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JP4565997B2 - 電極保護装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ワーク品、特に金属シートの抵抗溶接の際に、電極の上方に、好ましくはこれに対して相対的に変位可能な方法で配置されたストリップ(strip)を含む電極保護のための装置に関する。また本発明は、ワーク品、特に金属シートの抵抗溶接のためのスポット溶接ツールであって、少なくとも1つの電極と、前記少なくとも1つの電極の保護のためのストリップの巻き取りおよび巻き戻しのための任意の巻き取り機構とを含むツールに関する。さらに本発明は、該スポット溶接ツールによって、2つのワーク品、特に金属シートが互いに溶接される抵抗溶接方法であって、少なくとも2つの電極が互いに圧接され、介在したワーク品、特に金属シートとともに通電されるようにした方法に関する。
現在、金属シートや、アルミニウム合金およびマグネシウムさらには亜鉛メッキ(galvanized)やコーティングされたスチールシート(特に、高強度品質)から成る他のワーク品が、例えば車体形成(body-making)においてますます用いられている。重量節約および良好な耐腐食性のような利点とは別に、これらの材料やコーティングは、スポット溶接による接合中に問題を引き起こす。特に、使用するスポット溶接電極のツール寿命は、無地のスチールシートと比べて著しく減少し、悪影響をもたらす。強度の電極摩耗は、電極接触表面の頻繁な再生作業および頻繁な電極交換に起因して高いコストをもたらし、さらに、特に電極再生作業前や電極交換前では溶接品質の低下をもたらす。
スポット溶接電極の汚染からの保護や溶接ワーク品に捕捉される電極のために、ストリップ状の金属フィルムを電極とワーク品との間に挿入することが知られている。安全なストリップ供給を確保するためには、実際は、ストリップが電極接触表面に付着するを防止することが必要である。
これに関して、スポット溶接中での電極保護のための装置が、欧州特許公報EP 0 830 915 B1によって知られている。ストリップは、保護すべき電極の上を通って巻き戻し機構によって引っ張られる。ストリップは、本質的には銅−ニッケル合金や純粋ニッケルから成り、0.02〜0.05mmの厚さを有する。ツール寿命の延長を確保するためには、電極、特に電極キャップは銀や銀の金属酸化物でコーティングしたり、あるいは適切な挿入物が配置される。
さらに、抵抗溶接方法における電極保護のためのストリップが、米国特許公報US 5 552 573 Aによって知られている。ストリップは、1つの層がいずれか一方側に設けられた基材で構成され、その層は同じ材料でも異なる材料でもよい。基材は、0.02〜1mmの厚さを有し、鉄(iron)、スチール(steel)、銅または銅合金で構成される。層は、1μm〜100μmの範囲の厚さを有し、ニッケル、チタン、ニオブ、モリブデン、タングステン、クロム、コバルトまたはこれらの合金で構成できる。こうしたストリップは、コーティングや合金化に起因して極めて高い製造費用をもたらすという不具合を有し、こうしたストリップ製造で極めて高いコストを招く。他のとても重要な短所は、ユーザは自己向けに異なる組合せを構成する方法が無いために、最も異なる材料の複数の組合せが想定され、最も異なる応用のためのこうした組合せストリップについての過酷で高価な保管が必要になることである。
スポット溶接方法での電極保護のためのストリップの応用が、ドイツ特許公報DE 197 54 546 C1、日本特許公報JP 10 029 071 A、JP 08 118 037 A、JP 04 322 886 A、JP 05 192 774 Aから知られている。ストリップは、巻き取り機構によって供給され送出されて、電極とワーク品や構造部分の接触に対する保護手段として、電極上方でスポット溶接ツールに位置決めされ、ストリップは、スポット溶接プロセス中にワーク品や構造部分の上に横たわることになる。
ドイツ特許公報DE 197 54 546 C1および日本特許公報JP 04 322 886 Aに係る方法では、ストリップが運搬中に電極上で引っ張られて、電極とストリップの間の摩擦によって強い電極摩耗が発生するという不具合がある。
日本特許公報JP 10 029 071 A、JP 08 118 037 Aに係る方法は、ストリップの運搬、特にその供給と送出のために高度に複雑な構造が必要となり、スポット溶接ツールなどは実際には使用困難である。こうした装置では、簡単な金属シートを溶接することが可能なだけである。スポット溶接ロボットでの応用、特に自動車産業では、小型でコンパクトなスポット溶接ツールが要求されるため、不可能である。
本発明は、電極保護のための装置と最初に述べたようなスポット溶接ツールを提供することを目的とし、これにより電極摩耗が大きく低減される。本発明の他の目的は、高い品質の溶接接合部を提供し、溶接すべきワーク品、特に金属シートの好ましい近接が得られることである。
一方、本発明の目的は、ストリップが、異なる材料からなる少なくとも2つの重なり合った金属ストリップである場合に解決される。適切な材料の組合せを選択することによって、個々の溶接に最適な保護が得られることになり、電極摩耗を大きく低減する。
こうして動作中に電極に面する金属ストリップ材料は、電極材料と所定の特性に関して適合し、そして、動作中にワーク品、特に金属シートに面する金属ストリップ材料は、ワーク品、特に金属シートの材料と所定の特性に関して適合する。こうしてユーザは、電極保護ストリップの材料を、個々に関連する電極およびワーク品の材料に容易に適合させることができる。この極めて簡単な解決法により、異なるストリップの複数の組合せをユーザ自身で極めて低い保管費用で実現させることができ、最適な溶接品質が得られる。ユーザ自身は、別々の材料からなる2つのストリップを単に組合せることにより、どのようなストリップ組合せでも選択することができ、直ちにこれを使用することができ、どのような適合も速やかに実行できる。
この材料適合は、例えば、電極に面する金属ストリップ材料が電極材料に接着する傾向をほとんど示さず、ワーク品に面する金属ストリップ材料がワーク品の材料に接着する傾向をほとんど示さないことで実現できる。こうして保護ストリップへの電極接着およびワーク品への保護ストリップ接着は、効率的に防止されることになる。
別の最適化も可能であり、電極に面する金属ストリップ材料が、鉄類(ferrous metal)族または、鉄類族から選択された主要成分を有する鉄合金から選択された場合、溶接されるワーク品、特に金属シートに面する金属ストリップ材料は、銅(copper)または銅合金から成る。
本発明の更なる特徴によれば、金属ストリップ、特に電極に面する金属ストリップの材料は、1000℃を越える融点、及び/又は1m/(Ω・mm)を越える導電性を有することである。
保護ストリップの簡単な組合せを少なくとも2つの重なり合った金属ストリップで構成し、金属ストリップの相互変位可能性も確保するために、電極保護ストリップの金属ストリップは、一体的接合を形成することなく、専ら係合(formscluessig)によって連結される。
個々の金属ストリップは、さねはぎ継ぎ(rabbeting)、接着(gluing)、打ち抜き(stamping)、溶接(welding)で連結することができる。連結のタイプは、個々の応用に応じて選択される。接着や溶接などの一体的接合を用いることにより、金属ストリップの相互変位は防止されることになる。このことは様々な応用に好都合であり、ストリップの運搬および案内に有用となる。
本発明の簡単な実施形態によれば、金属ストリップは、合同(congruent)の形態で重なり合う。
特定の応用では、金属ストリップは互いに相対変位可能なように配置されることが好都合となろう。金属ストリップの変位は、別々の方向でも、あるいは同じ方向で異なる速度で行ってもよい。
さらに、本発明の目的は、ワーク品、特に金属シートの抵抗溶接のためのスポット溶接ツールによって達成される。これは、少なくとも1つの電極を備え、ワーク品、特に金属シートを押さえつけるための押圧素子が電極キャップの領域で電極の上に配置され、特に、ワーク品、特に金属シートのプロセス依存の反り(warping)や曲がり(arching)を防止する。押圧素子の配置によって、追加の圧力がワーク品、特に金属シートに作用して、電極を介してワーク品への点状の圧力印加を生じさせるだけでなく、ワーク品が曲がるのを防止できる。こうして電極は節減され、その摩耗が低減化される。
本発明の目的は、ワーク品、特に金属シートの抵抗溶接のためのスポット溶接ツールによって達成される。これは、少なくとも1つの電極と、前記少なくとも1つの電極の保護のためのストリップの巻き取りと巻き戻しのための巻き取り機構とを備え、押圧素子が電極キャップ領域での電極の上に配置される。この押圧素子は、電極保護ストリップのためのガイドを含み、長手方向に移動可能なように電極と連結されており、ストリップを電極に対して離間するように配置する。電極保護ストリップを電極から持ち上げることによって、前者は、更なる移動中にも電極に沿ってスライドしなくなり、電極の摩耗を低減するのに役立つ。これにより電極および電極保護ストリップでの高価なコーティング無しで実施可能となる。こうして極めてコンパクトなスポット溶接ツールが得られ、溶接ロボットおよび手動操作による溶接つかみ(tong)にも応用可能となる。ストリップを含むこうしたスポット溶接装置の利用可能性は、ストリップ無しのスポット溶接ツールの利用可能性に匹敵する。
押圧素子が、リリース状態、即ち、溶接つかみがオープン状態で、電極から突出していれば、有利である。これにより電極保護用のストリップが運搬中に電極と接触しなくなる点がいつも保障される。
好ましい方法では、押圧素子に力を印加するための手段は、スポット溶接ツールの動作中に、押圧素子が圧力や力をワーク品、特に金属シートに作用するように設けられる。こうして電極を経由した力の印加ではなく、幾つかのポイントやエリアでの力の印加が生じて、これによりワーク品の湾曲や曲がりが回避される。このことは、溶接手順中で、ワーク品、特に金属シートの好ましい隣接を生み出す。
力を印加するための手段は、例えば、スプリングや調整手段などの弾性素子で構成してもよい。
さらに、押圧素子に作用する力を調整するための手段を設けて、スポット溶接ツールを個別の要求に対して最適な適応が可能なようにしてもよい。
支持素子が電極の上に配置される場合、これはストリップ受け入れのためのガイドチャネルを好ましく含むものであり、スポット溶接ツールに沿ってストリップの最適な案内が確保されるとともに、ストリップの供給および送出を含むスポット溶接ツールの構造的寸法が極めて小さくなる。
押圧素子でのストリップのガイドが、電極保護用のストリップが押圧素子の端面から突出するように構成される場合、ワーク品での加圧中に、ストリップだけがワーク品の上に留まって、ワーク品への接着回避が確保されるようになる。これは、ワーク品に接触する金属ストリップ材料がこれに適合するからである。
本発明の更なる特徴によれば、押圧素子は金属リングの形状で設計してもよい。これは、好ましくは電極より低い導電性を有し、あるいは絶縁されるように配置され、溶接に必要な電流が押圧素子に流れないようになる。
溶接手順の最適な制御を可能にするため、押圧素子は、スポット溶接ツールとワーク品、特に金属シートとの接触を検出するためのセンサとして設計してもよい。
本発明の目的は、抵抗溶接方法によっても達成される。これにより、スポット溶接ツールを用いて2つのワーク品、特に金属シートが互いに溶接され、少なくとも2つの電極が互いに押圧され、介在したワーク品、特に金属シートとともに通電される。スポット溶接ツールとワーク品との接触は、電極上で移動可能に配置され、電極から突出している素子、特に押圧素子によって検出され、こうした接触が検出されると、素子は、電極がワーク品と接触するまで、電極に対して相対的に変位する。これらの方法の工程により、スポット溶接ツールは、電極摩耗のリスクを伴うことなく、ワーク品に向かって移動可能であり、ワーク品の正面でわずかな距離だけワーク品に向かって移動することが確保される。
これにより、素子、特に押圧素子とワーク品との接触検出が電気エネルギーを用いて、素子やそこに案内される電極保護用のストリップに電気エネルギーを通電することによって実現可能となる。
その代わりに、素子とワーク品との接触検出は、例えば、前記素子上に配置されたスイッチによって機械的に行うことも可能である。
次に、本発明を例示的な実施形態によって詳細に説明する。
抵抗溶接中に電極保護のためのストリップ1は、図1と図2に示される。
使用する電極保護装置は、別々の材料から成る、少なくとも2つの重なり合った金属ストリップ2,3で形成されたストリップ1を備える。金属ストリップ2,3は、好ましくは一体的接合を形成することなく、専ら係合(formscluessig)によって連結されている。属ストリップ2,3の連結は、さねはぎ継ぎ(rabbeting)、接着(gluing)、打ち抜き(stamping)または溶接(welding)で実現できる。図示した例示的実施形態では、さねはぎ継ぎで連結したストリップ1が示される。重要なことは、抵抗溶接のための金属ストリップ2,3が簡単な方法で重なり合っていることであり、これによりワーク品および電極の隣接した材料への適合が可能となる。言うまでもなく、金属ストリップ2,3を相対的に変位可能なように配置することも可能であり、抵抗溶接プロセスの後、金属ストリップ2,3は異なる速度で変位可能となる。



電極4の保護のためのこうしたストリップ1は、実際には、図3に概略的に示したように、電極4、特に電極キャップ5と、溶接されるワーク品、特に金属シート6,7の表面との間に配置され、電極4に対して相対的に変位可能となる。ストリップ1の案内および取り扱いを容易にするために、金属ストリップ2,3は互いに連結していることが好ましい。既に言及したように、これを行うために基本的には幾つかのオプションがある。技術的および経済的な面から最適な改良は、例えば、さねはぎ継ぎ(rabbeting)による金属ストリップ2,3の機械的な連結である。この場合、図2に示すように、少なくとも2つの材料のうちより柔軟な方を、より硬い金属ストリップ2の横方エッジの回りにさねはぎ継ぎすることが好ましい。金属ストリップ2,3のこうした非一体的接合により、異なる材料の異なる膨張係数であっても、電極保護ストリップが望ましくない方法で変形することが防止され、その結果、ストリップ案内に関する問題を回避することになる。本発明の個々の応用、溶接される材料あるいは金属ストリップ2,3に用いられる材料にもよるが、後者が移動する前に、幾つかの溶接スポットをバンド1の全く同じ部分に設置することが可能である。
ストリップ1は、電極4に面した金属ストリップ2が電極材料に同調することを可能とし、そして、ワーク品、特にシート6または7に面した金属ストリップ3が、溶接されるワーク品、特にシート6または7の材料に同調することを可能とする。これにより低コスト費で、溶接品質を実質的に向上させ、及び/又は電極4のサービス寿命を実質的に延長させることができる。こうして例えば、電極4に面した金属ストリップ2は、電極4の材料へ接着する傾向が低い材料で形成することが可能であり、ワーク品、特に金属シート6,7に面した金属ストリップ3は、溶接されるワーク品へ接着する傾向が低い材料で形成することが可能である。好ましくは、電極4に面した金属ストリップ2は、鉄類族から選択された材料、または鉄類族から選択された主要成分を有する鉄合金で構成され、溶接されるワーク品、特に金属シート6,7に面する金属ストリップ3は、銅または銅合金で構成される。
銅または銅合金から成る標準的な電極4およびコーティングされた高強度スチールシートを使用する場合、スチールシートは、例えば、電極に面する側に用いることが有利であることが判明した。金属ストリップ2の厚さは、好ましくは0.05mm〜0.15mmの範囲とすべきである。スチールシートから成る高強度の金属ストリップ2は、信頼ある運搬を保障することになる。溶接されるワーク品、特に金属シート6,7に面する金属ストリップ3は、例えば、純粋の銅で形成してもよい。金属ストリップ3の厚さは、溶接されるワーク品、特に金属シート6,7の材料および材料厚さ、あるいは溶接パラメータ、例えば電流高さや熱の導入の関数であり、好ましくは0.1mm〜0.5mmの範囲とすべきである。コーティングを備えたワーク品、特に金属シート6,7、例えば、無機物を任意に包含する亜鉛層を備えた特別なワーク品の抵抗溶接中は、銅がコーティングとの化学反応に入り込む傾向がある。そのため銅から成る金属ストリップ3の使用は、こうした金属シートにとって極めて有利であり、清浄で飛沫無しの抵抗溶接を保障することになる。
このような電極4の保護のためのストリップ1を用いた抵抗溶接プロセスで最も本質的な利点は、ストリップ1が、抵抗溶接プロセスにとって本質的な様々なパラメータに適合可能なことである。これにより、重なり合った金属ストリップ2,3の材料は互いに同調し合って、例えば、溶接品質に影響を及ぼす必要な熱の導入を確保することができる。さらに、ストリップ1、特に電極4に面する金属ストリップ2は、1000℃より高い融点または1m/(Ω・mm)より高い導電性を有することが可能であり、ストリップ1が電極4へ接着するのを防止できる。2つの金属ストリップ2,3を材料および厚さに関して適切に変化させることによって、溶接プロセスの熱効率は、実質的に左右され改善されることになる。
こうしたストリップ1の特別な利点は、とりわけ、金属ストリップ2,3の非一体的接合、即ち、2つの独立した金属ストリップ2,3の使用により、ユーザがこうしたストリップ1を自分自身で製造することが可能になることであり、想定される溶接プロセスについて最適な材料組合せを用意できる。
図3〜図5は、金属シート6,7あるいは構成部分の抵抗溶接のためのスポット溶接ツール8を示す。好ましくは、スポット溶接ツール8は、電極4に横断して接触するストリップ1、好ましくは図1と図2に示したようなストリップ1を用いて、この巻き取りおよび巻き戻しのための巻き取り機構(不図示)との組合せで使用される。本発明に係るスポット溶接ツール8を用いて、先行技術から知られているような合金化層を任意に含んでいる1片のストリップ1を使用することも可能である。
押圧素子9は、電極キャップ5の領域、または電極4とワーク品、特に金属シート6,7との接触エリアにおいて、電極4の回りに配置されている。押圧素子9は、電極4の上に移動可能に配置され、追加の圧力をワーク品に作用させる。ストリップ1を含むスポット溶接ツール8を用いる場合、押圧素子9は、ストリップ1のためのガイド10を、特にその端面に備えることが好ましく、押圧素子9は、ストリップ1を電極4から持ち上げるように構成される。図3に概略的に示すような溶接つかみ11、あるいは機能的に類似の装置の開放中や開放後に、ストリップ1は、押圧素子9によって電極表面または電極キャップ5から持ち上げられる。押圧素子9に設けられたガイド10は、ストリップ1が押圧素子9の端面12のレベルで終端するように設計される。ストリップ1のために押圧素子9に設けられたガイドは、当然ながら、ストリップ1が押圧素子9の端面12から突出するように設計してもよい。
例示した実施形態において、スポット溶接ツール8は環状構造で構成され、押圧素子9は、電極より低い導電性を持つ金属リングで構成される。押圧素子9は、円筒状の電極4の上に、軸方向に変位可能なように配置される。解放した状態、即ち、溶接つかみ11が開いた状態では、押圧素子9は電極4から突出している。さらに、支持素子13は、ストリップ1の受け入れのためのガイドチャネル14を備え、これは電極4の上に配置してもよい。押圧素子に力を印加するための手段15、特にスプリング部材は、支持素子13と押圧素子9との間に配置してもよく、これにより適切な圧力が押圧素子9に作用して、これを電極4に沿って変位させることができる。
図示した例において、押圧素子9あるいはストリップガイドは、エラストマー(elastomer)スプリング16によって前方に押圧される。当然ながら、押圧素子は、別の方法、例えば、空気圧方式、流体圧方式または電気方式で駆動することも可能である。こうして押圧素子9は、溶接つかみ11の起動の際に、ワーク品、特に金属シート6,7に対して押されると、高い圧力や力をワーク品、特に金属シート6,7に作用するようになる。溶接つかみ11が閉じた場合、押圧素子9は、ワーク品、特に金属シート6,7に接触した後、電極4、特に電極キャップ5がワーク品のシート金属表面17に接触するまで、後方に押されるようになる。溶接つかみ11が開くと、押圧素子9は、力を印加するための手段15、特にエラストマースプリング16あるいは他の駆動手段によって前方に押されるようになる。意図的に生じさせた引張り応力およびストリップ1の不可避な剛性(stiffness)のため、電極表面、特に電極キャップ5に対して離間した関係で強制的に配置される。
溶接プロセス中は、押圧素子9が溶接ゾーンに近接したシート金属表面17に圧力を部分的に作用させ、これにより2つのワーク品、特に金属シート6,7が、スポット溶接プロセスで通常発生するように開いてしまうことを防止する。先行技術から知られる抵抗溶接方法において、こうしたことが発生する理由は、溶接プロセス中に熱および点状の圧力が電極4を介してワーク品、特に金属シート6,7に印加され、このことが溶接されるワーク品、特に金属シート6,7の局所的な膨張をもたらし、スポット溶接されたワーク品、特に金属シート6,7に歪み/変形の傾向を示すことになり、即ち、金属シート6,7が互いに遠ざかったり湾曲して、両者間に隙間を形成する。これは、相応に高い圧力が電極4だけでなく押圧素子9によっても金属シート6,7の表面17に作用することから、本発明に係るスポット溶接ツール8の特別な設計によって防止され、これにより望ましくない影響が簡単な方法で回避されることになる。
押圧素子9によってワーク品、特に金属シート6,7へ印加された追加の力により、電極4および押圧素子9によって適切な圧力がワーク品、特に金属シート6,7へ同時に作用するため、金属シート6,7についてプロセス依存の湾曲やゆがみが防止されることになる。力印加手段15の適切な構成によって、当然ながら、押圧素子9によってワーク品、特に金属シート6,7に印加される圧力や力を調整することが可能になる。
電極4がワーク品、特に金属シート6,7から持ち上げられている間、任意のストリップ1が、好ましくは力印加手段15によって機械的に、スポット溶接電極8から強制的に持ち上げられる。これは、ストリップ1の上で移動するのに必要な力を低減化して、ストリップの引裂けを回避するのにするのに役立つ。これにより装置および溶接プロセスそれぞれの信頼性が保証されることなる。これに関して、溶接スポットごとにストリップ1を電極表面または電極キャップ5から引き離すことが極めて有利であることが判った。これにより幾つかの利点をもたらす。ストリップ1は変位の前に持ち上がることから、電極4は節減され、その上で引っ張られるストリップ1によって摩耗しなくなることになる。こうして電極4はその形状を長期間に渡って維持し、同一のストリップ部分が何回も溶接されたとしても電極4へのストリップ1の接着が防止されることになる。こうしてストリップの引裂けが回避され、特に摩擦の低減および必要な輸送パワーの低減により、装置全体および溶接プロセスそれぞれの信頼性が著しく向上する。従って、ストリップ1の同じ場所は何回でも使用可能となり、ストリップ1が電極表面または電極キャップ5に接着したり、そこに溶接されるという危険性がなく、良好なストリップ品質を確保することができる。
さらに、押圧素子9を、スポット溶接ツール8とワーク品、特に金属シート6,7との間の接触をを検出するためのセンサとして設計することも可能である。この場合、ワーク品との接触は、押圧素子9によって認識される。その後、適切な制御サイクルが開始可能となる。これによりストリップ1とともに、またはストリップ1無しでスポット溶接ツール8を使用することができる。
そのため、押圧素子9は、電気エネルギー、特に電圧でもって通電され、反対側の電圧はワーク品に印加される。押圧素子9がワーク品の表面または金属シートの表面17に接触すると、回路は閉じることになる。制御手段(不図示)を用いた適切な評価により、押圧素子9とワーク品の間に接触が生じたことを認識することができる。そして、制御手段は別の方法サイクルを起動することになる。
ワーク品に接触する押圧素子9の自動認識は、溶接つかみ11の閉じる手順の最適化を可能にする。例えば、溶接つかみ11の起動時に、ワーク品との接触が生ずるまで、迅速な閉じる手順を最初に実行可能になり、その後、溶接圧力を生成するために低速な閉じる手順が続行される。このことは、ワーク品、特に金属シート6,7に不意の力が作用することがなく、金属シート6,7の歪みの危険性が回避されるという利点を有する。閉じる手順はまた、溶接つかみ11は最初に高速で閉じて、接触後は低速な閉じる手順がスタートすることから、こうした手順のモードによって強く加速される。一方、先行技術から知られたシステムにおける溶接つかみ11は、突然な力の活動を回避するため、前回プログラム化され、安全距離を含むつかみ位置から低速で閉じる。こうして最適化した閉じる手順が達成される。
押圧素子9は、絶縁されるようにして電極4の上に配置することができる。これは、溶接電源回路から分離した電源回路の使用と、電流源(不図示)の最適な制御を可能にする。
接触や触覚は、機械的にも認識することができ、押圧素子9はスイッチング素子と接続して、スイッチング素子は押圧素子9の変位によって能動化され、そして制御手順を開始し、続いて制御手段は、スイッチング素子の能動化によって、ワーク品や金属シートの表面17の接触を評価することができる。
電極保護のための装置を簡潔で概略的に示す。 図1の切断線II−IIに沿った保護装置の断面図である。 スポット溶接ツールの実施形態の概略側面図である。 スポット溶接ツールの実施形態の断面図を簡潔で概略的に示す。 図4のスポット溶接ツールをワーク品側から見た図である。

Claims (8)

  1. ワーク品の抵抗溶接の際に、電極を保護するための装置であって、
    電極(4)の上方に、電極(4)に対して相対的に変位可能な方法で配置された保護ストリップ(1)を含み、
    保護ストリップ(1)は、異なる材料からなる少なくとも2つの重なり合った金属ストリップ(2,3)で構成され、該金属ストリップ(2,3)は専ら係合によって連結されていることを特徴とする保護装置。
  2. 電極(4)に面する金属ストリップ(2)の材料は、電極(4)の材料に対して非接着性であり、ワーク品に面する金属ストリップ(3)の材料は、ワーク品の材料に対して非接着性であることを特徴とする請求項1記載の保護装置。
  3. 電極(4)に面する金属ストリップ(2)の材料は、鉄類族または、鉄類族から選択された主要成分を有する鉄合金から選択され、溶接されるワーク品に面する金属ストリップ(3)の材料は、銅または銅合金から成ることを特徴とする請求項1または2記載の保護装置。
  4. 電極(4)に面する金属ストリップ(2)の材料は、1000℃を越える融点、及び/又は1m/(Ω・mm)を越える導電性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保護装置。
  5. 金属ストリップ(2,3)は、さねはぎ継ぎ連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の保護装置。
  6. 金属ストリップ(2,3)は、合同の形態で重なり合っていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保護装置。
  7. 金属ストリップ(2,3)は、互いに相対変位可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の保護装置。
  8. 金属ストリップ(2,3)は、異なる速度で変位可能であることを特徴とする請求項7記載の保護装置。
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