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JP4507920B2 - ランフラットタイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ビード部のタイヤ幅方向外側に膨出した環状膨出部に第2ビードを配したサイド補強型のランフラットタイヤの製造方法に関するものである。
ランフラットタイヤとは、パンク等の障害によりタイヤ内部の空気圧が低下した場合であっても、ある程度の距離を安全に走行することができるタイヤを言う。このようなランフラット走行を可能にするためのタイヤ構造の1つとして、サイドウォール部に補強ゴム層を備えたランフラットタイヤが知られている。係るランフラットタイヤによれば、タイヤ内部の空気圧が低下した際、補強ゴム層がタイヤを支持して完全に偏平化することを防止し、ランフラット走行が可能となる。
ところが、タイヤ内部の空気圧が低下した状態では、ビード部のリムへの押圧が弱まっているため、リムとの嵌合力が低下し、ビード部がリムから外れ易くなるという問題があった。そのため、リムのビードシート部外周側に配されるビードとは別に、ビード部のタイヤ幅方向外側に膨出した環状膨出部にビードを配した、いわゆるダブルビードタイプのランフラットタイヤが提案されている(下記特許文献1〜3参照)。係る構造によれば、ビードにより高弾性を有する環状膨出部が、ランフラット走行時にリムフランジを抱持してリム外れを防止しうる。
図9は、従来のダブルビードタイプのランフラットタイヤを示すタイヤ子午線断面図である。ビード部1には、ビード1aおよびビードフィラー12が設けられ、それらを挟み込むようにカーカスプライ14が内側から外側に巻き上げられる。サイドウォール部2には、外側にサイドウォールゴム11が配されるとともに、内側に断面略三日月状をなす補強ゴム層9が配される。環状膨出部10は、ビード部1のタイヤ幅方向外側に膨出して形成され、環状のビード1bを有する。また、補強層16は、環状膨出部10の内周面に沿って配され、リムストリップゴム17は、リム8に直接接触する部分に配される。
係るランフラットタイヤにおいては、ランフラット走行時において、サイド補強部が撓んでカーカスに張力が生じると、ビードトゥが持ち上がり易くなり、そのためビードが外れ易くなると言う問題があった。これを回避するために、ビードの締め付け力を増加させたり、タイヤの撓み量を減少させようとすると、過大な補強が必要となり、リム組みの困難性や重量増加を伴うという問題があった。
一方、上記のようなランフラットタイヤは、以下の製造工程を経て製造していた。即ち、図10の(a)〜(c)に順次示すように、まず、成形ドラムの外周面を被形成面20として、その外周側にインナーライナー層5となるインナーライナーゴム19、および補強ゴム層9となる補強ゴム部材18をそれぞれ配設する。そして、その外周側にカーカスプライ14を配設し、所定の位置にビード1aおよびビードフィラー12を外挿する。続いて、カーカスプライ14を巻き上げ、ビード1aおよびビードフィラー12を挟み込むように配設する。次に、成型ドラムの被形成面20を僅かに拡張させる等の手段でビード1a、ビードフィラー12およびカーカスプライ14を垂直に近づける。そのカーカスプライ14の外周側に、環状膨出部10を構成するゴム部材22、第2ビード1bの他、補強層、リムストリップゴムおよびサイドウォールゴムなどを配設する。この第2ビード1bは、ビードワイヤを螺旋巻きにして、別途ビードワイヤの集合体として作製したものを使用する。その後、当該成形物をタイヤ形状に沿って変形させ、トレッド部3を形成して加硫工程に移行する。
しかしながら、上記の製造方法では、円環状の第2ビード1bを配設する際に、タイヤ軸に対して偏心しないように貼り付ける機構が必要となる。また、予めビードワイヤの集合体を作製する際に、巻回の支持機構や集合体を集束させる装置が大がかりになるという問題もあった。更に、成形物をタイヤ形状に拡張・変形させる前に、第2ビード1bを配設するため、成形物の拡張・変形の際に、第2ビード1bの偏心や断面形状の変形なども生じ易くなるという問題がある。
一方、ランフラットタイヤでない通常の空気入りタイヤでは、成形物上にビードワイヤを螺旋巻きにして、ビード(第1ビードに相当する)を形成するタイヤの製造方法が知られている(例えば、特許文献4〜5参照)。しかし、これらの製造方法は、タイヤの内面形状と同じ外形の環状コアを使用して、これに構成部材を順次配設(貼り付け)していく工法を採用しており、ランフラットタイヤの場合、このような工法は採用されていない。従って、ランフラットタイヤの製造方法では、成形物上にビードワイヤを螺旋巻きにしてビードを形成する方法は、これまで知られていなかった。
特開昭51−116507号公報 特開昭53−138106号公報 特開2002−178725号公報 特表2004−501815号公報 特表2003−514706号公報
そこで、本発明の目的は、従来法と比較して偏心が生じにくいため、ユニフォミティが良好なランフラットタイヤを、簡易な設備及び工程で製造することができるランフラットタイヤの製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明のランフラットタイヤの製造方法は、成形ドラムの外周の所定位置にインナーライナーゴムと両側サイドウォール部を補強する補強ゴム部材とカーカスプライとを各々配設する工程と、一対の第1ビードおよびビードフィラーを配設して、その第1ビードより内側をトロイド状に変形させる工程と、その変形の前又は後に前記カーカスプライの端部を巻き上げて貼り付ける工程と、トロイド状の成形物の前記ビードフィラーの側方に環状膨出部を構成するゴム部材を貼り付ける工程と、貼り付け後の成形物を軸心回りに回転させながら、前記ゴム部材にコードをらせん状に貼り付けて第2ビードを形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明のランフラットタイヤの製造方法によれば、トロイド状の成形物を軸心回りに回転させながら、前記ゴム部材にコードをらせん状に貼り付けるため、円環状の第2ビードを配設する従来装置のような偏心防止機構が必要なくなる。また、従来法と比較して、貼り付け時に偏心が生じにくく、成形物の拡張・変形の際の偏心や断面形状の変形なども生じにくく、ユニフォミティが良好となる。また、予めビードワイヤの集合体を作製する必要がなく、コードの貼り付け装置のみの追加で製造できるため、簡易な設備及び工程でタイヤを製造することができる。
上記において、成形ドラムの外周の所定位置にインナーライナーゴムと両側サイドウォール部を補強する補強ゴム部材とを配設する共に、それぞれの補強ゴム部材のドラム幅方向の外側端付近から更に外側にコードが幅方向に配列したカーカスプライを各々配設する工程と、そのカーカスプライのドラム幅方向内側端よりやや外側に一対の第1ビードおよびビードフィラーを配設する工程と、得られた成形物の前記第1ビードより内側をトロイド状に変形させる工程と、この変形後の成形物の外周側に前記各々のカーカスプライの外側端を巻き上げて貼り付ける工程とによって、前記トロイド状の成形物を形成することが好ましい。
この製造方法によると、補強ゴム部材の外側にカーカスプライを配設した後、その内側端よりやや外側に一対の第1ビードおよびビードフィラーを配設してから、第1ビードより内側をトロイド状に変形させるため、カーカスプライの内側巻き上げ部をビードの内側に容易に配設することができる。また、このようにして得られた成形物の外周側にカーカスプライの外側端を巻き上げて貼り付けるため、シェーピング後の補強ゴム部材に対してカーカスプライの圧着が容易になる。その結果、重量の増加を伴わずにビード外れ耐久性に優れるランフラットタイヤを、良好な生産性にて製造することができる。更に、カーカスプライの一端が第1ビードの外側から内側に巻き上げられたタイヤとなるため、ランフラット走行時において、サイド補強部が撓んでカーカスに張力が生じると、ビード回りにモーメントが生じてビードトゥがリムのビードシートに押し付けられるので、ビード外れが生じにくくなる。
また、前記コードが未加硫ゴムを被覆したコードであり、そのコードを同一面にらせん状に貼り付けた後、続いてその貼り付けたコードによって形成された面の上面にそのコードをらせん状に貼り付ける工程を繰り返し行うことが好ましい。未加硫ゴムを被覆したコードを用いると、コード間の接着が容易になり、上記工程の繰り返しにより、複数の層からなる第2ビードを形成することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の製造方法で得られるランフラットタイヤの一例を示すタイヤ子午線断面図であり、図2は、そのビード部を模式的に示した要部断面図である。また、図3〜図5は、本発明の製造方法の一例を示す工程図である。
本発明のランフラットタイヤの製造方法は、成形ドラムの外周の所定位置にインナーライナーゴムと両側サイドウォール部を補強する補強ゴム部材とカーカスプライとを各々配設する工程と、一対の第1ビードおよびビードフィラーを配設して、その第1ビードより内側をトロイド状に変形させる工程と、その変形の前又は後に前記カーカスプライの端部を巻き上げて貼り付ける工程とを含み、これによってトロイド状の成形物を得る。更に本発明は、このトロイド状の成形物の前記ビードフィラーの側方に環状膨出部を構成するゴム部材を貼り付ける工程と、貼り付け後の成形物を軸心回りに回転させながら、前記ゴム部材にコードをらせん状に貼り付けて第2ビードを形成する工程とを含む。
本実施形態は、図3〜図5に示すように、成形ドラム20の外周の所定位置にインナーライナーゴム19と両側サイドウォール部を補強する補強ゴム部材18とを配設する共に、それぞれの補強ゴム部材18のドラム幅方向の外側端付近から更に外側にコードが幅方向に配列したカーカスプライ14を各々配設する工程と、そのカーカスプライ14のドラム幅方向内側端よりやや外側に一対の第1ビード1aおよびビードフィラー12を配設する工程と、得られた成形物の前記第1ビード1aより内側をトロイド状に変形させる工程と、この変形後の成形物の外周側に前記各々のカーカスプライ14の外側端14bを巻き上げて貼り付ける工程とによって、前記トロイド状の成形物を形成する例を示す。
まず、この実施形態によって得られるランフラットタイヤについて説明する。
[本実施形態のランフラットタイヤ]
本実施形態のランフラットタイヤは、図1〜図2に示すように、一対のビード部1と、ビード部1から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部2と、サイドウォール部2間に設けられたトレッド部3とを備える。ビード部1には、ビードワイヤの集束体がタイヤ周方向に環状をなすビード1a(前記第1ビードに相当する。)が配されるとともに、ビード1aのタイヤ外周には、断面がタイヤ径方向に延びる三角形状をなすビードフィラー12が配される。また、リム8に直接接触する部分には、耐摩耗性に優れたリムストリップゴム17が配される。
カーカス層4は、コードをタイヤ赤道線Cに対して略90°の角度で配列したカーカスプライ14からなり、一対のビード部1に対して各々設けられる。カーカスプライ14は、その一端14aが第1ビード1aの外側から内側に巻き上げられ、他端14bがベルト層6の内側に配置されている。
本発明において、カーカスプライ14の他端14bは、ベルト層6のうち最も幅の広い層(通常は最内層)の両外側の幅60〜90%の範囲に配置されるのが好ましい。これによって、ベルト層6との協働によるタイヤ補強効果が維持できると共に、タイヤの軽量化がはかれ、転がり抵抗と乗心地が良好になる。
カーカス層4の内周側には、空気圧保持のためのインナーライナー層5が配され、トレッド部3のタイヤ内周側には、たが効果による補強を行うためのベルト層6および必要に応じてベルト補強層7が配される。ベルト層6は、コードをタイヤ赤道線Cに対して所定の角度で平行配列したベルトプライから構成される。
なお、ビードワイヤとしては鋼線等が使用され、カーカス層4やベルト層6を構成するコードとしては、スチールや、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミド等の有機繊維等が使用される。これらのコードは、いずれもゴムとの接着性を高めるべく、通常、表面処理や接着処理等がなされている。
サイドウォール部2には、外側にサイドウォールゴム11が配されるとともに、内側に断面略三日月状をなす補強ゴム層9が配される。これにより、タイヤ内部の空気圧が低下した際、タイヤの撓み変形が抑制され、ランフラット走行が可能となる。補強ゴム層9は、例えば、ゴム硬度(JISK6253のタイプAデュロメータ硬さ試験に準じて測定したゴム硬度、以下同じ。)が65〜90゜のゴム層により構成される。なお、本発明のランフラットタイヤが備える補強ゴム層9は、従来のサイド補強タイプのランフラットタイヤに用いられる補強ゴム層であれば、硬さや厚みなど特に制限されることなく何れも適用することができる。補強ゴム層9は、単一のゴム層からなるものに限られず、硬さ等の物性の異なる複数のゴム層から構成されるものでもよい。
本実施形態では、図2に示すように、更に、少なくとも一方のビード部1よりタイヤ幅方向外側に膨出し、第2ビード1bを有する環状膨出部10を備える。この環状膨出部10は、リムフランジ8aよりもタイヤ幅方向外側に膨出するとともに、リムフランジ8aの外周側湾曲面に沿った内周面を有する。これにより、環状膨出部10がリムフランジ8aを効果的に抱持して、リム外れを防止し得る。環状膨出部10は、両側のビード部1にそれぞれ形成されていることが好ましい。
環状膨出部10には、ビードワイヤがタイヤ周方向に環状をなすビード1b(前記第2ビードに相当する。)が配される。本実施形態のビード1bは、リム装着時に、その中心位置がリムフランジ8aの最外径点よりタイヤ外周側かつタイヤ幅方向外側に位置するように配されている。なお、本発明において、ビード1bの配設位置は特に限定されるものではない。
補強層16は、環状膨出部10の内周面に略沿って配設されており、これによって環状膨出部10の内周面を補強して摩滅を抑制することができる。補強層16としては、スチールコードや、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、アラミド等の有機繊維から構成されるチェーファが例示される。
カーカスプライ14は、図2に示すように、ビード1aにて外側から内側に巻き上げられ、その一端14aは、ビードフィラー12の底辺近傍に配置されている。ビードフィラー12の高さHは、例えば15〜65mmの範囲で変動可能であるが、ビード1aのタイヤ外周側端を基準としたカーカスプライ14の一端14aの高さPは、10〜20mmの範囲とするのが、ビード耐久力や軽量化の観点から好ましい。
なお、本発明によって得られるランフラットタイヤの環状膨出部10、環状ゴム体13およびビードフィラー12の断面形状は、本実施形態で示した形状に限られるものではない。
[ランフラットタイヤの製造方法]
次に、本実施形態のランフラットタイヤの製造方法について、図3〜図5を参照しながら説明する。
まず、円筒状の成形ドラム20を準備する。この成形ドラム20は、従来公知の縮径・拡径機構を有するものであり、中央部にはシェーピングを行うためのブラダー又は同様の機能を有する拡径機構を備えている。また、必要に応じて、カーカスの外側端を巻き上げるためのブラダー機構を備える。
次に、図3(a)に示すように、成形ドラム20の外周の所定位置に、インナーライナーゴム19と、両側サイドウォール部を補強する補強ゴム部材18と、カーカスプライ14とを各々配設する工程を実施する。具体的には、成形ドラム20の外周の中央に、インナーライナーゴム19の中央が位置するように配設し、中央からトレッド幅の間隔をおいて両側に補強ゴム部材18を配設する。また、それぞれの補強ゴム部材18のドラム幅方向の外側端付近から更に外側に、カーカスプライ14を各々配設する。このときカーカスプライ14を構成するコードがドラム幅方向に配列するようにする。
本実施形態では、インナーライナーゴム19の幅方向外側に、リムストリップゴム17と補強層16とを配設する例を示す。リムストリップゴム17は、インナーライナーゴム19と端面を突き合わせて、または端部が重なるように配設するのが好ましい。
次いで、図3(b)に示すように、カーカスプライ14のドラム幅方向内側端よりやや外側に一対の第1ビード1aおよびビードフィラー12を配設する工程を実施する。第1ビード1aとビードフィラー12とは、順次外挿して配設してもよいが、両者を一体に形成したものを配設するのが好ましい。
次いで、図3(c)に示すように、得られた成形物の第1ビード1aより内側をトロイド状に変形させる工程を実施する。この変形は成形ドラム20によって行うことができる。このとき、成形ドラム20にビードロック機構を設けておき、リムストリップゴム17およびカーカスプライ14等を介して、ビード1aをタイヤ内周側よりクランプしてもよい。これにより、変形を精度良く行うことができる。この変形によって、カーカスプライ14の一端14aが、インナーライナーゴム19と第1ビード1aとの間に挟み込まれた状態となる。図3(c)には、成形ドラム20の拡径部の両側面が略平面である例を示してあるが、拡径部の両側面は、タイヤ内面形状のように外側へ凸の湾曲面に形成するのが好ましい。
次いで、図4(a)に示すように、変形後の成形物の外周側に各々のカーカスプライ14の外側端(他端14b)を巻き上げて貼り付ける工程を実施する。この工程によって、トロイド状の成形物が形成される。
その際、カーカスプライ14の巻き上げは、必要によりビードロック機構を用いてビード1aを固定した状態で、手作業で個別に又は一括に行うことができる。また、ブラダーと呼ばれるゴムバッグをセットして内圧をかけることにより、カーカスプライ14を容易に巻き上げることができる。このとき、補強層16およびリムストリップゴム17が同時に巻き上げられるため、これらとカーカスプライ14との間にセパレータを介在させておき、補強層16等を引き剥がしてから次の工程を実施してもよい。
本発明は、図4(b)に示すように、トロイド状の成形物のビードフィラー12の側方に環状膨出部を構成するゴム部材13を貼り付ける工程を含む。環状ゴム体13は、同一又は2種以上のゴム部材13a,13bなどで構成されている。環状ゴム体13は、例えば、ゴム硬度が40〜75゜であり、リム8から反復して伝達される衝撃に耐え得る十分な剛性および耐クラック性を有するものが好ましい。環状ゴム体13は、ビードフィラー12のタイヤ幅方向外側に、カーカスプライ14を介在させつつ貼り付ける。
本発明は、図4(c)に示すように、貼り付け後の成形物を軸心回りに回転させながら、前記ゴム部材13にコードBWをらせん状に貼り付けて第2ビード1bを形成する工程を含む。この工程をより詳細に示したものが、図5(a)〜(b)である。図示した例では、矢印のように、まず内周側から外周側へとコードBWをらせん状に貼り付けているが、逆方向に貼り付けてもよい。
コードBWは1本又は複数本を同時に貼り付けることも可能であるが、1本で貼り付けを行うのが、ユニフォミティや強度、生産性などの観点から好ましい。コードBWの材質としては、鋼線、スチールコードや、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミド等の有機繊維等が使用できる。つまり、従来法では、予め環状のビードを作製するため、有機繊維では円環形状を維持するのが困難であったが、本発明では貼り付けを行うため、有機繊維を用いてもユニフォミティが良好になる。
また、コード間の接着を容易にする観点から、未加硫ゴムを被覆したコードを用いるのが好ましい。かかる未加硫ゴムとしては、第1ビードを製造する際に使用されるものが挙げられ、例えば、ゴム粘度が50〜80のゴムが使用される。ここで、ゴム粘度は、JIS K6300の『未加硫ゴム物理試験方法』のうち、『ムーニー粘度試験』に準拠して測定される値である。
本発明では、コードBWがらせん状に貼り付けてられていればよく、ランダムにコードBWが周回するものでもよいが(これもらせん状に含む)、図5(a)に示すように、まず、コードBWを同一面にらせん状に貼り付けるのが好ましい。また、続いてその上面にコードBWをらせん状に貼り付ける工程を繰り返し行うのが好ましい。
本実施形態では、最初の面に5周、次の面に4周、更に、3周、2周と、コードBWがらせん状に貼り付けてある例を示す。このように徐々に周回数を減らすことによって、第2ビード1bの形状を加硫工程後に維持し易くなる。また、最上層の貼り付けを2周以上にすることによって、同様に第2ビード1bの形状を加硫工程後に維持し易くなる。なお、コードBWを同一面にらせん状に貼り付けた後、ターンさせてから上面にらせん状に貼り付けることによって、2本のコードによって形成される凹部に沿って、コードBWをらせん状に貼り付けることができる。
次いで、図4(c)に示すように、補強層16およびリムストリップゴム17を巻き上げて所定の位置に貼り付ける。更に、サイドウォールゴム11を、環状ゴム体13の外周面に沿って、環状膨出部10からサイドウォール部2に向けて配設する。その後、当該成形体のタイヤ外周側にベルト層6およびベルト補強層7を形成し、更にその外周側にトレッドゴムを配してトレッド部3を形成する。
[別実施形態]
(1)前述の実施形態では、2枚のカーカスプライを用いて、前記各々のカーカスプライの外側端を巻き上げて貼り付けることによって、カーカスプライの他端が外側から内側へ巻き上げられたトロイド状の成形物を形成する例を示したが、1枚のカーカスプライを用いて、図6に示すような、従来と同様のカーカス構造を有するランフラットタイヤを製造することができる。この場合でも、前述の実施形態と同様にして、成形物を軸心回りに回転させながら、ゴム部材13にコードBWをらせん状に貼り付けて第2ビード1bを形成する工程を実施することができる。
つまり、本発明は、図7(a)〜(c)に示すように、成形ドラム20の外周の所定位置にインナーライナーゴム19と両側サイドウォール部を補強する補強ゴム部材18とカーカスプライ14とを各々配設する工程と、一対の第1ビード1aおよびビードフィラー12を配設して、その第1ビード1aより内側をトロイド状に変形させる工程と、その変形の前又は後に前記カーカスプライ14の端部を巻き上げて貼り付ける工程と含むものであればよい。
具体的には、前記のような円筒状の成形ドラム20を準備し、図7(a)に示すように、成形ドラム20の外周の所定位置に、インナーライナーゴム19と、両側サイドウォール部を補強する補強ゴム部材18と、カーカスプライ14を配設する。このとき、成形ドラム20の外周の中央に、インナーライナーゴム19の中央が位置するように配設し、中央からトレッド幅の間隔をおいて両側に補強ゴム部材18を配設し、更に中央にカーカスプライ14の中央が位置するように、カーカスプライ14を配設する。このときカーカスプライ14を構成するコードがドラム幅方向に配列するようにする。
図示していないが、インナーライナーゴム19の幅方向外側に、リムストリップゴム17と補強層16とを配設してもよい。リムストリップゴム17は、インナーライナーゴム19と端面を突き合わせて、または端部が重なるように配設するのが好ましい。
次いで、カーカスプライ14における第1ビード1aの配設位置に、一対の第1ビード1aおよびビードフィラー12を配設する工程を実施する。第1ビード1aとビードフィラー12とは、順次外挿して配設してもよいが、両者を一体に形成したものを配設するのが好ましい。
次いで、図7(b)に示すように、カーカスプライ14の端部を巻き上げて貼り付ける工程を実施するが、この工程は成形物をトロイド状に変形させる工程の後に行ってもよい。この貼り付け工程によって、巻き上げたカーカスプライ14で、第1ビード1aおよびビードフィラー12が挟み込まれた形状となる。
次いで、図7(c)に示すように、得られた成形物の第1ビード1aより内側をトロイド状に変形させる工程を実施する。この工程によって、トロイド状の成形物が形成される。この変形は成形ドラム20によって行うことができる。このとき、成形ドラム20にビードロック機構を設けておき、リムストリップゴム17およびカーカスプライ14等を介して、ビード1aをタイヤ内周側よりクランプしてもよい。これにより、変形を精度良く行うことができる。
次いで、図7(c)に示すように、トロイド状の成形物のビードフィラー12の側方に環状膨出部を構成するゴム部材13を貼り付けるが、この工程は前述の実施形態と同様にして行うことができる。
また、図7(d)に示すように、貼り付け後の成形物を軸心回りに回転させながら、前記ゴム部材13にコードBWをらせん状に貼り付けて第2ビード1bを形成するが、この工程も前述の実施形態と同様にして行うことができる。
(2)前述の実施形態では、コードをらせん状に貼り付ける際に、最初の面に5周、次の面に4周、更に、3周、2周と、貼り付ける例を示したが、コードBWをらせん状に貼り付けて、第2ビード1bを形成する際には、図8に示すように、種々の形態をとることができる。
図示した形状は、何れも上層ほど周回数が少なくなる形状(台形又は三角形)であるが、四角形のように、各層の周回数が等しい形状や、一端周回数を増加させた後に減少させる形状(6角形や8角形)などでもよい。
上記のうち、第2ビードの形状として、特に好ましいのは、ビード外れを防止する観点やリム組み性、加工性、軽量化の観点から、台形が最も優れている。
(3)前述の実施形態では、インナーライナーゴム、補強ゴム部材、リムストリップゴム、サイドウォールゴム、トレッドゴム等として、1枚のシート又は板状物を用いて成型を行う例を示したが、これらの部材は何れも、連続するゴム帯状材をスパイラル状に巻き付けて所定の形状に得ることで、配設することが可能である(いわゆるストリップ工法)。
具体的には、成型ドラム又は成型物を軸心回りに回転させながら、ゴムの押出装置からゴム帯状材を吐出して貼り付けつつ貼り付け位置を移動させることで、ストリップ工法による部材の配設が可能となる。このストリップ工法は、各種の方法が公知であり、これらを何れも採用することができる。
(4)前述の実施形態では、成形ドラムのインナーライナーゴムの幅方向外側に、予めリムストリップゴムと補強層とを配設する例を示したが、カーカスプライの巻き上げ工程を実施した後に、環状膨出部を構成するゴム部材を貼り付けてから、リムストリップゴムと補強層とを配設した後、その巻き上げを行っても良い。
この製造方法によると、カーカスプライの巻き上げ工程と、リムストリップゴムと補強層の巻き上げ工程とを、ブラダーと呼ばれるゴムバッグを用いて、順次行うことができる。
本発明で得られるランフラットタイヤの一例を示すタイヤ子午線断面図 本発明で得られるランフラットタイヤのビード部の一例を模式的に示した要部断面図 本発明のランフラットタイヤの製造方法の一例を示す工程図 本発明に係るランフラットタイヤの製造方法の一例を示す工程図 本発明に係るランフラットタイヤの製造方法の一例を示す工程図 本発明で得られるランフラットタイヤの他の例を示すタイヤ子午線断面図 本発明の製造方法の他の例を示す工程図 本発明で得られるランフラットタイヤの他の例を示す要部図 従来のランフラットタイヤの一例を示すタイヤ子午線断面図 従来のランフラットタイヤの製造方法を説明する工程図
符号の説明
1 ビード部
1a 第1ビード
1b 第2ビード
9 補強ゴム層
10 環状膨出部
11 サイドウォールゴム
12 ビードフィラー
13 環状ゴム体
14 カーカスプライ
14a 一端(内側)
14b 他端(外側)
18 サイドウォール部を補強する補強ゴム部材
19 インナーライナーゴム
20 成形ドラム
C タイヤ赤道線
BW コード

Claims (3)

  1. 成形ドラムの外周の所定位置にインナーライナーゴムと両側サイドウォール部を補強する補強ゴム部材とカーカスプライとを各々配設する工程と、一対の第1ビードおよびビードフィラーを配設して、その第1ビードより内側をトロイド状に変形させる工程と、その変形の前又は後に前記カーカスプライの端部を巻き上げて貼り付ける工程と、トロイド状の成形物の前記ビードフィラーの側方に環状膨出部を構成するゴム部材を貼り付ける工程と、貼り付け後の成形物を軸心回りに回転させながら、前記ゴム部材にコードをらせん状に貼り付けて第2ビードを形成する工程と、を含むランフラットタイヤの製造方法。
  2. 成形ドラムの外周の所定位置にインナーライナーゴムと両側サイドウォール部を補強する補強ゴム部材とを配設する共に、それぞれの補強ゴム部材のドラム幅方向の外側端付近から更に外側にコードが幅方向に配列したカーカスプライを各々配設する工程と、そのカーカスプライのドラム幅方向内側端よりやや外側に一対の第1ビードおよびビードフィラーを配設する工程と、得られた成形物の前記第1ビードより内側をトロイド状に変形させる工程と、この変形後の成形物の外周側に前記各々のカーカスプライの外側端を巻き上げて貼り付ける工程とによって、前記トロイド状の成形物を形成する請求項1記載のランフラットタイヤの製造方法。
  3. 前記コードが未加硫ゴムを被覆したコードであり、そのコードを同一面にらせん状に貼り付けた後、続いてその貼り付けたコードによって形成された面の上面にそのコードをらせん状に貼り付ける工程を繰り返し行う請求項1又は2に記載のランフラットタイヤの製造方法。
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