JP4309541B2 - 収差測定方法、及び収差測定マーク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光装置に搭載されるアライメント装置の収差測定方法、及び収差測定マークに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造において、露光装置に搭載されるアライメント装置は、大別して以下の3つの方式に分類することができる。第1の方式はアライメントマークにレーザを照射し、このアライメントマークからの散乱光を検出するものである。第2の方式は、CCDカメラの受光面に拡大光学系を介して得られるアライメントマークの像を投影し、画像処理技術を用いてアライメントマークの位置を測定するものである。第3の方式はへテロダイン干渉を利用するものである。例えば、第1の方式を用いたものとしてニコン社製のLSAセンサ、第2の方式を用いたものとしてニコン社製のFIAセンサやキャノン社製のアライメントセンサ、第3の方式を用いたものとしてニコン社製のLIAセンサやASML社製のATHENAがある。
【0003】
実際の半導体装置の製造において要求されるアライメント装置の性能の判断は、2つの段階がある。第1の段階は信号がもれなく検出できるか否かであり、汎用性の高さが要求される。第2の段階は測定精度及び精度の安定性である。第1の方式のアライメント装置は、第1の段階において優れている。すなわち、第1の方式のアライメント装置は、信号検出のもれが少なく、汎用性が高いという特徴がある。しかしながら、半導体装置の微細化に伴い、第1の方式のアライメント装置は、第2の段階のある精度において、充分であるとは言い難い状況になりつつある。
【0004】
このため、第2の方式に属するアライメント装置への期待が高まりつつある。すなわち、アライメント信号が検出さえできれば、第1の方式よりも第2の方式の方が高いアライメント精度が期待できる。従って、今後は、アライメントマークのデザインや断面構造の調整によって汎用性の低さを補い、第2の方式のアライメントセンサを積極的に用いるようになると考えられる。
【0005】
図9は、第2の方式に属する本発明の対象とするアライメント装置の模式図を示す。図9において、1は照明光学系を示し、2は照明光学系1に光を照射するハロゲンランプを示し、3は照明光学系2からの光を通す対物レンズを示す。4は基板を示し、101は基板4上に形成されたアライメントマークを示す。5はアライメントマーク101の反射光を拡大する拡大投影光学系を示し、6は拡大光学系5で拡大されたアライメントマーク101の像を受光するCCDカメラを示す。81はレチクル、82は電子光学系を示す。
【0006】
図9に示すように、照明光学系1を介してハロゲンランプ2からの光を対物レンズ3に通し、基板4上に形成されたアライメントマーク101に落射照明する。アライメントマーク101近傍で反射した光は拡大投影光学系5によってCCDカメラ6の受光面にアライメントマークの像を結像する。ここで、アライメントマーク101は、通常図20に示すようなマークが用いられる。このマークは、幅6μmの帯状パターンが周期12μm毎に7本並べた構造をしており、各帯状パターン溝状あるいは凸状の断面構造をしている。また、アライメント装置は、アライメントマーク101の6μmパターンのエッジ信号から、アライメントマークの位置を測定している。
【0007】
このような第2の方式に属するアライメント装置の欠点である汎用性の低さを克服するため、文献1(SPIE vol.3051,P.836-845)により、低段差のアライメントマークでの検出性能を高めた改良型のアライメント装置が報告されている。また、現在は、文献1に記載された位相シフト型のアライメント装置も提案されている。
【0008】
この文献1に記載されたアライメント装置は、マークのコントラストが小さく、段差も小さいアライメントマークに対しても良好な信号が得られる。具体的には、図9に示すように、照明光学系1のレンズ間に照明絞り8が配置され、拡大投影光学系のレンズ間に180°位相板9が配置される。従って、レンズの中心付近を通る光のみ、位相を180°反転させる。これにより、従来では良好なアライメント信号が得られなかったアライメントマークに対しても、アライメントが可能となる。
【0009】
この照明絞り8と位相板9を図21(a)及び図21(b)に示す。図21(a)は照明絞り8の平面図を示し、図21(b)は位相板9の平面図を示している。図21(a)及び図21(b)に示すように、照明絞り8と位相板9は相似形をしている。照明絞り8の遮光部92に対応する位相板9の透過部95は透明膜で形成され、この透過部95は透過部95以外の透過部96に対して位相が180°シフトされている。
【0010】
しかし、第2の方式でアライメントを行う場合、拡大光学系5の収差や光軸ずれ等のいわゆる製造誤差によって、マーク位置の測定値にずれが生じる。この測定値のずれ、すなわち測定位置が騙される量がアライメントオフセットの一要因であると考えられる。また、このアライメントオフセットはアライメントセンサ毎に差があるだけでなく、マークのデザインや断面構造等によっても差が生じることが予想される。すなわち、アライメントオフセットには、露光装置間、すなわち露光装置毎のアライメントオフセットの他、同一露光装置内で生じるアライメントマークの構造の違いにより発生するアライメントオフセットも含まれる。
【0011】
同一のアライメントマークを用いたアライメントにおいて、アライメント装置毎にアライメントオフセットに差が発生するのは、アライメントマークの像を検出器上に投影する光学系の収差に原因があると考えられる。同様に、同一のアライメント装置を用いたアライメントにおいて、マーク構造の異なるアライメントマーク毎にアライメントオフセットに差が発生するのは、光学系の収差に原因があると考えられる。
【0012】
従来では、このようなアライメントオフセットは、アライメントセンサ毎やアライメントマークの構造の違い毎に予め補正値を持つことで回避していた。しかし、今日要求されるアライメントの精度が益々厳しくなっている。また、露光装置を混用するケースが増えている。このため、要求されるアライメント精度に到達することが困難である。従って、アライメントオフセット自体を無くすことの重要性が増している。
【0013】
アライメント装置の収差や調整誤差等と、アライメントマークの断面形状やその層構造の相互作用によって、アライメントオフセットが発生することは、従来から文献2(Jpn.J.Appl.Phys.Part1,No.12(2),Vol.36(1997)pp.7512-7516) で報告されている。この文献2では、アライメントオフセットの発生原因としてアライメントマークの段差に着目し、段差の高さと、アライメント信号の対称性を調査している。
【0014】
また、従来では、予めレンズを単体で調整した後、このレンズをアライメント装置に組み込む。そして、テストマークでのアライメント信号の対称性をもとに、組み込み後の調整を行う。このため、レンズ単体での調整のみで高精度な調整を行うことは困難である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のアライメント装置では、アライメントを行う場合に拡大光学系の収差によってマーク位置の測定値にずれが生じる。この測定値のずれは、露光装置毎に発生するのみではない。この測定値のずれは、同一露光装置内においても、アライメントマークの構造の違いによっても発生する。
【0016】
本発明の目的は、アライメント装置毎あるいはアライメントマーク毎に差が生じているアライメントオフセットを低減するアライメント装置の収差測定方法、及び収差測定マークを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために以下に示す手段を用いている。
【0019】
本発明の収差測定方法は、下地基板に形成され、パターン幅の太い大パターンからなる第1のマーク部と、該大パターンよりもパターン幅の細い小パターンからなる第2のマーク部を有し、該大パターンと小パターンは少なくとも一の方向に互いに平行して近隣に配置されている収差測定マークを照明光学系を介して照明し、前記収差測定マークの像を、拡大光学系を用いて検出器の受光面に投影し、前記収差測定マークの前記大パターンと前記小パターンの位置を検出し、前記大パターンと前記小パターンの位置に基づいて収差を測定する。
【0020】
望ましくは、前記収差測定マークの前記大パターンと前記小パターンの少なくとも一方は、アライメントに用いられる光学系の分解能では観察できない複数の微細パターンにより構成され、該微細パターンが密集して前記大パターンあるいは前記小パターンとして機能する。
【0021】
また、望ましくは、前記収差の測定は、実デバイスのパターン露光のアライメントの際に行うものであり、前記収差測定マークはアライメントマークとして機能する。また、前記収差の測定は、アライメント装置の調整により行う。さらに、前記収差の測定は、実デバイスのパターン露光のアライメントの際に行うものであり、前記収差測定マークはアライメントマークとして機能し、前記大パターンの位置と前記小パターンの位置の差から前記収差測定マークの騙され量を算出し、前記大パターンの位置及び前記小パターンの位置の少なくとも一方と、前記騙され量に基づいて前記収差測定マークの正しい位置を算出する。
【0022】
本発明の収差測定マークは、パターン幅の太い大パターンからなる第1のマーク部と、該大パターンよりもパターン幅の細い小パターンからなる第2のマーク部を有し、該大パターンと小パターンは少なくとも一の方向に互いに平行して近隣に配置されており、該パターンに光を照射して得られるパターン像から収差を測定する。
【0023】
望ましくは、前記大パターンと小パターンの少なくとも一方を中心として他方が対称な位置に形成されている。また、前記大パターンと小パターンは任意の構成比で構成され、かつ交互に複数形成されている。また、前記大パターンと前記小パターンの少なくとも一方は、アライメントに用いられる光学系の分解能では観察できない複数の微細パターンにより構成され、該微細パターンが密集して前記大パターンあるいは前記小パターンとして機能する。また、前記大パターン及び小パターンは、アライメントマークとして形成されている。
【0024】
本発明では、検出器で収差測定マークの中心と、コマ収差の中心を検出し、この検出結果に基づき拡大光学系に設けられたコマ収差の偏心成分を平行移動させる光学系によりコマ収差の中心を収差測定マークの中心に合わせるように調整する。これにより、露光装置間同士で生ずる、又はアライメントマークの構造に起因するアライメントオフセットを低減することができる。
【0025】
特に、収差測定マークとして、大パターンと小パターンが並んで形成されているパターンを用いる。このパターンを有する収差測定マークのパターン間の間隔を検出器で検出すると、コマ収差の偏心によりパターン間隔が一定でなくなる。このコマ収差はレンズの中心に対して対称で、外側へ行くほど大きくなる傾向があるはずであるが、コマ収差の分布が偏心していると対称にはならず、この偏心したコマ収差が、パターンの構造やアライメント装置の種類によるオフセットの原因の一つとなる。従って、このパターン間隔のずれを測定することにより、コマ収差の大きさを見積もることができる。
【0026】
また、このパターンを持つ収差測定マークを用いた場合には、コマ収差の偏心成分を平行移動する光学系により主光線を検出するパターン間隔が一定になるように調整することで、拡大光学系の中心に対してコマ収差を対称にすることができ、アライメント装置間又はアライメントマーク間のオフセットを低減することができる。
【0027】
また、平行平面板を拡大光学系に組み込み、その傾きの調整により主光線を平行移動させることにより、調整に伴う収差分布形状の変化がないため、簡単且つ迅速な調整が可能となる。
【0028】
さらに、収差測定マークをアライメントマークとして用いることにより、収差測定とともにアライメントが可能となる。従って、アライメントマークの位置を測定すると同時に、アライメント装置のコマ収差の大きさを測定することができる。これにより、アライメントオフセットを予め補正したアライメントを実現することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るアライメント装置の調整方法を説明する。
【0031】
図1は、本実施形態に係るアライメント装置の全体構成を示す模式図である。図1において、1は照明光学系を示し、2は照明光学系1に光を照射するハロゲンランプを示し、3は照明光学系2からの光を通す対物レンズを示す。4は基板を示し、5は基板4からの反射光を拡大する拡大投影光学系を示し、6は拡大光学系5で拡大された基板4の像を受光するCCDカメラを示す。8は照明光学系1のレンズ間に配置された照明絞りを示し、7は拡大光学系5とCCDカメラ6の間に配置された平行平面板を示し、7’は平行平面板7の傾きを調整する傾き調整機構を示す。
【0032】
図1に示すように、照明光学系1を介してハロゲンランプ2からの光を対物レンズ3に通し、基板4上に形成された収差測定マークに照明する。収差測定マーク付近で反射した光は拡大投影光学系5を介してCCDカメラ6の受光面に収差測定マークの像を結像する。
【0033】
拡大光学系5とCCDカメラ6の間には傾き調整可能な平行平面板7が配置されている。この平行平面板7の傾きを調整することにより、平行平面板7と基板4の間の主光線を平行に移動させることが可能となる。この平行平面板7には傾き調整機構7’が接続されており、この傾き調整機構7’により平行平面板7の傾きを調整することができる。このように、収差分布を平行移動させる機能は、拡大光学系に平行平面板7を組み込み、この平行平面板7の傾きを調整することによって実現される。
【0034】
このように、平行平面板7の傾きを調整して収差分布を平行移動させる理由を以下に説明する。
【0035】
拡大光学系5を構成する素子、例えばレンズの位置を光軸に対して横方向にずらしたり、レンズの傾きを変えることでも、主光線を平行移動させることができる。しかしながら、この場合、収差分布の変化も伴うため、収差の大きさ自体も変化してしまう。従って、このような調整では、主光線を平行移動させた後で、収差の大きさ自体を小さくするための調整もあわせて行わなければならない。
【0036】
これに対して、拡大光学系5に組み込まれた平行平面板7は、拡大光学系5を構成する素子と同様に、その傾きと厚さに応じて主光線を平行移動させることができる。この際、収差の分布の形状は変化させずに該収差の分布を平行移動させることが可能である。
【0037】
このように、平行平面板7を拡大光学系5に組み込み、その傾きで主光線を平行移動させることは、調整に伴う収差分布形状の変化が伴わないため、簡単且つ迅速な調整が可能である。
【0038】
また、照明光学系1のレンズ間にコヒーレンシを絞る照明絞り8が配置されている。照明絞り8により照明光を絞ることにより、拡大光学系5のコマ収差の影響を強調させることができる。
【0039】
CCDカメラ6により検出された収差測定マークの像とコマ収差の分布に基づいて平行平面板7の傾きを調整する。これにより、拡大光学系5の光軸を調整してコマ収差の偏心成分を平行移動させ、アライメント装置の調整を行う。以下、その動作及び原理を具体的に説明する。
【0040】
一般的な光学系には、コマ収差と呼ばれる収差が存在している。この収差は、文献3(Max Born and Emil Wolf,"Principles of Optics," 6th edition,(Pergamon Press))に、光学系の瞳面上での波面収差Φが式(1)で表わされる収差であると示されている。
【0041】
Φ=Fy0 ρ3 cosθ (1)
式(1)におけるFは収差の大きさを表わす係数であり、(p、θ)は瞳面での極座標、y0 は基板4上での光軸中心からの距離である。この式において、基板4上のコマ収差の実質的な大きさであるFy0 は、光軸中心からの距離y0 に比例して大きくなることを表わしている。
【0042】
図2は、コマ収差のある光学系での点像を示す。図2に示すように、コマ収差のある光学系では、点像が彗星が尾を引くような形状になる。これは、パターンをフーリエ展開した時、高周波成分ほど像の位置がずれることを表わしている。すなわち、マーク形状によって像の位置がずれることを表わしている。従って、低周波成分は点像の近くに小さな像を形成し、高周波成分はy軸方向に大きくずれ、パターン像の大きさも大きくなる。
【0043】
次に、図3はコマ収差の分布と収差測定マークとの関係を示す。図3において、31は収差測定マークを示し、32は収差測定マーク31の中心を示す。33はコマ収差分布を示し、34はコマ収差分布33の中心を示す。
【0044】
図3に示すように、コマ収差の分布は理想的には、式(1)からも分かるように、光軸中心に対して同心円状の分布をもつ。しかし、実際のアライメント装置の拡大光学系においては、収差測定マーク31の中心32(光学系の中心)とコマ収差分布33の中心34が一致しているとは限らない。むしろ両者が偏心していることの方が一般的である。
【0045】
そこで、拡大光学系5に組み込んだ平行平面板7の傾きを調整して、光軸を平行移動させることによって、この収差測定マークの中心32とコマ収差分布の中心34を一致させる。これにより、光学系におけるコマ収差の対称性を向上させ、アライメント装置毎のあるいはアライメントマーク毎に差が生じているアライメントオフセットを低減させる。
【0046】
本実施形態によれば、平行平面板7を拡大光学系5に組み込み、その傾きを調整し、主光軸を平行移動させることにより、収差分布の形状変化を伴わない収差補正が可能となる。従って、簡単且つ迅速なアライメント装置の調整が可能となる。
【0047】
(第2実施形態)
図4乃至図7を参照して、本発明の第2実施形態に係るアライメント装置の調整方法を説明する。本実施形態は、具体的な収差測定の手法を示す実施形態であり、第1実施形態と同様のアライメント装置を用いて行う。以下の実施形態で第1実施形態と共通する部分については、その詳細な説明を省略する。
【0048】
本実施形態の特徴点は、アライメント装置に拡大光学系の主光線を平行移動させる機能を具備することと、基板上にこの拡大光学系の収差を測定する収差測定マークを配置し、この収差測定マークからの測定値によって、主光線を平行移動させ、投影レンズ光軸中心と収差分布の中心がほぼ一致するように調整することにある。
【0049】
一般的な光学系は波面収差が存在し、アライメントマークの検出像をぼかしたり、あるいは像の位置をずらしたりする。従って、アライメントマークの検出像をもとにアライメントマークの位置を測定しようとすると、実際の位置との間にオフセットが生じてしまう。この波面収差は、上述した文献2に示されるように、球面収差,非点収差,像面湾曲,コマ収差,歪曲の5つに分けられる。これらの収差のうち、コマ収差と歪曲はパターンの像が横方向にずれる収差である。
【0050】
歪曲は、パターンのサイズに影響なくすべてのパターンが等しくずれるため、特にアライメントにおいて重要な収差ではない。しかし、コマ収差は、パターンのサイズや構造によってずれ量に差が生じるため、アライメント装置にとって特に重要な収差である。
【0051】
図2からも分かるように、コマ収差はパターンのサイズによってずれ量に差が生じる。従って、サイズの異なる2種類のパターンの像の位置を比較することで、コマ収差の大きさを見積もることができる。この特徴を利用し、サイズの異なる2種類のパターンを用いれば、これを収差測定マークとして用いることが可能である。
【0052】
また、図3に示すように、コマ収差の分布は一般に同心円状の分布をしている。このコマ収差の大きさ自体を少なくすることは、調整が難しく、現実的ではないが、コマ収差分布の中心位置を調整することは比較的簡単に実現することが可能である。
【0053】
そこで、アライメント装置自体に拡大光学系の収差を調整する機能として、特に主光線を平行移動させる機能を備え、収差測定マークからの測定値によって、この移動量を調整する。これにより、コマ収差分布の中心と拡大光学系の中心を合わせる。この調整によって、アライメント装置毎あるいはアライメントマーク毎に差が生じているアライメントオフセットを低減させるアライメント装置を実現する。
【0054】
具体的な収差測定マークの形成されたウェハの平面図を図4(a)に示す。図4(a)において、40aはウェハ、40bは収差測定マークである。ここで、収差測定マーク40bはウェハ40aの中心近傍に一つ配置されている場合を示しているが、その位置には限定されず、またその数も限定されない。
【0055】
この収差測定マーク40bを拡大して示したのが図4(b)である。図4(b)において、41は大パターン、42は小パターンである。このマーク40bでは、大パターン41で形成された第1のマーク部と小パターン42で形成された第2のマーク部が、図の上下方向に互いに平行して近隣に配置されている。また、これら第1及び第2のマーク部は、それぞれ対称且つ交互に並んで形成されている。大パターン41は太いパターン幅を有しており、小パターン42は大パターン41のパターン幅よりも細いパターン幅を有している。この大パターン41は例えば6μm幅のラインパターンで、小パターン42は例えば1μm幅のラインパターンである。また、ある一の方向にこの大パターン41のパターン幅が小パターン42のパターン幅よりも太くなるように配置されている。具体的には、これら大パターン41及び小パターン42のライン長方向が互いに平行になるように24μm周期で配置されている。
【0056】
この図4(b)に示す収差測定マークをコマ収差のあるアライメント装置で観察したパターンを図5に示す。
【0057】
コマ収差のある光学系では、パターンのサイズによって転写位置がずれる。このずれ量はパターンが小さくなるほど大きくなる傾向がある。このため、図4(b)に示すマークをコマ収差のあるアライメント装置で観察すると、図5に示すように、6μmパターンに対して1μmパターンがあたかもずれているように観察される。
【0058】
この時、1μmパターンと両サイドの6μmパターンの距離(L1とL2)を測定すれば、1μmパターンの位置ずれ量δx=(L1−L2)/2を算出することができる。照明光学系の絞りを通常よりも絞り、照明コヒーレンシを0.1程度に設定した状態で測定する。この位置ずれ量δxはコマ収差の大きさにほぼ比例しているため、δxの値からコマ収差の向きと大きさを見積もることができる。
【0059】
このようにして測定したコマ収差分布の中心を、主光線を平行移動させる機能を用いて、収差測定マークの中心(光学系の中心)に一致させることで、アライメント装置毎のあるいはアライメントマーク毎に差が生じているアライメントオフセットを低減させるアライメント装置を実現する。
【0060】
また、図4(b)の代わりに、図6、図7に示すようなマークを用いても同様の効果を奏する。
【0061】
図6(a)は、複数本の大パターン41が存在し、この大パターン41間にそれぞれ複数本の小パターン42を並べたマークである。図6(b)は、大パターン41及び小パターン42をそれぞれ1本ずつ並べたマークである。図7(a)は、大パターン41と小パターン42をそれぞれ2本ずつ並べたマークである。図7(b)は、小パターン42を挟んで大パターン41を2本並べたマークである。図7(c)は、2本の小パターン42を挟んで大パターン41を2本ずつ並べたマークである。
【0062】
このように、図6、図7に示すマークは、それぞれ交互に1本ずつ大パターン41と小パターン42を並べたものではないが、各パターンが並んでいればそれぞれのずれ量を測定することができ、収差を測定できる。特に、図6(b)に示すパターンは、大パターン41と小パターン42が1本ずつしか並べられていないが、例えば初期調整においては十分に収差測定を行うことができる。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、照明絞り8によりコヒーレンシを絞った状態で、太いパターンと細いパターンが等間隔に交互に配置されたマークの各間隔を測定した像から、投影レンズのコマ収差あるいはコマ収差に対する光軸中心からのずれを算出する。これにより、収差を測定することが可能となる。また、この測定結果を平行平面板の傾き調整にフィードバックさせることもできる。
【0064】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係るアライメント装置に用いられる収差測定マークの構成を示す。図8において、41は大パターンを示し、42は小パターンを示す。本実施形態は第2実施形態の変形例に関する。アライメント装置の調整に用いる収差測定マークにおいて、大パターン41で形成された第1のマーク部と小パターン42で形成された第2のマーク部が、2方向に対称且つ交互に並んで形成されていることを特徴としている。この収差測定マークは、図4(b)に示す大パターン41と小パターン42を直交する2方向で重ねたマークである。この収差測定マークも図4(a)と同様に、ウェハ40a上のいずれかの位置に形成される。このようなマークを用いて収差測定を行う利点を以下説明する。
【0065】
通常、光学系の主光線の平行移動は、光学系を構成する素子(レンズ、ミラー、平板等)を平行に移動させたり、傾きを調整することにより行われる。これらの素子は、素子に加わる応力や位置決め等の理由から、通常3点で支持されている。このような3点支持では、主光線の平行移動を直交する2方向で独立に調整することは不可能である。すなわち、x方向を調整すると必ずy0 方向がずれてしまう。従って、x方向用の測定マークとy0 方向用の測定マークが、それぞれ別のマークであると、各方向での調整毎に各々のマークを切り替える必要があり、効率が著しく悪くなる。
【0066】
そこで、図8に示す収差測定マークを用いれば、直交する2方向で、同時にコマ収差分布を測定できる。従って、3点支持された素子に対して調整効率や調整速度を向上させることが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態では各パターンが直交する収差測定マークを用いたが、2方向に重ねたマークであれば直交する必要はない。また、収差測定マークはラインパターンである必要がなく、1又はそれ以上の任意の方向に、寸法の異なるパターンを任意の構成比で交互に並べたパターンであればよい。また、3点支持された素子以外で構成される光学系を用いても同様の効果を奏することは勿論である。
【0068】
(第4実施形態)
図9は、本発明の対象とするアライメント装置の全体構成を示す図である。本実施形態は、アライメントマークに直接収差測定の可能なマークが形成されることを特徴としている。図9において、1は照明光学系を示し、2は照明光学系1に光を照射するハロゲンランプを示し、3は照明光学系2からの光を通す対物レンズを示す。4は基板を示し、101は基板4上に形成されたアライメントマークを示す。5はアライメントマーク101の反射光を拡大する拡大投影光学系を示し、6は拡大光学系5で拡大されたアライメントマーク101の像を受光するCCDカメラを示す。8は照明光学系1のレンズ間に配置された照明絞りを示し、9は拡大投影光学系のレンズ間に配置された180°位相板を示す。81はレチクル、82は電子光学系を示す。
【0069】
図9に示すように、照明光学系1を介してハロゲンランプ2からの光を対物レンズ3に通し、基板4上に形成されたアライメントマーク101に落射照明する。アライメントマーク101近傍で反射した光は拡大投影光学系5によってCCDカメラ6の受光面にアライメントマークの像を結像する。また、照明光学系1のレンズ間に照明絞り8が配置され、拡大投影光学系のレンズ間に180°位相板9が配置される。従って、レンズの中心付近を通る光のみ、位相を180°反転させる。これにより、従来では良好なアライメント信号が得られなかったアライメントマークに対しても、アライメントを可能にしている。この照明絞り8と位相板9は、図21(a)及び21(b)に示す。図21(a)は照明絞り8の平面図を示し、図21(b)は位相板9の平面図を示している。図21(a)及び図21(b)に示すように、照明絞り8と位相板9は相似形をしている。照明絞り8の遮光部92に対応する位相板9の透過部95は透明膜で形成され、この透過部95は透過部95以外の透過部96に対して位相が180°シフトされている。
【0070】
一般的なアライメント装置には、設計段階で既に存在する残留収差、光学系を組み上げる段階で生じる調整誤差に起因する収差、拡大投影光学系5と瞳との間の光軸ずれ、照明光学系1と照明絞り8との間の光軸ずれ、あるいはハロゲンランプ2の照度むら等の誤差要因が含まれることは免れない。これらの誤差要因のうち、拡大投影光学系5の収差、特にコマ収差は、アライメントマークを構成する各パターンのサイズやコントローラの違いによって、パターンの像をシフトさせる。従って、重ね合わせ精度を向上させるためには、このコマ収差に対する処理を行うことが重要である。
【0071】
本実施形態に係るアライメントマーク101が形成されたウェハ40aを図10(a)に示す。図10において、40aはウェハを示し、111はウェハ40a上のブロックを示す。101a、101bはブロック111内に形成されたアライメントマークを示す。
【0072】
図10(a)に示すように、ウェハ40aは、一括してデバイスパターンを転写可能な領域(実デバイスパターン転写ブロック111と呼ぶ)に分割される。このブロック111内には、実デバイスパターン(図示せず)と、x方向及びy方向のアライメント調整を行うためのアライメントマーク101a及び101bとが形成されている。
【0073】
このアライメントマーク101a及び101bは両者とも同じ形状をしており、その形成されている方向が異なる。このうち、x方向アライメント調整用のアライメントマーク101aを拡大した図が図10(b)である。図10(b)に示すように、アライメントマーク101aは、図20に示した従来のアライメントマークを構成する帯状パターン(大パターン41)を1本おきに小パターン42に置き換えた構造をしており、大パターン41と小パターン42が交互に並んでいる。この図10(b)に示すアライメントマークは、図20に示した従来のアライメントマークと同様に、その断面構造は溝状あるいは凸状のいずれでもよい。
【0074】
図11は、図10(b)に示すアライメントマークをコマ収差のあるアライメント装置で観察した場合のパターンを示す。コマ収差のある光学系では、パターンのサイズによって転写位置がずれる。このずれ量はパターンのサイズに依存する。このため、図10(b)に示すアライメントマークをコマ収差のあるアライメント装置で観察すると、図11に示すように、6μmの大パターン41に対して1μmの小パターン42があたかもずれているように観察される。この時、1μmパターン42と6μmパターン41の距離(L)を測定すれば、1μmパターン42の相対的な位置ずれ量δx=12μm−Lを算出することができる。この相対的な位置ずれ量δxは、コマ収差の大きさにほぼ比例していると考えられる。このため、位置ずれ量δxの値からコマ収差の向きと大きさを見積もることができる。
【0075】
以上のように、図10(b)に示すようなアライメントマーク101aを用いれば、アライメントマーク101aの位置を測定すると同時に、アライメント装置のコマ収差の大きさを測定することができる。すなわち、アライメント時にコマ収差によるアライメントマーク位置の騙され量を見積もることができる。従って、騙され量を予め補正したアライメントを実現できる。
【0076】
なお、本実施形態では図10(b)に示すようなアライメントマーク101aを用いたが、これに限定されるものではない。例えば、図12(a)に示すような1組の大パターン41と小パターン42で構成されたアライメントマーク101や、図12(b)に示すような複数本の大パターン41と複数本の小パターン42で構成されたアライメントマーク101であっても勿論よい。
【0077】
(第5実施形態)
図13は、本発明の第5実施形態に係るアライメントマーク101の構成を示す。本実施形態は第4実施形態の変形例に関し、1本の小パターン42を挟んで2本の大パターン41が対称な位置に並んで形成されていることを特徴とする。
【0078】
図13に示すアライメントマーク101をコマ収差のあるアライメント装置で観察したパターンを図14に示す。第4実施形態と同様に、図14に示すように、6μmの大パターン41に対して1μmの小パターン42があたかもずれているように観察される。この時、1μmパターン42とその両側の6μmパターン41の距離L1及びL2を測定することにより、1μmパターン42の相対的な位置ずれ量δx=(L1−L2)/2を算出することができる。その利点を以下説明する。
【0079】
一般的なアライメント光学系には、拡大倍率誤差やディストーションを持っている。この拡大倍率誤差はアライメントの際の測定誤差要因にはならない。また、ディストーションは測定誤差にはなるが、その大きさは常に一定値になる。従って、測定結果に一定値のオフセットをのせることにより、ディストーションの問題に対応できるため、アライメント誤差にはならない。
【0080】
しかし、大パターン41と小パターン42の間隔測定から相対的な位置ずれ量δxを算出する場合、第4実施形態に示すアライメントマークでは、コマ収差が存在しない場合も設計値の12μmからずれてしまう。この場合、拡大倍率誤差やディストーションを予め把握しておく必要がある。そこで、本実施形態のように位置ずれ量δxを算出する。このように算出された位置ずれ量δxは、拡大倍率誤差やディストーションには影響されない。従って、拡大倍率誤差やディストーションの影響を受けないアライメントを実現することができる。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。図13に示すようなアライメントマーク101を用いたが、これ以外の構成でもよく、例えば、図15(a)に示すような複数本の小パターン42を複数本の大パターン41で挟んだ構成の収差測定マーク31や、図15(b)に示すような構成比を1:1としない大パターン41と小パターン42が交互に並んだ構成の収差測定マーク31であっても勿論よい。
【0082】
(第6実施形態)
図16乃至図17は、本発明の第6実施形態に係るアライメントマークの構成を示す。本実施形態は第4実施形態の変形例に係わり、アライメント光学系の分解能では分離した観察ができない程の微細なパターンが密集する。このようにパターンが密集することによって、実質的に大パターン41’として機能することを特徴としている。
【0083】
図16(a)は、細い帯状のパターンが密集して大パターン41’として機能するアライメントマーク31を示す。このような密集パターンが大パターン41’として機能する理由を以下に示す。
【0084】
実際の半導体デバイスの製造に用いられているアライメントマークを構成するパターンのサイズは、製造工程上の制約により、最大寸法や最小寸法が制限される場合が多い。このため、6μm幅の大パターンは使用できない場合も存在する。このような場合には、製造工程上の制約内にある寸法を有するパターンを用いてアライメントマークを構成しなければならない。そこで、アライメント光学系の分解能よりも微細なパターンを密集させて大きなパターンを構成する。この密集させたパターンは、アライメント光学系で測定した場合、1本の幅の太い大パターンとして判断する。従って、アライメント光学系の測定結果は、密集させたパターンも大パターンと何ら変わることがないため、このような密集パターンは実質的には上記第4,5実施形態で用いられる大パターン41と同様に機能する。
【0085】
このように本実施形態によれば、製造工程上のパターン寸法の制約がある場合も、実質的に大パターン41と小パターン42の組み合わせと同様にアライメントを行うことができる。
【0086】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。図16(a)に示すようなアライメントマーク31を用いたが、これ以外の構成でもよい。例えば、図16(b)に示すように、図16(a)に示すような大パターン41’を構成する細い帯状のパターンがさらに長手方向に分割された帯状パターンが密集することにより大パターン41”として機能するアライメントマーク31でもよい。つまり、アライメント光学系の分解能よりも微細なパターンを密集させたパターンであれば何でもよい。また、図16(c)に示すように、大パターン41’のみならず、小パターン42’も細い帯状のパターンが密集して小パターン42’として機能するアライメントマーク31であってもよい。さらに、図17に示すように、大パターン41‘’と小パターン42‘’それぞれをラインパターンの長手方向に分割したものであってもよい。この場合、分割された各微細パターンは、アライメントセンサの分解能以下の微細パターンでなくても構わない。
【0087】
(第7実施形態)
図18は、本発明の第7実施形態に係るアライメントにおけるマーク位置計測のフローチャートを示す。本実施形態は、図18に示すフローチャートに沿って、アライメントの信号処理について説明する。
【0088】
まず、通常の露光で行われるアライメントと同様に、アライメントマークに光を照射し、このアライメントマークからの散乱光をCCDカメラにより受光してアライメント信号波形を取得する(181)。
【0089】
次に、通常行われる処理と同様に、このアライメント信号波形からアライメントマークの位置を測定する(182)。このマーク位置の測定と並行して、大パターン41と小パターン42の間の間隔測定を行い(183)、この測定された間隔に基づいてアライメントマークの測定位置の騙され量を算出する(184)。
【0090】
次に、得られたマーク位置と騙され量に基づいて、正しいアライメントマーク位置を算出し、位置の補正を行う(185)。
【0091】
このようなアライメントにおけるマーク位置計測において、図19を参照して、騙され量の算出工程(184)の一例を説明する。
【0092】
一般に用いられるハロゲンランプを光源とし、開口数が0.3のアライメント装置においては、パターンサイズと位置ずれ量はほぼ反比例の関係にある。従って、図19に示すように、横軸をパターン位置、縦軸をパターンサイズの逆数にとると、大パターンの位置aと小パターンの位置bを通る直線が横軸と交わる位置、すなわちパターンサイズの逆数が実質的に0となる位置が、実際のアライメントマークの位置cとなる。従って、この位置cを基準にアライメントを行えば、アライメントマーク毎に発生する騙され量を、通常の位置測定と同時に補正することが可能となる。
【0093】
また、CCDカメラ6が受光する光の光路に、図1に示す平行平面板7を配置することも可能である。この場合、得られた騙され量に応じて収差を補正することにより、図19に示した位置aと位置bを通る直線の傾きを大きくすることができる。これにより、相対的な位置ずれ量δxを小さくでき、より正確な騙され量の見積もりが可能となるとともに、コマ収差が補正できる。
【0094】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、大パターン41と小パターン42のパターン幅はそれぞれ6μmと1μmとしたが、本発明はこの組み合わせに限定されるものではない。最適な寸法の組み合わせは、アライメント光学系の開口数や照明コヒーレンシ、光源の波長域等によって異なるため、対象となるアライメント装置を用いた実験により決定される。さらに、アライメントマークの構造は、本実施形態のように凸形状、凹形状、埋め込み形状等の断面構造に限定するものではなく、アライメントセンサにより検出可能なものであればいかなる構造をとってもよい。
【0095】
以上詳述したように本発明によれば、コマ収差分布の中心ずれを調整することが可能なため、アライメント装置毎あるいはアライメントマーク毎に差が生じているアライメントオフセットを低減することが可能となる。
【0096】
また、別の本発明によれば、アライメントマークとして大小パターンが並んで形成されているものを用いることにより、コマ収差の偏心によるパターンの位置ずれからコマ収差の大きさを見積もることができ、アライメントオフセットを低減することが可能となる。
【0097】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することが可能である。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、アライメント装置毎あるいはアライメントマーク毎に差が生じているアライメントオフセットを低減できるアライメント装置の収差測定方法、及び収差測定マークを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアライメント装置の全体構成を示す図。
【図2】コマ収差のある光学系での点像を示す図。
【図3】コマ収差の分布と収差測定マークとの関係を示す図。
【図4】図4(a)は本発明の第2実施形態に係る収差測定マークの形成されたウェハの平面図。図4(b)は図4(a)に示す収差測定マークを拡大して示した図。
【図5】収差測定マークをアライメント装置で観察した場合のパターンを示す図。
【図6】図6(a)、図6(b)は第2実施形態に係る収差測定マークの変形例を示す図。
【図7】図7(a)乃至図7(c)は第2実施形態に係る収差測定マークの変形例を示す図。
【図8】本発明の第3実施形態に係るアライメント装置に用いられる収差測定マークの構成を示す図。
【図9】本発明の対象とするアライメント装置の全体構成を示す図。
【図10】図10(a)は本発明の第4実施形態に係るアライメントマークが形成されたウェハを示す図。図10(b)は図10(a)に示すアライメントマークを拡大して示した図。
【図11】収差測定マークをアライメント装置で観察した場合のパターンを示す図。
【図12】図12(a)、図12(b)は第4の実施形態に係る収差測定マークの変形例を示す図。
【図13】本発明の第5実施形態に係るアライメントマークの構成を示す図。
【図14】本発明の第5実施形態に係るアライメントマークをコマ収差のあるアライメント装置で観察した場合のパターンを示す図。
【図15】図15(a)、図15(b)は第5実施形態に係るアライメントマークの変形例を示す図。
【図16】図16(a)は本発明の第6実施形態に係るアライメントマークの構成を示す図。図16(b)、図16(c)は同実施形態に係るアライメントマークの変形例を示す図。
【図17】本発明の第6実施形態に係るアライメントマークの変形例を示す図。
【図18】本発明の第7実施形態に係るアライメントにおけるマーク位置計測のフローチャートを示す図。
【図19】本発明の第7実施形態に係る騙され量の算出工程を示す図。
【図20】従来のアライメントマークの構成を示す図。
【図21】図21(a)は従来のアライメント装置に用いられる照明絞りの構成を示す図。図21(b)は従来のアライメント装置に用いられる位相板の構成を示す図。
【符号の説明】
1…照明光学系、
2…ハロゲンランプ、
3…対物レンズ、
4…基板、
5…拡大投影光学系、
6…CCDカメラ、
7…平行平面板、
7’…傾き調整機構、
8…照明絞り、
9…位相板、
31、40b、101、101a、101b…収差測定マーク(アライメントマーク)、
32…収差測定マークの中心、
33…コマ収差分布、
34…コマ収差分布の中心、
40a…ウェハ、
41、41’、41’’、41’’’…大パターン、
42、42’、42’’…小パターン、
81…レチクル、
82…電子光学系、
111…ブロック。
Claims (2)
- 下地基板に形成され、パターン幅の太い大パターンからなる第1のマーク部と、該大パターンよりもパターン幅の細い小パターンからなる第2のマーク部を有し、該大パターンと小パターンは少なくとも一の方向に互いに平行して近隣に配置されている収差測定マークを照明光学系を介して照明し、
前記収差測定マークの像を、拡大光学系を用いて検出器の受光面に投影し、
前記収差測定マークの前記大パターンと前記小パターンの位置を検出し、
前記大パターンと前記小パターンの位置に基づいて収差を測定し、
前記収差測定マークの前記大パターンと前記小パターンの少なくとも一方は、アライメントに用いられる光学系の分解能では観察できない複数の微細パターンにより構成され、該微細パターンが密集して前記大パターンあるいは前記小パターンとして機能することを特徴とする収差測定方法。 - パターン幅の太い大パターンからなる第1のマーク部と、該大パターンよりもパターン幅の細い小パターンからなる第2のマーク部を有し、該大パターンと小パターンは少なくとも一の方向に互いに平行して近隣に配置されており、該パターンに光を照射して得られるパターン像から収差を測定し、
前記大パターンと前記小パターンの少なくとも一方は、アライメントに用いられる光学系の分解能では観察できない複数の微細パターンにより構成され、該微細パターンが密集して前記大パターンあるいは前記小パターンとして機能することを特徴とする収差測定マーク。
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