JP2003235579A - 凝集タンパク質Flo1を用いる細胞表層発現系の最適化 - Google Patents
凝集タンパク質Flo1を用いる細胞表層発現系の最適化Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 特定の物質(A)と反応し得るタンパク質
(B)を、該特定の物質(A)と該タンパク質(B)と
の反応性を最適にするように、酵母細胞表層に提示する
こと。 【解決手段】 該タンパク質(B)が凝集性タンパク質
Flo1との融合タンパク質として発現され、該融合タ
ンパク質は該Flo1のGPI付着シグナルペプチドを
有し、かつ該凝集性タンパク質Flo1のアミノ酸鎖長
が該特定の物質(A)との反応性を最適にするような長
さに設計されたDNAを酵母に導入する。
(B)を、該特定の物質(A)と該タンパク質(B)と
の反応性を最適にするように、酵母細胞表層に提示する
こと。 【解決手段】 該タンパク質(B)が凝集性タンパク質
Flo1との融合タンパク質として発現され、該融合タ
ンパク質は該Flo1のGPI付着シグナルペプチドを
有し、かつ該凝集性タンパク質Flo1のアミノ酸鎖長
が該特定の物質(A)との反応性を最適にするような長
さに設計されたDNAを酵母に導入する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の物質(A)
と反応し得るタンパク質(B)を酵母細胞表層に発現す
る方法に関し、詳細には、タンパク質(B)がFlo1
との融合タンパク質として細胞表層に発現され、かつF
lo1のアミノ酸鎖長を特定の物質(A)とタンパク質
(B)との反応性を最適にするような長さに設計された
DNAを、酵母に導入する工程を含む方法に関する。
と反応し得るタンパク質(B)を酵母細胞表層に発現す
る方法に関し、詳細には、タンパク質(B)がFlo1
との融合タンパク質として細胞表層に発現され、かつF
lo1のアミノ酸鎖長を特定の物質(A)とタンパク質
(B)との反応性を最適にするような長さに設計された
DNAを、酵母に導入する工程を含む方法に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞表層局在タンパク質は、細胞表層に
固定されて、細胞表層に存在するタンパク質である。例
えば、酵母の凝集タンパク質であるα−またはa−アグ
ルチニンが挙げられる。このようなタンパク質は、分泌
シグナル配列を有する点で分泌タンパク質と同様である
が、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)
アンカーを介して細胞膜に固定されて輸送される点で分
泌タンパク質とは異なる。一般に、細胞表層局在タンパ
ク質は、C末端側にGPIアンカリングドメインを有し
ている。細胞表層局在タンパク質は、細胞膜の通過の
際、そのドメインの一部(すなわち、GPIアンカー付
着認識シグナル配列)が選択的に切断され、新たに突出
したC末端部分と細胞膜上のGPIアンカーとが結合
し、細胞膜に固定される。次いで、ホスファチジルイノ
シトール依存性ホスホリパーゼC(PI-PLC)によってG
PIアンカーの根元部が切断される。そして、細胞膜か
ら切り離されたタンパク質は細胞壁に組み込まれて細胞
表層に固定され、細胞表層に局在する。ここで、GPI
アンカーとは、GPIと呼ばれるエタノールアミンリン
酸-6マンノースα1-2マンノースα1-6マンノースα1-4
グルコサミンα1-6イノシトールリン脂質を基本構造と
する糖脂質をいう。
固定されて、細胞表層に存在するタンパク質である。例
えば、酵母の凝集タンパク質であるα−またはa−アグ
ルチニンが挙げられる。このようなタンパク質は、分泌
シグナル配列を有する点で分泌タンパク質と同様である
が、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)
アンカーを介して細胞膜に固定されて輸送される点で分
泌タンパク質とは異なる。一般に、細胞表層局在タンパ
ク質は、C末端側にGPIアンカリングドメインを有し
ている。細胞表層局在タンパク質は、細胞膜の通過の
際、そのドメインの一部(すなわち、GPIアンカー付
着認識シグナル配列)が選択的に切断され、新たに突出
したC末端部分と細胞膜上のGPIアンカーとが結合
し、細胞膜に固定される。次いで、ホスファチジルイノ
シトール依存性ホスホリパーゼC(PI-PLC)によってG
PIアンカーの根元部が切断される。そして、細胞膜か
ら切り離されたタンパク質は細胞壁に組み込まれて細胞
表層に固定され、細胞表層に局在する。ここで、GPI
アンカーとは、GPIと呼ばれるエタノールアミンリン
酸-6マンノースα1-2マンノースα1-6マンノースα1-4
グルコサミンα1-6イノシトールリン脂質を基本構造と
する糖脂質をいう。
【0003】GPIアンカリングドメインは、通常、細
胞表層局在タンパク質のC末端あるいはその近傍に位置
する。例えば、α−アグルチニンのC末端から320ア
ミノ酸の配列をコードする配列には、GPIアンカー付
着認識シグナル配列の他に、4個所の糖鎖結合部位があ
る。GPIアンカーがPI-PLCで切断された後に、これら
の糖鎖と細胞壁を構成する多糖類とが共有結合すること
によって、α−アグルチニンのC末端配列部分が細胞壁
と結合し、α−アグルチニンは細胞表層に保持される。
胞表層局在タンパク質のC末端あるいはその近傍に位置
する。例えば、α−アグルチニンのC末端から320ア
ミノ酸の配列をコードする配列には、GPIアンカー付
着認識シグナル配列の他に、4個所の糖鎖結合部位があ
る。GPIアンカーがPI-PLCで切断された後に、これら
の糖鎖と細胞壁を構成する多糖類とが共有結合すること
によって、α−アグルチニンのC末端配列部分が細胞壁
と結合し、α−アグルチニンは細胞表層に保持される。
【0004】このようなGPIアンカリングドメインを
利用して、発明者らは、リパーゼを細胞表層に発現させ
ることに成功している(特開平11−290078号公
報)。すなわち、GPIアンカリングドメインをコード
するDNAの上流にリパーゼの構造遺伝子を配置し、さ
らに上流に分泌シグナル配列を配置して、N末端側が細
胞の外側になるように細胞表層にリパーゼを発現した。
利用して、発明者らは、リパーゼを細胞表層に発現させ
ることに成功している(特開平11−290078号公
報)。すなわち、GPIアンカリングドメインをコード
するDNAの上流にリパーゼの構造遺伝子を配置し、さ
らに上流に分泌シグナル配列を配置して、N末端側が細
胞の外側になるように細胞表層にリパーゼを発現した。
【0005】このようにして発現させたリパーゼは、C
末端側に活性中心があるため、活性中心が細胞表層に近
すぎて立体障害が起こり、十分な活性を示すことができ
ない場合がある。そこで、GPIアンカータンパク質で
あるアグルチニンのC末端側の配列とリパーゼとの間に
数個〜十数個のアミノ酸からなるリンカーを挿入した結
果、リパーゼ活性を上昇させることに成功している(M.
Washidaら、Appl. Microbiol. Biotechnol., 56:681-6
86 (2001))。
末端側に活性中心があるため、活性中心が細胞表層に近
すぎて立体障害が起こり、十分な活性を示すことができ
ない場合がある。そこで、GPIアンカータンパク質で
あるアグルチニンのC末端側の配列とリパーゼとの間に
数個〜十数個のアミノ酸からなるリンカーを挿入した結
果、リパーゼ活性を上昇させることに成功している(M.
Washidaら、Appl. Microbiol. Biotechnol., 56:681-6
86 (2001))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このことから、細胞表
層に発現させたタンパク質と反応し得る物質が高分子量
物質である場合、より高い反応性を示すためには、さら
に長いリンカーを挿入することが有効であると考えられ
る。しかし、何らかの配列を挿入したとしても、実際に
発現し得るか否か、発現後安定しているか、活性を十分
に発現できるかなど、種々の問題がある。さらに、数百
個のアミノ酸レベルのリンカーを合成的に挿入すること
は、現実的に不可能である。
層に発現させたタンパク質と反応し得る物質が高分子量
物質である場合、より高い反応性を示すためには、さら
に長いリンカーを挿入することが有効であると考えられ
る。しかし、何らかの配列を挿入したとしても、実際に
発現し得るか否か、発現後安定しているか、活性を十分
に発現できるかなど、種々の問題がある。さらに、数百
個のアミノ酸レベルのリンカーを合成的に挿入すること
は、現実的に不可能である。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、タンパク質を細
胞表層に発現する方法を種々検討したところ、凝集タン
パク質Flo1をGPIアンカータンパク質として用い
ることによって、リンカーとしての種々の鎖長のFlo
1を介してタンパク質を酵母細胞表層に安定に発現し得
ることを見出し、本発明を完成させた。
胞表層に発現する方法を種々検討したところ、凝集タン
パク質Flo1をGPIアンカータンパク質として用い
ることによって、リンカーとしての種々の鎖長のFlo
1を介してタンパク質を酵母細胞表層に安定に発現し得
ることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】本発明は、特定の物質(A)と反応し得る
タンパク質(B)を、該特定の物質(A)と該タンパク
質(B)との反応性を最適にするように、酵母細胞表層
に提示する方法を提供し、この方法は、該タンパク質
(B)が凝集性タンパク質Flo1との融合タンパク質
として発現され、該融合タンパク質が該Flo1のGP
I付着シグナルペプチドを有し、かつ該凝集性タンパク
質Flo1のアミノ酸鎖長が該特定の物質(A)との反
応性を最適にするような長さに設計されたDNAを、酵
母に導入する工程を含む。
タンパク質(B)を、該特定の物質(A)と該タンパク
質(B)との反応性を最適にするように、酵母細胞表層
に提示する方法を提供し、この方法は、該タンパク質
(B)が凝集性タンパク質Flo1との融合タンパク質
として発現され、該融合タンパク質が該Flo1のGP
I付着シグナルペプチドを有し、かつ該凝集性タンパク
質Flo1のアミノ酸鎖長が該特定の物質(A)との反
応性を最適にするような長さに設計されたDNAを、酵
母に導入する工程を含む。
【0009】好適な実施態様では、上記特定の物質
(A)は高分子量物質であり、そして前記凝集性タンパ
ク質Flo1のアミノ酸鎖長は350アミノ酸長以上に
設計される。
(A)は高分子量物質であり、そして前記凝集性タンパ
ク質Flo1のアミノ酸鎖長は350アミノ酸長以上に
設計される。
【0010】より好適な実施態様では、上記高分子量物
質は、抗体または酵素である。
質は、抗体または酵素である。
【0011】別の好適な実施態様では、上記特定の物質
(A)は低分子量物質であり、そして前記凝集性タンパ
ク質Flo1のアミノ酸鎖長は100〜300アミノ酸
長に設計される。
(A)は低分子量物質であり、そして前記凝集性タンパ
ク質Flo1のアミノ酸鎖長は100〜300アミノ酸
長に設計される。
【0012】好適な実施態様では、上記タンパク質
(B)は、抗体結合性タンパク質または酵素である。
(B)は、抗体結合性タンパク質または酵素である。
【0013】本発明はまた、特定の物質(A)と反応し
得るタンパク質(B)を、該特定の物質(A)と該タン
パク質(B)との反応性を最適にするように、酵母細胞
表層に提示するためのDNAを提供し、このDNAは、
該タンパク質(B)が凝集性タンパク質Flo1との融
合タンパク質として発現され、該融合タンパク質が、該
Flo1のGPI付着シグナルペプチドを有し、そして
該凝集性タンパク質Flo1のアミノ酸鎖長が該特定の
物質(A)との反応性を最適にするような長さに設計さ
れている。
得るタンパク質(B)を、該特定の物質(A)と該タン
パク質(B)との反応性を最適にするように、酵母細胞
表層に提示するためのDNAを提供し、このDNAは、
該タンパク質(B)が凝集性タンパク質Flo1との融
合タンパク質として発現され、該融合タンパク質が、該
Flo1のGPI付着シグナルペプチドを有し、そして
該凝集性タンパク質Flo1のアミノ酸鎖長が該特定の
物質(A)との反応性を最適にするような長さに設計さ
れている。
【0014】本発明はまた、上記のDNAが導入され、
そして特定の物質(A)と反応し得るタンパク質(B)
を、該特定の物質(A)と該タンパク質(B)との反応
性を最適にするように、細胞表層に提示する酵母を提供
する。
そして特定の物質(A)と反応し得るタンパク質(B)
を、該特定の物質(A)と該タンパク質(B)との反応
性を最適にするように、細胞表層に提示する酵母を提供
する。
【0015】本発明はさらに、上記のタンパク質(B)
を細胞表層に提示する酵母の使用方法を提供し、この方
法は、該酵母と特定の物質(A)とを接触させ、該特定
の物質(A)を該タンパク質(B)と結合させるか、ま
たは該特定の物質(A)を他の物質に変換させる工程を
含む。
を細胞表層に提示する酵母の使用方法を提供し、この方
法は、該酵母と特定の物質(A)とを接触させ、該特定
の物質(A)を該タンパク質(B)と結合させるか、ま
たは該特定の物質(A)を他の物質に変換させる工程を
含む。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において、GPIアンカー
タンパク質とは、一般に、細胞表層局在タンパク質であ
って、細胞膜上に存在するGPIアンカーを介して細胞
膜に結合し得るタンパク質をいう。GPIアンカータン
パク質は、N末端に分泌シグナル配列およびC末端にG
PIアンカリングドメインを有する。GPIアンカータ
ンパク質としては、酵母の凝集タンパク質(α−アグル
チニン、a−アグルチニン、Floタンパク質)、アル
カリホスファターゼなどが挙げられる。本発明において
は、α−アグルチニンなどの他の凝集タンパク質と比較
的してより直鎖状のコンホメーションを有するFlo1
が用いられる。
タンパク質とは、一般に、細胞表層局在タンパク質であ
って、細胞膜上に存在するGPIアンカーを介して細胞
膜に結合し得るタンパク質をいう。GPIアンカータン
パク質は、N末端に分泌シグナル配列およびC末端にG
PIアンカリングドメインを有する。GPIアンカータ
ンパク質としては、酵母の凝集タンパク質(α−アグル
チニン、a−アグルチニン、Floタンパク質)、アル
カリホスファターゼなどが挙げられる。本発明において
は、α−アグルチニンなどの他の凝集タンパク質と比較
的してより直鎖状のコンホメーションを有するFlo1
が用いられる。
【0017】本発明において、GPIアンカリングドメ
インとは、細胞壁アンカリングドメインおよびGPIア
ンカー付着認識シグナル配列をいう。Flo1タンパク
質においては、C末端およびその近傍に位置する。
インとは、細胞壁アンカリングドメインおよびGPIア
ンカー付着認識シグナル配列をいう。Flo1タンパク
質においては、C末端およびその近傍に位置する。
【0018】GPIアンカリングドメインのうち、GP
Iアンカー付着認識シグナル配列は、細胞膜上のGPI
アンカーを認識する部分である。C末端のGPIアンカ
ー付着認識シグナル配列の切断後、GPIアンカーと新
たに突出したC末端とが結合する。次いで、結合したG
PIアンカーの根元部がPI-PLCによって切断され、その
ためタンパク質は、細胞膜を離れて細胞壁に組み込まれ
る。ここでは、細胞壁アンカリングドメインに存在する
糖鎖が、細胞壁中の糖鎖と結合し、タンパク質は細胞表
層に固定される。
Iアンカー付着認識シグナル配列は、細胞膜上のGPI
アンカーを認識する部分である。C末端のGPIアンカ
ー付着認識シグナル配列の切断後、GPIアンカーと新
たに突出したC末端とが結合する。次いで、結合したG
PIアンカーの根元部がPI-PLCによって切断され、その
ためタンパク質は、細胞膜を離れて細胞壁に組み込まれ
る。ここでは、細胞壁アンカリングドメインに存在する
糖鎖が、細胞壁中の糖鎖と結合し、タンパク質は細胞表
層に固定される。
【0019】本発明の方法は、特定の物質(A)と反応
し得るタンパク質(B)を、凝集タンパク質Flo1と
の融合タンパク質として酵母細胞表層に発現する方法で
あり、該Flo1のアミノ酸鎖長を、特定の物質(A)
と該タンパク質(B)との反応性を最適にするような長
さに設計されたDNAを酵母に導入する工程を含む。タ
ンパク質(B)は、任意の長さのFlo1のN末端側に
結合した融合タンパク質として、酵母細胞表層に発現さ
れる。ここで、任意の長さの凝集タンパク質Flo1
は、GPI付着シグナル配列を含む。なお、本発明にお
いて、融合タンパク質配列中のFlo1由来部分のアミ
ノ酸配列を、アンカー鎖ということがある。アンカー鎖
は、単にGPIアンカーを介する細胞壁との連結のみで
はなく、リンカーとしての役割も果たし得る。
し得るタンパク質(B)を、凝集タンパク質Flo1と
の融合タンパク質として酵母細胞表層に発現する方法で
あり、該Flo1のアミノ酸鎖長を、特定の物質(A)
と該タンパク質(B)との反応性を最適にするような長
さに設計されたDNAを酵母に導入する工程を含む。タ
ンパク質(B)は、任意の長さのFlo1のN末端側に
結合した融合タンパク質として、酵母細胞表層に発現さ
れる。ここで、任意の長さの凝集タンパク質Flo1
は、GPI付着シグナル配列を含む。なお、本発明にお
いて、融合タンパク質配列中のFlo1由来部分のアミ
ノ酸配列を、アンカー鎖ということがある。アンカー鎖
は、単にGPIアンカーを介する細胞壁との連結のみで
はなく、リンカーとしての役割も果たし得る。
【0020】本発明において、特定の物質(A)とタン
パク質(B)との「反応」とは、特定の物質(A)とタ
ンパク質(B)とが結合すること、あるいはタンパク質
(B)が特定の物質(A)を他の物質に変換させること
をいう。前者の例としては、特定の物質(A)が抗体で
あり、タンパク質(B)が抗体結合性タンパク質である
場合が挙げられる。後者としては、特定の物質(A)が
デンプンでありタンパク質(B)がアミラーゼ類である
場合、特定の物質(A)が油脂でありタンパク質(B)
がリパーゼである場合などが挙げられる。
パク質(B)との「反応」とは、特定の物質(A)とタ
ンパク質(B)とが結合すること、あるいはタンパク質
(B)が特定の物質(A)を他の物質に変換させること
をいう。前者の例としては、特定の物質(A)が抗体で
あり、タンパク質(B)が抗体結合性タンパク質である
場合が挙げられる。後者としては、特定の物質(A)が
デンプンでありタンパク質(B)がアミラーゼ類である
場合、特定の物質(A)が油脂でありタンパク質(B)
がリパーゼである場合などが挙げられる。
【0021】Flo1のアミノ酸鎖長を特定の物質
(A)とタンパク質(B)との反応性を最適にするよう
な長さに設計するとは、特定の物質(A)が、高分子量
物質である場合には、アミノ酸鎖長が比較的長くなるよ
うに設計し、低分子量物質である場合には、比較的短く
なるように設計することを意味する。
(A)とタンパク質(B)との反応性を最適にするよう
な長さに設計するとは、特定の物質(A)が、高分子量
物質である場合には、アミノ酸鎖長が比較的長くなるよ
うに設計し、低分子量物質である場合には、比較的短く
なるように設計することを意味する。
【0022】高分子量物質とは、分子量が1万程度以上
の分子をいい、例えば、デンプン、セルロースなどの多
糖類;抗体、酵素などのタンパク質;天然または合成ポ
リマーなどが挙げられる。
の分子をいい、例えば、デンプン、セルロースなどの多
糖類;抗体、酵素などのタンパク質;天然または合成ポ
リマーなどが挙げられる。
【0023】低分子量物質とは、上記高分子量物質に分
類されない化合物をいい、例えば、オリゴ糖などの糖
類;油脂;抗体、酵素などのタンパク質のフラグメン
ト;ホルモン、神経伝達物質などの生理活性物質(生理
活性ペプチドも含む)などが挙げられる。
類されない化合物をいい、例えば、オリゴ糖などの糖
類;油脂;抗体、酵素などのタンパク質のフラグメン
ト;ホルモン、神経伝達物質などの生理活性物質(生理
活性ペプチドも含む)などが挙げられる。
【0024】特定の物質(A)が高分子量物質である場
合に「比較的長くなるように設計する」とは、Flo1
のアミノ酸鎖長を、酵母細胞表層に発現している近隣の
タンパク質または細胞表層自体による立体障害を受ける
ことなく、タンパク質(B)の反応部位(結合部位また
は活性部位)に到達することができる程度の長さにする
ことである。大きなタンパク質を発現させる場合は、一
般的に、タンパク質の発現数が減少し、その安定性も減
少する傾向がある。しかし、比較的長いアンカー鎖を有
するタンパク質(B)は、酵母細胞表層に発現した近隣
のタンパク質または細胞表層自体による立体障害を受け
にくいため、特定の物質(A)と接触しやすくなる。そ
のため、発現したタンパク質(B)1分子当たりの活性
は上昇し得る。好ましくは、Flo1のアミノ酸鎖長
は、約350アミノ酸長以上であり得る。
合に「比較的長くなるように設計する」とは、Flo1
のアミノ酸鎖長を、酵母細胞表層に発現している近隣の
タンパク質または細胞表層自体による立体障害を受ける
ことなく、タンパク質(B)の反応部位(結合部位また
は活性部位)に到達することができる程度の長さにする
ことである。大きなタンパク質を発現させる場合は、一
般的に、タンパク質の発現数が減少し、その安定性も減
少する傾向がある。しかし、比較的長いアンカー鎖を有
するタンパク質(B)は、酵母細胞表層に発現した近隣
のタンパク質または細胞表層自体による立体障害を受け
にくいため、特定の物質(A)と接触しやすくなる。そ
のため、発現したタンパク質(B)1分子当たりの活性
は上昇し得る。好ましくは、Flo1のアミノ酸鎖長
は、約350アミノ酸長以上であり得る。
【0025】逆に、特定の物質(A)が低分子量物質で
ある場合は、近隣のタンパク質による立体障害を受ける
おそれが少ないので、Flo1のアミノ酸鎖長は「比較
的短く設計」され得る。上述のように、アンカー鎖が長
くなると、発現数、発現安定性などが悪くなる傾向があ
るため、アンカー鎖は必要最小限の長さであることが好
ましい。そのため、アンカー鎖の鎖長は、タンパク質
(B)の反応部位(結合部位または活性部位)が細胞壁
から細胞外部に露出し、十分に機能し得る程度の適切な
長さにする。好ましくは、アンカー鎖の鎖長は、約10
0〜約300アミノ酸長に設計され得る。さらに、タン
パク質(B)を細胞壁中に埋もれさせることによって、
該タンパク質に対する、抗体などの高分子体からの攻撃
を防ぐこともできる。
ある場合は、近隣のタンパク質による立体障害を受ける
おそれが少ないので、Flo1のアミノ酸鎖長は「比較
的短く設計」され得る。上述のように、アンカー鎖が長
くなると、発現数、発現安定性などが悪くなる傾向があ
るため、アンカー鎖は必要最小限の長さであることが好
ましい。そのため、アンカー鎖の鎖長は、タンパク質
(B)の反応部位(結合部位または活性部位)が細胞壁
から細胞外部に露出し、十分に機能し得る程度の適切な
長さにする。好ましくは、アンカー鎖の鎖長は、約10
0〜約300アミノ酸長に設計され得る。さらに、タン
パク質(B)を細胞壁中に埋もれさせることによって、
該タンパク質に対する、抗体などの高分子体からの攻撃
を防ぐこともできる。
【0026】本発明において、タンパク質(B)は、ど
のようなタンパク質であってもよく、好ましくは、リパ
ーゼ、アミラーゼ類、セルラーゼ類などの酵素;抗体結
合性タンパク質などが好適に発現され得る。
のようなタンパク質であってもよく、好ましくは、リパ
ーゼ、アミラーゼ類、セルラーゼ類などの酵素;抗体結
合性タンパク質などが好適に発現され得る。
【0027】本発明において、抗体結合性タンパク質と
は、抗体によって抗原として認識されたタンパク質をい
うのではなく、抗体の抗原認識部位以外の部分(例え
ば、Fc部分)と結合可能なタンパク質をいう。細胞表
層に発現した場合に、抗体の抗原認識部位とは異なる部
位と結合し得るタンパク質であれば、その構造は特に限
定されない。このようなタンパク質としては、例えば、
ZZタンパク質、プロテインA、プロテインGおよびそ
れらの誘導体、Fcに対する抗体フラグメントなどが挙
げられる。
は、抗体によって抗原として認識されたタンパク質をい
うのではなく、抗体の抗原認識部位以外の部分(例え
ば、Fc部分)と結合可能なタンパク質をいう。細胞表
層に発現した場合に、抗体の抗原認識部位とは異なる部
位と結合し得るタンパク質であれば、その構造は特に限
定されない。このようなタンパク質としては、例えば、
ZZタンパク質、プロテインA、プロテインGおよびそ
れらの誘導体、Fcに対する抗体フラグメントなどが挙
げられる。
【0028】例えば、タンパク質(B)がグルコアミラ
ーゼであり、特定の物質(A)が高分子量物質のデンプ
ンである場合には、アンカー鎖を比較的長くするように
設計し、特定の物質(A)が低分子量物質のマルトトリ
オースである場合には、アンカー鎖を比較的短くするよ
うに設計することが好ましい。このように、アンカー鎖
の鎖長を、特定の物質(A)とタンパク質(B)との反
応性を最適にするように設計することによって、より活
性の高いタンパク質を酵母細胞表層に発現させることが
できる。
ーゼであり、特定の物質(A)が高分子量物質のデンプ
ンである場合には、アンカー鎖を比較的長くするように
設計し、特定の物質(A)が低分子量物質のマルトトリ
オースである場合には、アンカー鎖を比較的短くするよ
うに設計することが好ましい。このように、アンカー鎖
の鎖長を、特定の物質(A)とタンパク質(B)との反
応性を最適にするように設計することによって、より活
性の高いタンパク質を酵母細胞表層に発現させることが
できる。
【0029】タンパク質(B)を確実に細胞表層に発現
させるために、融合タンパク質の最もN末端側には、分
泌シグナル配列が結合されている。分泌シグナル配列
は、一般に細胞外(ペリプラズムも含む)に分泌される
タンパク質(分泌性タンパク質)のN末端に結合してい
る、疎水性に富んだアミノ酸を多く含むアミノ酸配列で
ある。これは、通常、分泌性タンパク質が細胞内から細
胞膜を通過して細胞外へ分泌される際に除去される。
させるために、融合タンパク質の最もN末端側には、分
泌シグナル配列が結合されている。分泌シグナル配列
は、一般に細胞外(ペリプラズムも含む)に分泌される
タンパク質(分泌性タンパク質)のN末端に結合してい
る、疎水性に富んだアミノ酸を多く含むアミノ酸配列で
ある。これは、通常、分泌性タンパク質が細胞内から細
胞膜を通過して細胞外へ分泌される際に除去される。
【0030】本発明においては、発現した融合タンパク
質を細胞膜へ導くことができる分泌シグナル配列であれ
ば、どのような分泌シグナル配列でも用いられ得、起源
は問わない。例えば、分泌シグナル配列としては、α−
因子のプレプロ配列、グルコアミラーゼの分泌シグナル
配列、酵母のα−またはa−アグルチニンのシグナル配
列、リパーゼの分泌シグナル配列などが好適に用いられ
る。タンパク質(B)の活性に影響を及ぼさなければ、
分泌シグナル配列およびプロ配列の一部または全部がN
末端に残ってもよい。
質を細胞膜へ導くことができる分泌シグナル配列であれ
ば、どのような分泌シグナル配列でも用いられ得、起源
は問わない。例えば、分泌シグナル配列としては、α−
因子のプレプロ配列、グルコアミラーゼの分泌シグナル
配列、酵母のα−またはa−アグルチニンのシグナル配
列、リパーゼの分泌シグナル配列などが好適に用いられ
る。タンパク質(B)の活性に影響を及ぼさなければ、
分泌シグナル配列およびプロ配列の一部または全部がN
末端に残ってもよい。
【0031】本発明のDNAは、特定の物質(A)と反
応し得るタンパク質(B)を、特定の物質(A)とタン
パク質(B)との反応性を最適にするように、細胞表層
に提示するためのDNAである。本発明の酵母は、この
DNAを導入して形質転換された細胞である。導入され
るDNAは、少なくとも、GPI付着シグナルペプチド
を含むFlo1タンパク質の一部、およびタンパク質
(B)をコードする配列を含む。さらに、分泌シグナル
配列を含んでいる。
応し得るタンパク質(B)を、特定の物質(A)とタン
パク質(B)との反応性を最適にするように、細胞表層
に提示するためのDNAである。本発明の酵母は、この
DNAを導入して形質転換された細胞である。導入され
るDNAは、少なくとも、GPI付着シグナルペプチド
を含むFlo1タンパク質の一部、およびタンパク質
(B)をコードする配列を含む。さらに、分泌シグナル
配列を含んでいる。
【0032】上記の各種配列を含むDNAの合成および
結合は、当業者が通常用い得る技術で行われ得る。
結合は、当業者が通常用い得る技術で行われ得る。
【0033】上記DNAはプラスミドの形態であること
が望ましい。DNAの取得の簡易化の点からは、大腸菌
とのシャトルベクターであることが好ましい。このDN
Aの出発材料は、例えば、酵母の2μmプラスミドの複
製起点(Ori)とColE1の複製起点とを有しており、ま
た、酵母選択マーカー(例えば、薬剤耐性遺伝子、TRP
1、LEU2など)および大腸菌の選択マーカー(薬剤耐性
遺伝子など)を有することがさらに好ましい。また、タ
ンパク質の構造遺伝子を発現させるために、この遺伝子
の発現を調節するオペレーター、プロモーター、ターミ
ネーター、エンハンサーなどのいわゆる調節配列をも含
んでいることが望ましい。例えば、GAPDH(グリセルア
ルデヒド3’-リン酸デヒドロゲナーゼ)プロモーター
およびGAPDHターミネーターが挙げられる。このような
出発材料のプラスミドの例としては、UPR-ICL(イソク
エン酸リアーゼ上流領域)配列とterm-ICL(イソクエン
酸リアーゼのターミネーター領域)配列とを含むプラス
ミドpWI3などが挙げられる。
が望ましい。DNAの取得の簡易化の点からは、大腸菌
とのシャトルベクターであることが好ましい。このDN
Aの出発材料は、例えば、酵母の2μmプラスミドの複
製起点(Ori)とColE1の複製起点とを有しており、ま
た、酵母選択マーカー(例えば、薬剤耐性遺伝子、TRP
1、LEU2など)および大腸菌の選択マーカー(薬剤耐性
遺伝子など)を有することがさらに好ましい。また、タ
ンパク質の構造遺伝子を発現させるために、この遺伝子
の発現を調節するオペレーター、プロモーター、ターミ
ネーター、エンハンサーなどのいわゆる調節配列をも含
んでいることが望ましい。例えば、GAPDH(グリセルア
ルデヒド3’-リン酸デヒドロゲナーゼ)プロモーター
およびGAPDHターミネーターが挙げられる。このような
出発材料のプラスミドの例としては、UPR-ICL(イソク
エン酸リアーゼ上流領域)配列とterm-ICL(イソクエン
酸リアーゼのターミネーター領域)配列とを含むプラス
ミドpWI3などが挙げられる。
【0034】好適には、プラスミドpWI3のUPR-ICLの配
列とterm-ICLの配列との間に、シグナル配列、タンパク
質(B)およびFlo1の一部をコードするDNAを挿
入すれば、酵母に導入するために使用されるプラスミド
が製造される。本発明においては、好適には、例えば、
グルコアミラーゼ遺伝子を挿入したpIF102GLA、pIF318G
LAが用いられる。
列とterm-ICLの配列との間に、シグナル配列、タンパク
質(B)およびFlo1の一部をコードするDNAを挿
入すれば、酵母に導入するために使用されるプラスミド
が製造される。本発明においては、好適には、例えば、
グルコアミラーゼ遺伝子を挿入したpIF102GLA、pIF318G
LAが用いられる。
【0035】宿主の酵母としては、どのような酵母を用
いてもよい。非凝集性の酵母としては、好ましくは、Sa
ccharomyces cerevisiae MT8-1が用いられる。反応後の
分離が簡単である点で、あるいは簡単に固定できるため
連続反応を行い得る点で、凝集性の酵母の使用も可能で
ある。
いてもよい。非凝集性の酵母としては、好ましくは、Sa
ccharomyces cerevisiae MT8-1が用いられる。反応後の
分離が簡単である点で、あるいは簡単に固定できるため
連続反応を行い得る点で、凝集性の酵母の使用も可能で
ある。
【0036】凝集性の酵母としては、Saccharomyces di
astaticus ATCC60715、同ATCC60712、Saccharomyces ce
revisiae IFO1953、同CG1945、同HF7Cなどが挙げられ
る。また、新たな凝集性酵母を構築してもよい。例え
ば、M.D. Roseら(Methods in Yeast Genetics, 1990,
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring H
arbor, NY)の方法に従って、凝集性酵母ATCC60712と非
凝集性酵母W303-1Bとの接合による二倍体から、凝集性
酵母YF207およびこれと同等の性質を有する酵母を
得ることができる。本発明者らが取得した凝集性酵母Y
F207株は、プラスミドの安定性に優れ、さらに発酵
能が非常に高い。したがって、タンパク質(B)、例え
ば、α−アミラーゼまたはグルコアミラーゼを細胞表層
に発現するように組換えられた凝集性酵母YF207株
を用いた場合は、デンプンからのアルコール発酵の効率
は非常に高くなる。
astaticus ATCC60715、同ATCC60712、Saccharomyces ce
revisiae IFO1953、同CG1945、同HF7Cなどが挙げられ
る。また、新たな凝集性酵母を構築してもよい。例え
ば、M.D. Roseら(Methods in Yeast Genetics, 1990,
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring H
arbor, NY)の方法に従って、凝集性酵母ATCC60712と非
凝集性酵母W303-1Bとの接合による二倍体から、凝集性
酵母YF207およびこれと同等の性質を有する酵母を
得ることができる。本発明者らが取得した凝集性酵母Y
F207株は、プラスミドの安定性に優れ、さらに発酵
能が非常に高い。したがって、タンパク質(B)、例え
ば、α−アミラーゼまたはグルコアミラーゼを細胞表層
に発現するように組換えられた凝集性酵母YF207株
を用いた場合は、デンプンからのアルコール発酵の効率
は非常に高くなる。
【0037】本発明の方法で用いられる酵母細胞は、上
記DNAを細胞に導入することにより得られる。DNA
の導入とは、細胞の中にDNAを導入し、発現させるこ
とを意味する。DNAの導入の方法には、形質転換、形
質導入、トランスフェクション、コトランスフェクショ
ン、エレクトロポレーションなどの方法があり、具体的
には、酢酸リチウムを用いる方法、プロトプラスト法な
どがある。
記DNAを細胞に導入することにより得られる。DNA
の導入とは、細胞の中にDNAを導入し、発現させるこ
とを意味する。DNAの導入の方法には、形質転換、形
質導入、トランスフェクション、コトランスフェクショ
ン、エレクトロポレーションなどの方法があり、具体的
には、酢酸リチウムを用いる方法、プロトプラスト法な
どがある。
【0038】導入されるDNAは、プラスミドの形態
で、あるいは宿主の遺伝子に挿入して、または宿主の遺
伝子と相同組換えを起こして染色体に取り込まれてもよ
い。
で、あるいは宿主の遺伝子に挿入して、または宿主の遺
伝子と相同組換えを起こして染色体に取り込まれてもよ
い。
【0039】DNAが導入された細胞は、選択マーカー
(例えばTRP)で選択され、発現されたタンパク質の活
性を測定することにより選択される。タンパク質が細胞
表層に固定されていることは、例えば、抗タンパク質抗
体とFITC標識抗IgG抗体とを用いる免疫抗体法によって
確認し得る。
(例えばTRP)で選択され、発現されたタンパク質の活
性を測定することにより選択される。タンパク質が細胞
表層に固定されていることは、例えば、抗タンパク質抗
体とFITC標識抗IgG抗体とを用いる免疫抗体法によって
確認し得る。
【0040】本発明で用いられる酵母細胞は、担体に固
定化されていてもよい。例えば、固定されていると、繰
り返し回分発酵または連続発酵における使用に便利であ
る。
定化されていてもよい。例えば、固定されていると、繰
り返し回分発酵または連続発酵における使用に便利であ
る。
【0041】本明細書において、担体とは、細胞を固定
化することができる物質を意味し、好ましくは、水また
はある特定の溶媒に対して不溶性の物質である。本発明
に用い得る担体の材質としては、例えば、ポリビニルア
ルコール、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォー
ム、ポリアクリルアミド、ポリビニルフォルマール樹脂
多孔質体、シリコンフォーム、セルロース多孔質体など
の発泡体あるいは樹脂が好ましい。細胞の増殖および活
性が低下したあるいは死滅した細胞の脱離などを考慮す
ると、多孔質の担体が好ましい。多孔質体の開口部の大
きさは細胞によっても異なるが、細胞が十分に入り込め
て、増殖できる大きさが適当であり、50μm〜1,0
00μmが好適であるが、これに限定されない。
化することができる物質を意味し、好ましくは、水また
はある特定の溶媒に対して不溶性の物質である。本発明
に用い得る担体の材質としては、例えば、ポリビニルア
ルコール、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォー
ム、ポリアクリルアミド、ポリビニルフォルマール樹脂
多孔質体、シリコンフォーム、セルロース多孔質体など
の発泡体あるいは樹脂が好ましい。細胞の増殖および活
性が低下したあるいは死滅した細胞の脱離などを考慮す
ると、多孔質の担体が好ましい。多孔質体の開口部の大
きさは細胞によっても異なるが、細胞が十分に入り込め
て、増殖できる大きさが適当であり、50μm〜1,0
00μmが好適であるが、これに限定されない。
【0042】また、担体の形状は問わない。担体の強
度、培養効率などを考慮すると、球状あるいは立方体状
であり、大きさは、球状の場合、直径が2mm〜50m
m、立方体状の場合、2mm〜50mm角が好ましい。
度、培養効率などを考慮すると、球状あるいは立方体状
であり、大きさは、球状の場合、直径が2mm〜50m
m、立方体状の場合、2mm〜50mm角が好ましい。
【0043】本明細書において、細胞の固定化とは、細
胞が遊離の状態ではない状態を意味し、例えば、細胞が
担体に結合あるいは付着または担体内部に取り込まれた
状態などをいう。細胞の固定化には、例えば、担体結合
法、架橋法および包括法などの当業者が通常用いる方法
が適用できる。なかでも、凝集性の酵母の固定化には、
担体結合法が最適である。担体結合法には、イオン交換
性の樹脂に吸着させる化学的吸着法あるいは物理的吸着
法が含まれる。
胞が遊離の状態ではない状態を意味し、例えば、細胞が
担体に結合あるいは付着または担体内部に取り込まれた
状態などをいう。細胞の固定化には、例えば、担体結合
法、架橋法および包括法などの当業者が通常用いる方法
が適用できる。なかでも、凝集性の酵母の固定化には、
担体結合法が最適である。担体結合法には、イオン交換
性の樹脂に吸着させる化学的吸着法あるいは物理的吸着
法が含まれる。
【0044】上記のようにして得られた本発明の酵母
は、酵母細胞表層に発現したタンパク質(B)を特定の
物質(A)と接触させ、この特定の物質(A)を結合す
るか、またはこの特定の物質(A)を他の物質に変換さ
せる目的で使用され得る。例えば、タンパク質(B)が
酵素である場合、酵素を発現する細胞を含む酵素剤とし
て、提供されてもよい。具体的には、酵素剤としては、
本発明の酵母および酵母を維持し得る培地を含む懸濁
液、および本発明の酵母が凍結保存あるいは凍結乾燥、
さらには低温乾燥されたものが挙げられる。また、長い
アンカー鎖を用いる場合、特定の物質(A)が外部から
接近しやすい点を利用して、アンカー鎖の先にタンパク
質(B)として種々のペプチドを発現させてペプチドラ
イブラリーを作成することもできる。例えば、このよう
なペプチドライブラリーを利用して、Srcなどのガン遺
伝子と相互作用するペプチドを選択することも可能であ
る。
は、酵母細胞表層に発現したタンパク質(B)を特定の
物質(A)と接触させ、この特定の物質(A)を結合す
るか、またはこの特定の物質(A)を他の物質に変換さ
せる目的で使用され得る。例えば、タンパク質(B)が
酵素である場合、酵素を発現する細胞を含む酵素剤とし
て、提供されてもよい。具体的には、酵素剤としては、
本発明の酵母および酵母を維持し得る培地を含む懸濁
液、および本発明の酵母が凍結保存あるいは凍結乾燥、
さらには低温乾燥されたものが挙げられる。また、長い
アンカー鎖を用いる場合、特定の物質(A)が外部から
接近しやすい点を利用して、アンカー鎖の先にタンパク
質(B)として種々のペプチドを発現させてペプチドラ
イブラリーを作成することもできる。例えば、このよう
なペプチドライブラリーを利用して、Srcなどのガン遺
伝子と相互作用するペプチドを選択することも可能であ
る。
【0045】以下、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明はこの実施例によって限定されるものではな
い。
が、本発明はこの実施例によって限定されるものではな
い。
【0046】
【実施例】(実施例1:グルコアミラーゼの構造遺伝子
および種々の長さのFlo1のC末端側領域を有するD
NAの作成) A:種々の長さのFlo1のC末端側領域配列の設定 Flo1タンパク質の構造は、既に知られており(Wata
riら、Yeast 10:211-225 (1994))、図1に示すとおり
である。C末端から順に、GPIアンカー付着認識シグ
ナル配列、細胞壁アンカリングドメイン、Flo1凝集
機能ドメイン、および分泌シグナル配列を含む。細胞壁
アンカリングドメインの中には、9アミノ酸×3リピー
ト、51アミノ酸×3リピート、および20アミノ酸×
2リピートの、3つのリピート配列が存在する。また、
Flo1凝集機能ドメインも、45アミノ酸×18リピ
ートを有する。
および種々の長さのFlo1のC末端側領域を有するD
NAの作成) A:種々の長さのFlo1のC末端側領域配列の設定 Flo1タンパク質の構造は、既に知られており(Wata
riら、Yeast 10:211-225 (1994))、図1に示すとおり
である。C末端から順に、GPIアンカー付着認識シグ
ナル配列、細胞壁アンカリングドメイン、Flo1凝集
機能ドメイン、および分泌シグナル配列を含む。細胞壁
アンカリングドメインの中には、9アミノ酸×3リピー
ト、51アミノ酸×3リピート、および20アミノ酸×
2リピートの、3つのリピート配列が存在する。また、
Flo1凝集機能ドメインも、45アミノ酸×18リピ
ートを有する。
【0047】本実施例においては、これらのリピート配
列を目印として、図2に示すような、種々の長さを有す
るFlo1のC末端側の6種のアミノ酸配列を設定し
た。すなわち、ほぼGPIアンカー付着認識シグナル配
列のみからなる42アミノ酸長の配列;Flo1のC末
端から9アミノ酸×3リピートのC末端付近までの10
2アミノ酸長の配列;Flo1のC末端から9アミノ酸
×3リピートのN末端付近までの146アミノ酸長の配
列;Flo1のC末端から51アミノ酸×3リピートの
N末端付近までの318アミノ酸長の配列;Flo1の
C末端からFlo1凝集機能ドメインのC末端付近での
428アミノ酸長の配列;およびFlo1のC末端から
45アミノ酸×18リピートのN末端付近までの132
6アミノ酸長の配列とした。
列を目印として、図2に示すような、種々の長さを有す
るFlo1のC末端側の6種のアミノ酸配列を設定し
た。すなわち、ほぼGPIアンカー付着認識シグナル配
列のみからなる42アミノ酸長の配列;Flo1のC末
端から9アミノ酸×3リピートのC末端付近までの10
2アミノ酸長の配列;Flo1のC末端から9アミノ酸
×3リピートのN末端付近までの146アミノ酸長の配
列;Flo1のC末端から51アミノ酸×3リピートの
N末端付近までの318アミノ酸長の配列;Flo1の
C末端からFlo1凝集機能ドメインのC末端付近での
428アミノ酸長の配列;およびFlo1のC末端から
45アミノ酸×18リピートのN末端付近までの132
6アミノ酸長の配列とした。
【0048】B:種々の長さのFlo1の遺伝子の取得
次のようにしてFlo1の遺伝子を取得した。まず、S.
cerevisiae ATCC60712から染色体DNAを抽出した。
次いでこれをテンプレートとし、プライマーとして表1
に記載のヌクレオチド配列をそれぞれ用いてPCR増幅し
た。それぞれSalIおよびXho Iで切断して、6種のDN
A断片を得た。
cerevisiae ATCC60712から染色体DNAを抽出した。
次いでこれをテンプレートとし、プライマーとして表1
に記載のヌクレオチド配列をそれぞれ用いてPCR増幅し
た。それぞれSalIおよびXho Iで切断して、6種のDN
A断片を得た。
【0049】
【表1】
【0050】C:グルコアミラーゼ遺伝子の取得
まず、グルコアミラーゼコード領域を含むプラスミドpG
A11をテンプレートとし、プライマーとして配列番号1
3および14に記載のヌクレオチド配列を用いてPCR増
幅を行い、Nco IおよびXho Iで切断して、約1700bpの長
さのNco I-Xho Iグルコアミラーゼ断片を得た。また、
これとは別に、pGA11をテンプレートとし、プライマー
として配列番号15および16に記載のヌクレオチド配
列を用いてPCR増幅を行い、Sal IおよびSma Iで切断し
て、約1700bpの長さのSal I-Sma Iグルコアミラーゼ断
片を得た。
A11をテンプレートとし、プライマーとして配列番号1
3および14に記載のヌクレオチド配列を用いてPCR増
幅を行い、Nco IおよびXho Iで切断して、約1700bpの長
さのNco I-Xho Iグルコアミラーゼ断片を得た。また、
これとは別に、pGA11をテンプレートとし、プライマー
として配列番号15および16に記載のヌクレオチド配
列を用いてPCR増幅を行い、Sal IおよびSma Iで切断し
て、約1700bpの長さのSal I-Sma Iグルコアミラーゼ断
片を得た。
【0051】D:分泌シグナル配列の取得
S. cerevisiae W303-1Bから染色体DNAを抽出し、こ
れをテンプレートとし、プライマーとして配列番号17
および18に記載のヌクレオチド配列を用いてPCR増幅
した。これをBgl IIおよびSal Iで切断してα−因子の
プレプロ配列を得た。
れをテンプレートとし、プライマーとして配列番号17
および18に記載のヌクレオチド配列を用いてPCR増幅
した。これをBgl IIおよびSal Iで切断してα−因子の
プレプロ配列を得た。
【0052】E:グルコアミラーゼの構造遺伝子および
種々の長さのFlo1のC末端側領域のDNAを有する
プラスミドの作成 グルコアミラーゼの構造遺伝子および種々の長さのFl
o1のC末端側領域のDNAを有するプラスミドは、上
記Bで得られたFlo1の3’領域遺伝子と上記Cで得
られたグルコアミラーゼ遺伝子を接続することにより得
られる。Flo1のC末端領域とグルコアミラーゼとの
融合タンパク質を発現させるためのプラスミドを作成す
るために、以下の操作を行った。作成の模式図を、図3
および図4に示す。
種々の長さのFlo1のC末端側領域のDNAを有する
プラスミドの作成 グルコアミラーゼの構造遺伝子および種々の長さのFl
o1のC末端側領域のDNAを有するプラスミドは、上
記Bで得られたFlo1の3’領域遺伝子と上記Cで得
られたグルコアミラーゼ遺伝子を接続することにより得
られる。Flo1のC末端領域とグルコアミラーゼとの
融合タンパク質を発現させるためのプラスミドを作成す
るために、以下の操作を行った。作成の模式図を、図3
および図4に示す。
【0053】マルチコピー型プラスミドpWI3をBgl IIお
よびSal Iで切断し、上記Dで得られた分泌シグナルの
DNA断片を挿入しpWI3αを得た。続いて、pWI3αをXh
o Iで切断し、脱リン酸処理を行った後、上記Bで得ら
れたFlo1の6種のDNA断片をそれぞれ挿入して、
プラスミドpIF42、pIF102、pIF146、pIF318、pIF428お
よびpIF1326を得た(図3)。次いで、プラスミドpIF4
2、pIF102、pIF146、pIF318、およびpIF428を、Nco Iお
よびXho Iで切断し、上記Cで得られたNco I-Xho Iグル
コアミラーゼ断片を挿入し、pIF42GLA、pIF102 GLA、pI
F146 GLA、pIF318 GLAおよびpIF428 GLAを得た(図4
(a))。また、pIF1326を、Sal IおよびSma Iで切断
し、上記Cで得られたSal I-Sma Iグルコアミラーゼ断
片を挿入し、pIF1326 GLAを得た(図4(b))。
よびSal Iで切断し、上記Dで得られた分泌シグナルの
DNA断片を挿入しpWI3αを得た。続いて、pWI3αをXh
o Iで切断し、脱リン酸処理を行った後、上記Bで得ら
れたFlo1の6種のDNA断片をそれぞれ挿入して、
プラスミドpIF42、pIF102、pIF146、pIF318、pIF428お
よびpIF1326を得た(図3)。次いで、プラスミドpIF4
2、pIF102、pIF146、pIF318、およびpIF428を、Nco Iお
よびXho Iで切断し、上記Cで得られたNco I-Xho Iグル
コアミラーゼ断片を挿入し、pIF42GLA、pIF102 GLA、pI
F146 GLA、pIF318 GLAおよびpIF428 GLAを得た(図4
(a))。また、pIF1326を、Sal IおよびSma Iで切断
し、上記Cで得られたSal I-Sma Iグルコアミラーゼ断
片を挿入し、pIF1326 GLAを得た(図4(b))。
【0054】(実施例2:細胞表層にグルコアミラーゼ
を有する酵母の作成)上記実施例1で得られた6種のプ
ラスミドpIF42GLA、pIF102GLA、pIF146GLA、pIF318GL
A、pIF428GLA、およびpIF1326GLAを、Yeast Maker(Clo
ntech Laboratories, Inc., Palo Alto, CA)を用いた
酢酸リチウム法によって非凝集性酵母S.cerevisiae MT8
-1(MATa ade his3 leu2 trp1 ura3)(Tajimaら、Yeas
t, 1:67-77, 1985)に導入した。これらを、L-トリプト
ファンを含まない適切なアミノ酸および塩基を補充した
SD-W寒天選択培地(6.7% Yeast nitrogen base w/o ami
noacids (Difco Laboratories製)、2%グルコース、2
%寒天末)を用いて培養した。生育した酵母を選択し、
それぞれF42、F102、F146、F318、F4
28、およびF1326と命名した。酵母の作成の模式
図を図5に示す。
を有する酵母の作成)上記実施例1で得られた6種のプ
ラスミドpIF42GLA、pIF102GLA、pIF146GLA、pIF318GL
A、pIF428GLA、およびpIF1326GLAを、Yeast Maker(Clo
ntech Laboratories, Inc., Palo Alto, CA)を用いた
酢酸リチウム法によって非凝集性酵母S.cerevisiae MT8
-1(MATa ade his3 leu2 trp1 ura3)(Tajimaら、Yeas
t, 1:67-77, 1985)に導入した。これらを、L-トリプト
ファンを含まない適切なアミノ酸および塩基を補充した
SD-W寒天選択培地(6.7% Yeast nitrogen base w/o ami
noacids (Difco Laboratories製)、2%グルコース、2
%寒天末)を用いて培養した。生育した酵母を選択し、
それぞれF42、F102、F146、F318、F4
28、およびF1326と命名した。酵母の作成の模式
図を図5に示す。
【0055】(実施例3:抗体との結合)基質として高
分子量物質の抗グルコアミラーゼ抗体を用いて、細胞表
層に発現したグルコアミラーゼとの結合について測定し
た。
分子量物質の抗グルコアミラーゼ抗体を用いて、細胞表
層に発現したグルコアミラーゼとの結合について測定し
た。
【0056】得られた酵母を、100 mlのSDCA-W液体培地
(6.7% Yeast nitrogen base w/o amino acids (Difco
Laboratories製)、0.5%グルコース、2%カザミノ酸、
必要なアミノ酸)中で30℃にて毎分125回振盪して、坂
口フラスコを用いて72時間培養し、次いで、抗グルコア
ミラーゼヤギIgG(Rockland)と室温で1時間インキュ
ベートした。次いで、フルオレセインイソチオシアネー
ト(FITC)標識した抗ヤギIgG抗体(Vector Laboratori
es)と室温で1時間インキュベートし、微分干渉顕微鏡
および蛍光顕微鏡で酵母細胞を観察した。また、フロー
サイトメーターにて励起波長488nmおよび放射波長
530nmでの蛍光強度を測定した。なお、コントロー
ルとしてはプラスミドpWI3をS. cerevisiae MT8-1に導
入した酵母を用いた。
(6.7% Yeast nitrogen base w/o amino acids (Difco
Laboratories製)、0.5%グルコース、2%カザミノ酸、
必要なアミノ酸)中で30℃にて毎分125回振盪して、坂
口フラスコを用いて72時間培養し、次いで、抗グルコア
ミラーゼヤギIgG(Rockland)と室温で1時間インキュ
ベートした。次いで、フルオレセインイソチオシアネー
ト(FITC)標識した抗ヤギIgG抗体(Vector Laboratori
es)と室温で1時間インキュベートし、微分干渉顕微鏡
および蛍光顕微鏡で酵母細胞を観察した。また、フロー
サイトメーターにて励起波長488nmおよび放射波長
530nmでの蛍光強度を測定した。なお、コントロー
ルとしてはプラスミドpWI3をS. cerevisiae MT8-1に導
入した酵母を用いた。
【0057】顕微鏡観察においては、グルコアミラーゼ
を細胞表層に発現するように形質転換した酵母で、いず
れも明確な蛍光が観察された(図6)。これは、抗体が
結合したこと、すなわち、グルコアミラーゼが細胞表層
に発現していることを示している。
を細胞表層に発現するように形質転換した酵母で、いず
れも明確な蛍光が観察された(図6)。これは、抗体が
結合したこと、すなわち、グルコアミラーゼが細胞表層
に発現していることを示している。
【0058】次に、フローサイトメトリーにて、1細胞
当たりの平均蛍光強度を測定した。Flo1由来のアン
カー鎖長と蛍光強度との関係をグラフに示す(図7)。
グラフから明らかなように、アンカー鎖が長くなるにつ
れて、蛍光強度が強くなっている。このことから、アン
カー鎖が長いほうが、高分子量物質である抗体との結合
性が高いことが示された。なお、F318とF428と
の間で蛍光強度が急に強くなっており、一方、F132
6ではF428と比べて蛍光強度があまり強くなってい
ないことが観察されている。これは、318アミノ酸長
と428アミノ酸長との間のある長さ以上のアンカー鎖
長になると、この実験に用いた抗体と細胞表層に発現し
たグルコアミラーゼとの結合が、その結合を妨げる何ら
かの因子(例えば、立体障害)の影響から解放されるた
めと考えられる。
当たりの平均蛍光強度を測定した。Flo1由来のアン
カー鎖長と蛍光強度との関係をグラフに示す(図7)。
グラフから明らかなように、アンカー鎖が長くなるにつ
れて、蛍光強度が強くなっている。このことから、アン
カー鎖が長いほうが、高分子量物質である抗体との結合
性が高いことが示された。なお、F318とF428と
の間で蛍光強度が急に強くなっており、一方、F132
6ではF428と比べて蛍光強度があまり強くなってい
ないことが観察されている。これは、318アミノ酸長
と428アミノ酸長との間のある長さ以上のアンカー鎖
長になると、この実験に用いた抗体と細胞表層に発現し
たグルコアミラーゼとの結合が、その結合を妨げる何ら
かの因子(例えば、立体障害)の影響から解放されるた
めと考えられる。
【0059】(実施例4:細胞表層にグルコアミラーゼ
を有する酵母の活性の確認)実施例2で得られたグルコ
アミラーゼを発現する6種の酵母(F42、F102、
F146、F318、F428、およびF1326)の
それぞれについて、デンプンを基質としてハロアッセイ
を行って、グルコアミラーゼの活性を測定した。アッセ
イプレートの培地組成は、3%デンプン、1%イースト
エストラクト、2%ペプトン、0.2%グルコース、0.003
%ブロモクレゾールパープル、および2%寒天であっ
た。30℃で4日間インキュベートした後、4℃で2日間
インキュベートして、アッセイプレートを観察した。プ
レートにおいて紫色の色素が抜けた部分(ハロ)は、培
地中のデンプンが分解されていることを示す。
を有する酵母の活性の確認)実施例2で得られたグルコ
アミラーゼを発現する6種の酵母(F42、F102、
F146、F318、F428、およびF1326)の
それぞれについて、デンプンを基質としてハロアッセイ
を行って、グルコアミラーゼの活性を測定した。アッセ
イプレートの培地組成は、3%デンプン、1%イースト
エストラクト、2%ペプトン、0.2%グルコース、0.003
%ブロモクレゾールパープル、および2%寒天であっ
た。30℃で4日間インキュベートした後、4℃で2日間
インキュベートして、アッセイプレートを観察した。プ
レートにおいて紫色の色素が抜けた部分(ハロ)は、培
地中のデンプンが分解されていることを示す。
【0060】結果は、図8に示すとおりであり、アンカ
ー鎖が長くなるほど、ハロが大きくなっていた。このこ
とから、アンカー鎖が長い酵母の方が、培地中のデンプ
ンをより多く分解していることがわかる。デンプンも高
分子量物質であるため、この結果は、上記実施例3の抗
体結合実験の結果を支持するものである。
ー鎖が長くなるほど、ハロが大きくなっていた。このこ
とから、アンカー鎖が長い酵母の方が、培地中のデンプ
ンをより多く分解していることがわかる。デンプンも高
分子量物質であるため、この結果は、上記実施例3の抗
体結合実験の結果を支持するものである。
【0061】(実施例5:デンプンを単一炭素源とした
培地での菌体増殖)実施例2で得られたグルコアミラー
ゼを発現する6種の酵母(F42、F102、F14
6、F318、F428、およびF1326)のそれぞ
れについて、デンプンを単一炭素源として増殖させた。
培地100mlから集菌した各酵母に、100mlのYPS培地(1
%イーストエクストラクト、2%ペプトン、1%デンプ
ン)を加え、30℃にて毎分125回振盪し、坂口フラスコ
を用いて培養し、細胞密度の経時変化を600nmの吸光度
によって測定した。結果を図9に示す。
培地での菌体増殖)実施例2で得られたグルコアミラー
ゼを発現する6種の酵母(F42、F102、F14
6、F318、F428、およびF1326)のそれぞ
れについて、デンプンを単一炭素源として増殖させた。
培地100mlから集菌した各酵母に、100mlのYPS培地(1
%イーストエクストラクト、2%ペプトン、1%デンプ
ン)を加え、30℃にて毎分125回振盪し、坂口フラスコ
を用いて培養し、細胞密度の経時変化を600nmの吸光度
によって測定した。結果を図9に示す。
【0062】短いアンカー鎖を有する酵母に比べ、長い
アンカー鎖を有する酵母の方が細胞密度が高い傾向が見
られた。しかし、146アミノ酸以上の長さのアンカー
を有する酵母では、細胞の増殖に大きな差は見られなか
った。一般に、大きなタンパク質は、発現数が減少し、
安定性も減少する傾向があるため、長いアンカー鎖を有
する酵母は、短いアンカー鎖を有する酵母よりも、細胞
表層に発現しているグルコアミラーゼ量が少ないと考え
られる。そのため、1000アミノ酸長ほどの長いアン
カー鎖を有する酵母では、グルコアミラーゼの基質との
反応性は上昇するが、300アミノ酸長のアンカー鎖を
有する酵母よりも細胞表層に存在するグルコアミラーゼ
の数が少ないため、同程度の増殖を示していると予想さ
れる。したがって、デンプンを基質とする場合には、グ
ルコアミラーゼを、ある程度の長さ(例えば、146ア
ミノ酸長)以上のアンカー鎖との融合タンパク質とする
必要があることがわかる。
アンカー鎖を有する酵母の方が細胞密度が高い傾向が見
られた。しかし、146アミノ酸以上の長さのアンカー
を有する酵母では、細胞の増殖に大きな差は見られなか
った。一般に、大きなタンパク質は、発現数が減少し、
安定性も減少する傾向があるため、長いアンカー鎖を有
する酵母は、短いアンカー鎖を有する酵母よりも、細胞
表層に発現しているグルコアミラーゼ量が少ないと考え
られる。そのため、1000アミノ酸長ほどの長いアン
カー鎖を有する酵母では、グルコアミラーゼの基質との
反応性は上昇するが、300アミノ酸長のアンカー鎖を
有する酵母よりも細胞表層に存在するグルコアミラーゼ
の数が少ないため、同程度の増殖を示していると予想さ
れる。したがって、デンプンを基質とする場合には、グ
ルコアミラーゼを、ある程度の長さ(例えば、146ア
ミノ酸長)以上のアンカー鎖との融合タンパク質とする
必要があることがわかる。
【0063】(実施例6:マルトトリオースを基質とし
た培地でのグルコアミラーゼ活性)実施例2で得られた
グルコアミラーゼを発現する6種の酵母(F42、F1
02、F146、F318、F428、およびF132
6)のそれぞれについて、グルコアミラーゼ活性を、基
質に低分子量物質であるマルトトリオース(分子量504.
44)を用いて測定した。まず、各酵母を、100mlのSDCA-
W液体培地(0.67%Yeast nitrogen base w/o amino aci
ds (Difco Laboratories製)中で30℃にて毎分125回振盪
で72時間坂口フラスコを用いて培養し、12時間ごとに採
取した。採取した菌体および1%のマルトトリオース溶
液を、30℃で15分間インキュベートし、生成したグルコ
ース濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定して、
グルコアミラーゼ活性を求めた。グルコアミラーゼ活性
は、1分間に1μmolのグルコースを生産する酵素量を
1Uとする。結果を図10に示す。
た培地でのグルコアミラーゼ活性)実施例2で得られた
グルコアミラーゼを発現する6種の酵母(F42、F1
02、F146、F318、F428、およびF132
6)のそれぞれについて、グルコアミラーゼ活性を、基
質に低分子量物質であるマルトトリオース(分子量504.
44)を用いて測定した。まず、各酵母を、100mlのSDCA-
W液体培地(0.67%Yeast nitrogen base w/o amino aci
ds (Difco Laboratories製)中で30℃にて毎分125回振盪
で72時間坂口フラスコを用いて培養し、12時間ごとに採
取した。採取した菌体および1%のマルトトリオース溶
液を、30℃で15分間インキュベートし、生成したグルコ
ース濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定して、
グルコアミラーゼ活性を求めた。グルコアミラーゼ活性
は、1分間に1μmolのグルコースを生産する酵素量を
1Uとする。結果を図10に示す。
【0064】F428、F146、およびF318にお
いて、比較的高いグルコアミラーゼ活性が見られた。一
方、F42およびF1326では、あまり高い活性は見
られなかった。このことから、実施例5における高分子
量物質の場合とは異なり、低分子量物質に対する場合に
は、グルコアミラーゼ活性が最大になる適切なアンカー
鎖長があることがわかる。
いて、比較的高いグルコアミラーゼ活性が見られた。一
方、F42およびF1326では、あまり高い活性は見
られなかった。このことから、実施例5における高分子
量物質の場合とは異なり、低分子量物質に対する場合に
は、グルコアミラーゼ活性が最大になる適切なアンカー
鎖長があることがわかる。
【0065】
【発明の効果】本発明の方法によって、特定の物質
(A)と反応し得るタンパク質(B)を、反応性が最適
になるように酵母細胞表層に発現することができる。例
えば、同じタンパク質を酵母細胞表層に発現する場合で
あっても、特定の物質(A)が低分子量物質である場合
は適切な長さのアンカー鎖を有するように設計され、高
分子量物質である場合は、長いアンカー鎖を有するよう
に設計される。このように、本発明の方法によって得ら
れた酵母は、タンパク質(B)を単に細胞表層に発現さ
せた酵母よりも高い活性を示すため、より効率良く使用
することができる。また、長いアンカー鎖を用いた場
合、アンカー鎖の先に発現したタンパク質(B)に特定
の物質(A)が外部から接近しやすい点を利用して、タ
ンパク質(B)として種々のペプチドを発現させた酵母
によるペプチドライブラリーを作成することもできる。
例えば、このようなペプチドライブラリーを利用して、
Srcなどのガン遺伝子と相互作用するペプチドを選択す
ることも可能である。
(A)と反応し得るタンパク質(B)を、反応性が最適
になるように酵母細胞表層に発現することができる。例
えば、同じタンパク質を酵母細胞表層に発現する場合で
あっても、特定の物質(A)が低分子量物質である場合
は適切な長さのアンカー鎖を有するように設計され、高
分子量物質である場合は、長いアンカー鎖を有するよう
に設計される。このように、本発明の方法によって得ら
れた酵母は、タンパク質(B)を単に細胞表層に発現さ
せた酵母よりも高い活性を示すため、より効率良く使用
することができる。また、長いアンカー鎖を用いた場
合、アンカー鎖の先に発現したタンパク質(B)に特定
の物質(A)が外部から接近しやすい点を利用して、タ
ンパク質(B)として種々のペプチドを発現させた酵母
によるペプチドライブラリーを作成することもできる。
例えば、このようなペプチドライブラリーを利用して、
Srcなどのガン遺伝子と相互作用するペプチドを選択す
ることも可能である。
【0066】
【配列表】
SEQUENCE LISTING
<110> Bio-energy corporation
<120> Optimization of expression system on cell surface using agglutinat
ing protein Flo1
<130> P101B01243
<160> 18
<210> 1
<211> 41
<212> DNA
<213> artificial
<400> 1
ctcgctcgag cccgggaagc agcatggtag gatatagtac a 41
<210> 2
<211> 46
<212> DNA
<213> artificial
<400> 2
atgcgtcgac ttaaataatt gccagcaata aggacgcaat gaagac 46
<210> 3
<211> 41
<212> DNA
<213> artificial
<400> 3
ctggctcgag cccgggaaaa acagtagtca cctcttcgct t 41
<210> 4
<211> 46
<212> DNA
<213> artificial
<400> 4
atgcgtcgac ttaaataatt gccagcaata aggacgcaat gaagac 46
<210> 5
<211> 41
<212> DNA
<213> artificial
<400> 5
catgctcgag cccgggagcg aatgaagagt ctgtcagctc t 41
<210> 6
<211> 46
<212> DNA
<213> artificial
<400> 6
atgcgtcgac ttaaataatt gccagcaata aggacgcaat gaagac 46
<210> 7
<211> 52
<212> DNA
<213> artificial
<400> 7
ggaactcgag cccgggatta ccacctgcta ccactacaaa aacgagcgaa ca 52
<210> 8
<211> 46
<212> DNA
<213> artificial
<400> 8
atgcgtcgac ttaaataatt gccagcaata aggacgcaat gaagac 46
<210> 9
<211> 47
<212> DNA
<213> artificial
<400> 9
aattctcgag cccgggatat cctagcaatg gaacttctgt gatttct 47
<210> 10
<211> 46
<212> DNA
<213> artificial
<400> 10
atgcgtcgac ttaaataatt gccagcaata aggacgcaat gaagac 46
<210> 11
<211> 47
<212> DNA
<213> artificial
<400> 11
ccgtctcgag cccgggaggc tactattatc caatgaaggt tgtttac 47
<210> 12
<211> 46
<212> DNA
<213> artificial
<400> 12
atgcgtcgac ttaaataatt gccagcaata aggacgcaat gaagac 46
<210> 13
<211> 41
<212> DNA
<213> artificial
<400> 13
tcgtccatgg agcaagcatt cctagtagtg cttctgtcca g 41
<210> 14
<211> 42
<212> DNA
<213> artificial
<400> 14
ggcgctcgag ccagcggcag gtgcaccagc cttagcgtaa ga 42
<210> 15
<211> 40
<212> DNA
<213> artificial
<400> 15
cgttgtcgac gcaagcattc ctagtagtgc ttctgtccag 40
<210> 16
<211> 42
<212> DNA
<213> artificial
<400> 16
ggcgcccggg ccagcggcag gtgcaccagc cttagcgtaa ga 42
<210> 17
<211> 40
<212> DNA
<213> artificial
<400> 17
aacgagatct atgagatttc cttcaatttt tactgcagtt 40
<210> 18
<211> 40
<212> DNA
<213> artificial
<400> 18
aacgagatct atgagatttc cttcaatttt tactgcagtt 40
【図1】Flo1タンパク質の構造を示す模式図であ
る。
る。
【図2】種々の長さを有するFlo1のC末端側の6種
のアミノ酸配列の構造を示す模式図である。
のアミノ酸配列の構造を示す模式図である。
【図3】α−因子のプレプロ配列および種々の長さのF
lo1のC末端領域をコードする配列を有するプラスミ
ドの作成を示す模式図である。
lo1のC末端領域をコードする配列を有するプラスミ
ドの作成を示す模式図である。
【図4】グルコアミラーゼ構造遺伝子を含むプラスミド
の作成を示す模式図であり、(a)は42〜428アミ
ノ酸長のFlo1領域のDNAを含む場合および(b)
は1326アミノ酸長のFlo1領域のDNAを含む場
合を示す。
の作成を示す模式図であり、(a)は42〜428アミ
ノ酸長のFlo1領域のDNAを含む場合および(b)
は1326アミノ酸長のFlo1領域のDNAを含む場
合を示す。
【図5】細胞表層にグルコアミラーゼを有する酵母の作
成を示す模式図である。
成を示す模式図である。
【図6】グルコアミラーゼを細胞表層に発現するように
形質転換した酵母の顕微鏡観察結果を示す写真である。
形質転換した酵母の顕微鏡観察結果を示す写真である。
【図7】Flo1由来のアンカー鎖長と蛍光強度との関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
【図8】グルコアミラーゼアッセイプレートの結果を示
す写真である。
す写真である。
【図9】デンプンを単一炭素源とした培地での菌体培養
の培養時間と細胞密度との関係を示すグラフである。
の培養時間と細胞密度との関係を示すグラフである。
【図10】グルコアミラーゼ活性の経時変化を示すグラ
フである。
フである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 松本 健史
兵庫県神戸市灘区篠原台8番21号 光洋ハ
イツ308号室
(72)発明者 佐藤 奈々
兵庫県洲本市本町8丁目9番18号
(72)発明者 田中 渥夫
京都府相楽郡木津町兜台7丁目9番7号
(72)発明者 植田 充美
兵庫県宝塚市伊子志3丁目2番47号
Fターム(参考) 4B024 AA11 BA07 BA13 CA04 CA07
DA12 GA11 HA15
4B065 AA80X AA80Y AB01 AC14
BA02 CA27 CA46
Claims (8)
- 【請求項1】 特定の物質(A)と反応し得るタンパク
質(B)を、該特定の物質(A)と該タンパク質(B)
との反応性を最適にするように、酵母細胞表層に提示す
る方法であって、 該タンパク質(B)が凝集性タンパク質Flo1との融
合タンパク質として発現され、該融合タンパク質は該F
lo1のGPI付着シグナルペプチドを有し、かつ該凝
集性タンパク質Flo1のアミノ酸鎖長が該特定の物質
(A)との反応性を最適にするような長さに設計された
DNAを酵母に導入する工程、を含む、方法。 - 【請求項2】 前記特定の物質(A)が高分子量物質で
あり、そして前記凝集性タンパク質Flo1のアミノ酸
鎖長が350アミノ酸長以上に設計される、請求項1に
記載の方法。 - 【請求項3】 前記高分子量物質が、抗体または酵素で
ある、請求項2に記載の方法。 - 【請求項4】 前記特定の物質(A)が低分子量物質で
あり、そして前記凝集性タンパク質Flo1のアミノ酸
鎖長が100〜300アミノ酸長に設計される、請求項
1に記載の方法。 - 【請求項5】 前記タンパク質(B)が、抗体結合性タ
ンパク質または酵素である、請求項1から4のいずれか
の項に記載の方法。 - 【請求項6】 特定の物質(A)と反応し得るタンパク
質(B)を、該特定の物質(A)と該タンパク質(B)
との反応性を最適にするように、酵母細胞表層に提示す
るためのDNAであって、 該タンパク質(B)が凝集性タンパク質Flo1との融
合タンパク質として発現され、該融合タンパク質が、該
Flo1のGPI付着シグナルペプチドを有し、そして
該凝集性タンパク質Flo1のアミノ酸鎖長が該特定の
物質(A)との反応性を最適にするような長さに設計さ
れた、DNA。 - 【請求項7】 請求項6に記載のDNAが導入され、そ
して特定の物質(A)と反応し得るタンパク質(B)
を、該特定の物質(A)と該タンパク質(B)との反応
性を最適にするように、細胞表層に提示する酵母。 - 【請求項8】 請求項7に記載のタンパク質(B)を細
胞表層に提示する酵母の使用方法であって、該酵母と特
定の物質(A)とを接触させ、該特定の物質(A)を該
タンパク質(B)と結合させるか、または該特定の物質
(A)を他の物質に変換させる工程、を含む、方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002041318A JP2003235579A (ja) | 2002-02-19 | 2002-02-19 | 凝集タンパク質Flo1を用いる細胞表層発現系の最適化 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002041318A JP2003235579A (ja) | 2002-02-19 | 2002-02-19 | 凝集タンパク質Flo1を用いる細胞表層発現系の最適化 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003235579A true JP2003235579A (ja) | 2003-08-26 |
Family
ID=27781771
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002041318A Pending JP2003235579A (ja) | 2002-02-19 | 2002-02-19 | 凝集タンパク質Flo1を用いる細胞表層発現系の最適化 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003235579A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006136223A (ja) * | 2004-11-11 | 2006-06-01 | Bio Energy Kk | 細胞表層に提示された酵素の活性を高める方法 |
JP2009261371A (ja) * | 2008-04-30 | 2009-11-12 | Bio−energy株式会社 | 細胞の表層にビオチンを提示した微生物 |
US7960511B2 (en) | 2008-04-10 | 2011-06-14 | Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho | Acid-resistance endoglucanase and the use of thereof |
JP4820921B2 (ja) * | 2008-11-27 | 2011-11-24 | 三井造船株式会社 | アミノ酸配列、dna及び酵母の育成方法 |
JP2018500009A (ja) * | 2014-11-10 | 2018-01-11 | ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー | 細胞の表面上にポリペプチドを発現させるための組成物および方法 |
-
2002
- 2002-02-19 JP JP2002041318A patent/JP2003235579A/ja active Pending
Cited By (11)
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