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JP4155068B2 - 樹脂およびその製造方法、並びにそれを用いた成型体 - Google Patents

樹脂およびその製造方法、並びにそれを用いた成型体 Download PDF

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JP4155068B2
JP4155068B2 JP2003067794A JP2003067794A JP4155068B2 JP 4155068 B2 JP4155068 B2 JP 4155068B2 JP 2003067794 A JP2003067794 A JP 2003067794A JP 2003067794 A JP2003067794 A JP 2003067794A JP 4155068 B2 JP4155068 B2 JP 4155068B2
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に低分散かつ高屈折率であり、更には難燃性を有する樹脂と、それを含有する成型体に関する。
【0002】
【従来の技術】
無色透明材料は光学レンズ、機能性光学フィルム、ディスク基板などその多様な用途に応じて種々の材料が適用されているが、ヘルスケアやエレクトロニクスなどの急速な発展に伴い、材料自体に要求される機能・性能もますます精密かつ優れたものとなってきている。
【0003】
光学用材料のヘルスケア用途として眼鏡レンズが上げられるが、薄型化、軽量化、ファッション性等の観点から活発な材料開発が行われており、現在では耐衝撃性、軽量性等の利点から、市場の90%は樹脂レンズが占めるようになっている。
【0004】
従来の眼鏡レンズ用樹脂はCR39、アクリル、ウレタンの3つに大別され、低分散、高屈折を目指して多くの樹脂が開発実用化されている。これらの樹脂はすべて熱硬化性であるため、光学レンズへの成形は注型重合が用いられるが、この方法は重合時間が長く、その後のアニーリングプロセスなど、製造コストが高いという問題点がある。ポリカーボネートのような熱可塑性樹脂をレンズに適用すれば、成形性がよく、熱硬化性樹脂に比べ格段にレンズ製造コストを安くできるという利点があるが、屈折率が低いため(1.58)視力矯正眼鏡用途としての性能は不十分である。またポリカーボネート以上の屈折率を有する熱可塑性樹脂も数多く知られているが、高分散性、着色性等の問題があり、光学レンズ用途には適用するには問題があった。
【0005】
一方、ポリカーボネートのような無色透明の熱可塑性樹脂は、エレクトロニクス用途としても広く用いられており、位相差フィルムなどの光学フィルムやディスク用基板等の用途が挙げられる。特に位相差フィルムは、反射型カラー液晶ディスプレイのコントラストを決める重要な構成部材のひとつであるが、現在用いられているポリカーボネートが例えば、特開平4−204503号公報、特開平9−304619号公報に教示されているが、これらは十分な波長分散特性を有しているとはいえない。反射型液晶ディスプレイの高コントラスト化のためには、位相差フィルムとして用いる樹脂フィルムの波長分散特性の向上がひとつの技術課題となっている。
【0006】
本発明者らは、高屈折率で低分散な熱可塑性樹脂を見出すべく鋭意検討した結果、5価のリン原子を有する構造、中でもホスホン酸構造をポリマーの主鎖に導入することによって、無色透明で高屈折、低分散な熱可塑性樹脂が得られることを見いだしている。
【0007】
リン系官能基を含有する樹脂は種々知られているが、特にホスホン酸エステル基を主鎖に含む樹脂はポリホスホネートと呼ばれ(K. S. Kim, J. Appl. Polym. Sci., 28, 1119 (1983)、 Y. Imai et al, Makromol. Chem., Rapid Commun., 1, 419 (1980)、 米国特許第3719727号明細書(非特許文献1,2及び特許文献1))、難燃機能などを目指し精力的な研究が行われている。これら公知のポリホスホネート系樹脂の多くは光学特性や力学特性などの諸物性については詳細な知見がなかったため、本発明者らはそれらを合成し物性評価を行った。結果として、それら公知のポリホスホネート系樹脂は、低分子量体ゆえに力学特性が不十分であったり、屈折率や光分散特性が不十分であった。また、国際公開第01/34683号パンフレット(特許文献2)にはポリホスホネートの光学用途について記載されている。しかしながら分子量が低く十分な力学特性を有しているとは言い難く、更には該公知文献には光分散特性(アッベ数)についての詳細な記載がなく、該公知文献記載の種々のビスフェノール類では十分な光分散特性は得られないことを本発明者らは確認している。
【0008】
ポリホスホネート系ポリマーの一般的な製造方法としては、酸ハライドと2価のフェノールを有機溶剤中で反応させる溶液重合法(A. Conix, Ind. Eng. Chem., 51, 147 (1959)、特公昭37−5599号公報)、酸ハライドと2価のフェノールを塩化マグネシウム等の触媒存在下で加熱する溶融重合法、2価の酸と2価のフェノールをジアリルカーボネートの存在下で加熱する溶融重合法(特公昭38−26299号公報)、水と相溶しない有機溶剤に溶解せしめた2価の酸ハライドとアルカリ水溶液に溶解せしめた2価のフェノールとを混合する界面重合法(W. M. Eareckson, J. Poly. Sci., XL 399 (1959)、特公昭40−1959号公報)等が挙げられる。ポリホスホネート−カーボネート共重合体については、特開昭61−285225号公報や特開昭61−238826号公報等(特許文献3,4)に界面重縮合を用いて重合体を得たとの記載がある。いずれもホスホネートオリゴマーを生成させた後、ホスゲンなどでポリマー主鎖延長をはかったものである。しかしながら本発明者らは、界面重縮合ではホスホネートの結合が切れやすく、それがためにカーボネートとホスホネートの比が正確に制御しにくかったり、分子量が向上しにくいという問題があることを確認している。実際、特開昭61−285225号においては、ホスホネートの含有量がカーボネートよりも多くなると、力学特性が不十分となる旨のデータが記載されている。また、カーボネート残基の原料としてホスゲンを用いており、環境的にも技術的に十分な重合法とは言い難い。
【0009】
【非特許文献1】
K. S. Kim, J. Appl. Polym. Sci., 28, 1119 (1983)
【0010】
【非特許文献2】
Y. Imai et al, Makromol. Chem., Rapid Commun., 1, 419 (1980)
【0011】
【特許文献1】
米国特許第3719727号明細書
【0012】
【特許文献2】
国際公開第01/34683号パンフレット
【0013】
【特許文献3】
特開昭61−285225号公報
【0014】
【特許文献4】
特開昭61−238826号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、無色透明で高屈折、低分散など優れた光学特性を有し、かつ、機械特性が改良され、また難燃性をも併せ持つ高分子量樹脂、その成型体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を有するものである。すなわち、カーボネート残基、下記一般式(1)で示されるホスホン酸残基、および下式(2−1)〜(2−5)のいずれかで表される2価フェノール残基からなり、ホスホン酸残基とカーボネート残基のモル分率が式(3)を満足し、その数平均分子量が30000以上であること特徴とする樹脂。
一般式(1)
【0017】
【化7】
Figure 0004155068
【0018】
(2−1
【化8】
Figure 0004155068
【0019】
式(2−2)
【化9】
Figure 0004155068
式(2−3)
【化10】
Figure 0004155068
式(2−4)
【化11】
Figure 0004155068
式(2−5)
【化12】
Figure 0004155068
【0020】
[一般式(1)中、Rは有機基、Xは酸素、硫黄あるいはセレンを表し、樹脂中にR1あるいはXの異なるホスホン酸残基を2種以上含んでもよい。]
(a)/{(a)+(b)}≧0.05 (3)
[(a)はホスホン酸残基、(b)はカーボネート残基のモル数を示す。
【0030】
ならびに、上記本発明樹脂の製造方法として、溶媒中、2価フェノールのカーボネートポリマー若しくはオリゴマーを塩基存在下に2価フェノールモノマーと反応せしめる工程、その後、ホスホン誘導体を反応せしめる工程を含み、得られる樹脂の分子量が30000以上であるホスホネートーカーボネートランダム共重合体樹脂の製造方法であり、好ましく、前記ホスホン酸誘導体と反応せしめる工程において、2価フェノール単位の濃度として1.0mol/L以上に維持して反応せしめることを特徴とする樹脂の製造方法、である。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、高屈折率で低分散な熱可塑性樹脂を見出すべく鋭意検討した結果、5価のリン原子を有する構造、中でもホスホン酸構造をポリマーの主鎖に導入することによって、無色透明で高屈折、低分散な熱可塑性樹脂が得られることを見いだした。式(3)はホスホン酸残基の共重合分率を表す式であり、すなわち、(a)は一般式(1)に示すホスホン酸残基のモル数であり、(b)はカーボネート残基のモル数を示す。一般式(1)で示されるホスホン酸残基のモル分率が0.05未満である場合には、ポリマーの高屈折性が発現せず、本発明の効果が得られ難い。さらに、ホスホン酸残基のモル分率である
〔(a)/{(a)+(b)}〕の値は0.25以上の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.6以上である。
【0032】
一方、光学物質の光の分散の度合いを表す指標としては一般にアッベ数が用いられ、次式(8)によって算出される。
【0033】
アッベ数(νd)=(nd−1)/(nf−nc) (8)
(ここで、nd:d線(波長587.6nm)屈折率、nf:f線(波長486.1nm)屈折率、nc:c(波長656.3nm)線屈折率)
すなわちその数値が大きいほど低分散であることを示している。
【0034】
通常アッベ数と屈折率は負の相関関係があり、それぞれの特性をともに向上させるのは容易ではない。本発明の樹脂は、従来のポリカーボネート以上の高屈折率を維持しつつ高いアッベ数を有した樹脂であり、例えば眼鏡レンズ用途に用いる樹脂においてはアッベ数は30以上であることが好ましく、より好ましくは31以上である。
【0035】
また、ホスホン酸残基と結合する構造単位としては芳香族2価フェノール、すなわち芳香族ビスフェノールを原料とする構造単位が光学特性、耐熱特性、力学特性などの点から好適で、中でも(2−1)〜(2−5)が特に好適であることを見出した。
【0036】
さらに、本発明者らは本発明の樹脂の力学特性をさらに向上すべく、その分子量向上と、ホスゲンなど毒物原料を用いない本発明に樹脂の製造方法を見出すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0037】
すなわち、本発明者らは、2価フェノール類のカーボネートポリマーあるいはオリゴマーをカーボネート残基の原料とし、それがトリエチルアミンなどの塩基存在下2価フェノールモノマーにより容易に結合のクラッキングが進行することを見出し、更に、クラッキング反応に続いてホスホン酸残基原料であるホスホン酸ハロゲン化物を高濃度で作用させることにより、ホスホン酸残基原料での主鎖延長が可能となることを見出した。すなわちホスゲンを用いずに極めて高い分子量のホスホネート−カーボネートランダム共重合体が得られることを見出した。
【0038】
高濃度化することによって重合度が向上したのは、反応末端の濃度が上がり、反応速度が向上したということも当然考えられる。しかし本発明者らは単にそれだけでは原因として不十分なほど高重合度化している事実から、反応中の立体構造も一因としてあるのではないかと推測している。すなわち、低濃度では同一分子内において最安定構造をとるのに対し、高濃度になると、分子間での相互作用が優先的に働き、末端未反応基がより剥き出しになるように構造変化しているのではないかと推測している。本発明者らは、2価フェノールの構造にもよるが、ホスホネートのホモポリマーの場合、重合度が上がるにつれポリマーが溶媒に不溶化し、そのために重合度が向上しないことを確認している。したがって、従来、ポリホスホネートの高重合体が得られなかった原因は、同一分子内で形成する立体構造が他の樹脂、例えばポリカーボネート等に比べ強固で、重合反応の初期の段階で末端反応基が不活性化するためではないかと推測できる。
【0039】
ホスホン酸ハロゲン化物を作用させているときの反応液の濃度は収率ならびに重合度に関して極めて重要であり、反応濃度は生成したポリマーの溶解度にもよるが、2価フェノール単位濃度は1.0mol/L以上に維持して反応せしめることが好ましく、より好ましくは1.5mol/L以上である。なお、2価フェノール単位の濃度は、
{反応液中に存在する全2価フェノール単位(ポリマー中に含まれるものも含む)のモル数(mol)}/{溶媒量(L)}
として定義される。上記ホスホネート−カーボネート共重合体製造法は、ビスフェノールAのような一般的ビスフェノールをはじめとする他のビスフェノール類にも適用でき、さらに、カーボネート残基の代わりにテレフタル酸やイソフタル酸などのジカルボン酸残基においても同様に適用できる。
【0040】
本発明の樹脂においては、カーボネート残基を構成する原料として、2価フェノールのカーボネートポリマーあるいはオリゴマーを用いる。このポリマー若しくはオリゴマーは公知の方法で合成される。すなわち、溶液重合法、界面重合法、溶融重合法などが挙げられるが、好ましくはホスゲン等の有毒物質を用いない溶融重合法が好ましく用いられる。溶融重合法におけるカーボネート原料としては、芳香族カーボネート、脂肪族カーボネートなどが用いられ、2価フェノールと混合し、加熱溶融することによってエステル交換して所望のカーボネートポリマー原料を得ることができる。この際、反応を促進するべく触媒を用いてもよい。
【0041】
次いで、該2価フェノールのカーボネートポリマー若しくはオリゴマーを塩基の存在下、2価フェノールモノマーと反応(反応1:クラッキング反応)せしめる。反応は溶媒中で行い、好ましい溶媒としては、塩化メチレンなど含ハロゲン炭化水素、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。また、塩基としては、トリエチルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
【0042】
その後、ホスホン酸誘導体と反応せしめる(反応2:重合反応)。この時、上記反応1にて生成した反応生成物を単離・精製することなく、引き続きホスホン酸誘導体との反応を行うことができる。ホスホン酸誘導体としてはホスホン酸ハロゲン化物、ホスホン酸カルボン酸混合酸無水物などが挙げられ、中では、ホスホン酸ハロゲン化物が好適であり、より好適にはホスホン酸塩化物である。
【0043】
係るホスホン酸誘導体との反応(反応2)は、2価フェノール単位の濃度として高濃度で行うことが好ましく、反応1に引き続き連続で行うことを考慮すると、反応1の段階で反応濃度を高濃度にしておくことが好ましい。用いる溶媒としては反応1および反応2を連続して行うことを考慮すれば、含ハロゲン溶媒、エーテル系溶媒などが挙げられ、好ましくは含ハロゲン溶媒、特に好ましく塩化メチレン、二塩化エタンなど脂肪族ハロゲン化溶媒が好ましい。また、反応活性化剤あるいは塩化水素捕捉剤である塩基共存下で反応を行うことが好ましく、用いる塩基としては反応1にて用いたものと同様のものが好ましく、トリエチルアミンなどの有機塩基が特に好ましく用いられる。反応温度は生成するポリマーの溶媒に対する溶解度にもよるが、分子量分布や着色などを考慮すると、より低温の方が好ましく、好ましくは40℃以下、より好ましくは20℃以下である。
【0044】
また、本発明者らは、本発明樹脂を含有するガット、プレートあるいはフィルム状成型体は、優れた難燃性をも具備していることを見出した。
【0045】
さらに本発明者らは、本発明樹脂を光学異方体に成型した場合、位相差フィルム(別称として、位相差板、λ/4板、あるいは円偏光板)用途において、優れた複屈折/波長分散特性を示すことを見出した。一般的な樹脂の光学異方体、例えば一軸延伸したフィルムに光を透過させた場合、その光の波長が短いほど複屈折率が大きくなり、その度合いは波長の短い領域ほど大きいという傾向がある。位相差フィルム用途においては、複屈折率と波長の関係に関して次の条件を満たすものが光学的に理想であるといえる。すなわち、
(イ)百ミクロン以下のフィルムにおいて十分な大きさの複屈折率を有すること、
(ロ)このとき複屈折率の波長による変化が一定、すなわち複屈折率と波長の関係が比例関係(一次の関係)であること、
である。
【0046】
これらの条件を満たし、複屈折/波長分散特性の異なる2種の光学異方フィルムを組み合わせることによって理想的な位相差フィルムを作成することができる。本発明者らは、本発明樹脂を製膜して得られたフィルムを延伸することによって光学異方体とした場合、従来の樹脂に比べ複屈折と波長の関係がより一次の関係に近くなること、またこの本発明の延伸フィルムと従来のポリアルカン系樹脂の光学異方フィルムとを組み合わせることにより、優れた波長分散特性を有する位相差フィルムが得られることを見出した。さらに重合体の分子量についてはそれが高いことがフィルムの力学特性に関してだけでなく光学的な特性においても重要である。すなわち、ポリマーの分子量が高いほど、一軸延伸時のポリマー主鎖の配向が強く複屈折率が大きくなり、従ってより薄いフィルムで機能発現できるようになる。本発明者らは、本発明樹脂を当該用途に適用する際、従来より更なる薄膜化が達成できることを見出した。
【0047】
上記一般式(1)で表される化合物のリン原子上の置換基Rの具体例としては、フェニル、ハロ置換フェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、ベンジル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ置換アルキル、アルキルサルファイド基等が挙げられる。このようなホスホン酸残基を構成するホスホン酸を具体的に例示すると、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、イソブチルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、n−ペンチルホスホン酸、ネオペンチルホスホン酸、シクロヘキシルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、クロロメチルホスホン酸、ジクロロメチルホスホン酸、ブロモメチルホスホン酸、ジブロモメチルホスホン酸、2−クロロエチルホスホン酸、1,2−ジクロロエチルホスホン酸、2−ブロモエチルホスホン酸、1,2−ジブロモエチルホスホン酸、3−クロロプロピルホスホン酸、2,3−ジクロロプロピルホスホン酸3−ブロモプロピルホスホン酸、2,3−ジブロモプロピルホスホン酸、2−クロロー1−メチルエチルホスホン酸、1,2−ジクロロー1−メチルエチルホスホン酸、2−ブロモー1−メチルエチルホスホン酸、1,2−ジブロモー1−メチルエチルホスホン酸、4−クロロブチルホスホン酸、3,4−ジクロロブチルホスホン酸、4−ブロモブチルホスホン酸、3,4−ジブロモブチルホスホン酸、3−クロロー1−メチルプロピルホスホン酸、2,3−ジクロロ−1−メチルプロピルホスホン酸、3−ブロモ−1メチルプロピルホスホン酸、2,3−ジブロモ−1−メチルホスホン酸、1−クロロメチルプロピルホスホン酸、1−クロロー1−クロロメチルプロピルホスホン酸、1−ブロモメチルプロピルホスホン酸、1−ブロモ−1−ブロモメチルプロピルホスホン酸、5−クロロペンチルホスホン酸、4,5−ジクロロペンチルホスホン酸、5−ブロモペンチルホスホン酸、4,5−ジブロモペンチルホスホン酸、1−ヒドロキシメチルホスホン酸、2−ヒドロキシエチルホスホン酸、3−ヒドロキシプロピルホスホン酸、4−ヒドロキシブチルホスホン酸、5−ヒドロキシペンチルホスホン酸、1−アミノメチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、3−アミノプロピルホスホン酸、4−アミノブチルホスホン酸、5−アミノペンチルホスホン酸、メチルチオメチルホスホン酸、メチルチオエチルホスホン酸、メチルチオプロピルホスホン酸、メチルチオブチルホスホン酸、エチルチオメチルホスホン酸、エチルチオエチルホスホン酸、エチルチオプロピルホスホン酸、プロピルチオメチルホスホン酸、プロピルチオエチルホスホン酸、ブチルチオメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、4−クロロフェニルホスホン酸、3,4−ジクロロフェニルホスホン酸、3,5−ジクロロフェニルホスホン酸、4−ブロモフェニルホスホン酸、3,4−ブロモフェニルホスホン酸、3,5−ブロモフェニルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、3,4−ジメトキシフェニルホスホン酸、1−ナフチルホスホン酸、2−ナフチルホスホン酸、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルホスホン酸、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、4−ブロモフェニルメチルホスホン酸、3,4−ジブロモフェニルメチルホスホン酸、3,5−ジブロモフェニルメチルホスホン酸、2−フェニルエチルホスホン酸、2−(4−ブロモフェニル)エチルホスホン酸、2−(3,4−ジブロモフェニル)エチルホスホン酸、2−(3,5−ジブロモフェニル)エチルホスホン酸、3−フェニルプロピルホスホン酸、3−(4−ブロモフェニル)プロピルホスホン酸、3−(3,4−ジブロモフェニル)プロピルホスホン酸、3−(3,5−ジブロモフェニル)プロピルホスホン酸、4−フェニルブチルホスホン酸、4−(4−ブロモフェニル)ブチルホスホン酸、4−(3,4−ジブロモフェニル)ブチルホスホン酸、4−(3,5−ジブロモフェニル)ブチルホスホン酸、2−ピリジルホスホン酸、3−ピリジルホスホン酸、4−ピリジルホスホン酸、1−ピロリジノメチルホスホン酸、1−ピロリジノエチルホスホン酸、1−ピロリジノプロピルホスホン酸、1−ピロリジノブチルホスホン酸、ピロール−1−ホスホン酸、ピロール−2−ホスホン酸、ピロール−3−ホスホン酸、チオフェン−2−ホスホン酸、チオフェン−3−ホスホン酸、ジチアン−2−ホスホン酸、トリチアン−2−ホスホン酸、フラン−2−ホスホン酸、フラン−3−ホスホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸などが挙げられ、またこれらのリン原子に2重結合で結合している酸素原子が硫黄原子に置換されたチオホスホン酸も同様に挙げられる。これらは1種類でも、複数種含まれていてもよい。また、これらホスホン酸はその酸塩化物、エステル、アミドなどのホスホン酸誘導体であってもよい。
【0048】
またこれらホスホン酸残基については、それぞれ対応する3価のリン官能基であるホスホナイト残基に一部置き換えてもよい。これにより樹脂の耐酸化性を付与することができる。ホスホン酸残基をホスホナイト残基に一部置き換えた場合、式(3)における、〔(a)/{(a)+(b)}〕のなかの(a)にその置換されたホスホナイト残基を含むものとするが、光学特性等の特性安定性を考慮すると、その置換比率は50%以下が好ましく、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは10%以下である。
【0049】
また、上記式(2―1)〜(2−5)で表される2価フェノール残基を構成する2価フェノールを具体的に例示すると
【0050】
,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンである。
【0051】
また、ジヒドロキシベンゼンを本発明の効果が損なわれない範囲で用いることができ、これらジヒドロキシベンゼンとしては、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,2−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種含まれていてもよい。
【0052】
また、本発明のポリマーは必ずしも直鎖状である必要はなく、得られるポリマーの性能に応じて多価フェノールを共重合することができる。このような多価フェノールを具体的に例示すると、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−〔1−〔4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−メチルフェニル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−〔(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベンゼン、2,4−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−エトキシフェノール、2−〔ビス(2,3−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、3,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(2,3,6−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、3−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、2,4,6−〔トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1,2,2−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,4−〔〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ベンゼン、4−〔1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕アニリン、(2,4−ジヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、1,3,3−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種含まれていてもよい。
【0053】
本発明樹脂の数平均分子量はその力学特性を考慮すると、30000以上が好ましく、より好ましくは40000以上であり、更に好ましくは50000以上である。分子量を調節する方法としては、重合時に一官能の物質を添加して行うことができる。ここで言う分子量調節剤として用いられる一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメート等の一価酸クロライド類が挙げられる。
【0054】
本発明のポリマーには、その特性を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、チオエーテル系、燐系の各種抗酸化剤を添加することができる。
【0055】
さらに、本発明に係るポリホスホネート−カーボネート共重合体は、所望の効果を損なわない範囲で、他のポリカーボネート、例えば2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネートと配合することにより成形材料として使用することも可能である。その際、ポリホスホネート−カーボネート共重合体において式(3)で示されるホスホン酸残基の割合(a)/{(a)+(b)}の値は、0.25以上の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.6以上である。また、他のポリマーが含まれたものであっても良く、このようなポリマーの例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パラオキシベンゾイル系ポリエステル、ポリアリーレート、ポリスルフィド等が挙げられる。
【0056】
また、本発明のポリマーは、有機溶媒に対して高い溶解性を有しており、このような溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。さらに、本発明のポリマーは非晶性であるが、非晶性であるかどうかは公知の方法、例えば示差走差熱量分析(DSC)や動的粘弾性測定等により融点が存在しているかどうかを確認すればよい。
【0057】
本発明に係る樹脂の例えばレンズなどの成形体を得る方法については、公知の方法が採用でき、特に限定されないが、例えば、射出成型法、プレス成型法、圧縮成型法、トランスファ成型法、積層成型法、押し出し成型法などがあげられる。 またフィルム状に成型する場合には、溶液製膜法、溶融押し出し製膜法などが挙げられ、特に溶液製膜が好適に採用される。溶液製膜法においては前記有機溶媒を適宜用いることができるが、好ましくはハロゲン含有溶媒であり、特に好ましくは塩化メチレンである。
【0058】
【実施例】
本発明の具体的実施態様を以下に実施例をもって述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。樹脂の評価は以下の方法により行った。
【0059】
〔分子量〕
樹脂の0.2重量%クロロホルム溶液を、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)〔東ソー(株)製、GPC8020〕により測定し、数平均分子量(Mn)を求めた。尚、分子量は、標準ポリスチレン換算の値として求める。
【0060】
〔力学特性〕
樹脂を幅10mm、長さ25mm、厚さ3mmの板状に加熱プレス成型し、オリエンテック(株)社製テンシロン(型式RTM−100)を用い、支点間距離22mm、曲げ速度1.5mm/分にて曲げ試験を行った。評価パラメーターは脆さの指標である靭性値(曲げ応力×破断変位)とした。
【0061】
〔核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定〕
カーボネートオリゴマーの重合度は重水素化クロロホルムにて核磁気共鳴装置(日本電子株式会社:EX270型)を用い、末端を示すスペクトルとポリマーユニットを示すスペクトルの積分比からその平均値を算出した。
【0062】
〔光学特性〕
上記樹脂成型品をサンドペーパー、バフにて互いに直行する2面を鏡面仕上げになるように研磨し、屈折計(カルニュー光学工業(株)製:KPR−2)にて評価を行い、d線(波長:587.6nm)屈折率(nd)、式(8)より求められるアッベ数(νd)を測定した。
【0063】
〔リタデーションの測定〕
本発明の樹脂を製膜ならびに一軸延伸したもののリタデーションは大塚電子製RETS−1100(セルギャップ測定装置)を用いて測定した。
【0064】
実施例1
〔カーボネートオリゴマー原料の調製:溶融法〕
ガラス製ナスフラスコ(1L)に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(0.67mol:180g)と炭酸ジフェニル(120g)、ナトリウムフェノラート(1g)を秤りとった。窒素パージ後、220℃まで加熱し、内容物の融解させ、220℃のまま1時間かけて減圧し約60mmHgとした。さらに約0.4mmHgまで減圧し、そのまま2時間加熱した。冷却後、窒素パージしオリゴマーをDPC転化率で93%で得た。得られたカーボネートオリゴマーはNMRにより、平均でビスフェノール/カーボネート=4/3のオリゴマーであった。
【0065】
〔溶液重合〕
窒素雰囲気下、塩化メチレン(10ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(5.59g:21mmol)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンカーボネートオリゴマー(4量体)(3.0g)およびトリエチルアミン(6.7ml)を混合し、室温で攪拌した。この溶液に氷冷下でフェニルホスホナスジクロライド(0.04ml:0.31mmol)を加え、続いてフェニルホスホン酸ジクロライド(3.27ml:23.2mmol)の塩化メチレン6ml溶液を20分間かけて滴下し、その後、溶液粘度の向上と、GPCにて数平均分子量30000以上を確認したのち、反応溶液をヘキサン1000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール1000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液1000ml、(3)水1000mlの順で生成したポリマーを洗浄、ポリマーを濾取した後、70℃で20時間乾燥して目的の樹脂粉末を収率90%で得た。得られた樹脂について前記のごとく成型ならびに評価を行った。
【0066】
実施例2
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサンを用いた以外は実施例1と同様に重合しポリマーを収率93%で得、成型して評価した。
【0067】
実施例3
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンを用いた以外は実施例1と同様に重合しポリマーを収率91%で得、成型して評価した。
【0068】
実施例4
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの代わりに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタンを用いた以外は実施例1と同様に重合しポリマーを収率92%で得、成型して評価した。
【0069】
実施例5
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを用いた以外は実施例1と同様に重合しポリマーを収率90%で得、成型して評価した。
【0070】
実施例6
実施例1において1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(7.83g:29mmol)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンカーボネートオリゴマー(4量体)(0.6g)およびトリエチルアミン(8.4ml)を用いた以外は実施例1と同様に重合しポリマーを収率91%で得、成型して評価した。
【0071】
実施例7
実施例1において1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(3.92g:14.6mmol)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンカーボネートオリゴマー(4量体)(4.8g)およびトリエチルアミン(5.4ml)を用いた以外は実施例1と同様に重合しポリマーを収率91%で得、成型して評価した。
【0072】
実施例8
実施例1における1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンカーボネートオリゴマーについて炭酸ジフェニルの仕込量を129gとした以外は実施例1と同様に行い、平均でビスフェノール/カーボネート=8/7(8量体)のオリゴマーを得た。このオリゴマー7.8gおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(1.20g:4.47mmol)、およびおよびトリエチルアミン(2.1ml)を用いた以外は実施例1と同様に重合しポリマーを収率93%で得、成型して評価した。
【0073】
実施例9
実施例1記載の樹脂を、溶液キャスティング法(塩化メチレン溶液)によって幅200mm、厚さ25μmのフィルムを作成した。該フィルムを延伸温度150℃、延伸速度180mm/minにて1.3倍に延伸した。延伸後のフィルム厚みは18μmであった。
【0074】
上記条件によって得られたフィルムは、波長550nmにおけるリタデーションが175nm、波長450nmのそれは191nm、波長650nmのそれは165nmを示した。
【0075】
比較例1
窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタン(100ml)中に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(40mmol)、およびトリエチルアミン(88mmol)を混合し、氷冷下攪拌した。この溶液にフェニルホスホン酸ジクロライド(30mmol)の1,2−ジクロロエタン(45ml)溶液を60分間かけて滴下し、滴下終了後室温で120分間攪拌した。その後、濃度0.571mol/lであるトリホスゲンの1,2−ジクロロエタン(5.83ml)溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。次にオイルバスを用いて溶液温度70℃で120分間攪拌した。その後、12時間室温にて攪拌を行った。反応溶液をヘキサン2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール2000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液2000ml、(3)水2000mlの順で生成したポリマーを洗浄、乾燥して目的の樹脂粉末を収率91%で得た。得られたポリマーの数平均分子量は22000であった。
【0076】
比較例2(アルカリ土類金属水酸化物を用いた界面重縮合法)
塩化メチレン(60ml)に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(5.59g:21mmol)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンカーボネートオリゴマー(4量体)(3.0g)を投入し、そこにヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド0.4mmolと水酸化バリウム8水和物25mmolを含む80mlの水を注ぎ激しく撹拌した。モノマー原料が溶解したところで氷冷したフェニルホスホン酸ジクロライド(3.3ml:23.5mmol)の塩化メチレン6ml溶液を20分間かけて滴下し、更に1時間撹拌した。その後、重合液を分離し水にて洗浄し、エタノール500mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、70℃で20時間乾燥して目的の樹脂粉末を収率90%で得た。得られたポリマーの数平均分子量は14000程度であった。
【0077】
比較例3
比較例1記載の樹脂を、溶液キャスティング法(塩化メチレン溶液)によって幅200mm、厚さ25μmのフィルムを作成した。該フィルムを延伸温度135℃、延伸速度180mm/minにて1.3倍に延伸した。延伸後のフィルム厚みは18μmであった。
【0078】
上記条件によって得られたフィルムは、波長550nmにおけるリタデーションが42nm、波長450nmのそれは45nm、波長650nmのそれは39nmを示した。
【0079】
実施例1〜8で作成した樹脂の評価結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
Figure 0004155068
【0081】
比較例から従来の方法で製造したポリホスホネート−カーボネートは低分子量であるが故に、力学特性が不十分で実用に耐える成型体を得ることはできないことがわかる。また位相差フィルム用途としては本発明の樹脂が高分子量体であるが故に、一軸延伸時に強く配向し、より薄いフィルムで大きな複屈折率が生じ、位相差フィルムの薄膜化に有効であることがわかる。
【0082】
【発明の効果】
本発明の樹脂は、高屈折率、低分散な特性を有し、併せて優れた難燃性を有する。汎用的な成形体あるいはフィルムの用途など各種分野に用いることができるほか、特にレンズあるいは光学用のフィルムなどにおいて用いることにより優れた効果をより一層発揮するものである。

Claims (10)

  1. カーボネート残基、下記一般式(1)で示されるホスホン酸残基、および下式(2−1)〜(2−5)のいずれかで表される2価フェノール残基からなり、ホスホン酸残基とカーボネート残基のモル分率が式(3)を満足し、その数平均分子量が30000以上であること特徴とする樹脂。
    一般式(1)
    Figure 0004155068
    式(2−1)
    Figure 0004155068
    式(2−2)
    Figure 0004155068
    式(2−3)
    Figure 0004155068
    式(2−4)
    Figure 0004155068
    式(2−5)
    Figure 0004155068
    [一般式(1)中、Rは有機基、Xは酸素、硫黄あるいはセレンを表し、樹脂中にR1あるいはXの異なるホスホン酸残基を2種以上含んでもよい。]
    (a)/{(a)+(b)}≧0.05 (3)
    [(a)はホスホン酸残基、(b)はカーボネート残基のモル数を示す。]
  2. ホスホン酸残基の一部がホスホナイト残基に置換された樹脂であり、かつ、その置換比率が50%以下である請求項1に記載の樹脂。
  3. アッベ数が31以上である請求項1または2に記載の樹脂。
  4. d線屈折率が1.57以上でかつアッベ数が30以上である請求項1〜3いずれかに記載の樹脂。
  5. 溶媒中で、2価フェノールのカーボネートポリマー若しくはオリゴマーを塩基存在下に2価フェノールモノマーと反応せしめる工程、その後、ホスホン酸誘導体を反応せしめる工程を含み、得られる樹脂の数平均分子量が30000以上であるホスホネート−カーボネート共重合体樹脂の製造方法。
  6. 前記ホスホン酸誘導体の反応時に、溶液中における2価フェノール単位の濃度として1.0mol/L以上に維持して反応せしめる請求項記載のホスホネート−カーボネート共重合体樹脂の製造方法。
  7. 請求項1〜いずれかに記載の樹脂を含有してなる成型体。
  8. 請求項記載の成型体からなる光学レンズ。
  9. 請求項1〜いずれかに記載の樹脂を含有してなるフィルム。
  10. 請求項記載のフィルムを構成材とする位相差フィルム。
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