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JP4494756B2 - 誘電体磁器組成物及びそれを用いた誘電体共振器 - Google Patents

誘電体磁器組成物及びそれを用いた誘電体共振器 Download PDF

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Description

本発明は、誘電体磁器組成物及び誘電体共振器に関する。更に詳しくは、比誘電率(ε)(以下、単に、εともいう。)が30前後で、無負荷品質係数(Qu)(以下、単にQuともいう。)が大きく、且つ共振周波数の温度係数(τ)(以下、単にτともいう。)の絶対値が小さい誘電体磁器組成物及び誘電体共振器に関する。
近年、自動車電話、携帯電話、及び衛星放送など、マイクロ波領域の電磁波を利用した各種の通信システムが急速に発展しており、これに伴って多くの誘電体材料が開発されている。これらの誘電体材料には、(i)比誘電率(ε)が30前後であること、(ii)無負荷品質係数(Qu)が大きいこと、(iii)共振周波数の温度係数(τ)の絶対値が小さいことの3つの特性を同時に満たすことが要求されている。高周波領域に適した誘電体磁器組成物としてBaO−MgO−Nb系(以下、BMN系材料という。)が知られている。このBMN系材料のうち、Ta元素を含む材料が、下記特許文献1及び特許文献2等に開示されている。その他、本発明者らによる下記特許文献3が知られている。
特開昭60−124305号公報 特開昭60−210568号公報 特開2003−2743号公報
上記特許文献1及び2に示されているTaを含むBMN系材料は、高周波特性が優れている。しかし、Taは高価であるため、Taを含まず、且つ誘電特性が優れたBMN系材料が求められている。
本発明は上記必要性を鑑みてなされたものであり、Taを含まずに(i)比誘電率(ε)が30前後であり、(ii)無負荷品質係数(Qu)が大きく、(iii)共振周波数の温度係数(τ)の絶対値が小さいBMN系材料を含む誘電体磁器組成物及び誘電体共振器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記特許文献3に開示した技術について、更に研究を重ねた結果、上記文献に示された組成にZrが含有される場合、及び/又は、アニール処理を施した場合に誘電特性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1] 金属元素としてK、Ba、Mg及びNbを含むペロブスカイト型結晶構造を有し、且つ、下記組成式(1)で表した場合に、該x、該α、該β及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、1≦p≦2である主成分と、Zr成分とを含有し、該Zr成分の含有量は、該主成分を100質量部とした場合に、ZrO換算で0.02〜0.15質量部である誘電体磁器組成物であって、
Ba(Mg 1/3 Nb 2/3 )O を主結晶相とし、Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
(1−x)Baα(MgβNb1−β)O−xKNbO (1)
[2] 金属元素としてK、Ba、Mg、Sb及びNbを含むペロブスカイト型結晶構造を有し、且つ、下記組成式(2)で表した場合に、該x、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、1≦p≦2である主成分と、Zr成分とを含有し、該Zr成分の含有量は、該主成分を100質量部とした場合に、ZrO換算で0.02〜0.15質量部である誘電体磁器組成物であって、
Ba(Mg 1/3 Nb 2/3 )O を主結晶相とし、Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
(1−x)Baα(MgβNbγSbδ)O−xKNbO (2)
[3] 金属元素としてK、Ba、Mg、Sn、Sb及びNbを含むペロブスカイト型結晶構造を有し、下記組成式(3)で表した場合に、該x、該y、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0<y≦0.5、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、1≦p≦2である主成分と、Zr成分とを含有し、該Zr成分の含有量は、該主成分を100質量部とした場合に、ZrO換算で0.02〜0.15質量部である誘電体磁器組成物であって、
Ba(Mg 1/3 Nb 2/3 )O を主結晶相とし、Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
(1−x){(1−y)Baα(MgβNbγSbδ)O−yBaSnO}−xKNbO (3)
] 金属元素としてK、Ba、Mg及びNbを含み、Ba(Mg1/3Nb2/3)Oを主結晶相とし、BaNb15を副結晶相とし、且つ、比重が6.18以上である誘電体磁器組成物であって、
各上記金属元素の含有割合をモル比により下記組成式(1)で表した場合に、該x、該α、該β及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、且つ、1≦p≦2であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
(1−x)Ba α (Mg β Nb 1−β )O −xK NbO (1)
] 金属元素としてK、Ba、Mg及びNbを含み、Ba(Mg1/3Nb2/3)Oを主結晶相とし、BaNb15を副結晶相とし、且つ、比重が6.18以上である誘電体磁器組成物であって
上記金属元素として更にSbを含み、各該金属元素の含有割合をモル比により下記組成式(2)で表した場合に、該x、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、且つ、1≦p≦2であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
(1−x)Ba α (Mg β Nb γ Sb δ )O −xK NbO (2)
] 金属元素としてK、Ba、Mg及びNbを含み、Ba(Mg1/3Nb2/3)Oを主結晶相とし、BaNb15を副結晶相とし、且つ、比重が6.18以上である誘電体磁器組成物であって、
上記金属元素として更にSb及びSnを含み、各該金属元素の含有割合をモル比により下記組成式(3)で表した場合に、該x、該y、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0<y≦0.5、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、且つ、1≦p≦2であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
(1−x){(1−y)Ba α (Mg β Nb γ Sb δ )O −yBaSnO }−xK NbO (3)
] K、Ba、Mg、Nb及びZrの各々の酸化物及び/又は加熱してK、Ba、Mg、Nb及びZrの各々の酸化物となる化合物を混合し、その後、焼成して得られる誘電体磁器組成物であって、
上記混合は、K、Ba、Mg及びNbの含有割合をモル比により下記組成式(1)で表した場合に、該x、該α、該β及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、1≦p≦2となるように行い、且つ、該混合は、該組成式(1)で表した成分を100質量部とした場合に、ZrをZrO換算で0.02〜0.15質量部となるように行う誘電体磁器組成物であり、
Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
(1−x)Baα(MgβNb1−β)O−xKNbO (1)
] K、Ba、Mg、Nb、Sb及びZrの各々の酸化物及び/又は加熱してK、Ba、Mg、Nb、Sb及びZrの各々の酸化物となる化合物を混合し、その後、焼成して得られる誘電体磁器組成物であって、
上記混合は、K、Ba、Mg、Nb及びSbの含有割合をモル比により下記組成式(2)で表した場合に、該x、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、1≦p≦2となるように行い、且つ、該混合は、該組成式(2)で表した成分を100質量部とした場合に、ZrをZrO換算で0.02〜0.15質量部となるように行う誘電体磁器組成物であり、
Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
(1−x)Baα(MgβNbγSbδ)O−xKNbO (2)
] K、Ba、Mg、Nb、Sn、Sb及びZrの各々の酸化物及び/又は加熱してK、Ba、Mg、Nb、Sn、Sb及びZrの各々の酸化物となる化合物を混合し、その後、焼成して得られる誘電体磁器組成物であって、
上記混合は、K、Ba、Mg、Nb、Sn及びSbの含有割合をモル比により下記組成式(3)で表した場合に、該x、該y、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0<y≦0.5、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、1≦p≦2となるように行い、且つ、該組成式(3)で表した成分を100質量部とした場合に、ZrをZrO換算で0.02〜0.15質量部となるように行う誘電体磁器組成物であり、
Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
(1−x){(1−y)Baα(MgβNbγSbδ)O−yBaSnO}−xKNbO (3)
10] 共振周波数5GHzにおける無負荷品質係数Qu×fが20000GHz以上である上記[1]乃至[9]のうちのいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
11] 共振周波数の温度係数が−10〜+10ppm/℃である請求項1乃至10のうちのいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
12上記[1]乃至[11]のうちのいずれかに記載の誘電体磁器組成物からなることを特徴とする誘電体共振器。
13] 共振周波数1.9GHzにおける無負荷品質係数Qu×fが50000GHz以上である上記[12]記載の誘電体共振器。
本発明のうち上記(1)乃至(3)のいずれかの組成式で表され、且つ、所定割合のZr成分を含有し、Ba(Mg 1/3 Nb 2/3 )O を主結晶相とし、Ba Nb 15 を副結晶相とする誘電体磁器組成物は、Taを含有することなく、誘電特性が優れたものとすることができる。
本発明のうちBa(Mg1/3Nb2/3)Oを主結晶相とし、BaNb15を副結晶相とし、且つ、所定の大きさを超える比重を有する誘電体磁器組成物は、優れた誘電特性を発揮する。
上記(1)乃至(3)のうちのいずれかの組成式で表され、所定割合のZrが配合されるように調製したものを焼成して得られ、Ba Nb 15 を副結晶相とする本発明の更に他の誘電体磁器組成物によると、Taを含有することなく、誘電特性が優れたものとすることができる。また、焼成温度の自由度を広げることができる。
更に、本発明の誘電体共振器は、高いQuを有し、且つ特に大型であっても、その内部まで十分に緻密化され、均質である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]誘電体磁器組成物
主成分が下記組成式(1)で表される本発明の誘電体磁器組成物は、金属元素としてK、Ba、Mg、及びNbを含み、ペロブスカイト型結晶構造を有する主成分を含有する。この主成分は、下記組成式(1)により表されるものである。
(1−x)Baα(MgβNb1−β)O−xKNbO (1)
主成分が下記組成式(2)で表される本発明では、Sbを更に含有し、組成式(2)で表されるものを主成分とする。
(1−x)Baα(MgβNbγSbδ)O−xKNbO (2)
上記組成式(1)及び(2)において上記「x」の範囲は、0<x≦0.1である。xが0.1を超えると、Quが低下する傾向にあるため好ましくない。KNbOのうちのKの係数である上記「p」は1≦p≦2である。pが1未満の場合、Qu値が低下する傾向にあり、一方2を越えるとQuが低下するため、好ましくない。
組成式(1)及び(2)において、上記「α」の範囲は0.9≦α≦1.3、好ましくは1.0≦α≦1.2、更に好ましくは1.0≦α≦1.05である。0.9未満の場合、Quが低下する傾向にあり、一方1.3を超えると、誘電体磁器組成物の焼結性が低下するため、好ましくない。また、より好ましい範囲とすることによりτも併せて良好にすることができる。
上記「β」は、組成式(1)においては、Baα(MgβNb1−β)O中のMgとNbとの含有割合を示すものである。βの範囲は、0.3≦β≦0.35、好ましくは0.31≦β≦0.33である。0.35を超えると焼結が困難となり、一方0.3未満の場合、Qu値が低下する傾向にあるため、好ましくない。また、より好ましい範囲とすることによりτも併せて良好にすることができる。
更に、組成式(2)では、Baα(MgβNbγSbδ)O中の上記「β」、上記「γ」及び上記「δ」はMgとNb及びSbの含有割合を示しており、β+γ+δ=1である。これらのうちのβは、MgとNb及びSbの合計を1とした場合におけるMgの含有割合を意味する。このとき、βの範囲は上記範囲をそのまま適用することができる。
また、γは、MgとNb及びSbの合計を1とした場合におけるNbの含有割合を意味する。γの範囲は、0.525≦γ≦0.700、好ましくは0.595≦γ≦0.640とすることができる。
更に、δは、MgとNb及びSbの合計を1とした場合におけるSbの含有割合を意味する。δの範囲は、0<δ≦0.125、好ましくは0.05≦δ≦0.075である。0.125を超えると、焼結性が低下するため好ましくない。
主成分が下記組成式(3)で表される本発明では、K、Ba、Mg、及びNbに加えてSnとSbとを更に含有し、組成式(3)で表されるものを主成分とする。この組成式(3)においてx、α、β、γ、δ及びpは上記説明をそのまま適用できる。
(1−x){(1−y)Baα(MgβNbγSbδ)O−yBaSnO}−xKNbO (3)
上記「y」は、組成式(3)においてBaα(MgβNbγSbδ)OとBaSnOとの含有割合を示している。このyの範囲は、0<y≦0.125、好ましくは0.05〜0.075である。
更に、上記誘電体磁器組成物は、上記「Zr成分」を含有し、主成分を100質量部(以下、単に「部」とする。)とした場合に、Zr成分の含有量はZrO換算で0.02〜0.15部である。この含有量が0.02部未満では、焼結性が低下し、安定に焼成することができる温度域が狭くなる。また、特に寸法の大きい共振器等では焼結むらを生じる場合があり、Quも低下する。一方、含有量が0.15部を越える場合は、誘電体磁器組成物のQuが低下する。Zrの含有量は0.02〜0.1部、更には、0.02〜0.06部であることが好ましい。この範囲の含有量であれば、より安定に焼成することができ、特に誘電体共振器のQuが向上する。
特定の主結晶相と特定の副結晶相とを有する本発明の誘電体磁器組成物は、金属元素としてK、Ba、Mg、及びNbを含み、Ba(Mg1/3Nb2/3)Oを主結晶相とし、BaNb15を副結晶相とする。
この主結晶を有することにより、各種の誘電特性にバランス良く優れた誘電体磁器組成物となる。また、副結晶相を有することでQuが向上する。これらの主結晶相及び副結晶相の存在は、各々X線回折測定によるピークにて確認される。
更に、副結晶相は、X線回折ピークにおいて、(103)面に起因する回折ピークが300cps以上(より好ましくは400cps以上、更に好ましくは470cps以上、通常400cps以下)確認される程度に存在することが好ましい。回折強度が200cpsより小さい程度の析出では、十分に副結晶相を有することの効果が現れない場合がある。
また、各金属元素(K、Ba、Mg及びNb)の含有割合をモル比により上記組成式(1)で表した場合、組成式中のx、α、β及びpは、主成分が上記組成式(1)で表される誘電体磁器組成物と同範囲であることが好ましい。その理由は前述の通りである。
更にSbが含まれ、各金属元素(K、Ba、Mg、Nb及びSb)の含有割合をモル比により上記組成式(2)で表した場合、組成式中のx、α、β、γ、δ及びpは、主成分が上記組成式(2)で表される誘電体磁器組成物と同範囲であることが好ましい。その理由は前述の通りである。
更にSb及びSnが含まれ、各金属元素(K、Ba、Mg、Nb、Sn及びSb)の含有割合をモル比により上記組成式(3)で表した場合、組成式中のx、y、α、β、γ、δ及びpは、主成分が上記組成式(3)で表される誘電体磁器組成物と同範囲であることが好ましい。その理由は前述の通りである。
また、この誘電体磁器組成物は、比重が6.18以上である。比重が6.18未満では、焼結が不十分なためにQuが十分に大きくならない場合がある。特に金属元素のモル比が上記組成式(1)で表される場合、比重は6.18以上であることが好ましく、6.20以上であることがより好ましく、6.22以上であることが特に好ましい。また、金属元素のモル比が上記組成式(2)で表される場合、比重は6.18以上であることが好ましく、6.20以上であることがより好ましく、6.22以上であることが特に好ましい。更に、金属元素のモル比が上記組成式(3)で表される場合、比重は6.18以上であることが好ましく、6.20以上であることがより好ましく、6.22以上であることが特に好ましい。
これらの各本発明の誘電体磁器組成物では、εを26〜28、好ましくは27〜28とすることができる。また、Qu×fを20000GHz以上、より好ましくは21000GHz以上、更に好ましくは22000GHz以上、より更に好ましくは23000GHz以上、特に好ましくは24000GHz以上とより高くすることができる。更に、τを−10〜+10ppm/℃、特に−5〜+5ppm/℃、更には0〜+3ppm/℃とすることができる。このように、0ppm/℃に近い極めて狭い範囲のτを有する誘電体磁器組成物とすることもできる。
[2]誘電体磁器組成物の製法
本発明の誘電体磁器組成物は、K、Ba、Mg、Nb、及びZrの各々の酸化物及び/又は加熱してK、Ba、Mg、Nb及びZrの各々の酸化物となる化合物(以下、単に「K、Ba、Mg、Nb及びZrの各々の酸化物等」という。)を、混合し、その後、焼成することにより製造することができる。
このとき、これらのうちK、Ba、Mg及びNbの各々の酸化物等は、誘電体磁器組成物が前記組成式(1)においてx、α、β及びpが前記所定の範囲となるように混合する。
また、Sbの酸化物及び/又は加熱してSbの酸化物となる化合物(以下、単に「Sb酸化物等」という。)を更に混合することができる。このとき、K、Ba、Mg、Sb及びNbの各々の酸化物等は、誘電体磁器組成物が前記組成式(2)においてx、α、β、γ、δ及びpが前記所定の範囲となるように混合する。
更に、Snの酸化物及び/又は加熱してSnの酸化物となる化合物(以下、単に「Sn酸化物等」という。)を更に混合することができる。このとき、K、Ba、Mg、Sn、Sb及びNbの各々の酸化物等は、誘電体磁器組成物が前記組成式(3)においてx、y、α、β、γ、δ及びpが前記所定の範囲となるように混合する。
尚、酸化物となる化合物は、特に限定されず、例えば、炭酸塩、水酸化物、炭酸水素塩、硝酸塩、有機金属化合物等が挙げられる。また、これらの酸化物等の形態は、粉末、液状物等が挙げられ、これらのうち粉末が好ましい。また、K、Ba、Mg、Sn、Sb、Nb及びZrの各金属元素は、用いる酸化物等に1種のみが含有されていてもよく、2種以上が含有されていてもよい。
Zrの酸化物等の混合割合は、Snの酸化物等及びSbの酸化物等を混合しない場合、混合に用いるK、Ba、Mg及びNbの各々の酸化物等に含まれるK、Ba、Mg及びNbの各々金属元素の含有割合をモル比により上記組成式(1)で表し、この組成式(1)で表した成分を100部とした場合に、ZrO換算で0.02〜0.15部、好ましくは0.02〜0.1部、より好ましくは0.02〜0.06部である。
また、Sb酸化物等を混合する場合は、混合に用いるK、Ba、Mg及びNbの各々の酸化物等、並びに、Sb酸化物等に含まれるK、Ba、Mg、Sb及びNbの各々金属元素の含有割合をモル比により上記組成式(2)で表し、この組成式(2)で表した成分を100部とした場合に、ZrO換算で0.02〜0.15部、好ましくは0.02〜0.1部、より好ましくは0.02〜0.06部である。
更に、Sn酸化物等及びSb酸化物等を混合する場合は、混合に用いるK、Ba、Mg及びNbの各々の酸化物等、Sn酸化物等、並びに、Sb酸化物等に含まれるK、Ba、Mg、Sn、Sb及びNbの各々金属元素の含有割合をモル比により上記組成式(3)で表し、この組成式(3)で表した成分を100部とした場合に、ZrO換算で0.02〜0.15部、好ましくは0.02〜0.1部、より好ましくは0.02〜0.06部である。
また、上記のように各金属元素各々の酸化物等を混合して混合物を得る方法は特に限定されない。即ち、例えば、Zr酸化物等を含むこれら全ての酸化物等を一度に混合して混合物を得ることができる。また、所定の一種の酸化物等(例えば、Zr酸化物等)を除く他の酸化物等を混合し、その後、仮焼し、次いで、粉砕して得られた粉砕物に上記で加えていない所定の一種の酸化物等を混合して混合物を得ることもできる。仮焼を行う場合の仮焼温度は特に限定されないが、1000〜1350℃とすることが好ましく、1100〜1300℃とすることがより好ましい。更に、仮焼時間も特に限定されないが1〜3時間とすることが好ましく、1.5〜2.5時間とすることがより好ましい。
前記のようにZrの酸化物等を混合することにより安定に焼成することができる温度域を広くすることができる。焼成温度は特に限定されないが、1400〜1500℃、特に1420〜1480℃とすることができる。Zrの酸化物等が混合されている場合、焼成温度にかかわらず十分に緻密化(例えば、比重が6.18以上、更には比重が6.20以上)され、均質な焼結体とすることができ、高いQuを有する誘電体磁器組成物等とすることができる。一方、Zrの酸化物等が含有されていない場合、焼成温度が高いときは十分なQuを有する誘電体磁器組成物等とすることができる。しかし、焼成温度が低いときは焼成(緻密化)が不十分となる場合があり、Quが低下し易く、特に大型の誘電体共振器ではQuが低下する場合がある。また、焼成時間は特に限定されないが、通常、1〜5時間(好ましくは2〜4時間)である。
また、上記各金属元素を所定割合で含有する混合物を焼成した後に、更に、焼成温度よりも低温で加熱する(以下、「アニール処理を施す」という)ことができる。アニール処理を施すことにより、前述のように所定の副結晶相を析出させることができる。アニール処理の条件は特に限定されないが、通常、焼成温度によりも50〜200℃低い温度(より好ましくは50〜150℃低い温度、更に好ましくは70〜130℃)で行うことが好ましい。具体的には、焼成温度により低く1200〜1400℃の間であることが好ましく、1300〜1380℃とすることがより好ましい。また、アニール処理を行う時間は特に限定されないが、通常、少なくとも5時間以上(より好ましくは10〜50時間、更に好ましくは20〜40時間)加熱することが好ましい。
[3]誘電体共振器について、
本発明の誘電体共振器は、上記の誘電体磁器組成物からなることを特徴とする。この誘電体共振器の形状は特に限定されないが、通常、円筒形である。大きさも特に限定されず、寸法にかかわらず、十分に緻密化され、より高いQuを有する。また、円筒形である場合に、外径が30〜40mm、高さが25〜26mmと大型であっても、内部まで十分に緻密化され、且つ高いQuを有する誘電体共振器とすることができる。更に、Qu×fを、50000GHz以上、好ましくは55000GHz以上、より好ましくは60000GHz以上とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
[1]誘電体磁器組成物及び誘電体共振器の製造
(1)未焼成体の作製
各金属元素の含有割合をモル比により上記組成式(3)で表した場合に、x、y、α、β、γ、δ、及びpが表1の値となるように、原料粉末としてBaCO粉末(純度;>99.6%)、MgO粉末(純度;>98.0%)、Sb粉末(純度;>98.0%)、KCO粉末(純度;>99.5%)、及びSnO粉末(純度;>99.0%)を用い、これらを乾式混合し、その後、乾式振動ミルにより一次粉砕して混合粉末を得た。玉石としては樹脂ボールを使用し、粉砕時間は4時間とした。
得られた混合粉末を、大気雰囲気下、1100〜1300℃で2時間仮焼し、その後、表1の組成〜7ではこの仮焼粉末にZrO粉末を混合した。次いで、適量の有機バインダと水とを加え、ZrOボールを用いて8〜16時間2次粉砕した。このとき、ZrO粉末の混合量は、蛍光X線にて定量を行うことにより調整し、最後に、最終的なZrO粉末の混合量を蛍光X線にて再度確認を行った。一方、表1の組成8及び9ではZrO粉末を加えず、仮焼粉末に適量の有機バインダと水とを加え、Alボールを用いて8〜16時間2次粉砕した。このようにして、表1に示す組成1〜9となるよう調整したスラリを得た。次いで、得られたスラリを凍結乾燥させ、造粒し、造粒後、ふるいによって40〜250メッシュの粒度の粉末を得た。得られた粉末を用いて直径19.3mm、高さ12mmの誘電特性測定用試験片となる未焼成体をプレス成形した。また、同様にして、外径40mm、内径20mm、高さ20mmの誘電体共振器となる未焼成体をプレス成形した。成形圧力は1ton/cmとした。
Figure 0004494756
(2)試験例1〜8の未焼成体の焼成及びアニール処理
上記(1)で得られた試験例1〜8の誘電特性測定用試験片となる未焼成体を、大気雰囲気下、表2に示す1425〜1475℃の間の所定温度で2〜3時間保持し、焼成した。次いで、1350℃で30時間保持してアニール処理を施した。得られた焼結体の外側面及び両端面を研磨加工し、直径16mm、高さ8mmの円柱状の誘電特性測定用の試験片を得た。
また、上記(1)で得られた試験例1〜8の誘電体共振器用試験片となる未焼成体を、誘電特性測定用試験片の場合と同様に焼成した後、同様にアニール処理を施した。その後、表面にAgめっきを施して外径34mm、内径18mm、高さ18mmである図1に示す円筒形の誘電体共振器を作製した。
(3)試験例9の未焼成体の焼成(アニール処理無し)
上記(1)で得られた試験例9の誘電特性測定用試験片となる未焼成体を用い、アニール処理を行わないこと以外は上記(1)と同様にして同寸法の円柱状の誘電特性測定用の試験片を得た。
また、上記(1)で得られた試験例9の誘電体共振器となる未焼成体を用い、アニール処理を行わないこと以外は上記(1)と同様にして同寸法の図1に示す円筒形の誘電体共振器を作製した。
[2]評価
(1)比重の測定
上記[1]で作製した試験片についてアルキメデス法により比重を測定し、その結果を表2に示した。
(2)誘電特性の評価
上記[1]で作製した各々の誘電特性測定用試験片について平行導体板型誘電体円柱共振器法(TE011MODE)により、ε、Qu及びτを測定した。尚、τは25〜80℃の温度領域で測定し、τ=(f80−f25)/(f25×ΔT)、ΔT=80−25=55℃によって算出した。また、測定時の共振周波数は5GHzである。更に、Quは、測定時の共振周波数(f)とQuの測定値との積(Qu×f)で表した。比重並びにε、Qu×f及びτの結果を表2に示す。
また、上記[1]で作製した誘電体共振器を、図1に示すように、金属製ケース3の内面底部に接合されたアルミナ製支持台2(外径20mm、内径15mm、高さ20mm)に固定した。これを用いてTE01δMODEによってQuを測定し、上記と同様にQu×fを算出して表2に示した。このときの共振周波数は、1.9GHzである。
Figure 0004494756
(3)結晶相の同定
上記[1]で作製した各試験例の試験片についてX線回折測定をした。このとき、各試験片の表面を測定し、更に、各試験片を表面から4mm研削した面を測定した。測定により得られた各チャートについてJCPDSカードのNo14−0028によるBaNb15のチャートを用いてピークの帰属を行い、BaNb15の結晶の有無を表2の「BaNb15の有無」の欄に示した。
また、得られたチャートのうち試験例8及び9に係るものを図2〜5に示した。図2は試験例8(アニール処理有り)の試験片の表層の測定結果であり、図3は試験例8の試験片の内部(研削した面)の測定結果である。また、図4は試験例9の試験片の表層の測定結果であり、図5は試験例9(アニール処理無し)の試験片の内部(研削した面)の測定結果である。各チャートの最上段は実測チャートであり、その下段は実測チャートからピークのみを取り出したチャートであり、更にその下段はJCPDSカードのNo17−0173によるBa(Mg0.33Nb0.67)Oのチャートであり、最下段はJCPDSカードのNo14−0028によるBaNb15のチャートである。
[3]実施例の効果
(1)Zr含有の効果
表2の結果によれば、Zrの含有の有無に関わらず、比重が6.18を超えて十分に焼成されている試験例(1−2〜9)では、εが25.4〜28.6、試験片形状でのQu×fが16800〜26160GHz、τは−1〜15ppm/℃、共振器にしたときのQu×fが40800〜66200GHzであり、いずれの特性においても実用的に優れた誘電体磁器が得られている。特に、Zr成分を含有する試験例2−1〜7では、1425〜1475のいずれの温度における焼成でも、比重が6.22以上であり十分に焼結されている。
これに対して、Zrを含有しない試験例1−1は、焼成温度が1425℃と低い場合には、比重が十分に大きくならず6.15と小さめである。また、試験片形状におけるQu×fが12400GHz、共振器形状のQu×fが8900GHzと他例に比べて小さいことが分かる。即ち、Zrを含有することにより、焼成温度範囲が広がり、誘電特性が向上していることが分かる。
また、Zrの含有量は、0.10質量部である4−1〜4−3に比べて、0.20質量部である試験例5−1〜5−3では、いずれの焼成温度においてもQu×fが低下していることが分かる。従って、Zrを含有する場合には0.20質量部以下であることが好ましいことが分かる。
(2)アニール処理の効果
結晶相の同定を行った結果、図2〜図5からも分かるように、アニール処理の有無に関わらず、いずれのチャートにおいても主結晶相はBa(Mg1/3Nb2/3)Oであった。これに対して、アニールを行った場合は、更に副結晶としてBaNb15の結晶が析出することが分かった。即ち、アニール処理を施した試験例8による図2及び図3には副結晶相としてBaNb15が認められるが、アニール処理を施していない試験例9による図4及び図5には認められなかった。従って、アニール処理を施すことでBaNb15がX線回折測定で認められる程形成されることが分かる。
また、アニール処理を施した試験例8のチャートからは、表層(図2)においても内部(図3)においてもBaNb15が認められる。このことはアニールの効果は内部においても出現していることを示している。
更に、表2の結果より、アニール処理を施していない試験例9に対して、アニール処理を施した試験例8は、Qu×fが試験片形状で39%、共振器形状で24%向上している。この結果から、アニール処理を施すことでBaNb15が副結晶相として現れ、Qu×fが向上することが分かる。
尚、本発明においては、前記の具体的な実施例に記載のものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、原料としてBaCO粉末、MgO粉末、Sb粉末、KCO粉末を用いているが、Ba、Mg、Sb、Kの過酸化物、硝酸塩等の各粉末を用いることができる。同様に他の元素についても、加熱により酸化物となる種々の化合物を用いることができる。
本発明の誘電体磁器組成物は、高周波領域において使用される共振器、フィルタ、多層回路基板、及び各種マイクロ波回路のインピーダンス整合部材等に広く利用される。また、本発明の誘電体共振器は、移動無線、衛星放送、衛星通信及びCATV等に組み込まれた各種のマイクロ波回路素子に広く利用される。
金属ケース内に配置された誘電体共振器の形状及び寸法を示す模式図である。 試験例8の試験片の表層のX線回折測定によるチャートである。 試験例8の試験片の内部のX線回折測定によるチャートである。 試験例9の試験片の表層のX線回折測定によるチャートである。 試験例9の試験片の内部のX線回折測定によるチャートである。
符号の説明
1;誘電体共振器、2;アルミナ製支持台、3;金属製ケース

Claims (13)

  1. 金属元素としてK、Ba、Mg及びNbを含むペロブスカイト型結晶構造を有し、且つ、下記組成式(1)で表した場合に、該x、該α、該β及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、1≦p≦2である主成分と、Zr成分とを含有し、該Zr成分の含有量は、該主成分を100質量部とした場合に、ZrO換算で0.02〜0.15質量部である誘電体磁器組成物であって、
    Ba(Mg 1/3 Nb 2/3 )O を主結晶相とし、Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
    (1−x)Baα(MgβNb1−β)O−xKNbO (1)
  2. 金属元素としてK、Ba、Mg、Sb及びNbを含むペロブスカイト型結晶構造を有し、且つ、下記組成式(2)で表した場合に、該x、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、1≦p≦2である主成分と、Zr成分とを含有し、該Zr成分の含有量は、該主成分を100質量部とした場合に、ZrO換算で0.02〜0.15質量部である誘電体磁器組成物であって、
    Ba(Mg 1/3 Nb 2/3 )O を主結晶相とし、Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
    (1−x)Baα(MgβNbγSbδ)O−xKNbO (2)
  3. 金属元素としてK、Ba、Mg、Sn、Sb及びNbを含むペロブスカイト型結晶構造を有し、下記組成式(3)で表した場合に、該x、該y、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0<y≦0.5、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、1≦p≦2である主成分と、Zr成分とを含有し、該Zr成分の含有量は、該主成分を100質量部とした場合に、ZrO換算で0.02〜0.15質量部である誘電体磁器組成物であって、
    Ba(Mg 1/3 Nb 2/3 )O を主結晶相とし、Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
    (1−x){(1−y)Baα(MgβNbγSbδ)O−yBaSnO}−xKNbO (3)
  4. 金属元素としてK、Ba、Mg及びNbを含み、Ba(Mg1/3Nb2/3)Oを主結晶相とし、BaNb15を副結晶相とし、且つ、比重が6.18以上である誘電体磁器組成物であって、
    各上記金属元素の含有割合をモル比により下記組成式(1)で表した場合に、該x、該α、該β及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、且つ、1≦p≦2であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
    (1−x)Ba α (Mg β Nb 1−β )O −xK NbO (1)
  5. 金属元素としてK、Ba、Mg及びNbを含み、Ba(Mg1/3Nb2/3)Oを主結晶相とし、BaNb15を副結晶相とし、且つ、比重が6.18以上である誘電体磁器組成物であって
    上記金属元素として更にSbを含み、各該金属元素の含有割合をモル比により下記組成式(2)で表した場合に、該x、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、且つ、1≦p≦2であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
    (1−x)Ba α (Mg β Nb γ Sb δ )O −xK NbO (2)
  6. 金属元素としてK、Ba、Mg及びNbを含み、Ba(Mg1/3Nb2/3)Oを主結晶相とし、BaNb15を副結晶相とし、且つ、比重が6.18以上である誘電体磁器組成物であって、
    上記金属元素として更にSb及びSnを含み、各該金属元素の含有割合をモル比により下記組成式(3)で表した場合に、該x、該y、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0<y≦0.5、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、且つ、1≦p≦2であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
    (1−x){(1−y)Ba α (Mg β Nb γ Sb δ )O −yBaSnO }−xK NbO (3)
  7. K、Ba、Mg、Nb及びZrの各々の酸化物及び/又は加熱してK、Ba、Mg、Nb及びZrの各々の酸化物となる化合物を混合し、その後、焼成して得られる誘電体磁器組成物であって、
    上記混合は、K、Ba、Mg及びNbの含有割合をモル比により下記組成式(1)で表した場合に、該x、該α、該β及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、1≦p≦2となるように行い、且つ、該混合は、該組成式(1)で表した成分を100質量部とした場合に、ZrをZrO換算で0.02〜0.15質量部となるように行う誘電体磁器組成物であり、
    Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
    (1−x)Baα(MgβNb1−β)O−xKNbO (1)
  8. K、Ba、Mg、Nb、Sb及びZrの各々の酸化物及び/又は加熱してK、Ba、Mg、Nb、Sb及びZrの各々の酸化物となる化合物を混合し、その後、焼成して得られる誘電体磁器組成物であって、
    上記混合は、K、Ba、Mg、Nb及びSbの含有割合をモル比により下記組成式(2)で表した場合に、該x、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、1≦p≦2となるように行い、且つ、該混合は、該組成式(2)で表した成分を100質量部とした場合に、ZrをZrO換算で0.02〜0.15質量部となるように行う誘電体磁器組成物であり、
    Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
    (1−x)Baα(MgβNbγSbδ)O−xKNbO (2)
  9. K、Ba、Mg、Nb、Sn、Sb及びZrの各々の酸化物及び/又は加熱してK、Ba、Mg、Nb、Sn、Sb及びZrの各々の酸化物となる化合物を混合し、その後、焼成して得られる誘電体磁器組成物であって、
    上記混合は、K、Ba、Mg、Nb、Sn及びSbの含有割合をモル比により下記組成式(3)で表した場合に、該x、該y、該α、該β、該γ、該δ及び該pの範囲が、0<x≦0.1、0<y≦0.5、0.9≦α≦1.3、0.30≦β≦0.35、0<δ≦0.125、β+γ+δ=1、1≦p≦2となるように行い、且つ、該組成式(3)で表した成分を100質量部とした場合に、ZrをZrO換算で0.02〜0.15質量部となるように行う誘電体磁器組成物であり、
    Ba Nb 15 を副結晶相とすることを特徴とする誘電体磁器組成物。
    (1−x){(1−y)Baα(MgβNbγSbδ)O−yBaSnO}−xKNbO (3)
  10. 共振周波数5GHzにおける無負荷品質係数Qu×fが20000GHz以上である請求項1乃至のうちのいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  11. 共振周波数の温度係数が−10〜+10ppm/℃である請求項1乃至10のうちのいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  12. 請求項1乃至11のうちのいずれかに記載の誘電体磁器組成物からなることを特徴とする誘電体共振器。
  13. 共振周波数1.9GHzにおける無負荷品質係数Qu×fが50000GHz以上である請求項12記載の誘電体共振器。
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