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JP4115504B2 - タイヤ用電子装置の取り付け方法 - Google Patents

タイヤ用電子装置の取り付け方法 Download PDF

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Description

本発明は、ホイールのリム外周面に装着されるタイヤ用電子装置取り付け方法に関し、更に詳しくは、接着剤による接着力を増加させ、十分な接着強度を発現するまでの待機時間を短縮するようにしたタイヤ用電子装置取り付け方法に関する。
従来、タイヤ気室内の温度や空気圧等の物理量を計測して送信したり、タイヤ固有の識別情報を送信するために、タイヤ気室内に電子装置を配置することが行われている。このようなタイヤ用電子装置は、水分から電子部品を保護すると共に、電位部品に対して外力が掛かるのを防止するために、電子部品をケース内に封入した構造になっている。
ところで、タイヤ用電子装置をホイールのリム外周面に装着する手段として、接着剤が使用されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、タイヤ用電子装置をリム外周面に接着した場合、走行時の遠心力に対して必ずしも十分な接着力を確保することができず、タイヤ用電子装置が走行時に脱落することがある。また、通常使用される凝集タイプの接着剤は雰囲気の湿度によって硬化するため、内部まで完全に硬化するまでの時間が長く、十分な接着強度を発現するまでの待機時間が長いという欠点がある。例えば、十分な接着強度を発現するまでの待機時間が12時間以上になることもある。そのため、ユーザー所有のリムに対してタイヤ用電子装置を装着する場合、上記待機時間に起因して車両の使用が制限されてしまうという不都合がある。
日本国特開平9−136517号公報
本発明の目的は、接着剤による接着力を増加させ、十分な接着強度を発現するまでの待機時間を短縮することを可能にしたタイヤ用電子装置取り付け方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のタイヤ用電子装置の取り付け方法は、タイヤ情報を送信するための電子部品と、該電子部品を収容するケースとを備え、該ケースの被接着面に錐形状を有する複数の突起を設け、前記被接着面を接着方向に投影したときの投影面積に対する前記被接着面の表面積の比を1.1〜3.0としたタイヤ用電子装置を用意し、該タイヤ用電子装置のケースをホイールのリム外周面に対して一液型ポリウレタン接着剤で貼着することを特徴とするものである。
本発明者は、タイヤ用電子装置の取り付け方法について鋭意研究を重ねた結果、タイヤ用電子装置のケースをホイールのリム外周面に対して接着剤で貼着する場合、その脱落原因は主としてケースと接着剤との界面での剥離であることを知見した。そこで、本発明では、タイヤ用電子装置のケースの被接着面に複数の突起を設けることにより、被接着面の表面積を増大させている。これにより、タイヤ用電子装置のケースをホイールのリム外周面に貼着するに際し、接着剤による接着力を増加させることができる。また、接着性の改善に伴い、十分な接着強度を発現するまでの待機時間を短縮することが可能である。従って、ユーザー所有のリムに対してタイヤ用電子装置を装着する場合、車両の使用が制限される時間を短くすることができる。
本発明において、ケースの被接着面に設ける突起として、錐形状を有する突起を採用した場合、突起とリム外表面との接点を最小限にしながら被接着面の表面積を増大させることができる。しかも、錐形状を有する突起はモールド成形によって容易に加工することができる。ケースの被接着面を接着方向に投影したときの投影面積に対する被接着面の表面積の比は1.1〜3.0とするこれにより、接着力の増大効果を十分に得ることができる。
タイヤ用電子装置のケースをホイールのリム外周面に対して貼着するための接着剤としては、一液型ポリウレタン接着剤(湿気硬化型)を使用する一液型ポリウレタン接着剤は、二液型ポリウレタン接着剤とは異なって主剤と硬化剤の計量作業が不要であるという利点があるものの、その反面、硬化時間が長いという欠点がある。そのため、本発明において一液型ポリウレタン接着剤を使用した場合、硬化時間が長いという欠点を補いながら主剤と硬化剤の計量作業を不要にし、接着剤の計量誤差を防止することができる。
また、タイヤ用電子装置の接着工程に先駆けてリム外周面の貼着領域に凹凸を形成することが好ましい。これにより、リム外周面の貼着領域の表面積を増大させ、リム外周面と接着剤との間の接着力を高めることが可能になる。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなるタイヤ用電子装置を装着したタイヤホイール組立体を示すものである。図2〜図4は本発明の実施形態からなるタイヤ用電子装置を示すものである。図1において、空気入りタイヤ1とホイール2のリム外周面3との間にはタイヤ気室4が形成され、タイヤ気室4においてリム外周面3に対して接着剤5を介してタイヤ用電子装置11が装着されている。
タイヤ用電子装置11は、図2に示すように、タイヤ情報を送信するための電子部品12と、該電子部品12を収容するケース13とを備えている。電子部品12は、送信機、受信機、温度センサ、圧力センサ、制御回路、電池等を含むものであり、温度や空気圧等の物理量を計測してタイヤ外部に送信したり、タイヤ固有の識別情報をタイヤ外部に送信するようになっている。ケース13は、中空構造を有し、プラスチック等から成形されている。
図3に示すように、ケース13の被接着面14には複数の突起15が形成されている。これら突起15は四角錐の形状を有している。錐形状を有する突起15は、リム外表面3との接点を最小限にしながら被接着面14の表面積を増大させることができ、しかもモールド成形によって容易に加工することができる。錐形状としては、四角錐のほか、三角錐や円錐等を選択することができる。また、突起15の高さは0.1〜2.0mm、より好ましくは1.0〜1.5mmであると良い。このような範囲を選択することにより、ケース13を必要以上に大きくすることなく被接着面14の表面積を十分に増大させることができる。
ケース13の被接着面14を接着方向に投影したときの投影面積に対する被接着面14の表面積の比は1.1〜3.0、より好ましくは1.4〜2.5であると良い。この比が1.1未満であると表面積の増大効果が不十分になり、また3.0を超えてもそれ以上の効果は期待できず、単に突起15の加工が困難になるだけである。例えば、図4に示すように、突起15が四角錐をなす場合、傾斜面の角度θを30°にすると表面積は投影面積の1.12倍となり、傾斜面の角度θを45°にすると表面積は投影面積の1.41倍となり、傾斜面の角度θを60°にすると表面積は投影面積の2.24倍となる。
タイヤ用電子装置11をリム外周面3に接着するための接着剤5としては、横浜ゴム株式会社製ハマタイトWS202(商品名)等の一液型ポリウレタン接着剤が好適である。一液型ポリウレタン接着剤の場合、主剤と硬化剤の計量作業が不要であるため計量誤差を生じることはない。接着剤5の厚さは0.5〜10mm程度にすれば良い。
上述のようにタイヤ用電子装置11のケース13の被接着面14の表面積を増大させることにより、タイヤ用電子装置11のケース13をホイール2のリム外周面3に貼着するに際し、接着剤5による接着力を増加させることができる。実際には接着部分の安全率が増すため、接着作業が不完全な場合でもタイヤ用電子装置11の脱落を防止することができる。また、接着性の改善に伴い、十分な接着強度を発現するまでの待機時間を短縮することが可能である。
はタイヤ用電子装置を接着する前のホイールを示すものである。図では、タイヤ用電子装置の接着工程に先駆けてリム外周面3の貼着領域6(タイヤ用電子装置が接着される領域)に凹凸が形成されている。凹凸の形成は、ローレット加工が最も適しているが、ミートハンマーのようなポンチ等でリム外周面に対して打撃を加えても良い。このようにリム外周面3の貼着領域6に凹凸を形成することにより、リム外周面3の貼着領域6の表面積を増大させ、リム外周面3と接着剤との間の接着力を高めることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、添付の請求の範囲によって規定される本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいて、これに対して種々の変更、代用及び置換を行うことができると理解されるべきである。
ケース構造だけを種々異ならせた従来例及び実施例1〜のタイヤ用電子装置を用意した。従来例のタイヤ用電子装置は、ケースの被接着面を平滑にしたものである。実施例1のタイヤ用電子装置は、ケースの被接着面に四角錐形状を有する複数の突起を設けたものである。実施例2のタイヤ用電子装置は、ケースの被接着面に円錐形状を有する複数の突起を設けたものであるなお、被接着面を接着方向に投影したときの投影面積に対する被接着面の表面積の比は表1の通りである。また、安全率を確保するため、タイヤ用電子装置の質量は通常の4倍に調整した。
これらタイヤ用電子装置をそれぞれホイールのリム外周面に対して一液型ポリウレタン接着剤を用いて貼着した。そして、接着剤が十分に硬化した後、タイヤホイール組立体を回転させ、タイヤ用電子装置が脱落する速度を計測し、その結果を表1に示した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどタイヤ用電子装置の脱落速度が大きいことを意味する。なお、従来例のタイヤ用電子装置の脱落速度は約200km/hであった。
Figure 0004115504
この表1から判るように、実施例1〜のタイヤ用電子装置はいずれも従来例に比べて脱落し難いものであった。
次に、従来例及び実施例1〜2のタイヤ用電子装置について、接着作業後、2時間毎に接着力(タイヤ用電子装置をリム外表面から剥離させるために要する力)を測定し、その結果を表2に示した。評価結果は、従来例の14時間放置後の接着力を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど接着力が強いことを意味する。
Figure 0004115504
この表2から判るように、実施例1のタイヤ用電子装置によれば、接着作業から約6時間後の状態で従来例の14時間放置後と同等の接着強度を発現することができた。また、実施例2のタイヤ用電子装置によれば、接着作業から約7時間後の状態で従来例の14時間放置後と同等の接着強度を発現することができた。
本発明の実施形態からなるタイヤ用電子装置を装着したタイヤホイール組立体を示す断面図である。 本発明の実施形態からなるタイヤ用電子装置を示す側面図である。 本発明の実施形態からなるタイヤ用電子装置を示す斜視図である。 本発明のタイヤ用電子装置を構成するケースの被接着面に形成される突起を示す斜視図である。 タイヤ用電子装置を接着する前のホイールを示す斜視図である。
符号の説明
空気入りタイヤ
ホイール
リム外周面
タイヤ気室
接着剤
貼着領域
11 タイヤ用電子装置
12 電子部品
13 ケース
14 被接着面
15 突起

Claims (2)

  1. タイヤ情報を送信するための電子部品と、該電子部品を収容するケースとを備え、該ケースの被接着面に錐形状を有する複数の突起を設け、前記被接着面を接着方向に投影したときの投影面積に対する前記被接着面の表面積の比を1.1〜3.0としたタイヤ用電子装置を用意し、該タイヤ用電子装置のケースをホイールのリム外周面に対して一液型ポリウレタン接着剤で貼着することを特徴とするタイヤ用電子装置の取り付け方法。
  2. 前記タイヤ用電子装置の接着工程に先駆けて前記リム外周面の貼着領域に凹凸を形成することを特徴とする請求項に記載のタイヤ用電子装置の取り付け方法。
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