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JP2004167905A - 積層体 - Google Patents

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JP2004167905A
JP2004167905A JP2002337881A JP2002337881A JP2004167905A JP 2004167905 A JP2004167905 A JP 2004167905A JP 2002337881 A JP2002337881 A JP 2002337881A JP 2002337881 A JP2002337881 A JP 2002337881A JP 2004167905 A JP2004167905 A JP 2004167905A
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propylene
based polymer
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polyolefin
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JP2002337881A
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Hiroyuki Tanimura
博之 谷村
Satoyuki Kojima
智行 小島
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】耐熱性、透明性、柔軟性に優れるポリオレフィン系樹脂積層体を提供すること。
【解決手段】内表面層(I)、中間層(II)、外表面層(III)を有し、内表面層(I)および外表面層(III)は、結晶性ポリオレフィン系重合体を含有する層であり、中間層(II)は、結晶性ポリオレフィン系重合体5〜95重量%と下記要件(a)および(b)を充足する非晶性ポリオレフィン系重合体95〜5重量%とからなる重合体組成物(ただし、中間層(II)中の結晶性ポリオレフィン系重合体と下記要件(a)および(b)を充足する非晶性ポリオレフィン系重合体の合計量を100重量%とする。)を含有する層である積層体。
(a)α−オレフィン単量体単位の含有量が30モル%以上であること。ただし、非晶性ポリオレフィン系重合体中の全単量体単位を100モル%とする。
(b)135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]が0.5〜10dl/gであること。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも3層からなり、耐熱性、透明性、柔軟性に優れる積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
輸液バックや血液バック等の医療用容器などに用いられる軟質フィルムには、従来、塩化ビニル樹脂からなるフィルムが用いられてきた。ところが、近年、環境問題に対する関心の高まりから、塩化ビニル樹脂に代えて、ポリオレフィン系樹脂からなる軟質フィルムの開発が行われており、例えば、ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるフィルムが検討されている。また、該フィルムの透明性を改良した積層体として、結晶性ポリプロピレン系樹脂と低結晶性ポリオレフィン重合体との樹脂組成物からなる層と、結晶性ポリプロピレン系樹脂からなる層を有する積層体や、結晶性ポリプロピレン系樹脂からなる層と結晶性ポリエチレン系樹脂からなる層を有する積層体が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2など。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−77371号公報
【特許文献2】
特開平9−141793号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記積層体は、高圧蒸気滅菌などの加熱処理において、失透、しわ、融着が発生することがあり、耐熱性において十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、透明性、柔軟性に優れるポリオレフィン系樹脂積層体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、内表面層(I)、中間層(II)、外表面層(III)を有し、内表面層(I)および外表面層(III)は、結晶性ポリオレフィン系重合体を含有する層であり、中間層(II)は、結晶性ポリオレフィン系重合体5〜95重量%と下記要件(a)および(b)を充足する非晶性ポリオレフィン系重合体95〜5重量%とからなる重合体組成物(ただし、中間層(II)中の結晶性ポリオレフィン系重合体と下記要件(a)および(b)を充足する非晶性ポリオレフィン系重合体の合計量を100重量%とする。)を含有する層である積層体にかかるものである。
(a)α−オレフィン単量体単位の含有量が30モル%以上であること。ただし、非晶性ポリオレフィン系重合体中の全単量体単位を100モル%とする。
(b)135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]が0.5〜10dl/gであること。
【0006】
【発明の実施の形態】
内表面層(I)、中間層(II)、外表面層(III)に用いられる結晶性ポリオレフィン系重合体は、オレフィン単量体単位を含有する重合体であって、示差走査熱量測定(DSC)により、−100〜200℃に融解熱量が1J/g以上の結晶の融解ピークが観測される重合体である。耐熱性の観点から、該結晶の融解ピークの総融解熱量は30J/g以上であることが好ましく、60J/g以上であることがより好ましい。また、積層体の耐熱性、柔軟性、成型加工性の観点から、該結晶融解ピークの中でピーク温度が最大である結晶融解ピークの温度は、120〜170℃であることが好ましく、125〜150℃であることがより好ましい。
【0007】
内表面層(I)、中間層(II)、外表面層(III)に用いられる結晶性ポリオレフィン系重合体としては、オレフィン単量体の単独重合体や共重合体をあげることができ、これらは1種または2種以上使用される。該オレフィン単量体としては、エチレン、α−オレフィンがあげられ、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等があげられる。結晶性ポリオレフィン系重合体の中では、好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン以外のオレフィンとプロピレンとの共重合体であり、より好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体であり、更に好ましくはプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体である。
【0008】
上記の結晶性ポリオレフィン系重合体の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法、溶液重合法等があげられる。また、市販の該当品を用いることも可能である。
【0009】
内表面層(I)、中間層(II)、外表面層(III)に用いられる結晶性ポリオレフィン系重合体のメルトフローメート(MFR)は、通常0.1〜50g/10分であり、成型加工性の観点から好ましくは0.5〜30g/10分である。なお、該MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定される。
【0010】
中間層(II)に用いられる結晶性ポリオレフィン系重合体は、内表面層(I)および外表面層(III)に用いられる結晶性ポリオレフィン系重合体と同一のものでもよいし、また異なるものでもよい。
【0011】
中間層(II)に用いられる非晶性ポリオレフィン系重合体は、オレフィン単量体単位を含有する重合体であって、示差走査熱量測定(DSC)により、−100〜200℃に結晶の融解熱量が1J/g以上の融解ピークおよび結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピークのいずれもが観測されない重合体である。該要件を充足しない場合は、積層体の耐熱性、柔軟性が悪化する。
【0012】
非晶性ポリオレフィン系重合体は、該重合体中の全単量体単位を100モル%として、α−オレフィン単量体単位の含有量が30モル%以上(要件(a))の重合体である。該含有量は、好ましくは40モル%以上であり、更に好ましくは50モル%以上であり、該含有量が少なすぎると、耐熱性、透明性が劣ることがある。該α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が例示され、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンであり、より好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンであり、更に好ましくはプロピレン、1−ブテンである。
【0013】
非晶性ポリオレフィン系重合体は、α−オレフィン以外の単量体単位を含有していてもよく、該単量体単位としては、たとえば、エチレン、ポリエン化合物、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物等があげられる。該単量体単位の含有量は、非晶性ポリオレフィン系重合体中の全単量体単位を100モル%として、70モル%以下であることが好ましい。
【0014】
上記ポリエン化合物としては、共役ポリエン化合物、非共役ポリエン化合物などをあげることができる。共役ポリエン化合物としては、脂肪族共役ポリエン化合物および脂環族共役ポリエン化合物などがあげられ、これらは、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基などを有していてもよい。
【0015】
上記環状オレフィンとしては、たとえば、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、シクロへプテン等があげられる。
【0016】
上記ビニル芳香族化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等があげられる。
【0017】
本発明における非晶性ポリオレフィン系重合体として、好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体、プロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとエチレンとの共重合体であり、より好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体であり、さらに好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体であり、特に好ましくはプロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体であり、最も好ましくはプロピレン−1−ブテン共重合体であり、上記重合体の中では、プロピレン単位の含有量が30モル%以上の重合体(ただし、各重合体中の全単量体単位を100モル%とする。)がより好ましい。また、上記重合体は、1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0018】
135℃のテトラリン中で測定される非晶性ポリオレフィン系重合体の極限粘度[η]は0.5〜10dl/gであり(要件(b))、好ましくは0.7〜7dl/gであり、より好ましくは1.5〜5dl/gである。[η]が小さすぎると、積層体の耐熱性が劣ることがあり、[η]が大きすぎると溶融混練時の加工性が劣ることがある。
【0019】
非晶性ポリオレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、耐熱性をより高める観点から、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。ここで、非晶性ポリオレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0020】
本発明で用いられる非晶性ポリオレフィン系重合体の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。これらの中でも好ましくは、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等であり、該錯体系触媒としては、たとえば特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平10−508055号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報などに記載のメタロセン系触媒;特開平10−316710号公報、特開平11−100394号公報、特開平11−80228号公報、特開平11−80227号公報、特表平10−513489号公報、特開平10−338706号公報、特開表11−71420号公報などに記載の非メタロセン系の錯体触媒を例示することができる。これらの中でも、入手容易性の観点から、メタロセン触媒が好ましく、その中でも好適なメタロセン触媒の例としては、シクロペンタジエン形アニオン骨格を少なくとも1個有し、C対称構造を有する周期表第3族〜第12族の遷移金属錯体が好ましい。また、メタロセン触媒を用いた製造方法の特に好ましい例として、欧州特許出願公開第1211287号明細書の方法を例示することができる。
【0021】
中層層(II)における結晶性ポリオレフィン系重合体(以下成分(X)と称する。)および上記要件(a)および(b)を充足する非晶性ポリオレフィン系重合体(以下成分(Y)と称する。)の含有量としては、中間層(II)中の成分(X)と成分(Y)の合計量を100重量%として、成分(X)の含有量が5〜95重量%であり、成分(Y)の含有量が95〜5重量%であり、好ましくは、成分(X)の含有量が10〜90重量%であり、成分(Y)の含有量が90〜10重量%であり、より好ましくは、成分(X)の含有量が15〜70重量%であり、成分(Y)の含有量が85〜30重量%である。成分(Y)の含有量が少なすぎる(成分(X)の含有量が多すぎる)と、柔軟性、透明性が低下することがあり、また、成分(Y)の含有量が多すぎる(成分(X)の含有量が少なすぎる)と、耐熱性が低下することがある。
【0022】
積層体の各層には、必要に応じて各種添加剤、例えば中和剤、酸化防止剤、造核剤、紫外線吸収剤、滑剤、有機または無機系のアンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、タルク等の充填剤などを含ませることができる。
【0023】
本発明の積層体は、内表面層(I)、中間層(II)、外表面層(III)を有していればよく、例えば(I)/(II)/(III)の3層構成でもよいし、(I)/(II)/(IV)/(III)の4層構成でもよいし、(I)/(II)/(IV)/(II)/(III)のような5層構成でもよい。ここで層(IV)は、リサイクル層であってもかまわない。
【0024】
積層体の総厚みは、通常、5〜1000μmであり、柔軟性、透明性をより高める観点から、好ましくは10〜500μmであり、より好ましくは20〜200μmである。また、各層の厚みは、通常、層(I)/層(II)/層(III)=1〜200μm/1〜800μm/1〜200μmであり、柔軟性、透明性をより高める観点から、好ましくは、層(I)/層(II)/層(III)=2〜150μm/2〜400μm/2〜150μmであり、より好ましくは、層(I)/層(II)/層(III)=3〜80μm/3〜180μm/3〜80μmである。
【0025】
本発明の積層体の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、押出成形、カレンダー成形、インフレーション成形、ブロー成形により、フィルム、シート、チューブ、容器等の形状の積層体を製造することができる。
【0026】
本発明の積層体は、加熱処理が行われる用途、例えば、レトルト食品包装、レトルト食品容器などのレトルト用途;高圧蒸気滅菌処理医療用容器、高圧蒸気滅菌処理医療用袋、高圧蒸気滅菌処理医療用チューブなどの高圧蒸気滅菌処理用途に好適に用いられる。該加熱処理条件には、公知の条件が用いられ、通常、オートクレーブや高圧蒸気滅菌器を用いて、105〜135℃、10〜60分の条件で行われる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例、および比較例もよって本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の物性測定は、以下の方法で行った。
(1)非晶性ポリオレフィン重合体の単量体単位組成
核磁気共鳴装置(Bruker社製 商品名AC−250)を用いて、13C−NMRスペクトルの測定結果に基づき算出した。具体的には、13C−NMRスペクトルにおいて、プロピレン単位由来のメチル炭素のスペクトル強度と1−ブテン単位由来のメチル炭素スペクトルとの強度比からプロピレン単位と1−ブテン単位の組成比を算出した。
(2)極限粘度[η]
135℃において、ウベローデ粘度計を用いて行った。テトラリン単位体積あたりの非晶性オレフィン重合体の濃度cが、0.6、1.0、1.5mg/mlである非晶性オレフィン重合体のテトラリン溶液を調整し、135℃における極限粘度を測定した。それぞれの濃度で3回繰り返し測定し、得られた3回の値の平均値をその濃度での比粘度(ηsp)とし、ηsp/cのcをゼロ外挿した値を極限粘度[η]として求めた。
(3)分子量分布測定
ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法を用い、下記の条件により測定を行った。
装置:Waters社製 150C ALC/GPC
カラム:昭和電工社製Shodex Packed ColumnA−80M2本
温度 :140℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
溶出溶媒流速:1.0ml/min
試料濃度:1mg/ml
測定注入量:400μl
分子量標準物質:標準ポリスチレン
検出器:示差屈折
(4)DSC測定方法
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製DSC220C:入力補償DSC)を用い以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持した。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後、5分間、保持した。この(ii)で観察されるピークが結晶化ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の結晶化ピークの有無を確認した。
(iii)次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。この(iii)で観察されるピークが結晶の融解ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の融解ピークの有無を確認した。
(5)メルトフローレート(MFR)
結晶性ポリオレフィン系重合体、非晶性ポリオレフィン系重合体は、JIS K7210に従い、荷重21.18N、温度230℃の条件で測定を行った。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体は、JISK7210に従い、荷重21.18N、温度190℃の条件で測定を行った。(6)密度
JIS K6760に従い、アニール処理有りで測定した。
【0028】
(7)透明性
積層体の透明性は、耐熱性評価前の積層体を用い、ASTM D−1003に従いHaze(単位:%)を測定した。
(8)耐熱性
積層体の耐熱性は、以下の▲1▼、▲2▼の方法で行った。
▲1▼.耐加熱処理性
下記▲1▼−1、▲1▼−2の方法で評価を行った。
▲1▼−1:加熱処理前後での積層体のヘイズを測定し、加熱処理前後のHaze値の差(ΔHaze)を求め耐加熱処理性とした。この値が小さいほど、フィルムの白化の程度が小さく、加熱による透明性の悪化が少ないことを示す。
加熱処理は、積層体を120mm×400mmの大きさに裁断し、これを二つ折りにして2辺をヒートシールすることにより120mm×200mmの大きさの袋を作製し、次に、該袋に蒸留水600mlを充填し、袋の口をヒートシールすることにより、蒸留水600mlが充填された容器を作製した。この容器を、レトルト型高圧蒸気滅菌器(アルプ株式会社製 形式RK3040)を用いて下記条件で加熱処理を行った。
<加熱処理条件>
熱処理温度:121℃
熱処理ゲージ圧:1.8kg/cm
熱処理時間:40分
熱処理後の状態調製:23℃、1昼夜
▲1▼−2:上記▲1▼−1の加熱処理後、積層フィルムのしわの程度を目視観察し、以下のように評価した。
◎:しわが見られない
○:しわが僅かに見られる
△:しわが少し見られる
×:しわが多く見られる
▲2▼.耐加温性
加温前後での積層体のHazeを測定し、加温前後のHaze値の差(ΔHaze)を求め耐加温性とした。この測定は、医療用輸液、血液等が封入される前の容器等が搬送または保管中に受ける熱履歴を想定した評価であり、加温は加熱オーブン中で60℃、4日間行った。この値が小さいほど、積層体の白化の程度が小さく、加温による透明性の悪化が小さいことを示す。
(9)柔軟性
柔軟性の指標として、前記(8)▲1▼で耐加熱処理性を評価した場合と同様の加熱処理を行った後の積層体のヤング率をASTM D−882に従い測定を行った。
【0029】
<実施例1>
[1]非晶性ポリオレフィン系重合体の製造
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、プロピレンと1−ブテンとを、分子量調節として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて、本発明の非晶性ポリオレフィン系重合体にあたるプロピレン−1−ブテン共重合体を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを100L/時間の供給速度で、プロピレンを24.00Kg/時間の供給速度で、1−ブテンを1.81Kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出した。
重合器の下部から、重合触媒の成分として、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.298g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマー及び水洗浄をし、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。該共重合体の生成速度は7.10Kg/時間であった。
得られたプロピレン−1−ブテン共重合体の物性評価結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 2004167905
【0031】
[2]積層体の製造
内表面層(I)および外表面層(III)用材料としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製 商品名ノーブレンFS3611、MFR(230℃)=3.5g/10分、エチレン単位含有量=5重量%、DSCによる結晶融解ピーク温度=135℃、結晶融解ピークの熱量=60J/g)を用いた。中間層(II)用材料としては、上記[1]で得られたプロピレン−1−ブテン重合体85重量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製 商品名ノーブレンS131、MFR(温度230℃)=1.5g/10分、結晶融解ピーク温度=135℃、結晶融解ピークの熱量=60J/g)15重量%をバンバリー混練機で溶融混練した組成物を用いた。これら材料を(株)プラコー製3種3層Tダイフィルム成形機の各層の押出機に供給し、押出機温度220〜250℃、ダイ温度250℃、引取速度5m/分で加工することにより、各層の厚みが内表面層(I)/中間層(II)/外表面層(III)=20μm/100μm/20μm、総厚み140μmである積層体を作製した。得られた積層体の物性評価結果を表2に示す。
【0032】
<実施例2>
中間層(II)用材料を、実施例1の中間層(II)で用いた組成物82重量部、プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製 商品名ノーブレンFS3611)18重量部からなる組成物とした以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。得られた積層体の物性評価結果を表2に示す。
【0033】
<実施例3>
中間層(II)用材料を、実施例1の中間層(II)で用いた組成物59重量部、プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製 商品名ノーブレンFS3611)41重量部からなる組成物とした以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。得られた積層体の物性評価結果を表2に示す。
【0034】
<実施例4>
中間層(II)用材料を、実施例1の中間層(II)で用いた組成物35重量部、プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製 商品名ノーブレンFS3611)65重量部からなる組成物とした以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。得られた積層体の物性評価結果を表2に示す。
【0035】
<比較例1>
中間層(II)用材料を、プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製 商品名ノーブレンFS3611)とした以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。得られた積層体の物性評価結果を表3に示す。
【0036】
<比較例2>
中間層(II)用材料を、プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業(株)製 ノーブレンFS3611)50重量部、プロピレン−1−ブテン共重合体(宇部興産製 商品名ウベタックUT2780 [η]=0.4dl/g、ブテン含有量=38モル%、Mw/Mn>10、結晶融解ピーク温度91℃、結晶融解熱量9J/g)50重量部からなる組成物とした以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。得られた積層体の物性評価結果を表3に示す。
【0037】
<比較例3>
中間層(II)用材料を、エチレン−1−ヘキセン共重合体(三井住友ポリオレフィン(株)製 商品名エボリューFV103、MFR(190℃)=1.0g/10分、結晶融解ピーク温度=110℃、密度=905kg/m)とした以外は実施例1と同様に行った。得られた積層体の評価結果を表3に示す。
【0038】
<比較例4>
中間層(II)用材料を、エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学工業(株)製 商品名エバテートD2011、MFR(190℃)=2g/10分、酢酸ビニル単位の含有量=5重量%)とした以外は実施例1と同様に行った。得られた積層体の評価結果を表3に示す。
【0039】
【表2】
Figure 2004167905
A:実施例1で製造したプロピレン−1−ブテン共重合体
B1:住友化学工業(株)製 商品名ノーブレンS131
B2:住友化学工業(株)製 商品名ノーブレンFS3611
【0040】
【表3】
Figure 2004167905
B2:住友化学工業(株)製 商品名ノーブレンFS3611
C:宇部興産製 商品名ウベタックUT2780
D:三井住友ポリオレフィン(株)製 商品名エボリューFV103
E:住友化学工業(株)製 商品名エバテートD2011
【0041】
【発明の効果】
以上、本発明により、耐熱性、透明性、柔軟性に優れるポリオレフィン系樹脂積層体を提供することができた。本積層体はその優れた特徴から、医療用容器、食品包装、食品容器、繊維包装、金属保護フィルム、建材用シート等の幅広い分野に適用でき、特に、加熱処理が行われる用途、例えば、レトルト食品包装、レトルト食品容器などのレトルト用途;高圧蒸気滅菌処理医療用容器、高圧蒸気滅菌処理医療用袋、高圧蒸気滅菌処理医療用チューブなどの高圧蒸気滅菌処理用途に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 内表面層(I)、中間層(II)、外表面層(III)を有し、内表面層(I)および外表面層(III)は、結晶性ポリオレフィン系重合体を含有する層であり、中間層(II)は、結晶性ポリオレフィン系重合体5〜95重量%と下記要件(a)および(b)を充足する非晶性ポリオレフィン系重合体95〜5重量%とからなる重合体組成物(ただし、中間層(II)中の結晶性ポリオレフィン系重合体と下記要件(a)および(b)を充足する非晶性ポリオレフィン系重合体の合計量を100重量%とする。)を含有する層である積層体。
    (a)α−オレフィン単量体単位の含有量が30モル%以上であること。ただし、非晶性ポリオレフィン系重合体中の全単量体単位を100モル%とする。
    (b)135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]が0.5〜10dl/gであること。
  2. 非晶性ポリオレフィン系重合体が、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体、プロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとエチレンとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の非晶性ポリオレフィン系重合体である請求項1に記載の積層体。
  3. 非晶性ポリオレフィン系重合体が、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体から選ばれる少なくとも1種の非晶性ポリオレフィン系重合体である請求項1に記載の積層体。
  4. 非晶性ポリオレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が3以下である請求項1〜3に記載の積層体。
  5. 結晶性ポリオレフィン系重合体が、プロピレン単独重合体、プロピレン以外のオレフィンとプロピレンとの共重合体から選ばれる少なくとも1種の結晶性ポリオレフィン系重合体である請求項1〜4いずれかに記載の積層体。
  6. 結晶性ポリオレフィン系重合体のピーク温度が最大である結晶の融解ピーク温度が120〜170℃である請求項1〜5いずれかに記載の積層体。
  7. 高圧蒸気滅菌処理用である請求項1〜6いずれかに記載の積層体。
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