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JP4482532B2 - 車両の後部ドア構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のテールゲートに取り付けられる、はね上げ式の後部ドア構造に関する。
車両後部のテールゲートに取り付けられるはね上げ式ドアは、通常ヒンジ構造により車両のテールゲートに取り付けられている。このはね上げ式ドアは上端部のヒンジを中心として回転させて、開閉を行う構造である。このようなはねあげ式後部ドアは、衝突強度を向上させるためおよび悪路走行時のこもり音防止のため、剛性を高くする必要がある。一方、車両の燃費向上および開閉の容易性の要求があるため、このはね上げ式後部ドアは軽量でなければならない。そのため、従来の車両に用いられるはね上げ式後部ドアは、アウタパネルと開口部を設けたインナパネルの2枚の薄板パネルを組み合わせ、適宜ビーム等で補強する構造のものが知られている。
従来、はね上げ式の後部ドア構造としては、後部ドアの外形に沿う形状の枠部に、この枠部を上下に仕切るように横枠部が一体成形されたインナパネルを備えるものが知られている。図5は、従来の後部ドア構造の一例を車両後方から見た概略図である。車両Vの後部ドア構造101は、枠部109と横ビーム118とからなるインナパネル106を備えており、横ビーム118の上側で枠部109と横ビーム118とが区画する開口112aに窓ガラス107が取り付けられている。横ビーム118の下側で枠部109と横ビーム118とが区画する開口112bには、一対の連結リインフォースメント100aが取り付けられている。各連結リインフォースメント100aの下端側は、枠部109の下側中央に取り付けられたロックリインフォースメント100bを介して枠部109に溶接されるとともに、連結リインフォースメント100aのそれぞれは、開口112bの上側の両コーナ部に向かってV字状に延びている。また、各連結リインフォースメント100aの上端側は、開口112bの上側の両コーナ部に取り付けられたコーナリインフォースメント100cに溶接されている。この後部ドア構造101では一対の連結リインフォースメント100aを開口112bに配置し、枠部109に固定することで、インナパネル106の剛性を高めている。
特許第3013921号公報 特表平11−514613号公報
しかしながら、前記した従来の後部ドア構造101では、枠部109および横ビーム118に、別体の連結リインフォースメント100aが溶接で取り付けられるとともに、このリインフォースメント100aの取り付けのためにロックリインフォースメント100bおよびコーナリインフォースメント100cの別部材が接合されている。後部ドアは悪路走行時のこもり音の低減のため剛性が高いことが要求される一方、車両の燃費低減および開閉の容易性から重量は可能な限り軽い方がよい。前記した後部ドア構造101では、剛性は上がっているが、後部ドアの重量が増大している。また、別部材の溶接のための工数が増加するため、製造コストが上昇している。
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、軽量であり、かつ、十分な剛性を有し、しかも製造コストが低減できる後部ドア構造を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、車内側のインナパネルと車外側のアウタパネルとを有する車両の後部ドア構造であって、前記インナパネルが、後部ドアの外形形状に沿う枠部を有し、前記枠部の上部には窓ガラスが取り付けられる窓枠部が形成され、前記枠部の下端部にはロック手段が取り付けられるロック取り付け部が形成され、
前記窓枠部の下端両隅部から前記ロック取り付け部にわたって、前記枠部とプレス成形時に一体的に形成されるV字形状の補強枠部を有し、かつ、前記補強枠部が、車両の側面から見た場合に前記枠部の車内側の輪郭より滑らかに湾曲した形状で前記アウタパネル側に突出して形成されることを特徴とする。請求項1に記載の発明によれば、後部ドア構造を構成するインナパネルの枠部から突出して形成される補強枠部の作用により、後部ドア構造の曲げに対する剛性を高めることができる。また、前記補強枠部の一部に荷重が集中してかかることがないので、後部ドア構造の局所的な変形を防ぐことができる。
前記課題を解決するために請求項2に記載の発明は、前記補強枠部が、前記アウタパネルに最も近接する頂部を有し、前記頂部には前記アウタパネルと連結される切り起こし部が形成されていることを特徴とする。請求項2に記載の発明によれば、前記補強枠部に連結して形成される切り起こし部の高さが低くなるために、前記補強枠部のプレス成形性が向上する。また後部ドア構造の曲げに対して切り起こし部の剛性が高められる。その結果、後部ドア構造の剛性が向上する。
前記課題を解決するために請求項3に記載の発明は、前記補強枠部において、前記頂部から前記ロック取り付け部までの部分は、後部ドアの内外方向の断面幅が比較的小さく設定されていることを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、構造上、強度が十分確保できる部分の断面幅を小さく設定し、後部ドア構造を軽量化することができる。
前記課題を解決するために請求項4乃至7に記載の発明は次の特徴を有するものである。すなわち、請求項4に記載の発明は、前記補強枠部が前記枠部の車両外側の輪郭より内側に形成されていることを特徴とするものである。請求項5に記載の発明は、前記枠部の車両内側の輪郭の長さよりも、前記補強枠部の長さが長いことを特徴とするものである。請求項6に記載の発明は、前記補強枠部の下端が前記枠部の車両内側の輪郭に連続することを特徴とするものである。請求項7に記載の発明は、前記補強枠部の車両前後方向の断面幅が前記頂部から前記ロック取り付け部にかけて漸減することを特徴とするものである。
本発明にかかる車両の後部ドア構造によれば、車両の後部ドアの重量を増大させることなく、また別部材を付加することなく、後部ドアの剛性を効果的に高めることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図1乃至図2を参照して説明する。まず、本実施形態の構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかる後部ドア構造を備えた車両を後方から見た図である。本発明にかかる車両の後部ドア構造1aは、車外側のアウタパネル3と車内側のインナパネル2aを組み合わせた構造である。インナパネル2aは、後部ドアの外形形状に沿う枠部4aを有している。前記枠部4aの上部には、窓ガラス13が取り付けられる窓枠部5aが形成されている。前記枠部4aの下端部には、ロック手段が取り付けられるロック取り付け部8が形成されている。また、前記窓枠部5aの下端両隅部から前記ロック取り付け部8にわたって、前記枠部4aと一体的に形成される一対のV字形補強枠部6aが形成されている。
図2(a)は、本実施形態にかかる後部ドア構造を構成するインナパネルの斜視図である。図2(b)は、本実施形態にかかる後部ドア構造を構成するインナパネルのA方向矢視図である。インナパネル2aは、前記した枠部4a、窓枠部5a、ロック取り付け部8及び一対のV字形補強枠部6aより構成される。窓枠部5a及びV字形補強枠部6aにより略5角形状の開口部12aが、さらに枠部4aとV字形補強枠部6aにより開口部12b、12cが形成されている。開口部12a、12b、12cにより、インナパネル2aの軽量化が図られている。また、開口部12a、12b、12cの外縁部分には、切り起こし壁9が形成されている。切り起こし壁9は、インナパネル2aの曲げに対する剛性(弾性定数×断面二次モーメント)を高める効果がある。
図2(b)からわかるように、側面から見た場合、V字形補強枠部6aは、連続的に曲率が変化する滑らかに湾曲した形状になっている。このような滑らかに湾曲した形状になっているので、V字形補強枠部6aの一部に荷重が集中してかかり、局所的な変形が生じることがない。
このV字形補強枠部6aは、前記枠部4aの車内側の輪郭より、アウタパネル3側に突出した形状になっており、頂部11aにおいてアウタパネル3に最も近接する(図2(b参照)。また、このV字形補強枠部6aの切り起こし壁9の高さは、頂部11aから前記ロック取り付け部8にかけて、漸減している。したがって、V字形補強枠部6aの前記頂部11aから前記ロック取り付け部8の間の補強枠部分11bの断面幅は、窓枠部5aの下端の両隅部から前記頂部11aの間のV字形補強枠部6aの断面幅よりも小さい。このように、V字形補強枠部6aの断面幅を前記頂部11aより下の部分で小さくしているのは、構造上、強度が十分確保できるインナパネル2aの下部の断面幅を小さく設定し、後部ドア構造の軽量化を図るためである。
このV字形補強枠部6aが最もアウタパネル3に近接する頂部11aには切り起こし部7aが形成されている。この切り起こし部7aはアウタパネル3と接合される部分である。この切り起こし部7aによりアウタパネル3が直接支持されている。
図2(a)および(b)に示す本実施形態のインナパネル2aは、プレス成形により成形されるものである。V字形補強枠部6aの前記頂部11aは前記したようなアウタパネル3側に突出した形状になっている。しかし、V字形補強枠部6aの形状は滑らかに湾曲したものなので、インナパネル2aのプレス成形は問題なくできる。インナパネル2aはアウタパネル3にヘミング加工やスポット溶接等により組み付けられて、後部ドア構造1aが構成される。
次に本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、V字形補強枠部6aが前記したようにアウタパネル3側に突出した形状になっている。ここで、このV字形補強枠部6aがアウタパネル3側に突出した形状になっていない比較例のインナパネル2dと、本実施形態の後部ドア構造1aで用いられるインナパネル2aを比較してみる。
図2(c)は比較例であり、図2(a)および(b)に示すインナパネル2aにおいて、V字形補強枠部6aがアウタパネル3側に突出していない形状としたインナパネルのA方向矢視図である。この場合のインナパネル2dのV字形補強枠部6dが枠部4aの車内側の輪郭に沿って形成されている。一方、図2(a)および(b)に示される本実施形態のインナパネル2aのV字形補強枠部6aは、その頂部11aが枠部4aの車内側の輪郭から立体的にアウタパネル3側に突出して形成されている。このようにV字形補強枠部6aが枠部4aの車内側の輪郭から立体的に突出して形成されている構成により、枠部4aの車内側の輪郭の長さより、V字形補強枠部6aの長さが長くなる。その結果、後部ドアを閉めた際にインナパネル2aに加わる曲げ力に対し、V字形補強枠部6aが突っ張るように作用する。したがって、後部ドアを閉める時の、後部ドア構造1aの曲げに対する剛性を向上させることができる。
また、図2(a)及び(b)に示す本実施形態で用いられるインナパネル2aに比べて、図2(c)のインナパネル2dの場合、アウタパネル3とV字形補強枠部6dの距離が長くなる。そのため、切り起こし部7dのアウタパネル3側への高さは、本実施形態で用いられるインナパネル2aの切り起こし部7aに比べて高い。その結果、切り起こし部7dの曲げに対する剛性は、本実施形態のインナパネル2aの切り起こし部7aに比べて小さい。
また、V字形補強枠部6aに形成される切り起こし部7aは、インナパネル2aのプレス成形時に一体的に形成されるが、切り起こし部7dに比べて低いため、プレス成形性が良好である。
以上述べた本実施形態で用いられるインナパネル2aの補強枠部6aの立体的な形状および比較的低い切り起こし部7aの作用により、インナパネル2aを用いた本実施形態の後部ドア構造1aの曲げに対する剛性は高くなっている。後部ドア構造1aの曲げに対する剛性が高くなることは、衝突に対する強度を向上させること、および、悪路走行時のこもり音を防止させることに効果を発揮するものである。また、後部ドアを閉める際の振動低減にも効果を有するものである。
さらに、本実施形態の後部ドア構造1aにおいては、前記した曲げに対する剛性向上を新たな部材等を付加することなく実現している。したがって、本実施形態の後部ドア構造1aは、後部ドアを軽量化する効果も有する。インナパネル2aに形成されている開口部12bおよび12cによっても、後部ドアは軽量化されている。また、V字形補強枠部6aはプレス打ち抜きにより、一体成形されるものであるから、図5に示す従来のインナパネル106の例に比べて製造工程は短い。また新たな部材を付加しているわけではないので、比較的低コストで前記したような剛性の高い後部ドア構造1aを製造可能である。
以上から、本実施形態にかかる車両の後部ドア構造1aは、車両の後部ドアの重量を増大させることなく、しかも比較的低コストで、後部ドアの剛性を効果的に高めることができるものである。
本発明の実施形態は、前記した図2(a)および(b)に示すものに限られるものではない。本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、構成要素の態様の変更が可能である。たとえば、本実施形態において、以下のようなインナパネルを用いることが可能である。
図3は、本実施形態において用いられる、窓枠部下端に一体成形される横ビームを設けたインナパネルを示す斜視図である。また、図4は、本実施形態で用いられる、窓枠部下端に別部材の横ビームを設けたインナパネルを示す斜視図である。図3および図4に示すインナパネル2b、2cは、それぞれ横ビーム10b、10cが付加された以外は、インナパネル2aと同一である。
これらの実施形態の後部ドア構造のインナパネル2b、2cは、いずれも前記したインナパネル2aの効果を有する。一方、インナパネル2b、2cには、横ビーム10bあるいは横ビーム10cが付加されているため、インナパネル2b、2cの曲げ剛性はインナパネル2aよりもさらに向上したものとなっている。特に、図4に示すインナパネル2cの枠部4cのプレス成形性は、横ビーム10cが別部材なので、一体成形される横ビーム10bを有するインナパネル2bの枠部4bに比べて良好である。そのため、インナパネル2c(図4参照)の切り起こし壁9は、インナパネル2b(図3参照)よりも高くできる。したがって、インナパネル2cを用いた後部ドア構造は、インナパネル2bを用いた後部ドア構造よりも剛性を高くすることが可能である。
本実施形態にかかる後部ドア構造を備えた車両を後方から見た図である。 (a)は、本実施形態にかかる後部ドア構造を構成するインナパネルの斜視図、(b)は、本実施形態にかかる後部ドア構造を構成するインナパネルのA―矢視図、および(c)は、図2(a)および(b)において、 V字形補強枠部6aがアウタパネル3側に突出していない形状としたA−矢視図である。 本実施形態において用いられる、一体成形される横ビームを窓枠部下端に設けたインナパネルを示す斜視図である。 本実施形態において用いられる、別部材の横ビームを窓枠部下端に設けたインナパネルを示す斜視図である。 従来の後部ドア構造の一例を車両後方から見た概略図である。
符号の説明
1a 後部ドア構造
2a,2b,2c,2d インナパネル
3 アウタパネル
4a,4b,4c 枠部
5a,5b,5c 窓枠部
6a,6b,6c,6d V字形補強枠部
7a,7b,7c,7d 切り起こし部
8 ロック取り付け部
9 切りおこし壁
10b,10c 横ビーム

Claims (7)

  1. 車両内側のインナパネルと車外側のアウタパネルとを有する車両の後部ドア構造であって、
    前記インナパネルが、
    後部ドアの外形形状に沿う枠部を有し、
    前記枠部の上部には窓ガラスが取り付けられる窓枠部が形成され、
    前記枠部の下端部にはロック手段が取り付けられるロック取り付け部が形成され、
    前記窓枠部の下端両隅部から前記ロック取り付け部にわたって、前記枠部とプレス成形時に一体的に形成されるV字形状の補強枠部を有し、かつ、
    前記補強枠部が、車両の側面から見た場合に前記枠部の車内側の輪郭より滑らかに湾曲した形状で前記アウタパネル側に突出して形成されること、
    を特徴とする車両の後部ドア構造。
  2. 前記補強枠部が、前記アウタパネルに最も近接する頂部を有し、前記頂部には前記アウタパネルと連結される切り起こし部が形成されていること、
    を特徴とする請求項1記載の車両の後部ドア構造。
  3. 前記補強枠部において、前記頂部から前記ロック取り付け部までの部分は、後部ドアの内外方向の断面幅が比較的小さく設定されていること、
    を特徴とする請求項に記載の車両の後部ドア構造。
  4. 前記補強枠部は、前記枠部の車両外側の輪郭より内側に形成されていること、
    を特徴とする請求項1に記載の車両の後部ドア構造。
  5. 前記枠部の車両内側の輪郭の長さよりも、前記補強枠部の長さが長いこと、
    を特徴とする請求項1に記載の車両の後部ドア構造。
  6. 前記補強枠部の下端は、前記枠部の車両内側の輪郭に連続すること、
    を特徴とする請求項に記載の車両の後部ドア構造。
  7. 前記補強枠部の車両前後方向の断面幅が、前記頂部から前記ロック取り付け部にかけて漸減すること、
    を特徴とする請求項に記載の車両の後部ドア構造。
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