JP4078103B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等の画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年提案されているフルカラー複写機においては、4つの感光体とベルト状転写体を用い、各感光体上にそれぞれ形成された静電荷像をシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーを用いて現像後、感光体とベルト転写体間に転写材を搬送しストレートパス間で転写してフルカラー画像を形成する方法や、感光体に対向させた転写体表面に静電気力やグリッパー等の機械的作用により転写材を巻き付け、現像−転写工程を4回実施することでフルカラー画像を得る方法が一般的に利用されている。
【0003】
これらフルカラー用複写機に搭載されるトナーにおいては、色再現性の向上やオーバーヘッドプロジェクター(OHP)画像の透明性を損なうことなく加熱加圧定着工程で各トナーが充分混色することが必要である。
【0004】
一般の白黒複写機用黒トナーと較べフルカラー画像用トナーは、シャープメルト性を有する低分子量結着樹脂が好ましい。しかしながら、通常シャープメルト性結着樹脂を用いると加熱加圧定着工程でトナーが溶融する際、結着樹脂の自己凝集力が低いため耐高温オフセット性に問題を生じ易い。
【0005】
一般の白黒複写機用黒トナーは、定着時の耐高温オフセット性を向上させるためポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスに代表される比較的高結晶性のワックスが離型剤として用いられている。
【0006】
このような問題を解決するため、特定の貯蔵弾性率を有するトナーについて提案されている。
【0007】
例えば、特開平11−84716号公報や特開平8−54750号公報では、180℃または170℃において特定の貯蔵弾性率を有するトナーが提案されている。しかし、低温定着と耐高温オフセットの両立、高温オフセット防止のためのオイルを使用しないか、又はオイルの使用量を少なくした加熱加圧定着手段での良好な定着性、および十分な混色特性が必要とされるカラートナーとしては、トナーの粘度が低すぎるうえ、高温環境下での保存性について満足できるものではなかった。
【0008】
また、特開平11−7151号公報や特開平6−59504号公報では、70〜120℃において特定の貯蔵弾性率G'を有し、130〜180℃において特定の貯蔵弾性率G"を有するトナーが提案されている。しかしながら、高温環境下での十分な保存性、大量の画像を出力する際に高品位な画像を安定して得るという点、どのような環境下においても安定した帯電性と現像性を得るという点について満足できるものではなかった。
【0009】
さらに、特開平5−249735号公報、特開平7−92737号公報、特開平7−234542号公報、特開平7−295298号公報、特開平8−234480号公報、特開平8−278662号公報、特開平10−171156号公報においても特定の貯蔵弾性率を有するトナーが提案されている。しかしながら、カラートナーとしての理想的な定着特性、保存性、OHP透明性を得るためには、改良の余地があった。
【0010】
また、特開昭63−33755号公報、特開平2−190869号公報、特開平2−230163号公報及び特開平4−347863号公報では、サリチル酸やその誘導体を荷電制御剤として用いたトナーが開示されている。しかしながら、サリチル酸は、温度や湿度の変化によって荷電制御能力が大きく変動するばかりか昇華性を有するため、トナーの保存条件に著しい制約を受ける。又、サリチル酸誘導体は結着樹脂に対する分散性が良好であるため、これをトナーに用いることにより画像形成装置とのマッチングもある程度改善されるが、所望の荷電制御能力を発揮するには添加量を増やす必要があった。
【0011】
特開昭61−238846号公報や特開平5−134457号公報では、均一な電荷付与能力を得るために荷電制御剤をトナー表面に析出させて得られるトナーが開示されている。この方法により確かにトナーの帯電性は安定するが、多数枚耐久画出し後、トナー表面から荷電制御剤が脱離して荷電制御効果が減少するために、トナーの耐久性に問題を生じる。
【0012】
特開2001−34016号公報では、表面のオキシカルボン酸の量を制御する技術が開示されており、十分な効果が得られている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、低温定着性および耐高温オフセット性に優れ、長期にわたって安定して画像を形成することができる画像形成方法を提供することを課題とする。
【0014】
また、本発明は、高温環境放置時におけるトナーの耐ブロッキング性に優れた画像形成方法を提供することを課題とする。
【0015】
さらに、本発明は、特にOHPでの透明性が良好で且つ二次色の混色性が良好なため、色再現範囲が広い画像形成方法を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、トナーの物性、トナーに含有される荷電制御剤の種類およびトナー中の存在状態、およびトナーの現像剤担持体および潜像保持体上における帯電状態に着目し、これらを特定のものとすることにより低温定着性および耐高温オフセット性に優れ、長期にわたって安定して画像を形成することができる画像形成方法が提供できることを見出し、本発明を完成させた。
【0017】
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0018】
(1)磁性キャリアとトナーとを有する二成分系現像剤を用い、前記トナーを担持する現像剤担持体に、直流バイアスに交流バイアスを重畳した現像バイアスを印加して静電保持体上の静電潜像を前記トナーにより現像してトナー像を形成する二成分現像方法を用いた画像形成方法であって、前記トナーは結着樹脂と着色剤と芳香族オキシカルボン酸またはその誘導体と炭化水素ワックスとを少なくとも含有し、前記結着樹脂は(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂成分、(c)ポリエステル樹脂と前記ハイブリッド樹脂成分の混合物、(d)ポリエステル樹脂とビニル系共重合体の混合物、または(e)ポリエステル樹脂と前記ハイブリッド樹脂成分とビニル系共重合体の混合物から選択され、前記トナーは、示差走査熱量測定(DSC)による吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が55〜110℃であり、前記トナーの粘弾性特性において、温度80℃における貯蔵弾性率(G'80)が1×106〜1×1010[dN/m2]であり、且つ温度120〜180℃における貯蔵弾性率(G'120−180)が1×103〜1×106[dN/m2]であり、前記芳香族オキシカルボン酸またはその誘導体のトナー表面における存在量が0.05〜8g/kgであり、現像剤担持体上のトナーの23℃、相対湿度60%環境下における帯電量分布が絶対値で5〜25μC/gにピークを有し、且つ現像剤担持体上のトナー全体の帯電量(A)と静電保持体上のトナーの帯電量(B)とが下記式
【0019】
【数4】
0.5 ≦ |A|−|B| ≦ 8.0
を満足することを特徴とする画像形成方法。
【0020】
(2)前記現像剤担持体上のトナーの23℃、相対湿度50%環境下における帯電量分布が絶対値で10〜20μC/gにピークを有し、且つ現像剤担持体上のトナー全体の帯電量(A)と静電保持体上のトナーの帯電量(B)とが下記式
【0021】
【数5】
1.0 ≦ |A|−|B| ≦ 5.0
を満足することを特徴とする(1)の画像形成方法。
【0022】
(3)前記交流バイアスの電圧が実効値で500〜5000Vであることを特徴とする(1)または(2)の画像形成方法。
【0023】
(4)前記交流バイアスが矩形バイアスであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの画像形成方法。
【0024】
(5)前記交流バイアスが休止部と振動部とを含むブランクパルスバイアスであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの画像形成方法。
【0025】
(6)前記交流バイアスの繰り返し周波数が100Hz〜10kHzであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの画像形成方法。
【0026】
(7)前記現像剤担持体の表面の平均山間隔Smが、前記磁性キャリアの質量平均径Dの1/3〜6倍であり、且つ前記現像剤担持体の表面の10点粗さをRzとした場合に、下記式
【0027】
【数6】
0.001 ≦ Rz/Sm ≦0.15
を満足することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかの画像形成方法。
【0028】
(8)前記トナーの温度80℃における貯蔵弾性率(G'80)が1×106〜1×108[dN/m2]であり、温度120〜180℃における貯蔵弾性率(G'120-180)が1×104〜5×105[dN/m2]であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかの画像形成方法。
【0029】
(9)前記トナーの温度120〜180℃における貯蔵弾性率の最小値(G'min)と最大値(G'max)の比(G'max/G'min)が30以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかの画像形成方法。
【0030】
(10)前記トナーの示差走査熱量測定(DSC)による吸熱曲線において、温度30〜200℃における最大吸熱ピークのピーク温度が55〜80℃であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかの画像形成方法。
【0032】
(11)前記芳香族オキシカルボン酸誘導体が、該芳香族オキシカルボン酸誘導体の金属化合物であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかの画像形成方法。
【0033】
(12)前記芳香族オキシカルボン酸の金属化合物が、該芳香族オキシカルボン酸誘導体のアルミニウム化合物であることを特徴とする(11)の画像形成方法。
【0034】
(13)前記トナーは樹脂成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量3500〜15000の領域にメインピークが存在し、且つ質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0以上であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかの画像形成方法。
【0035】
(14)前記トナーは樹脂成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量3500〜15000の領域にメインピークが存在し、且つ質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5.0以上であることを特徴とする(1)〜(13)のいずれかの画像形成方法。
【0036】
(15)前記トナーの質量平均粒径が4〜10μmであることを特徴とする(1)〜(14)のいずれかの画像形成方法。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるトナーは結着樹脂と着色剤と芳香族オキシカルボン酸およびその誘導体と炭化水素ワックスとを少なくとも含有し、結着樹脂は、(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂成分、(c)ポリエステル樹脂と上記ハイブリッド樹脂成分の混合物、(d)ポリエステル樹脂とビニル系共重合体の混合物、または(e)ポリエステル樹脂と上記ハイブリッド樹脂成分とビニル系共重合体の混合物の混合物から選択される。また、上記本発明で用いられるトナーは、示差走査熱量測定(DSC)による吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が55〜110℃であることを特徴とする。
【0038】
トナーにワックスが含有されている場合、一般にトナーの温度30〜200℃の範囲におけるDSCで得られる最大吸熱ピークは、ワックスの最大吸熱ピークを示す。本発明においては、炭化水素系ワックスのDSCによって測定される昇温時の吸熱曲線において、最大吸熱ピークの極大値が55〜110℃の炭化水素ワックスを使用することにより、高速化対応であり、低温から広い定着領域を有するトナーを得ることが出来る。
【0039】
更に、ワックスを分散する方法として、結着樹脂中にアルキル基又はアルケニル基を導入する方法が挙げられるが、これだけではワックスを大量に添加する場合、分散不良を引き起こした。更に、分散性を上げるため、過剰に結着樹脂中にアルキル基又はアルケニル基を導入した場合、ワックスの分散が過剰な微分散となり、更に樹脂との結着性が上がるため、定着での染み出しによる効果が不十分になってしまう。
【0040】
また、本発明で用いられるトナーの粘弾性特性において、温度80℃における貯蔵弾性率(G'80)は、トナーの高温環境下における保存性、耐熱性、耐ブロッキング性を良好にするために、1×106〜1×1010[dN/m2]であることを特徴とする。このG'80は、好ましくは1×106〜1×109[dN/m2]であり、より好ましくは1×106〜1×108[dN/m2]である。貯蔵弾性率(G'80)が上記範囲よりも小さすぎる場合には、高温環境下における保存性、耐熱性、耐ブロッキング性が悪く、トナー粒子同士が合一し、大きなトナーの凝集体が形成されるため好ましくない。近年、複写機、プリンターの出力スピードの高速化や本体の小型化が進んでいるため機内の温度が高くなる傾向にあり、高精細・高画質の画像を安定して得るためには、トナーが高温環境下における十分な保存性、耐熱性、耐ブロッキング性を有することは重要である。また、貯蔵弾性率(G'80)が上記範囲より大きすぎる場合には、保存性、耐熱性、耐ブロッキング性は十分であるものの、低い温度での十分な定着性が得られないため好ましくない。
【0041】
また、本発明では、トナーの温度120〜180℃における貯蔵弾性率(G'120-180)は、十分な低温定着性と耐高温オフセット性とを両立させるために、1×103〜1×106[dN/m2]であることを特徴とする。このG'120-180は、好ましくは1×103〜5×105[dN/m2]であり、より好ましくは1×104〜5×105[dN/m2]である。貯蔵弾性率(G'120-180)が上記範囲よりも小さすぎる場合には、トナーの十分な耐高温オフセット性を得ることができないため好ましくない。また、貯蔵弾性率(G'120-180)が上記範囲より大きすぎる場合には、トナーの十分な低温定着性を得ることができないため好ましくない。
【0042】
また、トナーの温度120〜180℃における貯蔵弾性率の最小値(G'min)と最大値(G'max)の比(G'max/G'min)が30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。
【0043】
なお、貯蔵弾性率は結着樹脂やその他の材料の選別、混練方法によって決定されるものである。従って、トナーの材料や製造工程における混練方法を適宜調整することにより、貯蔵弾性率が上記範囲であるトナーを得ることができる。
【0044】
さらに、十分な耐高温オフセット性、良好な保存性、耐ブロッキング性を得るために、温度120〜180℃における貯蔵弾性率(G')と損失弾性率(G")との比(G"/G'=tanδ)の最小値(tanδmin)と温度180℃におけるtanδ(tanδ180)とが下記式を満足することが好ましい。
【0045】
【数7】
1 ≦ (tanδ180)/(tanδmin)
上記(tanδ180)/(tanδmin)が1より小さい場合には、十分な耐高温オフセット性が得られない。また、高温環境下で長期間放置した場合に、本発明で用いるトナーを構成するトナー粒子同士の合一が発生してしまうため、保存性、耐ブロッキング性が不十分である。
【0046】
上述したように、本発明で用いられるトナーは温度30〜200℃の範囲におけるDSCで得られる最大吸熱ピークのピーク温度は55〜110℃である。このピーク温度は55〜80℃であることが好ましい。すなわち、本発明においては既に説明したように、上記トナーに含有される炭化水素ワックスのDSCによって測定される昇温時の吸熱曲線において、最大吸熱ピークの極大値が55〜110℃、好ましくは55〜80℃である。これは、ワックスの染み出し速度により、十分に定着にも優れ、且つトナーの保存性、更に生産面でもワックスのトナー表面への存在を制御するのに有効であった。最大吸熱ピークの極大値が55℃より低い場合、トナーの染み出しが早くなり、現像剤の凝集度を上げて流動性を落とし、現像や転写、クリーニングに問題が生じやすくなった。一方、最大吸熱ピークの極大値が110℃越えると定着器構成を変えても、十分な定着が困難となった。
【0047】
また、最大吸熱ピークが55℃未満のワックスを用いた場合、本発明に用いられる樹脂のガラス転移温度よりも低くなるために、高温環境に放置した際にトナー表面に溶け出すため、耐ブロッキング性能が大幅に悪くなる。
【0048】
一方、最大吸熱ピークが110℃より大きい場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速に溶融トナー表面に移行できず、離型性が悪くなるために、高温オフセットが発生し易くなる。
【0049】
このようなワックスを使用することにより離型性および定着性の両方を満足することを特徴とするトナーである場合に、オイルを使用しないか、又は、オイルの使用量を少なくした加熱加圧定着手段において、高いグロスを満足し、二次色の混色性に優れ、色再現範囲が広く、且つOHP透過性の優れたトナー及び画像形成方法を提供できる知見を得たため、本発明に到達したものである。
【0050】
また本発明は、トナーに含有される芳香族オキシカルボン酸またはその誘導体のトナー表面における存在量が0.05〜8g/kgであることを特徴とする。この存在量は好ましくは0.05〜5g/kgであり、より好ましくは0.05〜2g/kgである。存在量が0.05g/kgより少ないと、トナー表面近傍に存在する荷電制御剤の量が少なくなり、帯電の安定性に問題が生じることがある。また、上記存在量が8g/kgより多い場合、磁性キャリアや現像剤担持体への汚染が発生し易くなる。
【0051】
更に、本発明で用いられるトナーは上述したように炭化水素系ワックスを含有する。上記芳香族オキシカルボン酸およびその誘導体は、トナー表面に流動性を付与する効果があるが、本発明における存在量では、トナーへの流動性付与能力が下がる。更に炭化水素系ワックスを使用すると、トナーの流動性は低下する傾向にある。そのため、トナー表面への無機微粉体の添加により流動性を上げることが従来より行われているが、単に無機微粉体を大量に添加するだけでは、長期に画像形成を行う場合、現像器中に無機微粉体が蓄積しやすくなり画像に支障をきたす。
【0052】
そこで本発明は、炭化水素系ワックスが添加されることによってトナーの流動性が低下した場合でも、安定して長期に亘り画像形成を行える方法を見出したものである。すなわち、本発明では、23℃、相対湿度50%環境下における、現像剤担持体上のトナーの帯電量分布が絶対値で5〜25μC/gにピークを有し、且つ、現像剤担持体上のトナー全体の帯電量(A)と静電保持体上のトナーの帯電量(B)とが下記式を満足することを特徴とする。
【0053】
【数8】
0.5 ≦ |A|−|B| ≦ 8.0
更に好ましくは、トナーの上記帯電量分布が、23℃、相対湿度50%環境下において絶対値で10〜20μC/gにピークを持ち、且つ(A)と(B)とが下記式を満足することが好ましい。
【0054】
【数9】
1.0 ≦ |A|−|B| ≦ 5.0
上記現像剤担持体上におけるトナーの帯電量分布のピークが5μC/gより小さい場合、トナーの飛散、現像性低下が発生しやすい。25μC/gより大きい場合、濃度低下等の問題が生じることがある。本発明の画像形成方法では、通常の帯電量分布に比べて低いトナー帯電分布を有している。しかしながら、トナー飛散等の問題はなく、安定な画像が得られる。これは、トナーの表面における芳香族オキシカルボン酸またはその誘導体の量を制御したためであると考えられる。
【0055】
また、上記|A|−|B|の値が上記範囲である場合、画像の安定性が見られた。|A|−|B|の値が上記範囲より小さすぎる場合、トナーの帯電量減少が見られた。これは、本発明で用いられるトナーは流動性が低いため、補給されたトナーが十分に帯電できないためと考えられる。そのため、現像工程において、帯電量の高いトナーから消費されてしまう。また、現像剤担持体上のトナー全体の帯電量(A)と静電保持体上のトナーの帯電量(B)とがほぼ等しい場合についても、流動性の不足からトナーへの帯電が不十分になり、帯電低下を招いた。逆に上記|A|−|B|の値が8.0μC/gより大きい場合については、現像剤担持体上でのチャージアップ、選択現像における微粒子の増大や、無機微粉体の蓄積が顕著になり、初期と耐久印刷後との画像の均一性が低下した。
【0056】
すなわち、本発明は、DSCにおける吸熱曲線におけるトナーの最大吸熱ピークのピーク温度を55〜110℃とすることで優れた低温定着性を実現する一方で、離型剤として炭化水素ワックスをトナーに含有させることで耐高温オフセット性をも有する画像形成方法を提供することができる。この際、トナーに炭化水素ワックスを含有させることでトナーの流動性が低下する傾向があるが、トナーの帯電量分布、および現像剤担持体上のトナーの帯電量(A)と静電保持体上のトナーの帯電量(B)との関係を上記範囲に制御することにより、流動性が比較的低いトナーを用いた場合でも長期にわたり安定して画像形成することができる。さらに、本発明の方法におけるトナーの上記帯電量分布は従来の画像形成方法に比べて低いものであるが、荷電制御剤としての芳香族オキシカルボン酸およびその誘導体のトナー表面における存在量を上記範囲に制御することにより、トナーの帯電量分布を低くしてもトナー飛散の発生を防止することができるため、機内汚染や現像性低下等の問題が起こらない。
【0057】
上記した本発明の特徴に加えて、本発明の画像形成方法においてはトナーの温度80℃および120〜180℃における貯蔵弾性率をそれぞれ上記範囲に制御することにより、トナーの低温定着性、耐高温オフセット性、(特に高温環境下における)保存性、および耐ブロッキング性をさらに良好なものとすることができる。この様な本発明の効果は、良好な発色性および十分な混色性が要求されるカラートナーにおいてより発揮される。
【0058】
また、本発明では、交流バイアスの電圧を実効値で500〜5000Vにすることにより、カブリ、画像濃度により優れた画像が得られる。この交流バイアスの電圧はより好ましくは500〜3000Vである。この交流バイアスとしては矩形バイアスや、休止部と振動部とを含むブランクパルスバイアスを用いることができる。交流バイアスを休止部と振動部とを含むブランクパルスバイアスにし、休止部の時間を制御することにより、現像剤担持体上のトナー全体の帯電量と現像剤担持体上のトナーの帯電量の差、および静電保持体上のトナーの帯電量分布を上記範囲に設定できる。また、上記交流バイアスの繰り返し周波数が100Hz〜10kHzであることが好ましく、1kHz〜10kHzであることがより好ましい。
【0059】
しかしながら、上記|A|−|B|の値を、上述したような重畳バイアスのみで制御することは不可能であり、本発明の効果が得られたのはトナーの流動性の制御を行うことができたためと考えられる。トナーの流動性は、トナー表面の芳香族オキシカルボン酸誘導体の量、炭化水素ワックスの量の制御により可能になった。また、トナーの物性を上記のように制御した上で、直流、交流の重畳バイアスを制御することにより、本発明の効果を更に発揮できる。
【0060】
なお、上記|A|−|B|の値を上記範囲に調整するためには、炭化水素ワックスの量はトナーの質量を基準として0.1〜6質量%含有させることが好ましい。
【0061】
以下、本発明の画像形成方法について更に詳しく説明する。
【0062】
本発明で用いられる二成分系現像剤はトナーと磁性キャリアとを有する。まず、トナーについて説明する。
【0063】
本発明で用いられるトナーは結着樹脂と着色剤と芳香族オキシカルボン酸またはその誘導体と炭化水素系ワックスとを少なくとも含有する。また、本発明で用いられる結着樹脂は(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂成分、(c)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂成分の混合物、(d)ポリエステル樹脂とビニル系共重合体の混合物、または(e)ポリエステル樹脂と上記ハイブリッド樹脂成分とビニル系共重合体の混合物から選択される。
【0064】
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合は、アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物またはカルボン酸エステル等の酸成分とが原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0065】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0066】
酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたこはく酸またはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0067】
それらの中でも、特に下記一般式(1)で代表されるビスフェノール誘導体をアルコール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、トナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0068】
【化1】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。)
【0069】
本発明で用いられるトナーに含有される結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステル等のカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
【0070】
なお、本発明において「ビニル系重合ユニット」とは、ビニル系共重合体に由来する部分を示し、「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を示す。また、本発明において「ハイブリッド樹脂成分」とは、上述したようなハイブリッド樹脂に由来する成分を示す。
【0071】
ポリエステルユニットを構成するポリエステルモノマーとしては、上述した結着樹脂に用いられるポリエステル樹脂を構成するモノマーを使用することができる。
【0072】
ビニル系共重合体ユニットまたはビニル系共重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0073】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステル等の不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0074】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0075】
本発明で用いられるトナーにおいて、結着樹脂のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0076】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0077】
本発明では、ビニル系共重合体成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0078】
ビニル系共重合体とポリエステル樹脂との反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系共重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0079】
本発明のビニル系共重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
【0080】
本発明においてトナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0081】
(1)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成されるエステル化合物を用いることができる。
【0082】
(2)ビニル系重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0083】
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。
【0084】
(4)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0085】
(5)ハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂成分は上記(2)〜(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0086】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0087】
上記(1)〜(6)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0088】
本発明のトナーに含有される結着樹脂として、上記ポリエステル樹脂とビニル系共重合体との混合物を使用することも好ましい形態である。
【0089】
本発明のトナーに含有される結着樹脂は、上記ハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物を使用しても良い。
【0090】
本発明のトナーに含有される結着樹脂は、上記ポリエステル樹脂と上記ハイブリッド樹脂に加えてビニル系共重合体の混合物を使用しても良い。
【0091】
本発明では、結着樹脂のTHF(テトラヒドロフラン)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)測定において、数平均分子量(Mn)が1300〜9500であり、質量平均分子量(Mw)が2600〜190000であり、該結着樹脂のTHF可溶分の質量平均分子量(Mw)とMnとの比(Mw/Mn)は2〜20であることが好ましい。
【0092】
また、結着樹脂は、酸価が1〜60mgKOH/gであり、5〜50mgKOH/gであることが好ましい。
【0093】
結着樹脂の酸価が1未満の場合には、耐久的な使用におけるトナーの帯電量の上昇、所謂チャージアップが発生しやすく、画像濃度を長期に渡って維持することが困難となる。一方、結着樹脂の酸価が60を越える場合は、チャージアップ傾向はなくなるが、特に高温高湿環境時における帯電量の減少傾向、所謂チャージダウンに起因する「白地カブリ」が発生し、画像品質の低下を招くこととなる。
【0094】
また、トナー化した際のTHF可溶分のGPC測定において、数平均分子量(Mn)が1500〜10000であり、質量平均分子量(Mw)が3000〜5000000であることが好ましい。
【0095】
結着樹脂の数平均分子量(Mn)が1300未満の場合若しくは質量平均分子量(Mw)が2600未満、またはトナーの数平均分子量(Mn)が1500未満の場合若しくは質量平均分子量(Mw)が3000未満の場合には、いずれも定着画像表面の平滑性は高く、見た感じの鮮やかさはあるものの、耐久的な使用において高温オフセットが発生しやすくなる。また、長期保存安定性が低下し、現像器内でのトナー融着及びキャリア表面にトナー成分が付着してキャリアスペントの発生といった新たな問題も懸念される。さらに、トナー粒子の製造時のトナー原料の溶融混練時にシェアーがかかり難く、着色剤の分散性が低下し易く、よってトナーの着色力の低下やトナーの帯電量の変動が生じ易い。
【0096】
結着樹脂の数平均分子量(Mn)が9500を超える場合若しくは質量平均分子量(Mw)が190000を越える場合、またはトナーの数平均分子量(Mn)が10000を超える場合若しくは質量平均分子量(Mw)が5000000を越える場合は、いずれも耐オフセット性に優れるものの、定着設定温度を高くせざるを得ないし、さらに、仮に顔料の分散の程度をコントロールできたとしても、画像部での表面平滑性が低下してしまい色再現性が低下し易くなってしまう。
【0097】
また、本発明で用いられるトナーは樹脂成分のGPCによる分子量測定において、分子量3500〜150000の領域にメインピークが存在し、MwとMnの比(Mw/Mn)が3.0以上であることが好ましい。結着樹脂のGPCによる分子量測定におけるメインピークは分子量5000〜100000)の位置にあることがより好ましく、Mw/Mnは5.0以上であることがより好ましい。
【0098】
ポリエステル樹脂のMw/Mnが3未満の場合には、一般に得られるポリエステル樹脂は、分子量自体が小さくなることから、前述の分子量が小さい場合と同様に耐久的な使用による高温オフセット現像、長期保存安定性の低下、現像器内でのトナー融着及びキャリアスペントが生じ易くなり、さらに、トナーの帯電量のばらつきが生じ易い。
【0099】
一方、結着樹脂のMw/Mnが20を越える場合は、耐高温オフセット性に優れるものの、定着設定温度を高くせざるを得ないし、さらに、仮に顔料の分散の程度をコントロールできたとしても、画像部での表面平滑性が低下してしまい、二次色の混色性が低下するために、色再現性が低下し易くなってしまう。
【0100】
離型剤(ワックス)としては次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、離型剤として、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N'−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニルモノマーをグラフト化させたグラフトワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0101】
本発明に用いられるワックスはこの中でも特に、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスである。
【0102】
本発明では、上記炭化水素系ワックスは、DSCによって測定される昇温時の吸熱曲線において、最大吸熱ピークの極大値が55〜80℃であるものを用いると良い。
【0103】
次に、本発明で用いることができるワックス分散剤マスターバッチについて説明する。
【0104】
ワックス分散剤マスターバッチとしては、(i)ポリエステル樹脂、(ii)炭化水素系ワックス、(iii)スチレン系モノマー、及び(メタ)アクリル酸系モノマーから選ばれる1種又は2種以上のモノマーを用いて合成された共重合体とポリオレフィンとを少なくとも有するものが良い。
【0105】
本発明において用いた(ii)炭化水素系ワックスは、該ワックス分散剤マスターバッチ中において予め微分散される。
【0106】
(ii)炭化水素系ワックスはDSCによって測定される昇温時の吸熱曲線において、最大吸熱ピークの極大値が55〜80℃にあること、また、トナーの質量を基準として0.1〜6質量%含有させることが良い。
【0107】
ワックスの量が0.1質量%未満の場合は、特に定着オイルの塗布量を減らした場合もしくは全く使用しない場合の離型効果が得られず、6質量%よりも多い場合は、顔料の分散が悪くなり、結果的にトナーの彩度を損なうこととなる。
【0108】
また、最大吸熱ピークが55℃未満のワックスを用いた場合、本発明に用いられる樹脂のガラス転移温度よりも低くなるために、高温環境に放置した際にトナー表面に溶け出すため、耐ブロッキング性能が大幅に悪くなる。一方、最大吸熱ピークが80℃より大きい場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速に溶融トナー表面に移行できず、離型性が悪くなるために、高温オフセットが発生し易くなる。
【0109】
(ii)炭化水素系ワックスのGPCによる分子量分布において、質量平均分子量(Mw)が400〜800であり、数平均分子量(Mn)が400〜600であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜2.0であることが好ましい。
【0110】
(ii)炭化水素系ワックスの数平均分子量(Mn)が400未満の場合または質量平均分子量(Mw)が400未満の場合、高温環境に放置した際にトナー表面に溶け出すため、耐ブロッキング性能が大幅に悪くなる。
【0111】
また、(ii)炭化水素系ワックスの数平均分子量(Mn)が600を超える場合または質量平均分子量(Mw)が800を越える場合、または質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.0を越える場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速に溶融トナー表面に移行できず、離型性が悪くなるために、高温オフセットが発生し易くなる。
【0112】
結着樹脂としてのポリエステル樹脂と炭化水素系ワックスとの相溶性は元来より乏しいため、そのままの状態で添加してトナー化した際には、トナー中にワックスが偏析して存在し、遊離ワックス等も発生することから、結果的に白抜けの発生や帯電不良等の不具合が発生する。
【0113】
ワックスの添加方法としては、トナー製造時に結着樹脂およびその他の材料と共に同時添加するのではなく、予めパラフィンの如き離型剤を樹脂組成物中に微分散させたワックス分散剤マスターバッチ形態で添加するのが良い。
【0114】
本発明で用いられるトナーは芳香族オキシカルボン酸またはその誘導体をさらに含有する。該芳香族オキシカルボン酸または芳香族オキシカルボン酸誘導体としては、例えばジ−tert−ブチルサリチル酸またはその金属化合物を好ましく用いることができる。
【0115】
また、上記芳香族オキシカルボン酸誘導体として芳香族オキシカルボン酸誘導体の金属化合物を用いることも好ましい。上記芳香族オキシカルボン酸誘導体の金属化合物を構成する金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。2価の金属としてはMg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+が挙げられる。中でもZn2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+があげられる。これらの金属の中で好ましいのはAl3+、Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+である。
【0116】
本発明においては、芳香族オキシカルボン酸誘導体として、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物を用いることが特に好ましい。
【0117】
芳香族オキシカルボン酸の金属化合物は、例えば、オキシカルボン酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、2価以上の金属原子を溶融している水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより合成し得る。ただし、上記の合成方法だけに限定されるものではない。
【0118】
芳香族オキシカルボン酸誘導体は、トナーの質量基準で0.1〜10質量%使用すると、トナーの帯電量の初期変動が少なく、現像時に必要な絶対帯電量が得られやすく、結果的に「カブリ」や画像濃度ダウン等の画像品質の低下がなく好ましい。
【0119】
芳香族オキシカルボン酸誘導体の含有率がトナーの質量基準として0.1%未満(全く加えない)と、耐久使用時における帯電量が不安定となり、結果的に画像濃度の維持性に劣ることとなる。逆に、芳香族オキシカルボン酸誘導体の含有率がトナーの質量基準として10%を越えると、耐久使用時にチャージアップが発生するために、画像濃度の低下を招くこととなる。
【0120】
また、上述したように、本発明においては芳香族オキシカルボン酸またはその誘導体のトナー表面における存在量が0.05〜8g/kgである。この存在量は芳香族オキシカルボン酸およびその誘導体の添加量を調整したり、トナーの混練方法を適宜選択することによって調節することができる。
【0121】
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合、磁性トナー粒子は、磁性体を含む。その場合、磁性体は着色剤としての機能も有する。磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0122】
例えば、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12),酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5−O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12−O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。好適な磁性材料は四三酸化鉄,磁性フェライト又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0123】
磁性体は平均粒径が0.1〜2μm(より好ましくは、0.1〜0.5μm)で、10Kエルステッド印加で磁気特性が抗磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜200Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残留磁化2〜20Am2/kgのものが好ましい。
【0124】
該磁性体は、マグネットを内包する現像剤担持体上に磁気的拘束力を伴って担持される磁性一成分系現像剤として用いられる場合、トナーの質量基準で5〜120質量%含有するのが好ましい。
【0125】
また、マグネットを有していない現像剤担持体上に磁気的拘束力を伴わずに担持される非磁性一成分現像剤として用いられる場合、磁性体をトナーの質量基準で0.1〜5質量%含有していることが好ましい。
【0126】
磁性体を上記範囲内でトナーに含有させることにより、耐久時におけるトナー飛散現象(機内汚れ)を抑えることができる。磁性体の含有率が、トナーの質量重量基準で5質量%を越えると、規制ブレードもしくはトナーを担持するローラー表面を著しく破損(削る)こととなり、帯電不良の原因となる。
【0127】
また、磁性キャリア粒子と混合されて二成分系現像剤として用いられる場合、磁性体をトナーの質量基準で0.1〜5質量%含有していることが好ましい。磁性体をこの範囲内でトナーに含有させることにより、トナーと現像剤担持体との磁気的拘束力が増すために、耐久的な使用時におけるトナー飛散現象(機内汚れ)を抑えることができる。
【0128】
磁性体の含有率が、トナーの質量基準で5質量%を越えると、現像剤を担持するローラーとの磁気的拘束力が増し過ぎるために、画像濃度の低下を招くことがある。
【0129】
本発明で用いられる着色剤としては顔料及び/又は染料を用いることができる。例えば染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等が挙げられる。
【0130】
顔料としては、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
【0131】
また、フルカラー画像形成用トナーとして使用する場合には、マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209,238,C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
【0132】
上記顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121,C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料;C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料が挙げられる。
【0133】
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17;C.I.アシッドブルー6;C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等である。
【0134】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83,93,97,155,180、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
【0135】
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して1〜15質量部、好ましくは3〜12質量部、より好ましくは4〜10質量部である。
【0136】
着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性が低下し、加えて人間の肌色に代表される様な中間色の再現性も低下し易くなり、更にはトナーの帯電性の安定性が低下し、目的とする帯電量が得られにくくなる。また、着色剤の含有量が1質量部より少ない場合には、目的とする着色力が得られ難く、高い画像濃度の高品位画像が得られ難い。
【0137】
トナー粒子には、流動性向上剤が外添されていることが画質向上のために好ましい。流動性向上剤とは、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後と比較すると増加し得るものである。
【0138】
例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末等のシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等の処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末が挙げられる。
【0139】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着により非表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー粒子100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0140】
トナー粒子は結着樹脂、着色剤、有機金属化合物及びその他の任意成分の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉し、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級することにより所定の平均粒径のトナー粒子を生成することができる。
【0141】
さらに、流動性向上剤とトナー粒子をヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合し、トナー粒子表面に流動性向上剤を有するトナーを得ることができる。
【0142】
本発明において、トナーの質量平均粒径(D4)は、3.0〜15.0μm、好ましくは4.0〜10.0μmが良い。
【0143】
トナーの質量平均粒径(D4)が3.0μm未満の場合には、帯電安定化が達成しづらくなり、耐久において、カブリやトナー飛散が発生しやすくなる。一方、トナーの質量平均粒径(D4)が15.0μmを越える場合には、ハーフトーン部の再現性が大きく低下し、得られた画像はガサついた画像になってしまう。
【0144】
また、本発明で用いられるトナーは、体積平均粒径(Dv)が2.5〜6.0μmであることが、より高画質画像の形成のために好ましい。トナーの体積平均粒径(Dv)が2.5μm未満の場合には、トナーの帯電安定性が低下し、6.0μmを越える場合には、画質が粗くなる傾向にある。
【0145】
また、本発明で用いられる二成分系現像剤に含有される磁性キャリアは、従来公知のものを用いることができ、特に限定されない。
【0146】
次に図を用いて本発明の画像形成方法に関して説明する。
【0147】
図1は、本発明の画像形成方法を適用した画像形成装置である、電子写真方式のフルカラー機の概略構成図である。
【0148】
図1において、ABCDの各ステーションは、フルカラー画像のそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するが、ステーションの色順については一切問わない。また、以下の説明において、例えば一次帯電器21とあれば、ABCD各ステーションにおける一次帯電器21A、21B、21C、21Dを指すものとする。
【0149】
それぞれのステーションにおいて、画像形成は次のように行われる。
【0150】
まず、潜像保持体である感光ドラム4を、紙面に垂直な軸を回転軸として回転自在に設け、該感光ドラム4を一次帯電器21で一様に帯電し、次に例えばレーザのような発光素子22によって情報信号を露光して静電潜像を感光ドラム4の表面に形成し、この静電潜像を現像装置9により可視像化する。次に、転写紙搬送シート27により搬送された転写紙24に、上記可視像が転写帯電器23によって転写される。
【0151】
転写紙24には各ステーションにおいてイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が順に重なり転写される。
【0152】
この4色の各トナー像が積層された転写紙24は定着装置25で熱と圧力とにより混色及び定着され、フルカラー像として装置外に排出される。また、感光ドラム4上の転写残トナーはクリーニング装置26により除去される。
【0153】
図2に現像器9を詳細に示す。図2において、感光ドラム4と対向して配置された現像装置9は、現像容器8、現像剤担持体としての現像スリーブ3、及び現像剤の帯電付与及びトナー量規制部材としてのブレード2を有している。
【0154】
現像装置9において、現像容器8は、感光ドラム4に対向した現像域に相当する位置が開口しており、この開口部に一部露出するようにして現像スリーブ3が感光ドラム4の回転軸と平行な軸を回転軸として回転可能に配置されている。現像スリーブ3は非磁性材料で構成され、現像動作時には図示矢印方向に回転する。
【0155】
本発明において、現像剤担持体表面の平均山間隔Smが本発明で用いる二成分系現像剤のキャリアの質量平均径の1/3〜6倍であることが好ましい。また、現像剤担持体の表面の10点粗さをRzとした場合に、下記式
【0156】
【数10】
0.001 ≦ Rz/Sm ≦ 0.15
を満足することが好ましい。
【0157】
なお、本発明において、現像スリーブの十点平均粗さRzおよび平均山間隔Smは、以下の測定方法により得られる値である。測定には、接触式表面粗さ計((株)小坂研究所製:サーフコーダーSE−3300)を用いる。この測定器は、1回の測定により現像スリーブの表面の十点平均粗さRzと凸凹の平均山間隔Smとを同時に測定することができる。測定条件はカットオフ値が0.8mm、測定長さが2.5mm、送りスピードが0.1mm/秒、倍率が5000倍である。
【0158】
現像装置9は上記構成により、現像スリーブ3の表面に供給された現像剤を、現像スリーブ3の回転によって感光ドラム4との対向部(現像域)に搬送すると共に、ブレード2により帯電付与及びトナー量を規制し、現像域に搬送される現像剤量を適正に維持する。
【0159】
現像スリーブ3と感光ドラム4との対向部にある現像域では、画像形成装置本体側に設けられたバイアス電源15を介して現像スリーブ3に直流電圧または直流電圧に交流電圧が重畳されたバイアス電圧が印加され、電界の作用により現像スリーブ3上のトナーが感光ドラム4の静電潜像側に移動され、該静電潜像はトナー像として顕像化される。
【0160】
また、図3は図1中の定着装置を拡大した概略断面図である。図3において、定着装置25は定着手段としての定着ローラー39と、加圧手段としての加圧ローラー40とを有している。定着ローラー39は、例えば厚さ5mmのアルミ製の芯金41上に厚さ2mmのRTV(室温加硫型、JIS−A硬度20)シリコーンゴム層42、この外側に厚さ50μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層43を有している。
【0161】
一方、加圧ローラー40は、例えば厚さ5mmのアルミの芯金44の上に厚さ2mmのRTVシリコーンゴム層45(ゴム硬度JIS−A硬度40)、この外側に厚さ150μm厚のPTFE層を有している。
【0162】
図1において定着ローラー、加圧ローラー共にその外径は60mmφであるが、加圧ローラーの方が硬度が高い。このため、白紙による排紙テストでは、排紙方向は、両ローラーの中心線を結ぶ線に対しての垂線より加圧ローラー側になる。この排紙方向を加圧ローラー側にすることが、画像面積の大きいコピー画像を定着する場合の定着支持体の定着ローラー巻きつき防止に極めて重要である。排紙方向を加圧ローラー側にする手段としては、前記した硬度差をつける方法、或いは、加圧ローラーの外径を定着ローラーよりも小さくする方法、加圧ローラー側の設定温度を定着ローラーよりも高くし、定着紙背面、つまり加圧ローラー側の紙面の水分をより多く蒸発させることにより、ごく少量の紙の縮みを利用する方法などが挙げられる。
【0163】
また、上記定着ローラー39には発熱手段であるハロゲンヒータ46が、加圧ローラー40には同じくハロゲンヒータ47が芯金内にそれぞれ配設されて両面からの加熱を行っている。定着ローラー39及び加圧ローラー40に当接されたサーミスタ48a及び48bにより定着ローラー39及び加圧ローラーの温度が検知される。この検知温度に基づき制御装置49a及び49bによりハロゲンヒータ46及び47の動作がそれぞれ制御され、定着ローラー39の温度及び加圧ローラー40の温度が共に一定の温度に(例えば、160℃±10℃に保つように)制御される。定着ローラー39と加圧ローラー40は加圧機構(図示せず)によって総圧約40kgで加圧されている。
【0164】
結着樹脂及びトナー粒子における各物性の測定方法を以下に説明する。
【0165】
〈酸価(JIS酸価)の測定〉
サンプル2〜10gを200〜300mlの三角フラスコに秤量し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加えて樹脂を溶解する。溶解性が悪いようであれば少量のアセトンを加えてもよい。0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、あらかじめ標定されたN/10苛性カリ−アルコール溶液で滴定し、苛性カリ−アルコール溶液の消費量からつぎの計算で酸価を求める。
【0166】
【数11】
酸価 = KOH(ml数)×N×56.1/試料質量
(但し、NはN/10KOHのファクター)
〈GPCによる分子量の測定(ポリエステル樹脂、共重合体類)〉
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0167】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0168】
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組合せや、昭和電工社製のshodex KA−801、802、803、804、805、806、807の組合せが好ましい。
【0169】
〈GPCによるトナーの分子量の測定〉
(GPC測定条件)
装置 :GPC−150(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製)
温度 :135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオソール添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリスチレン換算することによって算出される。
【0170】
〈ワックス及びトナーの最大吸熱ピークの測定〉
示差走査熱量測定装置(DSC装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い測定する。測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
【0171】
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0172】
この昇温過程で、温度30〜160℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。最大吸熱ピークとは言うまでもなくその中で極大の値を示す温度のことである。
【0173】
〈トナー粒子又はトナーの粒度分布の測定〉
測定装置としては、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、0.1〜5mlを加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積及び個数を各チャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナー粒子の体積分布から求めた質量基準のトナー粒子又はトナーの質量平均粒径(D4)及び体積平均粒径(Dv)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
【0174】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0175】
〈トナーの摩擦帯電量の測定方法〉
トナーの摩擦帯電量の測定方法を、現像剤担持体の場合及び静電保持体の場合についてそれぞれ以下に記載する。
【0176】
(現像剤担持体)
図4は摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。底に500メッシュのスクリーン53を有する金属製の測定容器52に、複写機又はプリンターの現像剤担持体上から採取した二成分系現像剤を約0.5〜1.5g入れ金属製のフタ54をする。この時の測定容器52全体の質量を秤りW1(g)とする。次に吸引機51(測定容器52と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口57から吸引し風量調節弁56を調整して真空計55の圧力を2.5×105Paとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。この時の電位計59の電位をV(ボルト)とする。ここで58はコンデンサーであり容量をC(mF)とする。また、吸引後の測定容器全体の質量を秤りW2(g)とする。この試料の摩擦帯電量(mC/kg)は下式のように算出される。
【0177】
【数12】
試料の摩擦帯電量(mC/kg)=C×V/(W1−W2)
(但し、測定条件は23℃、60%RHとする。)
(静電保持体)
静電保持体上の摩擦帯電量は、吸引式ファラデーケージ法を用いて求める。吸引式ファラデーケージ法とは、現像剤回収装置を用いて複写機又はプリンターの現像スリーブ上の一定面積における全ての一成分系現像剤を吸引回収し、回収した現像剤の質量及び電荷量を測定し、測定された現像剤の質量と電荷量から、現像剤の単位質量当たりの電荷量、すなわち、摩擦帯電量(mC/kg)を求める方法である。
【0178】
この吸引式ファラデーケージ法で用いる現像剤回収装置は、エアーを吸引するための吸引装置部及びこの吸引装置に連結された現像剤を回収するための回収装置部とを有している。回収装置部は、現像スリーブ上の現像剤を吸引するための現像スリーブの外周曲率に対応した曲率の先端部を持った吸引口を有する外筒と、吸引した現像剤を回収するための円筒ろ紙を有する内筒とを有している。
【0179】
この現像剤回収装置を用いて現像スリーブ上の現像剤の吸引回収を具体的に行うには、現像剤保持体から静電保持体上にトナーを移動させ(すなわち現像を行い)、トナー像が転写紙上に転写されるまでに静電保持体を停止させる。上記現像剤回収装置を用いて、静電保持体上の現像剤を、現像剤回収装置の吸引口を現像スリーブの一端側から他端側にかけて長手方向に沿って現像スリーブ表面に押し付けながら吸引し、吸引した現像剤を円筒ろ紙で回収する。
【0180】
現像剤を回収した円筒ろ紙の質量を測り、この回収後の円筒ろ紙の質量から回収前の円筒ろ紙の質量を引いた値を回収した現像剤の質量とする。このとき、外部から静電的にシールドされた内筒の円筒ろ紙に回収された現像剤の電荷量を測定しておく。
【0181】
〈現像剤担持体上のトナーの帯電量分布の測定〉
帯電量分布の測定には、ホソカワミクロン社製のE−SPARTアナライザーを用いる。測定には、現像剤担持体を含む現像器を複写機本体から取り出し、E−SPARTアナライザーに現像器のまま、現像剤担持体に保持された現像剤が検出部に検知されるように設置し測定を行う。
【0182】
〈トナーの貯蔵弾性率の測定〉
トナーを直径25mm、厚さ約2〜3mmの円板状の試料に加圧成形する。この試料をパラレルプレートにセットし、50〜200℃の温度範囲内で徐々に昇温させ、温度分散測定を行う。昇温速度は2℃/minとし、角周波数(ω)は6.28rad/secに固定し、歪率は自動とする。横軸に温度、縦軸に貯蔵弾性率(G')を取り、各温度における値を読み取る。測定にあたっては、RDA−II(レオメトリックス社製)を用いる。
【0183】
〈芳香族オキシカルボン酸およびその誘導体のトナー表面における存在量の測定〉
分散剤としてコンタミノンN(和光純薬工業社製)0.04gを加えた0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を容器に50ml用意し、それぞれの中にトナー1gを秤量して加え、スターラーを用いて50rpmで撹拌し、均一に分散させる。3時間分散処理を行った後、メンブランフィルター(ポアサイズ:0.45μm)を用いて濾過し、得られた濾液の吸収スペクトルを分光光度計により測定し、オキシカルボン酸の呈する最大吸収ピークの最大値とベースラインとの差を求める。得られた結果から、所定の検量線を用いてトナー中のオキシカルボン酸量を算出した。オキシカルボン酸の吸収スペクトルは、例えば280〜350nmの範囲に現れる。
【0184】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0185】
を混練し、粉砕、分級し、シアントナー(1)を作製した。詳細は以下の通りである。
【0186】
結着樹脂(1)は以下のようにして作製した。ビニル系共重合体として、スチレン2.0mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.16mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸2.0mol、コハク酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応させて樹脂(1)を得た。得られた結着樹脂(1)は、THF可溶成分のGPCにおいて、Mnが3000であり、Mwが81000であり、Mw/Mnが27.0であった。
【0187】
共重合組成物(1)は以下のように作製した、
共重合体(1) 90wt%
ポリエチレン(1) 10wt%
上記共重合体(1)とは、スチレン−アクリロニトリル−ブチルアクリレート−の三元共重合体である。共重合体(1)の質量平均分子量(Mw)は15000、数平均分子量(Mn)は2800であった。また、使用したポリエチレン(1)はDSCによる吸熱ピークが110℃、密度0.93、質量平均分子量(Mw)は2200、数平均分子量(Mn)は1000のものを用いた。
【0188】
ポリエチレン(1)を共重合体(1)に上記配合比にてグラフトさせた共重合組成物(1)に、以下の配合比で炭化水素系ワックスを分散させて、ワックス分散剤マスターバッチを得ることができる。
【0189】
共重合組成物(1) 20wt%
パラフィンワックス(1) 20wt%
芳香族オキシカルボン酸Al化合物 20wt%
結着樹脂(1) 40wt%
なお、上記においてパラフィンワックス(1)はTgが77℃であった。上記のようにして得られた混練物に上記結着樹脂(1)、銅フタロシアニンを加えてさらにヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行い、二軸式押出し機を用いて任意のバレル温度にて溶融混練し、冷却後ハンマーミルをもちいて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を多分割分級装置で微粉及び粗粉を同時に厳密に除去して質量平均粒径7.5μmのシアンカラートナー粒子を得た。
【0190】
該トナー粒子に、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した一次粒子径50nmの酸化チタン微粒子を1.5wt%外添混合し、トナー1を製造した。
【0191】
〈トナーの製造例2〉
トナーの製造例1で用いた結着樹脂(1)の代わりに以下に示す結着樹脂(2)を使用し、パラフィンワックス(1)の代わりにパラフィンワックス(2)を用いた以外は上記製造例1と同様の方法を用いてトナー2を得た。
なお、パラフィンワックス(2)はTgが73℃であった。
【0192】
結着樹脂(2)に用いたモノマー構成比を以下に示す。
【0193】
【化2】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。)
【0194】
得られた非線状ポリエステル樹脂である結着樹脂(2)は、THF可溶成分のGPCにおいて、Mnが3300、Mwが33000、Mw/Mnが10.0であった。
【0195】
〈トナーの製造例3〜5〉
トナーの製造例1で用いた銅フタロシアニン(C.I.Pigment.Blue 15:3)の代わりにイエロー(C.I.Pigment.Yellow180(6質量部))、マゼンタ(C.I.Pigment.Red 57:1(6質量部))、ブラック(カーボンブラック(4質量部))の顔料を使用した以外は上記製造例1と同様の方法を用いてトナー3〜5を得た。
【0196】
〈トナーの製造例6、7〉
トナーの製造例1で用いた結着樹脂(1)の代わりに以下に示す結着樹脂(3)、(4)を使用し、パラフィンワックス(1)の代わりにパラフィンワックス(3)、(4)を用いた以外は上記製造例1と同様の方法を用いてトナー6、7を得た。なお、パラフィンワックス3はTgが97℃、パラフィンワックス4はTgが61℃であった。
【0197】
結着樹脂(3)、(4)は結着樹脂(2)と同様のモノマーを用い、モノマー組成比、反応時間を変化させて作製した。結着樹脂(3)は、THF可溶成分のGPC測定において、Mnが4000、Mwが10500、Mw/Mnが2.6であった。結着樹脂(4)は、THF可溶成分のGPC測定において、Mnが3600、Mwが8500、Mw/Mnが2.4であった。
【0198】
〈トナーの製造例8、9〉
トナーの製造例1で用いたパラフィンワックス(1)の代わりにパラフィンワックス(5)、(6)を用いた以外は上記製造例1と同様の方法を用いてトナー8、9を得た。なお、パラフィンワックス5はTgが54℃、パラフィンワックス6はTgが120℃であった。
【0199】
〈トナーの製造例10〜13〉
トナーの製造例1で用いた原材料の種類および量は変えず、二軸式押出し機の温度、およびトナーとキャリアの混合比を変化させて、トナー10〜13を得た。
【0200】
〈トナーの製造例14〉
トナーの製造例1で用いた荷電制御剤の添加量を2質量部に変更し、更に二軸式押出し機のバレル温度を上げて溶融混練した以外は上記製造例1と同様の方法を用いてトナー14を得た。
【0201】
なお、結着樹脂(1)と共重合組成物(1)、パラフィンワックス(1)、芳香族オキシカルボン酸Al化合物は以下の混合比で前混練した。
【0202】
共重合組成物(1) 20wt%
パラフィンワックス(1) 20wt%
芳香族オキシカルボン酸Al化合物 8wt%
結着樹脂(1) 52wt%
〈トナーの製造例15〉
トナーの製造例1で用いた荷電制御剤の添加量を8質量部に変更し、荷電制御剤は前混練では添加せずに着色剤と同時に添加し、二軸式押出し機のバレル温度を下げて溶融混練した以外は上記製造例1と同様の方法を用いてトナー15を得た。
【0203】
なお、結着樹脂(1)、共重合組成物(1)、パラフィンワックス(1)および芳香族オキシカルボン酸Al化合物は以下の混合比で前混練した。
【0204】
共重合組成物(1) 20wt%
パラフィンワックス(1) 20wt%
結着樹脂(1) 60wt%
上記のようにして得られた混練物と、結着樹脂(1)、芳香族オキシカルボン酸Al化合物および銅フタロシアニンをヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行い、二軸式押出し機を用いて混練した。
【0205】
各トナーの処方を表1に示す。
【0206】
【表1】
【0207】
〈実施例1〉
トナー1とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径50μm)とを、トナー濃度が6質量%になる様に混合し、二成分系現像剤とした。
【0208】
この現像剤と、市販の普通紙フルカラー複写機(カラーレーザー複写機CLC1000、キヤノン製)とを用いて、画出しの評価を行った。
【0209】
なお、現像バイアスは直流及び交流の重畳バイアスを印加し、交流バイアスは休止部と振動部を含むブランクパルスバイアスとした。なお、直流部の電圧を−400V、交流部の電圧をピークトゥピークで2.2kV、パルス部分の周波数を8kHz、パルス250μsとブランク部750μsの周期に設定した。
【0210】
画像濃度に関しては、X−rite社製反射濃度計500 Series Spectrodensitemeterを用いて評価した。
【0211】
定着可能温度領域の評価に関しては、上記カラー複写機から定着ユニットを取り外し、単色モードで常温常湿環境下(23℃、60%)で未定着画像を出力し、図3に示す構成の定着装置で設定温度を変更しながら定着画像を出力し、グロス(光沢度)を測定することにより評価した。
【0212】
グロス(光沢度)測定に関しては、VG−10型光沢度計(日本電色製)を用い、トナー載り量が0.6mg/cm2であるベタ画像を試料として、測定を行った。
【0213】
測定方法は以下のように行った。まず、定電圧装置により電圧を6Vにセットした。次いで投光角度、受光角度をそれぞれ60°に合わせた。
【0214】
0点調整及び標準板を用いた標準設定の後に、試料台の上に前記試料画像を置き、さらに白色紙を3枚上に重ね測定を行い、表示部に示される数値を%単位で読みとった。この時S,S/10切替SWはSに合わせ、角度,感度切替SWは45−60に合わせた。尚、画像濃度1.5±0.1の試料を使用した。
【0215】
現像剤の耐ブロッキング性は、50℃のオーブン内にて1週間放置することにより評価した。評価は目視による凝集性のレベルを判定することにより行った。トナー凝集性評価基準を以下に示す。
【0216】
A:凝集体が全く見られなく流動性が非常に良い
B:凝集体が全く見られない
C:若干の凝集体は見られるがすぐにほぐれる
D:現像剤攪拌装置で凝集体がほぐれる(普通)
E:現像剤攪拌装置では凝集体が十分にほぐれない(やや悪い)
サンプルトナーの画像品質に関しては、定着後の画像のべた部における目視による白抜けのレベルにより評価した。評価基準を以下に示す。
【0217】
A:白抜けが全く見られない
B:若干の白抜けが見られる
C:はっきりと白抜けが見られる
連続通紙の画像評価については、印字比率7%のサンプルチャートを用い、上記カラー複写機で5万枚連続通紙した後、画像濃度、画像品質を評価した。評価基準を以下に示す。
【0218】
A:画像濃度の変動が0.15以内で且つ白抜けが全く見られない
B:画像濃度の変動が0.15超0.3未満の範囲か、または若干の白抜けが見られる
C:画像濃度の変動が0.3以上またははっきりと白抜けが見られる
本実施例で用いたトナーについて、DSCによる最大吸熱ピーク、80℃における貯蔵弾性率、120〜180℃における貯蔵弾性率の最大値および最小値、芳香族オキシカルボン酸誘導体のトナー表面における存在量、現像剤担持体上のトナーの帯電分布におけるピーク、および|A|−|B|の値、並びに本実施例で印加した現像バイアスの種類を表2に、評価結果を表3に示す。
【0219】
〈実施例2〜5〉
実施例1で用いたトナー1の代わりにトナー2〜5を用い、実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0220】
〈実施例6〉
実施例1で用いたカラー複写機の現像器を改造し、攪拌力を下げた現像器を作製した。このような構成の現像器を用いることにより、現像剤の帯電量を低下させた。磁性キャリアは、表面コート剤のコート厚を下げた。また、トナー量と磁性キャリアの比を調節し、トナー濃度が質量比で10%である現像剤を作製した。これらの条件で、実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0221】
〈実施例7〉
実施例1で用いたカラー複写機の現像器を改造し、攪拌力を上げた現像器を作製した。このような構成の現像器を用いることにより、現像剤の帯電量を上昇させた。磁性キャリアは、表面コート剤のコート厚を上げた。また、トナー量と磁性キャリアの比を調節し、トナー濃度が質量比で4%である現像剤を作製した。これらの条件で、実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0222】
〈実施例8〉
実施例1で用いた現像バイアスの代わりに、交流バイアスを矩形バイアスとした現像バイアスを用いた。なお、直流部の電圧を−400V、交流部の電圧をピークトゥピークで1kV、パルス部分の周波数を2kHzに設定した。これらの条件で実施例1と同じ評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0223】
〈実施例9、10〉
実施例1で用いたトナー1の代わりにトナー6、7を用い、実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0224】
〈比較例1〜8〉
実施例1で用いたトナー1に代わりにトナー8〜15を用い、実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0225】
〈比較例9〉
実施例6で用いた、カラー複写機の攪拌力を下げた現像器を用いた。現像剤の磁性キャリアの表面コート剤のコート厚を実施例6よりさらに下げ、またトナー量と磁性キャリアの比を調節し、トナー濃度が質量比で10%である現像剤を作製した。これらの条件で実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0226】
〈比較例10〉
実施例1で用いた、カラー複写機の攪拌力を上げた現像器を用いた。現像剤の磁性キャリアの表面コート剤のコート厚を実施例7よりさらに上げ、またトナー量と磁性キャリアの比を調節し、トナー濃度が質量比で4%である現像剤を作製した。これらの条件で実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0227】
〈比較例11〉
実施例1で用いた現像バイアスの代わりに、直流のみのDCバイアスを現像バイアスとして用いた。なお、直流部の電圧を−600Vに設定した。これらの条件で実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0228】
〈比較例12〉
実施例1で用いた現像バイアスの交流バイアスを以下のように変えて現像を行った。なお、直流部の電圧を−400V、交流部の電圧をピークトゥピークで3kV、パルス部分の周波数を4kHzに設定した。ブランク部、パルス部は変化させなかった。これらの条件で実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0229】
〈実施例11〉
実施例1で用いた現像器の現像剤担持体であるスリーブのSUS表面を、球形のガラスビーズ粒子、FGB#40を用いて粗面化処理した。粗面化処理後のスリーブ表面の平均山間隔Sm=33μm、十点平均粗さRz=2.4μm(Rz/Sm=0.07)であった。これらの条件で実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0230】
〈実施例12〉
実施例1で用いたカラー複写機を改造して、画像形成毎に現像器から現像剤を一定量比で抜き取る機構を取り付けた。また磁性キャリアを質量比で15%含む供給トナーを作製し、且つ磁性キャリア混合トナーを供給できるように、トナー供給系を改造した。これらの条件で実施例1と同様の評価を行った。トナーの物性等を表2に、評価結果を表3に示す。
【0231】
【表2】
【0232】
【表3】
【0233】
【発明の効果】
本発明によれば、低温定着性および耐高温オフセット性に優れ、長期にわたって安定して画像を形成することができる画像形成方法を提供することができる。
【0234】
また、本発明によれば、高温環境放置時におけるトナーの耐ブロッキング性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【0235】
さらに、本発明によれば、カラートナーを用いた画像形成においても二次色の混色性が良好で且つ色再現範囲が広い画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法が適用される画像形成装置の一例を示す模式的断面図
【図2】図1の現像装置近傍を示す部分的拡大図
【図3】図1の定着装置を示す部分的拡大図
【図4】摩擦帯電量を測定する装置の説明図
【符号の説明】
4 感光ドラム(潜像保持体)
9 現像装置
21 一次帯電器
22 発光素子
23 転写帯電器
24 転写紙
25 定着装置
26 クリーニング装置
27 転写紙搬送シート
Claims (15)
- 磁性キャリアとトナーとを有する二成分系現像剤を用い、前記トナーを担持する現像剤担持体に、直流バイアスに交流バイアスを重畳した現像バイアスを印加して静電保持体上の静電潜像を前記トナーにより現像してトナー像を形成する二成分現像方法を用いた画像形成方法であって、
前記トナーは結着樹脂と着色剤と芳香族オキシカルボン酸またはその誘導体と炭化水素ワックスとを少なくとも含有し、前記結着樹脂は(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂成分、(c)ポリエステル樹脂と前記ハイブリッド樹脂成分の混合物、(d)ポリエステル樹脂とビニル系共重合体の混合物、または(e)ポリエステル樹脂と前記ハイブリッド樹脂成分とビニル系共重合体の混合物から選択され、
前記トナーは、示差走査熱量測定(DSC)測定による吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が55〜110℃であり、
前記トナーの粘弾性特性において、温度80℃における貯蔵弾性率(G'80)が1×106〜1×1010[dN/m2]であり、且つ温度120〜180℃における貯蔵弾性率(G'120-180)が1×103〜1×106[dN/m2]であり、
0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液により抽出される前記芳香族オキシカルボン酸またはその誘導体のトナー表面における存在量が0.05〜8g/kgであり、現像剤担持体上のトナーの23℃、相対湿度60%環境下における帯電量分布が絶対値で5〜25μC/gにピークを有し、且つ現像剤担持体上のトナー全体の帯電量(A)と静電保持体上のトナーの帯電量(B)とが下記式
- 前記交流バイアスの電圧が実効値で500〜5000Vであることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成方法。
- 前記交流バイアスが矩形バイアスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記交流バイアスが休止部と振動部とを含むブランクパルスバイアスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記交流バイアスの繰り返し周波数が100Hz〜10kHzであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーの温度80℃における貯蔵弾性率(G'80)が1×106〜1×108[dN/m2]であり、温度120〜180℃における貯蔵弾性率(G'120-180)が1×104〜5×105[dN/m2]であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーの温度120〜180℃における貯蔵弾性率の最小値(G'min)に対する最大値(G'max)の比(G'max/G'min)が30以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーの示差走査熱量測定(DSC)測定による吸熱曲線において、温度30〜200℃における最大吸熱ピークのピーク温度が55〜80℃であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記芳香族オキシカルボン酸誘導体が、該芳香族オキシカルボン酸誘導体の金属化合物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記芳香族オキシカルボン酸の金属化合物が、該芳香族オキシカルボン酸誘導体のアルミニウム化合物であることを特徴とする請求項11記載の画像形成方法。
- 前記トナーは樹脂成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量3500〜15000の領域にメインピークが存在し、且つ質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーは樹脂成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量3500〜15000の領域にメインピークが存在し、且つ質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5.0以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーの質量平均粒径が4〜10μmであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の画像形成方法。
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