JP4287966B2 - 積層体及びそれからなる医療用袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛生性、柔軟性、透明性、耐熱性、落袋強度、ヒートシール適性等に優れた積層体、及びそれからなる薬液、血液等を入れる医療用袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、医療用容器としては、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる硬質の容器と可塑剤を含むポリ塩化ビニルからなる軟質の袋が知られている。しかしながら、前者の硬質容器は、内容液を滴下する際に、通気針または通気孔つきの輸液セットを用いて空気を導入しなければならない。さらに、内容液の汚染などを生じる恐れがある。また、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる硬質容器は、透明性が不十分で、内容液の量が見にくいことが問題となっている。
【0003】
一方、後者の軟質袋は、前記の硬質容器におけるような空気の導入が不要であり、また内容液の滴下とともに袋自体が大気圧によって絞られるなどの安全性、運搬の便利性が高いなどの利点がある。しかし、ポリ塩化ビニルに含まれる可塑剤、残留モノマーが、内容液に微粒子として析出するので問題となっている。そこで、これに替わる材料が望まれている。
【0004】
これに対し、柔軟性、透明性、衛生性等の点で、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エラストマーなどのポリマーを中間層に用いた医療用袋が提案されている(特開昭58−165866号公報)が、中間層に使われるこれらのポリマーは耐熱性が乏しいため滅菌時にしわが生じる、あるいは滅菌後の透明性が低下するなどの外観が劣るという欠点がある。また、輸送時にピンホールが発生する、袋を落としたときに破袋する等問題になることもある。
【0005】
一方、特開平6−171039号公報には、外層をポリプロピレン系樹脂、中間層に従来の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とする積層体が、特開平9−141793号公報には、外層をポリプロピレン系樹脂、中間層にメタロセン触媒を用いて製造された、融点が1つのエチレン・α−オレフィン共重合体とする積層体が、各々提案されている。しかしながら、これらの積層体からなる医療用袋は、透明性、強度、柔軟性および耐熱性を高レベルでバランス良く備えたものではない。
【0006】
また、耐熱性の観点から、内層には耐熱性のある材料を配置するため、外層と内層の融点差がほとんどないので、製袋時、シールバーに外層側が取られ(外層が上側のシールバーへ付着)、作業効率が低下することが問題となっている。
【0007】
よって、上記のような問題点がなく、すなわち衛生性が良好であるだけでなく、柔軟性及び透明性に優れ、かつ耐熱性が高く、さらには落袋時の破袋強度についても良好で、ヒートシール適性に優れた医療用袋は、従来の多層医療用袋では達成できていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、衛生性が高く、柔軟性及び透明性、耐ピンホール性に優れ、ヒートシール適性にも優れ、かつ耐熱性及び落袋強度についても良好な積層体、及びそれからなる薬液、血液等を収容する医療用袋を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、外層に特定のビカット軟化点を有するポリオレフィン系樹脂材料を用い、内層に特定のメルトフローレート(溶融流量:以下、「MFR」という)及びビカット軟化点、特定の性状を有する低結晶成分と高結晶成分からなるエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより、上記の発明の目的が達成されうるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、少なくとも外層及び内層をこの順で含む積層体からなる医療用袋であって、前記外層が以下に示す物性(A1)を満たす、示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる融解ピークの補外融解終了温度が110℃以上の高圧法低密度ポリエチレン及び密度が0.910g/cm 3 以上のエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体からなる群から選ばれるポリオレフィン系樹脂材料で形成され、前記内層が低結晶成分と高結晶成分とを含むエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体であって、以下に示す物性(B1)〜(B5)をすべて満たすものを主成分とするポリエチレン系樹脂材料からなる積層体からなることを特徴とする医療用袋である。
(A1)ビカット軟化温度Ta;Tb<Ta≦140℃
(B1)前記共重合体成分の温度上昇溶離分別(TREF)溶出曲線において、低結晶成分の溶出ピーク温度が45〜85℃の範囲にある。
(B2)前記共重合体成分の温度上昇溶離分別(TREF)溶出曲線において、低結晶成分のピークの高さをHとし、低結晶成分のピークと高結晶成分のピークとの間の最小谷間の高さをMとしたとき、H/Mの値が9以上である。
(B3)前記共重合体成分の温度上昇溶離分別(TREF)溶出曲線の全面積に対する低結晶成分の溶出ピーク温度以下の面積割合が35%以上である。
(B4)前記共重合体成分のMFRが0.1〜20g/10分である。
(B5)ビカット軟化温度Tbが65〜125℃の範囲である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
I.内層
本発明の積層体の内層は、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体(以下、「エチレン・α−オレフィン共重合体」又は単に「共重合体」という)を主成分とし、物性(B1)〜(B5)を備えている。
【0014】
1.エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体の物性
(1)物性(B1):温度上昇溶離分別による溶出曲線のピーク温度
本発明の積層体の内層に用いる共重合体は、その温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が45〜85℃、好ましくは48〜80℃を示すものが用いられる。該ピーク温度が上記範囲より大きいと、柔軟性、透明性、耐ピンホール性、フィルム強度が悪化するので好ましくない。また、該ピーク温度が上記範囲より小さいと、耐熱性が悪化するので好ましくない。
【0015】
(2)物性(B2):TREFにおけるH/M
本発明の積層体の内層に用いる共重合体は、その温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、低結晶成分のピークの高さをHとし、低結晶成分と高結晶成分の最小谷間の高さをMとしたとき、H/Mの値が9以上のものが用いられる。ここで、最小谷間とは、低結晶成分の溶出ピークと高結晶成分の溶出ピークとの間に形成される谷間のうち高さが最小となる部分である。H/Mの値が9より小さいと、透明性、耐ピンホール性、フィルム強度が低下するので好ましくない。なお、図1及び図2にHとMを示す。
【0016】
(3)物性(B3):TREFにおける面積割合
本発明の積層体の内層に用いる共重合体は、その温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が35%以上のものが用いられる。上記の値が35%より小さいと、柔軟性、透明性、耐ピンホール性、フィルム強度が低下するので好ましくない。なお、図1及び図2に低結晶成分の溶出ピーク温度以下の面積部分を斜線で示す。
【0017】
ここで、温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fraction)とは、一度ポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次いで温度を連続または段階的に昇温して、溶出した成分(ポリマー)を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出成分の量と溶出温度とを求める方法である。
【0018】
その溶出分率と溶出温度によって描かれるグラフが溶出曲線であり、これによりポリマーの組成分布(分子量および結晶性の分布)を測定することができる。温度上昇溶離分別(TREF)の測定方法および装置の詳細については、Journal of Applied Polymer Science、第26巻、第4217〜4231貢(1981年)に記載されている。
【0019】
TREFによって得られる溶出曲線の形はポリマーの分子量および結晶性の分布によって異なる。例えば、ピークが1つの曲線、ピークが2つの曲線、およびピークが3つの曲線等があり、さらにピークが2つの曲線には溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方が溶出分率が大きい(ピークの高さが高い)場合、溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方が溶出分率が小さい(ピークの高さが低い)場合等がある。
【0020】
本発明で用いられる前記共重合体は、低結晶成分と高結晶成分とを少なくとも含むものであるから、上記溶出曲線のピーク(溶出ピーク)を少なくとも2つ有する。該ピークが2つの場合、溶出温度の高い方のピークが高結晶成分の溶出ピークであり、溶出温度の低い方が低結晶成分の溶出ピークである。
【0021】
前記共重合体は、溶出ピークを少なくとも2つ有するものであれば特に制限はなく、例えば溶出ピークを3つ以上有するものであってもよい。その場合、その溶出ピークのうち溶出温度が最も高いものが高結晶成分の溶出ピークであり、該高結晶成分の溶出ピークより溶出温度の低いピークのうち、ピーク高さが最も高いものが低結晶成分の溶出ピークである。したがって、低結晶成分の溶出ピークの溶出温度より低い温度領域で、該低結晶成分の溶出ピークよりピーク高さの低いピークが存在してもよく、また、高結晶成分の溶出ピークと低結晶成分の溶出ピークとの間に、該低結晶成分の溶出ピークよりピーク高さの低いピークが存在してもよい。また、低結晶成分の溶出ピークの溶出温度より低い温度領域、及び高結晶成分の溶出ピークと低結晶成分の溶出ピークとの間の温度領域の双方に、該低結晶成分の溶出ピークよりピーク高さの低いピークが存在してもよい。
【0022】
これらを具体的に図に示して説明する。図1にピークが2つの場合の溶出曲線を表し、図2にピークが3つの場合の溶出曲線を表す。図2の(a)には低結晶成分の溶出ピークの溶出温度より低い温度領域で、該低結晶成分の溶出ピークよりピーク高さの低いピークが存在する場合を表し、図2の(b)には高結晶成分の溶出ピークと低結晶成分の溶出ピークとの間に、該低結晶成分の溶出ピークよりピーク高さの低いピークが存在する場合を表す。図中、1が高結晶成分の溶出ピークであり、2が低結晶成分の溶出ピークである。
【0023】
(4)物性(B4):メルトフローレート
本発明で用いられる前記共重合体は、そのメルトフローレート(溶融流量:以下、「MFR」と略す)が0.1〜20g/10分、好ましくは、0.1〜15g/10分、より好ましくは0.1〜10g/10分のものが用いられる。ここでいうMFRは、JIS−K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値である。該MFRが上記範囲を超えると、耐熱性、フィルム強度が低下し、フィルムの成膜が不安定となるので好ましくない。一方、該MFRが上記範囲未満であると、樹脂圧力が高くなり、押し出し性が低下するので好ましくない。
【0024】
(5)物性(B5):ビカット軟化温度
本発明の積層体の内層に用いる共重合体は、そのビカット軟化温度Tbが65〜125℃、好ましくは70〜120℃のものが用いられる。該ビカット軟化温度Tbが上記範囲を超えると、柔軟性、透明性、耐ピンホール性、フィルム強度が悪化するので好ましくない。また、該ピーク温度が上記範囲未満であると、耐熱性が悪化するので好ましくない。
【0025】
(6)密度
なお、前記共重合体の密度は特に限定されないが、好ましくは0.880〜0.930g/cm3、より好ましくは0.885〜0.925g/cm3である。密度がこの範囲であれば、柔軟性、耐ピンホール性、フィルム強度が良好であるので好ましい。なお、ここでいう密度は、JIS−K7112に準拠して測定された値である。
【0026】
2.エチレン・α−オレフィン共重合体
上記物性(B1)〜(B5)を満たす本発明の共重合体は、該物性(B1)〜(B5)を単独で満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(すなわち上述した低結晶成分と高結晶成分とを同時に有するエチレン・α−オレフィン共重合体)を単独で用いてもよいし、また、2種以上のエチレン・α−オレフィン共重合体を混合して上記物性(B1)〜(B5)を満たすようにしてもよい。
【0027】
上記物性(B1)〜(B5)を単独で満たすエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合、該共重合体は、好ましくはエチレンが80モル%以上とコモノマーであるα−オレフィンが20モル%以下とからなるものである。例えば、分子量及び結晶性の分布を制御する公知の方法として、重合温度やコモノマー量を調節する方法を適宜採用することにより、所望の物性のポリマーを得ることができる。
【0028】
かかるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分とするものであり、コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、炭素数3〜18の1−オレフィンである。1−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
【0029】
コモノマーとして用いられる上記α−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましいものとして含まれる。具体例としては、エチレン・プロピレン・1−ブテン3元共重合体等が挙げられる。
【0030】
2種以上のエチレン・α−オレフィン共重合体を混合して上記物性(B1)〜(B5)を満たすようにする場合は、温度上昇溶離分別(TREF)溶出曲線において、溶出ピーク温度が45〜85℃のエチレン・α−オレフィン共重合体(低結晶成分:成分A)と、それよりも溶出ピーク温度が高いエチレン・α−オレフィン共重合体(高結晶成分:成分B)とを混合し、樹脂混合物として用いることが好ましい。
【0031】
前記樹脂混合物における成分A(低結晶成分)及び成分B(高結晶成分)として用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体については、そのエチレンとコモノマーとの比率及びコモノマーの種類は、各々上述した物性(B1)〜(B5)を単独で満たすエチレン・α−オレフィン共重合体の場合と同様である。
【0032】
成分AのMFRは、好ましくは0.1〜20g/10分、より好ましくは0.1〜15g/10分であり、密度は好ましくは0.870〜0.930g/cm3、より好ましくは0.880〜0.925g/cm3である。MFRがこの範囲であれば、フィルム強度、成膜安定性に優れるという利点を有し、密度がこの範囲であれば、耐ブロッキング性、耐熱性、柔軟性、耐ピンホール性に優れるという利点を有する。かかる成分Aの具体例としては、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
【0033】
成分BのMFRは好ましくは0.1〜50g/10分、より好ましくは0.5〜40g/10分であり、密度は好ましくは0.930〜0.970g/cm3、より好ましくは0.935〜0.968g/cm3である。MFRがこの範囲であれば成膜安定性が良好であり、密度がこの範囲であれば耐熱性が良好である。かかる成分Bの具体例としては、エチレン単独重合体、エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。
【0034】
前記樹脂混合物中の成分Aと成分Bの配合比率は特に限定されないが、該樹脂混合物全量に対し、成分Aを98〜45重量%、より好ましくは95〜50重量%、成分Bを2〜55重量%、より好ましくは5〜50重量%含有させるのが好ましい。
【0035】
3.エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法
上記エチレン・α−オレフィン共重合体(単独で使用する場合の共重合体、及び樹脂混合物とする場合における成分A並びに成分B等の各成分を含む)の製造方法については、上記物性を満たすものを製造しうる限り、その重合方法や触媒について特に制限はない。
【0036】
例えば、触媒については、チーグラー型触媒(担持又は非担持ハロゲン含有チタン化合物と有機アルミニウム化合物の組合せに基づくもの)、フィリップス型触媒(担持酸化クロム(Cr6+)に基づくもの)、カミンスキー型触媒(担持又は非担持メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物、特にアルモキサンの組合せに基づくもの)等が挙げられる。
【0037】
メタロセン系触媒は、具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号の各公報、ヨーロッパ特許出願公開第420,436号明細書、米国特許第5,055,438号明細書、および国際公開公報WO91/04257号明細書等に記載されているメタロセン触媒もしくはメタロセン/アルモキサン触媒、又は、例えば国際公開公報WO92/07123号明細書等に開示されているようなメタロセン化合物と、該メタロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物とからなる触媒を挙げることができる。
【0038】
樹脂混合物とする場合に用いられる高温側に溶出ピークをもつエチレン・α−オレフィン共重合体(高結晶成分:成分B)は、上記条件を満たすものが得られる限り触媒に制約はなく、どの触媒で重合されたものでも本発明の効果を発揮しうる。
【0039】
一方、低温側に溶出ピークをもつエチレン・α−オレフィン共重合体(低結晶成分:成分A)は、高結晶成分及び低結晶成分を含まない、比較的狭い組成分布をもつものが好ましいので、特にカミンスキー型触媒すなわち四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いたメタロセン系触媒を用いるのが好ましい。
【0040】
カミンスキー型触媒に使用されるメタロセン化合物としては、Zr、Ti、Hf等の4〜6族遷移金属化合物、特に4族遷移金属化合物と、シクロペンタジエンあるいはシクロペンタジエン誘導体との有機遷移金属化合物を使用することができる。
【0041】
シクロペンタジエン誘導体としては、ペンタメチルシクロペンタジエン等のアルキル置換体、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成したものを使用することができ、代表的にはインデン、フルオレン、アズレン、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。
【0042】
また、複数のシクロペンタジエンがアルキレン基、シリレン基等で結合されたものを用いることもできる。
助触媒としては、有機アルミニウムあるいはメタロセン触媒と反応して安定なイオンとなる化合物を用いることができ、一般にアルモキサンが使用される。
【0043】
重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法(例えば、特開昭59−23011号公報に記載の方法)や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。
【0044】
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体的な製法については、単独で上記物性(B1)〜(B5)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合は、通常は該共重合体を1つの反応槽で製造する方法が採用される。また、前記エチレン・α−オレフィン共重合体として、上記成分A、成分B等の2つ以上の成分の樹脂混合物を用いる場合は、各成分を1つの反応槽で製造する方法、2つ以上の反応槽を連結して各槽で各成分を各々重合し、連続的に上記物性(B1)〜(B5)を満たす樹脂組成物を製造する方法、各成分を各々別個に重合した後、通常の樹脂組成物の製造方法と同様の方法に従って各成分を配合することによって、上記物性(B1)〜(B5)を満たす樹脂混合物を製造する方法等の種々の方法を採用することができる。
【0045】
より具体的には、成分A(低結晶成分)と成分B(高結晶成分)とを、あらかじめドライブレンドし、そのブレンド物をそのまま成形機のホッパーに投入してもよい。また、そのブレンド物を押出機、ブラベンダーブラストグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー等を用いて溶融、混練し、通常用いられている方法でペレット状とし、フィルムもしくはシートを製造することもできる。
【0046】
4.補助添加成分
前記内層を構成するポリエチレン系樹脂材料は、主成分である上記エチレン・α−オレフィン共重合体のみからなるものであってもよいが、それに加え、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、一般に樹脂組成物用として用いられている補助添加成分を必要に応じて配合することもできる。
【0047】
そのような補助添加成分としては、例えば、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、中和剤、熱安定剤等を挙げることができる。前記酸化防止剤としては、フェノール系、およびリン系酸化防止剤が好ましい。
【0048】
主成分として低温側に溶出ピークをもつ成分Aと高温側に溶出ピークをもつ成分Bとの樹脂混合物を用いる場合は、両成分の混合前、混合途中、あるいは混合後に、両成分のいずれか一方、あるいは両方に上記補助添加成分を配合することができる。
【0049】
また、上記エチレン・α−オレフィン共重合体単独、もしくは低温側に溶出ピークをもつ成分Aと高温側に溶出ピークをもつ成分Bとの樹脂混合物の総重量に対して、本発明の効果が損なわれない範囲で層間接着力を向上させるため、外層に用いたポリプロピレン系樹脂、高圧法低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体からなる群から選ばれる樹脂材料を3〜40重量%配合することができる。
【0050】
また、柔軟性を付与するため、結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はEBR、EPR等のエチレン・α−オレフィンエラストマー、SEBS、HSBC等のスチレン系エラストマー等のゴム系化合物を3〜75重量%配合することもできる。
【0051】
II.外層
1.ポリオレフィン系樹脂の物性
(1)ビカット軟化温度
本発明の積層体の外層のポリオレフィン系樹脂材料は、そのビカット軟化温度TaがTb(内層のビカット軟化温度)<Ta≦140℃を満たすものが用いられる。外層のポリオレフィン系樹脂材料のビカット軟化温度Taが内層の共重合体のビカット軟化温度Tb以下であると、製袋時(内層と内層をシールバーにより熱融着させる)、シールバーに外層側が取られ(外層が上側のシールバーへ付着)、作業効率が低下するので好ましくない。また、外層のポリオレフィン系樹脂材料のビカット軟化温度Taが140℃を超えると、柔軟性が不足するので好ましくない。
【0052】
2.ポリオレフィン系樹脂
外層のポリオレフィン系樹脂材料は、そのビカット軟化温度Tbが、上記範囲を満たしていれば、特に制限されないが、好ましくは、(i)ポリプロピレン系樹脂、(ii)示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる融解ピークの補外融解終了温度が110℃以上の高圧法低密度ポリエチレン、及び(iii)JIS−K7112に準拠して測定された密度が0.910g/cm3以上のエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体からなる群から選ばれるポリオレフィン系樹脂材料であるのが好ましい。
【0053】
(i)ポリプロピレン系樹脂
前記(i)成分のポリプロピレン系樹脂は、具体的には、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンもしくは炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体を挙げることができる。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。前記ランダム共重合体中におけるプロピレンから誘導される構成単位(プロピレン単位)の割合は、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは85重量%以上である。
【0054】
前記ポリプロピレン系樹脂のMFRは特に限定されないが、好ましくは0.1〜100g/10分、特に好ましくは0.3〜80g/10分である。ここでいうMFRは、JIS−K6758(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値である。MFRが上記範囲内であれば、成膜が安定するという利点がある。
【0055】
かかるポリプロピレン系樹脂の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。
【0056】
また、上記ポリプロピレン系樹脂の総重量に対して、本発明の効果を損なわない範囲で、柔軟性を付与するため、もしくは/かつ、層間接着力を向上させるため、チーグラー型又はメタロセン系触媒によって重合された結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はEBR、EPR等のエチレン・α−オレフィンエラストマー、SEBS、HSBC(水添スチレンブロック共重合体)等のスチレン系エラストマー等のゴム系化合物を3〜75重量%配合することもできる。
【0057】
また、上記ポリプロピレン系樹脂の総重量に対して、本発明の効果が損なわれない範囲で層間接着力を向上させるため、内層に用いた低結晶成分と高結晶成分とを含むエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体を3〜40重量%配合することができる。
【0058】
(ii)高圧法低密度ポリエチレン
前記(ii)示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる融解ピークの補外融解終了温度が110℃以上の高圧法低密度ポリエチレンは、そのMFRについては特に限定されないが、好ましくは0.05〜100g/10分、より好ましくは0.1〜80g/10分、特に好ましくは0.2〜70g/10分である。ここでいうMFRは、JIS−K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値である。該MFR値がこの範囲であれば、成膜が安定するという利点を有する。また、密度は特に制限されないが、好ましくは0.915〜0.940g/cm3、より好ましくは0.920〜0.935g/cm3である。密度がこの範囲であれば、耐熱性、柔軟性が優れるという利点を有する。なお、ここでいう密度はJIS−K7112に準拠して測定された値である。
【0059】
また、上記高圧法低密度ポリエチレンの総重量に対して、本発明の効果を損なわない範囲で、柔軟性を付与するため、もしくは/かつ、層間接着力を向上させるため、チーグラー型又はメタロセン系触媒によって重合された結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はEBR、EPR等のエチレン・α−オレフィンエラストマー、SEBS、HSBC(水添スチレンブロック共重合体)等のスチレン系エラストマー等のゴム系化合物を3〜75重量%配合することもできる。
【0060】
また、上記高圧法低密度ポリエチレンの総重量に対して、本発明の効果が損なわれない範囲で、層間接着力を向上させるため、内層に用いた低結晶成分と高結晶成分とを含むエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体を3〜40重量%配合することができる。
【0061】
(iii)エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体
前記(iii)成分であるエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体としては、チーグラー型触媒を用いて製造されたもの、メタロセン系触媒を用いて製造されたもの(上記内層に用いられる成分Bに相当するものを除く)、又は、上記内層に使用できるエチレン・α−オレフィン共重合体(単独で上記物性(B1)〜(B5)を満たす場合の該共重合体、及び成分Aと成分Bとを混合して上記物性(B1)〜(B5)を満たすようにした樹脂混合物を含む)として挙げたものと同様の、上記物性(B1)〜(B5)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体のうち、ビカット軟化温度が内層に用いた共重合体のビカット軟化温度より高く、140℃以下のものを挙げることができる。
【0062】
該(iii)成分のMFRは特に限定されないが、好ましくは0.05〜100g/10分、より好ましくは0.1〜80g/10分、特に好ましくは0.2〜70g/10分である。ここでいうMFRは、JIS−K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値である。該MFR値がこの範囲であれば、成膜が安定するという利点を有する。また、密度のより好ましい範囲は、0.910〜0.940g/cm3、特に好ましくは0.910〜0.935g/cm3である。密度がこの範囲であれば、耐熱性、柔軟性、透明性が優れるという利点を有する。なお、ここでいう密度はJIS−K7112に準拠して測定された値である。
【0063】
また、上記エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体の総重量に対して、本発明の効果を損なわない範囲で、柔軟性を付与するため、もしくは/かつ、層間接着力を向上させるため、チーグラー型又はメタロセン系触媒によって重合された結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はEBR、EPR等のエチレン・α−オレフィンエラストマー、SEBS、HSBC(水添スチレンブロック共重合体)等のスチレン系エラストマー等のゴム系化合物を3〜75重量%配合することもできる。
【0064】
また、上記エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体の総重量に対して、本発明の効果が損なわれない範囲で、層間接着力を向上させるため、内層に用いた低結晶成分と高結晶成分とを含むエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体を3〜40重量%配合することができる。
【0065】
かかるエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体の具体例としては、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
【0066】
III.積層体及び医療用袋
本発明の積層体は、少なくとも上記外層及び内層をこの順で含むものであればよいが、上記外層及び内層のほかに、かかる積層体に一般的に使用される各種層を適宜必要に応じて設けることができるので、3層、4層、又はそれ以上の積層体であってもよい。
一般的に使用される各種層の具体例としては、ポリオレフィン系樹脂材料、接着樹脂、ゴム、ポリアミド、ポリエステル、EVOH等を挙げることができる。
【0067】
積層体を得る方法としては、水冷式又は空冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法等を採用することができる。積層体は、通常チューブ状又はシート状であり、これらを重ね合わせてヒートシールする等の方法により、所定の形状・寸法に製袋し、注入口を取り付けることによって、目的とする医療用袋を得ることができる。
【0068】
積層体の厚みは、好ましくは0.1〜0.7mm、より好ましくは0.15〜0.6mmである。0.1mm未満では質量感が損なわれる。一方、0.7mmを超えると柔軟性が不足気味となる。また、各層の厚み割合は特に制限するものではないが、積層体に柔軟性を十分付与するには、内層の厚みを積層体全体の厚みの50%以上、好ましく55%以上、より好ましくは98〜60%とするのがよく、外層の厚みは1〜50%とするのが好ましい。積層体全体に対する外層の厚み比が上記範囲を超えると、積層体の柔軟性が不足気味となる。また、外層の厚みがそれぞれ0.01mm未満では、上側シールバーへ付着する傾向にある。
【0069】
本発明の医療用袋は、上記積層体からなるものである。医療用袋の具体的用途としては、輸液バッグ、体液や薬液等の注入、排出、保存用等の容器、腹膜透析バッグ、人工透析バッグ等が挙げられる。
また、本発明の積層体は、透明性、柔軟性、耐熱性、落袋強度に優れるので、食品包装袋(例えばセミレトルト、レトルト用等)としても好適に用いることができる。
【0070】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、これらの実施例及び比較例における樹脂の各種物性の測定、及び積層体の評価は、以下に示す方法によって実施した。
【0071】
1.樹脂の物性の測定方法
(1)MFR:エチレン・α−オレフィン共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンのMFRについては、JIS−K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。ポリプロピレン系樹脂のMFRについては、JIS−K6758(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
【0072】
(2)TREFによって得られる溶出曲線の測定:
本発明におけるTREFによる溶出曲線の測定は、以下のようにして行った。測定装置としてクロス分別装置(三菱化学株式会社製、CFC・T150A)を使用し、附属の操作マニュアルの測定法に従って行った。このクロス分別装置は、試料を、溶解温度の差を利用して分別する温度上昇溶離分別(TREF)機構と、分別された区分を更に分子サイズで分別するサイズ排除クロマトグラフ(Size Exclusion Chromatography:SEC)とをオンラインで接続した装置である。
【0073】
まず、測定すべきサンプル(エチレン・α−オレフィン共重合体)を溶媒(o−ジクロロベンゼン)を用いて濃度が4mg/mlとなるように、140℃で溶解し、これを測定装置内のサンプルループ内に注入した。以下の測定は、設定条件に従って自動的に行われた。
【0074】
サンプルループ内に保持された試料溶液は、溶解温度の差を利用して分別するTREFカラム(不活性担体であるガラスビーズが充填された内径4mm、長さ150mmの装置附属のステンレス製カラム)に0.4ml注入された。該サンプルは、1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却され、上記不活性担体にコーティングされた。このとき、高結晶成分(結晶しやすいもの)から低結晶成分(結晶しにくいもの)の順で不活性担体表面にポリマー層が形成される。TREFカラムを0℃で更に30分間保持した後、0℃の温度で溶解している成分2mlを、1ml/分の流速でTREFカラムからSECカラム(昭和電工株式会社製、AD80M・S、3本)へ注入した。SECで分子サイズでの分別が行われている間に、TREFカラムでは次の溶出温度(5℃)に昇温され、その温度に約30分間保持された。SECでの各溶出区分の測定は39分間隔で行われた。溶出温度としては以下の温度が用いられ、段階的に昇温された。
【0075】
溶出温度(℃):0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140℃。
【0076】
該SECカラムで分子サイズによって分別された溶液について、装置附属の赤外分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度を測定し(波長3.42μm、メチレンの伸縮振動で検出)、各溶出温度区分のクロマトグラムを得た。内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理した。各クロマトグラムの面積が積分され、積分溶出曲線が計算された。また、この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が計算された。計算結果の作図はプリンターに出力した。出力された微分溶出曲線の作図は、横軸に溶出温度を100℃当たり89.3mm、縦軸に微分量(溶出分率:全積分溶出量を1.0に規格し、1℃の変化量を微分量とした)0.1当たり76.5mmで行った。
【0077】
次に、この微分溶出曲線から、最も高温側のピークを高結晶成分の溶出ピークとし、それより低温側の最大ピークを低結晶成分の溶出ピークとした。また、低温側のピーク高さをHとし、低結晶成分の溶出ピークと高結晶成分の溶出ピークとの間の最小谷間の高さをMとして、H/Mの値を算出した。次いで、積分溶出曲線より、全面積に対する低結晶成分の溶出ピーク温度以下の面積割合を求めた。
【0078】
(3)密度:JIS−K7112に準拠して測定した。
【0079】
(4)DSCによる融解ピークの補外融解終了温度:熱プレスによって成形した100μmのフィルムから約5mgの試料を秤量し、それをセイコー電子工業(株)製RDC・220・DSC装置にセットし、170℃に昇温して、その温度で5分間保持した後、降温速度10℃/分で−10℃まで冷却した。次に、−10℃で1分間保持した後、昇温速度10℃/分で170℃まで昇温してDSC測定を行い、−10℃から170℃までのDSC曲線を得た。JIS−K7121に準拠し、DSC曲線の高温側のベースラインを低温側に延長した線と、融解ピークの高温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度を補外融解終了温度とした。
【0080】
(5)ビカット軟化温度:JIS−K7206−1974に準拠して測定した。
【0081】
2.積層体の評価方法
(1)外層、上側シールバーへの付着:ヒートシール温度;160℃、シール圧力;2kg/cm2、シール時間;3秒、シールバーの幅;10mmのヒートシール条件で、シールバーにて積層体の内面同士を熱融着させ、シールバーを上げたとき、積層体の外面が上側シールバーへ付着したときを×、付着しなかったときを○とした。なお、積層体の外面が、上側シールバーへ付着しないものは、最適ヒートシール温度が広くなるので、作業効率が良いだけでなく、ヒートシール不良等のトラブルが少ないので優れる。
【0082】
(2)115℃耐熱性:チューブ(円筒)状になっている積層体(2枚重ねになっている)を、190mm×190mmの大きさに切り出し、3方ヒートシールし、袋状にした。次いで、その中に蒸留水を600ml充填し、もう一辺をヒートシールして密封した。このようにして得られたサンプル袋を、高温高圧調理殺菌試験機((株)日阪製作所製 RCS・40RTGN型)の中に入れたのち加圧し、115℃まで雰囲気温度を上昇させて、30分間115℃を保持した。その後、該サンプル袋を試験機から取り出し、以下の基準で評価した。○の評価を得たサンプルは、耐熱性があり、優れていることを意味する。
×:サンプル袋にシワ状態が発生、もしくは透明性が悪化したとき。
○:サンプル袋にシワ状態が発生せず外観的に温度をかける前と大差がないとき。
【0083】
(3)ヘイズ(HAZE):上記の方法で、115℃、30分滅菌したサンプル袋のヘイズ(1枚)をJIS−K7105に準拠して測定した。この値が小さいほど、透明性があり、優れていることを意味する。
【0084】
(4)タテ方向引張弾性率(柔軟性):ISO−R1184に準拠して、上記の方法で、115℃、30分滅菌したサンプル袋を切り出し、インストロン型オートグラフにてタテ方向の引張弾性率を測定した。この値が小さいほど、柔軟性があり、優れていることを意味する。
【0085】
(5)落袋強度:上記の方法で、115℃、30分滅菌した蒸留水の入ったサンプル袋を、23℃の雰囲気下にて、平行落下で2mの高さから3回、続いて縦落下で2mの高さから3回落袋して、破袋しなかったものを○、破袋したものを×とした。
【0086】
また、実施例、比較例で用いたエチレン・α−オレフィン共重合体は、次の様にして合成した。
合成例
1.エチレン・α−オレフィン共重合体の調製
触媒の調製は、特開昭61−130314号公報に記載された方法で実施した。すなわち、錯体エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド2.0ミリモルに、東洋ストウファー社製メチルアンモキサンを上記錯体に対し1000モル倍加え、トルエンで10リットルに希釈して、触媒溶液を調製し、以下の方法で重合を行った。
内容積1.5リットルの攪拌式オートクレーブ型連続反応器に、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が83重量%となるように供給し、反応器内の圧力を1300kg/cm2に保ち、105℃の温度で反応を行った。反応終了後、MFRが2.2g/10分、TREFによる溶出曲線のピーク温度が55℃のエチレン・1−ヘキセン共重合体「PE−1」を得た。
また、重合時の1−ヘキセンの組成、重合温度を代えた以外は、上記と同様の方法で触媒調製、重合を行い、MFRが2.2g/10分、TREFによる溶出曲線のピーク温度が70℃であるエチレン・1−ヘキセン共重合体「PE−2」を得た。
【0087】
実施例1(参考例)
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、エチレン含量が5.9モル%で、MFRが6.0g/10分、ビカット軟化温度が130℃のポリプロピレン系樹脂(PP:プロピレン・エチレンランダム共重合体)を用いた。
【0088】
また、内層としては、「PE−1」と高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD・HJ562」、MFR;7g/10分、密度;0.964g/cm3)を90:10の割合で配合し、ペレット化して得られたポリエチレン系樹脂組成物を用いた。なお、この樹脂組成物は、TREFによる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が55℃、該溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が56%、H/Mが48、樹脂組成物のMFRが2.5g/10分、ビカット軟化温度が81℃の、低結晶成分と高結晶成分とを含む混合物である。
【0089】
これら内外層の樹脂材料を、プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機(ダイ径;100mmφ、ダイリップ;3mm、ダイス温度;200℃)を用い、250μmの積層体(外層厚み37.5μm、中間層厚み212.5μm)、折り径200mmのチューブ状積層体を成形した。評価結果を表1に示す。
【0090】
実施例2
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる融解ピークの補外融解終了温度が113℃、MFRが2.8g/10分、ビカット軟化温度が98℃の高圧法低密度ポリエチレン(HP-LD)を用いた。
【0091】
また、内層には、「PE−1」と、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD・HJ562」、MFR;7g/10分、密度;0.964g/cm3)を90:10の割合で配合し、ペレット化して得られたポリエチレン系樹脂組成物を用いた。なお、この樹脂組成物は、TREFによる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が55℃、該溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が56%、H/Mが48、樹脂組成物のMFRが2.5g/10分、ビカット軟化温度が81℃の、低結晶成分と高結晶成分とを含む混合物である。
【0092】
これら内外層の樹脂材料を、上記プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って250μmの積層体を得、評価を行った。結果を表1に示す。
【0093】
実施例3
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、チーグラー型触媒を用いて製造された密度が0.921g/cm3、MFRが1.1g/10分、ビカット軟化温度が102℃のエチレン・1−ブテン共重合体(L-LD)を用いた。
【0094】
また、内層には、「PE−1」と、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD・HJ562」、MFR;7g/10分、密度;0.964g/cm3)を90:10の割合で配合し、ペレット化して得られたポリエチレン系樹脂組成物を用いた。なお、この樹脂組成物は、TREFによる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が55℃、該溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が56%、H/Mが48、樹脂組成物のMFRが2.5g/10分、ビカット軟化温度が81℃の、低結晶成分と高結晶成分とを含む混合物である。
【0095】
これら内外層の樹脂材料を、上記プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って250μmの積層体を得、評価を行った。結果を表1に示す。
【0096】
実施例4(参考例)
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、エチレン含量が5.9モル%で、MFRが6.0分/10分、ビカット軟化温度が130℃のポリプロピレン系樹脂(PP:プロピレン・エチレンランダム共重合体)を用いた。
【0097】
また、内層には、「PE−1」と、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD・HJ562」、MFR;7g/10分、密度;0.964g/cm3)を70:30の割合で配合し、ペレット化して得られたポリエチレン系樹脂組成物を用いた。なお、この樹脂組成物は、TREFによる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が55℃、該溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が45%、H/Mが30、樹脂組成物のMFRが3.1g/10分、ビカット軟化温度が101℃の、低結晶成分と高結晶成分とを含む混合物である。
【0098】
これら内外層の樹脂材料を、上記プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って250μmの積層体を得、評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
実施例5(参考例)
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、エチレン含量が5.9モル%で、MFRが6.0分/10分、ビカット軟化温度が130℃のポリプロピレン系樹脂(PP:プロピレン・エチレンランダム共重合体)を用いた。
【0100】
また、内層には、「PE−2」と、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD・HJ562」、MFR;7g/10分、密度;0.964g/cm3)を90:10の割合で配合し、ペレット化して得られたポリエチレン系樹脂組成物を用いた。なお、この樹脂組成物は、TREFによる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が70℃、該溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が57%、H/Mが46、樹脂組成物のMFRが2.5g/10分、ビカット軟化温度が98℃の、低結晶成分と高結晶成分とを含む混合物である。
【0101】
これら内外層の樹脂材料を、上記プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って250μmの積層体を得、評価を行った。結果を表1に示す。
【0102】
実施例6
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、「PE−2」と、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD・HJ562」、MFR;7g/10分、密度;0.964g/cm3)を90:10の割合で配合し、ペレット化して得られたポリエチレン系樹脂組成物(エチレン・1−ヘキセン共重合体:L-LD)を用いた。なお、この樹脂組成物は、密度が0.913g/cm3、MFRが2.5g/10分、ビカット軟化温度が98℃の、低結晶成分と高結晶成分とを含む混合物である。
【0103】
また、内層には、「PE−1」と、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD・HJ562」、MFR;7g/10分、密度;0.964g/cm3)を90:10の割合で配合し、ペレット化して得られたポリエチレン系樹脂組成物を用いた。なお、この樹脂組成物は、TREFによる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が55℃、該溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が56%、H/Mが48、樹脂組成物のMFRが2.5g/10分、ビカット軟化温度が81℃の、低結晶成分と高結晶成分とを含む混合物である。
【0104】
これら内外層の樹脂材料を、上記プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って250μmの積層体を得、評価を行った。結果を表1に示す。
【0105】
比較例1
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、エチレン含量が5.9モル%で、MFRが6.0分/10分、ビカット軟化温度が130℃のポリプロピレン系樹脂(PP:プロピレン・エチレンランダム共重合体)を用いた。
【0106】
また、内層には、「PE−2」を単独で用いた。なお、この樹脂材料は、TREFによる溶出曲線の溶出ピーク温度が70℃、MFRが2.2g/10分、ビカット軟化温度が93℃である。
【0107】
これら内外層の樹脂材料を、上記プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って250μmの積層体を得、評価を行った。結果を表2に示す。
このものは、外層が上側シールバーへ付着することなく、透明性、柔軟性、落袋強度は良好であるが、耐熱性が劣るので好ましくない。
【0108】
比較例2
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、エチレン含量が5.9モル%で、MFRが6.0分/10分、ビカット軟化温度が130℃のポリプロピレン系樹脂(PP:プロピレン・エチレンランダム共重合体)を用いた。
【0109】
また、内層には、三井化学(株)製、商品名「ウルトゼックス1020L」(TREFによる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が66℃、該溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が52%、H/Mが3.5、樹脂組成物のMFRが2.0g/10分、ビカット軟化温度が93℃、エチレン・4メチルペンテン−1共重合体)を用いた。
【0110】
これら内外層の樹脂材料を、上記プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って250μmの積層体を得、評価を行った。結果を表2に示す。
このものは、外層が上側シールバーへ付着することなく、柔軟性、落袋強度は良好であるが、透明性、耐熱性が劣るので好ましくない。
【0111】
比較例3
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、エチレン含量が5.9モル%で、MFRが6.0分/10分、ビカット軟化温度が130℃のポリプロピレン系樹脂(PP:プロピレン・エチレンランダム共重合体)を用いた。
【0112】
また、内層には、日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックLL・UF230」(TREFによる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が81℃、該溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が52%、H/Mが1.2、樹脂組成物のMFRが1.1g/10分、ビカット軟化温度が102℃、エチレン・1−ブテン)を用いた。
【0113】
これら内外層の樹脂材料を、上記プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って250μmの積層体を得、評価を行った。結果を表2に示す。
このものは、外層が上側シールバーへ付着することなく、耐熱性、落袋強度は良好であるが、透明性、柔軟性が劣るので好ましくない。
【0114】
比較例4
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、チーグラー型触媒を用いて製造された密度が0.910g/cm3、MFRが2.0g/10分、ビカット軟化温度が93℃のエチレン・4メチルペンテン−1共重合体(L-LD)を用いた。
【0115】
また、内層には、「PE−2」と、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD・HJ562」、MFR;7g/10分、密度;0.964g/cm3)を90:10の割合で配合し、ペレット化して得られたポリエチレン系樹脂組成物を用いた。なお、この樹脂組成物は、TREFによる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が70℃、該溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が57%、H/Mが46、樹脂組成物のMFRが2.5g/10分、ビカット軟化温度が98℃の、低結晶成分と高結晶成分とを含む混合物である。
【0116】
これら内外層の樹脂材料を、上記プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って250μmの積層体を得、評価を行った。結果を表2に示す。
このものは、耐熱性、透明性、柔軟性、落袋強度は良好であるが、外層が上側シールバーへ付着し作業効率が低下及びトラブルの原因になるので好ましくない。
【0117】
比較例5
外層を構成するポリオレフィン系樹脂材料として、エチレン含量が5.9モル%で、MFRが6.0分/10分、ビカット軟化温度が130℃のポリプロピレン系樹脂(PP:プロピレン・エチレンランダム共重合体)を用いた。
【0118】
また、内層には、「PE−2」と、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD・HJ562」、MFR;7g/10分、密度;0.964g/cm3)を40:60の割合で配合し、ペレット化して得られたポリエチレン系樹脂組成物を用いた。なお、この樹脂組成物は、TREFによる溶出曲線の低結晶成分の溶出ピーク温度が70℃、該溶出曲線の全面積に対する低結晶成分のピーク温度以下の面積割合が30%、H/Mが15、樹脂組成物のMFRが4.4g/10分、ビカット軟化温度が120℃の、低結晶成分と高結晶成分とを含む混合物である。
【0119】
これら内外層の樹脂材料を、上記プラコー社製2種2層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って250μmの積層体を得、評価を行った。結果を表2に示す。
このものは、外層が上側シールバーへ付着することなく、耐熱性は良好であるが、透明性、柔軟性、落袋強度が劣るので好ましくない。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【発明の効果】
本発明の積層体は、衛生性が良好であるだけでなく、柔軟性及び透明性に著しく優れ、かつ耐熱性、輸送時、取り扱い時に問題となる落袋強度に優れ、さらにはヒートシール適性についても優れている。よって医療用袋、特に輸液バッグ等の医療分野における軟質容器として、好適に用いることができる。
また、本発明の医療用袋は、衛生性が良好であるだけでなく、柔軟性および透明性が著しく優れ、かつ耐熱性、さらには輸送時に問題となる耐ピンホール性(突き刺し強度)についても優れているので輸液バッグ等医療分野において好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピークが2つの場合のTREF溶出曲線を表す。
【図2】ピークが3つの場合のTREF溶出曲線を表す。図2(a)は低結晶成分の溶出ピークの溶出温度より低い温度領域で、該低結晶成分の溶出ピークよりピーク高さの低いピークが存在する場合を表す。図2(b)は高結晶成分の溶出ピークと低結晶成分の溶出ピークとの間に、該低結晶成分の溶出ピークよりピーク高さの低いピークが存在する場合を表す。
【符号の説明】
1 高結晶成分の溶出ピーク
2 低結晶成分の溶出ピーク
Claims (1)
- 少なくとも外層及び内層をこの順で含む積層体からなる医療用袋であって、前記外層が以下に示す物性(A1)を満たす、示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる融解ピークの補外融解終了温度が110℃以上の高圧法低密度ポリエチレン及び密度が0.910g/cm 3 以上のエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体からなる群から選ばれるポリオレフィン系樹脂材料で形成され、前記内層が低結晶成分と高結晶成分とを含むエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体であって、以下に示す物性(B1)〜(B5)をすべて満たすものを主成分とするポリエチレン系樹脂材料からなる積層体からなることを特徴とする医療用袋。
(A1)ビカット軟化温度Ta;Tb<Ta≦140℃
(B1)前記共重合体成分の温度上昇溶離分別(TREF)溶出曲線において、低結晶成分の溶出ピーク温度が45〜85℃の範囲にある。
(B2)前記共重合体成分の温度上昇溶離分別(TREF)溶出曲線において、低結晶成分のピークの高さをHとし、低結晶成分のピークと高結晶成分のピークとの間の最小谷間の高さをMとしたとき、H/Mの値が9以上である。
(B3)前記共重合体成分の温度上昇溶離分別(TREF)溶出曲線の全面積に対する低結晶成分の溶出ピーク温度以下の面積割合が35%以上である。
(B4)前記共重合体成分のMFRが0.1〜20g/10分である。
(B5)ビカット軟化温度Tbが65〜125℃の範囲である。
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