ローラ1001,1002の間に送られる。塗布ローラ1001はローラ駆動モータの回転によって図21において時計周り方向に回転し、記録媒体Pを搬送しながら塗布液を記録媒体Pの記録面に塗布する。塗布液が塗布された記録媒体Pは、搬送ローラ4とピンチローラ5との間に送られ、搬送ローラ4が、図中、反時計周り方向へと回転することによって、記録媒体Pはプラテン6の上を搬送され、記録手段を構成する記録ヘッド7に対向する位置へと移動する。記録ヘッド7は所定数のインク吐出用のノズルを配設したインクジェット記録ヘッドであり、この記録ヘッド7が図の紙面と垂直方向に走査する間に、記録データに従ってノズルから記録媒体Pの記録面に対してインク滴を吐出して記録を行う。この記録動作と搬送ローラ4による所定量の搬送動作とを交互に繰り返しながら、記録媒体に画像を形成して行く。この画像形成動作とともに、記録媒体の搬送路において記録ヘッドの走査領域の後流側に設けられた、排紙ローラ8と排紙拍車9によって記録媒体Pが挟持され、排紙ローラ8の回転によって排紙トレイ10上に排紙される。
なお、このインクジェット記録装置としては、インクを吐出するノズルを記録媒体の最大幅に亘って配設した長尺な記録ヘッドを用いて記録動作を行ういわゆるフルライン型のインクジェット記録装置を構成することも可能である。
また、この実施形態で用いる塗布液は、顔料を色材とするインクで記録した際に顔料の凝集を早める処理液である。この実施形態では、塗布液として処理液を用いることにより、この処理液とこの処理液が塗布された記録媒体に吐出されるインクの色材である顔料を反応させて顔料の凝集を早めさせる。そして、この不溶化により、記録濃度の向上を図ることができる。さらに、ブリーディングの軽減または防止が可能となる。なお、インクジェット記録装置において用いる塗布液としては、上述の例に限られないことは勿論である。
図22は、上述したインクジェット記録装置の要部を示す斜視図である。同図に示すように、給送トレイ2の一端の上方に塗布機構100が設けられ、この塗布機構より上部で、給送トレイ2の中央部上方に記録ヘッド7などを備えた記録機構が設けられる。
このような構成において、図13、図16、または図19などに従って、所定の塗布動作の前に予備回転動作を行う。なお、記録ヘッド7による記録動作は、上記各処理手順において、塗布動作が終了した記録媒体Pに対して、搬送ローラ4によって所定量ずつ搬送し、記録媒体Pに対して記録ヘッド7を走査させる。この走査の間に記録データに応じてノズルからインクを吐出することにより記録媒体にインクを付着させてドットを形成する。この付着するインクは塗布液と反応するため、濃度向上や滲みの防止が可能となる。以上の記録媒体の搬送と記録ヘッドの走査とを繰り返すことにより、記録媒体Pに対して記録がなされる。
なお、本実施形態では、記録媒体に対する液体塗布に伴い、その塗布が終了した部分に対して順次記録を行うものである。すなわち、塗布ローラから記録ヘッドへ至る搬送路の長さが記録媒体の長さよりも短く、記録媒体上の液体の塗布がなされた部分が記録ヘッドによる走査領域に至るときに、記録媒体の他の部分に塗布機構によって塗布が行われる形態である。この形態により、記録媒体の所定量の搬送ごとに、記録媒体の異なる部分で、順次、液体塗布と記録がなされていく。しかし、本発明の適用する上で、別の形態として、特許文献2に記載されるように、1つの記録媒体に対する塗布が完了してから記録を行うものであってもよい。
また、本発明における記録装置においては、液体塗布機構によって、蛍光増白剤を含有する液体を塗布することにより、媒体の白色度を向上させることが可能である。このとき、前記液体塗布後の記録手段は、インクジェット記録方式に限られず、熱転写方式、電子写真方式などの記録方式でも効果を得ることができる。
また、銀塩写真方式の記録装置において、記録前に、感光剤を塗布してもよい。
本発明の液体塗布装置に係る実施形態の全体構成を示す斜視図である。 図1に示した塗布ローラ、カウンターローラおよび液体保持部材などの配置の一例を示す縦断側面図である。 図1および図2に示した液体保持部材の正面図である。 図3に示した液体保持部材をIV−IV線にて切断した端面を示す端面図である。 図3に示した液体保持部材をV−V線にて切断した端面を示す端面図である。 図3に示した液体保持部材の平面図である。 図3に示した液体塗布部材の当接部を液体塗布ローラに当接させた状態を示す左側面図である。 図3に示した液体塗布部材の当接部を液体塗布ローラに当接させた状態を示す右側面図である。 本発明の実施形態において、液体保持部材と塗布ローラとによって形成される液体保持空間に塗布液が充填され、塗布ローラの回転により塗布媒体に液体が塗布されている状態を示す縦断断面図である。 本発明の実施形態において、液体保持部材と塗布ローラとによって形成される液体保持空間に塗布液が充填され、塗布媒体が存在しない状態で塗布ローラを回転させた状態を示す縦断断面図である。 本発明の実施形態における液体塗布装置の液体流路の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態における制御系の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態における液体塗布動作シーケンスを示すフローチャートである。 本発明の実施形態における塗布ローラ1001と液体保持部材2001の当接部に塗布液が貯まっていることを示す模式図である。 本発明の実施形態における記録媒体を塗布した後も、塗布ローラ1001と液体保持部材2001の当接部には塗布液が貯まっていることを示す模式図である。 本発明の実施形態における液体塗布動作シーケンスを示すフローチャートである。 本発明の実施形態における閾値と予備回転数との関係を示す図である。 本発明の実施形態において、媒体が普通紙である場合にその媒体の表面と塗布面での塗布過程を説明する説明図であり、塗布ローラ1001とカウンタローラ1002とのニップ部より下流側での状態を示している。 本発明の実施形態における液体塗布動作シーケンスを示すフローチャートである。 本発明の実施形態における予備回転シーケンスのルックアップテーブルの具体例を示した図である。 本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成を示す縦断側面図である。 図21に示したインクジェット記録装置の要部を示す斜視図である。 本発明の実施形態において、媒体が普通紙である場合にその媒体の表面と塗布面での塗布過程を説明する説明図であり、塗布ローラ1001とカウンタローラ1002とのニップ部より上流側での状態を示している。 本発明の実施形態において、媒体が普通紙である場合に媒体の表面と塗布面での塗布過程を説明する説明図であり、塗布ローラ1001とカウンタローラ1002とのニップ部での、媒体Pの表面と塗布ローラ1001の塗布面の状態を示している。
符号の説明
1001 塗布ローラ
1002 カウンターローラ
2002 空間形成部材
2006 バネ手段
2010 上縁部
2011 下縁部
6001 領域Aに溜められた塗布液

Claims (10)

  1. 媒体に接触して液体を塗布するための塗布部材を回転させるための回転手段と、
    前記塗布部材と、前記塗布部材に当接して形成される液体保持空間に液体を保持するための保持部材とを備え、前記回転手段によって前記塗布部材を回転させることにより、前記液体保持空間内の液体を前記塗布部材を介して前記媒体に塗布する液体塗布手段と、
    前記回転手段を制御する制御手段
    を備え
    前記制御手段は、前記媒体への前記液体の塗布を支持する情報を受信すると、前記媒体が前記塗布部材と接触する前に前記回転手段によって前記塗布部材を回転させて、前記塗布部材の表面が前記保持部材に突入する側における前記塗布部材と前記保持部材との当接部分よりも回転方向上流側の部分であって、前記媒体が搬送されたときに前記塗布部材と当接する部分よりも回転方向下流側の部分に、前記液体の溜まりを形成する予備回転動作を行うように前記回転手段を制御すること
    を特徴とする液体塗布装置。
  2. 前記制御手段は、前記液体を所定枚の前記媒体に塗布する毎に前記予備回転動作を行うように前記回転手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体塗布装置。
  3. 前記制御手段は、前記液体を一枚の前記媒体塗布する毎前記予備回転動作を行うように前記回転手段を制御することを特徴とする請求項記載の液体塗布装置。
  4. 前記制御手段は、前記液体が塗布された媒体の数が閾値に達すると、前記予備回転動作を行うように前記回転手段を制御することを特徴とする請求項記載の液体塗布装置。
  5. 前記制御手段は、前記液体を塗布すべき媒体の数に関する情報に基づいて、前記数に応じた量の前記予備回転動作を行うように前記回転手段を制御することを特徴とする請求項記載の液体塗布装置。
  6. 媒体に液体を塗布する塗布ローラと、
    前記塗布ローラに当接して形成される液体保持空間に液体を保持するための保持部材と、
    前記塗布ローラに対向して配置される対向ローラと、
    前記塗布ローラを回転させることにより、前記塗布ローラと前記対向ローラとのニップ部で持される媒体に対して、前記液体保持空間に保持される液体を前記塗布ローラを介して塗布する液体塗布手段と、
    前記塗布ローラを制御する制御手段と
    を備え、
    前記制御手段は、前記媒体が前記塗布部材と接触する前に前記塗布ローラを回転させることにより、前記塗布ローラと前記保持部材との当接部分よりも回転方向上流側に位置し、且つ前記ニップ部よりも回転方向下流側に位置する部分に、前記液体の溜まりを形成するように制御することを特徴とする液体塗布装置。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の液体塗布装置と、
    前記液体塗布装置により前記液体が塗布された媒体に対して、記録ヘッドからインクを吐出して前記媒体に画像を記録する記録手段と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 前記液体は、前記インクと反応する反応液であることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. インクと反応する反応液を記録媒体に塗布するための塗布ローラと、前記塗布ローラに当接して形成される液体保持空間に反応液を保持するための保持部材とを備え、前記塗布ローラを回転させることにより、前記液体保持空間内の反応液を前記塗布ローラを介して前記記録媒体に塗布する液体塗布手段と、
    前記塗布ローラを制御する制御手段と、
    前記液体塗布手段により前記反応液が塗布された記録媒体に対してインクを吐出するためのインクジェットヘッドと、
    を備え、
    前記制御手段は、前記記録媒体が前記塗布ローラ接触する前に前記塗布ローラを回転させることにより、前記塗布ローラの表面が前記保持部材に突入する側における前記塗布ローラと前記保持部材との当接部分よりも回転方向上流側の部分であって、前記記録媒体が搬送されたときに前記塗布部材と当接する部分よりも回転方向下流側の部分に、前記反応液の溜まりを形成するように制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. 前記反応液は、前記インク中の色材を不溶化あるいは凝集させるための成分を含有することを特徴とする請求項8または9に記載のインクジェット記録装置。
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