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JP4565425B2 - 難燃性に優れた半導電性加硫ゴム用組成物およびその加硫ゴム部材 - Google Patents

難燃性に優れた半導電性加硫ゴム用組成物およびその加硫ゴム部材 Download PDF

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本発明は、難燃性に優れた半導電性加硫ゴム用組成物およびその組成物を加硫してなるゴム部材に関する。
近年、接触型帯電方式に用いられる帯電ロール、転写ロール、現像ロールにおいて、火災発生、延焼の危険を抑制するために、使用されるポリマー材料の難燃化を望む声があがっている。
従来、ポリマー材料の難燃化には、アンチモン化合物、有機臭素化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの難燃剤を配合することが知られている。しかしながら、一般にこれらの難燃剤は、次のような問題を含んでいる。
アンチモン化合物は、発ガン性の問題を有しており、有機臭素化合物は、廃棄後に焼却処理する場合に、ダイオキシンが発生する恐れが払しょくできない。また、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムは、配合量が多量に必要であり、加硫物が剛直になりすぎてゴム加硫物として通常期待される物性が得られにくくなる。
上記、問題に対して、特開平8−302202号公報では、優れた難燃性能を有し、かつ燃焼時に腐食性ガスや煙の発生の抑制されたポリマー材料が開示されている。しかしながら、得られたポリマー材料が、コピー機、プリンタ等の帯電ロール、現像ロール等に利用可能な半導電領域の抵抗値を有しているかの記載はされておらず、該分野におけるその実用性についても示唆はなされてない。
特開平8−302202号公報
また、各種分野で用いられる一般的な難燃剤であっても、ポリマー種が異なれば、難燃性能は大きく異なる。その適合性について研究、検討が行われているが、難燃性に優れ、コピー機、プリンタ等の帯電ロール、現像ロール等に利用可能な半導電性ゴム組成物およびその加硫ゴム材料はいまだ知られていない。
本発明の目的は、難燃性に優れた半導電性加硫ゴム用組成物およびその加硫ゴム材料を提供するところにある。
本発明者等は種々研究の結果、(A)エピクロルヒドリン系ゴム、(B)含窒素リン酸誘導体系難燃剤、(C)加硫剤を含有する組成物が上述の目的を達成することを見出し本発明を完成したものである。
以下、本発明の構成につき詳細に説明する。
本発明に用いられるエピクロルヒドリン系ゴム(A)は、ゴム自身が半導電性を有したポリマー材料であるため、コピー機、プリンター等に使用される電子写真用プロセスの帯電、現像、転写などのローラ、ベルトに好適である。エピクロルヒドリン系ゴムとしては、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体が挙げられる。なかでも、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体が好適である。
本発明の対象となるエピクロルヒドリン系ゴム(A)の成分組成は通常、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体では、エピクロルヒドリン成分が5mol%〜70mol%、エチレンオキサイド成分が30mol%〜95mol%であり、好ましくはエピクロルヒドリン成分が10mol%〜60mol%、エチレンオキサイド成分が40mol%〜90mol%であり、またエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体では、エピクロルヒドリン成分が5mol%〜75mol%、エチレンオキサイド成分が20mol%〜90mol%、アリルグリシジルエーテル成分が1mol%〜10mol%であり、好ましくはエピクロルヒドリン成分が10mol%〜65mol%、エチレンオキサイド成分が30mol%〜85mol%、アリルグリシジルエーテル成分が2mol%〜8mol%である。
上記、エピクロルヒドリン系ゴムの製造方法としては公知の重合法を採用できる。特に本出願人の米国特許第3,773,694号明細書に記載の有機錫−リン酸エステル縮合物を重合触媒とする方法は、重合物が高収率で得られるので好ましい。即ち、上記触媒の存在下で脂肪族又は芳香族炭化水素を溶媒として重合温度10〜70℃で5〜15時間重合させることにより、重合収率90%以上で製品を得ることができる。これ等のエピクロルヒドリン系ゴムの分子量範囲は100℃におけるムーニー粘度表示で30〜200のものが好ましく用いられる。
本発明に用いられる含窒素リン酸誘導体系難燃剤(B)としては、例えばポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンなどが挙げられる。含窒素リン酸誘導体系難燃剤を用いることにより、エピクロルヒドリンゴムの難燃化が可能となり、かつ抵抗値を低下させ得る。含窒素リン酸誘導体系難燃剤としては、特にポリリン酸アンモニウムが好適である。
本発明の対象となる含窒素リン酸誘導体系難燃剤(B)の配合割合は、特に限定されず、目的とするゴム部材の全体的な配合バランスにより適宜変量して使用可能である。
本発明で用いられる、加硫剤(C)としては、エピクロルヒドン系ゴムの塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤、例えば、ポリアミン類、チオウレア類、チアジアゾール類、メルカプトトリアジン類、ピラジン類、キノキサリン類等と側鎖二重合結合の反応性を利用する公知の加硫剤、例えば、有機過酸化物、硫黄、モルホリンポリスルフィド類、チオラムポリスルフィド類等が挙げられる。これらの(C)成分は単独であるいは2種以上併用して用いられる。
これらの加硫剤(C)を例示すれば、ポリアミン類としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、p−フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等があげられる。
チオウレア類としては、エチレンチオウレア、1,3−ジエチルチオウレア、1,3−ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等があげられる。
チアジアゾール類としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール―5―チオベンゾエート等があげられる。
メルカプトトリアジン類としては、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、1−メトキシ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジエチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−シクロヘキサンアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジブチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、1−フェニルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン等があげられる。
ピラジン類としては、2,3-ジメルカプトピラジン誘導体等があげられ、2,3-ジメルカプトピラジン誘導体を例示すると、ピラジン-2,3-ジチオカーボネート、5-メチル-2,3-ジメルカプトピラジン、5-エチルピラジン-2,3-ジチオカーボネート、5,6-ジメチル-2,3-ジメルカプトピラジン、5,6-ジメチルピラジン-2,3-ジチオカーボネート等があげられる。
キノキサリン類としては、2,3-ジメルカプトキノキサリン誘導体等があげられ、2,3-ジメルカプトキノキサリン誘導体を例示すると、キノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、6-メチルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、6-エチル-2,3-ジメルカプトキノキサリン、6-イソプロピルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、5,8-ジメチルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート等があげられる。
有機過酸化物としては、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、 tert−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等があげられる。
モルホリンポリスルフィド類としては、モルホリンジスルフィド等があげられる。
チオラムポリスルフィド類としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N'−ジメチル−N,N'−ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタンメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等をあげられる。
これら加硫剤(C)は、通常、エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部が用いられる。この範囲未満の配合量では架橋が不十分となり、一方この範囲を超えると得られた加硫物が剛直になりすぎて実用的なゴム物性が得られないからである。
また、加硫剤(C)と共に公知の促進剤(加硫促進剤)および遅延剤を本発明による加硫ゴム用組成物に添加することもできる。加硫促進剤の例としては、塩基性シリカ、1級、2級、3級アミン、該アミンの有機酸塩もしくはその付加物、アルデヒドアンモニア系促進剤、アルデヒドアミン系促進剤、グアニジン系促進剤、チアゾール系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、チウラム系促進剤およびジチオカルバミン酸系促進剤、1、8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7及びその弱酸塩、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7及びその弱酸塩、第4級アンモニウム化合物等を挙げることができる。また、遅延剤としては、酸性シリカ、N−シクロヘキサンチオフタルイミド等を挙げることができる。
1級、2級、3級アミンとしては、特に炭素数5〜20の脂肪族または環式脂肪酸の第1、第2もしくは第3アミンが好ましく、このようなアミンの代表例は、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミンなどである。
上記アミンと塩を形成する有機酸としては、カルボン酸、カルバミン酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオリン酸等が例示される。また上記アミンと付加物を形成する物質としては、アルコール類、オキシム類等が例示される。アミンの有機酸塩もしくは付加物の具体例としては、n−ブチルアミン・酢酸塩、ジブチルアミン・オレイン酸塩、ヘキサメチレンジアミン・カルバミン酸塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのジシクロヘキシルアミン塩等が挙げられる。
アルデヒドアンモニア系促進剤の例としては、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドとアンモニアの反応生成物等が挙げられる。アルデヒドアミン系促進剤の例としては、アミンと少なくとも1種の炭素数1〜7のアルデヒドとの縮合生成物であり、このようなアミンの例としては、アニリン、ブチルアミン等が挙げられる。これらのなかで、アニリンと少なくとも1種の炭素数1〜7のアルデヒドとの縮合生成物が好ましい。具体例としては、アニリンとブチルアルデヒドの縮合物、アニリンとヘプタアルデヒドの縮合物、アニリンとアセトアルデヒドおよびブチルアルデヒドの縮合物などがある。
グアニジン系促進剤の例としては、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン等が挙げられる。
チアゾール系促進剤の例としては、2―メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2―メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、等が挙げられる。
スルフェンアミド系加硫促進剤の具体例としては、N−エチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジ−イソプロピル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジ−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシ−ジ−エチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどが挙げられる。
チウラム系加硫促進剤の具体例としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸系促進剤の例としては、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルカルバミン酸銅、等が挙げられる。
上記、加硫促進剤および遅延剤は、無機充填剤、オイル、ポリマー等に予備分散させた形で使用しても良い。これらの加硫促進剤および遅延剤は単独で用いてもよいし、2種類以上の組み合わせで用いてもよい。加硫促進剤または遅延剤の量は、エピクロルヒドン系ゴム100重量部に対してそれぞれ0〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明の難燃性加硫用ゴム組成物において用いられる受酸剤としては、周期表第II族金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表IV族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸鉛等、および下記一般式(I)で示される合成ハイドロタルサイト、および一般式(II)で示されるLi-Al系包接化合物が挙げられる。
Mgx Zny AlZ (OH)2(x+y)+3Z-2 CO3・wH2O (I)
(xとyは0〜10の実数、ただしx+y=1〜10、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数を表す)
〔Al2 Li(OH)6n X・mH2O (II)
(式中Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数)
受酸剤の具体的な例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化錫、リサージ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜リン酸錫、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛をあげることができる。
受酸剤の量は、エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0.5〜50重量部、好ましくは1〜20重量部であり、1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、本発明の半導電性加硫ゴム用組成物は、当該技術分野で通常使用される他の添加剤、例えば滑剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、可塑剤、加工助剤、顔料、発泡剤等を任意に配合できる。
更に本発明の特性が失われない範囲で、当該技術分野で通常行われているゴム、樹脂等とのブレンドを行うことも可能である。本発明に用いられるゴムを例示すれば、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等が挙げられ、また樹脂を例示すれば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、PUR(ポリウレタン)樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂、EVA(エチレン/酢酸ビニル)樹脂、AS(スチレン/アクリロニトリル)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂等が挙げられる。
更に、本発明の半導電性加硫ゴム用組成物において、導電付与剤として、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩などの金属塩、カチオン種が一般式(III)で表され、
Figure 0004565425
(式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ同一または異なって、炭素原子数1〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基あるいは主鎖がポリオキシエチレン鎖もしくはポリオキシプロピレン鎖で、末端にアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、水酸基を有する基である。)
アニオン種が過塩素酸イオンのような無機酸イオン、または、塩化物イオンのようなハロゲンイオンなどを有した第四級アンモニウム塩などを任意に添加してよい。
これら導電付与剤となる塩において、カチオン種としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Baや遷移金属であるFe、Co、Ni、Cu、Zn及びAg金属の陽イオンや、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、トリメチル2−(2−メトキシエトキシ)エチルアンモニウム、トリメチル2−(2−メトキシプロキシ)エチルアンモニウム、ジメチルオクチル2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアンモニウム、ジメチルドデシル2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアンモニウム、ジメチルオクタデシル2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアンモニウム等の第四級アンモニウムイオン、テトラメチルホスホニウム、トリエチルメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム等のホスホニウムイオンが挙げられる。また、アニオン種としては、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、硝酸イオン、AsF6-、PF6-、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオン等が挙げられ、これら任意の組み合わせから選ばれた化合物が導電付与剤として挙げられる。
導電付与剤の量は、エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して0〜10重量部、例えば0〜5重量部である。
本発明の組成物の配合方法としては、従来ポリマー加工の分野において利用されている任意の手段、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を利用することができる。
本発明の組成物は、通常100〜250℃に加熱することで加硫物とすることができる。加硫時間は温度によって異なるが、0.5〜300分の間で行われるのが普通である。加硫成型の方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、スチーム缶、エアーバス、赤外線、あるいはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
本発明によれば、優れた難燃性能を有し、かつ腐食性ガスや煙の発生の抑制された半導電性加硫ゴム用組成物およびその加硫ゴム材料が得られる。また、エピクロルヒドリン系ゴムに難燃剤として含窒素リン酸誘導体系難燃剤を用いることにより、他種難燃剤では困難であった難燃効果を発現させるだけではなく、抵抗値の低下ももたらすことができる。従って、その加硫物は、コピー機、プリンター等の電子写真プロセスに使用される半導電性ゴムロール、ベルト等に広く応用可能である。特に帯電、現像もしくは転写用のローラ、ベルトに好適に使用される。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜3、比較例1〜7
表1に示す配合のエピクロルヒドリン系ゴム組成を基準とし、エピクロルヒドリン系ゴム成分と難燃剤成分については表2に示す配合薬剤を用いて、70℃に調整したオープンロールで混練り配合し、更に170℃×15分プレス加硫して、2mm厚の加硫シートを得た。
加硫物性
1)体積抵抗率の測定
加硫ゴムシート(厚さ2mm)および絶縁抵抗計(三菱油化(株)製 ハイレスタHP)を23℃×50%RHの環境条件下に設定した恒温恒湿槽中に入れ、24時間以上放置した後、10V印可し、1分後の値を読みとった。
2)難燃性評価
UL95 V-0、V-1、V-2規格に基づき評価を行った。
3)燃焼時の煙の有無
目視により、煙の有無を確認した。
各試験方法より得られた実施例および比較例の試験結果を表3に示す。
Figure 0004565425
Figure 0004565425
Figure 0004565425
各実施例と比較例との比較により明らかなように、実施例1〜3では、UL95 V-0、V-1、V-2規格において最良のV-0を示すが、比較例1〜11では規格外となり煙を出しながら全焼してしまう。また、同一ポリマーを用いた実施例1〜3と比較例1〜3(難燃剤無添加)との比較より、難燃剤として含窒素リン酸誘導体を配合することにより低抵抗値を示すことがわかる。
本発明によれば、優れた難燃性能を有し、かつ腐食性ガスや煙の発生の抑制された半導電性加硫ゴム用組成物およびその加硫ゴム材料が得られる。その加硫物は、コピー機、プリンター等の半導電性ゴムロール、ベルト等に広く応用可能である。

Claims (5)

  1. (A)エピクロルヒドリン系ゴム
    (B)ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンから選択される含窒素リン酸誘導体系難燃剤
    (C)加硫剤
    を含有することを特徴とする難燃性に優れた電子写真用プロセスに使用される半導電性加硫ゴム用組成物。
  2. エピクロルヒドリン系重合体ゴム(A)が、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用プロセスに使用される半導電性加硫ゴム用組成物。
  3. 加硫剤(C)がポリアミン類、チオウレア類、チアジアゾール類、メルカプトトリアジン類、ピラジン類、キノキサリン類、有機過酸化物、硫黄、モルホリンポリスルフィド類、チオラムポリスルフィド類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用プロセスに使用される半導電性加硫ゴム用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用プロセスに使用される半導電性加硫ゴム用組成物を加硫してなる半導電性ゴムローラ。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用プロセスに使用される半導電性加硫ゴム用組成物を加硫してなる半導電性ベルト。
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