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JP4510260B2 - 管状成形体の製造方法 - Google Patents

管状成形体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣竿や物干し竿等の各種竿体、ゴルフのシャフト、テニスラケットなどに使用される各種の管状成形体及びその製造方法に関し、具体的には、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを使用して製造される各種の管状成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維などの各種強化繊維を補強材とする複合材料は、軽量で、且つ強度及び弾性率にも優れていることから、日用品やスポーツ、レジャー用品などの構成部材として、或いは宇宙航空機用部材として幅広い分野にわたり用途開発がなされ、また、実用化されている。
【0003】
例えば、釣竿やゴルフのシャフトなどの各種の管状成形体を複合材料により製造するにあたっては、通常、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグをマンドレルに巻き回し、その上にPPテープを巻き回して安定させた後、これを加熱炉にて加熱し前記樹脂を硬化させ、その後、冷却して成形脱型、脱PPテープを行う。その後、用途に応じて研磨、各種塗装等の工程が施される。
【0004】
ところで、上述したような管状成形体の場合には、特にその長さ方向及び周方向での強度が重要であるため、強化繊維をそれら二方向に延在させることが必要となる。一般に、管状成形体に用いられるプリプレグは、一方向に引き揃えられた強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させたものが使用されている。そのため、管状成形体には、強化繊維が管状成形体の長さ方向(0°の方向)に配向するように巻き回されたプリプレグの層と、強化繊維が管状成形体の周方向(90°の方向)に配向するように巻き回されたプリプレグの層とが存在する。
【0005】
特に高強度な管状成形体が得られる構造として、強化繊維を90°の方向に一周巻き回した最内層と、強化繊維を0°の方向に複数周巻き回した中間層と、強化繊維を90°の方向に一周巻き回した最外層との3層構造の管状体が知られている。
【0006】
ここで、中間層では十分な厚みとするためにプリプレグを二周以上巻き回しているが、一枚のプリプレグを複数周巻き回して構成すると、シワの発生などにより管状体の周方向に中間層の肉厚が変化することがある。また、特に、前記成形体が長さ方向に径が漸増するようなテーパ状の場合には、プリプレグの巻き始めにおいて繊維を0°の方向にしていても、巻き終わりでは繊維が斜めの方向となってしまい、管状体の長さ方向での強度が不十分となる。
【0007】
そこで、例えば特開昭55−74739号公報に開示された釣竿では、1周ごとに1枚のプリプレグシートを用いて複数周巻き回すことにより、各周での繊維の方向を0°の方向に維持している。
【0008】
しかしながら、この場合、1周ごとのプリプレグシートが互いにその巻き始め端縁と巻き終わり端縁とが正確に一致するようプリプレグを裁断することは困難であり、そのため、巻き始め端縁と巻き終わり端縁とが一部重なってしまうこともある。この重なりにより、得られる成形体には肉厚が局部的に大きくなり、繊維の密度も局部的に高い部分が形成されてしまい、表面の平滑性が低下するばかりでなく、周方向における強度にバラツキが生じる。
【0009】
このバラツキを排除するために、例えば特開平10−291265号公報に開示された管状体では、強化繊維が0°の方向のプリプレグを1周ごとに1枚、複数周、巻き回す際に、一枚目のプリプレグシートの巻き始め端縁と巻き終わり端縁とが重合せずに所望の目開き部が形成されるよう、意図的に寸法を短くして巻き回し、その外周面に、一枚めの目開き部の位置で端縁同士が重合するように2枚目のプリプレグシートを巻き回している。
【0010】
このように巻き回されたプリプレグは、加熱して硬化される際に内周側のプリプレグの前記目開き部に外周側のプリプレグシートの重合部分のマトリックス樹脂及び繊維が流動し、前記目開き部により不足する前記樹脂及び繊維を補うことができるため、得られる管状体は周方向での肉厚変化をなくすことができるとしている。
【0011】
ところで、近年ではプリプレグにおけるマトリックス樹脂の含有量を低下させる様々な技術の進歩により、樹脂含有量が25%以下のプリプレグが釣竿等の管状成形体に使用されるようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
この余剰樹脂量の少ないプリプレグを用いて、上述した特開平10−291265号公報に開示されたように、樹脂を硬化させる成形工程において樹脂及び繊維の流動を利用して成形体を製造しようとする場合に、樹脂含有量の少ないプリプレグでは流動する樹脂量も少なくなり、そのため樹脂の流動と同時に発生する繊維の流動性も低下する。その結果、管状成形体の表面にプリプレグの段差に起因する凹凸が目立つようになっている。この表面平滑性の低下により、塗装に斑を生じ、製品の品質も低下する。また、成形体の周方向における繊維の密度にも斑が生じ、周方向での剛性分布が大きく変化するという問題も生じる。
【0013】
更には、成形体の用途によっては、先端部では二周、手元部では三周巻き回すという従来から用いられてきた巻付けパターンで巻き回す場合に、中央部では二周半程度の半端な巻き回し回数となるため、全ての層の巻き回し回数を一致すべく、上記特開平10−291265号公報に開示されているような、各周ごとに1枚のプリプレグシートを巻き回す方法を採用することができない。
【0014】
更には、上記特開平10−291265号公報にあっても、一枚目の前記目開き部と二枚目の重合部との寸法を一致させる必要があるため、依然としてプリプレグを精密な寸法でカットしなければならない。このように精密な寸法にカットされた小さいプリプレグシートを多数枚用意しなければならず、生産能率が低下する。また、前記目開き部の位置と重合部の位置を正確に一致させて二周目のプリプレグを巻き回す必要があるため、その作業も煩雑となり作業効率が著しく低下する。更には、相対的に高価な薄物のプリプレグを多層に巻く必要が生じるため、そのロス部分も多くなり、価格にも影響を与える。
【0015】
本発明はかかる従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、周方向での偏肉及び強化繊維密度のバラツキが少なく、周方向での剛性分布が略均一である管状成形体と、かかる管状成形体を簡単な方法で且つ高効率に製造できる製造方法とを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係る発明で得られる繊維強化複合材料からなる管状成形体は、周方向における強化繊維の密度及び曲げ剛性の分布が略均一であることを特徴としている。
このように、周方向における強化繊維の密度及び曲げ剛性の分布が略均一である管状成形体は、強度に方向性がないため、ゴルフシャフトや釣竿等の製品に仕上げる場合にも、周方向の特性を考慮せず製作が可能となり、また任意の向きで使用することもでき、製造効率及び使い勝手が向上する。また、同管状成形体を使用した各種製品は均一な強度を有するため、撓みや歪も均一であり、品質に優れたものとなる。更には、局部的に脆弱な部位もなく、使用にあたっての安全性も高い。
【0017】
更に、かかる強化繊維の密度の分布が周方向に略均一であり、曲げ剛性の分布も周方向に略均一である管状成形体は、多様な用途に利用可能である。特に、ゴルフクラブ用シャフトや竿体である。
【0018】
上述したような管状成形体を製造するために、本件請求項1に係る発明は、マンドレルにプリプレグを所要の繊維角度をもって複数層に巻き回した後、前記プリプレグを硬化させてなる管状成形体の製造方法において、前記管状成形体の長手方向に繊維を配向させて一周以上を巻き回されたプリプレグ(P1)の巻き終わり端縁に、同プリプレグ(P1)と実質的に同一方向に繊維が配向された他のプリプレグ(P2)の巻き始め端縁を突き合わした状態で配すること、及び先のプリプレグ(P1)の巻き始め端縁と、前記他のプリプレグ(P2)の巻き終わり端縁とを、前記管状成形体の長手方向に沿った同一の縦断面上に実質的に配するよう巻き回すことを含み、前記他のプリプレグ(P2)の樹脂含有量が前記先のプリプレグ(P1)の1.1〜1.4倍であり同一の厚みをもつことを特徴としている。
【0019】
本発明にあっては、長手方向に繊維が配向している層を構成するプリプレグとして一周以上を巻き回すプリプレグ(P1)と、その巻き終わり端縁に同プリプレグ(P1)と実質的に同一方向に繊維が配向された他のプリプレグ(P2)とを、同他のプリプレグ(P2)の巻き始め端縁を突き合わした状態で巻き回している。更には、先のプリプレグ(P1)の巻き始め端縁と、前記他のプリプレグ(P2)の巻き終わり端縁とを、前記管状成形体の長手方向に沿った同一の縦断面上に実質的に配するよう巻き回している。
【0020】
前記先のプリプレグ(P1)は連続して一周以上巻き回されるため、特に一周目の巻き始め端縁に二周目のプリプレグが乗り上げる部分において、わずかに隙間が生じ、段差も生じる。ここで本発明にあっては、上述したように前記先のプリプレグ(P1)の巻き始め端縁位置と、前記他のプリプレグ(P2)の巻き終わり端縁位置とを実質的に一致させる、つまり先のプリプレグ(P1)の巻き始め端縁位置と、前記他のプリプレグ(P2)の巻き終わり端縁位置とを、その巻き方向における同一位相上にくるように配することにより、前記隙間の直上位置に繊維の配向を同じくする前記他のプリプレグ(P2)が存在することとなる。
【0021】
この前記隙間の直上位置にくる他のプリプレグ(P2)は、その肉厚を先のプリプレグと略一致させると共に、前記先のプリプレグ(P1)よりも樹脂含有量を多くしている。従って、前記他のプリプレグ(P2)は、加熱硬化時の樹脂及び繊維の流動性が高く、外側から絞られる状態で成形させる際に、樹脂含有量の多い前記他のプリプレグ(P2)の樹脂及び繊維の流動が円滑になされ、前記隙間に十分量の樹脂及び繊維が充填され、切り替え部分の段差が相殺されて均一な肉厚となり、表面が平滑になる。また、このとき、重なり合う2つのプリプレグ(P1,P2) は繊維の配向方向が同一であり互いに繊維同士が平行であるため、両者は互いが同一周面上になじみ易く一体化し易い。
【0022】
また、前記先のプリプレグ(P1)が樹脂含有量の少ないプリプレグであっても、複数周を単一枚の先のプリプレグ(P1)を連続して巻き回し、従来のように各周ごとに重合部分や比較的大きな隙間を意図的に形成していないため、前記隙間の形成されている部分以外の部位では、樹脂や繊維を積極的に流動させる必要が少なく、その均一な繊維密度が成形時に損なわれることもない。その結果、強化繊維の密度が周方向に一定となり、得られた成形体も周方向に均一な曲げ剛性が得られる。
【0023】
本件請求項2に係る発明は、前記他のプリプレグ(P2)をその厚みの30〜50倍の長さで巻き回すことを特徴とする。かかる長さで巻き回すことにより、流動に十分な樹脂量を確保できると共に、強化繊維の密度分布を略均一に維持することができる。
【0024】
本件請求項3に係る発明は、前記先のプリプレグ(P1)と、前記他のプリプレグ(P2)とは、それぞれを構成する強化繊維のTMの比(P1)/(P2) が0.5〜1であることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態による管状成形体の断面図である。
【0026】
前記管状成形体1は、強化繊維の配向方向が異なる3つの層2,3,4から構成されている。最内層2及び最外層4は同成形体1の周方向(90°の方向)に強化繊維が配向しており、中間層3では同成形体1の長さ方向(0°の方向)に強化繊維Fが配向している。前記最内層2及び最外層4は薄肉であり、中間層3は前記最内層2及び最外層4の2倍以上の肉厚に形成されている。
【0027】
図2は上記管状成形体1の成形前の状態を示す断面図、図3は成形前の前記管状成形体1を周方向に開いた分解説明図である。同成形体1を製造するには、先ず、管状成形体1の内周面形状と同一の外周形状をもつマンドレル10を準備する。
【0028】
前記最内層2及び最外層4は、それぞれ1枚のプリプレグ2a,4aから構成されている。前記プリプレグ2a及び4aは、前記成形体1が例えばその長さ方向にわたって同一の径をもつ筒体である場合には、繊維延在方向に直交する方向の長さが前記管状成形体1の長さ寸法であり、同繊維延在方向の長さが前記管状成形体1の周寸法の長方形に裁断されている。
【0029】
前記中間層3は、2枚のプリプレグ3a及び3bから構成されている。2枚の前記プリプレグ3a,3bのうち1枚のプリプレグ3aは、繊維延在方向の長さが前記管状成形体1の長さ寸法であり、同繊維延在方向に直交する方向の長さが前記管状成形体1の周寸法の2倍よりも僅かに短い寸法の長方形状に裁断されている。他のプリプレグ3bは、繊維延在方向の長さが前記管状成形体1の長さ寸法であり、同繊維延在方向に直交する方向の長さが同プリプレグ3bの厚みの略30〜50倍の長さ寸法の長方形状に裁断されている。そして、これら2枚のプリプレグ3a,3bを繊維延在方向の端縁を突き合わせて連結したときに、その繊維延在方向に直交する方向の寸法が、前記管状成形体1の周寸法の2倍の長さとなるようにしている。従って、長尺なプリプレグ3aに続いて短尺なプリプレグ3bを巻き回すと、前記短尺なプリプレグ3bの巻き終わり端縁が前記長尺なプリプレグ3aの巻き始め端縁と同一径上にくる。
【0030】
更に本発明にあっては、短尺な前記他のプリプレグ3bが、長尺な前記プリプレグ3aよりも樹脂含有量が1.1〜1.4倍であることが重要である。また、両プリプレグ3a,3bに使用されている強化繊維は、同質で同寸法であることが好ましい。
【0031】
なお、前記成形体1がその長さ方向に径を漸増させるテーパ状の筒体である場合には、前記最内層2のプリプレグ2aは、上底が短径端の周寸法、下底が長径端の周寸法であり、高さが前記管状体の長さ寸法である台形状に裁断される。また、中間層3のプリプレグ3a,3bは、両者3a,3bを連結したときの形状が、上底が短径側の最内層2の外周寸法の複数倍、下底が長径側の最内層2の外周寸法の複数倍であり、高さが前記管状体の長さ寸法である台形状に裁断される。更に最外層4のプリプレグ4aは、上底が中間層3の外周寸法、下底が長径側の中間層3の外周寸法、高さが前記管状体の長さ寸法である台形状に裁断される。
【0032】
上述した形状に裁断された四枚のプリプレグ2a,3a,3b,4aのうち、先ず、最内層2を構成するプリプレグ2aを、同プリプレグ2aの強化繊維の配向方向をマンドレル10の周方向に向け、すなわち90°の方向で1周、巻き回す。
【0033】
次に、中間層3を構成するプリプレグ3a,3bのうち長尺なプリプレグ3aを、強化繊維の配向方向をマンドレル10の長手方向、すなわち0°の方向に向けて90°の方向の前記プリプレグ2aの外周に、略2周弱巻き回す。続いて短尺で樹脂含有量の多い前記プリプレグ3bを、その巻き始め端縁を前記プリプレグ3aの巻き終わり端縁に突き合わせて巻き回す。
【0034】
そして、最後に最外層4を構成するプリプレグ4aを、その強化繊維の配向方向を90°の方向に向けて1周、巻き回す。更に、その外側にPPテープを巻き付けてから、その巻き体を加熱し、前記プリプレグの樹脂を硬化させる。
その後、成形脱型及び脱PPテープを常法により行い、筒状成形体が得られる。なお、前記成形体の用途に応じて、研磨、塗装等の後処理がなされる。
【0035】
本発明にあっては、上述したように、中間層のプリプレグとして長尺なプリプレグ3aの巻き終わり端縁に、樹脂含有量の多い短尺なプリプレグ3bの巻き始め端縁を付き合わせた状態で連結している。前記長尺なプリプレグ3aは連続して複数周、巻き回され、このとき、特に1周目の巻き始め端縁に2周目のプリプレグ3aが乗り上げる切り替え部分において、わずかに隙間5が生じ、段差も生じる。
【0036】
しかしながら、本発明にあっては、上述したように、長尺なプリプレグ3aの巻き終わり端縁3aに上述したように樹脂含有量の多い端尺なプリプレグ3bを連結し、同プリプレグ3bの巻き終わり端縁がプリプレグ3aの巻き始め端縁と同一径上にくるようにしている。そのため、上述したように最外層4のプリプレグ4aとPPテープとにより外側から押えられた状態で成形される際に、前記隙間の形成されている部分では、特に樹脂含有量の多いプリプレグ3bが存在しているため、樹脂及び繊維の流動が円滑になされ、前記隙間に十分量の樹脂及び繊維が充填され、切り替え部分の段差が相殺されて均一な肉厚となり、表面が平滑になる。また、このとき、重なり合うプリプレグ3a,3bは繊維の配向方向が同一であり互いに繊維同士が平行であるため、両者は互いになじみ易く一体化し易い。
【0037】
また、前記プリプレグ3aが樹脂含有量の少ないプリプレグであっても、複数周を単一枚のプリプレグ3aを連続して巻き回しており、従来のように各周ごとに重合部分や比較的大きな隙間を意図的に形成していないため、前記隙間の形成されている部分以外の部位では、樹脂や繊維を積極的に流動させる必要が少なく、その均一な繊維密度が成形時に損なわれることもない。したがって、得られた成形体は周方向に均一な曲げ剛性が得られる。
【0038】
以下、本発明について具体的な実施例及び比較例を挙げて更に詳しく説明する。なお、実施例及び比較例において以下に示す条件は同一とした。
<マンドレル>
長さ方向に同一径をもつ、直径が10mmのストレートマンドレル
<プリプレグの巻き回しパターン>
最内層:強化繊維が90°の方向に1周
中間層:強化繊維が0°の方向に2周
最外層:強化繊維が90°の方向に1周
【0039】
<90°の方向(最内層、最外層)のプリプレグ>
1.最内層(プリプレグ2a)
三菱レイヨン(株)製炭素繊維プリプレグ「HRX330E032S 」
炭素繊維:HR40(繊度0.1g/m、弾性率40t/smm )
炭素繊維目付:32g/m2
樹脂:#330
樹脂含有量:30%
厚さ:0.029mm
繊維延在方向の寸法32mm×繊維直交方向の寸法700mm
2.最外層(プリプレグ4a)
三菱レイヨン(株)製炭素繊維プリプレグ「HRX330E032S 」
炭素繊維:HR40(繊度0.1g/m、弾性率40t/smm )
炭素繊維目付:32g/m2
樹脂:#330
樹脂含有量:30%
厚さ:0.029mm
繊維延在方向の寸法36mm×繊維直交方向の寸法700mm
【0040】
<成形方法>
上記プリプレグ2a,3a,3b,4aを順に巻き回した上から10mm巾のPPテープをピッチ5mmで巻き回し、150℃2時間で硬化した。その後、成形脱型脱PPテープを常法により行った。
両端各25mmをカットして、成形体の長さを650mmとした。
【0041】
<品質評価>
1.フレックスの確認
管状成形体を周方向に10°づつに分割して各方向のフレックスの違いを測定した。
2.厚み分布の測定
管状成形体の壁の厚み斑をノギスで測定した。
3.偏肉の度合い
目視で確認すると共に、前記成形体を塗装してから、その塗装斑の有無により品質を確認した。
【0042】
「実施例1」
0°の方向(中間層)のプリプレグとして以下のものを用いた。
プリプレグ3a:三菱レイヨン(株)製の炭素繊維プリプレグ「HSX350B160S 」
炭素繊維:HS40(繊度 0.43 g/m 、弾性率 46 t/smm )
炭素繊維目付:150g/m2
樹脂:#350
樹脂含有量:20%
厚さ:0.111mm
繊維延在方向の寸法700mm×繊維直交方向の寸法65mm
プリプレグ3b:三菱レイヨン(株)製の炭素繊維プリプレグ「HSX350C150S 」
炭素繊維:HS40(繊度 0.43 g/m 、弾性率 46 t/smm )
炭素繊維目付:139g/m2
樹脂:#350
樹脂含有量:25%
厚さ:0.113mm
繊維延在方向の寸法700mm×繊維直交方向の寸法5mm
【0043】
「実施例2」
0°の方向(中間層)のプリプレグとして、上記実施例の炭素繊維をHS40からHR40へ変更したものを用いた以外は、上記実施例1と同一のものを用いた。
【0044】
「実施例3」
0°の方向(中間層)のプリプレグのうち、樹脂含有量が多くて短尺なプリプレグ3bの樹脂含有量を30%とし、同プリプレグ3bの厚みが0.113mmとなるように炭素繊維目付を調整したものを用いた。
【0045】
「比較例」
0°の方向(中間層)のプリプレグとして、実施例1の長尺なプリプレグ3aと同一のプリプレグを、繊維延在方向の寸法700mm×繊維直交方向の寸法70mmに裁断したものを1枚、使用し、樹脂含有量の多い短尺なプリプレグ3bは用いずに成形体を製造した。
【0046】
「結果」
実施例1〜3の管状成形体は、その表面を手で触って凹凸を確かめたところ、凹凸は感知できなかったが、比較例の管状成形体では、中間層のプリプレグの巻き終わり部分がはっきり感知できた。
【0047】
また、それぞれの管状成形体を手で折って周方向の曲げ剛性の分布を調べたところ、実施例1〜3ではその曲げ剛性の差は殆どわからなかったが、比較例は曲げ剛性の高い方向があるのが判った。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な実施形態による管状成形体の断面図である。
【図2】図1の管状成形体の成形前の断面図である。
【図3】図2の成形前の管状成形体を周方向に開いた分解説明図である。
【符号の説明】
1 管状成形体
2 最内層
2a プリプレグ
3 中間層
3a プリプレグ(長尺)
3b プリプレグ(短尺で樹脂含有量が多い)
4 最外層
4a プリプレグ
5 隙間
10 マンドレル
F 強化繊維

Claims (3)

  1. マンドレルにプリプレグを所要の繊維角度をもって複数層に巻き回した後、前記プリプレグを硬化させてなる管状成形体の製造方法において、
    前記管状成形体の長手方向に繊維を配向させて一周以上を巻き回されたプリプレグ(P1)の巻き終わり端縁に、同プリプレグ(P1)と実質的に同一方向に繊維が配向された他のプリプレグ(P2)の巻き始め端縁を突き合わした状態で配すること、及び
    先のプリプレグ(P1)の巻き始め端縁と、前記他のプリプレグ(P2)の巻き終わり端縁とを、前記管状成形体の長手方向に沿った同一の縦断面上に実質的に配するよう巻き回すことを含み、
    前記他のプリプレグ(P2)の樹脂含有量が前記先のプリプレグ(P1)の1.1〜1.4倍であり同一の厚みをもつことを特徴とする管状成形体の製造方法。
  2. 前記他のプリプレグ(P2)をその厚みの30〜50倍の長さで巻き回すことを特徴とする請求項1記載の管状成形体の製造方法。
  3. 前記先のプリプレグ(P1)と、前記他のプリプレグ(P2)とは、それぞれを構成する強化繊維の引張弾性率TMの比(P1)/(P2) が0.5〜1であることを特徴とする請求項1又は2記載の管状成形体の製造方法。
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