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JP4548405B2 - 前照灯スイブル制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の前面に配設された前照灯のスイブル角を水平面内において制御する前照灯スイブル制御装置に関する。
前照灯に対する駆動装置を制御することによって、前照灯のスイブル角を車両前方の道路形状に応じた角度に制御する前照灯スイブル制御装置が知られている。前照灯のスイブル角を車両前方の道路形状に応じて変化させることで、曲線路を走行中の場合や前方に曲線路がある場合にも、前照灯によって照らされる範囲を運転者の視認方向に近づけることができる。
上記前照灯スイブル制御装置としては、ステアリング舵角に基づいて前方の道路形状を判断するものが知られている。また、特許文献1に記載されているように、ナビゲーション装置から車両前方の道路形状に関する情報を取得するものも知られている。
一般に、前者のほうが道路形状を精度よく判断できることから、ステアリングが切られたと判断できるときにはステアリング舵角に基づく舵角スイブル制御を実行している。そして、前方に曲線路はあるが、まだ直線路を走行中であるためステアリングが切られていない場合に、ナビゲーション装置からの情報を用いたナビ協調制御を実行している。
特開2003−48481号公報
ところで、実際の道路においては、道路工事などによって本来の道路とは異なる迂回路が臨時に形成されることがある。この迂回路は、当然、道路地図データにないことから、ナビゲーション装置から道路地図データを取得し、その道路地図データに基づいてスイブル角を制御する場合、臨時の迂回路が形成されている場所では誤った制御を実施してしまう可能性があった。
また、臨時の迂回路は短区間で曲率方向が次々と変化する形状も多く、短区間で曲率方向が変化する場合、ドライバーの視線は、現在走行中の曲線路または直線路ではなく、次の曲線路または直線路や、さらにその次の曲線路または直線路に向いていることがある。この場合に、現在の曲線路に応じた角度となっているステアリング舵角に基づいてスイブル角を制御してしまうと、誤った方向へスイブル角を制御してしまう可能性がある。すなわち、舵角スイブル制御を実行する場合においても、臨時の迂回路が形成されている場所では誤った制御を実施してしまう可能性があった。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、高い信頼性でスイブル角の制御を行うことができる前照灯スイブル制御装置を提供することにある。
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、
車両の現在位置に相当する現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記現在位置情報に基づいて前方道路の道路地図データを取得する道路地図データ取得手段と、
その道路地図データ取得手段が取得した前方道路の道路地図データに基づいて、前記車両の前照灯の目標スイブル角を決定する目標角決定手段と、
前記現在位置情報と前方道路の道路地図データとに基づいて、車両の前方に位置する曲線路の端よりも車両側に制御開始ポイントを決定する制御開始ポイント決定手段と、
車両の現在位置が前記制御開始ポイントに到達したことに基づいて、前記前照灯のスイブル角を水平面内において回転駆動させる駆動機構を駆動させて、前記スイブル角を前記目標角決定手段が決定した目標スイブル角に制御するスイブル制御手段とを備えた前照灯スイブル制御装置であって、
前記車両が走行している道路またはその道路上の物体から、走行中の道路形状に関連する走行路形状関連情報を取得する形状情報取得手段と、
前記走行路形状関連情報に基づいて前方道路の曲率方向を決定する道路形状決定手段とをさらに備え、
前記スイブル制御手段は、車両が前記制御開始ポイントに到達した場合であっても、前記目標角決定手段が決定した目標スイブル角の方向が前記道路形状決定手段が決定した前方道路の曲率方向と一致しない場合には、前記目標スイブル角に向けたスイブル角の制御を実行しないことを特徴とする。
この請求項1記載の発明によれば、車両が走行している道路またはその道路上の物体から、走行中の道路形状に関連する走行路形状関連情報を取得しており、道路形状決定手段では、その走行路形状関連情報から前方道路の曲率方向を決定している。このようにして決定する前方道路の曲率方向は、仮に、前方道路が臨時に設けられた迂回道路であったとしても、その道路の曲率方向を正しく示している。そして、スイブル制御手段では、車両が制御開始ポイントに到達したとしても、目標スイブル角の方向が道路形状決定手段で決定した前方道路の曲率方向と一致しない場合には、スイブル角の制御を実行しない。そのため、道路工事中で臨時に設けられた迂回道路を走行する場合など、道路地図データに格納されている道路の曲率方向が実際の道路の曲率方向と異なっている場合にはスイブル角の制御が行われないことになるので、高い信頼性でスイブル角の制御を行うことができる。
また、前記目的を達成するための請求項2記載の発明は、
車両のステアリング舵角に相当するステアリング舵角信号を取得する舵角信号取得手段と、
前記車両の車速に相当する車速信号を取得する車速信号取得手段と、
前記ステアリング舵角信号に基づいて前記車両のステアリングが切られたか否かを判断する旋回判断手段と、
前記旋回判断手段によりステアリングが切られていると判断されていることに基づいて、前記前照灯のスイブル角を水平面内において回転駆動させる駆動機構を駆動させて、前記スイブル角をステアリング舵角および車速に基づいて定まる目標スイブル角に向けて制御するスイブル制御手段とを備えた前照灯スイブル制御装置であって、
前記車両が走行している道路またはその道路上の物体から、走行中の道路形状に関連する走行路形状関連情報を取得する形状情報取得手段と、
前記走行路形状関連情報に基づいて前方道路の曲率方向を決定する道路形状決定手段とをさらに備え、
前記スイブル制御手段は、前記旋回判断手段によりステアリングが切られていると判断されている場合であっても、前記目標スイブル角の方向が前記道路形状決定手段が決定した前方道路の曲率方向と一致しない場合には、前記目標スイブル角に向けたスイブル角の制御を実行しないことを特徴とする。
この請求項2記載の発明においても、車両が走行している道路またはその道路上の物体から、走行中の道路形状に関連する走行路形状関連情報を取得しており、道路形状決定手段では、その走行路形状関連情報から前方道路の曲率方向を決定している。そして、スイブル制御手段では、ステアリングが切られていると判断されている場合であっても、目標スイブル角の方向が道路形状決定手段で決定した前方道路の曲率方向と一致しない場合には、スイブル角の制御を実行しない。そのため、道路工事中で臨時に設けられた迂回道路を走行する場合など、短区間で曲率方向が変化している道路において誤ったスイブル制御が行われないことになるので、スイブル制御の信頼性が高くなる。
ここで、前方道路の曲率方向は、請求項3のように、車両前方の画像を解析することによって決定することができる。その請求項3記載の発明は、請求項1または2において、前記形状情報取得手段は、走行路形状関連情報として、前記車両に設置されて車両前方を撮像するカメラから車両前方画像を取得するものであり、前記道路形状決定手段は、前記車両前方画像を解析することによって前方道路の曲率方向を決定することを特徴とする。
請求項3のように、車両前方の画像を解析して前方道路の曲率方向を決定する場合、請求項4乃至7のように、走行路の形状に関連物体の有無を判定して曲率方向を決定することができる。
すなわち、請求項4記載の発明は、請求項3において、前記道路形状決定手段は、前記車両前方画像を解析することによって道路区画線が画像内にあるか否かを判定し、道路区画線があると判定した場合には、その道路区画線の形状に基づいて前記曲率方向を決定することを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、請求項3において、前記道路形状決定手段は、前記車両前方画像を解析することによって、前方道路形状を示す道路標識が画像内にあるか否かを判定して、その道路標識があると判定した場合には、その道路標識に基づいて前記曲率方向を決定することを特徴とする。
また、請求項6記載の発明は、請求項3において、前記道路形状決定手段は、前記車両前方画像を解析することによって、連続して路面に標示された複数の減速路面標示があるか否かを判定して、その複数の減速路面標示があると判定した場合には、その減速路面標示の変化方向に基づいて前記曲率方向を決定することを特徴とする。なお、減速路面標示の変化方向に基づいて前方道路の曲率方向が決定できるのは、複数の減速路面標示の道路幅方向における位置は互いに同一となっているので、減速路面標示の変化方向は道路形状に対応しているからである。
また、請求項7記載の発明は、請求項3において、前記道路形状決定手段は、前記車両前方画像を解析することによって、前方を走行する先行車両が画像内にあるか否かを判定して、先行車両があると判定した場合には、画像内におけるその先行車両の位置変化に基づいて前記曲率方向を決定することを特徴とする。前方を走行する先行車両も道路形状に沿って走行していることから、画像内における先行車両の位置変化に基づいて前方道路の曲率方向を決定することができるのである。
また、請求項8のように、前方を走行する先行車両をレーダ装置で検出している場合、そのレーダ装置からの信号に基づいて前方道路の曲率方向を決定してもよい。その請求項8記載の発明は、請求項1または2において、前記形状情報取得手段は、走行路形状関連情報として、前記車両に設置されて車両前方に向けて送信波を照射するとともに、その送信波の反射波を受信するレーダ装置から反射波の信号を取得するものであり、前記道路形状決定手段は、前記反射波の信号に基づいて前方を走行する先行車両があるか否かを判定して、先行車両があると判定した場合には、その先行車両の位置変化に基づいて前記曲率方向を決定することを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態となる前照灯スイブル制御装置(以下、単に制御装置という)5を含む車両用前照灯装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、車両用前照灯装置1は、車両7の前面に配設した一対の前照灯2、2と、この前照灯2、2を水平面内において回転駆動させる駆動機構3、3と、車両7のステアリング舵角ωを逐次検出するステアリング舵角検出手段41と、車両7の現在位置を逐次検出する位置検出手段42と、車両7の速度Vを逐次推定する速度推定手段43と、ナビゲーション手段44と、制御装置5と、車載カメラ6とを有している。
駆動機構3は、垂直な回転軸周りの所定角度範囲内で前照灯2を回転駆動させる公知の機構であり、たとえば、以下の構成を有する。すなわち、駆動機構3は、制御装置5と電気的に接続されてその制御装置5によって駆動が制御されるモータと、そのモータの回転軸と一体回転するウォームギアと、そのウォームギアと互いにネジ係合するウォームホイールとを備えたものである。そして、前照灯2の回転軸がウォームホイールと一体回転するように、そのウォームホイールに固定される。この駆動機構3により、前照灯2の光軸のスイブル角αは、所定の角度範囲(たとえば±15度)で調整可能となっている。そして、スイブル角αが調整されることによりエルボー点が移動する。
ステアリング舵角検出手段41は、公知のステアリング角センサを備えており、ステアリング舵角ωを検出する。このステアリング舵角ωは、直進時のステアリング位置を0度として、右旋回または左旋回のいずれか一方を正の舵角で表し、他方を負の舵角で表すものである。
位置検出手段42は、複数のGPS人工衛星から逐次送信されてくる位置検出用データ(人工衛星の位置座標および時刻のデータ等)を逐次受信するGPS受信機を備えており、GPS受信機が受信したデータから車両7の現在位置Xを逐次検出する。なお、GPS受信機に加えて、地磁気センサ、ジャイロセンサなど公知の車両位置検出に用いるセンサを備え、それらを相互補完的に使用しつつ車両7の位置を検出してもよい。
速度推定手段43は、各車輪に設けられ、車輪の回転に応じた間隔で車速パルスを出力する車速センサを備え、それら車速センサからの車速パルスに基づいて車両7の速度Vを逐次算出する。
ナビゲーション手段44は、道路地図データを記憶した記憶装置441を備えている。この記憶装置441に記憶されている道路地図データは、道路を走行路方向に任意に分割して配置したナビゲーションポイントに対して、ノード情報とリンク情報とを備えている。ノード情報としては、各ナビゲーションポイントに対する位置座標情報等が格納されている。また、リンク情報としては、ナビゲーションポイント間の連結情報(曲率R、ベクトルすなわち曲率方向)等が格納されている。さらに、曲線路の端に存在するナビゲーションポイントは曲線路端ポイントとして設定されている。なお、曲線路とは、曲率Rが予め設定された値以下の道路を意味する。
そして、ナビゲーション手段44は、位置検出手段42により検出した車両7の現在位置Xと、記憶装置441に記憶されている道路地図データとから、現在、車両7がどの道路を走行中であるかを決定する。また、案内経路が設定されている場合には、車両7がその案内経路に従って走行するように、所定の案内動作を実行する。
車載カメラ6は、車両前方の道路が撮像可能なように撮像範囲が設定されており、制御装置5からの指示に従って、または連続的に車両前方の道路の画像を撮像して、撮像した車両前方の道路の画像を表す信号を制御装置5に供給する。
制御装置5は、図示しない内部にCPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータであり、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより前照灯2のスイブル角αを制御する。
図2は、制御装置5がスイブル角αを制御するために実行するメインルーチンを示している。なお、この図2に示す処理は所定周期で繰り返し実行する。
図2において、まず、車速信号取得手段に相当するステップS10では、速度推定手段43から車速Vを表す車速信号Svを取得する。続くステップS20は舵角信号取得手段に相当する処理であり、ステアリング舵角検出手段41からステアリング舵角ωを表すステアリング舵角信号Sωを取得する。
続くステップS30は位置情報取得手段に相当する処理であり、位置検出手段42から現在位置Xを表す現在位置情報を取得する。続くステップS40では、車載カメラ6から車両前方画像の信号を取得する。
続くステップS50では、後述する図3に示すサブルーチンを実行することにより、舵角スイブル制御におけるスイブル角αの目標値となる目標スイブル角αを算出する。続くステップS60では、後述する図4に示すサブルーチンを実行することにより、先行スイブル制御におけるスイブル角αの目標値となる目標スイブル角αを算出する。
続いてスイブル制御手段に相当する処理であるステップS70乃至S80を実行する。ステップS70では、後述する図5に示すサブルーチンを実行することにより、先行スイブル制御を実行し、ステップS80では、後述する図6に示すサブルーチンを実行することにより、舵角スイブル制御を実行する。
次に、目標スイブル角αを算出するための図3に示すサブルーチンを説明する。図3において、まず、ステップS51では、図2のステップS10、S20で取得した車速信号Svおよびステアリング舵角信号Sωがそれぞれ表す車速Vとステアリング舵角ωを下記式1に代入することにより定常円旋回半径Rを算出する。
(式1) R=(L/(ω×S))×(1+KV
式1において、Lはホイールベース、Sはステアリングギア比、Kはスタビリティファクターであり、それぞれ予め設定されている定数である。
そして、続くステップS52では、車速VとステップS51で算出した定常円旋回半径Rとを下記式2に代入することにより、目標スイブル角αを算出する。なお、式2においてTは配光ポイント決定時間であり、たとえば3秒に設定されている。
(式2) α=((T×V/2)/2πR)×360
上記式2において、T×Vは、定常円旋回半径Rの円に沿って速度Vの車両7がT秒間に走行する円弧の長さであり、図7に示すように、定常円旋回半径Rの円における長さT×V/2の円弧の中心角が目標スイブル角αとなる。従って上記式2から目標スイブル角αが算出できるのである。
なお、図7において、40は車両7の実際の走行ラインを示しており、速度Vで走行しているとすると、現在位置Xにいる車両7はT秒後には凡そ配光ポイントPcに位置することになる。そのため、前照灯2の光軸Liがその配光ポイントPcを通るように目標スイブル角αを設定するのである。
次に、目標スイブル角αを算出するための図4に示すサブルーチンを説明する。図4において、まず、道路地図データ取得手段に相当する処理であるステップS61では、現在位置Xに対して走行中の道路に沿って所定距離前方(ここでは150m)となる地点の道路地図データをナビゲーション手段44の記憶装置441から取得する。
続くステップS62では、ステップS61で取得した道路地図データに基づいて、150先の地点が曲線路端ポイントPiであるか否かを判断する。このステップS62が否定判断である場合には図4のルーチンを終了して、図2のステップS70へ進むことになる。
一方、ステップS62が肯定判断である場合には、制御開始ポイント決定手段に相当するステップS63へ進んで、曲線路端ポイントPiに基づいて制御開始ポイントPsを決定する。この制御開始ポイントPsは、予め設定された時間後(ここでは3秒後)に車両7が上記曲線路端ポイントPiに到達する地点であり、次のようにして決定する。すなわち、図2のステップS10で取得した車速Vを用い、曲線路端ポイントPiよりもV×3(m)だけ車両側の地点を制御開始ポイントPsに決定する。
続くステップS64は目標角決定手段に相当する処理であり、前述の式2に、図2のステップS10で取得した車速信号Svが表す車速Vと、ステップS61で取得した道路地図データに含まれている曲率Rとを式2に代入することにより目標スイブル角αを算出する。そして、その算出した値にステップS61で取得した道路地図データに含まれている曲率方向に基づいて正負の符号を付与する。
次に、先行スイブル制御を実行する図5のサブルーチンを説明する。図5において、ステップS71では、図2のステップS20で取得したステアリング舵角信号Sωが表すステアリング舵角ωの絶対値が、0に近い値に予め設定された舵角スイブル切替角C以下であるか否かを判断する。このステップS71が否定判断である場合にはこのサブルーチンを終了して、図2のステップS80へ進む。一方、肯定判断である場合にはステップS72へ進む。
ステップS72では、図2のステップS30で取得した現在位置情報に基づいて、車両7が図4のステップS63で決定した制御開始ポイントPsに到達したか否かを判断する。車両7が制御開始ポイントPsに到達していない場合、または、制御開始ポイントPsが決定されていない場合には否定判断となる。否定判断である場合には、このサブルーチンを終了して、図2のステップS80へ進む。一方、肯定判断である場合には、道路形状決定手段に相当する処理であるステップS73乃至S74を実行する。
ステップS73では、図2のステップS40で取得した車両前方画像の信号を公知の画像解析手法により解析して、その画像内に、(1)道路区画線、(2)道路形状を示す所定の道路標識、(3)減速路面標示、(4)先行車両のいずれかがあるか否かを判定する。なお、先行車両とは、自車の前方において自車と同方向に走行する車両を意味する。
上記(1)乃至(4)は車両7が走行中の道路の形状に関連した道路形状関連物であり、この道路形状関連物の有無を判定するための車両前方画像の信号は、走行路形状関連情報に相当する。従って、車両前方画像の信号を取得する図2のステップS40は、形状情報取得手段に相当する処理である。
ここで、(1)の道路区画線には、車道中央線、車線境界線、車道外側線などがある。道路区画線が道路形状関連物である理由は、道路区画線は道路の長手方向に連続的に引かれており、道路の長手方向位置によらず一定の幅方向位置に引かれているからである。道路区画線の有無は、たとえば、通常の道路区画線認識処理を実行することによって判定することができる。この道路区画線認識処理は、車両前方画像を二値化処理し、二値化処理後の画像から白色部分や黄線を抽出することによって道路区画線を認識するものである。
(2)の道路形状を示す道路標識には、図8(A)に示す「右(又は左)方屈曲あり」を示す警戒標識、図8(B)に示す「右(又は左)背向屈曲あり」などがある。この道路形状を示す道路標識の有無を判定するには、たとえば、道路形状を示す道路標識の画像を記憶しておき、その画像と車両前方画像とのパターンマッチングを用いる。
(3)の減速路面標示は、たとえば、図9に示すものである。この減速路面標示は、路面に標示されている線である点において道路区画線と同一であり、道路区画線と同様の手法によって有無を判定することができる。
(4)の先行車両の有無を判定するには、たとえば、車両の基準画像を記憶しておき、その画像と車両前方画像とのパターンマッチングを用いる。
ステップS74では、ステップS73の判定結果に基づいて前方道路の曲率方向を決定する。なお、このステップS74において決定する曲率方向とは、右方向、左方向、直線のいずれであるかを決定するものである。たとえば、道路区画線があると判定できた場合には、その道路区画線の曲率方向を前方道路の曲率方向に決定する。道路形状を示す道路標識があると判定できた場合には、認識できた道路標識に基づいて前方道路の曲率方向を決定する。複数の減速路面標示があると判定できた場合には、画像内における減速路面標示の位置が自車から遠ざかるにつれて左右いずれの方向に変化しているかに基づいて前方道路の曲率方向を決定する。先行車両があると判定できた場合にも、画像内におけるその先行車両の位置が左右いずれの方向に移動しているかに基づいて前方道路の曲率方向を決定する。
続くステップS75では、ステップS74で決定した前方道路の曲率方向と、図4のステップS64で算出した目標スイブル角αの方向とが一致するか否かを判定する。このステップS75が否定判定である場合には、スイブル角の制御を実施せずにこのサブルーチンを終了する。
一方、ステップS75が肯定判定である場合にはステップS76へ進む。ステップS76では、駆動機構3を駆動させることにより、実際のスイブル角αを図4のステップS64で算出した目標スイブル角αへ向けて所定単位角度だけ増加させる。なお、所定単位角度は、平均的な目標スイブル角αよりも十分に小さい値に設定されている。
次に、舵角スイブル制御を実行する図6のサブルーチンを説明する。図6において、ステップS81では、図2のステップS20で取得したステアリング舵角信号Sωが表すステアリング舵角ωの絶対値が前述の舵角スイブル切替角Cよりも大きいか否かを判断する。この判断が肯定判断である場合には、ステアリングが切られたと判断できることから、このステップS81が旋回判断手段に相当する処理である。
ステップS81の判断が否定判断である場合、このサブルーチンを終了する。一方、肯定判断である場合には、ステップS82へ進む。ステップS82、S83は、それぞれ、図5のステップS73、S74と同じ処理である。従って、ステップS82、S83も道路形状決定手段に相当する処理である。
すなわち、舵角スイブル制御においても、車両前方画像から道路形状関連物の有無を判定し(S82)、その判定結果から前方道路の曲率方向を決定する(S83)。
そして、続くステップS84では、ステップS83で決定した前方道路の曲率方向と、図3のステップS54で算出した目標スイブル角αの方向とが一致するか否かを判定する。このステップS84が否定判定である場合には、スイブル角の制御を実施せずにこのサブルーチンを終了する。
一方、ステップS84が肯定判定である場合にはステップS85へ進む。ステップS85では、駆動機構3を駆動させることにより、実際のスイブル角αを図3のステップS52で算出した目標スイブル角αへ向けて所定単位角度だけ増加させる。
前述のように、図2のメインルーチンは所定周期で繰り返し実行するようになっていることから、条件が成立する場合には、図5のステップS76または図6のステップS85が繰り返し実行されることにより、実際のスイブル角αが目標スイブル角αまたはαに向けて変化することになる。
以上、説明した本実施形態によれば、車両7が走行している道路およびその道路上の物体の情報を含んでいる車両前方画像の信号を車載カメラ6から取得しており(S40)、その車両前方画像を解析することにより前方道路の曲率方向を決定している(S73、S74、S82、S83)。このようにして決定する前方道路の曲率方向は、仮に、前方道路が臨時に設けられた迂回道路であったとしても、その道路の曲率方向を正しく示している。
そして、図5のスイブル制御においては、車両7が制御開始ポイントPsに到達したとしても、目標スイブル角αの方向がS74で決定した前方道路の曲率方向と一致しない場合には、スイブル角の制御を実行しない。そのため、道路工事中で臨時に設けられた迂回道路を走行する場合など、道路地図データに格納されている道路の曲率方向が実際の道路の曲率方向と異なっている場合にはスイブル角の制御が行われないことになるので、高い信頼性でスイブル角の制御を行うことができる。
また、図6の舵角スイブル制御においては、ステアリングが切られていると判断されている場合であっても、目標スイブル角αの方向がS83で決定した前方道路の曲率方向と一致しない場合には、スイブル角の制御を実行しない。そのため、道路工事中で臨時に設けられた迂回道路を走行する場合など、短区間で曲率方向が変化している道路において誤ったスイブル制御が行われないことになるので、スイブル制御の信頼性が高くなる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
たとえば、舵角スイブル制御においては、図6のステップS81においてステアリングが切られたと判定した場合に、S82乃至S84を実行せずに、ステップS85を実行するようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、車載カメラ6からの信号に基づいて先行車両の有無を判定していた。しかし、先行車両の有無を判定する手段はこれに限定されず、たとえば、車両前方へ向けて送信波(ミリ波やレーザ光)を照射するとともに、その送信波の反射波を受信するレーダ装置が備えられている場合には、レーダ装置から反射波の信号を取得して、その反射波の信号に基づいて先行車両の有無を判定してもよい。
また、前述の実施形態では、制御開始ポイントPsを車速Vに基づいて決定していたが、曲線路端ポイントPiから予め設定された距離だけ自車側を制御開始ポイントPsに設定してもよい。
本発明の実施形態となる前照灯スイブル制御装置5を含む車両用前照灯装置1の構成を示すブロック図である。 図1の制御装置5がスイブル角αを制御するために実行するメインルーチンを示す図である。 図2のステップS50において実行し、目標スイブル角αを算出するサブルーチンを示す図である。 図2のステップS60において実行し、目標スイブル角αを算出するサブルーチンを示す図である。 図2のステップS70において実行し、先行スイブル制御を実行するサブルーチンを示す図である。 図2のステップS80において実行し、舵角スイブル制御を実行するサブルーチンを示す図である。 式2によって目標スイブル角αが算出できる理由を説明する図である。 道路形状を示す道路標識を例示する図である。 減速路面標示の一例を示す図である。
符号の説明
1:車両用前照灯装置、 2:前照灯、 3:駆動機構、 5:前照灯スイブル制御装置、 6:車載カメラ、 7:車両、 41:ステアリング舵角検出手段、 42:位置検出手段、 43:速度推定手段、 44:ナビゲーション手段、 441:記憶装置
S10:車速信号取得手段、 S20:形状情報取得手段、 S30:位置情報取得手段、 S40:形状情報取得手段、 S61:道路地図データ取得手段、 S63:制御開始ポイント決定手段、 S64:目標角決定手段、 S70、S80:スイブル制御手段、 S73、S74、S82、S83:道路形状決定手段、 S81:旋回判断手段

Claims (8)

  1. 車両の現在位置に相当する現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、
    前記現在位置情報に基づいて前方道路の道路地図データを取得する道路地図データ取得手段と、
    その道路地図データ取得手段が取得した前方道路の道路地図データに基づいて、前記車両の前照灯の目標スイブル角を決定する目標角決定手段と、
    前記現在位置情報と前方道路の道路地図データとに基づいて、車両の前方に位置する曲線路の端よりも車両側に制御開始ポイントを決定する制御開始ポイント決定手段と、
    車両の現在位置が前記制御開始ポイントに到達したことに基づいて、前記前照灯のスイブル角を水平面内において回転駆動させる駆動機構を駆動させて、前記スイブル角を前記目標角決定手段が決定した目標スイブル角に制御するスイブル制御手段とを備えた前照灯スイブル制御装置であって、
    前記車両が走行している道路またはその道路上の物体から、走行中の道路形状に関連する走行路形状関連情報を取得する形状情報取得手段と、
    前記走行路形状関連情報に基づいて前方道路の曲率方向を決定する道路形状決定手段とをさらに備え、
    前記スイブル制御手段は、車両が前記制御開始ポイントに到達した場合であっても、前記目標角決定手段が決定した目標スイブル角の方向が前記道路形状決定手段が決定した前方道路の曲率方向と一致しない場合には、前記目標スイブル角に向けたスイブル角の制御を実行しないことを特徴とする前照灯スイブル制御装置。
  2. 車両のステアリング舵角に相当するステアリング舵角信号を取得する舵角信号取得手段と、
    前記車両の車速に相当する車速信号を取得する車速信号取得手段と、
    前記ステアリング舵角信号に基づいて前記車両のステアリングが切られたか否かを判断する旋回判断手段と、
    前記旋回判断手段によりステアリングが切られていると判断されていることに基づいて、前記前照灯のスイブル角を水平面内において回転駆動させる駆動機構を駆動させて、前記スイブル角をステアリング舵角および車速に基づいて定まる目標スイブル角に向けて制御するスイブル制御手段とを備えた前照灯スイブル制御装置であって、
    前記車両が走行している道路またはその道路上の物体から、走行中の道路形状に関連する走行路形状関連情報を取得する形状情報取得手段と、
    前記走行路形状関連情報に基づいて前方道路の曲率方向を決定する道路形状決定手段とをさらに備え、
    前記スイブル制御手段は、前記旋回判断手段によりステアリングが切られていると判断されている場合であっても、前記目標スイブル角の方向が前記道路形状決定手段が決定した前方道路の曲率方向と一致しない場合には、前記目標スイブル角に向けたスイブル角の制御を実行しないことを特徴とする前照灯スイブル制御装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記形状情報取得手段は、走行路形状関連情報として、前記車両に設置されて車両前方を撮像するカメラから車両前方画像を取得するものであり、
    前記道路形状決定手段は、前記車両前方画像を解析することによって前方道路の曲率方向を決定することを特徴とする前照灯スイブル制御装置。
  4. 請求項3において、
    前記道路形状決定手段は、前記車両前方画像を解析することによって道路区画線が画像内にあるか否かを判定し、道路区画線があると判定した場合には、その道路区画線の形状に基づいて前記曲率方向を決定することを特徴とする前照灯スイブル制御装置。
  5. 請求項3において、
    前記道路形状決定手段は、前記車両前方画像を解析することによって、前方道路形状を示す道路標識が画像内にあるか否かを判定して、その道路標識があると判定した場合には、その道路標識に基づいて前記曲率方向を決定することを特徴とする前照灯スイブル制御装置。
  6. 請求項3において、
    前記道路形状決定手段は、前記車両前方画像を解析することによって、連続して路面に標示された複数の減速路面標示があるか否かを判定して、その複数の減速路面標示があると判定した場合には、その減速路面標示の変化方向に基づいて前記曲率方向を決定することを特徴とする前照灯スイブル制御装置。
  7. 請求項3において、
    前記道路形状決定手段は、前記車両前方画像を解析することによって、前方を走行する先行車両が画像内にあるか否かを判定して、先行車両があると判定した場合には、画像内におけるその先行車両の位置変化に基づいて前記曲率方向を決定することを特徴とする前照灯スイブル制御装置。
  8. 請求項1または2において、
    前記形状情報取得手段は、走行路形状関連情報として、前記車両に設置されて車両前方に向けて送信波を照射するとともに、その送信波の反射波を受信するレーダ装置から反射波の信号を取得するものであり、
    前記道路形状決定手段は、前記反射波の信号に基づいて前方を走行する先行車両があるか否かを判定して、先行車両があると判定した場合には、その先行車両の位置変化に基づいて前記曲率方向を決定することを特徴とする前照灯スイブル制御装置。
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