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JP4189807B2 - 車両用灯具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の前部に設けられた前照灯または補助前照灯等として使用される車両用灯具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような自動車の前照灯は、例えば図6に示すように、構成されている。
即ち、図6において、前照灯1は、自動車の前照灯であって、光源2と、光源2からの光を前方に向かって反射させる反射面3と、光源2の前方にて光源2または反射面3からの光を集束させる投影レンズ4と、光源2から投影レンズ4への光路中に配置された所定の配光特性を形成する遮光板5と、から構成されている。
【0003】
ここで、上記反射面3は、例えば光源2付近に第一焦点f1を有し、その長軸が光源2の前方に向かって真っ直延びる光軸と一致するように配置された回転楕円面から構成されている。
また、上記遮光板5は、反射面3の第二焦点f2及び投影レンズ4の光源2側の焦点が重なった位置付近に配置されており、反射面3からの光のうち、下側から上側に抜けようとする光を遮断するようになっている。
【0004】
このような構成の前照灯1によれば、光源(図示の場合、放電灯)2から出射した光Lが、直接にまたは反射面3で反射されて投影レンズ4に入射し、投影レンズ4によって集束されることにより、前方に向かって照射され、図7にて符号L1で示す所謂すれ違いビームの範囲を照明するようになっている。
その際、投影レンズ4に入射する光の一部が、図8にて符号L0で示すように、遮光板5によって遮断されることにより、対向車に幻惑光を与えないような所望の配光特性が得られるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような構成の前照灯1においては、図8において、反射面3の下半部で反射された光の一部、即ち投影レンズ4から出射して上向き光となるような反射面3で反射された光L2は、遮光板5によって遮断されることにより、投影レンズ4に達せず、前方への照明に寄与しないことになる。
さらに、反射面3の上半部で反射された光の一部L2も、同様にしてこの遮光板5によって遮断されることになってしまう。
このため、光源2からの出射光のうち、約60%の光しか前方に向かって照射されないことになり、照射効率が低くなってしまう。
【0006】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、光源からの光の前方への照射効率を高めるようにした、車両用灯具を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明の構成によれば、光源と、光源からの光を前方に向かって反射させるように、後側の第一の焦点位置に光源が位置する回転楕円面から成る反射面と、光源及び反射面からの光を前方に向かって集束させるように、その後側の焦点位置が上記反射面の前側の第二の焦点位置に位置するように配置された凸レンズから成る投影レンズと、光源から投影レンズへの光路中にて上記反射面の第二の焦点位置付近に配置され光路の一部を遮断して所定の配光特性を形成する遮光板と、を含んでいる、車両用灯具において、上記反射面の長軸が、その第二の焦点位置を回転中心として、投影レンズの光軸から後方に向かって所定角度だけ上方に回転することにより、その第一の焦点位置が投影レンズの光軸の上方に配置されていることを特徴とする、車両用灯具により、達成される。
【0008】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記反射面の長軸の傾斜角度が5度乃至15度である。
【0009】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記投影レンズの光軸が、前方に向かって水平に延びている。
【0010】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記遮光板が、上記反射面の第二の焦点位置から前方及び後方に向かって延びるように肉厚に形成されている。
【0011】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記遮光板の上記反射面の第二の焦点位置から前端までの距離が、第二の焦点位置から後端までの距離より小さい。
【0012】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記光源の光学が、投影レンズの光軸に対して平行に配置されている。
【0013】
上記構成によれば、光源から出射した光が、直接にまたは反射面で反射されて投影レンズに入射し、投影レンズによって集束されることにより、前方に向かって照射され、その際遮光板により所定の配光特性を形成して、対向車に幻惑光を与えないような所謂すれ違いビームの配向特性が得られる。
【0014】
ここで、反射面を構成する回転楕円面の長軸が、その投影レンズの光軸上に位置する第二の焦点を回転中心として、投影レンズの光軸から後方に向かって所定角度、好ましくは5度乃至15度だけ上方に回転して、その第二の焦点位置が投影レンズの光軸の上方に配置されていることから、反射面の下半部及び上半部で反射される光の一部が、光源の光軸より上方にて遮光板を介して投影レンズに入射して、前方に向かって照射されることになる。
従って、反射面が長軸の回転した分だけ投影レンズの光軸より上方に位置することになるため、反射面の有効反射範囲が増大することになって、光源からの光の照射効率が向上することになり、より明るい照射光が得られることになる。
尚、上記反射面の長軸の傾斜角度が所定角度より小さい場合には、照射効率があまり向上せず、また所定角度より大きい場合には、所望の配光形成が困難になってしまう。
【0015】
上記投影レンズの光軸が、前方に向かって水平に延びている場合には、投影レンズへの入射光が投影レンズの屈折効果により屈折された後、前方に向かって導かれることになる。
【0016】
上記遮光板が、上記反射面の第二の焦点位置から前方及び後方に向かって延びるように肉厚に形成されている場合には、反射面の上半部で反射される光の一部が、遮光板の肉厚部分の上端面により反射されて投影レンズに導かれて、投影レンズを介して前方に向かって照射されることにより、遮光板によるカットオフライン近傍に重ね合わせて照射されることになり、所謂高照度帯を形成することができる。これにより、カットオフライン付近、即ち遠方の視認性が向上することになる。
【0017】
上記遮光板の上記反射面の第二の焦点位置から前端までの距離が、第二の焦点位置から後端までの距離より小さい場合には、これらの距離に基づいて、遮光板によるカットオフライン付近における色収差を抑制することができるので、カットオフライン付近にて、照射光が赤色や青色に着色されることを防止することができる。
【0018】
上記光源の光学が、投影レンズの光軸に対して平行に配置されている場合には、従来の構成の車両用灯具において、投影レンズに対して反射面の長軸を回転させると共に、それに伴って光源を上方に平行移動させればよいので、光源の取付のために従来の取付構造を利用することが可能である。
【0019】
このようにして、本発明によれば、反射面を構成する回転楕円面の長軸を、反射面の第二の焦点を回転中心として、後方に向かって所定角度だけ上方に回転することにより、反射面の第一の焦点を投影レンズの光軸より上方に持ち上げたことにより、反射面で反射された光をやや下方に向かって集束させながら投影レンズに導くと共に、反射面の下半部から投影レンズに向かって進む光の一部を、遮光板で遮断せずに投影レンズに導くようにしたから、光源からの光のうち、投影レンズを介して前方に向かって照射される光量が増大することになり、光の照射効率が向上することになる。従って、より明るい照射光が得られると共に、同じ明るさであればより光量の少ない光源を使用することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図1乃至図5を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
図1は、本発明による車両用灯具の一実施形態の構成を示している。
図1において、車両用灯具10は、自動車の前照灯であって、光源としての放電灯11と、放電灯11からの光を前方に向かって反射させる反射面12と、放電灯11の前方にて放電灯11または反射面12からの光を集束させる投影レンズ13と、放電灯11から投影レンズ13への光路中に配置された所定の配光特性を形成する遮光板14と、から構成されている。
【0022】
上記放電灯11は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用される放電灯であって、例えば白熱電球,ハロゲン電球,赤外線反射膜付きのハロゲン電球やメタルハライドランプ等の放電灯等の放電灯が使用され、ソケット11aにより固定保持されると共に、給電されるようになっている。
ここで、放電灯11の光軸は、前方に向かって水平に延びている。
【0023】
上記反射面12は、放電灯11からの光を反射して、前方に向かって反射させて、投影レンズ13に導くように、例えば前方に向かって凹状の楕円反射面として形成されている。
ここで、楕円反射面は、回転楕円面や、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0024】
そして、反射面12は、その後方の第一の焦点位置f1が放電灯11の発光位置付近に位置すると共に、その長軸12aが、図1に示すように、反射面の第二の焦点位置f2を回転中心として、水平な投影レンズ13の光軸から後方に向かって傾斜角度θだけ上方に回転することにより、その第一の焦点位置f1が投影レンズ13の光軸の上方に位置するように、配置されている。
尚、上記傾斜角度θは、例えば5度乃至15度の範囲、好ましくは約10度に選定されている。ここで、上記傾斜角度θが5度より小さい場合には、照射効率があまり向上せず、また15度より大きい場合には、遮光板による配光特性の形成が困難になってしまう。
【0025】
上記投影レンズ13は、放電灯11の光軸11bに対して平行な光軸13a上に配置された凸レンズであって、放電灯11から直接にまたは反射面12で反射された光を集束させて、前方に向かって照射する。
ここで、投影レンズ13は、その放電灯11側の焦点が反射面12の前方の第二の焦点位置f2付近に位置するように配置されている。
尚、投影レンズ13は、その光軸が前方に向かって水平に延びるように、即ち前記放電灯11の光軸と平行に延びるように、配置されている。
【0026】
上記遮光板14は、遮光材料から構成されていて、放電灯11と投影レンズ13との間の光路上にて、反射面12の第二の焦点位置f2付近に配置されており、放電灯11から直接にまたは反射面12で反射された光の一部を遮断することにより、所謂カットオフを形成して、投影レンズ13により投影される光の配光特性を、所謂すれ違いビームの配光特性となるように調整する。
【0027】
ここで、上記遮光板14は、上記反射面12の前方の第二の焦点位置f2付近にて、反射面12から投影レンズ13の光軸13aの下側から上方に抜ける光を遮断するように配置されている。
さらに、上記遮光板14は、図2に詳細に示すように、長手方向(図1及び図2にて左右方向)に関して、上端面14aが肉厚に形成されている。
具体的には、遮光板14は、その上端面14aが、反射面12の第二の焦点位置f2に対して、前方に距離aだけ、また後方に距離bだけ厚さを有するように、形成されている。尚、上記距離a,bは、(a<b)の関係を満たすように選定されている。
【0028】
本発明実施形態による車両用灯具10は、以上のように構成されており、放電灯11がソケット11aから給電されて発光することにより、放電灯11の発光位置から出射した光Lは、直接にまたは反射面12で反射されて、反射面12の第二の焦点位置f2に向かって進んだ後、投影レンズ13に入射し、投影レンズ13によって集束されることにより、前方に向かって照射され、その際遮光板14によりカットオフを形成されることにより、対向車に幻惑光を与えないような所望の配光特性L1(後述)が得られるようになっている。
【0029】
ここで、図3に示すように、反射面12を構成する回転楕円面の長軸12aが、その第二の焦点位置f2を回転中心として、後方に向かって上方に所定角度θだけ回転して配置されていることから、反射面12の上半部で反射される光のうち、その一部L3は、遮光板14の上面14aに入射して、この上面14aで反射された後、投影レンズ13に入射することになる。
【0030】
また、図4に示すように、反射面12の下半部で反射される光L2は、放電灯11の光軸11bより下方では、遮光板14により遮断されることになる。
従って、図5(A)に示すように、反射面12で前方に向かって反射される光Lのうち、図6に示した従来の車両用灯具1における配光特性と同様の配光特性L1に加えて、上述した光L3が、遮光板14の平坦部で反射されて前方に向かって照射されることになる。
【0031】
これにより、上述した光L3は、図5(B)に示すように、上記配光パターンL1の上縁付近にて斜線部分が加えられることになり、カットオフライン近傍により一層明るい高照度帯L4を備えた配光パターンが得られることになる。これにより、カットオフライン近傍にてより明るい照射を行なうことができるので、遠方の視認性が向上することになる。
その際、遮光板14の上端面14aが肉厚に形成されていることによって、カットオフライン近傍における色収差による青色または赤色の光の発生が防止され得ることになり、見易い照射光が得られることになる。
【0032】
このようにして、本発明による車両用灯具10によれば、従来は光源の光軸より下方にて遮光板により遮断されていた光を利用することにより、光源からの光の照射効率を高めることができる。
従って、より明るい配光パターンを得ることができると共に、同じ明るさの配光パターンを得るためには、光源の発光光度を低くすることができるので、コストを低減することが可能になる。
さらに、カットオフ近傍に高照度帯を形成することができるので、遠方視認性が向上することになる。
【0033】
上述した実施形態においては、光源として、放電灯11が使用されているが、これに限らず、他の種類の光源を使用することも可能であることは明らかである。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、反射面を構成する回転楕円面の長軸が、第二の焦点を回転中心として、投影レンズの光軸から後方に向かって所定角度、好ましくは5度乃至15度だけ上方に回転していることから、反射面の下半部及び上半部で反射される光の一部が、光源の光軸より下方にて遮光板を介して投影レンズに入射して、前方に向かって照射されることになる。従って、光源からの光の照射効率が向上することになり、より明るい照射光が得られることになる。
【0035】
上記投影レンズの光軸が、前方に向かって水平に延びている場合には、投影レンズへの入射光が投影レンズの屈折効果により屈折された後、前方に向かって導かれることになる。
【0036】
上記遮光板が、上記反射面の第二の焦点位置から前方及び後方に向かって延びるように肉厚に形成されている場合には、反射面の上半部で反射される光の一部が、遮光板の肉厚部分の上端面により反射されて投影レンズに導かれて、投影レンズを介して前方に向かって照射されることにより、遮光板によるカットオフライン近傍に重ね合わせて照射されることになり、所謂高照度帯を形成することができる。これにより、カットオフライン付近、即ち遠方の視認性が向上することになる。
【0037】
上記遮光板の上記反射面の第二の焦点位置から前端までの距離が、第二の焦点位置から後端までの距離より大きくない場合には、これらの距離に基づいて、遮光板によるカットオフライン付近における色収差を抑制することができるので、カットオフライン付近にて、照射光が赤色や青色に着色されることを防止することができる。
【0038】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、光源からの光の前方への照射効率を高めるようにした、極めて優れた車両用灯具が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両用灯具の一実施形態の構成を示す概略側面図である。
【図2】図1の車両用灯具における遮光板の詳細な構造を示す部分拡大側面図である。
【図3】図1の車両用灯具における遮光板の上端面で反射される光を示す概略側面図である。
【図4】図1の車両用灯具における利用可能となった光を示す概略斜視図である。
【図5】図1の車両用灯具における(A)遮光板の遮光による配光パターン及び(B)遮光板の上端面による反射光を加えた配光パターンをそれぞれ示すグラフである。
【図6】従来の車両用灯具の一例の構成を示す概略側面図である。
【図7】図6の車両用灯具による配光パターンを示すグラフである。
【図8】図6の車両用灯具における遮光板により遮断される光を示す概略側面図である。
【符号の説明】
10 車両用灯具
11 放電灯(光源)
11a ソケット
11b 光軸
12 反射面
12a 長軸
13 投影レンズ
13a 光軸
14 遮光板
14a 上端面

Claims (6)

  1. 光源と、光源からの光を前方に向かって反射させるように、後側の第一の焦点位置に光源が位置する回転楕円面から成る反射面と、光源及び反射面からの光を前方に向かって集束させるように、その後側の焦点位置が上記反射面の前側の第二の焦点位置に位置するように配置された凸レンズから成る投影レンズと、光源から投影レンズへの光路中にて上記反射面の第二の焦点位置付近に配置され光路の一部を遮断して所定の配光特性を形成する遮光板と、を含んでいる、車両用灯具において、
    上記反射面の長軸が、その第二の焦点位置を回転中心として、投影レンズの光軸から後方に向かって所定角度だけ上方に回転することにより、その第一の焦点位置が投影レンズの光軸の上方に配置されていることを特徴とする、車両用灯具。
  2. 上記反射面の長軸の傾斜角度が5度乃至15度であることを特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具。
  3. 上記投影レンズの光軸が、前方に向かって水平に延びていることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用灯具。
  4. 上記遮光板が、上記反射面の第二の焦点位置から前方及び後方に向かって延びるように肉厚に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用灯具。
  5. 上記遮光板の上記反射面の第二の焦点位置から前端までの距離が、第二の焦点位置から後端までの距離より小さいことを特徴とする、請求項1から4の何れかに記載の車両用灯具。
  6. 上記光源の光学が、投影レンズの光軸に対して平行に配置されていることを特徴とする、請求項1から5の何れかに記載の車両用灯具。
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