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JP4384823B2 - 白血球除去フィルター装置及び白血球除去方法 - Google Patents

白血球除去フィルター装置及び白血球除去方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、白血球含有製剤から白血球を除去するための白血球除去フィルター装置及び白血球除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、輸血の分野においては、供血者から採血した血液に抗凝固剤を添加した全血製剤を輸血する、いわゆる全血輸血に加えて、全血製剤から受血者が必要とする血液成分を分離し、その血液成分を輸注する、いわゆる成分輸血が一般的に行われている。成分輸血には、受血者が必要とする血液成分の種類により、赤血球輸血、血小板輸血、血漿輸血などがあり、これらの輸血に用いられる血液成分製剤には、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などがある。
【0003】
また、近年、血液製剤中に含まれている混入白血球を除去してから血液製剤を輸血する、いわゆる白血球除去輸血が普及してきている。これは、輸血に伴う頭痛、吐き気、悪寒、非溶血性発熱反応などの比較的軽微な副作用や、受血者に深刻な影響を及ぼすアロ抗原感作、ウイルス感染、輸血後GVHDなどの重篤な副作用が、主として輸血に用いられてきた血液製剤中に混入している白血球が原因で引き起こされることが明らかにされたためである。
【0004】
頭痛、吐き気、悪寒、発熱などの比較的軽微な副作用を防止するためには、血液製剤中の白血球を、残存率が10-1〜10-2以下になるまで除去すればよいと言われている。また、重篤な副作用であるアロ抗原感作やウイルス感染を防止するためには、白血球を残存率が10-4〜10-6以下になるまで除去すればよいと言われている。
【0005】
血液製剤から白血球を除去する方法には、大きく分けて遠心分離機を用いて血液成分の比重差を利用して白血球を分離除去する遠心分離法と、繊維素材や、連続気孔を有する多孔質体などの多孔質素子からなるフィルター材を用いて白血球を除去するフィルター法の2種類がある。
【0006】
フィルター法は、白血球除去能に優れていること、操作が簡便であること、及びコストが安いことなどの利点を有するため現在普及してきている。更に、フィルター法の中でも、フィルター材として不織布を用いて白血球を粘着又は吸着により除去する方法は、白血球除去能が特に優れていることから現在最も普及している。上記の繊維素材や多孔質体を用いたフィルター装置による白血球除去の機構は、主としてフィルター材表面と接触した白血球が、フィルター材表面に粘着又は吸着することによるとされている。
【0007】
フィルター装置の白血球除去能に関しては、現行の白血球除去フィルターは残存白血球数が1×105個以下の白血球除去能を有しているが、この様な状況下、白血球除去フィルターに対する市場要求として以下の三点が挙げられる。
【0008】
第一点は、有用成分の回収率を向上させるとともに、生理食塩水や空気の存在によってフィルター内及び回路内に残留している有用成分を回収する操作を不要化して取扱い性を向上させることである。特に、血液製剤の原料である血液は善意による献血でまかなわれている貴重な血液である場合が多く、白血球除去フィルター内に残留して回収不能となった血液は、そのままフィルターと共に廃棄されて無駄になってしまうので、現行の白血球除去フィルターよりも有用成分回収率を向上させることは極めて有意義である。しかしながら、従来技術を用いた白血球除去フィルターでは、残存白血球数1×105個以下の白血球除去能を求めるあまり多孔質体の増量やフィルター容積の増大を伴ってしまい、有用成分の回収率を格段に向上させることは困難であった。
【0009】
第二点は、現行の白血球除去フィルターよりも更に高い白血球除去率を達成し、患者に輸注された白血球が原因で起こる重篤な副作用を完全に予防することである。しかしながら、従来技術を用いた白血球除去フィルターでは、この様な副作用を完全に予防できるほどの高い白血球除去率を、単なる多孔質体の増量で達成することは困難であった。
第三点としては、第一、第二点の要求特性を満たしつつも、その製剤処理時間は現行の製剤処理時間より長くなってはならないという、高い平均処理速度が求められていた。
【0010】
このような問題点を解決しようとする試みとして、PCT国際公開公報第WO97/23266号には、平均孔径が1μm以上100μm未満の多孔質素子と該多孔質素子に保持された平均繊維径が0.03μm以上1μm未満の繊維構造体からなるフィルター材であって、繊維構造体のフィルター材に対する保持量が0.01wt%以上30wt%未満、多孔質素子の平均孔径と平均繊維径の比が2以上2000未満であり、繊維構造体が網目状構造を形成している白血球除去フィルター材が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によると、多孔質素子に繊維を保持させ、繊維構造体を形成させることで、有用成分回収率および白血球除去率の向上は達成できるものの、保持された繊維の目付けが一定である為、平均処理速度を高めようとして目付けを低めたフィルター材は白血球除去能が低められ、一方、白血球除去能を高めようとして目付けを高めたフィルター材は濃厚赤血球を濾過した時の平均処理速度が低く、従って、高い白血球除去能と高い平均処理速度を同時に達成することは困難であった。
【0012】
本発明は、白血球除去能を損なう程の小型化や煩雑な操作を行わなくても高い回収率が得られ、また、単位体積当たりの白血球除去能が従来のフィルター材に比べて極めて高く、しかも、白血球含有液の流れが良好な白血球除去フィルター装置を提供すること、さらに、赤血球・血小板等の血球に対して与える悪影響の少ない、血液適合性の良好な白血球除去フィルター材を提供することを目的とする。また、白血球含有液から高い平均処理速度で効率よく白血球を除去する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討した結果、従来から知られる多孔質素子を積層した層状のフィルター材であっても、繊維構造体の目付けが異なる複数の多孔質素子を含ませ、しかも、下層側に向かって段階的に目付けが高くなるように重層した構造であれば、これを主要部とするフィルター装置が上記課題を解決できることを見出した。
【0014】
また、本発明者らは、上記の白血球除去フィルター装置において、層状のフィルター材の上層側から白血球含有液を注入し、下層側に濾過されてくる液を回収することにより、白血球含有液を効率よく除去できる方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
即ち、本発明による白血球除去フィルター装置は、少なくとも表面に繊維構造体を有する多孔質素子の層を複数含む層状のフィルター材を有し、該フィルター材の上層側から白血球含有液が注入され、下層側に濾過されてくる液が回収される白血球除去フィルター装置であって、前記繊維構造体の目付けには複数の種類があり、目付けの高い繊維構造体を有する多孔質素子ほど下層側に配置されるように重層されていることを特徴とする。
【0016】
上記の構成の本発明による白血球除去フィルター装置を用いれば、高い白血球除去能と高い平均処理速度を同時に達成できると共に、有用血液成分の高い回収率が得られ、更には有用血液成分の受けるダメージが少ない。
【0017】
ここで多孔質素子とは、白血球除去フィルター装置におけるフィルター材を構成する最小構成単位であり、繊維集合体、多孔膜、あるいはスポンジ状の連続多孔質体である。本発明の目的において好ましいのは繊維集合体であり、形態としては不織布、織布、編布などが挙げられるが、従来から白血球除去フィルターによく使用されている不織布が特に好ましい。
【0018】
多孔質素子の材質としては、不織布、織布、編布、多孔膜、スポンジ状の連続多孔質体などを形成することができる材料であればいずれも用いることができ、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、セルロース、セルロースアセテート等が例示できるが、以上の例示に何ら限定されるものではない。
【0019】
多孔質素子の表面に形成されている繊維構造体とは、繊維が、基材である多孔質素子の孔部分に接着あるいは絡み合うことで覆うように存在し、容易に脱落もしくは溶出しないように固定されている部分を言う。繊維構造体は少なくとも多孔質素子の表面に均一に形成されておればよく、多孔質素子の内部深くまで繊維構造体が分布していても、多孔質素子の片側の表面、或いは両側の表面に分布していても良い。
【0020】
繊維構造体を形成する繊維の材質としては、繊維状のもので、物理的、化学的に解繊することでフィブリル化できる材料であればいずれも用いることができ、例えば、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテート、アラミド等が例示できる。以上の例示に何ら限定されるものではない。
【0021】
繊維構造体の形態としては、多孔質素子基材の表面に繊維が斑なく保持され、平均孔径が均一である網目状の孔を形成しており、かつ、厚み方向には圧縮されずにある程度の嵩高さを保持した状態が望ましい。そのような場合に、高い白血球除去性能と高い濾過速度を両立させることができる。
【0022】
好ましくは、前記フィルター材に含まれる多孔質素子それぞれの平均孔径には複数の種類があり、平均孔径の小さい多孔質素子ほど下層側に配置されるように重層されている。これにより、さらに高い白血球除去能および平均処理速度を達成することができる。
【0023】
好ましくは、前記フィルター材に含まれる各多孔質素子は、いずれも平均孔径が1μm以上100μm未満の多孔質素子とされる。平均孔径が1μm未満であると目が詰まりすぎて白血球含有液が流れ難く、反対に平均孔径が100μm以上であると、その表面に均一な繊維構造体を形成させることがしばしば困難となって本発明の目的には適さない。
【0024】
好ましくは、前記少なくとも表面に繊維構造体を有する多孔質素子は、各多孔質素子が有する繊維構造体を形成する繊維の平均繊維径が、いずれも0.03μm以上1μm未満とされる。繊維構造体を形成する繊維の平均繊維径が0.03μm未満の繊維は脆く、白血球含有液を高い速度で処理しようとすると、衝突する白血球やその他の血液成分などにより繊維が切れやすくなるので本発明の目的には好ましくない。また、平均繊維径が1μm以上の繊維は、フィルター材の開孔率が小さくなって白血球含有液の流れが悪くなってしまうので、本発明の目的には好ましくない。
【0025】
好ましくは、前記フィルター材は、目付けが0.1g/m2以上1.0g/m2未満の第1の繊維構造体を少なくとも表面に有する第1の多孔質素子と、該第1の多孔質素子の上層に配置され、目付けが前記第1の繊維構造体よりも低くかつ0.01g/m2以上0.3g/m2未満である第2の繊維構造体を少なくとも表面に有する第2の多孔質素子とを含む。
【0026】
ここで、繊維構造体の目付けとは、1枚の多孔質素子単位面積あたりの繊維構造体の重量を示し、重量測定法または抽出法によって測定される値である。重量測定法による目付けは、面積既知の多孔質素子に繊維構造体を形成させる前と後の重量の変化から求めることができ、目付けが比較的大きい場合に使用できる。一方、抽出法による目付けは、目付けが比較的小さい場合に重量測定法よりも精度よく求めるために使用され、繊維構造体の繊維のみを溶解、分解させて抽出し、抽出された成分を定量する方法である。本実施例ではこの抽出法を採用した。
【0027】
比較的直径が小さく低粘着性のリンパ球等を効率良く捕捉するための繊維構造体を有する多孔質素子を、繊維構造体を有しない多孔質素子の直下に単に配するだけでは、比較的取れやすい白血球分画に対しては目が細かすぎ、いたずらに処理速度の低下を招くのみで望ましくない。そこで、繊維構造体を有しない多孔質素子の下層に、リンパ球をある程度捕捉し、且つ、取れやすい白血球分画に対しては大きな抵抗にならない比較的目付けが小さい多孔質素子を配し、その下層側に上記の目付けの大きい多孔質素子を段階的に重層すると、処理速度の低下を招かずに高い除去性能が得られる。
【0028】
ここで、従来のフィルターよりも高い白血球除去を達成するためには、白血球の中でも比較的直径が小さく、低粘着性のリンパ球等を効率良くフィルター材と多点で接触させて捕捉する必要があり、そのためには繊維構造体の目付けが0.1g/m2以上であると好ましい。ただし、目付けを1.0g/m2以上とすると、白血球含有液の流れが著しく悪くなって本発明の目的には適さない。よって、下層側の、高白血球除去能を達成するのに必要な多孔質素子の繊維構造体の目付けは0.1g/m2以上1.0g/m2未満であることが好ましい。
【0029】
また、繊維構造体を有しない多孔質素子の下層側に繊維構造体の目付けが0.3g/m2以上の多孔質素子を重層し、さらに下層側に、目付けが0.1g/m2以上1.0g/m2未満の上記繊維構造体を有する多孔質素子を重層した層状のフィルター材を含むフィルター装置にて血液濾過試験を行った場合、濾過に非常に時間が掛かった。濾過後解体すると多孔質素子に目詰まりが多く見られた為、それが処理速度低下の原因となったと考えられる。一方、同フィルター装置にて、該繊維構造体の目付けを0.01g/m2未満とした場合は実質的に繊維構造体による白血球除去の増加効果が現れなかった。よって、上層側の多孔質素子表面の繊維構造体の目付けは0.01g/m2以上0.3g/m2未満であることが好ましい。
【0030】
好ましくは、前記第1の繊維構造体の平均孔径は1μm以上10μm未満であり、前記第2の繊維構造体の平均孔径は3μm以上10μm未満でかつ前記第1の繊維構造体の平均孔径よりも大きく、また、前記第2の繊維構造体の上層には、繊維構造体を保持せず、かつ平均孔径が10μm以上100μm未満である第3の多孔質素子が配置されている。
【0031】
即ち、従来のフィルターよりも高い白血球除去を達成するためには、白血球の中でも比較的直径が小さく、低粘着性のリンパ球等を効率良くフィルター材と多点で接触させて捕捉する必要があり、そのためには、繊維構造体の平均孔径を10μm未満にする必要がある。ただし、平均孔径を1μm未満すると白血球含有液の流れが著しく悪くなり本発明の目的には適さない。よって、下層側の、高白血球除去能を達成するのに必要な多孔質素子表面の繊維構造体の平均孔径は1μm以上10μmであることが好ましい。
【0032】
しかしながら、比較的直径が小さく低粘着性のリンパ球等を効率良く捕捉するための多孔質素子を、繊維構造体を有しない多孔質素子の直下に単に配するだけでは、比較的取とれやすい白血球分画に対しては目が細かすぎ、いたずらに処理速度の低下を招くのみで望ましくない。そこで、繊維構造体を有しない多孔質素子の下層に、リンパ球をある程度捕捉し、且つ、取れやすい白血球分画に対しては大きな抵抗にならない比較的平均孔径が小さい多孔質素子を配し、その下層側にさらに平均孔径が小さい多孔質素子を段階的に重層すると、繊維構造体の目付けの場合と同様に、処理速度の低下を招かずに高い除去性能が得られる。
【0033】
この中間的な多孔質素子に関しては、繊維構造体を有しない多孔質素子の下層側に、繊維構造体の平均孔径が3μm未満の多孔質素子を重層し、さらに下層側に、繊維構造体の平均孔径が1μm以上10μm未満の多孔質素子を重層した層状のフィルター材を含むフィルター装置にて血液濾過試験を行った場合、濾過に非常に時間が掛かり、濾過後解体すると繊維構造体の平均孔径が3μm未満の多孔質素子に目詰まりが多く見られた為、それが処理速度低下の原因となったと考えられる。一方、上記中間的な多孔質素子の繊維構造体の平均孔径を10μm以上とした場合は実質的に繊維構造体による白血球除去の増加効果が現れなかった。よって、中間的な多孔質素子表面の繊維構造体の平均孔径は3μm以上10μm未満であることが好ましい。
【0034】
好ましくは、前記フィルター材の表面には、グラフト重合または高分子材料によるコーティングが施される。これにより、フィルター材の表面が、血小板又は赤血球が粘着しにくい表面に改質されて血小板や赤血球の回収率が向上し、白血球のみを除去することができる。
【0035】
表面に付与する高分子材料としては、非イオン性親水基を有する高分子材料が好ましい。非イオン性親水基としてはヒドロキシル基、アミド基、ポリエーテル鎖などが挙げられる。非イオン性親水基を有する高分子材料の合成に用いることができるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ビニルアルコール(酢酸ビニルを重合して得られた高分子を加水分解することにより調製したもの)、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。上記モノマーの中でも、入手の容易さ、重合時の扱い易さ、白血球含有液の処理性能などの観点から、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び2−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
【0036】
上記表面グラフト重合または高分子材料のコーティングに用いられる高分子材料は、非イオン性親水基及び/又は塩基性含窒素官能基を有する重合性モノマーをモノマー単位として、0.1以上40モル%未満の量を含む共重合体であることが好ましい。
塩基性含窒素官能基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、4級アンモニウム基など、及びピリジル基、イミダゾル基等の含窒素芳香環基などが挙げられる。
【0037】
塩基性含窒素官能基を有する重合性モノマーとしては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリル酸の誘導体、アリルアミン、p−ビニルピリジン、4−ビニルイミダゾール等の含窒素芳香族化合物のビニル誘導体、及び上記のビニル化合物をハロゲン化アルキル等と反応させることにより得られる4級アンモニウム塩を挙げることができる。上記の重合性モノマーの中でも重合時の扱い易さ、白血球含有液の処理性能などからジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが好ましい。
【0038】
得られた共重合体における、塩基性含窒素官能基を有する重合性モノマーのモノマー単位含量が0.1モル%未満であると、フィルター材表面への血小板の粘着の抑制効果があまり見られず好ましくない。また、共重合体における、塩基性含窒素官能基を有する重合性モノマーのモノマー単位含量が40モル%以上であると、白血球だけでなく、血小板や赤血球などの有用成分がフィルター材表面に粘着し易くなるため好ましくない。
【0039】
次に、図1を参照しながら、本発明の白血球除去フィルター装置の製造方法を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば単繊度1.5dtexのセルロース繊維を適当な長さに切断した後、硫酸水溶液に浸漬し、緩やかにかき混ぜながら酸処理を施す。酸処理したこのセルロース繊維を水洗した後、ミキサーを用いて好ましくは15分間から90分間水中で激しくかき混ぜると、このセルロース繊維はフィブリル化して細繊化してゆき、目的とする平均繊維径が0.03μm以上1μm未満の繊維を得ることができる。この様に処理すると、繊維径が極めて細かく、しかもしなった繊維が容易に得られるので、繊維構造体が多孔質素子に保持されやすくなり特に好ましい。フィブリル化には、ミキサーの代わりに高圧流体流を噴霧したり、高圧ホモジナイザー、ディスクリファイナー等を用いても構わない。
【0040】
続いて、得られた繊維を好ましくは0.001g/Lから3g/Lの濃度になるように分散媒中に分散させて繊維分散液を得る。分散媒としては水が好ましい。繊維分散液をポリエステル不織布等の図1(a)に示す多孔質素子基材1にて濾過する。好ましくは多孔質素子基材1の平均孔径は1μm以上100μm未満とされる。この濾過により図1(b)に示すように、残さである該繊維が多孔質素子基材1上部の孔部分に絡み合って繊維構造体2となり、繊維構造体2を表面に有する多孔質素子3ができあがる。以下、本明細書中では前記操作を抄造と呼ぶ。多孔質素子に対する繊維構造体の目付けは繊維分散液濃度等を変えることで調整できるので、それによって所定の目付けのものを少なくとも2種類以上作成する。なお、血液成分の粘着性を調整する目的で、非イオン性親水基を有するポリマーによる表面改質を施す場合もあるが、特に限定するものではなく、必要に応じて公知の方法で実施すればよい。
【0041】
多孔質素子基材1に対する繊維構造体2の目付けは繊維分散液濃度等を変えることで調整できるので、それによって所定の目付けのものを少なくとも2種類以上作成する。また、好ましくは繊維構造体2を保持した多孔質素子3を乾燥後、ポリマーコーティングすることで、該繊維が容易に製剤中に脱落あるいは溶出しないように固定される。もちろん、繊維構造体を多孔質素子基材に保持する方法は、前記繊維が多孔質素子基材の孔部分に接着あるいは絡み合うことで覆うように存在し、製剤によって容易に脱落あるいは溶出しないように固定される技術手段であれば、以上の例示に何ら限定されるものではない。
【0042】
次に、図1(c)に示すように、多孔質素子3を重層して層状のフィルター材4を作成する。積層する順序は、例えば、層状フィルターの上層側から、表面に繊維構造体を有しない平均孔径が13μmの多孔質素子1A(目付け66g/m2)を4枚、同じく、平均孔径が10μmの多孔質素子1B(目付け40g/m2)を2枚、次に、平均孔径10μmの多孔質素子基材1(繊維保持前目付け20g/m2)の表面に、平均繊維径0.3μmの繊維によって形成された、目付けが0.1g/m2の繊維構造体2を保持させた多孔質素子3を14枚、平均孔径10μmの多孔質素子基材1’(繊維保持前目付け20g/m2)の表面に、平均繊維径0.3μmの繊維によって形成された、目付けが0.3g/m2の繊維構造体2’を保持させた多孔質素子3’を14枚とする。本発明においては、各多孔質素子の枚数等は例示に限定されるものではなく、装置のサイズ等に合わせて適宜調整すればよい。
【0043】
上記層状のフィルター材を主要部として、血液の導入口及び濾液の導出口を持つ容器内に公知の方法に従って適切に充填すれば、本発明の白血球除去装置が得られる。本装置は、主要部である層状のフィルター材の上層側及び/又は下層側に他のフィルター材を含んでも良い。一般に、白血球含有液には微小凝集物が含まれている場合が多く、このような微小凝集物による目詰まりを軽減させる目的からプレフィルターを使用することもできる。また容器の形状によっては、偏流れを防止するためにポストフィルターを使用することもできる。プレフィルター、ポストフィルターとしては、平均繊維径が8μm〜50μmの繊維の集合体や平均孔径20μm〜200μmの孔を有する連続多孔体などが好ましく用いられる。
【0044】
白血球除去フィルター装置のフィルター材の白血球含有液の流れ方向に垂直な断面積は3cm2以上150cm2未満であることが好ましい。断面積が3cm2未満であると白血球含有液の流れが極端に悪くなるので好ましくない。断面積が150cm2以上であるとフィルターの厚さを薄くせざるを得なくなり、高い白血球除去能を達成できない上、フィルター装置の大型化により回収率に影響をあたえるので好ましくない。
【0045】
以上説明した本発明の白血球除去フィルター装置で濾過する白血球含有液としては、全血製剤、濃厚赤血球製剤、濃厚血小板製剤の他、体液などが挙げられる。白血球含有液が全血製剤又は濃厚赤血球製剤である場合、1単位当たりの装置容量が3mL以上20mL未満である白血球除去フィルター装置で白血球含有液を処理することが好ましい。ここで1単位とは、約300mLから500mLの量の全血製剤又は濃厚赤血球製剤をいう。1単位当たりの装置容積が3mL未満であると、高い白血球除去率を達成できない可能性が高いので好ましくない。1単位当たりの装置容量が20mL以上であると、装置内部に残留する回収不能な白血球含有液中の有用成分、言い換えると有用成分の損失量が多くなるので好ましくない。
【0046】
白血球含有液が濃厚血小板製剤である場合、5単位当たりの装置容量が1mL以上10mL未満である白血球除去フィルター装置で白血球含有液を処理することが好ましい。ここで5単位とは、約170mL〜200mLの量の濃厚血小板製剤を指す。5単位当たりの装置容量が1mL未満であると、高い白血球除去率を達成できない可能性が高いので好ましくない。5単位当たりの装置容量が10mL以上であると、装置内部に残留する回収できない有用成分が多くなるので好ましくない。
【0047】
本発明の白血球除去フィルター装置を用いて、血液センターで輸血用の血液製剤から白血球を除去する場合は、20g/分以上100g/分以下の速度で白血球含有液を濾過することが好ましい。
【0048】
本発明の白血球除去フィルター装置は、輸血後に様々な副作用を引き起こす原因となる白血球を輸血用製剤から除去する以外にも、自己免疫疾患の体外循環療法において白血球を除去する目的でも使用することができる。自己免疫疾患の体外循環療法は、白血球含有液である患者の体液を、連続的に白血球除去フィルター装置で濾過して、回収された液を体内に戻すことにより体液から白血球を除去することからなる。
【0049】
本発明は、上記白血球除去フィルター装置を用い、前記フィルター材の上層側から白血球含有液を注入し、下層側に濾過されてくる液を回収することを特徴とする白血球除去方法をも開示する。
【0050】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、実施例で用いた諸数値は以下の方法によって測定した。
(多孔質素子の平均孔径の測定)水銀圧入法を採用し、水銀圧入圧が6.898kPa(1psia)の時の水銀圧入量を0%、水銀圧入圧が18.27MPa(2650psia)の時の水銀圧入量を100%とした場合の50%水銀圧入量に相当する細孔径を平均孔径とした。
【0051】
(多孔質素子の表面に形成された繊維構造体の平均孔径の測定)前述の水銀圧入法では求めることが出来ないので、繊維構造体を有する多孔質素子表面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−2460N)により写真を撮影し、2値化した各孔部分の面積を画像処理によって求め、それを円に換算した際の直径の数平均として算出した。
【0052】
(平均繊維径の測定)走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−2460N)にて試料表面を倍率500倍にて写真撮影した。スケールとして直径既知のポリスチレンラテックスを用い、写真から無作為に選択された100本以上の繊維の直径を数平均して算出した。なお、平均繊維径の測定の為の試料が、繊維状の多孔質素子の場合は多孔質素子の平均繊維径を意味し、繊維構造体を保持した多孔質素子の場合、および、繊維構造体形成に用いる繊維を解繊したフィブリルを適当な試料台に固定したものの場合は繊維構造体の平均繊維径を意味する。
【0053】
(繊維構造体の目付けの測定)セルラーゼ(和光純薬工業株式会社製)を0.5mg/mLの濃度になるように酢酸/水酸化ナトリウム緩衝液(pH=4.8)に溶解し、本溶液に面積既知の繊維構造体を有するフィルター材を数枚浸漬して50℃にて24時間浸とうした。セルロース繊維が完全に溶解したことを目視確認した後、分解液中のグルコースを市販のグルコース定量試薬(グルコースCII−テストワコー:和光純薬工業株式会社製)の操作手順に従って定量した。得られたグルコース量から1枚の多孔質素子単位面積あたりの繊維構造体の重量を算出し、これを目付けとした。
【0054】
(白血球残存率の測定)濾過前の濃厚赤血球(以下、濾過前液という)及び回収液の体積、白血球数を測定し、以下の式に従って白血球残存率を求めた。
白血球残存率=(回収液単位体積中の白血球数)/(濾過前液単位体積中の白血球数)
ここで、濾過前液及び回収液の体積は、それぞれの重量を血液製剤の比重(1.075)で割った値とした。また、濾過前液の白血球数については、チュルク液によって10倍希釈した濾過前液を、ビュルケルチュルク型の血球計算盤に注入して、光学顕微鏡を用いて白血球数を計数することにより測定した。
【0055】
(回収液の白血球数の測定)まず、回収液を、リューコプレート液(SOBIODA社製)にて5倍に希釈した。希釈液をよく混和した後、室温にて6〜10分間放置した。これを、2750×gで6分間遠心し、上澄を除去して液量を1.02gに調製した。この試料液を良く混和した後、ナジェット型の血球計算盤に注入し、光学顕微鏡を用いて白血球数を計数した。
【0056】
〔実施例1〕
基材である多孔質素子は、メルトブロー法により製造された平均繊維径が1μmのポリエステル製不織布(旭化成工業社製「マイクロウエッブ」)を用いた。多孔質素子基材の平均孔径は10μm、厚さは0.10mm、嵩密度0.23g/m3、目付が20g/m2であった。
【0057】
次に繊維の調製方法について説明する。セルロース繊維として単繊度1.5dtex(平均繊維径12μm)のベンベルグ糸(旭化成工業製)を用いた。繊維カット長が約3mmになるように切断し、これを5.5wt%硫酸水溶液に浸漬し、緩やかにかき混ぜながら70℃で60分間酸処理を施した。処理後、水洗し、得られた繊維のうち1.5gを水1Lに分散させる。ミキサーを用いて10000rpmで15分間から90分間水中で激しくかき混ぜると、繊維はフィブリル化して細繊化してゆき、目的とする平均繊維径が0.03μm以上1μm未満の繊維を得ることができる。本実施例では15分間かきまぜ、平均繊維径が0.3μmの繊維を得た。
【0058】
前記繊維分散液を前記ポリエステル不織布片面に対してベンベルグ繊維の目付けが0.2g/m2および0.5g/m2となるように抄造した。多孔質素子基材に対する繊維の目付けはセルラーゼを用いた抽出法にて確認し、所定量保持されていることが確認された。その結果、表面に繊維構造体を有する多孔質素子の平均孔径はそれぞれ9μm、8μmとなった。
【0059】
フィルター材の作成にあたっては、導入口側から導出口側へと順に、平均孔径130μmのプレフィルターを6枚、平均孔径13μmの不織布(目付け66g/m2)を2枚、目付けが40g/m2の多孔質素子(平均孔径10μm)を2枚、目付けが0.2g/m2の繊維構造体を表面に有する多孔質素子(平均孔径9μm)を14枚、目付けが0.5g/m2の繊維構造体を表面に有する多孔質素子(平均孔径8μm)を14枚積層したものを含んだ白血球除去フィルターを作成した(フィルター面積45cm2)。フィルター容量は18mLとした。
【0060】
平均孔径13μmの不織布の多孔質素子と前記平均孔径10μmの不織布の多孔質素子と前記表面に繊維構造体を有する多孔質素子をヒドロキシエチルメタクリレートとビス(ヒドロキシエチル)アミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートからなる共重合体のエタノール溶液にてコーティング処理を行った。これにより、該繊維が容易に製剤中に脱落あるいは溶出しないように固定される。
【0061】
4℃で7日間保存した濃厚赤血球(MAP−CRC)325gを上記白血球除去フィルター装置にて濾過した。該フィルター装置での濃厚赤血球の濾過は、落差1mで実施し、フィルター材の上層側から濃厚赤血球を注入した。血液バッグ内に濃厚赤血球がなくなるまで濾過を行い、フィルター材の下層側から濾過されてくる血液を回収した(以下、回収された濃厚赤血球を回収液という)。濃厚赤血球を濾過した際の平均処理速度は25g/分であった。
【0062】
以上の結果、白血球残存率は10-5.75となり、高い平均処理速度及び白血球除去率が達成された。また、濾過前後の遊離ヘモグロビンを比較したが全く差は見られず、血液成分はフィルター材によるダメージを受けてはいないことがわかった。
【0063】
〔実施例2〕
繊維の調製は実施例1と同様に行い、基材である多孔質素子も実施例1と同じものを用いた。繊維分散液を前記ポリエステル不織布片面に対してベンベルグ繊維の目付けが0.2g/m2、0.7g/m2となるように抄造したところ、表面に繊維構造体を有する多孔質素子の平均孔径はそれぞれ9μm、6μmとなった。
【0064】
フィルター材の作成にあたっては、導入口側から導出口側へと順に、平均孔径130μmのプレフィルターを6枚、平均孔径13μmの多孔質素子(目付け66g/m2)を2枚、平均孔径が10μmの多孔質素子(目付け40g/m2)を2枚、目付けが0.2g/m2の繊維構造体を表面に有する多孔質素子(平均孔径9μm)を14枚、目付けが0.7g/m2の繊維構造体を表面に有する多孔質素子(平均孔径6μm)を14枚積層したものを含んだ白血球除去フィルターを作成した(フィルター面積45cm2)。フィルター容量は18mLとし、実施例1と同様の方法でコーティング処理を行った。
【0065】
実施例1と同様の方法で濾過試験を行ったところ、平均処理速度は18g/分であった。
以上の結果、白血球残存率は10-6.0となり、高い平均処理速度及び白血球除去率が達成された。また、濾過前後の遊離ヘモグロビンを比較したが全く差は見られなかった。
【0066】
〔実施例3〕
次に、本発明による白血球除去フィルター装置のさらに他の実施例について説明する。
繊維の調製は実施例1と同様に行い、基材である多孔質素子も実施例1と同じものを用いた。繊維分散液を前記ポリエステル不織布片面に対してベンベルグ繊維の目付けが0.1g/m2、0.3g/m2となるように抄造したところ、繊維構造体を有する多孔質素子の平均孔径それぞれ9.5μm、8.5μmとなった。
【0067】
フィルター材の作成にあたっては、導入口側から導出口側へと順に、平均孔径130μmのプレフィルターを6枚、平均孔径13μmの多孔質素子(目付け66g/m2)を2枚、平均孔径が10μmの多孔質素子(目付け40g/m2)を2枚、目付けが0.1g/m2の繊維構造体を表面に有する多孔質素子(平均孔径9.5μm)を14枚、目付けが0.3g/m2の繊維構造体を表面に有する多孔質素子(平均孔径8.5μm)を14枚積層したものを含んだ白血球除去フィルターを作成した(フィルター面積45cm2)。フィルター容量は18mLとし、実施例1と同様の方法でコーティング処理を行った。
【0068】
実施例1と同様の方法で濾過試験を行ったところ、平均処理速度は30g/分であった。
以上の結果、白血球残存率は10-5.5となり、高い平均処理速度及び白血球除去率が達成された。また、濾過前後の遊離ヘモグロビンを比較したが全く差は見られなかった。
【0069】
〔比較例1〕
次に、本発明による白血球フィルター装置のフィルター材のような重層構造をとらなかった場合の実施例を比較例として説明する。本比較例では、多孔質素子表面の繊維構造体の目付けは1種類のみとされる。
繊維の調製は前記実施例1と同様に行い、基材である多孔質素子も前記実施例1と同じものを用いた。繊維分散液を前記ポリエステル不織布片面に対してベンベルグ繊維の目付けが0.2g/m2となるように抄造したところ、表面に繊維構造体を有する多孔質素子の平均孔径は9μmとなった。
【0070】
フィルター材の作成にあたっては、導入口側から導出口側へと順に、平均孔径130μmのプレフィルターを6枚、平均孔径13μmの多孔質素子(目付け66g/m2)を2枚、平均孔径が10μmの多孔質素子(目付け40g/m2)を2枚、目付けが0.2g/m2の繊維構造体を表面に有する多孔質素子(平均孔径9μm)を28枚積層したものを含んだ白血球除去フィルターを作成した(フィルター面積45cm2)。比較のため、フィルターを構成するプレフィルター、不織布および多孔質素子それぞれの枚数は上記実施例のフィルターと同じにしている。フィルター容量は18mLとした。
【0071】
実施例1と同様の方法で濾過試験を行ったところ、平均処理速度は30g/分であった。
以上の結果、白血球残存率は10-4.0となり、平均処理速度は高いものの、白血球除去率については満足すべきレベルは得られなかった。また、濾過前後の遊離ヘモグロビンを比較したが全く差は見られず、血液成分はフィルター材によるダメージを受けてはいないことがわかった。
【0072】
〔比較例2〕
繊維の調製は実施例1と同様に行い、基材である多孔質素子も実施例1と同じものを用いた。繊維分散液を前記ポリエステル不織布片面に対してベンベルグ繊維の目付けが0.5g/m2となるように抄造したところ、表面に繊維構造体を有する多孔質素子の平均孔径は8μmとなった。
【0073】
フィルター材の作成にあたっては、導入口側から導出口側へと順に、平均孔径130μmのプレフィルターを6枚、平均孔径13μmの多孔質素子(目付け66g/m2)を2枚、平均孔径が10μmの多孔質素子(目付け40g/m2)を2枚、目付けが0.5g/m2の繊維構造体を表面に有する多孔質素子(平均孔径8μm)を28枚積層したものを含んだ白血球除去フィルターを作成した(フィルター面積45cm2)。フィルター容量は18mLとし、実施例1と同様の方法でコーティング処理を行った。
【0074】
実施例1と同様の方法で濾過試験を行ったところ、平均処理速度は10g/分と低かった。
以上の結果、白血球残存率は10-5.0となり、白血球除去率について満足すべきレベルは得られなかった。また、濾過前後の遊離ヘモグロビンを比較したが全く差は見られなかった。
【0075】
【発明の効果】
本発明の白血球除去フィルター装置及び白血球除去方法は、白血球含有液から輸血副作用の原因となる白血球を除去する際に、高い白血球除去能と高い平均処理速度を同時に達成できると共に、有用血液成分の高い回収率が得られ、更には有用血液成分の受けるダメージが少ないので輸血時に使用される白血球除去フィルター装置及び白血球除去方法として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明による白血球除去フィルター装置のフィルター材に用いられる多孔質素子基材を簡略化して示す断面図。図1(b)は、図1(a)に示す多孔質素子基材の表面に繊維構造体を保持させた状態を簡略化して示す断面図。図1(c)は、図1(b)に示す多孔質素子の層を含むフィルター材の一部を簡略化して示す断面図。
【符号の説明】
1…多孔質素子基材、2…繊維構造体、3…繊維構造体を有する多孔質素子の層、4…フィルター材

Claims (8)

  1. 第1の多孔質素子と少なくともその表面にフィブリル化した繊維を用いた第1の繊維構造体を有する第1のと、第2の多孔質素子と少なくともその表面にフィブリル化した繊維を用いた異なる第2の繊維構造体とを有する第2の層と、を含む層状のフィルター材を有し、該フィルター材の上層側から白血球含有液が注入され、下層側に濾過されてくる液が回収される白血球除去フィルター装置であって、
    前記第1の繊維構造体の目付けは第2の繊維構造体より高く、第1の層は、第2の層の下層側に配置されるように重層されていることを特徴とする白血球除去フィルター装置。
  2. 第1の多孔質素子の平均孔径は第2の多孔質素子より小さく、第1の層は、第2の層の下層側に配置されるように重層されていることを特徴とする請求項1記載の白血球除去フィルター装置。
  3. 前記フィルター材に含まれる各多孔質素子は、いずれも平均孔径が1μm以上100μm未満の多孔質素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の白血球除去フィルター装置。
  4. 前記フィルター材に含まれる各繊維構造体を形成する繊維の平均繊維径が、いずれも0.03μm以上1μm未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の白血球除去フィルター装置。
  5. 前記第1の繊維構造体は、目付けが0.1g/m以上1.0g/m未満であり、前記第2の繊維構造体は、目付けが0.01g/m以上0.3g/m未満であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の白血球除去フィルター装置。
  6. 前記第1の繊維構造体の平均孔径は1μm以上10μm未満であり、
    前記第2の繊維構造体の平均孔径は3μm以上10μm未満でかつ前記第1の繊維構造体の平均孔径よりも大きく、
    前記第2の繊維構造体の上層には、繊維構造体を保持せず、かつ平均孔径が10μm以上100μm未満である第3の多孔質素子が配置されていることを特徴とする請求項5記載の白血球除去フィルター装置。
  7. 前記フィルター材の表面には、グラフト重合または高分子材料によるコーティングが施されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の白血球除去フィルター装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の白血球除去フィルター装置を用い、前記フィルター材の上層側から採取された白血球含有液を注入し、下層側に濾過されてくる液を回収することを特徴とする白血球除去方法。
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