JP4164400B2 - トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真,静電記録のような画像形成方法における静電荷像を現像するためのトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法等に適用されるトナーとしては、従来、天然あるいは合成樹脂中に染料、顔料を分散させた微粉体が使用されている。例えば、ポリスチレン等の結着樹脂中に着色剤を分散させたものを1〜30μm程度に微粉砕した粒子がトナーとして用いられている。磁性トナーとしては、マグネタイトの如き磁性体粒子を含有させたものが用いられている。また、二成分系現像剤の場合には、トナーは通常、鉄粉,磁性フエライト粒子の如きキャリア粒子と混合されて用いられる。
【0003】
いずれのトナーも、現像される静電荷像の極性に応じて、正または負の電荷を有する必要がある。
【0004】
トナーに電荷を保有せしめるためには、トナーの成分である樹脂の摩擦帯電性を利用することも出来るが、この方法ではトナーの帯電性が小さいので、現像によって得られる画像はカブリ易く、不鮮明なものとなりやすい。所望の摩擦帯電性をトナーに付与するために、帯電性を付与する染料,顔料、更には電荷制御剤を添加することが行われている。
【0005】
今日、当該技術分野で知られている正摩擦帯電性電荷制御剤として、ニグロシン染料,アジン系染料,銅フタロシアニン顔料,4級アンモニウム塩あるいは、4級アンモニウム塩を側鎖に有するポリマー等が知られている。負摩擦帯電性電荷制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩,サリチル酸,ナフトエ酸,ダイカルボン酸の金属錯塩,銅フタロシアニン顔料,酸成分を含む樹脂等が知られている。
【0006】
これらの中で無色あるいは白色のものはカラートナー用電荷制御剤として検討されている。
【0007】
無色,白色又は淡色の負摩擦帯電性電荷制御剤として、芳香族カルボン酸誘導体を使用した化合物が知られている。例えば、特許文献1には多環式芳香族オキシカルボン酸及び芳香族オキシカルボン酸金属化合物の混合物を含有せしめたトナーが提案されている。しかしながら、これら公報中に開示されているトナーはいずれも、高耐久性,高い現像性及び高い転写性は同時には達成し難いものであった。
【0008】
また、特許文献2には、スチレン及び/またはα−メチルスチレンと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体を荷電制御に用いた負帯電トナーが開示されている。しかしながら、この共重合体は、酸価を有する結着樹脂に対しては、十分な分散効果が得られず、特にフルカラートナーに用いたとき、画像面積比率の低いものから、高いものまでを現像したときの高耐久性,高い現像性及び高い転写性は達成し難いものであった。
【0009】
また、特許文献3においては、エポキシ構造と、含硫黄構造または含リン構造とを有する重合体からなる帯電制御剤が提案されている。
【0010】
近年、提案されているフルカラー複写機においては、4つの感光体とベルト状転写体を用い各感光体上にそれぞれ形成された静電荷像をシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーを用い現像後、感光体とベルト転写体間に搬送しストレートパス間で転写後、フルカラー画像を形成せしめる方法や、感光体に対抗せしめた転写体表面に静電気力やグリッパーの如き機械的作用により転写材を巻き付け、現像−転写工程を4回実施することでフルカラー画像を得る方法が一般的に利用されている。
【0011】
これからフルカラー用複写機に搭載されているトナーとしては色再現性の向上やオーバーヘッドプロジェクター(OHP)画像の透明性を損なうことなく加熱加圧定着工程で各トナーが充分混色することが必要である。
【0012】
一般の白黒複写機用トナーと比べフルカラー画像用トナーは、シャープメルト性を有する低分子量結着樹脂が好ましい。しかしながら、通常シャープメルト性結着樹脂を用いると加熱加圧定着工程でトナーが溶解した際、結着樹脂の自己凝集力が低いため耐高温オフセット性に問題を生じ易い。
【0013】
一般の白黒複写機用トナーは、定着時の耐高温オフセット性を向上させるため、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスに代表される比較的高結晶性のワックスが離型剤として用いられている。しかしながら、フルカラー画像用トナーにおいては、この離型剤自身の高結晶性やOHP用シートの材質との屈折率の違いのためOHPで投影した際、透明性が阻害され、投影像は彩度や明度が低くなる。
【0014】
通常のカラートナーでは離型剤を極力使用せずに、加熱定着ローラーへシリコーンオイルやフッ素オイルを塗布せしめ耐高温オフセット性向上とOHPでの透明性を図っている。
【0015】
しかしながら、このようにして得られた定着画像は、その表面に余分なオイルが付着している。オイルが感光体に付着して汚染したり、オイルが定着ローラーを膨潤し、定着ローラーの寿命を短くする場合がある。
【0016】
定着画像へのオイルスジを発生させないため、オイルを均一に且つ定量的に定着ローラー表面上に供給する必要があり、定着装置が大型化する傾向にある。
【0017】
そのため、高温オフセットを防止するためのオイルを使用しないか、又はオイルの使用量を少なくした加熱加圧定着手段において、オフセットの発生が抑制されているトナーであり、さらに、定着画像の透明性に優れているトナーが待望されている。
【0018】
【特許文献1】
特開平4−347863号公報
【特許文献2】
特公平8−12467号公報
【特許文献3】
特開平11−072968号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述の如き問題点を解決し得る電荷制御剤及びトナーを提供することにある。
【0020】
本発明の目的は、低湿下における帯電速度が速く、さらに高湿下においても高い摩擦帯電量を維持できる電荷制御剤を提供し、この電荷制御剤を用いることにより、カブリが少なく耐久性の良好なトナーを提供することにある。
【0021】
本発明の目的は、粉体流動性が高く高画質画像が得られるトナーを提供することにある。
【0022】
本発明の目的は、高い摩擦帯電量を維持しつつキャリア、現像スリーブ、あるいは静電潜像担持体からのトナーの剥離を容易にし、高画質濃度及び高転写性達成可能な電荷制御剤を含有するトナーを提供することにある。
【0023】
本発明の目的は、画像面積比率の低いものから高いものまでを現像したときに耐久性,現像性及び転写性に優れたトナーを提供することにある。
【0024】
本発明の目的は、低温定着性に優れ且つ耐高温オフセット性に優れたトナーを提供することにある。
【0025】
本発明の目的は、高温環境放置時における耐ブロッキング性に優れたトナーを提供することにある。
【0026】
本発明の目的はOHPでの透明性が良好で且つ二次色の混色性が良好なため、色再現範囲が広いトナーを提供することにある。
【0027】
さらには、本発明の目的は多量のオイルを塗布することなく、またはオイルは全く塗布することなく定着し得るトナーを提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸価が1.0〜62.0mgKOH/gである主結着樹脂と、ビニル系モノマー類とグリシジル基含有モノマー類とスルホン酸基含有モノマー類とを共重合してなる共重合樹脂とを、金属又は金属イオンの存在下で溶融混錬する工程を経て製造されたトナー粒子を有するトナーであって、
該金属又は金属イオンは、元素周期表におけるIa族,IIa族,IIb族,IIIb族,IVa族,IVb族,VIa族、またはVIII族から選ばれる少なくとも1種の金属または金属イオンであり、
該トナーは、酸価が0.5mgKOH/g以上90.0mgKOH/g未満であることを特徴とするトナーに関する。
【0029】
本発明においては、主結着樹脂が、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、及びポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有しているハイブリッド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、ビニル系共重合体樹脂を1種用いる場合は、カルボキシル基を有するビニル系共重合体であることがより好ましい。
【0030】
また、▲4▼金属または金属イオンが、Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Ti,Zr,Si,Sn,Cr,Mo,W,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Ptから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Zr,Si,Cr,W,Fe,Pd,Ptから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0031】
また、トナーは、示差走査熱量分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が50〜150℃、より好ましくは55〜120℃の範囲にあることが好ましい。
【0032】
また、トナーは、示差走査熱量分析(DSC)測定における発熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大発熱ピークのピーク温度が40〜110℃、より好ましくは45〜100℃の範囲にあることが好ましい。
【0033】
また、トナーの平均円形度が、フロー式粒子像測定装置で計測される個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、0.920以上0.975未満であることが好ましい。
【0034】
また、▲1▼ビニル系モノマー類、▲2▼グリシジル基含有モノマー類、▲3▼スルホン酸基含有モノマー類の質量比が、▲1▼ビニル系モノマー類:▲2▼グリシジル基含有モノマー類:▲3▼スルホン酸基含有モノマー類=(50〜99):(0.1〜50):(0.5〜40)であることが好ましい。
【0035】
また、トナーの酸価が、1.0mgKOH/g以上50.0mgKOH/g未満であることが好ましい。
【0036】
また、該トナーが、炭化水素系ワックス、エステル系ワックス、酸化型ワックス、アルコール系ワックス、酸ワックスから選ばれる少なくとも1種のワックスを含有することが好ましく、該ワックスは、GPCによる分子分布量において、重量平均分子量(Mw)300〜4000、より好ましくは400〜2500であり、数平均分子量(Mn)が300〜2000、より好ましくは400〜1500であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.0であること、該ワックスの含有量が、トナーの質量を基準として、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜8質量%であること、がより好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】
一般に、電荷制御剤として有機酸の金属化合物を用いたトナーは比較的高い摩擦帯電量を示す場合があるものの、高湿下においては帯電量の低下が見られ、低湿下においては帯電速度の低下が見られる。この原因としては金属付近での水分の吸脱着が考えられ、高湿下では金属化合物への吸着水量が増大するため帯電量が低下し、低湿下では金属化合物中の吸着水が減少するため抵抗が高くなり帯電速度が低下するものと思われる。
【0038】
本発明者等の検討において、▲1▼ビニル系モノマー類、▲2▼グリシジル基含有モノマー類、および▲3▼スルホン酸基含有モノマー類を共重合してなる共重合樹脂と、▲4▼元素周期表におけるIa族,IIa族,IIb族,IIIb族,IVa族,IVb族,VIa族、またはVIII族から選ばれる少なくとも1種の金属または金属イオンを少なくとも含有させることにより、高湿下での帯電量の低下及び低湿下での帯電速度の低下を抑え得ることが判明した。
【0039】
その理由としては明らかではないが、共重合樹脂に含有されるグリシジル基が、トナー製造時混練工程において、主結着樹脂の酸基と反応するため、十分な分散効果が得られ、トナーの帯電量を均一にコントロールできることによるものと考えられる。このトナー製造混練工程における反応速度を速め、より均一に反応させる目的で、▲4▼金属又は金属イオンを含有させることが重要である。われわれの詳細な検討では、均一に反応が進み、帯電量を均一にコントロールするばかりでなく、主結着樹脂との反応も均一化されることにより、分子量分布のひろがりも大きくなり、低温定着が可能となり、さらに、耐オフセット性もよくなる。またさらに、▲4▼金属または金属イオンの存在により、特に常温/低湿(N/L)環境下でのチャージアップ現象を防止することも可能となった。また、画像面積比率の低いものから、高いものまでを現像したときの耐久性,現像性及び転写性に優れたトナーとなる。
【0040】
本発明のトナーの酸価は、0.5mgKOH/g以上90.0mgKOH/g未満であり、好ましくは1.0mgKOH/g以上50.0mgKOH/g未満が好ましい。0.5mgKOH/g未満であると、共重合樹脂や顔料が分散しにくいため、帯電不良や画像にムラができたり、カブリなどが発生しやすくなる。90.0mgKOH/g以上では、主結着樹脂の吸湿性が高まるためにトナーの電荷緩和が強くなり、トナー飛散抑制や転写性が悪くなる。
【0041】
本発明のトナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置で計測される個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、0.920以上0.975未満であることが好ましく、0.925以上0.970未満であることがより好ましい。円形度が0.920未満であると、トナーの帯電が不均一となり、トナー補給時にカブリが発生しやすくなる可能性がある。また、円形度が0.975以上になると、カラートナーの場合、トナーの帯電量が高くなりすぎ、画像濃度の低下を起こしたり、トナー補給時濃度ムラなどが発生する可能性があり、磁性トナーの場合、飛び散りが悪くなり、ライン画像の再現性が悪くなる可能性がある。
【0042】
本発明に用いられる▲1▼ビニル系モノマー類、▲2▼グリシジル基含有モノマー類、および▲3▼スルホン酸基含有モノマー類を共重合してなる共重合樹脂(荷電制御樹脂)について説明する。
【0043】
▲1▼ビニル系モノマー類としては、次のようなものが挙げられ、2種以上を用いてもよい。
【0044】
例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0045】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0046】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0047】
共重合樹脂は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0048】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0049】
▲2▼グリシジル基含有モノマー類としては、グリシジル基を有し、重合可能なビニル基を有していればどのようなものでもよいが、たとえば、アクリル酸グリシジル、アクリル酸βメチルグリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸βメチルグリシジル等が挙げられ、2種以上を用いてもよい。
【0050】
これらのモノマー類は、例えば、メタクリル酸とアルカリからメタクリル酸アルカリ石鹸を合成し、これとエピクロルヒドリンとを反応させて脱食塩反応を行わせ、メタアクリル酸グリシジルを得る、いわゆる、(1)石鹸法によって合成したり、エピクロルヒドリンとメタクリル酸とを反応させ、ハロヒドリンエステルを合成し、(2)アルカリによる閉環反応、(3)エポキシ交換反応、で得る方法、さらには、(4)グリシドールとメタクリル酸メチルとの反応によって得る方法などが挙げられる。
【0051】
▲3▼スルホン酸基含有モノマー類としては、例えば、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びこれらの金属塩、及びこれらの混合物などが挙げられ、2種以上を用いてもよい。特に好ましいスルホン酸基含有モノマー類として下記一般式(1)に示す2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの金属塩、及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0052】
【化1】
【0053】
(Mは、H,Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Ti,Zr,Si,Sn,Cr,Mo,W,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Pt、n=1〜4)
【0054】
共重合樹脂の好ましい形態としては、▲1▼ビニル系モノマーとしてスチレン系モノマー類、メタクリル酸エステル類、▲2▼グリシジル基含有モノマーとしてメタクリル酸グリシジル、▲3▼スルホン酸基含有モノマーとして2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらの金属塩、及びこれらの混合物などが挙げられる。これらのモノマーを重合することにより、グリシジル基が酸により、開裂することなく、組成分布が均一で、ガラス転移温度が高い樹脂が得られ、本発明の目的に沿ったものを得られる。
【0055】
▲1▼ビニル系モノマー類、▲2▼グリシジル基含有モノマー類および▲3▼スルホン酸基含有モノマー類の質量比は、▲1▼ビニル系モノマー類:▲2▼グリシジル基含有モノマー類:▲3▼スルホン酸基含有モノマー類=(50〜99):(0.1〜50):(0.5〜40)であることが好ましい。
【0056】
▲1▼ビニル系モノマー類が50質量%未満であると、ガラス転移温度が低くなり、主結着樹脂と反応できなかった一部の樹脂が、帯電性を阻害するだけでなく、現像スリーブや、感光体に融着し、画像不良を発生する可能性がある。
【0057】
▲2▼グリシジル基含有モノマー類が中0.1質量%未満であると、主結着樹脂との反応率が低くなり、共重合樹脂のトナー中での分散性が悪くなり、十分な帯電性が得られず、特に常温/低湿環境下でカブリが悪くなる可能性がある。また、グリシジル基含有モノマー類を50質量%より多く用いると、主結着樹脂との反応が極端に進むためトナーの粘度があがり、定着性が損なわれる可能性がある。
【0058】
▲3▼スルホン酸基含有モノマー類が0.5質量%未満であると、荷電制御剤としての性能が十分に発現されない可能性がある。また、スルホン酸基含有モノマー類を40質量%より多く用いると、局部的に帯電能が上がり、帯電不均一になることによって、濃度薄や、カブリが発生しやすくなる可能性がある。
【0059】
本発明のトナーのエポキシ価は、0.0001(eq/100g)以上0.9(eq/100g)未満であることが好ましく、より好ましくは0.001(eq/100g)以上0.8(eq/100g)未満である。
【0060】
共重合樹脂のGPCによる重量平均分子量Mwは1,500〜100,000であることが好ましく、さらに好ましくは2,000〜50,000であり、数平均分子量Mnは800〜50,000であることが好ましく、さらに好ましくは1,300〜30,000である。また、Mw/Mnは30以下であることが好ましく、さらに好ましくは20以下である。これらは、トナー中での共重合樹脂の分散性に寄与するためであり、この範囲にあるものが好ましい。
【0061】
共重合樹脂を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
【0062】
次に、本発明に用いられる▲4▼元素周期表におけるIa族,IIa族,IIb族,IIIb族,IVa族,IVb族,VIa族、またはVIII族から選ばれる少なくとも1種の金属または金属イオンについて説明する。
【0063】
反応機構は、十分に明確にはなっていないが、われわれの詳細なる検討の結果、▲4▼金属または金属イオンが、トナー製造時混練工程において、共重合樹脂のグリシジル基と、主結着樹脂の酸基との反応における触媒作用を有していることがわかった。
【0064】
▲4▼金属または金属イオンとしては、例えば、Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Ti,Zr,Si,Sn,Cr,Mo,W,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Pt等が挙げられ、なかでもNa,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Zr,Si,Cr,W,Fe,Pd,Ptが好ましく、特にNa,K,Mg,Ca,Zn,B,Al,Zr,Si,Crが、触媒作用と、色が無色、白色または薄色であるため、とくにカラートナー用としての観点から望ましいものである。
【0065】
▲4▼金属または金属イオンは、▲3▼スルホン酸基含有モノマー類の金属塩という形で含有させてもよい。また、金属石鹸類のごとく脂肪酸金属塩や、サリチル酸、ベンジル酸、アセチルアセトン等の金属錯塩、金属錯体を、混練時に添加することも、共重合樹脂のグリシジル基と、主結着樹脂の酸基との反応における触媒作用を活性化させるので有効である。
【0066】
次に、本発明に用いられる主結着樹脂について説明する。
【0067】
主結着樹脂として或いは、ハイブリッド樹脂として、ポリエステル樹脂を用いる場合は、アルコールとカルボン酸、もしくはカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。
【0068】
具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0069】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0070】
酸性分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0071】
それらの中でも、特に、下記一般式(2)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0072】
【化2】
【0073】
〔式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。〕
【0074】
主結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂成分」とは、ビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系共重合体ユニットとが▲1▼エステル交換反応によって形成されるものあるいは、▲2▼フマル酸のごとき不飽和二重結合を有する酸を構成要素とするポリエステル重合体にラジカル重合によりビニル重合体ユニットを化学結合させることによって形成されるものであり、好ましくはビニル系共重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)あるいは、ポリエステル系重合体を幹重合体、ビニル系共重合体ユニットを枝重合体としたグラフト共重合体を形成するものである。
【0075】
ビニル系共重合体ユニットおよびビニル系共重合体樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
【0076】
例えば、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0077】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0078】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0079】
主結着樹脂のビニル系共重合体ユニットおよびビニル系共重合体樹脂は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0080】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0081】
ビニル系共重合体ユニット成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体ユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系共重合体ユニット成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0082】
ビニル系共重合体ユニットとポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系共重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0083】
ビニル系共重合体ユニットおよびビニル系共重合体樹脂を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、共重合樹脂で説明したものと同様のものが挙げられる。
【0084】
ハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)を挙げることができる。
【0085】
(1)ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系共重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成されるエステル化合物を用いることができる。
【0086】
(2)ビニル系共重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系共重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0087】
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系共重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系共重合体ユニットとの反応により製造される。
【0088】
(4)ビニル系共重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分を製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0089】
(5)ハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系共重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂成分は上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0090】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系共重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0091】
上記(1)乃至(6)の製造方法において、ビニル系共重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0092】
主結着樹脂は、上記ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体、ハイブリッド樹脂をそれぞれ単独で用いてもよく、またこれらの混合物、例えばハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂との混合物、これにビニル系共重合体を加えた混合物等を使用しても良い。
【0093】
主結着樹脂としてポリエステル樹脂をフルカラートナー用として用いた場合、該トナーのGPCによる分子量分布において、分子量5,000〜20,000の領域に少なくとも1つのピークを有し、かつ該トナーのTHF不溶分が5%以下のものが好ましい。
【0094】
主結着樹脂としてハイブリッド樹脂をフルカラートナー用として用いた場合、該トナーのGPCによる分子量分布において、分子量5,000〜30,000の領域に少なくとも1つのピークを有し、かつ該トナーのTHF不溶分が5%以下のものが好ましい。
【0095】
主結着樹脂としてビニル系共重合体樹脂をフルカラートナー用として用いた場合、該トナーのGPCによる分子量分布において、分子量5,000〜80,000の領域に少なくとも1つのピークを有し、かつ該トナーのTHF不溶分が5%以下のものが好ましい。
【0096】
主結着樹脂としてポリエステル樹脂、あるいはハイブリッド樹脂をブラック単色用トナーとして用いた場合、該トナーのGPCによる分子量分布において、分子量5,000〜20,000の領域に少なくとも1つのピークを有し、かつ該トナーのTHF不溶分が10%以上のものが好ましい。
【0097】
より好ましくは、分子量分布の異なるもの、軟化点の異なるもの、THF不溶分の異なるポリエステルを合成しブレンドしたものを用いることによって、分子量5,000〜100,000の領域に少なくとも1つのピークとショルダーを有し、THF不溶分を10%以上含有しているもの、あるいは、分子量5,000〜50,000の領域に少なくとも1つのピークを有し、70,000以上の領域にさらに少なくとも1つのピークを有し、THF不溶分を10%以上含有するトナーが好ましい。
【0098】
主結着樹脂としてビニル系共重合体樹脂をブラック単色用トナーとして用いた場合、該トナーのGPCによる分子量分布において、分子量5,000〜30,000の領域と、分子量100,000以上の領域とにそれぞれ少なくとも1つずつのピークを有し、かつ該トナーのTHF不溶分が5%以上のものが好ましい。
【0099】
主結着樹脂のガラス転移温度は、好ましくは40〜90℃、より好ましくは45〜85℃である。また、主結着樹脂の酸価は、好ましくは1.0〜62.0mgKOH/g、より好ましくは、2.0〜52.0mgKOH/gである。
【0100】
本発明のトナーにおいてトナーに電荷を保有せしめるために、通常用いられている荷電制御剤を本発明の共重合樹脂とともに用いても良い。例えば以下に示す芳香族オキシカルボン酸誘導体の有機金属化合物を本発明の共重合樹脂とともに用いても良い。
【0101】
【化3】
【0102】
(式中のM2は2価の金属原子であり、Mg2+,Ca2+,Sr2+,Pb2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Zn2+,Cu2+が挙げられる。M3は3価の金属原子であり、Al3+,Cr3+,Fe3+,Ni3+が挙げられる。M4は4価の金属原子であり、Zr4+,Hf4+,Mn4+,Co4+が挙げられる。これらの金属原子の中で好ましいのはAl3+,Fe3+,Cr3+,Zr4+,Hf4+,Zn2+である。
【0103】
また、式中R1乃至R4は同一又は異なる基を示し、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、−OH,−NH2,−NH(CH3),−N(CH3)2,−OCH3,−O(C2H5),−COOH又は−CONH2を示す。好ましいR1としては、ヒドロキシル基、アミノ基及びメトキシ基が挙げられるが、中でもヒドロキシル基が好ましい。)
【0104】
本発明においては、有機金属化合物として、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が特に好ましい。
【0105】
芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物は、例えば、オキシカルボン酸及びアルコキシカルボン酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、2価以上の金属原子を溶融している水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより合成し得る。ただし、上記の合成方法だけに限定されるものではない。
【0106】
また、本発明において、必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を、トナー粒子中に含有させてもかまわない。
【0107】
本発明に用いられる離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類、また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0108】
これらのうちでも、炭化水素系ワックス、エステル系ワックス、酸化型ワックス、アルコール系ワックス、酸ワックスが好ましい。
【0109】
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、炭化水素系ワックスが挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素・水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素などのワックスがよい。更に、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの、例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)、あるいはワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(固定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素や、エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
【0110】
また、分子量分布では、分子量400〜2,400の領域に、好ましくは450〜2,000、特に好ましくは500〜1,600の領域にピークが存在することが良い。このような分子量分布を持たせることによりトナーに好ましい熱特性を持たせることができる。
【0111】
次に、本発明において用いる炭化水素系ワックスとしては、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレンのごときポリオレフィン炭化水素ワックス、またこれらの1種または、2種以上の混合物などが挙げられる。特に本発明の目的を達成するためには、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスが、好ましい。またさらに好ましい形態として、炭素数が20〜100の範囲にあるパラフィンワックスを用いることが、安定した広い定着領域を得るために望ましい。
【0112】
本発明において、本発明の目的を達成できるワックスであれば、どのようなワックスを炭化水素系ワックスとともに用いても良い。たとえば、カルナバワックス、ライスワックス等の植物性ワックス、モンタン酸ワックス、アルコール系ワックス、シリコーン変性ワックス、エステル系ワックス、酸化型ワックス、酸ワックス等が挙げられる。本発明の目的を達成するためには、予め、炭化水素系ワックスとこれらのワックスを10:90〜90:10の質量比で溶融ブレンドしたものを用いることが望ましい。
【0113】
ワックスを用いた本発明のトナーは、示差走査熱量分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が50〜150℃、より好ましくは55〜120℃の範囲にあること、示差走査熱量分析(DSC)測定における発熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大発熱ピークのピーク温度が40〜110℃、より好ましくは45〜100℃の範囲にあることが好ましい。
【0114】
最大吸熱ピークが50℃未満、または最大発熱ピークが40℃未満である場合、トナーのガラス転移温度が大幅に低くなるって、特に高温環境に放置した際にはトナー表面に溶け出し、耐ブロッキング性能が悪化する可能性がある。一方、最大吸熱ピークが150℃より大きい、または最大発熱ピークが110℃より大きい場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速に溶融トナー表面に移行できず、離型性が悪くなり、高温オフセットが発生し易くなる可能性がある。
【0115】
昇温時には、ワックスに熱を与えた時の変化を見ることができワックスの転移、融解に伴う吸熱ピークが観測され、降温時には、ワックスの冷却時の変化や常温時の状態を見ることができ、ワックスの凝固、結晶化、転移に伴う発熱ピークが観測される。降温時の発熱ピークで最大の発熱ピークは、ワックスの凝固、結晶化に伴う発熱ピークである。この発熱ピーク温度と近い温度に昇温時の融解に伴う吸熱ピークが存在することは、ワックスの構造、分子量分布などワックスがより均質であることを示しており、その差が6℃以内であることが良い。すなわちこの差を小さくすることで、ワックスをシャープメルト、つまり、低温時には硬く、融解時の溶融が早く、溶融粘度の低下が大きく起こることで、現像性、耐ブロッキング性、定着性、耐オフセット性をバランス良くなり立たせることができる。
【0116】
ワックスは、GPCによる分子量分布において、重量平均分子量(Mw)が300〜4,000、より好ましくは400〜2,500であり、数平均分子量(Mn)が300〜2,000、より好ましくは400〜1,500であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.0であることが望ましい。
【0117】
重量平均分子量(Mw)が300未満の場合、高温環境に放置した際にトナー表面に溶け出し、耐ブロッキング性能が悪くなる可能性がある。また、数平均分子量(Mn)が2,000を超える場合又は重量平均分子量(Mw)が4,000を超える場合、もしくは重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.0を超える場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速に溶融トナー表面に移行できず、離型性が悪くなり、高温オフセットが発生し易くなる可能性がある。
【0118】
ワックスは、トナーの質量を基準として、0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜8質量%含有されていることが望ましい。ワックスが、0.1質量%未満である場合、トナー表面での溶融したワックス量が少なすぎ、前述したように、離型性がわるくなり、とくに画像面積の大きなフルカラー画像の場合、定着ローラーに巻きつく現象が発生する可能性がある。また、15質量%を超えて含有される場合、トナー表面に存在するワックス量が多くなりすぎて、トナーの帯電を阻害し、現像性、転写性が悪くなる可能性がある。
【0119】
本発明のトナーをブラックトナーとして用いる場合、着色剤としてはカーボンブラック及び/または、磁性材料及び/または、赤系、青系、黄系、緑系顔料から選ばれる1種または2種以上の顔料を用いる。
【0120】
カーボンブラックとしては、BET比表面積が20m2/g以上400m2/g未満であり、一次粒子径が5nm以上80nm未満であり、pHが6〜10であり、揮発分が3%未満であるものが、トナーの帯電性を低下することなく、また、主結着樹脂中での分散性が良好であるため、高い画像濃度を維持できることから好ましい。
【0121】
磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0122】
例えば、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12),酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。好適な磁性材料は四三酸化鉄,磁性フェライト又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0123】
磁性材料は平均粒径が0.1〜2μm(より好ましくは、0.1〜0.5μm)で、795.8kA/m(10Kエルステッド)印加で磁気特性が抗磁力1.6〜12kA/m(20〜150エルステッド)、飽和磁化50〜200Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残留磁化2〜20Am2/kgのものが好ましい。
【0124】
磁性材料は、マグネットを内包する現像剤担持体上に磁気的拘束力を伴って担持される磁性一成分系現像剤として用いられる場合、トナーの質量基準で5〜80質量%、マグネットを有していない現像剤担持体上に磁気的拘束力を伴わずに担持される非磁性一成分系現像剤として用いられる場合、トナーの質量基準で0.1〜40質量%、含有していることが好ましい。この範囲内で含有させることにより、耐久時におけるトナー飛散現象(機内汚れ)を抑えることができる。
【0125】
磁性材料の含有率が、トナーの質量基準で上限を超えると、規制ブレードもしくはトナーを担持するローラー表面を著しく破損する(削る)こととなり、帯電不良の原因となる可能性がある。
【0126】
また、磁性キャリア粒子と混合されて二成分系現像剤として用いられる場合、磁性材料をトナーの質量基準で0.1〜30質量%含有していることが好ましい。この範囲内で含有させることにより、現像剤を担持するローラーとの磁気的拘束力が増すために、耐久時におけるトナー飛散現象(機内汚れ)を抑えることができる。
【0127】
磁性材料の含有率がトナーの質量基準で30質量%を超えると、現像剤を担持するローラーとの磁気的拘束力が増し過ぎ、画像濃度の低下を招く可能性がある。
【0128】
本発明に用いられるブラックトナー用及びカラートナー用着色剤としては、顔料及び/又は染料を用いることができる。
【0129】
例えば染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ソルベントイエロー162等が挙げられる。
【0130】
顔料としては、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
【0131】
また、ブラック用赤系顔料、およびカラー用マゼンタ色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,150,163,202,206,207,209,238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
【0132】
係る顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
【0133】
マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121,C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料;C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28の如き塩基性染料が挙げられる。
【0134】
ブラック用青系顔料、シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17;C.I.アシッドブルー6;C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等である。
【0135】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,93,97,128,155,、168、180、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
【0136】
着色剤の使用量は、主結着樹脂100質量部に対して、1乃至15質量部、好ましくは3乃至12質量部、より好ましくは4乃至10質量部含有していることが良い。
【0137】
着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性が低下し、加えて人間の肌色に代表される様な中間色の再現性も低下し易くなり、更にはトナーの帯電性の安定性が低下し、目的とする帯電量が得られにくくなる可能性がある。1質量部より少ない場合には、目的とする着色力が得られ難く、高い画像濃度の高品位画像が得られ難い可能性がある。
【0138】
トナー粒子には、流動性向上剤が外添されていることが画質向上のために好ましい。
【0139】
流動性向上剤としては、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。
【0140】
例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末の如きシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末が挙げられる。
【0141】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー粒子100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0142】
トナー粒子は主結着樹脂、共重合樹脂、着色剤及びその他の任意成分の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉し、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級することにより所定の平均粒径のトナー粒子を生成することができる。さらに、流動性向上剤とトナー粒子をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、トナー粒子表面に流動性向上剤を有するトナーを得ることができる。
【0143】
本発明のトナーは、重量平均粒径(D4)が3.0乃至15.0μm、好ましくは4.0乃至12.0μmであることが好ましい。トナーの重量平均粒径(D4)が3.0μm未満の場合には、帯電安定化が達成しづらくなり、耐久において、カブリやトナー飛散が発生しやすくなる可能性があり、15.0μmを超える場合には、ハーフトーン部の再現性が大きく低下し、得られた画像はガサついた画像になってしまう可能性がある。
【0144】
さらに、本発明のトナーは、体積平均粒径(Dv)が2.5μm乃至12.0μmであることが、より高画質画像の形成のために好ましい。トナーの体積平均粒径(Dv)が2.5μm未満の場合には、トナーの帯電安定性が低下する可能性があり、12.0μmを超える場合には、画質が粗くなる可能性がある。
【0145】
また、本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合に、併用されるキャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、ストロンチウム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物及びフェライトなどが使用できる。
【0146】
特に、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分として形成されるMn−Mg−Feの3元素の磁性フェライト粒子がキャリア粒子として好ましく、さらに好ましくはMn−Mg−Sr−Feの4元素の磁性フェライト粒子が、二成分現像剤としてソフトな磁気ブラシを形成するため、感光体との摩擦により、感光体に傷をつけにくいことや、現像剤中のトナーの劣化を軽減することで望ましい。またさらには、ケイ素元素を0.001乃至1質量%(より好ましくは、0.005〜0.5質量%)有していることが磁性フェライト粒子の被覆樹脂としてシリコーン樹脂を使用する場合に特に好ましい。
【0147】
キャリア粒子は、樹脂で被覆されていることが好ましく、樹脂としてはシリコーン樹脂が好ましい。特に、含窒素シリコーン樹脂または、含窒素シランカップリング剤とシリコーン樹脂とが反応することにより生成した変性シリコーン樹脂が本発明のカラートナーへのマイナスの摩擦電荷の付与性、環境安定性、キャリアの表面の汚染に対する抑制の点で好ましい。
【0148】
キャリア粒子は、平均粒径が15乃至100μm(より好ましくは、25乃至70μm)であることが、カラートナーの重量平均粒径との関係で好ましい。
【0149】
キャリア粒子の平均粒径及び粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置HELOS(日本電子製)に乾式分散ユニットRODOS(日本電子製)を組合わせて用い、レンズ焦点距離200mm,分散圧3.0bar,測定時間1〜2秒の測定条件で粒径0.5μm〜350.0μmの範囲を表1に示す通り31チャンネルに分割して測定し、体積分布の50%粒径(メジアン径)を平均粒径として求めると共に、体積基準の頻度分布から各粒径範囲の粒子の体積%を求める。
【0150】
【表1】
【0151】
粒度分布の測定に用いるレーザー回折式粒度分布測定装置HELOSは、フランホーファ回折原理を用いて測定を行う装置である。この測定原理を簡単に説明すれば、レーザー光源から測定粒子にレーザービームを照射すると、回折像がレーザー光源の反対側のレンズの焦点面にでき、その回折像を検出器によって検出して演算処理することにより、測定粒子の粒度分布を算出するものである。
【0152】
キャリア粒子を上記の平均粒径及び特定の粒度分布を有するように調製する方法としては、例えば、篩を用いることによる分級によって行うことが可能である。特に、精度良く分級を行うために、適当な目開きの篩を用いて複数回くり返してふるうことが好ましい。また、メッシュの開口の形状をメッキ等によって制御したものを使うことも有効な手段である。
【0153】
カラートナーと混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2質量%〜15質量%、好ましくは4質量%〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低くなりやすい可能性があり、15質量%を超える場合ではカブリや機内飛散が増加しやすい可能性がある。
【0154】
次に、本発明のトナーに係る物性値の測定方法について説明する。
【0155】
(1)酸価の測定
JISK0070に規定の方法。但し、サンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサンまたはテトラヒドロフランなどの溶媒を用いる。
【0156】
(2)GPCによる分子量の測定(主結着着樹脂)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0157】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。
【0158】
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102,2.1×103,4×103,1.75×104,5.1×104,1.1×105,3.9×105,8.6×105,2×106,4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0159】
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103,104,105の組合せや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組合せが好ましい。
【0160】
(3)GPCによる分子量の測定(ワックス)
(GPC条件)
装置;GPC−150(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min.
試料:0.15質量%の試料を0.4ml注入
【0161】
(トナーからの試料の調製)
トナーをキシレン或はトルエンに溶解もしくは膨潤させる(45℃以上の温浴中で行ったほうが、抽出効率がよい)。そこに、へキサンのような非極性溶媒を少しずつ加えながら撹拌し、ワックス類を抽出する。さらに、抽出したワックス類は、一度溶媒を除去したのち、再び熱トルエン等の溶媒に溶解し、冷却しながら融点の違いを利用して、分別する。この分別したものをサンプルとする。
【0162】
以上のようにして測定し、試料の分子量にあたっては、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式で、ポリスチレン換算することによって算出される。
【0163】
(4)トナーの極大吸熱、発熱ピークの測定
示差走査熱量分析測定装置(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い測定する。
【0164】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温、降温速度10deg./minで常温常湿下で測定を行う。
【0165】
この昇温過程で、温度30〜200℃の範囲におけるメインピークの吸熱、発熱ピークが得られる。極大吸熱ピークとは、言うまでもなく、その中で極大の値を示す温度のことである。
【0166】
(5)トナー粒子又はトナーの粒度分布の測定
測定装置としては、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0167】
測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、0.1〜5mlを加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積及び個数を各チャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナー粒子の体積分布から求めた質量基準のトナー粒子又はトナーの重量平均粒径(D4)及び体積平均粒径(Dv)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
【0168】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0169】
(6)トナー平均円形度の測定
本発明におけるトナーの平均円形度とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置FPIA−2000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
【0170】
【数1】
【0171】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0172】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0173】
本発明において、トナーの個数基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径と粒径標準偏差は、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると、次式から算出される。
【0174】
【数2】
【0175】
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度と円形度標準偏差は、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、頻度をfciとすると、次式から算出される。
【0176】
【数3】
【0177】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0178】
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、トナーの円相当径や円形度頻度分布等を求める。
【0179】
(7)摩擦帯電量の測定
図1は摩擦帯電量測定装置の説明図である。先ず測定しようとする粒子と現像剤として使用する磁性粒子の混合物を作る。混合の比率はトナー及び着色剤含有微粒子の場合には、磁性粒子95質量部に対して5質量部であり、流動性付与剤の場合には磁性粒子98質量部に対して2質量部である。
【0180】
測定しようとする粒子及び磁性粒子を測定環境に置いて、12時間以上放置した後ポリエチレン製のビンに入れ、十分混合、撹拌する。
【0181】
次に、底に500メッシュ(磁性粒子の通過しない大きさに適宜変更可能)の導電性スクリーン13のある金属製の測定容器12に摩擦帯電量を測定しようとする粒子と磁性粒子の混合物を入れ金属製のフタ14をする。このときの測定容器12全体の重量を秤り、W1(g)とする。次に、吸引機11(測定容器12と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口17から吸引し風量調節弁16を調整して真空計15の圧力を250mmAqとする。この状態で充分(約2分間)吸引を行ないトナーを吸引除去する。このときの電位計19の電位をV(ボルト)とする。ここで18はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定容器全体の重量を秤りW2(g)とする。この摩擦帯電量T(μC/g)は下式の如く計算される。
【0182】
T(μC/g)=(C×V)/(W1−W2)
【0183】
(8)帯電量分布の測定
二成分トリボ測定同様の現像剤を用い、帯電量分布測定装置(ホソカワミクロン社製;型式イースパートアナライザーEST−1)を用いて測定する。ここで得られるq/d分布から、トリボ分布の広がりを評価する。
【0184】
(9)エポキシ価の測定
JIS K7236 に記載の方法により、エポキシ当量を求め、次式から、エポキシ価を求めた。
【0185】
エポキシ価(eq/100g)=100/エポキシ当量
【0186】
【実施例】
以下、本発明のトナーの実施例について述べるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0187】
[測定・評価方法]
(1)加圧ローラー裏汚れ及びコピー画像カールレベル
A:優良(30%印字画像連続通紙100枚後画像裏面裏汚れ全くなし。カール幅10mm以内。)
B:良(30%印字画像連続通紙100枚後画像裏面裏汚れ5枚以内。カール幅20mm以内。)
C:やや悪い(30%印字画像連続通紙100枚後画像裏面裏汚れ6〜20枚。カール幅21〜40mm)
D:悪い(30%印字画像連続通紙100枚後画像裏面裏汚れ21枚以上。カール幅41mm以上。)
【0188】
(2)摩擦帯電量
・カラートナーの場合
A:優良 摩擦帯電量=−25μC/g未満
B:良 摩擦帯電量=−15μC/g未満〜−25μC/g以上
C:悪い 摩擦帯電量=−15μC/g以上
・磁性トナーの場合
A:優良 摩擦帯電量=−15μC/g未満
B:良 摩擦帯電量=−8μC/g未満〜−15μC/g以上
C:悪い 摩擦帯電量=−8μC/g以上
【0189】
(3)帯電量分布
前述した方法によりトナーの帯電量分布を測定した。測定条件は、現像器に現像剤を仕込み、外部モーターを具備した空回転機(現像バイアスをかけない)にて、20分間の回転を行い、その前後の現像剤の帯電量分布を測定した。図2に示したように(実施例1におけるシアントナー)ピーク値が回転前後でほとんど変化の無いものと、+側に帯電しているトナー量が少ないものをAとした。図3は、比較例1のトナーを測定したものであり、評価は、C実用不可レベルとした。その間を、Bレベルとし、実用ぎりぎり可レベルとした。
【0190】
(4)OHP透明性(透過率)
OHP透明性の測定は、島津自記分光光度計UV2200(島津製作所社製)を使用し、OHPフィルム単独の透過率を100%とし、
マゼンタトナーの場合:650nm
シアントナーの場合:500nm
イエロートナーの場合:600nm
での最大吸収波長における透過率を測定する。
A:85%以上
B:75〜85
C:65〜75
D:65%未満
【0191】
(5)耐熱(ブロッキング)試験
トナーを50mlのポリカップに10g秤量し、50℃の環境下に7日間放置したのち、目視評価した。
A:放置前と殆ど変わらずさらさらした流動性を示す。
B:少しケーキングした状態であるが、ポリカップに軽く衝撃を与えると、放置前のさらさらした状態になる。
C:少しケーキングした状態であるが、ポリカップを手で変形させながら、軽く衝撃を与えると、放置前のさらさらした状態になる。
D:ケーキングした状態であり、ポリカップに軽く衝撃を与えても、放置前のさらさらした状態にならず、ぼそぼそした状態でケーキング状態が崩れる。
E:衝撃を与えても、ケーキングした状態がくずれないままである。
【0192】
(6)画像濃度
画像濃度に関しては、カラー反射濃度計(X−RITE 404A;X−Rite社製)で測定した結果に基づき、以下の評価基準数値範囲を定めた。
A:濃度(Dmax)1.6以上。磁性トナーを用いた場合は1.45以上。
B:濃度(Dmax)1.4以上〜1.6未満。磁性トナーを用いた場合は1.3以上〜1.45未満。
C:濃度(Dmax)1.2以上〜1.4未満。磁性トナーを用いた場合は1.2以上〜1.3未満。
D:濃度(Dmax)1.2未満。磁性トナーを用いた場合は1.2未満。
【0193】
(7)画像濃度階調性
画像濃度階調性に関しては、カラー複写機CLC−1100(キヤノン製)を改造し、現像バイアスを可変にし、評価した。常温/低湿下(23℃/5%)での評価において、現像コントラスト電位を0〜600Vまで変化させ、画像濃度を評価した。
A:画像濃度変化が、現像コントラスト電位変化に対し、1次の関係にある領域が200V以上〜400V以下であるもの。但し、画像濃度(Dmax)1.6以上出ていること。
B:画像濃度変化が、現像コントラスト電位変化に対し、1次の関係にある領域が100V以上〜200V未満であるもの。但し、画像濃度(Dmax)1.6以上出ていること
C:画像濃度変化が、現像コントラスト電位変化に対し、1次の関係にある領域が401V以上〜500V未満であるもの。
D:画像濃度変化が、現像コントラスト電位変化に対し、1次の関係にある領域が500V以上であるもの。
【0194】
(8)色再現性
色再現性については、4色フルカラー画像を、風景画(緑、青の色彩の強い原稿チャート)、人物画像(肌色、赤、黄の強い原稿チャート)を用いてコピー画像を出し、目視評価した。
A:優良 B:良 C:やや悪い D:悪い
【0195】
(9)転写効率
転写効率は、感光体に現像されたトナー量、及び紙上に転写されたトナー量を測定し、次式で転写効率を求めた。
【0196】
転写効率(%)=(紙上に転写されたトナー量/感光体に現像されたトナー量)×100
A:優良 転写効率≧95%
B:良 転写効率=85%以上〜95%未満
C:やや悪い 転写効率=80%以上〜85%未満
D:悪い 転写効率=75%以上〜80%未満
E:極悪 転写効率=75%未満
【0197】
(10)白地部カブリ評価
画像のベタ白部の反射率を測定した。さらに未使用の紙の反射率を測定し、紙の値から引いてカブリ濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。
A:優良 カブリ濃度=1.0未満%
B:良 カブリ濃度=1.0以上〜2.0%未満
C:やや悪い カブリ濃度=2.0以上〜3.0%未満
D:悪い カブリ濃度=3.0以上〜4.0%未満
E:極悪 カブリ濃度=4.0以上
【0198】
(11)3日放置飛散
3日放置飛散は、3日放置後現像器スリーブ近傍を清掃後、100枚連続コピーし、スリーブ上下カバー部に飛散付着したトナーをテーピングし、紙上にはがしたテープをトナーとともに貼り付けその飛散度合いを、目視評価した。
A:優良 B:良 C:やや悪い D:悪い
【0199】
(12)トナー粒度変化(選択現像性)
トナーの帯電量分布が広いと、現像され易い帯電量を有するトナーが選択的に現像され、現像器中のトナー粒径は、初期のものと変化してくる。現像器中のトナー粒径が変化すると、画像濃度の低下を招いたり、ハーフトーン画像部が、がさっぽくなったり、細線再現性が悪くなるなど、画質劣化の原因となる。
A:優良 重量平均粒径変化=1.5μm未満
B:良 重量平均粒径変化=1.5μm以上〜3.0μm未満
C:悪い 重量平均粒径変化=3.0μm以上
【0200】
(13)ライン画像飛び散り
線幅0.1mm、0.2mm、0.5mm、0.8mm、1.0mmの原稿チャートをコピーし、目視により下記のように判定した。
A:優良 B:良 C:やや悪い D:悪い
【0201】
[共重合樹脂の製造例]
撹拌機,コンデンサー,温度計,窒素導入管を付した2リットルのフラスコに、メタノール/トルエン混合溶媒400g、スチレン83g、2−エチルヘキシルアクリレート5g、グリシジルメタクリレート7g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩5.2g、ラウロイルパーオキサイド1gを仕込み、撹拌、窒素導入下75℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、減圧乾燥後、ジェットミルにて粉砕し、共重合樹脂(A)を製造した。共重合樹脂(A)のMw=25,000、ガラス転移温度Tg=73℃であった。
【0202】
以下、組成比、開始剤量、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸金属塩の金属、反応条件を変え、表2に示した物性を有する共重合樹脂(B)〜(G)を得た。
【0203】
【表2】
【0204】
[ポリエステル樹脂の製造例]
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.2mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.7mol、テレフタル酸1.5mol、無水トリメリット酸1.0mol、フマル酸2.5mol及び酸化ジブチル錫0.1gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、220℃で6時間反応させ、ポリエステル樹脂(1)を得た。GPCによる分子量測定結果等の物性を表3に示す。
【0205】
ついで、組成比,反応条件をかえ、分子量を調整し、表3に示したポリエステル樹脂(2)を得た。
【0206】
[ビニル系共重合体の製造例]
ビニル系共重合体として、スチレン2.1mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.16mol、メタクリル酸0.1mol、ベンゾイルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れ、温度計,ステンレス製撹拌棒,流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した3リットルの4つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて85℃の温度で撹拌しつつ反応させ、ビニル系共重合体(1)を得た。GPCによる分子量測定結果等の物性を表3に示す。
【0207】
次に、組成比、開始剤量、反応条件を変え、表3に示したビニル系共重合体(2)を得た。さらに、メタクリル酸を用いずに、開始剤量と反応条件を変え、表3に示したビニル系共重合体(3)を得た。
【0208】
[ハイブリッド樹脂(1)の製造例]
ビニル系共重合体として、スチレン2.1mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.20mol、アクリル酸0.15mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れる。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸0.5molを4リットルのオートクレーブに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけた。次にオートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、150℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系共重合体の単量体及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。重合反応終了後、次いでオートクレーブ内に、酸化ジブチル錫0.2g、フマル酸4.5molを添加し、210℃に昇温を行い、4時間反応せしめてハイブリッド樹脂(1)を得た。GPCによる分子量測定結果等の物性を表3に示す。
【0209】
【表3】
【0210】
実施例で使用したワックスを以下に示す。
【0211】
【表4】
【0212】
<実施例1>
主結着樹脂:ハイブリッド樹脂(1) 100質量部
ワックス:パラフィンワックス 3質量部
荷電制御剤:共重合樹脂(A) 5質量部
顔料:β型銅フタロシアニン(C.I.Pig.B.15:3) 5質量部
をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行った後、二軸式押出機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粒径約1〜2mm程度に粗粉砕した。次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。さらに、得られた微粉砕物を多分割分級装置で分級して、重量平均粒径6.8μmのシアン系トナー粒子を得た。
【0213】
上記シアン系トナー粒子100質量部に対して、i−C4H9Si(OCH3)3で処理した疎水性酸化チタン(BET110m2/g)1.0質量部を外添混合し、シアントナー1とした。さらにシアントナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径50μm)とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、二成分系シアン現像剤1とした。
【0214】
シアントナー1において、顔料を、それぞれC.I.Pigment Red57:1 6質量部、C.I.Pigment Yellow 180 10質量部、カーボン(BET 50m2/g,一次粒子径40nm)5質量部を用いる以外は同様にして、マゼンタトナー(重量平均粒径7.0μm)、イエロートナー(重量平均粒径6.6μm)、ブラックトナー(重量平均粒径7.1μm)を得、同様にして、各色の二成分系現像剤1を得た。
【0215】
GPC測定結果等の物性を表5に示す。
【0216】
このシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック現像剤1で、カラー複写機CLC−1100(キヤノン製)の定着ユニットのオイル塗布機構を取り外した改造機を用い、単色モードで常温常湿環境下(23℃,60%)で画像面積比率25%のオリジナル原稿を用いて、定着試験を行った。さらに定着可能領域の評価については定着及び加圧ローラー表面層にポリ弗化エチレン層を設けたものを用い、ユニットを手動で定着温度が設定できるように改造した。80g/m2の紙上に、トナーを0.6mg/cm2現像させた未定着画像を、定着させた。定着後の画像を折り曲げ、折り曲げた部分が白く抜けなくなった定着温度を、定着開始温度とした。高温オフセットは、定着後の画像の光沢を測定し、光沢が低下し始める温度を高温オフセット開始温度とした。その評価結果を表6に示す。
【0217】
実施例1で得られた画像は光沢性、OHT透光性ともに良く、非オフセット定着温度領域が広く、且つ、良好な耐ブロッキング性を示した。
【0218】
さらに、4つの現像剤及びトナーを用いて、常温/低湿(23℃/5%)環境下、及び高温/高湿(30℃/70%)環境下フルカラー画像にて画出し耐久テストを行ったところ、画出し1万枚においても、画像濃度、色再現性ともに初期と変わらず安定した結果が得られた。評価結果を表6に示す。
【0219】
<実施例2〜4、比較例1、2>
表5に示した処方で実施例1とは、粉砕工程において、機械式粉砕機を用いて、粉砕条件を変え、円形度を表5に示したように変えた以外は、同様にトナーをつくり、評価し、表6に示す結果を得た。
【0220】
<実施例5,6、比較例3>
表5に示した処方で、粉砕工程において、機械式粉砕機を用いて、粉砕条件を変え、円形度を変え、磁性トナーを作製した。外添剤としては、疎水化処理したシリカ(BET220m2/g)1.0%と、チタン酸ストロンチウム(粒径1.8μm)3.0%を用い、現像剤とした。キヤノン製高速コピー機NP6085を用いて評価した。定着は、NP6085の定着機を改造し未定着画像を定着温度を変えることにより評価した。80g/m2の紙上に、トナーを1.2mg/cm2現像させた未定着画像を、定着させた。定着後の画像を1cm2あたり荷重100gかけたシルボン紙をあて、5回往復させる、いわゆるこすり試験をおこなった。このこすり試験前後での濃度低下率が、10%以下になった定着温度を、定着開始温度とした。高温オフセットは、定着画像先端から、定着ローラー1周後の紙上のべた白部にオフセットしたトナーが、出始める温度を高温オフセット開始温度とした。その結果を、表6に示した。
【0221】
【表5】
【0222】
【表6】
【0223】
【表7】
【0224】
【発明の効果】
以上説明のように、本発明によれば、低湿下における帯電速度が速く、さらに高湿下においても高い摩擦帯電量を維持できる電荷制御剤を用いることにより、カブリが少なく耐久性の良好なトナーを提供することができる。
【0225】
本発明のトナーは、粉体流動性が高く高画質画像が得られ、高い摩擦帯電量を維持しつつキャリア、現像スリーブ、あるいは静電潜像担持体からのトナーの剥離を容易にし、しかも高画質濃度及び高転写性達成可能であり、さらには、画像面積比率の低いものから高いものまでを現像したときに耐久性,現像性及び転写性に優れる。
【0226】
また、低温定着性に優れ且つ耐高温オフセット性に優れ、高温環境放置時における耐ブロッキング性に優れ、OHPでの透明性が良好で且つ二次色の混色性が良好で色再現範囲が広く、また、多量のオイルを塗布することなく、またはオイルは全く塗布することなく定着し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦帯電量測定装置の説明図である。
【図2】トナー(実施例1のシアントナー)の帯電量分布を示す図である。
【図3】トナー(比較例1のトナー)の帯電量分布を示す図である。
Claims (15)
- 酸価が1.0〜62.0mgKOH/gである主結着樹脂と、ビニル系モノマー類とグリシジル基含有モノマー類とスルホン酸基含有モノマー類とを共重合してなる共重合樹脂とを、金属又は金属イオンの存在下で溶融混錬する工程を経て製造されたトナー粒子を有するトナーであって、
該金属又は金属イオンは、元素周期表におけるIa族,IIa族,IIb族,IIIb族,IVa族,IVb族,VIa族、またはVIII族から選ばれる少なくとも1種の金属または金属イオンであり、
該トナーは、酸価が0.5mgKOH/g以上90.0mgKOH/g未満であることを特徴とするトナー。 - 前記主結着樹脂が、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、及びポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有しているハイブリッド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記ビニル系共重合体が、カルボキシル基を有するビニル系共重合体であることを特徴とする請求項2に記載のトナー。
- 前記金属または金属イオンが、Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Ti,Zr,Si,Sn,Cr,Mo,W,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Ptから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 前記金属または金属イオンが、Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Zr,Si,Cr,W,Fe,Pd,Ptから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
- 示差走査熱量分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上150℃以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- 前記最大吸熱ピークのピーク温度が55℃以上120℃以下の範囲であることを特徴とする請求項6に記載のトナー。
- 示差走査熱量分析(DSC)測定における発熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲における最大発熱ピークのピーク温度が40℃以上110℃以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
- 前記最大発熱ピークのピーク温度が45℃以上100℃以下の範囲であることを特徴とする請求項8に記載のトナー。
- 平均円形度が、フロー式粒子像測定装置で計測される個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、0.920以上0.975未満であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 前記ビニル系モノマー類、前記グリシジル基含有モノマー類、前記スルホン酸基含有モノマー類の質量比が、ビニル系モノマー類:グリシジル基含有モノマー類:スルホン酸基含有モノマー類=(50乃至99):(0.1乃至50):(0.5乃至40)であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトナー。
- 前記トナーの酸価が、1.0mgKOH/g以上50.0mgKOH/g未満であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー。
- 炭化水素系ワックス、エステル系ワックス、酸化型ワックス、アルコール系ワックス、酸ワックスから選ばれる少なくとも1種のワックスを含有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー。
- 前記ワックスは、GPCによる分子分布量において、重量平均分子量(Mw)が300以上4000以下であり、数平均分子量(Mn)が300以上2000以下であり、前記重量平均分子量(Mw)と前記数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0以上3.0以下であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のトナー。
- 前記ワックスの含有量が、トナーの質量を基準として、0.1質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のトナー。
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