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JP4278586B2 - 光変調器 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば光通信分野にて用いて好適の、光変調器に関するものである。
LiNbO3(ニオブ酸リチウム,リチウムナイオベート、以下単にLNと記載する)基板や、LiTaO2基板などの電気光学結晶を用いた光変調器は、結晶基板上の一部に金属膜を形成し熱拡散させたり、あるいは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換したりすることで、光導波路を形成した後、光導波路近傍に電極を設けることで形成される。
光変調器における光導波路は、通常、入射導波路、2本の平行導波路、出射導波路からなるマッハツェンダ型光導波路が採用され、平行導波路上に信号電極、接地電極が設けられてコプレーナ電極を形成する。Zカット基板を用いる場合はZ方向の電界による屈折率変化を利用するため、光導波路の真上に電極を配置する。このとき、1本ずつの平行導波路の上にそれぞれ信号電極、接地電極をパターニングするが、平行導波路中を伝搬する光が信号電極、接地電極によって吸収されるのを防ぐために、LN基板と信号電極、接地電極の間にバッファ層を介する。バッファ層としては、例えば厚さ0.2μm〜1μm程度のSiO2を用いる。
光変調器を高速で駆動する場合は、信号電極と接地電極の終端を抵抗で接続して進行波電極とし、入力側からマイクロ波信号を印加する。このとき、電界によって2本の平行導波路の屈折率がそれぞれ+Δna,−Δnbのように変化し、2本の平行導波路間の位相差が変化するため出射導波路から強度変調された信号光が出力される。
しかしながら、2本の平行導波路に印加される電界の絶対値が異なり、Δna<Δnbとなるため、光のオン状態からオフ状態への過渡期において出力光の波長が変化する現象(チャープ)が生じる。これを解決するために、例えば図9に示すように、一部の領域で分極反転した基板を用いることが提案されている。この図9に示す光変調器100において、106は基板であり、この基板106は、領域106−1をそなえるとともに、電気光学特性、即ち印加電圧に対して光導波路を伝搬する光の位相変調特性が領域106−1とは反転する分極反転領域106−2をそなえている。
また、光導波路102は基板106に形成されたものであって、入射側Y分岐導波路103,2本の平行導波路104−1,104−2および出射側Y分岐導波路105をそなえて構成され、信号電極101aは非反転領域106−1で一方の平行導波路104−1上を、分極反転領域106−2で他方の平行導波路104−2上を、それぞれ通るように形成される。又、101bは接地電極、108は基板106と電極101a,101bとの間に介装されるバッファ層である。
この図9に示す光変調器100においては、非反転領域106−1の光伝搬方向の全長L1と反転領域106−2の光伝搬方向の長さL2とが等しい場合、2本の平行導波路104−1,104−2を通る光は非反転領域106−1でそれぞれ位相が+Δθs,−Δθgだけ変化し、分極反転領域106−2ではそれぞれ+Δθg,−Δθsだけ変化する。
したがって、2本の平行導波路104−1,104−2を通る光の位相は出力側のY分岐導波路105においてそれぞれ+(Δθs+Δθg),−(Δθs+Δθg)だけ変化することになり、絶対値が等しく符号が反転した位相変調となる。そのため、Y分岐導波路105から出力される光についての波長チャープを0にすることができる。また、上述のL1とL2の比を変えることで、チャープ量の調整が可能となる。
なお、図10(a)は図9に示す光変調器100のAA’断面図、図10(b)は図9に示す光変調器100のBB’断面図、図10(c)は図9に示す光変調器100における非反転領域106−1および分極反転領域106−2の境界に沿ったCC’断面図である。信号電極101aは、非反転領域106−1においては平行導波路104−2の上に、分極反転領域106−2においては平行導波路104−1の上に、それぞれ形成されるようにしている。このため、信号電極101aは、非反転領域106−1と分極反転領域106−2との境界においては、この図10(c)に示すように、平行導波路104−1および平行導波路104−2の上部を接続するようになっている。
また、このような電気光学効果を有する基板を用いて構成される光変調器においては、相互作用領域の光導波路(図9においては平行導波路104−1,104−2)の両脇を、エッチング等により掘り下げて溝を形成することにより、リッジ構造の光導波路とすることができる。このリッジ構造の光導波路においては、溝を形成せずに平坦な基板に形成された光導波路に比べて、電極を通じて電界を加えたときの当該光導波路への電界印加効率を改善させることができ、駆動電圧を下げ、変調可能な光波長の広帯域化を図ることができる。又、導波路への光の閉じ込めが強くなるので、特に半径の小さい曲がり導波路を形成した場合にも損失を低減させることができる。
したがって、上述のごとき分極反転領域を設けながら、リッジ構造の光導波路とした光変調器によって、上述のごとき波長チャープ抑制を図りながら、光の導波路内への閉じ込めを強くさせて駆動電圧を低減させ広帯域化を図ることが期待できる。この場合においては、例えば、図11または図12(a)〜図12(c)に示すような光変調器100Aを構成することが考えられる。尚、図12(a)は図11に示す光変調器100AのAA’断面図、図12(b)は図11に示す光変調器100AのBB’断面図、図12(c)は図11に示す光変調器100Aにおける非反転領域106−1および分極反転領域106−2の境界に沿ったCC’断面図である。
この図11,図12(a)〜図12(c)に示す光変調器100Aにおいては、平行導波路104−1,104−2の両脇に溝107を形成することにより、平行導波路104−1,104−2を上述のリッジ構造の光導波路とすることができる。尚、リッジ構造の平行導波路104−1,104−2の外側にもリッジ構造を持たせている。
そして、上述の図11に示すような光変調器100Aを構成する場合においては、光導波路102とともに、平行導波路104−1,104−2の両脇に溝107が形成された基板106に、信号電極101aおよび接地電極101bを形成する。この場合においても、信号電極101aは、非反転領域106−1と分極反転領域106−2との境界においては、平行導波路104−1および平行導波路104−2の上部を接続するようになっている。
なお、本願発明に関連する公知技術としては、以下に示す特許文献1〜特許文献4がある。
特開2003−228033号公報 特開平11−101962号公報 特開2001−194637号公報 特開2003−233047号公報
しかしながら、上述の分極反転領域とリッジ導波路の双方を単一の光変調器において実現する場合には、分極反転領域と非反転領域の境界において、信号電極が溝の底に下りる構造になり、この部分で電極の断線が発生しやすく、又、リッジの側面に電極が接触すると、特性インピーダンスに不連続(インピーダンスミスマッチ)が発生するため、変調器としての広帯域化を図る際に支障をきたすという課題がある。
たとえば、上述の図11,図12(a)〜図12(c)に示すような光変調器100Aを構成する場合、非反転領域106−1および分極反転領域106−2の境界となる箇所D[図11,図12(c)参照]において、信号電極101aが溝107の底に下りる構造となるので、この箇所での信号電極101aの断線が発生しやすく、平行導波路104−1,104−2におけるリッジ構造の側壁に電極101aが接触すると、特性インピーダンスに不連続性が生ずる場合があるのである。
なお、上述の特許文献1〜4に記載された技術においては、いずれも、分極反転領域とリッジ導波路の双方を単一の光変調器において実現する場合において生ずる上述の課題について解決するものではない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、分極反転領域とリッジ導波路の双方を単一の光変調器において実現する際に、電極の断線を防止するとともに、特性インピーダンスの不連続性を改善できるようにした、光変調器を提供することを目的とする。
このため、本発明の光変調器は、電気光学効果を有する基板と、該基板に、互いに並列な配置を有して形成された第1および第2の光導波路と、上記の第1および第2の光導波路の間に形成された溝と、上記の第1および第2の光導波路が形成される基板領域の一部に形成され上記電気光学効果の特性が該基板上の他の領域と反転した分極反転領域と、電気信号を印加することにより上記の第1および第2の光導波路を伝搬する光と上記電気信号との間で相互作用を生ぜしめるための第1電極と、該第1電極で印加される電気信号に対して基準電位を生ぜしめるための第2電極と、をそなえるとともに、該第1電極が、該分極反転領域において上記の第1および第2の光導波路のうちの一方の上部に形成された反転領域電極部と、該他の領域において上記の第1および第2の光導波路のうちの他方の上部に形成された非反転領域電極部と、上記の分極反転領域と他の領域との境界において上記の反転領域電極部および非反転領域電極部を連結する連結部と、をそなえて構成され、かつ、該第1電極の連結部を支持する支持機構が、該溝にそなえて構成されたことを特徴としている。
この場合においては、該支持機構を、該溝を分断する溝分断部により構成したり、該溝上に設けられた島部により構成したり、該溝の幅を狭くされた溝狭幅部したりすることができる。又、該支持機構を、該基板の屈折率よりも低い絶縁物質により構成することとしてもよい。
以上詳述したように、本発明によれば、溝に形成された支持機構により、第1電極の連結部を支持することができるので、溝を横断する第1電極の部分を断線が生ずることがないように支持するとともに、溝の底部や第1および第2の光導波路の側壁に第1電極が接触することを防止することができるので、特性インピーダンスを安定化させることができる利点がある。
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
〔A〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態にかかる光変調器1を示す模式的上視図であり、この図1に示す光変調器1において、3はLiNbO3等の電気光学効果を有するZカットの基板2にチタン拡散またはプロトン交換等により形成されたマッハツェンダ型光導波路である。マッハツェンダ型光導波路3は、光入力側のY分岐導波路3a,ほぼ平行となるように互いに並列配置された直線導波路(第1および第2の光導波路)3b−1,3b−2および光出力側のY分岐導波路3cをそなえて構成されている。
また、相互作用領域となる直線導波路3b−1,3b−2の間にはドライエッチングにより溝5が形成されている。そして、この直線導波路3b−1,3b−2の基板面外側には、この溝5と協働することで当該直線導波路3b−1,3b−2をリッジ構造の光導波路とするための外溝6が、溝5と同様ドライエッチングにより形成されている。
前述したように、直線導波路3b−1,3b−2をリッジ構造の光導波路とすることにより、図9に示すような形状の基板光導波路に比べて、駆動電圧を低減させ光の導波路内への閉じ込めを強くさせることができるので、変調可能な光波長領域の広帯域化を図ることが期待できるものである。
さらに、このマッハツェンダ型光導波路3における上述の相互作用領域となる直線導波路3b−1,3b−2が形成されている基板領域の一部が、分極反転領域2aにより構成されている。分極反転領域2aは、電気光学効果の特性が基板1上の他の領域2bと反転した領域であって、後述の電極4a,4bを通じた印加電圧に対して光導波路3を伝搬する光の位相変調特性が分極反転領域2a以外の他の領域2bに対して反転するようになっている。尚、分極反転領域2aは、レジスト等を用いてパターニングした後、パルス高電界を印加することで形成する。
また、4aは信号電極であり、この信号電極4aは、電気信号を印加することにより直線導波路3b−1,3b−2を伝搬する光と上述の印加電気信号との間で相互作用を生ぜしめるための第1電極として構成される。又、4bは接地電極であり、この接地電極4bは、信号電極4aで印加される電気信号に対して基準電位を生ぜしめるための第2電極として構成されるものである。尚、本実施形態においてはZカットの基板2を用いているので、信号電極4aは直線導波路3b−1または直線導波路3b−2の上部に形成されているが、その他の結晶軸方向、例えばXカットされた基板を用いる場合には、光導波路への電界に向きに応じたパターンで適宜信号電極および接地電極を形成する。
すなわち、信号電極4aを通じて印加されたマイクロ波電気信号によって、直線導波路3b−1,3b−2を伝搬する光についての位相を変化させることにより、Y分岐導波路3cからは変調された光信号を出力することができる。
また、信号電極4aは、分極反転領域2aにおいて直線導波路3b−1の上部に形成された反転領域電極部4a−1と、分極反転領域2a以外の他の領域2bにおいて直線導波路3b−2の上部に形成された非反転領域電極部4a−2と、分極反転領域2aと他の領域2bとの境界において反転領域電極部4a−1および非反転領域電極部4a−2を連結する連結部4a−3と、をそなえて構成されている。
さらに、上述の直線導波路3b−1,3b−2の光伝搬方向についての1/2を、分極反転領域2aが占めるようになっている。これにより、分極反転領域2aで変調される光位相特性と、分極反転領域2a以外の他の領域2bで変調される光位相特性とを互いに極性が反転した同一の変化量とすることができるので、分極反転領域2aおよび他の領域2bでの波長チャープ量を相殺して、Y分岐導波路3cから出力される光信号の波長チャープ量をほぼ0となるように抑制することができる。尚、上述の分極反転領域2aの光伝搬方向長さと、直線導波路3b−1,3b−2の長さの比としては、当該光変調器1に求められる波長チャープ量に応じて適宜変更して構成することとする。
また、上述の分極反転領域2aにおける光伝搬方向についての中心位置と、直線導波路3b−1,3b−2における光伝搬方向についての中心位置と、を一致するようにしているので、チャープ量が光周波数に依存しないようにすることができる。第1実施形態における光変調器1においては、直線導波路3b−1,3b−2の長さをLとすると、分極反転領域2aにおける直線導波路3b−1,3b−2の長さはL/2であり、非反転領域2bにおける直線導波路3b−1,3b−2の長さは、Y分岐導波路3a側がL/4であり、Y分岐導波路3c側がL/4となる。
なお、好ましくは、信号電極4aの光伝搬方向の入力側から変調用のマイクロ波成分を有する電気信号を供給するとともに、信号方向4aの光伝搬方向の終端側を図示しない抵抗で接続することにより、進行波電極とすることで、光変調器1の変調能力を比較的高速にさせることができる。
ところで、第1実施形態にかかる変調器1においては、上述の信号電極4aをなす連結部4a−3を支持する支持機構としての溝分断部5Aが、直線導波路3b−1,3b−2間に挟まれた溝5にそなえられている。溝分断部5Aは、ドライエッチングにより溝5を形成する際に、パターニングにより予め溝5として基板2を掘らない領域としたものである。換言すれば、第1実施形態の溝分断部5Aは基板材質により構成されている。
図2(a)〜図2(c)はそれぞれ、上述の支持機構5Aの構成について説明するための図であって、図2(a)は図1に示す光変調器1のAA’断面図、図2(b)は図1に示す光変調器1のBB’断面図、図2(c)は図1に示す光変調器1における分極反転領域2aおよび非反転領域2bの境界に沿ったCC’断面図である。尚、この図2(a)〜図2(c)に示すように、電極4a,4bと基板2との間にはバッファ層7が介装されている。
この図2(a),図2(b)に示すように、反転領域電極部4a−1が形成される分極反転領域2aとともに、非反転領域電極部4a−2が形成される非反転領域2bには、溝5が形成されているが、図2(c)に示すように、この溝5は連結部4a−3が形成される箇所(図1の箇所D)のみ分断されて構成されている。即ち、溝5が分断されている領域である溝分断部5Aの上部に上述の連結部4a−3が形成されるようになっている。
信号電極4aの連結部4a−3は、このように構成された溝分断部5Aの上部のフラットな安定した箇所に形成することができるので、信号電極4aの断線を防止することができるほか、均一な厚さで信号電極4aを形成することができるので、特性インピーダンスの不連続性についても改善することができる。又、溝分断部5Aは、電極4aをなす連結部4a−3が溝5の底へ接触することを防止する底部接触防止機構として構成されるとともに、信号電極4aをなす連結部4a−3がリッジ構造を有する直線導波路3b−1,3b−2の側壁へ接触することを防止する側壁接触防止機構として構成される。
上述の構成により、本発明の第1実施形態にかかる光変調器1では、直線導波路3b−1,3b−2を伝搬する光と、信号電極4aに印加される電気信号との相互作用が生じて、Y分岐導波路3cからは変調された光信号として出力することができる。このとき、相互作用を生じさせる直線導波路3b−1,3b−2を、溝5および外溝6によってリッジ構造の光導波路(リッジ光導波路)とすることができるので、伝搬する光の導波路内への閉じ込め効果が増すので、駆動電圧を低くすることができるほか、変調可能な光波長帯域を広帯域化させることができる。そして、相互作用領域に分極反転領域2aを形成しているので、波長チャープを抑制させることができる。
さらに、溝5が分断されている領域である溝分断部5Aの上部に信号電極4aの連結部4a−3を形成することができるので、溝5を横断する信号電極4aの部分を断線が生ずることがないように支持するとともに、溝5の底部やリッジ光導波路をなす直線導波路3b−1,3b−2の側壁(即ち溝5および外溝6の側壁)に信号電極4aが接触することを防止することができるので、特性インピーダンスを安定化させることができる。
なお、この溝分断部5Aの上部に形成された信号電極4aの一部である連結部4a−3のインピーダンスが、反転領域電極部4a−1および非反転領域電極部4a−2のインピーダンスの±10Ω以下程度となるように設計することで、印加される電気信号としてのマイクロ波の反射を抑制させることができる。
このように、本発明の第1実施形態にかかる光変調器1によれば、溝5に形成された支持機構としての溝分断部5Aにより、信号電極4aの連結部4a−3を支持することができるので、溝5を横断する信号電極4aの部分を断線が生ずることがないように支持するとともに、溝5の底部やリッジ光導波路をなす直線導波路3b−1,3b−2の側壁に信号電極4aが接触することを防止することができるので、特性インピーダンスを安定化させることができる利点がある。
〔b〕第2実施形態の説明
図3は本発明の第2実施形態にかかる光変調器1Aを示す模式的上視図であり、図4は図3に示す光変調器1Aにおける分極反転領域2aおよび非反転領域2bの境界に沿ったCC’断面図である。
第2実施形態にかかる光変調器1Aは、前述の第1実施形態におけるもの(符号1参照)に比して、溝5および外溝6における分極反転領域2aおよび非反転領域2bの境界となる箇所に、屈折率が基板より低い絶縁物質として例えばポリイミドが埋め込まれたポリイミド埋込部5A’,6A’がそなえられている点が異なっており、それ以外の構成については前述の第1実施形態の場合と基本的に同様である。尚、図3,図4中において、図1,図2と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
そして、溝5における分極反転領域2aおよび非反転領域2bの境界となる箇所に埋め込まれたポリイミド埋込部5A’によって、溝を分断する溝分断部として構成される。即ち、このポリイミド埋込部5A’の上部に信号電極4aの連結部4a−3を形成することにより、ポリイミド埋込部5A’は連結部4a−3を支持することができるようになっている。
また、このような溝5および外溝6における分極反転領域2aおよび非反転領域2bの境界となる箇所に、屈折率が基板よりも低いポリイミドが埋め込まれたポリイミド埋込部5A’をそなえることにより、前述の第1実施形態の場合の溝分断部5Aに比して、直線導波路3b−1,3b−2を伝搬する光の散乱を抑制させることができる。
さらに、直線導波路3b−1,3b−2の両側箇所、即ち外溝6にもポリイミド埋込部5A’と同質の絶縁物質であるポリイミドが埋め込まれたポリイミド埋込部6A’をそなえることにより、リッジ構造の直線導波路3b−1,3b−2加わる応力を減らし、温度安定性を改善させることができる。
このように、本発明の第2実施形態にかかる光変調器1Aにおいても、ポリイミド埋込部5A’をそなえることにより、前述の第1実施形態の場合と同様の利点があるほか、直線導波路3b−1,3b−2を伝搬する光の散乱を抑制させることができ、直線導波路3b−1,3b−2の両側箇所にポリイミド埋込部5A’と同質の絶縁物質であるポリイミドが埋め込まれているので、リッジ構造の直線導波路3b−1,3b−2加わる応力を減らし、温度安定性を改善させることができる利点がある。
〔c〕第3実施形態の説明
図5は本発明の第3実施形態にかかる光変調器1Bを示す模式的上視図で、図6は第3実施形態における光変調器1Bの要部構成を示す図である。第3実施形態にかかる光変調器1Bは、前述の第1,第2実施形態におけるもの(符号1,1A参照)に比して、相互作用領域に、直線導波路3b−1,3b−2ではなく、少なくとも90度以上(本実施形態においては180度程度)の曲がり導波路(第1および第2の光導波路)3d−1,3d−2を有するマッハツェンダ型の光導波路3Bをそなえるとともに、この曲がり導波路3d−1,3d−2の形成パターンに応じたパターンの信号電極4cおよび接地電極4dをそなえている点が異なっている。尚、図5,図6中において、図1〜図4と同一の符号は、ほぼ同様の部分を示している。
この曲がり導波路3d−1,3d−2が形成された光変調器1Bは、直線導波路が形成れた光変調器1,1Aに比べて、基板面積を小さくすることができるので、光変調器モジュールとしての装置構成をコンパクト化させることができるものである。
そして、このような構成の光導波路3Bにおいても、前述の第1,第2実施形態の場合と同様に、相互作用領域となる曲がり導波路3d−1,3d−2の間にはドライエッチングにより溝51が形成されるとともに、曲がり導波路3b−1,3b−2の基板面外側には外溝61が形成されている(図5中の太点線で示した箇所参照)。即ち、この溝51と外溝61とが協働することで曲がり導波路3d−1,3d−2をリッジ構造の光導波路とすることができる。リッジ構造の曲がり導波路3b−1,3b−2とすることにより、駆動電圧を低減させ光の導波路内への閉じ込めを強くさせることができるので、変調可能な光波長領域の広帯域化を図ることができるものである。
さらに、前述の第1実施形態の場合と同様に、曲がり導波路3d−1,3d−2が形成されている基板領域の一部は、前述の第1,第2実施形態の場合と同様の分極反転領域2aにより構成され、その他の領域は分極反転しない非反転領域2bにより構成されている。又、上述の曲がり導波路3d−1,3d−2の光伝搬方向についての1/2を、分極反転領域2aが占めるようにして、分極反転領域2aで変調される光位相特性と、Y分岐導波路3cから出力される光信号の波長チャープ量をほぼ0となるように抑制することができる。更に、上述の分極反転領域2aにおける光伝搬方向についての中心位置と、直線導波路3b−1,3b−2における光伝搬方向についての中心位置と、を一致するようにしているので、チャープ量が光周波数に依存しないようにすることができる。
また、信号電極4cは、曲がり導波路3d−1,3d−2の形成パターンにあわせて、非反転領域2bにおいて曲がり導波路3d−1上部に形成された非反転領域電極部4c−1と、分極反転領域2aにおいて曲がり導波路3d−2上部に形成された反転領域電極部4c−2と、分極反転領域2aと非反転領域2bとの境界において非反転領域電極部4c−1および反転領域電極部4c−2を連結する連結部4c−3と、をそなえ、電気信号を印加することにより直線導波路3b−1,3b−2を伝搬する光と上述の印加電気信号との間で相互作用を生ぜしめるための第1電極として構成される。
また、接地電極4dは、信号電極4cで印加される電気信号に対して基準電位を生ぜしめるための第2電極として構成されるものである。尚、本実施形態においてもZカットの基板2を用いているので、信号電極4cは曲がり導波路3d−1または直線導波路3d−2の上部となるように形成されているが、その他の結晶軸方向、例えばXカットされた基板を用いる場合には、光導波路への電界に向きに応じてパターンを適宜変更することにより、信号電極とともに接地電極を形成する。
ところで、本実施形態にかかる変調器1Bにおいても、上述の信号電極4cをなす連結部4c−3を支持する支持機構としての溝分断部51Aが、直線導波路3b−1,3b−2間に挟まれた溝51にそなえられている。この図5に示す変調器1Bにおける分極反転領域2aおよび非反転領域2bの境界に沿った箇所に着目した断面図(図5のEE’参照)は、図6に示すようになり、前述の図2(c)に示す断面図とほぼ同様である。
この図6に示すように、溝51は連結部4c−3が形成される箇所のみ分断されて構成されている。即ち、溝51が分断されている領域である溝分断部51Aの上部に上述の連結部4c−3が形成されるようになっている。信号電極4aの連結部4a−3は、この溝分断部51Aの上部のフラットな安定した箇所に形成することができるので、信号電極4cの断線を防止することができるほか、均一な厚さで信号電極4cを形成することができるので、特性インピーダンスの不連続性についても改善することができる。
また、溝分断部51Aは、電極4cをなす連結部4c−3が溝51の底へ接触することを防止する底部接触防止機構として構成されるとともに、信号電極4cをなす連結部4c−3がリッジ構造を有する曲がり導波路3d−1,3d−2の側壁へ接触することを防止する側壁接触防止機構として構成される。
上述の構成により、本発明の第3実施形態にかかる光変調器1Bにおいても、溝51が分断されている領域である溝分断部51Aの上部に信号電極4cの連結部4c−3を形成することができるので、溝51を横断する信号電極4cの部分を断線が生ずることがないように支持するとともに、溝51の底部やリッジ光導波路をなす曲がり導波路3d−1,3d−2の側壁(即ち溝51および外溝61の側壁)に信号電極4cが接触することを防止することができるので、特性インピーダンスを安定化させることができる。
なお、この溝分断部51Aの上部に形成された信号電極4cの一部である連結部4c−3のインピーダンスを、非反転領域電極部4c−1および反転領域電極部4c−2のインピーダンスの±10Ω以下程度となるように設計することで、印加される電気信号としてのマイクロ波の反射を抑制させることができる。
このように、本発明の第3実施形態にかかる光変調器1によれば、溝51に形成された支持機構としての溝分断部51Aにより、信号電極4cの連結部4c−3を支持することができるので、溝51を横断する信号電極4cの部分を断線が生ずることがないように支持するとともに、溝51の底部やリッジ光導波路をなす曲がり導波路3d−1,3d−2の側壁に信号電極4cが接触することを防止することができるので、特性インピーダンスを安定化させることができる利点がある。
なお、上述の第3実施形態における支持機構としては、溝51を分断する溝分断部51Aは、基板材質により構成されているが、本発明によれば、前述の第2実施形態の場合と同様に、基板材質よりも屈折率が比較的低い絶縁物質を溝51に埋め込むことで構成してもよいし、又、外溝61にも溝分断部51Aとして絶縁物質を埋め込む外側対応箇所に、同質の絶縁物質を埋め込むこととしてもよい。
〔d〕その他
上述の本実施形態にかかわらず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
たとえば、上述の第1,第3実施形態においては、それぞれ、信号電極4a,4cの連結部4a−3,4c−3を支持する支持機構を、溝5,51を分断する溝分断部5A,51Aとして構成しているが、本発明によればこれに限定されるものではなく、具体的には、支持機構として、図7(a),図8(a)に示すように溝5,51上に設けられた島部5B,51Bによりそれぞれ構成することとしてもよいし、図7(b),図8(b)に示すように、溝5,51の幅を狭くされた溝狭幅部5C,51Cによりそれぞれ構成することとしてもよい。
図7(a)は、溝5(51)に設けた島部5B(51B)に着目して図示した光変調器1(1B)の要部構成を示す図であり、図8(a)は図7(a)のFF’断面図である。この図7(a),図8(a)に示すように、支持機構として島部5B(51B)を形成することによっても、前述の第1,第3実施形態の場合と同様の利点があるほか、連結部4c−3の下側に形成された導波路3b−1,3b−2(3d−1,3d−2)と島部5B(51B)との間に空間V1,V2を設けることができるので、導波路3b−1,3b−2(3d−1,3d−2)伝搬する光の散乱を効果的に抑制させることができる。
図7(b)は、溝5(51)の幅を狭くされた溝狭幅部5C(51C)に着目して図示した光変調器1(1B)の要部構成を示す図であり、図8(b)は図7(b)のGG’断面図である。この図7(b),図8(b)に示す溝狭幅部5C(51C)は、溝5(51)における導波路3b−1(3d−1)の側壁に形成された半島部により構成されている。
この図7(b),図8(b)に示すように、支持機構として幅狭幅部5C(51C)を形成することによっても、前述の第1,第3実施形態の場合と同様の利点があるほか、特に第3実施形態における曲がり導波路3d−1,3d−2のうちの内側の導波路3d−2の外側に空間V3を設けることができるので、この導波路3d−2を伝搬する光の散乱を効果的に抑制させることができる。
さらに、上述の島部5B(51B)又は溝狭幅部5C(51C)を、前述の第2実施形態の場合と同様に、例えばポリイミド等の、屈折率が基板より低い絶縁物質により構成することとしてもよく、このようにすれば、基板材質でこれらの島部5B(51B)又は溝狭幅部5C(51C)を構成した場合よりも、光の散乱の抑制効果を更に向上させることができる。
また、上述した本実施形態により、本発明の装置を製造することは可能である。
〔e〕付記
(付記1) 電気光学効果を有する基板と、
該基板に、互いに並列な配置を有して形成された第1および第2の光導波路と、
上記の第1および第2の光導波路の間に形成された溝と、
上記の第1および第2の光導波路が形成される基板領域の一部に形成され上記電気光学効果の特性が該基板上の他の領域と反転した分極反転領域と、
電気信号を印加することにより上記の第1および第2の光導波路を伝搬する光と上記電気信号との間で相互作用を生ぜしめるための第1電極と、
該第1電極で印加される電気信号に対して基準電位を生ぜしめるための第2電極と、をそなえるとともに、
該第1電極が、該分極反転領域において上記の第1および第2の光導波路のうちの一方の上部に形成された反転領域電極部と、該他の領域において上記の第1および第2の光導波路のうちの他方の上部に形成された非反転領域電極部と、上記の分極反転領域と他の領域との境界において上記の反転領域電極部および非反転領域電極部を連結する連結部と、をそなえて構成され、
かつ、該第1電極の連結部を支持する支持機構が、該溝にそなえて構成されたことを特徴とする、光変調器。
(付記2) 上記の第1および第2の光導波路の外側に形成され、該溝とともに上記の第1および第2の光導波路をリッジ光導波路とする外溝をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1記載の光変調器。
(付記3) 該分極反転領域における光伝搬方向についての中心位置と、上記の第1および第2の光導波路における上記光伝搬方向についての中心位置と、が一致するように構成されたことを特徴とする、付記1または2記載の光変調器。
(付記4) 上記の第1および第2の光導波路の光伝搬方向についての1/2を、該分極反転領域が占めることを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項記載の光変調器。
(付記5) 該支持機構が、該溝の底への該第1電極の接触を防止する底部接触防止機構として構成されたことを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項記載の光変調器。
(付記6) 該支持機構が、該溝の側壁への該第1電極の接触を防止する側壁接触防止機構として構成されたことを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項記載の光変調器。
(付記7) 該支持機構が、該溝を分断する溝分断部により構成されたことを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項記載の光変調器。
(付記8) 該支持機構が、該溝上に設けられた島部により構成されたことを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項記載の光変調器。
(付記9) 該支持機構が、該溝の幅を狭くされた溝狭幅部により構成されたことを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項記載の光変調器。
(付記10) 該溝狭幅部が、該溝における上記第1および第2の光導波路のいずれか一方側の側壁に形成された半島部により構成されたことを特徴とする、付記9記載の光変調器。
(付記11) 該支持機構が、該基板の屈折率よりも低い絶縁物質により構成されたことを特徴とする、付記1〜10のいずれか1項記載の光変調器。
(付記12) 上記の第1および第2の光導波路の外側に形成され、該溝とともに上記の第1および第2の光導波路をリッジ光導波路とする外溝をそなえるとともに、
上記の第1および第2の光導波路の両側に、該支持機構をなす絶縁物と同質の絶縁物質が埋め込まれていることを特徴とする、付記11記載の光変調器。
(付記13) 上記の第1および第2の光導波路が、マッハツェンダ型光導波路の一部として構成されたことを特徴とする、付記1〜12のいずれか1項記載の光変調器。
(付記14) 該第1および第2の光導波路が、直線導波路により構成されたことを特徴とする、付記1〜13のいずれか1項記載の光変調器。
(付記15) 該第1および第2の光導波路が、90度以上の曲がり角度を有する曲がり導波路により構成されたことを特徴とする、付記1〜13のいずれか1項記載の光変調器。
(付記16) 該第1電極における該連結部と、該反転領域電極部および非反転領域電極部と、で特性インピーダンスの差が10Ω以下となることを特徴とする、付記1〜15のいずれか1項記載の光変調器。
本発明の第1実施形態にかかる光変調器を示す模式的上視図である。 (a)〜(c)はそれぞれ、第1実施形態における光変調器をなす支持機構の構成について説明するための図である。 本発明の第2実施形態にかかる光変調器を示す模式的上視図である。 図3に示す光変調器におけるCC’断面図である。 本発明の第3実施形態にかかる光変調器を示す模式的上視図である。 第3実施形態にかかる光変調器の要部構成を示す図である。 (a),(b)はともに本実施形態の変形例を示す図である。 (a),(b)はともに本実施形態の変形例を示す図である。 従来技術を示す図である。 (a)〜(c)はいずれも従来技術を示す図である。 従来技術を示す図である。 (a)〜(c)はいずれも従来技術を示す図である。
符号の説明
1,1A,1B 光変調器
2 基板
2a 分極反転領域
2b 他の領域(非反転領域)
3,3B 光導波路
3a,3c Y分岐導波路
3b−1 直線導波路(第1の光導波路)
3b−2 直線導波路(第2の光導波路)
3d−1 曲がり導波路(第1の光導波路)
3d−2 曲がり導波路(第2の光導波路)
4a 信号電極(第1電極)
4a−1,4c−2 反転領域電極部
4a−2,4c−1 非反転領域電極部
4a−3,4c−3 連結部
5,51 溝
5A,51A 溝分断部(支持機構)
5B,51B 島部(支持機構)
5C,51C 溝狭幅部(支持機構)
5A’,6A’ ポリイミド埋込部
6,61 外溝
7 バッファ層
100,100A 光変調器
101a 信号電極
101b 接地電極
102 光導波路
103,105 Y分岐導波路
104−1,104−2 平行導波路
106 基板
106−1 非反転領域
106−2 分極反転領域
107 溝
108 バッファ層

Claims (5)

  1. 電気光学効果を有する基板と、
    該基板に、互いに並列な配置を有して形成された第1および第2の光導波路と、
    上記の第1および第2の光導波路の間に形成された溝と、
    上記の第1および第2の光導波路が形成される基板領域の一部に形成され上記電気光学効果の特性が該基板上の他の領域と反転した分極反転領域と、
    電気信号を印加することにより上記の第1および第2の光導波路を伝搬する光と上記電気信号との間で相互作用を生ぜしめるための第1電極と、
    該第1電極で印加される電気信号に対して基準電位を生ぜしめるための第2電極と、をそなえるとともに、
    該第1電極が、該分極反転領域において上記の第1および第2の光導波路のうちの一方の上部に形成された反転領域電極部と、該他の領域において上記の第1および第2の光導波路のうちの他方の上部に形成された非反転領域電極部と、上記の分極反転領域と他の領域との境界において上記の反転領域電極部および非反転領域電極部を連結する連結部と、をそなえて構成され、
    かつ、該第1電極の連結部を支持する支持機構が、該溝にそなえて構成されたことを特徴とする、光変調器。
  2. 該支持機構が、該溝を分断する溝分断部により構成されたことを特徴とする、請求項1記載の光変調器。
  3. 該支持機構が、該溝上に設けられた島部により構成されたことを特徴とする、請求項1記載の光変調器。
  4. 該支持機構が、該溝の幅を狭くされた溝狭幅部により構成されたことを特徴とする、請求項1記載の光変調器。
  5. 該支持機構が、該基板の屈折率よりも低い絶縁物質により構成されたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の光変調器。
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