JP4022387B2 - 新規な4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類に関する。詳しくは、シクロヘキシリデン基の4−位にフェニル置換アルキル基を有する4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類に関する。
【0002】
このような4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類は、液晶ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の合成樹脂原料、電子表示素子や半導体等のフォトレジスト原料等として有用である。
【0003】
【従来の技術】
従来、4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類に関しては、例えば、特開平4−282334号公報に、アルキル置換シクロヘキサノンとフェノールとを酸触媒の存在下で反応させて、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサンと1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−t−ブチルシクロヘキサンを得ることが記載されている。また、特開平02−129155号公報には、4−n―プロピルシクロヘキサノンとフェノールを原料として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−n−プロピルシクロヘキサンを得ることが記載されている。更に、特開2000−63308公報には、4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサノンとフェノールを原料として、1,4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンを得ることが記載されている。
【0004】
このような4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類は、液晶性樹脂原料、ポリカーボネート等合成樹脂原料、電子表示素子や半導体等のフォトレジスト原料等の分野において有用である。しかし、これらの分野においては、4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類に要求される性能も益々多様化、高度化してきており、上述したように、従来より知られているものは、例えば、耐熱性、親油性、溶剤への溶解性等において十分でない。
【0005】
そこで、近年、溶剤への溶解性等の性能の改善された4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類が強く要望されている。
【0006】
本発明者らは、上述した要望に応えるべく、鋭意、研究した結果、シクロヘキシリデンビスフェノール類のシクロヘキシル基の4−位にフェニル置換アルキル基を導入することによって、溶剤への溶解性や、更には、耐熱性や親油性の改善が期待できる新規な4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類を得ることができることを見出して、本発明に至ったものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、シクロヘキシル基の4−位にフェニル置換アルキル基を有する新規な4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による新規な4―置換シクロヘキシリデンビスフェノール類は、一般式(I)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基を示し、R3 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは0〜3の整数である。)
で表される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による新規な4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類は、上記一般式(I)で表される。ここに、R1 とR2 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基であり、R1 とR2 は同一であっても、異なっていてもよいが、しかし、異なっているのが好ましい。R1 は、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基又はオクチル基であり、炭素原子数3以上のアルキル基であるとき、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。好ましくは、水素原子又はメチル基である。また、R2 は、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基又はオクチル基であり、炭素原子数3以上のアルキル基であるとき、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基である。
【0012】
また、上記一般式(I)において、R3 は炭素数1〜4のアルキル基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であり、プロピル基又はブチル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。R3 がアルキル基であり、nが2又は3であるとき、R3 は同一でも、異なっていてもよい。R3 は、好ましくは、水素原子又はメチル基であり、nは、好ましくは、0、1又は2である。
【0013】
従って、本発明による4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の具体例としては、例えば、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチルプロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)ペンチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキシル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,3−ジメチルブチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロピルブチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチルヘキシル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルペンチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−エチルペンチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルヘキシル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)オクチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルヘプチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)ノニル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−エチルヘプチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルブチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,2,2−トリメチルプロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルペンチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジメチルブチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,2−ジメチルブチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルヘキシル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジメチルペンチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,2,3−トリメチルブチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジメチルペンチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルヘプチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジメチルヘキシル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,4−トリメチルペンチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジメチルヘキシル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピル〕シクロヘキサン、
1,1−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕シクロヘキサン
1,1−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕シクロヘキサン
1,1−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン
1,1−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕シクロヘキサン
1,1−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピル〕シクロヘキサン
等を挙げることができる。
【0014】
このような本発明による4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類は、例えば、一般式(II)
【0015】
【化3】
【0016】
(式中、R1 及びR2 は前記と同じである。)
で表される置換シクロヘキサノン類と一般式(III)
【0017】
【化4】
【0018】
(式中、R3 及びnは前記と同じである。)
で表される(アルキル)フェノール類を反応溶媒中、酸触媒の存在下に脱水縮合反応させることによって得ることができる。
【0019】
上記置換シクロヘキサノン類の具体例として、例えば、
1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン ン、
1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、
2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
3−(4−オキソシクロヘキシル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン等を挙げることができる。
【0020】
また、上記(アルキル)フェノール類の具体例として、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−キシレノール、3,3,5−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチル−フェノール、2−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等を挙げることができる。
【0021】
上記置換シクロヘキサノン類は、例えば、一般式(IV)
【0022】
【化5】
【0023】
(式中、R1 及びR2 は前記と同じである。)
で表されるビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類を反応溶媒中、パラジウム触媒の存在下に選択的水素化することによって得ることができる。
【0024】
上記置換シクロヘキサノン類と(アルキル)フェノール類との反応において、(アルキル)フェノール類は、置換シクロヘキサノン1モル部に対して、通常、4〜20モル部の範囲で用いられる。
【0025】
上記置換シクロヘキサノン類と(アルキル)フェノール類との反応において、反応溶媒は用いてもよく、また、用いなくてもよい。反応溶媒を用いる場合、例えば、脂肪族アルコール、芳香族炭化水素又はこれらの混合溶媒が用いられる。アルコールとしては、用いる反応原料、得られる生成物の溶解度、反応条件、反応の経済性等を考慮して、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等を挙げることができる。また、芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン等を挙げることができる。このような溶媒は、通常、用いる置換シクロヘキサノン100重量部に対して、100〜500重量部の範囲で用いられるが、これに限定されるものではない。
【0026】
上記酸触媒としては、塩酸又は乾燥塩化水素ガスが好ましく用いられる。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、硫酸、無水硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シュウ酸、ギ酸、リン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等も用いられる。更に、本発明によれば、反応を促進するために、メルカプタン等(例えば、オクチルメルカプタン)の助触媒を用いることができる。
【0027】
反応は、通常、20℃から80℃、好ましくは、20〜50℃にて、反応器中の反応混合物に塩酸を添加するか、又は乾燥塩化水素ガスを吹き込みながら、撹拌下に、2〜48時間程度、通常、6〜24時間程度行えばよい。
【0028】
反応終了後、通常、得られた反応混合物にアルカリを加えて、酸触媒を中和した後、油層に適宣の晶析溶剤を加えるか、又は水層を分離除去し、必要に応じて、得られた有機層を常圧又は減圧下に蒸留した後、これに適宣の晶析溶剤を加えるかして、粗結晶を析出させ、次いで、この粗結晶を濾取し、これを更に適宣の晶析溶媒から晶析させることによって、目的とする4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類の高純度品を得ることができる。
【0029】
上記晶析溶媒としては、具体的には、晶析条件、精製効果、経済性等を考慮して、適宣に選ばれるが、芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン等が用いられる。また、脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール等、脂肪族ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン等、環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が用いられる。
【0030】
本発明による新規な4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類は、分子中に3つの芳香環を有し、また、分子中にシクロヘキサン環とアルキル置換基を有するので、高い耐熱性、親油性、溶媒親和性を有することが期待される。更に、本発明による4−置換シクロヘキシリデンビスフェノール類は、これを原料として、種々の反応、例えば、フェノール性芳香環に対する置換反応や、水添反応、フェノール性水酸基に対する反応等を行うことによって、種々の誘導体とすることができる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、本発明の目的物である反応生成物の純度は液体クロマトグラフィーによる面積百分率の値である。
【0032】
参考例1
(1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの製造)
1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン100g(0.439モル)と酢酸エチル150gと共に、ナトリウム約1.5重量%とパラジウム5重量%とをカーボン粉末に担持させてなるパラジウム・カーボン触媒3.0g(含水触媒の乾燥重量換算量)を1L容量のガラス製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を70℃まで昇温した後、内圧を解放して、圧力(ゲージ圧)を0MPaとした。
【0033】
次いで、オートクレーブを密閉し、内温を1 4 0℃まで昇温した後、オートクレーブ内に水素を0.5MPaまで導入した。この後、オートクレーブ内の水素圧力を0.5MPaに保つように、水素を適宜、オートクレーブ内に補充しながら、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの水素化を行い、オートクレーブ内の水素吸収量が理論水素吸収量(原料モル量の2倍モル量)の1.1倍量となった時点(反応の開始から5時間後)で反応を終了した。その結果、原料の転化率は94.2%であり、目的物の選択率は92.2%であった。
【0034】
反応終了後、オートクレーブ内を70℃まで降温し、窒素ガス置換した後、65℃で触媒を濾別した。得られた濾液を加熱濃縮し、酢酸エチル50gを留出させた後、濃縮物を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取し、乾燥して、1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン58.0gを白色結晶として得た。純度は99.2%(ガスクロマトグラフィー分析による。)であり、収率は56.5%であった。
【0035】
実施例1
(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサンの製造)
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び攪拌機を備えた2L容量四つ口フラスコにフェノール307.2g(3.2モル)と35%塩酸243.1gを仕込み、反応容器内を窒素置換した後、常圧下、温度40℃に昇温した。
【0036】
参考例1で得た1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン150.0g(0.65モル)をフェノール193.0g(2.1モル)に溶解して、溶液を調製した。上記フラスコ内に攪拌下、40℃を保ちながら、この溶液を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、温度40℃において16時間撹拌下に反応を行った。
【0037】
反応終了後、得られた反応混合物に16%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、中和した。中和後の反応混合物から水層を分液除去し、油層混合物を得た。次いで、この油層混合物から減圧蒸留にてフェノールを除去して、目的とする1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサンを含む蒸留残留物を得た。これにトルエンとメチルイソブチルケトンと水との混合溶液を加え、晶析濾過し、更に、晶析物を乾燥して、目的物である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン110gを白色結晶として得た。純度は94.9%であった。
【0038】
これを更にヘプタン、メチルイソブチルケトン及び水の混合物を加え、晶析、濾過し、乾燥して、純度99.0%の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサンの精製物を白色結晶として得た。1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに対する収率は40.2モル%であった。
【0039】
融点(示差熱分析法):149℃、133℃
分子量(質量分析法、M+):402
赤外線吸収スペクトル(KBr法):
水酸基:3510.2cm-1、1243.0cm-1
ベンゼン環:1612.4〜1510.2cm-1
シクロヘキサン環:1451.3cm-1
プロトンNMR(400MHz、溶媒DMSO−d):
【0040】
【化6】
【0041】
【表1】
【0042】
参考例2
(2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ブタンの製造)
2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)ブタン100g(0.413モル)を原料として用いると共に、反応溶媒を酢酸エチルから2−ブタノールに代え、更に、水素化触媒として、パラジウム5重量%をカーボン粉末に担持させたパラジウム・カーボン触媒3g(含水触媒の乾燥重量換算量)と助触媒として炭酸ナトリウム0.1gを用い、反応圧力を0.4MPaとした以外は、参考例1と同様にして、2.5時間反応を行った。その結果、原料の転化率は95.5%であり、目的物の選択率は94.9%であった。
【0043】
反応終了後、オートクレーブ内を9 0℃まで降温し、窒素ガス置換した後、8 0℃で触媒を濾別した。得られた濾液を加熱、濃縮して2−ブタノール75gを留出させた後、濃縮物を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取し、乾燥して、2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン57.9gを白色結晶として得た。純度は98.8%(ガスクロマトグラフィー分析による。)であり、収率は56.3%であった。
【0044】
実施例2
(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピル〕シクロヘキサンの製造)
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び攪拌機を備えた300mL容量の四つ口フラスコにフェノール47.0g(0.5モル)と35%塩酸37.6gを仕込み、反応容器内を窒素置換した後、常圧下、温度40℃に昇温した。
【0045】
参考例2で得た2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン24.6g(0.1モル)をフェノール28.2gに溶解して、溶液を調製した。上記フラスコ内に攪拌下、40℃を保ちながら、この溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、温度40℃において23時間撹拌下に反応を行った。
【0046】
反応終了後、得られた反応混合物に16%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、中和した。中和後の反応混合液から水層を分液除去し、油層混合物を得た。次いで、この油層混合物から減圧蒸留にてフェノールを除去して、目的とする1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピル〕シクロヘキサンを含む蒸留残留物を得た。これにトルエンとメチルイソブチルケトンとの混合溶液を加え、晶析濾過し、得られた晶析物を乾燥して、目的物である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルプロピル〕シクロヘキサン23.0gを白色結晶として得た。純度は91.7%であり、2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ブタンに対する収率は50.7モル%であった。
【0047】
融点(示差熱分析法):224℃
分子量(質量分析法、M+):416
赤外線吸収スペクトル(KBr法):
水酸基:3304.8cm-1、1242.1cm-1
ベンゼン環:1612.4〜1510.2cm-1
シクロヘキサン環:1458.1〜1448.4cm-1
プロトンNMR(400MHz、溶媒DMSO−d):
【0048】
【化7】
【0049】
【表2】
【0050】
参考例3
(2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)オクタンの製造)
2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)オクタン100g(0.336モル)と2−ブタノール150gと共に、ナトリウム約1.5重量%とパラジウム5重量%とをカーボン粉末に担持させてなるパラジウム・カーボン触媒3.0g(含水触媒の乾燥重量換算量)を1L容量のガラス製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を70℃まで昇温した後、内圧を解放して、圧力(ゲージ圧)を0MPaとした。
【0051】
次いで、オートクレーブを密閉し、内温を1 4 0℃まで昇温した後、オートクレーブ内に水素を0.4MPaまで導入した。この後、オートクレーブ内の水素圧力を0.4MPaに保つように、水素を適宜、オートクレーブ内に補充しながら、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)オクタンの水素化を行い、オートクレーブ内の水素吸収量が理論水素吸収量(原料モル量の2倍モル量)の1.1倍量となった時点(反応の開始から4.5時間後)で反応を終了した。その結果、原料の転化率は98.5%であり、目的物の選択率は86.3%であった。
【0052】
反応終了後、オートクレーブ内を90℃まで降温し、窒素ガス置換した後、80℃で触媒を濾別した。得られた濾液を蒸発乾固させて、2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)オクタン83.0重量%(ガスクロマトグラフィー分析による。)を含む反応生成物を得た。
【0053】
実施例3
(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルヘプチル〕シクロヘキサンの製造)
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び攪拌機を備えた500mL容量の四つ口フラスコにフェノール18.2g(0.2モル)と35%塩酸18.0gを仕込み、反応容器内を窒素置換した後、常圧下、温度40℃に昇温した。
【0054】
参考例3で得た2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)オクタン16.5g(0.1モル)をフェノール18.9gに溶解して、溶液を調製した。上記フラスコ内に攪拌下、40℃を保ちながら、この溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、温度40℃において23時間撹拌下に反応を行った。
【0055】
反応終了後、得られた反応混合物に16%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、中和した。中和後の反応混合液から水層を分液除去し、油層混合物を得た。次いで、この油層混合物から減圧蒸留にてフェノールを除去して、目的とする1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルヘプチル〕シクロヘキサンを含む蒸留残留物を得た。これを分取液体クロマトグラフィーにて精製し、乾燥して、目的物である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルヘプチル〕シクロヘキサン198mgを白色結晶として得た。純度は97.2%であった。
【0056】
融点(示差熱分析法):73.7℃
分子量(質量分析法、M+):472
赤外線吸収スペクトル(KBr法):
水酸基:3253.7cm-1、1238.2cm-1
ベンゼン環:1611.4cm-1、1511.1cm-1、1489.9cm-1
シクロヘキサン環:1489.9cm-1
プロトンNMR(400MHz、溶媒DMSO−d):
【0057】
【化8】
【0058】
【表3】
【0059】
参考例4
(2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの製造)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン100g(0.439モル)と酢酸ブチル150gと共に、ナトリウム約1.5重量%とパラジウム5重量%とをカーボン粉末に担持させてなるパラジウム・カーボン触媒3.0g(含水触媒の乾燥重量換算量)を1L容量のガラス製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を90℃まで昇温した後、内圧を解放して、圧力(ゲージ圧)を0MPaとした。
【0060】
次いで、オートクレーブを密閉し、内温を1 25℃まで昇温した後、オートクレーブ内に水素を0.2MPaまで導入した。この後、オートクレーブ内の水素圧力を0.2MPaに保つように、水素を適宜、オートクレーブ内に補充しながら、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの水素化を行い、オートクレーブ内の水素吸収量が理論水素吸収量(原料モル量の2倍モル量)の0.86倍量となった時点(反応の開始から1.9時間後)で反応を終了した。
【0061】
反応終了後、オートクレーブ内温を80℃まで降温し、系内を窒素ガスで置換した後、触媒を濾別した。得られた、目的物を含む濾液を晶析濾過、乾燥して、目的物である2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン48.7gを白色結晶として得た。純度は97.7%、2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに対する収率は46.8%であった。
【0062】
実施例4
(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕シクロヘキサンの製造)
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び攪拌機を備えた1L容量四つ口フラスコにフェノール42.3g(0.45モル)と35%塩酸56.3gを仕込み、反応容器内を窒素置換した後、常圧下、温度40℃に昇温した。
【0063】
参考例4で得た2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン35.6g(0.15モル)をフェノール70.5g(0.75モル)に溶解して、溶液を調製した。上記フラスコ内に攪拌下、40℃を保ちながら、この溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、温度40℃において22時間撹拌下に反応を行った。
【0064】
反応終了後、得られた反応混合物に16%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、中和した。中和後の反応混合物から水層を分液除去し、油層混合物を得た。次いで、この油層混合物から減圧蒸留にてフェノールを除去して、目的とする1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)―1−メチルエチル〕シクロヘキサンを含む蒸留残留物を得た。これをメチルイソブチルケトンと水との混合溶液をを加えて水洗し、その後、水層分液後の油層にトルエンを加えて、晶析濾過、乾燥して、目的物である1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル−1−メチルエチル)〕シクロヘキサンを含む粗結晶24.5gを得た。この粗結晶をメチルエチルケトンに再度溶解し、更に、トルエンを加えた後、晶析濾過、乾燥して、純度92.6%の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル−1−メチルエチル)〕シクロヘキサンの精製物16.6gを白色結晶として得た。2−(4−オキソシクロヘキシル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに対する収率は24.5モル%であった。
【0065】
融点(示差熱分析法):233℃
分子量(質量分析法、M+):402
赤外線吸収スペクトル(KBr法):
水酸基:3357.8cm-1、1239.2cm-1
ベンゼン環:1610.5〜1510.2cm-1
シクロヘキサン環:1465.8cm-1
プロトンNMR(400MHz、溶媒DMSO−d):
【0066】
【化9】
【0067】
【表4】
【0068】
実施例5
(1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサンの製造)
温度計、滴下漏斗、還流冷却管及び攪拌機を備えた2L容量四つ口フラスコに2,6−ジメチルフェノール66.2g(0.54モル)を仕込み、反応容器内を窒素置換した後、常圧下、温度50℃に昇温した。
【0069】
次いで、反応容器内に、乾燥塩化水素ガスを吹き込みながら、参考例1と同様にして得られた1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン30.8g(0.13モル、純度97.5%)を2,6−ジメチルフェノール60g(0.49モル)に溶解した溶液を、攪拌下、50℃を保ちながら、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、温度50℃において21時間撹拌下に反応を行った。
【0070】
反応終了後、得られた反応混合物に16%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、中和した。中和後の反応混合物から水層を分液除去し、油層混合物を得た。次いで、この油層混合物から減圧蒸留にて2,6−ジメチルフェノールを除去して、目的とする1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサンを含む蒸留残留物を得た。これをトルエンと水との混合溶液をを加えて水洗し、その後、水層分液後の油層からトルエンを一部溜去した後、晶析濾過、乾燥して、目的物である1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサンを含む粗結晶43.3gを得た。この粗結晶をメチルエチルケトンに再度溶解し、更に、トルエンを加えた後、晶析濾過、乾燥して、純度95.1%の1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサンの精製物23.7gを白色結晶として得た。1−(4−オキソシクロヘキシル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに対する収率は37.5モル%であった。
【0071】
融点(示差熱分析法):138.4℃、152.8℃
分子量(質量分析法、M+):458
赤外線吸収スペクトル(KBr法):
水酸基:3379.1cm-1
ベンゼン環:1611.4〜1488.9cm-1
シクロヘキサン環:1451.3cm-1
プロトンNMR(400MHz、溶媒CD3OD)
【0072】
【化10】
【0073】
【表5】
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