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JP4436020B2 - 車両用空気調和装置 - Google Patents

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一男 石井
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空気調和装置に係り、特に、エバポレータ及びヒータコアにより空気調和を行う車両用空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷却用熱交換器であるエバポレータと、加熱用熱交換器であるヒータコアを一体ユニットとし、それにより、車室内の足元スペースを拡大するとともにコストを削減するようにした車両用空気調和装置(カーエアコンユニット)が開発されている。
このような車両用空気調和装置の従来例が、特開平10−250344号公報及び特開平10−250345号公報に開示されている。
【0003】
一例として、特開平10−250345号公報に開示された従来例を図3により説明する。図3に示すように、従来の車両用空調装置50は、ケーシング52を有し、このケーシング52内に、不図示のブロアから送られた空気をエバポレータ56に導入する空気入口54と、この導入された空気を冷却するエバポレータ56と、このエバポレータ56の後方下半分部に配置されエバポレータ56からの冷却された空気を加熱するヒータコア58とが配置されている。また、ケーシング52内のヒータコア58の後方には仕切り板60が配置され、この仕切り板60により、ヒータコア58により加熱された空気を、エバポレータ56からの冷却空気と混合させるために、上方のミックス領域62に導くようになっている。
【0004】
エバポレータ56の背後には、ヒータコア58をバイパスする空気の量を調整するための冷却空気用ダンパ63と、ヒータコア58に流入する空気量を調整するための加熱空気用ダンパ64が設けられ、冷却空気の量と加熱空気の量を調整できるようになっている。また、仕切板60とケーシング52の後部52aとの間には、フット通路66が形成され、下端にフット吹出口72が設けられている。
さらに、ケーシング52の上部において、ミックス領域62の近傍の部分には、ベント吹出口68が設けられ、このベント吹出口68より前方側には、デフロスト吹出口70が設けられている。これらの吹出口68,70,72には、それぞれベントダンパ74、デフロストダンパ76及びフットダンパ78が設けられている。
【0005】
このような従来の車両用空気調和装置においては、5つのダンパ63,64,74,76,78の開閉を操作することにより、種々のモード(例えば、ベントモード、ベント&フットモード、フットモード、フット&デフロストモード、デフロストモード)で、所望の温度の空気をベント吹出口68、デフロスト吹出口70及び/またはフット吹出口72から吹き出すようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
さて、従来の車両用空気調和装置のエバポレータ56近傍の平断面図を図4に示した。図のように空気入口54から導入された空気は、流路断面積が一様の空間54’を経てエバポレータ56に導入される。このため、空気の流れが空間54’の下流に偏ってしまい、エバポレータ56には符号Aで示すように下流側に偏って導入されてしまう。このため、エバポレータ56の冷房能力を十分に発揮することができなくなると共に、風速の偏りによる露飛び、左右の風量差発生等の問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、エバポレータに流入する空気を均一化して高い冷房能力を得ることができる空気調和装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ケーシングと、該ケーシング内の前部に配置されたエバポレータと、前記エバポレータにブロアから送り出された空気を導くブロアディフューザ部とを備え、該ブロアディフューザ部は、前記エバポレータの一側面に対して、横方向から空気を導くよう構成され、その流路断面積は、下流側ほど小さい構成とされている車両用空気調和装置であって、前記ケーシングの下方から前方を通って上方に開口するデフロスト通路を備え、該デフロスト通路と前記ブロアディフューザ部とが近接位置しているとともに、前記デフロスト通路は、その前方壁部が前記エバポレータと略平行とされ、前記ケーシング側の壁部が前記ブロアディフューザ部の流路断面積が下流側ほど小さい構成とされた形状に沿って形成されていることを特徴とする。
【0009】
この車両用空気調和装置においては、ブロアディフューザ部の下流側の流路幅が小さいため、下流端に空気が偏らず、エバポレータには均一に空気が流入する。なお、ブロアディフューザ部は、エバポレータの一側面に対して、垂直・水平のいずれの横方向から導くようにしてよい。また、ブロアディフューザ部の下流側流路幅を減少させたスペースをデフロスト通路に用いることができる。このため、デフロスト通路の位置をよりケーシング中央側に接近させることができる。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項に記載の車両用空気調和装置において、前記エバポレータの背後にほぼ直立に配置されたヒータコアと、上記エバポレータの背後で且つヒータコアの上方に形成され、ヒータコアをバイパスした空気とヒータコアを通過した空気を混合するミックス領域と、上記ヒータコアを通過した空気を上記のミックス領域に導くように配置された仕切板と、上記ケーシングの後方部と上記仕切板により形成されたフット通路と、このフット通路の下端部と連通しケーシングの下方から前方を通って上方に開口するデフロスト通路と、上記ケーシングのミックス領域近傍からガイドされた空調空気が車室内に吹き出されるベント吹出口と、上記ケーシングの上記フット通路の下端部に形成されたフット吹出口と、上記デフロスト通路の上端部に形成されたデフロスト吹出口と、上記エバポレータを通過した空気のうち、ヒータコアをバイパスする空気の量と、ヒータコアを通過する空気の量を調整する温度調整ダンパと、上記ベント吹出口の開閉を行うベントダンパと、上記フット吹出口の開閉を行うフットダンパと、上記デフロスト吹出口の開閉を行うデフロストダンパとを有することを特徴とする。
【0011】
この発明においては、ベント吹出口をミックス領域の近傍に形成し、フット吹出口をフット通路の下端部に形成し、デフロスト通路をフット吹出口の下端部と連通させるとともにケーシングの外側に沿って形成し、デフロスト吹出口をこのデフロスト通路の上端部に形成するようにしたので、所望の関係である、「デフロスト吹出口の空気温度」>「フット吹出口の空気温度」>「ベント吹出口の空気温度」という関係を自然に得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1において、符号1は本実施形態にかかる車両用空気調和装置を示している。この車両用空気調和装置1は、ケーシング2を有し、このケーシング2内の車両前方側には、略直立に冷却用熱交換器であるエバポレータ(蒸発器)4が配置されている。このエバポレータ4には、ブロアディフューザ部3によってガイドされた空気が導入されるようになっている。このエバポレータ4の背後(車両後方側)の下方には加熱用熱交換器であるヒータコア6が配置されている。エバポレータ4の下流は、エバポレータ4から略水平方向に延在してヒータコア6をバイパスするバイパス通路10と、エバポレータ4から下降してヒータコア6を通過する通路10’とに分岐している。さらに、ヒータコア6の下流にはヒータ通路12が形成されており、このヒータ通路12は下流側が上方を向いてバイパス通路10と合流するようになっている。
ヒータ通路12の車両後方側の壁部は仕切板8となっており、仕切板8とケーシング2の後部壁2aとの間にはフット通路14が形成されている。ヒータ通路12はバイパス通路10と合流した後フット通路14につながって仕切板8の背後に回り込んで下降するようになっている。この仕切板8の上端部8aは、略前方に向くよう曲がって形成されており、かつ、流線型状に形成されている。
さらに、フット通路14の下端側と連通するとともにケーシング2の下方から前方を通って上方に開口するデフロスト通路16が形成されている。このデフロスト通路16はブロアディフューザ部3に近接位置している。なお、符号17はインパネ(インスツルメントパネル)である。
【0013】
デフロスト通路16とブロアディフューザ部3の近傍のI−I線による断面図を図2に示した。
ブロアディフューザ部3は、エバポレータ4の正面(一側面)に対して横方向から流入する流路を形成しており、その流路断面積は、下流側ほど小さくなっている。デフロスト通路16は、車両前方の壁部16aはエバポレータ4と略平行であるが、車両後方側の壁部16bはブロアディフューザ部3の形状に沿った形状となっている。このため、デフロスト通路16は、幅方向一側の流路断面積が大きく、他側の流路断面積が小さい構成となっている。
【0014】
さて、図1のように、バイパス通路10の下流側とヒータ通路12の上方側との合流部には、エバポレータ4により冷却されバイパス通路10を通過する空気と、ヒータコア6により加熱されヒータ通路12を通過する空気とが混合されるミックス領域18が形成されている。
また、エバポレータ4の下流側のバイパス通路10には、温度調整用ダンパ20が設けられている。この温度調整用ダンパ20は、エバポレータ4を通過した空気のうち、ヒータコア6を通過しない空気の量と、ヒータコア6を通過する空気の量とを調整するためのものである。この温度調整用ダンパ20は、全閉(0%)から全開(100%)まで開度を設定できるようになっている。なお、図1において、実線で示す位置が0%開度状態であり、鎖線で示す位置が100%開度状態である。また、この温度調整用ダンパ20の開度は、図示しないダンパ駆動用モータにより、調整されるようになっている。
【0015】
さらに、ミックス領域18近傍のケーシング2の後方上部には、ベント通路21が設けられ、下流端に吹出口22が設けられている。また、ケーシング2の後方下端部、すなわち、フット通路14の下端部には、フット吹出口24が設けられ、さらに、デフロスト通路16の前方上部には、デフロスト吹出口26が設けられている。
このベント通路21とフット通路14の分岐部にはベント用ダンパ28が設けられており、さらに、フット吹出口24にはフットデフロスト兼用ダンパ30がそれぞれ設けられている。ここで、フットデフロスト兼用ダンパ30は、フット通路14とデフロスト通路16との分岐部に設けられており、フットダンパ及びデフロストダンパの両方のダンパ機能も兼ね備えており、そのため、別個にデフロスト用ダンパを設ける必要がない。
なお、本実施形態においては、フットダンパ及びデフロストダンパをそれぞれ独立に設けるようにしてもよい。この場合には、デフロストダンパは、デフロスト吹出口に設けることになる。
【0016】
このように構成されていることにより、本実施形態における空気調和装置は以下の効果を得ることができる。
ブロアディフューザ部3の下流側の流路断面積が小さいため、下流端に空気が偏らず、エバポレータ4には均一に空気が流入する。このため、冷房能力の向上と露飛びの防止、左右の風量を適正にできる。
ブロアディフューザ部3の下流側流路幅を減少させたスペースをデフロスト通路16に用いることができる。このため、スペースを有効活用することができ、空気調和装置全体の省スペース化を実現することができる。
従来の空気調和装置においては、デフロスト吹出口70はケーシング52の上方に直接設けられていたが、インパネ17が障害となってデフロスト吹出口を直接上方に設けることができない場合、本実施形態のようにデフロスト通路16をケーシング2の下方にまわして上方に導くことにより、インパネ17を避けて設置することができる。
【0017】
また、ケーシング2に沿ってエバポレータ4に近い側から、ベント吹出口22,フット吹出口24,デフロスト吹出口26の順番で、各吹出口が設けられている。その結果、本実施形態によれば、車両用空気調和装置において、本来的に要求される、各吹出口から吹き出される空気の温度の関係が、自然に「デフロスト吹出口の空気温度」>「フット吹出口の空気温度」>「ベント吹出口の空気温度」の関係を満たすものとなる。
さらに、フット通路14とデフロスト通路16との連通部にフットデフロスト兼用ダンパ30を設けるようにしたので、別個にデフロスト用ダンパを設ける必要がない。この結果、可動部材であるダンパを一つに低減させることができ、その分信頼性を向上させることができる。
さらに、仕切板8の上端部8aが、略前方を向くよう曲がって形成されているため、これにより、ヒータコア6により加熱された空気をミックス領域18のより上流側に供給することができ、エバポレータ4からの冷却空気との混合が促進され、ミックス領域18を小さくすることができる。
【0018】
なお、上記実施形態においては、デフロスト通路16をケーシングの下方から前方を通って上方に開口する構成を備えた空気調和装置を示したが、図3に示した従来の空気調和装置において、上記実施形態のブロアディフューザ部3を適用してもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては以下の効果を得ることができる。
請求項1に記載の発明によれば、ブロアディフューザ部の下流側の流路幅が小さいため、下流端に空気が偏らず、エバポレータには均一に空気が流入する。したがって、十分な冷房能力を得ることができる。また、風量の偏りによる露飛びを防止できると共に、左右風量を適正にすることができる。さらに、ブロアディフューザ部の下流側流路幅を減少させたスペースをデフロスト通路に用いることができる。このため、デフロスト通路の位置をよりケーシング中央側に接近させることができ、装置の小型化を実現することができる。
請求項に記載の発明によれば、「デフロスト吹出口の空気温度」>「フット吹出口の空気温度」>「ベント吹出口の空気温度」という関係を自然に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態として示した車両用空気調和装置の側断面図である。
【図2】 同車両用空気調和装置のエバポレータ近傍を示した平断面図である。
【図3】 従来の車両用空気調和装置の側断面図である。
【図4】 同車両用空気調和装置のエバポレータ近傍を示した平断面図である。
【符号の説明】
1 車両用空気調和装置
2 ケーシング
3 ブロアディフューザ部
4 エバポレータ
6 ヒータコア
8 仕切板
10 バイパス通路
12 ヒータ通路
14 フット通路
16 デフロスト通路
18 ミックス領域
20 温度調整用ダンパ
22 ベント吹出口
24 フット吹出口
26 デフロスト吹出口
28 ベント用ダンパ
30 フットデフロスト兼用ダンパ

Claims (2)

  1. ケーシングと、該ケーシング内の前部に配置されたエバポレータと、
    前記エバポレータにブロアから送り出された空気を導くブロアディフューザ部とを備え、
    該ブロアディフューザ部は、前記エバポレータの一側面に対して、横方向から空気を導くよう構成され、その流路断面積は、下流側ほど小さい構成とされている車両用空気調和装置であって、
    前記ケーシングの下方から前方を通って上方に開口するデフロスト通路を備え、該デフロスト通路と前記ブロアディフューザ部とが近接位置しているとともに、
    前記デフロスト通路は、その前方壁部が前記エバポレータと略平行とされ、前記ケーシング側の壁部が前記ブロアディフューザ部の流路断面積が下流側ほど小さい構成とされた形状に沿って形成されていることを特徴とする車両用空気調和装置。
  2. 請求項記載の車両用空気調和装置において、
    前記エバポレータの背後にほぼ直立に配置されたヒータコアと、
    上記エバポレータの背後で且つヒータコアの上方に形成され、ヒータコアをバイパスした空気とヒータコアを通過した空気を混合するミックス領域と、
    上記ヒータコアを通過した空気を上記のミックス領域に導くように配置された仕切板と、
    上記ケーシングの後方部と上記仕切板により形成されたフット通路と、
    このフット通路の下端部と連通しケーシングの下方から前方を通って上方に開口するデフロスト通路と、
    上記ケーシングのミックス領域近傍からガイドされた空調空気が車室内に吹き出されるベント吹出口と、
    上記ケーシングの上記フット通路の下端部に形成されたフット吹出口と、
    上記デフロスト通路の上端部に形成されたデフロスト吹出口と、
    上記エバポレータを通過した空気のうち、ヒータコアをバイパスする空気の量と、ヒータコアを通過する空気の量を調整する温度調整ダンパと、
    上記ベント吹出口の開閉を行うベントダンパと、
    上記フット吹出口の開閉を行うフットダンパと、
    上記デフロスト吹出口の開閉を行うデフロストダンパと、
    を有することを特徴とする車両用空気調和装置。
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