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JP4340068B2 - 細胞表層結合性タンパク質およびその利用 - Google Patents

細胞表層結合性タンパク質およびその利用 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、糖鎖結合タンパク質ドメインを有し、該糖鎖結合タンパク質ドメインの少なくともN末端側またはC末端側に他のタンパク質が結合されている、細胞表層結合性タンパク質に関する。
背景技術
細胞表層局在タンパク質は、細胞表層に固定され、細胞表層に存在するタンパク質である。例えば、酵母の凝集タンパク質であるα−またはa−アグルチニンが挙げられる。このようなタンパク質は、分泌シグナル配列を有する点で分泌タンパク質と同様であるが、GPIアンカーを介して細胞膜に固定されて輸送される点で分泌タンパク質とは異なる。一般に、細胞表層局在タンパク質は、C末端側にGPIアンカリングドメインを有している。細胞表層局在タンパク質は、細胞膜の通過の際、そのドメインの一部(すなわち、GPIアンカー付着認識シグナル配列)が選択的に切断され、新たに突出したC末端部分と細胞膜上のGPIアンカーとが結合し、細胞膜に固定される。次いで、ホスファチジルイノシトール依存性ホスホリパーゼC(PI−PLC)によってGPIアンカーの根元部が切断される。そして、細胞膜から切り離されたタンパク質は細胞壁に組み込まれて細胞表層に固定され、細胞表層に局在する。ここで、GPIアンカーとは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)と呼ばれるエタノールアミンリン酸−6マンノースα1−2マンノースα1−6マンノースα1−4グルコサミンα1−6イノシトールリン脂質を基本構造とする糖脂質をいう。
GPIアンカリングドメインは、通常、細胞表層局在タンパク質のC末端あるいはその近傍に位置する。例えば、α−アグルチニンのC末端から320アミノ酸の配列をコードする配列には、GPIアンカー付着認識シグナル配列の他に、4個所の糖鎖結合部位がある。GPIアンカーがPI−PLCで切断された後に、これらの糖鎖と細胞壁を構成する多糖類とが共有結合することによって、α−アグルチニンのC末端配列部分が細胞壁と結合し、α−アグルチニンは細胞表層に保持される。
このようなGPIアンカリングドメインを利用して、発明者らは、リパーゼを細胞表層に発現させることに成功している(特開平11−290078号公報)。すなわち、GPIアンカリングドメインをコードするDNAの上流にリパーゼの構造遺伝子を配置し、さらに上流に分泌シグナル配列を配置して、N末端側が細胞の外側になるように細胞表層にリパーゼを発現した。
発明の開示
このようにして発現させたタンパク質は、N末端側に活性中心があるものであれば、細胞表層で十分な活性を示すことができる。しかし、C末端側に活性中心がある場合、活性中心が細胞表層に近すぎて立体障害が起こり十分な活性を示すことができない場合も考えられる。
そこで、タンパク質を細胞表層に発現する方法を種々検討したところ、全く予想外に、従来、必須と考えられていたGPIアンカリングドメインの機能を失わせた場合でさえも、GPIアンカータンパク質が細胞表層に保持されることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、少なくともGPIアンカータンパク質の凝集機能ドメインさえ含まれていれば、そのN末端側またはC末端側のいずれか一方に、あるいはN末端側およびC末端側の両方に、所望のタンパク質を発現させるようなプラスミドを構築することによって、所望のタンパク質を細胞表層に発現させることが可能となった。
本発明は、糖鎖結合タンパク質ドメインを有し、該糖鎖結合タンパク質ドメインの少なくともN末端側またはC末端側に他のタンパク質が結合されている、細胞表層結合性タンパク質を提供する。
好ましい実施態様では、上記糖鎖結合タンパク質ドメインは、少なくともGPIアンカータンパク質の凝集機能ドメインを含む部分である。
好ましい実施態様では、上記GPIアンカータンパク質は、凝集タンパク質である。
好ましい実施態様では、上記凝集タンパク質は、FLO1、FLO2、FLO4、FLO5、FLO9、FLO10、およびFLO11からなる群より選択されるタンパク質である。
他の好ましい実施態様では、上記他のタンパク質は、上記糖鎖結合タンパク質ドメインのN末端側に結合されている。
より好ましい実施態様では、上記他のタンパク質は、上記糖鎖結合タンパク質ドメインのC末端側に結合されている。
さらに好ましい実施態様では、上記他のタンパク質はリパーゼである。
好ましい実施態様では、上記他のタンパク質は抗体である。
好ましい実施態様では、上記糖鎖結合タンパク質ドメインのN末端側およびC末端側に、同一または異なる他のタンパク質が結合されている。
本発明はまた、上記の細胞表層結合性タンパク質をコードするDNAを提供する。
本発明はさらに、上記DNAを含む、プラスミドを提供する。
本発明はまた、上記DNAまたは上記のプラスミドが導入され、上記他のタンパク質が細胞表層に発現される、細胞を提供する。
好ましい実施態様では、上記細胞は酵母である。
好ましい実施態様では、上記他のタンパク質は酵素である。
本発明はまた、上記他のタンパク質と基質とを接触させ、この基質を結合するか、またはこの基質を他の物質に変換させる、上記細胞の使用方法を提供する。
本発明はまた、上記細胞を含む、酵素剤を提供する。
発明を実施するための最良の形態
本発明において、細胞表層結合性タンパク質とは、少なくとも糖鎖結合タンパク質ドメインおよび他のタンパク質を含む、融合タンパク質であって、糖鎖結合タンパク質ドメインによって細胞表層に固定されるタンパク質をいう。
本発明において、糖鎖結合タンパク質ドメインとは、複数の糖鎖を有し、この糖鎖が、細胞壁中の糖鎖と相互作用または絡み合うことによって、細胞表層に留まることのできるドメインをいう。例えば、レクチン、レクチン様タンパク質などの糖鎖結合部位などが挙げられる。代表的には、GPIアンカータンパク質の凝集機能ドメインが挙げられる。GPIアンカータンパク質の凝集機能ドメインとは、GPIアンカリングドメインよりもN末端側にあり、複数の糖鎖を有し、凝集に関与していると考えられているドメインをいう。
本発明において、GPIアンカータンパク質とは、一般に、細胞表層局在タンパク質であって、細胞膜上に存在するGPIアンカーを介して細胞膜に結合し得るタンパク質をいう。GPIアンカータンパク質は、N末端に分泌シグナル配列およびC末端にGPIアンカリングドメインを有する。GPIアンカータンパク質としては、酵母の凝集タンパク質(α−アグルチニン、a−アグルチニン、FLOタンパク質)、アルカリホスファターゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に、本発明で好適に使用される凝集タンパク質としては、FLOタンパク質、例えば、FLO1、FLO2、FLO4、FLO5、FLO9、FLO10、およびFLO11が挙げられる。
本発明において、GPIアンカリングドメインとは、細胞壁アンカリングドメインおよびGPIアンカー付着認識シグナル配列をいう。通常、細胞表層局在タンパク質のC末端あるいはその近傍に位置する。例えば、酵母のα−アグルチニンでは、C末端から320アミノ酸の配列である。
GPIアンカリングドメインのうち、GPIアンカー付着認識シグナル配列は、細胞膜上のGPIアンカーを認識する部分である。C末端のGPIアンカー付着認識シグナル配列の切断後、GPIアンカーと新たに突出したC末端とが結合する。次いで、結合したGPIアンカーの根元部がPI−PLCによって切断され、そのためタンパク質は、細胞膜を離れて細胞壁に組み込まれる。ここでは、細胞壁アンカリングドメインに存在する糖鎖が、細胞壁中の糖鎖と結合し、タンパク質は細胞表層に固定される。
本発明の細胞表層結合性タンパク質には、(1)糖鎖結合タンパク質ドメインのN末端側に他のタンパク質が結合されている融合タンパク質、(2)糖鎖結合タンパク質ドメインのC末端側に他のタンパク質が結合されている融合タンパク質、および(3)糖鎖結合タンパク質ドメインのN末端側およびC末端側の両方に、同一または異なるタンパク質が結合されている融合タンパク質が含まれる。他のタンパク質は、糖鎖結合タンパク質ドメインに直接結合されていてもよいし、リンカーを介して結合されていてもよい。また、最もN末端側に、分泌シグナル配列が結合されている。
本発明の細胞表層結合性タンパク質を構成する他のタンパク質は、特に限定されないが、本来細胞表層に局在しないタンパク質であって、細胞表層に固定することを目的として配置されるタンパク質が好ましい。例えば、分泌性タンパク質、抗体などが挙げられる。分泌性タンパク質としては、リパーゼ、アミラーゼ類(グルコアミラーゼ、α−アミラーゼなど)、セルラーゼ類、蛍光タンパク質、プロテインAおよびその誘導体などが挙げられる。
このような酵素は、その特性に応じて、N末端側に融合させるか、C末端側に融合させるかを決定すればよい。特に、リパーゼのようにC末端側に活性中心を有するタンパク質は、糖鎖結合タンパク質ドメインのC末端側に結合されていることが好ましい。このタンパク質は、糖鎖結合タンパク質ドメインに続いてC末端側に結合されていてもよいし、また、例えば、GPIアンカリングドメインの一部を介して結合されていてもよい。
N末端側に融合させる場合、タンパク質は、分泌シグナル配列と糖鎖結合タンパク質ドメインとの間に融合されることが好ましい。また、例えば、糖鎖結合タンパク質ドメインのC末端側に、さらにGPIアンカリングドメインの一部を含んでいてもよい。しかし、この場合、GPIアンカー付着認識シグナルは含まず、そのため発現した融合タンパク質は、GPIアンカーを介して細胞表層に固定されるわけではない。
分泌シグナル配列は、一般に細胞外(ペリプラズムも含む)に分泌されるタンパク質(分泌性タンパク質)のN末端に結合している、疎水性に富んだアミノ酸を多く含むアミノ酸配列であり、通常、分泌性タンパク質が細胞内から細胞膜を通過して細胞外へ分泌される際に除去される。
本発明においては、発現した融合タンパク質を細胞膜へ導くことができる分泌シグナル配列であれば、どのような分泌シグナル配列でも用いられ得、起源は問わない。例えば、分泌シグナル配列としては、グルコアミラーゼの分泌シグナル配列、酵母のα−またはa−アグルチニンのシグナル配列、リパーゼの分泌シグナル配列などが好適に用いられる。細胞表層結合性タンパク質に融合している他のタンパク質の活性に影響を及ぼさないのであれば、分泌シグナル配列およびプロ配列の一部または全部がN末端に残ってもよい。
本明細書において、リパーゼとは、油脂から脂肪酸を遊離させ得る活性を有するタンパク質(酵素)をいう。ここで、油脂とは、グリセロールに脂肪酸が結合したものをいう。このような活性を有していれば、リパーゼの起源は特に限定されず、一般に、微生物、植物、および動物(例えば、豚膵臓)由来のリパーゼが用いられる。また、リパーゼは、1,3−特異的であってもよいし、非特異的であってもよい。例えば、リパーゼを凝集性酵母の細胞表層に発現させることにより、廃油などからバイオディーゼル燃料を製造できる。
本明細書において、アミラーゼ類とは、デンプンを加水分解する酵素をいう。代表的には、グルコアミラーゼおよびα−アミラーゼが挙げられ、さらに他にβ−アミラーゼ、イソアミラーゼなどが挙げられる。
本明細書において、グルコアミラーゼとは、デンプンの非還元末端からグルコース単位を切り離していくエキソ型の加水分解酵素をいう。このような活性を有していれば、その起源は限定されないが、RhizopusおよびAspergillusなどのカビ由来のグルコアミラーゼが用いられる。例えば、植田ら(Appl.Environ.Microbiol.63:1362−1366(1997))に記載のように、Rhizopus oryzae由来のグルコアミラーゼが好適に用いられる。例えば、グルコアミラーゼを酵母表層に発現させることにより、デンプン存在下で効率よくエタノールを製造することが可能である。
本発明において、α−アミラーゼは、デンプンのα1,4−グルコシド結合のみを加水分解するエンド型の酵素をいう。この活性を有していればその起源は限定されず、例えば、動物(唾液、膵臓など)、植物(麦芽など)、および微生物由来のα−アミラーゼが用いられる。例えば、α−アミラーゼを酵母表層に発現させることにより、デンプン存在下で効率よくエタノールを製造することができる。上記グルコアミラーゼと組合せて発現させると、アルコール発酵が効率よく行われる。
セルラーゼ類とは、一般にはエンドβ1,4−グルカナーゼをいうが、本発明においては、エンドβ1,4−グルカナーゼとともに生産されるβ1,4−グルコシド結合を切断し、セルロースからグルコースを生産する一群の酵素(例えば、セロビオヒドロラーゼ、β−グルコシダーゼ)を称して、セルラーゼという。セルラーゼ類としては、例えば、エンドβ1,4−グルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、β−グルコシダーゼ、カルボキシメチルセルラーゼなどが挙げられる。このような活性を有していれば、その起源は限定されず、例えば、微生物由来のものが好適に用いられる。
セルラーゼ類を単独または組合せて酵母表層で発現させることにより、木質材料、例えば、紙、パルプまたはこれらの廃材から、アルコール発酵が効率よく行われる。
本発明において、細胞表層にタンパク質を発現させる細胞は、細菌、真菌、植物細胞など、細胞壁を有する細胞であれば、特に限定されない。好適には、酵母が使用される。
本発明に使用される細胞は、目的とするタンパク質を細胞表層に提示するようにDNAを導入して、形質転換された細胞である。導入されるDNAは、少なくとも、分泌シグナル配列、糖鎖結合タンパク質ドメイン、および目的とするタンパク質をコードする配列を含む。さらに、目的とするもう1つのタンパク質をコードする配列を含んでいてもよい。
上記の各種配列を含むDNAの合成および結合は、当業者が通常用い得る技術で行われ得る。
上記DNAはプラスミドの形態であることが望ましい。DNAの取得の簡易化の点からは、大腸菌とのシャトルベクターであることが好ましい。このDNAの出発材料は、例えば、酵母の2μmプラスミドの複製起点(Ori)とColE1の複製起点とを有しており、また、酵母選択マーカー(例えば、薬剤耐性遺伝子、TRP、LEU2など)および大腸菌の選択マーカー(薬剤耐性遺伝子など)を有することがさらに好ましい。また、タンパク質の構造遺伝子を発現させるために、この遺伝子の発現を調節するオペレーター、プロモーター、ターミネーター、エンハンサーなどのいわゆる調節配列をも含んでいることが望ましい。例えば、GAPDH(グリセルアルデヒド3’−リン酸デヒドロゲナーゼ)プロモーターおよびGAPDHターミネーターが挙げられる。このような出発材料のプラスミドの例としては、GAPDH(グリセルアルデヒド3’−リン酸デヒドロゲナーゼ)プロモーター配列およびGAPDHターミネーター配列を含むプラスミドpYGA2270またはpYE22m、あるいはUPR−ICL(イソクエン酸リアーゼ上流領域)配列とTerm−ICL(イソクエン酸リアーゼのターミネーター領域)配列とを含むプラスミドpWI3などが挙げられる。
好適には、プラスミドpYGA2270またはpYE22mのGAPDHプロモーター配列とGAPDHターミネーター配列との間、あるいはプラスミドpWI3のUPR−ICLの配列とTerm−ICLの配列との間に、所望のタンパク質をコードするDNAを挿入すれば、酵母に導入するために使用されるプラスミドが製造される。本発明においては、好適には、マルチコピー型のプラスミドpWIFSまたはpWIFLが用いられ、例えば、pWIFSpmROLまたはpWIFLpmROLが製造される。
宿主の酵母としては、どのような酵母を用いてもよいが、凝集性の酵母が、反応後の分離が簡単である点で、あるいは簡単に固定できるため連続反応を行い得る点で好ましい。あるいは、糖鎖結合タンパク質ドメインとして、凝集機能ドメインを使用する場合は、どのような酵母にも強い凝集性を付与することができる。
凝集性の酵母としては、Saccharomyces diastaticus ATCC60715、同ATCC60712、Saccharomyces cerevisiae IFO1953、同CG1945、同HF7Cなどが挙げられる。また、新たな凝集性酵母を構築してもよい。例えば、後述の実施例1に示すように、M.D.Roseら(Methods in Yeast Genetics,1990,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)の方法に従って、凝集性酵母ATCC60712と非凝集性酵母W303−1Bとの接合による二倍体から、凝集性酵母YF207およびこれと同等の性質を有する酵母を得ることができる。本発明者らが取得した凝集性酵母YF207株は、プラスミドの安定性に優れ、さらに発酵能が非常に高い。したがって、所望のタンパク質、例えば、α−アミラーゼおよびグルコアミラーゼを単独でまたは両方を細胞表層に発現するように組換えられた凝集性酵母YF207株を用いた場合は、デンプンからのアルコール発酵の効率は非常に高くなる。
本発明の方法で用いられる細胞は、上記DNAを細胞に導入することにより得られる。DNAの導入とは、細胞の中にDNAを導入し、発現させることを意味する。DNAの導入の方法には、形質転換、形質導入、トランスフェクション、コトランスフェクション、エレクトロポレーションなどの方法があり、具体的には、酢酸リチウムを用いる方法、プロトプラスト法などがある。
導入されるDNAは、前述のようなプラスミドの形態であってもよく、あるいは宿主の遺伝子に挿入して、または宿主の遺伝子と相同組換えを起こして染色体に取り込まれてもよい。
DNAが導入された細胞は、選択マーカー(例えばTRP)で選択され、発現されたタンパク質の活性を測定することにより選択される。タンパク質が細胞表層に固定されていることは、抗タンパク質抗体とFITC標識抗IgG抗体とを用いる免疫抗体法によって確認し得る。
本発明で用いられる細胞は、担体に固定化されていてもよい。例えば、酵母の場合、固定されていると、繰り返し回分発酵または連続発酵における使用に便利である。
本明細書において、担体とは、細胞を固定化することができる物質を意味し、好ましくは、水またはある特定の溶媒に対して不溶性の物質である。本発明に用い得る担体の材質としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリアクリルアミド、ポリビニルフォルマール樹脂多孔質体、シリコンフォーム、セルロース多孔質体などの発泡体あるいは樹脂が好ましい。増殖および活性が低下した細胞あるいは死滅した細胞の脱落などを考慮すると、多孔質の担体が好ましい。多孔質体の開口部の大きさは細胞によっても異なるが、細胞が十分に入り込めて、増殖できる大きさが適当である。50μm〜1,000μmが好適であるが、これに限定されない。
また、担体の形状は問わない。担体の強度、培養効率などを考慮すると、球状あるいは立方体状であり、大きさは、球状の場合、直径が2mm〜50mm、立方体状の場合、2mm〜50mm角が好ましい。
本明細書において、細胞の固定化とは、細胞が遊離の状態ではない状態を意味し、例えば、細胞が担体に結合または付着あるいは担体内部に取り込まれた状態などをいう。細胞の固定化には、例えば、担体結合法、架橋法、包括法などの当業者が通常用いる方法が適用できる。なかでも、凝集性の酵母の固定化には、担体結合法が最適である。担体結合法には、イオン交換性の樹脂に吸着させる化学的吸着法あるいは物理的吸着法が含まれる。
例えば、本発明で用い得る凝集性酵母は、担体に固定化されているにもかかわらず、増殖可能であり、そして活性が低下すると自然に脱落していく性質を有している。そのため、担体に結合した酵母は、生菌数がほぼ一定に保たれ、活性が高いという特徴がある。この特徴を考慮すると、担体への結合は物理的吸着が最も好ましい。物理的吸着には特別な手段は必要ない。凝集性あるいは接着性の細胞と上記多孔質の担体とを単に混合して培養することにより、細胞が多孔質体の開口部に入りこみ、担体に付着する。
本明細書において、凝集性とは、液体中に浮遊または分散して存在する酵母などの細胞が、集合して塊(集合体)を作る性質を意味し、接着性とは、細胞同士が接着または結合し、集合体を形成する性質を意味する。
本明細書において、活性が低下したとは、細胞自体は死滅していないものの細胞全体の活性が弱まった状態、あるいは、例えば、凝集に関する活性が低下する、または凝集に関する酵素をコードするDNAのレベルで活性が弱まるなどの状態となり、凝集できなくなる状態をいう。
また、本発明においては、凝集性または接着性の酵母は、凝集または接着に関する遺伝子の導入により凝集性または接着性を付与された酵母であってもよい。
凝集または接着に関する遺伝子とは、凝集または接着に関与する物質、例えば、酵母におけるキチン、レクチンなどをコードする構造遺伝子が挙げられ、凝集性に関する遺伝子としては、FLO1[J.Watariら、Agric.Biol.Chem.,55:1547(1991),G.G.Stewartら、Can.J.Microbiol.,23:441(1977),I.Russellら、J.Inst.Brew.,86:120(1980),C.W.Lewisら、J.Inst.Brew.,82:158(1976)]、FLO5[I.Russellら、J.Inst.Brew.,85:95(1979)]、FLO8[I.Yamashitaら、Agric.Biol.Chem.,48:131(1984)]などの遺伝子が挙げられる。
これらの凝集または接着に関する遺伝子は、上記の出発材料のプラスミドに組み込まれて、所望のタンパク質を細胞表層に提示するように設計されたDNAとともに細胞に導入される。
このようにして得られる固定化された細胞は、担体に付着した状態で、浮遊状態で培養されるか、カラムなどに充填されて、いわゆるバイオリアクターとして用いることもできる。連続的にあるいは回分(バッチ)で繰り返し培養および反応させた場合でも、活性が低下したあるいは死滅した細胞が脱落していくので、細胞としての活性が低下することはなく、有効に利用することができる。
上記のようにして得られた本発明の細胞は、細胞表層に発現したタンパク質を基質と接触させ、この基質を結合するか、またはこの基質を他の物質に変換させる目的で使用され得る。例えば、タンパク質が酵素である場合、酵素を発現する細胞を含む酵素剤として、提供されてもよい。具体的には、本発明の酵素剤としては、本発明の細胞および細胞を維持し得る培地を含む懸濁液、および本発明の細胞が凍結保存あるいは凍結乾燥、さらには低温乾燥されたものが挙げられる。
さらに、本発明の細胞は、ランダムに変異を導入した種々のタンパク質をそれぞれ別の細胞の表層に提示させ、コンビナトリアルライブラリーとして使用することもできる。このようなライブラリーから、目的に応じた最適な性質を有するクローンを迅速かつ簡便に選択することも可能である。ここでいうコンビナトリアルライブラリーとは、遺伝子レベルでランダムに変異を導入し、タンパク質の多様性を人為的に拡大した種々の変異体の集合をいう。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1:FLO1の5’領域およびプロリパーゼの構造遺伝子をこの順で有するDNAの作成)
A:FLO1の5’領域(シグナル配列および凝集機能ドメイン)の遺伝子の取得
次のようにしてFLO1の遺伝子を取得した。まず、S.cerevisiae ATCC60715から染色体DNAを抽出した。次いでこれをテンプレートとし、プライマーとして配列番号1および配列番号2に記載のヌクレオチド配列を用いてPCR増幅し、BamHIおよびBglIIで切断して、約3300bpの長さのBamHI−BglII断片(BamHI−BglII FLO1 3300bp断片)を得た。この3300bp断片は、FLO1の5’側の配列(分泌シグナル配列およびFLO1凝集機能ドメイン)を有していると思われる。
B:リパーゼ遺伝子の取得
次のようにして、Rhizopus oryzaeのリパーゼの遺伝子を取得した。簡単に述べると、まず、R.oryzae IFO4697から染色体DNAを抽出した。次いで、これをテンプレートとし、プライマーとして配列番号3および配列番号4に記載のヌクレオチド配列を用いてPCR増幅を行い、BamHIおよびSalIで切断して、約1100bpの長さのBamHI−SalI断片(BamHI−SalIリパーゼ断片)を得た。このリパーゼ断片は、リパーゼのプロ配列および成熟タンパク質配列を有しており、Beerらの報告(Biochim Biophys Acta,1399:173−180,1998)に記載の配列とほぼ一致するものであった。
C:FLO1の5’領域およびプロリパーゼの構造遺伝子をこの順で有するプラスミドの作成
目的のDNAを有するプラスミドは、上記Aで得られたFLO1の5’領域遺伝子と上記Bで得られたプロリパーゼ遺伝子を接続することにより得られる。FLO1誘導体とリパーゼとの融合タンパク質を作成するために、以下の操作を行った。作成の模式図を、図1に示す。
まず、マルチコピー型プラスミドpWI3を、BglIIで切断し、脱リン酸化後、上記Aで得られたBamHI−BglII FLO1 3300bp断片を挿入して、プラスミドpWIFSを得た。次いで、このプラスミドpWIFSを、BglIIおよびXhoIで切断し、上記Bで得られたBamHI−SalIリパーゼ断片を挿入して、pWIFSpmROLを得た。このプラスミドpWIFSpmROLに挿入された遺伝子から発現されるタンパク質を、short型FLO1リパーゼと命名した。
(実施例2:細胞壁アンカリングドメインを含むFLO1の5’領域およびプロリパーゼの構造遺伝子をこの順で有するDNAの作成)
上記実施例1と同様にして、FLO1の染色体DNAを抽出した。これをテンプレートとし、プライマーとして配列番号1および配列番号5に記載のヌクレオチド配列を用いてPCR増幅し、BamHIおよびBglIIで切断して、約4500bpの長さのBamHI−BglII断片(BamHI−BglII FLO1 4500bp断片)を得た。この4500bp断片は、FLO1の5’側の配列(分泌シグナル配列およびFLO1凝集機能ドメイン)を有していると思われる。
得られたBamHI−BglII FLO1 4500bp断片を用いて、実施例1と同様の操作を行った。すなわち、実施例1のBamHI−BglII FLO1 3300bp断片の代わりに、この4500bp断片をpWI3に挿入し、プラスミドpWIFLを得た。次いで、このプラスミドpWIFLに、実施例1と同様に前記BamHI−SalIリパーゼ断片を挿入して、pWIFLpmROLを得た。このプラスミドpWIFLpmROLに挿入された遺伝子から発現されるタンパク質を、long型FLO1リパーゼと命名した。
(実施例3:細胞表層にリパーゼを有する酵母の作成)
凝集性酵母であるSaccharomyces diastaticus ATCC60712(MATa leu2−3,112 his2 lys2 sta1 FLO8)および非凝集性酵母であるW303−1B(MATα ura3−52 trp1Δ2 leu2−3,112 his3−11 ade2−1 can1−100)を用い、M.D.Roseら(前出)の方法に従って、トリプトファン栄養要求性の新たな凝集性の菌株Saccharomyces cerevisiae YF207(MATa ura3−52 trp1Δ2 his ade2−1 can1−100 sta1 FLO8)を得た。
上記実施例1で得られたプラスミドpWIFSpmROLおよび実施例2で得られたプラスミドpWIFLpmROLを、Yeast Maker(Clontech Laboratories,Inc.,Palo Alto,CA)を用いた酢酸リチウム法によって非凝集性酵母S.cerevisiae MT8−1(MATa ade his3 leu2 trp1 ura3)(Tajimaら、Yeast,1:67−77,1985)および凝集性酵母YF207に導入した。これらを、L−トリプトファンを含まない適切なアミノ酸および塩基を補充したSD−W寒天選択培地(6.7% Yeast nitrogen base w/o amino acids(Difco Laboratories製)、2%グルコース、2%寒天末)を用いて培養した。生育した酵母を選択し、short型FLO1リパーゼを発現する酵母をそれぞれMT8−1−shortおよびYF207−shortと命名し、またlong型FLO1リパーゼを発現する酵母をそれぞれMT8−1−longおよびYF207−longと命名した。
得られた酵母をSDC液体培地で培養し、遠心分離して培地と菌体とに分離し、それぞれのリパーゼ活性を測定した。コントロールとしてはプラスミドpWI3をそれぞれS.cerevisiae MT8−1に導入した酵母を用いた。その結果、コントロールでは培地および菌体にリパーゼ活性が認められなかった。また、形質転換体MT8−1−short、YF207−short、MT8−1−long、およびYF207−longの培養上清中にはほとんどリパーゼ活性は見られなかったが、これらの酵母菌体自体は、いずれもリパーゼ活性を有していた(図2)。なお、リパーゼ活性の測定は、リパーゼキットS(大日本製薬製)を用いて行った。
(実施例4:細胞表層にリパーゼを有する酵母の機能の確認)
実施例3で得られたshort型FLO1リパーゼを発現する酵母MT8−1−shortおよびYF207−short、ならびにlong型FLO1リパーゼを発現する酵母MT8−1−longおよびYF207−longのそれぞれについて、菌体の増殖を波長600nmの吸光度により測定した。いずれの酵母も培地中でコントロールと同程度に順調に増殖することがわかった(データは示さず)。
次いで、short型FLO1リパーゼを発現する酵母MT8−1−shortおよびlong型FLO1リパーゼを発現する酵母MT8−1−longのメタノリシス反応活性を測定した。30mlバイアル中、培地100mlから集菌した各酵母に、反応液(0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)2ml、大豆油9.65g、メチルアルコール0.35g)を加え、35℃で毎分150回振とうし、メチルエステルの生成量をKaiedaらの方法(J.Biosci.Bioeng.,88:627−631,1999)によって測定した。この結果を図3に示す。
いずれの酵母も、従来の酵母(α−アグルチニンのN末端側にリパーゼを結合して細胞表層に発現させた酵母(特開平11−290078号公報))と比較して、より多くのメチルエステルを生産していた。特に、図3に示すように、short型FLO1リパーゼを発現する菌株MT8−1−short(○)およびlong型FLO1リパーゼを発現する酵母MT8−1−long(△)おいて、メチルエステルの生産活性は非常に高かった。
また、これらの菌株について、その凝集能を、Smitらの方法(Smitら、Appl.Environ.Microbiol.,58:3709−3714(1992))に従って測定した。その結果、凝集性の菌株については、プラスミドを導入する前と比較して、long型FLO1リパーゼを発現する菌株が、形質転換前と同様の強い凝集能を示した。しかし、short型FLO1リパーゼを発現する菌株では、凝集能が弱くなっていた。これは、short型FLO1リパーゼには細胞壁アンカリングドメインがなく、そのかわりに凝集ドメインが細胞壁に埋まっているため、凝集機能を十分に発揮できなかったと考えられる。
(実施例5:ランダム変異リパーゼのコンビナトリアルライブラリーの構築およびその利用)
上記実施例1のBで得られたRhizopus oryzaeのリパーゼのプロ配列および成熟タンパク質配列(366アミノ酸のプロリパーゼ(ProROL))をコードする1098bpの遺伝子に対して、約3塩基の変異(ProROL1分子当たり1アミノ酸の変異導入)が含まれるように、Error−prone PCR法により、ランダムに変異導入を行って、種々の変異導入リパーゼ遺伝子を得た。上記実施例1のCの場合と同様に、得られた変異導入リパーゼ遺伝子を、それぞれFLO1の5’領域を有するプラスミドpWIFSに挿入し、pWIFSProROLライブラリーを得た。これらのプラスミドをそれぞれ、実施例3と同様に酵母YF207株に導入し、種々の変異を有するリパーゼを細胞表層に提示する713株からなる酵母のコンビナトリアルライブラリーを作製した。
得られた酵母コンビナトリアルライブラリーから、以下のようにして、エステル交換活性を有するクローンを選択した。713株のライブラリーを、SDプレート(0.67% Yeast nitrogen base w/o amino acids、0.5%グルコース、および2%寒天末)上で3日間培養した。次いで、このプレートに、オートクレーブ後に45℃に保たれた、蛍光色素を含む軟寒天SD培地(SD培地+2.5%大豆油、0.001%ローダミンB、50%メタノール、および0.8%寒天末)を重層した。1日後に、プレートに紫外線を照射し、菌体の周囲にオレンジ色の蛍光を発するクローンを選択することによって、メタノリシス反応の基質であるメタノールの存在下で生存するクローン(80クローン)を得た。
これらのクローンのリパーゼ活性について、上記実施例4の記載と同様に、メタノリシス反応によるエステル交換活性の初速度およびリパーゼキットS(大日本製薬製)による加水分解活性を測定した。これらのうち、変異が導入されていないリパーゼを発現している株(野生型株)と比べて、エステル交換活性および加水分解活性に変化が見られた株についての結果を、表1に示す。
Figure 0004340068
野生型株に対して、S334T株では、やや高いエステル交換活性が見られた。また、加水分解活性に対するエステル交換活性の相対値から、P2S/F293Y株が特異的に加水分解反応に、そしてK326R株がエステル交換反応に、それぞれ高い触媒能を示すことがわかった。これらの結果から、酵母細胞表層にコンビナトリアルライブラリーを作成し、目的に適した変異体をスクリーニングすることが可能であることがわかる。
産業上の利用可能性
本発明の細胞表層結合性タンパク質は、所望のタンパク質を細胞表層に発現し得る。この所望のタンパク質は、活性中心の位置に応じて、その反対側を糖鎖結合タンパク質ドメインと融合させることによって、十分な活性を呈することができるように発現可能である。したがって、特に、C末端側に活性を有するタンパク質を細胞表層に発現させる場合に、非常に有用である。また、糖鎖結合タンパク質ドメインの両端に同一または異なるタンパク質を結合して、効率よくより多くのタンパク質を発現させることが可能である。このような細胞表層での効率のよいタンパク質発現を利用して、細胞表層上に改変タンパク質のコンビナトリアルライブラリーを作成し、容易にスクリーニングすることもできる。
【配列表】
Figure 0004340068
Figure 0004340068

【図面の簡単な説明】
図1は、プラスミドpWIFSpmROLの作成の模式図である。
図2は、細胞表層にリパーゼを有する種々の酵母の増殖およびリパーゼ活性を示すグラフである。
図3は、short型FLO1リパーゼを発現する酵母MT8−1−shortおよびlong型FLO1リパーゼを発現する酵母MT8−1−longのメタノリシス反応活性を示すグラフである。

Claims (12)

  1. 糖鎖結合タンパク質ドメインを有し、該糖鎖結合タンパク質ドメインの少なくともN末端側またはC末端側に他のタンパク質が結合されており、そして該糖鎖結合タンパク質ドメインが、GPIアンカータンパク質の凝集機能ドメインを含むが該GPIアンカータンパク質のC末端部分に存在するGPIアンカー付着認識シグナル配列を含まない、酵母細胞表層結合性タンパク質。
  2. 前記GPIアンカータンパク質が、凝集タンパク質である、請求項に記載の細胞表層結合性タンパク質。
  3. 前記凝集タンパク質がFLOタンパク質である、請求項に記載の細胞表層結合性タンパク質。
  4. 前記他のタンパク質が、前記糖鎖結合タンパク質ドメインのN末端側に結合されている、請求項1からのいずれかの項に記載の細胞表層結合性タンパク質。
  5. 前記他のタンパク質が、前記糖鎖結合タンパク質ドメインのC末端側に結合されている、請求項1からのいずれかの項に記載の細胞表層結合性タンパク質。
  6. 前記糖鎖結合タンパク質ドメインのN末端側およびC末端側に、同一または異なる他のタンパク質が結合されている、請求項1からのいずれかの項に記載の細胞表層結合性タンパク質。
  7. 請求項1からのいずれかの項に記載の細胞表層結合性タンパク質をコードするDNA。
  8. 請求項に記載のDNAを含む、プラスミド。
  9. 請求項に記載のDNAまたは請求項に記載のプラスミドが導入され、前記他のタンパク質が細胞表層に発現される、酵母細胞。
  10. 前記他のタンパク質が酵素である、請求項に記載の細胞。
  11. 請求項9または10に記載の細胞の使用方法であって、前記他のタンパク質と基質とを接触させ、該基質を結合するか、または該基質を他の物質に変換させる、方法。
  12. 請求項10に記載の細胞を含む、酵素剤。
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