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JP4280436B2 - リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明はリチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法に関し、さらに詳しくは熱的安定性に優れたリチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池は可逆的にリチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を正極及び負極として使用し、前記正極と負極との間に有機電解液またはポリマー電解液を充填して製造し、リチウムイオンが正極及び負極で挿入及び脱離される時の酸化、還元反応によって電気エネルギーを生成する。
【0003】
リチウム二次電池の負極活物質としてはリチウム金属を使用したが、リチウム金属を使用する場合デンドライトの形成による電池短絡によって爆発する危険性があるため、リチウム金属の代わりに非晶質炭素または結晶質炭素などの炭素系物質に代替されるようになっている。特に、最近では炭素系物質の容量を増加させるために炭素系物質にホウ素を添加してホウ素コーティングされたグラファイト(BOC)を製造している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
正極活物質としてはカルコゲナイド化合物が用いられており、その例としてLiCoO、LiMn、LiNiO、LiNi - Co(0<x<1)、LiMnOなどの複合酸化物が研究されている。前記正極活物質のうちLiMn、LiMnOなどのMn系正極活物質は合成も容易で値段が比較的に安く、環境に対する汚染の恐れも少ないので魅力がある物質ではあるが、容量が小さいという短所を持っている。LiCoOは良好な電気伝導度と高い電池電圧、そして優れた電極特性を見せており、現在Sony社等で商業化され市販されている代表的な正極活物質であるが、値段が高いという短所を持っている。LiNiOは前記に言及した正極活物質のうち最も値段が安く、最も高い放電容量の電池特性を示しているが合成が難しい短所を有している。
【0005】
このうち正極活物質としてはLiCoOが主に用いられており、最近Sony社でAlを約1乃至5重量%ドーピングしてCoの一部をAlに置換したLiCo - Alを開発し、A&TB社ではSnOをドーピングしてCoの一部をSnに置換したLiCo - Snを開発した。
【0006】
前述した正極及び負極活物質で構成されたリチウム二次電池は使用するセパレータと電解質の種類によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池及びリチウムポリマー電池に分類することができる。リチウムイオン電池はセパレータとして多孔性ポリプロピレン/ポリエチレンフィルムを使用し、電解質としてはリチウム塩が溶解されたカーボネート系列の有機溶媒を使用する電池を言う。リチウムイオンポリマー電池は電解質として多孔性SiOなどとフッ化ポリビニリデン系列のポリマー基材に前記有機溶媒を含浸させたものを使用し、この電解質がセパレータの役割もするので、別途のセパレータを使用する必要はない。また、リチウムポリマー電池は電解質として純粋なリチウムイオン導伝性を有するSO系列の無機物質または有機物質を使用する電池を言う。
【0007】
前記構成のリチウム二次電池の形態には円筒形、角形、コイン形などがある。円筒形電池はリチウムイオン二次電池を例として説明すれば、正極、負極とセパレータを重ね巻きしてロールケーキのようなスパイラル形の極板群を製造し、この極板群を円筒形電池ケースに入れた後、電解液を注入した電池を言う。角形電池は前記極板群を角形電池ケースに入れて製造した電池を言い、コイン形電池は前記極板群をコイン形電池ケースに入れて製造した電池を言う。また、ケースの材質によってスチールまたはAl材質の缶を使用した電池とパウチ電池に区別することができる。缶電池は前記電池ケースがスチールまたはAlの薄い板で製造されたもののことを言い、パウチ電池はビニル袋のような多層構造からなる1mm以内の厚さの柔軟な材質に前記極板群を入れて製造された電池であって、電池の厚さが缶電池に比べて薄く、柔軟な構造を有する電池を言う。
【0008】
このようなリチウム二次電池は最近電子機器が小型化及び軽量化されるにつれてますます高容量、長寿命などの電気化学的特性に優れた電池を開発するための研究が進められている。
【0009】
本発明は前述した問題点を解決するためのものであって本発明の目的は、熱的安定性が向上したリチウム二次電池用正極活物質を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、前記リチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明は、リチウム化合物を含むコア及び前記コア上に一つ以上形成される表面処理層を含むリチウム二次電池用正極活物質を提供する。前記表面処理層は二つ以上のコーティング元素を含む。または、本発明のリチウム二次電池用正極活物質は二つ以上の表面処理層を含むこともできる。二つ以上の表面処理層で夫々の層は一つ以上のコーティング元素を含むことができる。
【0012】
前記コーティング元素はMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、Sn、V、Ge、Ga、B、As及びZrからなる群より選択されるのが好ましいが、これに限られるわけではない。
【0013】
前記表面処理層は単一層または多重層であり得る。前記単一層は少なくとも二つ以上のコーティング元素を含む。前記多重層で夫々の層は互いに異なる、少なくとも一つ以上のコーティング元素を含む。
【0014】
本発明はまた一種以上のコーティング元素源を含む有機溶液または水溶液(以下、”コーティング溶液”とする)でリチウム化合物をコーティングし、前記コーティングされた化合物を熱処理する工程を含むリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供する。
【0015】
前記コーティング及び熱処理工程で一種以上のコーティング溶液で前記リチウム化合物を順次に2回以上コーティング、熱処理して多重層を形成することもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0017】
本発明のリチウム二次電池用正極活物質はリチウム化合物を含むコアとこのコア上に一つ以上表面処理層で構成される。前記表面処理層はコーティング元素を一種以上含む単一層の場合もあり、各層で互いに異なるコーティング源を一種または二種以上含む多重層である場合もある。
【0018】
本発明の正極活物質のコアを構成するリチウム化合物としては下記の化学式1乃至11からなる群より選択される一つ以上の化合物であるのが好ましい。これら化合物のうちリチウム-コバルトカルコゲナイド、リチウム-マンガンカルコゲナイド、リチウム-ニッケルカルコゲナイド、またはリチウム-ニッケル-マンガンカルコゲナイド化合物を本発明にさらに好ましく用いることができる。
[化学式1]
LixMn1-yM’yA2
[化学式2]
LixMn1-yM’yO2-zXz
[化学式3]
LixMn2O4-zAz
[化学式4]
LixMn2-yM’yA4
[化学式5]
LixM1-yM”yA2
[化学式6]
LixMO2-zAz
[化学式7]
LixNi1-yCoyO2-zAz
[化学式8]
LixNi1-y-zCoyM”zAα
[化学式9]
LixNi1-y-zCoyM”zO2- αXα
[化学式10]
LixNi1-y-zMnyM’zAα
[化学式11]
LixNi1-y-zMnyM’zO2- αXα
(前記式において、0.95≦x≦1.1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0<α≦2であり、MはNiまたはCoであり、M’はAl、Ni、Co、Cr、Fe、Mg、Sr、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th及びPaからなる群より選択される一つ以上の元素であり、M”はAl、Cr、Mn、Fe、Mg、Sr、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th及びPaからなる群より選択される一つ以上の元素であり、AはO、F、S及びPからなる群より選択される元素であり、XはF、S及びPからなる群より選択される元素である。)
【0019】
前記コーティング元素はMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Ga、Ge、B、As及びZrからなる群より選択されるのが好ましい。
【0020】
前記一つ以上の表面処理層内のコーティング元素の含量は正極活物質に対して2×10- 乃至1重量%であるのが好ましくて、0.001乃至1重量%であるのがさらに好ましい。
【0021】
本発明の一実施例によると、前記コアはリチウム−コバルトカルコゲナイド化合物及び前記コア上に形成されるコーティング元素の二つ以上の酸化物層を含む。前記酸化物層のうちの一つはAlを含む。本発明の他の実施例によると、前記コアはリチウム−マンガンカルコゲナイド化合物またはリチウム−コバルトカルコゲナイド化合物及び前記コア上に形成される二つ以上のコーティング元素の酸化物層を含む。前記酸化物層のうち一つはボロンを含む酸化物を含む。
【0022】
本発明の正極活物質は充放電の時4.0V乃至4.3Vの電圧範囲で相転移が起こることを特徴とする。また本発明の正極活物質は発熱温度が230℃以上で高く発熱量が小さくて熱的安定性が優れている。
【0023】
以下、本発明の正極活物質の製造方法を詳細に説明する。
【0024】
まず、少なくとも一つ以上のリチウム化合物をコーティング溶液でコーティングする。
【0025】
前記コーティング溶液の製造時に用いられるコーティング元素としては有機溶媒または水に溶解されるものであればいずれも用いることができ、その代表的な例としてMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、AsまたはZrがある。
【0026】
前記コーティング溶液はコーティング元素源を有機溶媒または水に溶解させて製造したり、好ましくは、これを還流させて製造する。前記コーティング元素源はコーティング元素、またはコーティング元素のアルコキシド、塩または酸化物を含む。前記有機溶媒または水に溶解される適当なコーティング元素の形態はこの分野の通常の知識によって選択されることができる。例えば、有機溶媒を溶媒として使用すると、コーティング元素またはコーティング元素を含むアルコキシド、塩または酸化物をコーティング元素として使用することができ、水を溶媒として使用すると、コーティング元素を含む塩または酸化物を使用することができる。例えばホウ素を含むコーティング溶液はHB(OH)、B、HBOなどを有機溶媒または水に溶解させて製造することができる。
【0027】
前記コーティング溶液のうちコーティング元素源を含む有機溶液の製造時に使用可能な有機溶媒としてはメタノール、エタノールまたはイソプロパノールのようなアルコール、ヘキサン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エーテル、メチレンクロライド、アセトンなどがある。
【0028】
代表的な有機溶液としてコーティング元素を含むアルコキシド溶液がある。前記アルコキシド溶液は前記コーティング元素をメタノールエタノールまたはイソプロパノールのようなアルコールに溶解しこれを還流させて製造したり、またはメトキシド、エトキシドまたはイソプロポキシドのようなコーティング元素を含むアルコキシドをアルコールに溶解して製造する。このようなコーティング元素のアルコキシド溶液の例として、Siアルコキシド溶液は市販しているテトラエチルオルトシリケート(tetraethylorthosilicate)溶液またはシリケートをエタノールに溶解して製造したテトラエチルオルトシリケート溶液がある。
【0029】
前記コーティング溶液のうち水溶液の製造時に用いることができるコーティング元素を含む塩またはコーティング元素を含む酸化物の代表的な例としてはアンモニウムバナデート(NH(VO))のようなバナジウム酸塩、酸化バナジウム(V)などがある。
【0030】
前記コーティング溶液の製造時に添加されるコーティング元素源の濃度は有機溶液または水溶液に対して0.1乃至50重量%であり、さらに好ましくは1乃至20重量%である。前記コーティング元素の濃度が0.1重量%より低ければコーティング溶液でリチウム化合物をコーティングする効果が現れず、前記コーティング元素 の濃度が50重量%を超過すればコーティング層の厚さがあまり厚くなり好ましくない。
【0031】
前記コーティング方法としてはスパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、浸漬法(Impregnation)であるディプコーティング(dip coating)法など一般的なコーティング方法を用いることができるが、最も簡便なコーティング法である単純に粉末をコーティング溶液に浸して取り出すディップコーティング法を用いるのが好ましい。前記ディップコーティング法は、リチウム化合物をコーティング溶液に混合し(混合工程)、得られたリチウム化合物のスラリーを前記溶液から分離して過剰の溶液を除去する工程(溶液分離工程)を含む。
【0032】
前記溶液コーティングされたリチウム化合物を約120℃のオーブンで数時間乾燥して乾燥コーティングされたリチウム化合物を製造する工程をも含みうる。
【0033】
次に、コーティングされたリチウム化合物を熱処理する。この熱処理工程は200乃至800℃で1乃至20時間実施する。さらに均一な結晶性活物質を製造するために前記熱処理工程は乾燥空気を流す条件下で遂行するのが好ましい。この時熱処理温度が200℃より低ければイオン伝導性が優れている表面処理層が形成されないためリチウムイオンの移動が妨害されることがある。また、熱処理温度が800℃より高ければリチウムの蒸発及び表面に形成されたコーティング元素の酸化物層の結晶度が高まりLi+の移動に問題がある。また、熱処理時間が前記範囲外である場合にもリチウムの蒸発及び表面に形成されたコーティング元素の酸化物層の結晶度が高まりLi+の移動に問題がある。
【0034】
前記熱処理工程によりコーティング元素が酸化物に変化する。従って、コーティング元素を含む有機溶液または水溶液を混合して1回コーティングを実施した場合には、表面にAB酸化物(AとBは各々Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、Sn、V、Ge、Ga、B、As及びZrからなる群より選択され、互いに同一でない)単一層が形成され、2回以上コーティング工程を実施した場合には、表面にA酸化物層とこの層の上に形成されたB酸化物層などの多重層が形成される。
【0035】
前記コーティング工程は一つ以上のコーティング溶液を使用して実施し、一つのコーティング層に一つ以上のコーティング元素源が含まれるようにすることができる。また一つ以上のコーティング元素源を含む第1有機溶液または第1水溶液で一次コーティングした後熱処理し、一つ以上のコーティング元素源を含む第2有機溶液または第2水溶液で二次コーティングした後熱処理して二重層を形成することもできる。一つ以上のコーティング溶液で順次に三回以上コーティング及び熱処理してコーティング元素酸化物表面処理層が三つ以上になるようにすることもできる。
【0036】
コーティング溶液を一つ以上混合してコーティング工程を実施する場合には、使用する溶液を同一体積で混合することが好ましい。
【0037】
前記工程で表面に形成された、表面処理層の厚さは1〜100nmであるのが好ましく、1〜50nmであるのがさらに好ましい。表面に形成された表面処理層の厚さが1nm未満である場合には、コーティングによる効果が微々であり、厚さが100nmを超過すれば、コーティング層の厚さがあまり厚くて好ましくない。
【0038】
熱処理を実施した後、得られた生成物を炉内で約200乃至500℃に冷却した後、大気中に急速に取り出す、つまり、常温で急冷工程を実施することもでき、炉内で100℃未満に冷却させて大気中に取り出す徐冷工程を実施することもできる。急冷工程を実施する場合急冷速度は0.5℃/min以上であるのが好ましい。
【0039】
本発明で使用したリチウム化合物は商業的に流通される化合物を使用することもでき、合成されたリチウム化合物を使用することもできる。また、これらリチウム化合物を混合して使用することもできる。
【0040】
前記リチウム化合物を合成方法は次の通りである。まず、リチウム塩及びコーティング元素の塩を所望の当量比通りに混合する。前記リチウム塩としては一般にマンガン系リチウム二次電池用正極活物質を製造するのに用いられているものはいずれも用いることができ、その代表的な例として硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウムなどがある。前記コーティング元素の塩としてはマンガン塩、コバルト塩、ニッケル塩またはニッケルマンガン塩を用いることができる。前記マンガン塩としては酢酸マンガン、二酸化マンガンなどを使用することができ、前記コバルト塩としては水酸化コバルト、硝酸コバルトまたは炭酸コバルトなどを用いることができ、ニッケル塩としては水酸化ニッケル、硝酸ニッケルまたは酢酸ニッケルなどを用いることができる。前記ニッケルマンガン塩はニッケル塩とマンガン塩とを共沈方法で沈殿させて製造されたもの等を用いることができる。コーティング元素の塩としてマンガン塩、コバルト塩、ニッケル塩またはニッケルマンガン塩と共にフッ素塩、硫黄塩またはリン塩を共に沈殿させることもできる。このフッ素塩としてはフッ化マンガン、フッ化リチウムなどを用いることができ、前記硫黄塩としてはマンガンサルファイド、リチウムサルファイドなどを使用することができ、前記リン塩としてはHPOを用いることができる。前記マンガン塩、コバルト塩、ニッケル塩、ニッケルマンガン塩、フッ素塩、硫黄塩及びリン塩が前記化合物に限られるわけではない。
【0041】
この時、リチウム塩及びコーティング元素の塩の反応を促進させるために、エタノール、メタノール、水、アセトンなど適切な溶媒を添加して溶媒が殆どなくなるまで(solvent-free)モルタルグラインダー混合を実施することもできる。
【0042】
得られた混合物を約400〜600℃温度で熱処理して準結晶性状態のリチウム化合物前駆体粉末を製造する。熱処理温度が400℃より低ければリチウム塩とコーティング元素の塩の反応が十分でないという問題点がある。前記1次熱処理温度が400℃より低ければ、リチウム塩とコーティング元素の塩の反応が十分でない。また熱処理して製造された前駆体粉末を乾燥させた後、または熱処理過程後に乾燥空気をフローイング(flowing)しながら正極活物質前駆体粉末を常温で再混合させてリチウム塩を均一に分布させることもできる。
【0043】
得られた準結晶性前駆体粉末を700〜900℃温度で約10〜15時間2次熱処理する。2次熱処理温度が700℃より低ければ結晶性物質が形成され難しい問題点がある。前記熱処理工程は乾燥空気または酸素をフローイングする条件下で1〜5℃/分の速度で昇温して実施し、各熱処理温度で一定の時間維持した後、自然冷却することからなる。
【0044】
次に、製造されたリチウム化合物の粉末を常温で再混合させてリチウム塩をさらに均一に分布させることもできる。前記工程によって、化学式1乃至11で示される化合物から選択されるリチウム化合物粉末が製造される。
【0045】
以下、本発明の好ましい実施例及び比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例にすぎず、本発明が下記の実施例に限られるわけではない。
【0046】
(比較例1)
平均粒径が10μmであるLiCoO粉末とスーパーPカーボン導電材及びフッ化ポリビニリデンバインダーを94:3:3の質量比で測定した後、N-メチルピロリドン溶媒に溶かして正極活物質スラリーを製造した。このスラリーをAl箔上に固めて乾燥した後、プレシングしてコイン電池用正極極板を製造した。製造された正極極板と対極にリチウム金属を使用してAr除去された(purged)グローブボックスでコインタイプの半電池を製造した。この時電解液は1M LiPFが溶解されたエチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒1:1体積比)の標準電解液を使用した。
【0047】
(比較例2)
正極活物質としてLiCoOの代わりにLi1.03Ni0.69Mn0.19Co0.1Al0.07Mg0.07(平均粒径:10μm)を使用したことを除いて前記比較例1と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0048】
(比較例3)
正極活物質としてLiCoOの代わりにLiNi0.9Co0.1Sr0.002(平均粒径:10μm)を使用したことを除いて前記比較例1と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0049】
(比較例4)
正極活物質としてLiCoOの代わりにLiMn(平均粒径:20μm)を使用したことを除いては前記比較例1と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0050】
(実施例1)
Al-イソプロポキシド粉末をエタノールに添加して5重量%のAl-イソプロポキシド溶液を製造した。平均粒径が10μmであるLiCoO粉末100gを前記Al-イソプロポキシド溶液に添加し、撹拌機で約10分間かき回して前記Al-イソプロポキシド溶液がLiCoO粉末の表面に均一にコーティングされるようにした。このように製造されたスラリーを約30分間放置してスラリーとAl-イソプロポキシド溶液とを分離した後、Al-イソプロポキシド溶液を除去してスラリーのみを熱処理用炉に入れた。前記スラリーを炉で3℃/分の昇温速度で乾燥空気を流しながら300℃で10時間熱処理した後、炉内で冷却させた。炉の温度が約200℃になったところで熱処理用炉から空気中に取り出して急冷、放置し、常温になったら粉末を粉砕、分級して最終的に正極活物質粉末の製造を完了した。このように製造した正極活物質粉末を使用して比較例1と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0051】
(実施例2)
熱処理温度を300℃から500℃に変更したことを除いては前記実施例1と同様な方法で実施してコインタイプの半電池を製造した。
【0052】
(実施例3)
熱処理温度を300℃から700℃に変更したことを除いては前記実施例1と同様な方法で実施してコインタイプの半電池を製造した。
【0053】
(実施例4)
実施例1で1次熱処理して製造したアルミニウム酸化物が表面にコーティングされたコア/シェルタイプのLiCoO粉末を充分なテトラエチルオルトシリケート溶液に浸漬した後攪拌して2次コーティングをした。2次コーティングされたLiCoO粉末を実施例1に記載された方法と同様な方法で溶液とスラリーに分離した後、スラリーのみを300℃で10時間熱処理してアルミニウム酸化物が1次コーティングされた粉末に2次シリコン酸化物がコーティングされた多重層LiCoO粉末を合成した。製造された多重層LiCoO粉末を利用して比較例1と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0054】
(実施例5)
実施例2の方法で製造されたアルミニウム酸化物が表面にコーティングされたコア/シェルタイプのLiCoO粉末を使用し、熱処理温度を300℃から700℃に変更したことを除いては前記実施例4と同様な方法で実施してコインタイプの半電池を製造した。
【0055】
(実施例6)
実施例3の方法で製造されたアルミニウム酸化物が表面にコーティングされたコア/シェルタイプのLiCoOを使用し、熱処理温度を300℃から500℃に変更したことを除いては前記実施例4と同様な方法で実施してコインタイプの半電池を製造した。
【0056】
(実施例7)
Al-イソプロポキシド溶液の代りに、Al-イソプロポキシド溶液とテトラエチルオルトシリケート溶液との混合溶液を使用したことを除いては前記実施例4と同様な方法で実施してコインタイプの半電池を製造した。
【0057】
(実施例8)
Al-イソプロポキシド溶液の代りに、Al(NOを水に添加して製造した5重量%の硝酸アルミニウム溶液を使用したことを除いては前記実施例1と同様な方法で実施してコインタイプの半電池を製造した。
【0058】
(実施例9)
Al-イソプロポキシド溶液の代りに、Al(NOを水に添加して製造した5重量%の硝酸アルミニウム溶液を使用し、熱処理温度を300℃から500℃に変更したことを除いては前記実施例1と同様な方法で実施してコインタイプの半電池を製造した。
【0059】
(実施例10)
Al-イソプロポキシド溶液の代りに、Al(NOを水に添加して製造した5重量%の硝酸アルミニウム溶液を使用し、熱処理温度を300℃から700℃に変更したことを除いては前記実施例1と同様な方法で実施してコインタイプの半電池を製造した。
【0060】
前記実施例1〜10及び比較例1の方法で製造されたリチウム二次電池を4.3Vまで0.1C-速度の電流で充電した。充電が完了した電池をグローブボックスから解体した後、極板で活物質のみを10mg採取して試料として用いた。この試料を利用して3℃/分の速度で空気雰囲気下で25乃至300℃までパーキンヘルメル(Perkin Helmer Co.)社製品を利用してDSC(differential scanning calorimetry)スキャンし正極活物質の熱的安定性を測定した。
【0061】
DSC分析は充電された正極活物質の熱的安定性を確認するために実施するものである。一般にリチウム二次電池の安全性は多様なメカニズムによって行われるが、特に充電状態で釘を貫通させる実験が最も重要な安全性実験の一つとして知られている。この時充電された電池の安全性に影響を及ぼす因子として多様なものがあるが、特に充電された正極とこの極板に含浸されている電解液の反応による発熱反応が重要な役割を果たすと知られている。このような現象を比較判断する方法でコイン電池を製造した後、一定の電位に充電してLi - Coxの状態に作った後、この充電状態の物質に対するDSC測定によって現れる発熱温度と発熱量及び発熱カーブの結果に基づいて安全性の可否を判断することができる。
【0062】
これを、LiCoOを例に挙げて説明すれば、LiCoOは充電状態でLi - Coxの構造を有するようになる。このような構造を有する活物質は不安定であるため電池内部の温度が高くなると金属、つまり、コバルトと結合されている酸素が金属から流離される。流離された酸素は電池内部で電解液と反応して電池が爆発できる機会を提供する可能性が高い。したがって酸素分解温度とこの時の発熱量は電池の安定性を示す重要な因子であるということができる。
【0063】
図1は実施例4と比較例1のDSC測定の結果であり、図2は実施例6と比較例1のDSC測定の結果である。図1から分かるように、実施例4は発熱温度が約214℃であることに反し、比較例1は発熱温度が約209℃で、実施例4の正極活物質が比較例1より高い発熱温度を有し、緩やかな発熱カーブを有するので熱的安定性が優れていることが分かる。この時、実施例4と比較例1の正極活物質に含浸された電解液量は全て0.006gであり、充電量は161mAh/gであった。また、図2に示したように、実施例6の発熱温度は234℃であるのに対し、比較例1は225℃で、実施例6が比較例1より高い発熱温度を示すので熱的安定性がさらに優れていることが分かる。
【0064】
(実施例11)
10重量%のB粉末を90重量%のエタノールに溶解させて製造した10重量%のホウ素エトキシド溶液をコーティング溶液を使用したことを除いて前記実施例1と同様な方法で実施しコインタイプの半電池を製造した。
【0065】
(実施例12)
10重量%のホウ素エトキシド溶液をコーティング溶液として使用し、コーティング後の熱処理温度を500℃にしたことを除いて前記実施例1と同様な方法で実施してコインタイプの半電池を製造した。
【0066】
(実施例13)
10重量%のホウ素エトキシド溶液をコーティング溶液として使用し、コーティング後の熱処理温度を700℃としたことを除いて前記実施例1と同様な方法で実施してコインタイプの半電池を製造した。
【0067】
(実施例14)
10重量%のB粉末を90重量%のエタノールに溶解させてホウ素エトキシド溶液を製造した。平均粒径が10μmであるLiCoO粉末を前記ホウ素エトキシド溶液を利用して実施例1と同様な方法でコーティング工程を実施しホウ素酸化物がコーティングされたLiCoO粉末を製造した。ホウ素酸化物が1次コーティングされたLiCoO粉末を1重量%のAl-イソプロポキシド溶液を利用して実施例1と同様な方法でアルミニウム酸化物が表面に2次コーティングされたコア/シェルタイプの多重層LiCoO粉末を合成した。製造された多重層LiCoO粉末を利用して実施例1と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0068】
(実施例15)
1重量%のホウ素エトキシド溶液をコーティング溶液として使用したことを除いて前記実施例14と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0069】
(実施例16)
1重量%のホウ素エトキシド溶液をコーティング溶液として使用し、コーティング後の熱処理温度を500℃としたことを除いて前記実施例14と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0070】
(実施例17)
1重量%のホウ素エトキシド溶液をコーティング溶液として使用し、コーティング後の熱処理温度を700℃としたことを除いて前記実施例14と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0071】
実施例13のコインタイプの半電池を利用して、0.5C充放電速度で4.3V〜2.75Vの範囲で充放電を実施した後、その結果を図3aに示した。比較のために従来の表面処理していないLiCoOを含む比較例1のコインタイプ半電池の充放電結果も共に示した。図3aのように、実施例13の半電池が比較例1の電池に比べて放電電位と容量特性が優れていることが分かる。また、1C充放電速度で4.3V〜2.75Vの範囲で充放電を実施した後、その結果を図3bに示した。図3bのように、1Cの高率充放電でも実施例10の活物質を利用した電池が比較例1に比べて放電電位と容量特性が優れていた。図3aと図3bに示された電池の放電容量を図4に共に図示した。実施例13の電池が比較例1に比べてサイクルによる容量特性も優れていることが分かる。
【0072】
図3bの実施例13による電池の充放電曲線を見ると、4.0V乃至4.3Vの間で充放電曲線が多少変形されることが観察された。これをもう少し明確に示すために図3bの充放電曲線のうち実施例10の活物質を含む電池の充放電曲線の拡大図を図5に示した。充放電曲線の変形は正極活物質の相転移による結果であると推測される。このような事実を確認するために実施例13の正極活物質を含む半電池に対してサイクリックボルタメトリ分析を実施した。5.0V乃至2.5Vの範囲で0.5mV/secの速度でスキャンして得たサイクリックボルタモグラムを図6に示した。比較のために、従来の表面処理していないLiCoOを適用した比較例1の半電池に対しても同一な条件下でサイクリックボルタモグラムを得て図6に共に示した。図6のようにLiCoOを含む電池は充電と放電時に全て一つのピークだけが観察される反面、実施例10の活物質を含む電池は充電と放電時に全て二つのピークが観察された。これで本発明の実施例13によって製造された活物質は充放電の時構造変化が起こることを確認することができた。
【0073】
実施例17によって製造されたコイン電池に対して4.3乃至2.75Vの電圧範囲での0.1Cと1C充放電結果を図7に示した。図7でも4.0V乃至4.3Vの間で充放電曲線が多少変形されることが観察された。実施例17によって製造された正極活物質も前記電圧領域で相転移が起こることを予測することができる。
【0074】
実施例1〜10のコイン電池と同様な方法で、実施例11〜17のコイン電池を4.3Vに充電した後、グローブボックスで解体して極板を分離した。分離された極板でAl-箔上に塗布されていた活物質だけを約10mg程度採取して910 DSC(TA Instrument社製品)を利用してDSC分析を実施した。DSC分析は空気雰囲気下で25〜300℃の温度範囲で3℃/minの昇温速度でスキャニングして実施した。このうち実施例12と13との測定結果を図8に示した。
【0075】
このような結果はLiCoO粉末が一つ以上のコーティング元素のアルコキシドで表面処理されて熱処理されることによって一つ以上のコーティング元素の酸化物がLiCoOの表面に形成されてLiCoOの結晶構造が安定化されたものであると解釈することができる。つまり、LiCoOの表面結晶構造が安定化されてコバルトと酸素の結合が安定になるものと推測される。また、LiCoOの表面にAl、SiO、Bと同じコーティング元素の酸化物層を形成させることによって正極活物質と電解液との反応性が抑制され電解液の酸化などが減少するものと解釈できる。
【0076】
比較例1及び実施例15〜17での正極活物質を含む2000mAh円筒形電池20個に対して燃焼、熱露出、過充電試験をした。燃焼試験はバーナーで電池を加熱して電池の破裂率を計算し、熱露出試験は150℃において電池を熱露出させる場合電池が破裂される時間を測定し、過充電試験は電池を1Cに過充電する場合漏液率を調査した。その結果を下記表1に記載した。
【0077】
【表1】
Figure 0004280436
【0078】
(実施例18)
リチウム化合物としてLiCoOの代わりにLi1.03Ni0.69Mn0.19Co0.1Al0.07Mg0.07(平均粒径:10μm)を1重量%のホウ素エトキシド溶液でコーティングしたことを除いて前記実施例13と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0079】
(実施例19)
リチウム化合物としてLiCoOの代わりにLiNi0.9Co0.1Sr0.002(平均粒径:10μm)を1重量%のホウ素エトキシド溶液でコーティングことを除いて前記実施例13と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0080】
(実施例20)
リチウム化合物としてLiCoOの代わりにLi1.03Ni0.69Mn0.19Co0.1Al0.07Mg0.07(平均粒径:10μm)を1重量%のホウ素エトキシド溶液でコーティングした後、700℃において熱処理したことを除いて前記実施例14と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0081】
(実施例21)
リチウム化合物としてLiCoOの代わりにLiNi0.9Co0.1Sr0.002(平均粒径:10μm)を1重量%のホウ素エトキシド溶液でコーティングした後、700℃において熱処理したことを除いて前記実施例14と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0082】
(実施例22)
リチウム化合物としてLiCoOの代わりにLiNi0.9Co0.1Sr0.002(平均粒径:10μm)を使用したことを除いては前記実施例15と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0083】
(実施例23)
リチウム化合物としてLiCoOの代わりにLiNi0.9Co0.1Sr0.002(平均粒径:10μm)を使用したことを除いては前記実施例16と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0084】
(実施例24)
リチウム化合物としてLiCoOの代わりにLiMn(平均粒径:20μm)を使用したことを除いては前記実施例15と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0085】
(実施例25)
リチウム化合物としてLiCoOの代わりにLiMn(平均粒径:20μm)を使用したことを除いては前記実施例16と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0086】
(実施例26)
リチウム化合物としてLiCoOの代わりにLiMn(平均粒径:20μm)を使用したことを除いては前記実施例17と同様な方法でコインタイプの半電池を製造した。
【0087】
実施例18〜26及び比較例2〜4の方法で製造された電池に対して連続的に0.1C(1サイクル)、0.2C(3サイクル)、0.5C(10サイクル)及び1C(6サイクル)順にC rateを変化させながら4.3V〜2.75Vの電圧範囲で充放電を実施して放電容量を測定した。このうち実施例19と比較例3の電池に対するサイクルによる容量特性を図9に示した。図9のように実施例19の電池が比較例3に比べて優れたサイクル容量特性と高い放電電位を見せた。
【0088】
前記実施例18と19のコイン電池を4.3Vまで充電した後、グローブボックから解体した後、極板で活物質のみを10mg採取して試料として用いた。この試料に対して910 DSCを利用して3℃/分の速度で空気雰囲気下で25乃至300℃までDSCスキャンして熱的安定性を測定した。表面処理していないLi1.03Ni0.69Mn0.19Co0.1Al0.07Mg0.07を使用した比較例2と表面処理していないLiNi0.9Co0.1Sr0.002を使用した比較例3のコイン電池に対してもDSCスキャンを実施した。実施例18と比較例2のDSC測定結果は図10に示されている。実施例19と比較例3のDSC測定結果は図11に示されている。
【0089】
前記実施例18及び比較例2のコイン電池を4.45Vまで過充電した後、グローブボックスから解体した後、極板で活物質のみを10mg採取して試料として用いた。この試料を利用して3℃/分の速度で空気雰囲気下で25乃至300℃までDSCスキャンした。過充電後実施例18と比較例2のDSC測定結果は図12に示されている。
【0090】
図10のように、比較例2の発熱ピークは約220℃で大きく現れたが、実施例18の発熱カーブは殆ど水平に近いもので発熱ピークを見せなかった。これは比較例2の正極活物質より実施例18の正極活物質が発熱量が非常に減少したことを示し、したがって本発明による正極活物質の熱的安定性が非常に優れていることが分かる。このような結果は実施例19と比較例3のDSC測定結果を示した図11でも確認することができる。また過充電後、DSC測定結果である図12から実施例18と比較例2の発熱ピークの面積の格差がさらに激しくなることが分かる。その他の実施例によって製造された電池に用いられた正極活物質も優れた熱的安定性を有すると現れた。
【0091】
【発明の効果】
上述のように、一種以上または二種以上のコーティング元素を含む酸化物層が表面に形成された本発明のリチウム二次電池用正極活物質は、その熱的安定性を大幅に向上させ、電池システムにおける安全性向上に大きな影響を及ぼす効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例4と比較例1の方法で製造されたリチウム二次電池用正極活物質のDSCの結果を示したグラフである。
【図2】本発明の実施例6と比較例1の方法で製造されたリチウム二次電池用正極活物質のDSC結果を示したグラフである。
【図3】(a)は実施例13及び比較例1によって製造されたコイン電池の低率充放電結果を示したグラフである。(b)は実施例13及び比較例1によって製造されたコイン電池の高率充放電結果を示したグラフである。
【図4】実施例13及び比較例1によって製造されたコイン電池の容量特性を示したグラフである。
【図5】実施例13によって製造されたコイン電池の高率充放電結果を示した図3bの拡大図である。
【図6】実施例13及び比較例1のコイン電池のサイクリックボルタモグラム(CV)を示した図面である。
【図7】実施例17及び比較例1のコイン電池の0.1C、及び1Cでの充放電曲線を示したグラフである。
【図8】実施例12と13及び比較例1の正極活物質のDSC分析結果を示したグラフである。
【図9】実施例19と比較例3のコイン電池に対するサイクルによる容量特性を示したグラフである。
【図10】実施例18と比較例2の正極活物質に対するDSC測定結果を示した図面である。
【図11】実施例19と比較例3の正極活物質に対するDSC測定結果を示した図面である。
【図12】実施例18と比較例2の正極活物質に対する過充電後、DSC測定結果を示した図面である。

Claims (19)

  1. リチウム化合物を含むコアと、
    前記コア上に形成された二つ以上のコーティング元素を酸化物の形で含む一つ以上の表面処理層とを含み、
    前記コーティング元素はMg、Al、K、Na、Ca、Si、及びからなる群より選択される、リチウム二次電池用正極活物質。
  2. 前記リチウム化合物が下記の化学式1乃至11からなる群より選択される一つ以上の化合物である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
    [化学式1]
    LiMn1−yM’A2
    [化学式2]
    LiMn1−yM’O2−zX
    [化学式3]
    LiMnO4−zA
    [化学式4]
    LiMn2−yM’A
    [化学式5]
    LiM1−yM”A
    [化学式6]
    LiMO2−zA
    [化学式7]
    LiNi1−yCoO2−zA
    [化学式8]
    LiNi1−y−ZCoM”Aα
    [化学式9]
    LiNi1−y−zCoM”O2−αXα
    [化学式10]
    LiNi1−y−zMnM’Aα
    [化学式11]
    LiNi1−y−zMnM’O2−αXα
    (前記式において、0.95≦x≦1.1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0<α≦2であり、MはNiまたはCoであり、M’はAl、Ni、Co、Cr、Fe、Mg、Sr、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th及びPaからなる群より選択される一つ以上の元素であり、M”はAl、Cr、Mn、Fe、Mg、Sr、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th及びPaからなる群より選択される一つ以上の元素であり、AはO、F、S及びPからなる群より選択される元素であり、XはF、S及びPからなる群より選択される元素である。)
  3. 前記表面処理層内のコーティング元素の含量は正極活物質に対して2×10−5乃至1重量%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  4. 前記表面処理層内のコーティング元素の含量は正極活物質に対して0.001乃至1重量%である、請求項3に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  5. 前記表面処理層が二つ以上のコーティング元素を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  6. リチウム化合物を含むコアと、
    前記コア上に順次形成される二つ以上の表面処理層とを含み、前記表面処理層のうち少なくとも一つは、Mg、Al、K、Na、Ca、Si、及びからなる群より選択される一つ以上のコーティング元素を酸化物の形で含むリチウム二次電池用正極活物質。
  7. 前記リチウム化合物が下記の化学式1乃至11からなる群より選択される一つ以上の化合物である、請求項6に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
    [化学式1]
    LiMn1−yM’A2
    [化学式2]
    LiMn1−yM’O2−zX
    [化学式3]
    LiMn2O4−zA
    [化学式4]
    LiMn2−yM’A4
    [化学式5]
    LiM1−yM”A2
    [化学式6]
    LiMO2−zA
    [化学式7]
    LiNi1−yCoO2−zA
    [化学式8]
    LiNi1−y−zCoM”Aα
    [化学式9]
    LiNi1−y−zCoM”O2−αXα
    [化学式10]
    LiNi1−y−zMnM’Aα
    [化学式11]
    LiNi1−y−zMnM’O2−αXα
    (前記式において、0.95≦x≦1.1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0<α≦2であり、MはNiまたはCoであり、M’はAl、Ni、Co、Cr、Fe、Mg、Sr、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th及びPaからなる群より選択される一つ以上の元素であり、M”はAl、Cr、Mn、Fe、Mg、Sr、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th及びPaからなる群より選択される一つ以上の元素であり、AはO、F、S及びPからなる群より選択される元素であり、XはF、S及びPからなる群より選択される元素である。)
  8. 前記表面処理層内のコーティング元素の含量は正極活物質に対して2×10−5乃至1重量%である、請求項6に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  9. 前記表面処理層内のコーティング元素の含量は正極活物質に対して0.001乃至1重量%である、請求項8に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  10. 前記表面処理層が二つ以上のコーティング元素を含む、請求項6に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  11. コーティング溶液としてコーティング元素源をアルコキシドの形で含む有機溶液または水溶液を使用してリチウム化合物をコーティングする工程;及び
    前記コーティングされた化合物を熱処理する工程とを含み、
    ここで前記コーティング元素は、Mg、Al、K、Na、Ca、Si、及びからなる群より選択され、前記コーティング工程及び前記熱処理工程を1回以上実施する、リチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  12. 前記リチウム化合物が下記の化学式1乃至11からなる群より選択される一つ以上の化合物である、請求項11に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
    [化学式1]
    LiMn1−yM’A2
    [化学式2]
    LiMn1−yM’O2−zX
    [化学式3]
    LiMn2O4−zA
    [化学式4]
    LiMn2−yM’A4
    [化学式5]
    LiM1−yM”A2
    [化学式6]
    LiMO2−zA
    [化学式7]
    LiNi1−yCoO2−zA
    [化学式8]
    LiNi1−y−zCoM”Aα
    [化学式9]
    LiNi1−y−zCoM”O2−αXα
    [化学式10]
    LiNi1−y−zMnM’Aα
    [化学式11]
    LiNi1−y−zMnM’O2−αXα
    (前記式において、0.95≦x≦1.1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0<α≦2であり、MはNiまたはCoであり、M’はAl、Ni、Co、Cr、Fe、Mg、Sr、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th及びPaからなる群より選択される一つ以上の元素であり、M”はAl、Cr、Mn、Fe、Mg、Sr、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th及びPaからなる群より選択される一つ以上の元素であり、AはO、F、S及びPからなる群より選択される元素であり、XはF、S及びPからなる群より選択される元素である。)
  13. 前記コーティング元素源をアルコキシドの形で含む有機溶液または水溶液内のコーティング元素源の濃度は0.1乃至50重量%である、請求項11に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  14. 前記コーティング元素源をアルコキシドの形で含む有機溶液または水溶液内のコーティング元素の濃度は1乃至20重量%である、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  15. 前記コーティング元素源をアルコキシドの形で含む有機溶液または水溶液が二つ以上のコーティング元素を含む、請求項11に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  16. 前記熱処理工程は200乃至800℃で1乃至20時間実施するものである、請求項11に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  17. 前記熱処理工程は乾燥空気を流す雰囲気で実施するものである、請求項11に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  18. 前記製造方法がコーティング元素源をアルコキシドの形で含む有機溶液または水溶液で前記リチウム化合物を1次コーティングする工程;
    前記1次コーティングされたリチウム化合物を1次熱処理し、前記リチウム化合物の表面に第1表面処理層を形成する工程;
    コーティング元素源をアルコキシドの形で含む有機溶液または水溶液で前記第1表面処理層が形成されたリチウム化合物を2次コーティングする工程;及び
    前記2次コーティングされたリチウム化合物を2次熱処理する工程;を含む、
    前記第1表面処理層上に第2表面処理層を形成する工程で実施するものである、請求項11に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  19. 前記製造方法はコーティング元素源をアルコキシドの形で含む有機溶液または水溶液でコーティングする工程及び熱処理する工程を3回以上実施するものである、請求項11に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
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