JP2004256048A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前席側フット開口部26および後席側フット開口部27のうち、前席側フット開口部26を暖房用熱交換器13の空気吹出延長方向の部位に配置し、後席側フット開口部27を前席側フット開口部26の下側に隣接配置し、暖房用熱交換器13の吹出直後の温風を両フット開口部26、27に直接導入する温風バイパス通路31を形成し、フットモードの最大暖房時に温風バイパスドア32により温風バイパス通路31を開口する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フットモード時の通風圧損(圧力損失)を低減できる車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特許文献1にて次のごときエアミックス方式の車両用空調装置が提案されている。すなわち、暖房用熱交換器の空気流れ下流側(車両後方側)に温風を上方へ導く温風通路を形成するとともに、暖房用熱交換器の上方に冷風が流れる冷風通路を形成し、温風通路からの温風と冷風通路からの冷風とを混合する空気混合部を暖房用熱交換器の上方に配置し、この空気混合部からの温度制御された空調空気を暖房用熱交換器の上方側に配置されたデフロスタ開口部、フェイス開口部、および前席側フット開口部に配風する。
【0003】
更に、前席側フット開口部の下方側に後席側フット開口部を配置し、この両フット開口部の間をフット連通路により連通して、空気混合部の空調空気がこの温風連通路を介して後席側フット開口部にも流れるようにするとともに、暖房用熱交換器空気流れ下流側の温風通路とフット連通路との間を仕切る仕切り壁に、温風バイパス通路、およびこの温風バイパス通路を開閉する温風バイパスドアを設けている。
【0004】
フットモード時に、この温風バイパスドアにより温風バイパス通路を開口すると暖房用熱交換器直後の温風が温風バイパス通路から直接、後席側フット開口部に流れるので、車室内後席側領域に吹き出す温風の風量、温度が上昇して後席側領域の暖房感を向上できる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−919号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術では車室内後席側領域の暖房感を向上できるものの、前席側フット開口部は後席側フット開口部から離れて暖房用熱交換器の上方側に配置されているので、温風バイパスドアにより温風バイパス通路を開口した状態においても、前席側フット開口部には、暖房用熱交換器空気流れ下流側の温風通路と空気混合部を通過するUターン状の第1温風経路と、温風バイパス通路およびフット連通路を通過する第2温風経路とを介して温風が流れる。
【0007】
この第1温風経路および第2温風経路のいずれも経路長さがかなり長いので、温風バイパス通路を開口しても前席側フット開口部の通風圧損は依然として高い状態にある。このため、フットモード時に吹出風量を大きくした大風量状態を設定すると、通風圧損が高いため送風騒音が大きいという問題が生じる。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、前席側フット開口部と後席側フット開口部の両方を併せ備える車両用空調装置において、フットモード時の通風圧損を低減することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、暖房用熱交換器(13)で加熱される温風と暖房用熱交換器(13)をバイパスする冷風との風量割合を調整するエアミックスドア(16、19)と、温風と冷風とを混合する空気混合部(19)と、空気混合部(19)からの空調空気を前席側乗員の足元側へ吹き出す前席側フット開口部(26)と、空気混合部(19)からの空調空気を後席側乗員の足元側へ吹き出す後席側フット開口部(27)とを備える車両用空調装置において、
前席側フット開口部(26)および後席側フット開口部(27)のうち、少なくとも一方のフット開口部(26)を暖房用熱交換器(13)の空気吹出延長方向の部位に配置し、両フット開口部(26、27)の他方(27)を前記一方のフット開口部(26)に隣接配置し、
暖房用熱交換器(13)の空気吹出側から空気混合部(19)を経由して両フット開口部(26、27)の配置部位に到達するUターン状の温風経路(A)を形成し、また、暖房用熱交換器(13)の吹出直後の部位に、この吹出直後の温風を両フット開口部(26、27)に直接導入する温風バイパス通路(31)、および温風バイパス通路(31)を開閉する温風バイパスドア(32)を配置し、
両フット開口部(26、27)を開口するフットモードが設定され、かつ、エアミックスドア(16、19)が最大暖房位置に操作されたときに温風バイパスドア(32)により温風バイパス通路(31)を開口することを特徴とする。
【0010】
これにより、フットモードの最大暖房時には、暖房用熱交換器(13)の空気吹出側の温風をUターン状の温風経路(A)を通過して両フット開口部(26、27)に導入できると同時に、暖房用熱交換器(13)の吹出直後の温風を温風バイパス通路(31)によって両フット開口部(26、27)に直接導入できる。
【0011】
この結果、温風バイパス通路(31)により通風圧損を大幅に低減した状態にて温風を、隣接配置した両フット開口部(26、27)に導入できるので、送風騒音を低減できる。
【0012】
また、通風圧損の低減により最大暖房時における温風吹出風量を増加して最大暖房性能を向上できる。
【0013】
また、暖房用熱交換器(13)の空気吹出側から空気混合部(19)を経由して両フット開口部(26、27)の配置部位に到達するUターン状の温風経路(A)を具備しているから、温風バイパスドア(32)により温風バイパス通路(31)を閉塞した状態においては、空気混合部(19)からの温度制御された空調空気を両フット開口部(26、27)に導入できる。これにより、フットモード時の吹出空気温度制御を何ら支障なく行うことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明のように、請求項1において、具体的には、一方のフット開口部を前席側フット開口部(26)とし、他方のフット開口部は後席側フット開口部(27)とする。
【0015】
これにより、前席側フット開口部(26)を暖房用熱交換器(13)の空気吹出延長方向の部位に配置して、暖房用熱交換器(13)直後の温風を温風バイパス通路(31)により前席側フット開口部(26)により効果的に導入できる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2において、前席側フット開口部(26)を温風バイパス通路(31)の直後の部位に配置し、前席側フット開口部(26)の下側に後席側フット開口部(27)を隣接配置したことを特徴とする。
【0017】
これにより、暖房用熱交換器(13)直後の温風を温風バイパス通路(31)により前席側フット開口部(26)に効果的に導入できる。しかも、前席側フット開口部(26)の下側に後席側フット開口部(27)を隣接配置するから、後席側フット開口部(27)に接続される後席側フットダクトを車両床面に沿って配置でき、後席側フットダクトが前席側フット開口部(26)の配置の妨げとならない。
【0018】
請求項4に記載の発明のように、請求項3において、具体的には、暖房用熱交換器(13)を車両前方側から車両後方側へ向かって空気が流れるようにし、暖房用熱交換器(13)の車両後方側部位に温風バイパス通路(31)を配置し、温風バイパス通路(31)の車両後方側部位に両フット開口部(26、27)を配置すればよい。
【0019】
請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、具体的には、暖房用熱交換器(13)を車両前方側から車両後方側へ向かって空気が流れるようにし、暖房用熱交換器(13)の車両後方側部位に温風バイパス通路(31)を配置し、温風バイパス通路(31)の車両後方側部位に前席側フット開口部(26)を配置し、前席側フット開口部(26)の車両後方側部位に後席側フット開口部(27)を配置する構成としてもよい。
【0020】
これによると、最も車両後方側部位に位置する後席側フット開口部(27)から後席側フットダクトを車両後方側へ向けて直線的に配置することができる。
【0021】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における空調ユニット10部分を示すもので、本実施形態による車両用空調装置の通風系は、大別して、図示しない送風機ユニットと、空調ユニット10との2つの部分に分かれている。送風機ユニットは車室内の計器盤内側部のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されている。これに対し、空調ユニット10は車室内の計器盤内側部のうち、車両左右方向の略中央部に車両の前後および上下方向に対して図1の矢印に示す形態で配置されている。
【0023】
送風機ユニットは周知のごとく内気(車室内空気)と外気(車室外空気)を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱を通して空気を吸入して送風する遠心式の送風機とから構成されている。
【0024】
空調ユニット10部は、1つの共通の空調ケース11内に冷房用熱交換器をなす蒸発器12と暖房用熱交換器をなすヒータコア13を両方とも一体的に内蔵するタイプのものである。空調ケース11はポリプロピレンのような、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなる。空調ケース11は具体的には複数の分割ケースからなり、この複数の分割ケースを金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合することにより空調ケース11を構成する。
【0025】
空調ケース11内の、最も車両前方側の部位には空気入口空間14が形成されている。この空気入口空間14には、前述の送風機ユニットから送風される空調空気が流入する。
【0026】
空調ケース11内において空気入口空間14直後の部位に蒸発器12が配置されている。この蒸発器12は車両前後方向には薄型の形態で空調ケース11内通路を横断するように上下方向に配置されている。従って、蒸発器12の車両上下方向に延びる前面に空気入口空間14からの送風空気が流入する。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して、空調空気を冷却するものである。
【0027】
そして、蒸発器12の空気流れ下流側、すなわち、車両後方側に、所定の間隔を開けてヒータコア13が配置されている。このヒータコア13は空調ケース11内の下方側において、車両前方側に微小角度だけ傾斜して配置されている。なお、図示しないが、蒸発器12およびヒータコア13の車両左右方向の幅寸法は、空調ケース11の幅寸法と略同等に設計されている。ヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に図示しない車両エンジンから高温の温水(エンジン冷却水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱するものである。
【0028】
空調ケース11内の空気通路において、ヒータコア13の上方部位には、このヒータコア13をバイパスして冷風(空気)が流れる冷風通路15が形成されている。この冷風通路15にはこの冷風通路15を開閉する冷風側エアミックスドア16が配置されている。この冷風側エアミックスドア16は回転軸16aを中心として回転可能な板ドアから構成されている。
【0029】
そして、ヒータコア13の空気下流側(車両後方側)の部位には、ヒータコア13との間に所定間隔を開けて上下方向に延びる仕切り壁17が空調ケース11に一体成形されている。この仕切り壁17によりヒータコア13の直後から上方に向かう温風通路18が形成されている。この温風通路18にはこの温風通路18を開閉する温風側エアミックスドア19が配置されている。この温風側エアミックスドア19は回転軸19aを中心として回転可能な板ドアから構成されている。
【0030】
ここで、冷風側エアミックスドア16の回転軸16aおよび温風側エアミックスドア19の回転軸19aの一端部は空調ケース11の外部に突出して、図示しないリンク機構を介して共通のエアミックスドア操作機構に連結され、両エアミックスドア16、19を連動操作するようになっている。この共通のエアミックスドア操作機構はサーボモータ等を用いたアクチュエータ機構により構成される。しかし、このエアミックスドア操作機構を乗員の手動操作力にて操作される手動操作機構としてもよい。
【0031】
冷風側エアミックスドア16は冷風通路15を通ってヒータコア13をバイパスする冷風の風量を調整し、温風側エアミックスドア19は温風通路18を通過する温風の風量を調整するものであって、冷風側エアミックスドア16が冷風通路15の開度を大きくすると、温風側エアミックスドア19が温風通路18の開度を小さくするように両ドア16、19は連動操作される。
【0032】
図1に示す両ドア16、19の実線位置は最大暖房状態を示しており、冷風側エアミックスドア16が冷風通路15を全閉し、温風側エアミックスドア19が温風通路18を全開している。これに反し、図1に示す両ドア16、19の2点鎖線位置は最大冷房状態を示しており、冷風側エアミックスドア16が冷風通路15を全開し、温風側エアミックスドア19が温風通路18を全閉している。
【0033】
本実施形態では、冷風側エアミックスドア16と温風側エアミックスドア19との組み合わせにより冷風と温風の風量割合を調整して車室内への吹出空気温度を調整する温度調整手段を構成する。
【0034】
空調ケース11の内部において温風通路18の上方側(下流側)の部位に空気混合部20を形成し、この空気混合部20にて冷風通路15からの冷風と温風通路18から温風とを混合させるようになっている。
【0035】
一方、空調ケース11の上面部には、空気混合部20から温度制御された空調空気が流入するデフロスタ開口部21が開口している。このデフロスタ開口部21は図示しないデフロスタダクトを介して車両前面窓ガラスの内面に向けて空調空気を吹き出す。また、空調ケース11の上面部において、デフロスタ開口部21よりも車両後方側(乗員寄り)の部位に前席側フェイス開口部22が設けられており、この前席側フェイス開口部22は図示しない前席側フェイスダクトを介して車室内の前席側乗員の顔部側に向けて空調空気を吹き出す。
【0036】
また、前席側フェイス開口部22の入口部は後席側フェイス連通路23を介して後席側フェイス開口部24に連通している。この後席側フェイス開口部24は前席側フェイス開口部22の下方側に配置されている。この後席側フェイス開口部24は図示しない後席側フェイスダクトを介して車室内の後席側乗員の顔部側へ空調空気を吹き出す。
【0037】
また、空調ケース11の内部において、温風通路18を仕切る仕切り壁17の車両後方側にフット吹出通路25が略上下方向に形成されている。すなわち、車両前後方向において温風通路18と後席側フェイス連通路23との間にフット吹出通路25が形成されている。
【0038】
このフット吹出通路25の上端部の入口開口部25aは空気混合部20直後の下方側に開口して、空気混合部20の温度制御された空調空気を取り入れるようになっている。そして、フット吹出通路25の下端部付近に、前席側フット開口部26と後席側フット開口部27が上下に隣接して配置されている。
【0039】
前席側フット開口部26および後席側フット開口部27はともに空調ケース11の左右の側壁に開口している。左右の前席側フット開口部26は、前席側乗員の足元部に空調空気を吹き出すためのものである。左右の後席側フット開口部27は、図示しない後席側フットダクトを介して車室内の後席側乗員の足元部へ空調空気を吹き出す。
【0040】
デフロスタ開口部21はデフロスタドア28により開閉され、前席側フェイス開口部22および後席側フェイス開口部24はフェイスドア29により開閉され、フット吹出通路25(前席側フット開口部26および後席側フット開口部27)はフットドア30により開閉される。これらのドア28〜30は本例ではいずれも回転可能な板ドアからなり、吹出モードを切り替える吹出モードドアを構成する。これらのドア28〜30は図示しないリンク機構を介して共通の吹出モードドア操作機構により連動操作される。
【0041】
また、温風通路18を仕切る仕切り壁17のうち、下方部位、すなわち、ヒータコア13の熱交換部13aの下方領域に対向する部位に温風バイパス通路31を開口している。この温風バイパス通路31はヒータコア13の熱交換部13a直後の部位をフット吹出通路25の下端部付近に直接連通させる。
【0042】
ここで、ヒータコア13の熱交換部13aは温水が流れる多数本のチューブとチューブ相互間に接合されたコルゲートフィンとから構成され、温水と空気の熱交換を行う部分である。従って、ヒータコア13の熱交換部13aの下方領域にて加熱された温風が熱交換部13a通過後直ちに温風バイパス通路31を通過してフット吹出通路25の下端部付近に流入できるようになっている。
【0043】
ヒータコア13の熱交換部13aの下方領域の直後の部位には温風バイパスドア32が配置され、この温風バイパスドア32により温風バイパス通路31を開閉するようになっている。この温風バイパスドア32は本例では回転軸32aを中心として回転可能な板ドアにより構成されている。
【0044】
更に、温風バイパスドア32の回転軸32aの一端部は空調ケース11の外部に突出して、図示しないリンク機構を介して独立の温風バイパスドア操作機構に連結される。この操作機構は具体的にはサーボモータ等を用いたアクチュエータ機構により構成され、吹出モードとエアミックスドア16、19の操作位置とに基づいて温風バイパスドア32を開閉操作するようになっている。
【0045】
より具体的には、前席側フット開口部26および後席側フット開口部27から空調空気を吹き出すフットモード時に、前述の両エアミックスドア16、19が図1の実線で示す最大暖房位置に操作されたときのみ、温風バイパスドア操作機構が温風バイパスドア32を図1の実線で示す温風バイパス通路31の全開位置に操作する。一方、前述の両エアミックスドア16、19が最大暖房位置から図1の2点鎖線で示す最大冷房位置側へ向かって操作されると、温風バイパスドア操作機構が温風バイパスドア32を図1の2点鎖線で示す温風バイパス通路31の全閉位置に操作する。
【0046】
前述した前席側フット開口部26は、フット吹出通路25の下端部付近にて温風バイパス通路31の直後の部位に配置され、この前席側フット開口部26の下側に後席側フット開口部27が隣接して配置されている。
【0047】
なお、冷風通路15の上方側には冷風バイパス通路33が形成され、この冷風バイパス通路33を冷風バイパスドア34により開閉するようになっている。この冷風バイパスドア34も回転可能な板ドアにより構成されている。冷風バイパスドア34は、フェイスモードにて最大冷房状態が設定されたとき、およびバイレベルモード時に冷風バイパス通路33を開口して蒸発器12直後の冷風を両フェイス開口部22、24側に直接導入する。
【0048】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明すると、本実施形態の車両用空調装置は吹出モード切替用のドア手段をなすデフロスタドア28とフェイスドア29とフットドア30の操作位置を選択することにより、吹出モードを切り替え設定できる。
【0049】
図1はフットモード時を示しており、デフロスタドア28は図1の実線位置に操作され、デフロスタ開口部21を全閉する。また、フェイスドア29は図1の実線位置に操作され、前席側フェイス開口部22および後席側フェイス開口部24の入口部を全閉する。そして、フットドア30は図1の実線位置に操作され、フット吹出通路25を全開する。また、冷風バイパスドア34は図1の実線位置に操作され、冷風バイパス通路33を全閉する。
【0050】
一方、両エアミックスドア16、19を図1の実線位置に操作すると前述のように最大暖房状態が設定され、冷風側エアミックスドア16が冷風通路15を全閉し、温風側エアミックスドア19が温風通路18を全開する。両エアミックスドア16、19が最大暖房位置に操作されることに連動して、温風バイパスドア32が図1の実線位置に操作され、温風バイパス通路31を全開する。
【0051】
以上のドア操作状態において、図示しない送風機ユニットの送風機を作動させると、送風機ユニットの送風空気が空調ケース11内の空気入口空間14に流入し、その後、蒸発器12を通過する。ここで、冷凍サイクルの圧縮機が作動していると、蒸発器12にて送風空気が冷却、除湿され、冷風となる。蒸発器12直後に位置する冷風通路15および冷風バイパス通路33がこのとき全閉されているので、冷風の全量がヒータコア13の熱交換部13aに流入して加熱される。
【0052】
ヒータコア13の熱交換部13aのうち、温風バイパスドア32の実線操作位置よりも上方側領域を通過した温風は、矢印Aのように温風通路18→空気混合部19→フット吹出通路25を通過して、前席側フット開口部26および後席側フット開口部27の配置部位(すなわち、空調ケース11の車両後方側の下端部付近)に流れる。矢印Aの経路はUターン状の第1温風経路を形成する。
【0053】
これと同時に、ヒータコア13の熱交換部13aのうち、温風バイパスドア32の実線操作位置よりも下方側領域を通過した温風は、矢印Bのようにヒータコア13の熱交換部13aの直後の部位から温風バイパス通路31を通過して前席側フット開口部26および後席側フット開口部27の配置部位に略直線的に流れる。矢印Bの経路は略直線的な第2温風経路を形成する。
【0054】
前席側フット開口部26から前席側乗員の足元部に向けて温風が吹き出して前席側乗員の足元部を暖房すると同時に、後席側フット開口部27から図示しない後席側フットダクトを介して後席側乗員の足元部へ温風が吹き出して後席側乗員の足元部を暖房する。
【0055】
このように、フットモードの最大暖房時にはヒータコア13通過後の温風が、Uターン状の第1温風経路(矢印A)と略直線的な第2温風経路(矢印B)とを並列に通過して前席側フット開口部26および後席側フット開口部27に流れる。これに加え、前席側フット開口部26を温風バイパス通路31直後の部位に配置しているから、ヒータコア13の熱交換部13aの直後部位と前席側フット開口部26との間を直線的な、しかも、長さが極端に短い経路にて連通できる。このため、前席側フット開口部26には第2温風経路によって低圧損にて温風を流入させることができる。
【0056】
これと同時に、前席側フット開口部26の下側に後席側フット開口部27を隣接配置しているから、後席側フット開口部27にも温風バイパス通路31から温風を低圧損にて流入させることができる。よって、フットモードの最大暖房時に両フット開口部26、27の通風圧損をともに効果的に低減して、送風騒音を低減できる。
【0057】
また、フットモードの最大暖房時における両フット開口部26、27からの温風吹出風量を増加して、最大暖房性能を向上できる。
【0058】
一方、車室内吹出空気温度の制御のために、両エアミックスドア16、19を実線位置で示す最大暖房位置から反時計方向へ回転操作すると、冷風側エアミックスドア16が冷風通路15を開口するので、冷風通路15を冷風が流れる。これと同時に、温風側エアミックスドア19が温風通路18の開度を減少して、温風通路18を通過する温風の風量を減少させる。また、両エアミックスドア16、19が最大暖房位置から反時計方向へ回転操作され中間温度域に操作されると、これに連動して温風バイパスドア32が図1の2点鎖線位置に操作され、温風バイパス通路31を全閉する。
【0059】
従って、冷風側エアミックスドア16により冷風通路15の開度を調整するとともに、温風側エアミックスドア19が温風通路18の開度を調整することにより、冷風と温風の風量割合を調整して、車室内吹出空気温度を制御できる。
【0060】
このときは、温風バイパス通路31の全閉によってヒータコア13通過後の温風がUターン状の第1温風経路(矢印A)のみを通過して流れる。しかし、温風バイパス通路31の代わりに冷風通路15が開口するとともに、最大暖房時に比較して温度制御時は暖房性能が小さくてよいので、車室内吹出空気(温風)の吹出風量も小さくてよい。従って、温風バイパス通路31の全閉に伴う通風圧損上昇の不具合は発生しない。
【0061】
なお、図1の図示例では、フットモード時にデフロスタ開口部21をデフロスタドア28により全閉する場合について説明したが、フットモード時にデフロスタ開口部21をデフロスタドア28により小開度だけ開口して、小風量の温風をデフロスタ開口部21から吹き出して、乗員足元部の暖房機能の発揮と同時に、車両窓ガラスの曇り止め効果を発揮するようにしてもよい。
【0062】
次に、デフロスタドア28を図1の実線位置から2点鎖線位置に操作してデフロスタ開口部21を全開すれば、フットデフロスタモードを設定できる。すなわち、デフロスタ開口部21から車両窓ガラス側へ吹き出す温風風量が、両フット開口部26、27から乗員足元部側へ吹き出す温風風量と同程度まで増加して、、車両窓ガラスの曇り止め効果を向上できる。
【0063】
また、上記のフットデフロスタモードの状態からフットドア30を図1の2点鎖線位置に操作してフット吹出通路25を全閉すれば、デフロスタモードを設定できる。すなわち、両フット開口部26、27からの温風吹出がフットドア30により遮断され、デフロスタ開口部21のみから温風を車両窓ガラス側へ吹き出して、車両窓ガラスの曇り止め効果を更に向上できる。
【0064】
また、フェイスモード時はデフロスタドア28を図1の実線位置に操作して、デフロスタ開口部21を全閉するとともに、フットドア30を図1の2点鎖線位置に操作してフット吹出通路25を全閉し、更に、フェイスドア25を図1の2点鎖線位置に操作に操作して前席側フェイス開口部22および後席側フェイス開口部24の入口部を全開する。
【0065】
これにより、空気混合部19からの空調空気(冷風)を両フェイス開口部22、24のみから乗員顔部側へ吹き出すフェイスモードを設定できる。両エアミックスドア16、19を図1の2点鎖線位置に操作すると、冷風通路15を全開し、温風通路18を全閉する最大冷房状態が設定され、これに連動して冷風バイパスドア34が図1の2点鎖線位置に操作され冷風バイパス通路33が全開される。そのため、蒸発器12で冷却された冷風の全量が冷風通路15および冷風バイパス通路33を通過して両フェイス開口部22、24に流れ、最大冷房性能を発揮する。
【0066】
また、バイレベルモード時は、上記フェイスモードの状態において、フットドア30を図1の実線位置に操作してフット吹出通路25を全開する。これにより、両フェイス開口部22、24を全開すると同時に、両フット開口部26、27を全開するので、両フェイス開口部22、24から乗員の顔部側へ空調空気を吹き出すと同時に、両フット開口部26、27から乗員の足元部側へ空調空気を吹き出すことができる。しかも、バイレベルモードの設定に連動して冷風バイパスドア34が冷風バイパス通路33を全開または所定開度で開口することにより、バイレベルモード時の上下吹出温度分布を頭寒足熱形の快適な温度分布とすることができる。
【0067】
(第2実施形態)
第1実施形態では、フット吹出通路25の下端部付近にて前席側フット開口部26の下側に後席側フット開口部27を隣接配置しているが、第2実施形態では、図2に示すように、フット吹出通路25の下端部付近にて前席側フット開口部26よりも車両後方側に後席側フット開口部27を隣接配置している。第2実施形態によると、後席側フット開口部27は空調ケース11の車両後方側壁面の下端部付近に配置されるから、後席側フットダクトは空調ケース11の車両後方側壁面から後方側へ向かって直線的に配置できる。
【0068】
(他の実施形態)
▲1▼上記の実施形態では、冷風と温風の風量割合を調整して吹出空気温度を調整するエアミックスドアとして、冷風側エアミックスドア16と温風側エアミックスドア19とを組み合わせる場合について説明したが、エアミックスドアとして回転可能な1枚の板ドアにより冷風と温風の風量割合を調整するものを用いてもよい。
【0069】
▲2▼また、エアミックスドアとして、回転可能な板ドアに限らず、フィルムドア、スライドドア等を用いてもよい。
【0070】
▲3▼また、上記の実施形態では、フットモードの最大暖房時のみに温風バイパスドア32が温風バイパス通路31を全開し、それ以外の作動条件では温風バイパスドア32が温風バイパス通路31を常に全閉状態に維持する場合について説明したが、フットモード時にエアミックスドア16、19の操作位置変化に連動して温風バイパスドア32の操作位置を連続的に変化させるようにしてもよい。
【0071】
具体的には、エアミックスドア16、19の操作位置が最大暖房位置から最大冷房位置側へ向かって変化するにつれて、すなわち、温風通路18の開度が減少し、冷風通路15の開度が増加するにつれて、温風バイパス通路31の開度が減少するように温風バイパスドア32の操作位置を連続的に変化させるようにしてもよい。
【0072】
▲4▼また、上記の実施形態では、冷風バイパス通路33および冷風バイパスドア34を備える場合について説明したが、この冷風バイパス通路33および冷風バイパスドア34を備えないものに対しても、本発明を同様に実施できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
11…空調ケース、13…ヒータコア(暖房用熱交換器)、
15…冷風通路、16、19…エアミックスドア、17…仕切り壁、
18…温風通路、19…空気混合部、26…前席側フット開口部、
27…後席側フット開口部、31…温風バイパス通路、
32…温風バイパスドア、A…Uターン状の温風経路。
Claims (5)
- 空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
前記暖房用熱交換器(13)で加熱される温風と前記暖房用熱交換器(13)をバイパスする冷風との風量割合を調整するエアミックスドア(16、19)と、
前記温風と前記冷風とを混合する空気混合部(19)と、
前記空気混合部(19)からの空調空気を前席側乗員の足元側へ吹き出す前席側フット開口部(26)と、
前記空気混合部(19)からの空調空気を後席側乗員の足元側へ吹き出す後席側フット開口部(27)とを備える車両用空調装置において、
前記前席側フット開口部(26)および前記後席側フット開口部(27)のうち、少なくとも一方のフット開口部(26)を前記暖房用熱交換器(13)の空気吹出延長方向の部位に配置し、前記両フット開口部(26、27)の他方(27)を前記一方のフット開口部(26)に隣接配置し、
前記暖房用熱交換器(13)の空気吹出側から前記空気混合部(19)を経由して前記両フット開口部(26、27)の配置部位に到達するUターン状の温風経路(A)を形成し、
また、前記暖房用熱交換器(13)の吹出直後の部位に、この吹出直後の温風を前記両フット開口部(26、27)に直接導入する温風バイパス通路(31)、および前記温風バイパス通路(31)を開閉する温風バイパスドア(32)を配置し、
前記両フット開口部(26、27)を開口するフットモードが設定され、かつ、前記エアミックスドア(16、19)が最大暖房位置に操作されたときに前記温風バイパスドア(32)により前記温風バイパス通路(31)を開口することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記一方のフット開口部は前記前席側フット開口部(26)であり、前記他方のフット開口部は前記後席側フット開口部(27)であることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記前席側フット開口部(26)を前記温風バイパス通路(31)の直後の部位に配置し、前記前席側フット開口部(26)の下側に前記後席側フット開口部(27)を隣接配置したことを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
- 前記暖房用熱交換器(13)を車両前方側から車両後方側へ向かって空気が流れるようになっており、
前記暖房用熱交換器(13)の車両後方側部位に前記温風バイパス通路(31)が配置され、
前記温風バイパス通路(31)の車両後方側部位に前記両フット開口部(26、27)が配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。 - 前記暖房用熱交換器(13)を車両前方側から車両後方側へ向かって空気が流れるようになっており、
前記暖房用熱交換器(13)の車両後方側部位に前記温風バイパス通路(31)が配置され、
前記温風バイパス通路(31)の車両後方側部位に前記前席側フット開口部(26)が配置され、
前記前席側フット開口部(26)の車両後方側部位に前記後席側フット開口部(27)が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
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