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JP4016811B2 - 自動分注装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動分注装置に関し、特に、試料を試薬と反応させるためのウェルが縦n個横m個のマトリックス状に配置されて形成されたマイクロプレートの、所望の複数のウェルに同時に液体試薬や液体試料を吐出する自動分注装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のウェルが形成されたマイクロプレート上の所望のウェルに、試薬や試料を吐出するための自動分注装置が従来より知られている。自動分注装置は、分注機構と移動手段とを有しており、分注機構はノズルを有するシリンダを備える。ノズルには、分注チップが取付けられ、分注チップから液体を吸引・吐出することができるように構成されている。シリンダには、ノズルに取付けられている分注チップ内部に液体を吸引したり、分注チップ内部にある液体を分注チップから吐出したりするためのプランジャが設けられている。
【0003】
移動手段は、例えば、特開平8−271528号公報、特開平5−232124号公報記載のように、マイクロプレート上の所望のウェル上方の適切な位置にノズルを移動させることができるように構成されており、分注機構をマイクロプレートの上方において横方向や、縦方向、鉛直方向(X、Y、Z軸方向)へ移動させることができる。マイクロプレートには、一般的には96個のウェルが縦12個、横8個のマトリックス状に配置されて形成されており、分注機構のシリンダのノズルに取付けられている分注チップから所望のウェルに試薬や試料が吐出されるいわゆる分注が行われて、ウェル中において試薬による試料の反応等が行われる。
【0004】
自動分注装置の種類としては、12連自動分注装置、8連自動分注装置、1連自動分注装置、96連自動分注装置がある。12連自動分注装置では、マイクロプレートの縦方向に、並列で且つ一直線状に配置された12本のシリンダのノズルが連動して動作するように構成されており、12本のノズルに取付けられた分注チップにおいて一括して試薬等の液体の吸引または吐出を行うことが可能である。例えば、マイクロプレート上の縦方向に一列に並んだ複数のウェルに入っている試料のそれぞれに対して、同時に試薬を吐出することができる。
【0005】
同様に、8連自動分注装置では、マイクロプレートの横方向に、並列で且つ一直線状に配置された8本のノズルが連動して動作するように構成されており、8本のノズルに取付けられた分注チップにおいて一括して試薬等の液体の吸引または吐出を行うことが可能である。96連自動分注装置では、縦12本横8本のマトリックス状に並んで配置された96本のノズルが連動して動作するように構成されており、96本のノズルに取付けられた分注チップにおいて一括して試薬等の液体の吸引または吐出を行うことが可能であり、マイクロプレート上の96個の全ウェルに対して同時に試薬等を吐出することができる。1連自動分注装置では、1本のノズルが単独で動作するように構成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−271528号公報(第4頁〜7頁、図1、図2、図12、図13)
【特許文献2】
特開平5−232124号公報(第3頁〜7頁、図1〜図7)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、薬物代謝反応試験のような酵素反応試験では、縦n×横m個のマトリックス状にウェルが配置されたマイクロプレートを用い、縦の列方向は全て同一サンプルをm種類注入し、横の列方向は同一酵素試薬をn種類注入し、一括してn×m個の酵素反応を行わせる試験が多種存在する。
【0008】
従来の96連自動分注器では、一括して96のノズルが連動するため、このように縦横1列ごとに分注する場合、96ノズルのある列の分注チップのみ装着することで対処できるが、チップ容器が96チップを収納する面積のn倍、またはm倍必要で、広い設置場所を必要とする。また、分注チップを装着する位置を誤り、試験結果に重大なミスを生じる恐れがある。また、サンプルや試薬を入れる試薬槽も同様の広さが必要で、これは貴重なサンプルや試薬が多量に必要になることを意味し、試験効率を著しく低下させる。
【0009】
また、方向が固定されたnまたはm連自動分注器では、一括してnまたはmノズルが連動するため、マトリックス状にウェルが配置されたマイクロプレートの自動分注器が配置された方向には、一括してサンプルや試薬を分注できる。しかし、これと直交するする方向では96連自動分注器同様、nまたはmノズルのある1本の分注チップのみ装着して分注しなければならず、全ての分注終了までに長時間を必要とし、試験効率を低下させる。
【0010】
そこで本発明は、必要最小限の設置面積で、各種試薬の無駄を省き、最短時間で各種試薬を分注できる自動分注装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、分注チップが取付けられ液体の試薬又は試料の吸引及び吐出を該分注チップにおいて行うためのノズルと該分注チップへの液体の吸引及び該分注チップからの液体の吐出を行うためのプランジャとを備えた複数のシリンダが、それらの軸が互いに平行に且つ一列に並んで配置された分注機構と、互いに垂直の関係を有するX軸、Y軸、Z軸方向へ該分注機構を移動させる移動手段と、縦n個横m個のマトリックス状に複数のウェルが配置されたマイクロプレートとを備え、該一列に並んで配置された複数の該シリンダは等間隔で直線状に配置され、該シリンダの本数はn又はmのうちの値の大きい方と同数であり、該ノズルは該分注チップを着脱可能に構成され、該分注チップからマイクロプレート上の複数のウェルに対して該分注チップに吸引した液体を列全体で同時に一括して吐出する自動分注装置において、該分注チップは、該分注チップを縦n本横m本のマトリックス状に並べて収納可能な2つの分注チップ容器に収納され、一の該分注チップ容器は、該シリンダの配置方向が縦方向に指向している該分注機構の該ノズルに装着するための該分注チップを収納する第1の分注チップ容器であり、他の該分注チップ容器は、該シリンダの配置方向が横方向に指向している該分注機構の該ノズルに装着するための該分注チップを収納する第2の分注チップ容器であり、該第1、第2の分注チップ容器の縦方向は該マイクロプレートの縦方向に平行に配置され、該液体の試薬は2つの試薬槽に貯留され、一の該試薬槽は、該シリンダの配置方向が縦方向に指向している該分注機構の該ノズルに装着された該分注チップに供給するための試薬が貯留されている第1の試薬槽であり、他の該試薬槽は、該シリンダの配置方向が横方向に指向している該分注機構の該ノズルに装着された該分注チップに供給するための試薬が貯留されている第2の試薬槽であり、該第1、第2の試薬槽の縦方向は該マイクロプレートの縦方向に平行に配置されている自動分注装置を提供している。
【0012】
ここで、該複数のシリンダの本数は12本であり、それらの軸が鉛直方向に指向して配置され、該ノズルは該シリンダの下端に設けられ、該ノズルには鉛直下方へ向けて開口する吐出口が形成され、該プランジャは該シリンダの上端に設けられ、該プランジャが上下方向に動かされることにより該ノズルに取付けられた該分注チップにおいて液体の吸引、吐出が行われ、該プランジャーを上下動させる駆動手段を備えることが好ましい。
【0013】
また、該複数のシリンダが配置された該一列の方向を変えるために、鉛直方向に指向する所定の回転軸を中心として該分注機構を回転させる回転機構を備えていることが好ましい。
【0014】
該回転軸は、該直線状に配置された該複数のシリンダの列の長さの中間の位置にあることが好ましい。
【0015】
該分注機構は該回転機構に対して着脱自在であることが好ましい。
【0016】
該マイクロプレートは、該ウェル内を加熱して所定の温度を保った状態で該マイクロプレートを振動させて該ウェル内の試料と試薬との攪拌を促進させるためのサーモミキサ上に配置されていることが好ましい。
【0017】
該試薬槽は該液体の試薬を所定の低温に保った状態で貯留することができる冷却器上に配置されていることが好ましい。
【0018】
該分注機構は、該シリンダの配置方向が該マイクロプレートの縦方向に指向する縦方向用分注機構と、該シリンダの配置方向が該マイクロプレートの横方向に指向する横方向用分注機構とからなり、該縦方向用分注機構、該横方向用分注機構の該シリンダの本数は、それぞれn、mのうちの大きい方と同数であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態による自動分注装置1について図1乃至図5に基づき説明する。自動分注装置1は装置本体10を有しており、装置本体10には、移動手段20と回転機構30と分注機構40とステージ50とが設けられている。装置本体10は外形が略直方体の箱状をなしており、その内部には、装置本体10の外形と略相似形状の略直方体の室10aが形成されている。装置本体10の上面10A、前面10Bの一部には、室10aから装置本体10外方へ向けて開口する開口部10b、10cが形成されている。開口部10b、10cは、それぞれ、上面10A、前面10Bと略相似形状の長方形をなす。ステージ50は、装置本体10の底面10Cの室10aを画成している内周面に設けられている。また、装置本体10には、自動分注装置1を起動、停止等させるためにスイッチ群11や、図示せぬ制御装置等が設けられている。後述する移動手段20のX軸、Y軸、Z軸方向への移動や、分注機構40の回転、ノズル46に装着された分注チップ60における吸引、吐出は、この図示せぬ制御装置によって制御される。なお、この制御装置には、図示せぬ外部入力装置によって任意に試験工程を記憶させることができる。
【0020】
装置本体10の前面上辺と背面上辺とには、移動手段20を構成する略四角柱形状をしたX軸部材21A、21Bが、それぞれ装置本体10に対して移動不能に固着されている。これら2本のX軸部材21A、21Bは、前面上辺、背面上辺に沿って設けられており、互いに平行の位置関係をなす。2本のX軸部材21A、21Bの間には、略四角柱形状をしたY軸部材22が2つのX軸部材21A、21Bを掛渡すようにして設けられている。Y軸部材22は、X軸部材21A、21Bに対して直角の状態を保ったままX軸部材21A、21Bの長手方向(X軸方向)に移動可能である。また、Y軸部材22上であって2本のX軸部材21A、21Bの間の位置には、略四角柱形状をしたZ軸部材23がY軸部材22に対して垂直且つ鉛直方向に指向した状態で設けられている。Z軸部材23は、Y軸部材22に対して垂直の状態を保ったままY軸方向に移動可能である。従って、X軸部材21A、21BはY軸部材22を装置本体10の左右方向に移動させ、Y軸部材22はZ軸部材23を装置本体10の前後方向に移動させる。Y軸部材22及びZ軸部材23は、X軸部材21A、21Bと共に移動手段20を構成する。
【0021】
Z軸部材23には、回転機構30と分注機構40とが接続されている。図2に示されるように、回転機構30は、回転機構本体31と、回転機構本体31内に設けられたステッピングモータ32と、原点検出用フォトセンサ33と、カップリング34とを備えており、回転機構本体31は、Z軸部材23上においてZ軸部材23の長手方向に移動可能に取付けられている。ステッピングモータ32と分注機構40とはカップリング34によって接続されており、ステッピングモータ32の回転がカップリング34を介して分注機構40に伝達される。原点検出用フォトセンサ33は、回転機構本体31に固着されており、図示せぬ発光部と受光部とを有し、後述の分注機構40に設けられた原点検出ドグ43によって図示せぬ受光部が遮光されたときに、分注機構40が後述の原点位置(図2(a))にあることを検出することができるように構成されている。
【0022】
回転機構本体31の鉛直方向下端には分注機構40が設けられており、分注機構40は回転機構30を介してZ軸部材23に支持されている。従って、Z軸部材23は、回転機構30を介して分注機構40を鉛直方向に移動させることができ、この結果、分注機構40は、移動手段20によってX軸部材21A、21B、Y軸部材22、及びZ軸部材23の方向、即ち、装置本体10の上下左右前後方向へ移動可能に構成されている。
【0023】
分注機構40は、シリンダ保持部41と被支持部42とからなる。被支持部42は略円柱形状をしており、その長手方向はZ軸方向(鉛直方向)に平行である。被支持部42の鉛直方向上端は、回転機構30のカップリング34に着脱自在に接続されており、ステッピングモータ32からの回転がカップリング34を介して被支持部42に伝達されて、被支持部42が鉛直方向に指向する回転軸を中心に回転するように構成されている。被支持部42の鉛直方向上端が、回転機構30のカップリング34に着脱自在であるため、回転機構30に対して分注機構40は着脱自在である。このため、シリンダやノズルが破損した場合には、分注機構の部分のみを交換すれば、すぐに自動分注装置の使用を再開することができる。被支持部42の鉛直方向上端には、原点検出ドグ43が被支持部42から水平方向に突出して設けられており、前述のように、分注機構40が原点位置にあることを検出することができるように構成されている。なお、原点位置については後に説明する。また、被支持部42内には、後述のプランジャ47を鉛直方向へ動作させるためのモータ44が設けられている。
【0024】
被支持部42の鉛直方向下端には、シリンダ保持部41が設けられている。シリンダ保持部41は、被支持部42と一体回転可能であり、従って、シリンダ保持部41と被支持部42とからなる分注機構40は、鉛直方向に指向する回転軸を中心に回転可能である。シリンダ保持部41には、12本のシリンダ45が設けられている。12本のシリンダ45は同一円筒形状をなし、図1、2に示されるように、それらの軸は鉛直方向に指向し、互いに等間隔で平行、且つ水平方向へ向かって一列に一直線状に並んで配置されている。並んで配置された12本の列の長さの中間の位置、即ち、一端のシリンダから数えて6番目のシリンダ45Aと7番目のシリンダ45Bとの間の位置は、分注機構40の回転軸の位置に一致する。図2(a)に示されるように、分注機構40が回転してシリンダ45の並んで配置された方向がY軸部材22と平行となった位置を、分注機構40の原点位置と呼び、この方向を原点方向と呼ぶ。また、図2(b)に示されるように、分注機構40が回転してシリンダ45の並んで配置された方向がY軸部材22と垂直の方向を向いた位置を、分注機構40の90度位置と呼び、この方向を90度方向と呼ぶ。
【0025】
各シリンダ45の下端には、ノズル46が設けられている。ノズル46には、鉛直下方へ向けて開口する吐出口が形成されており、ノズル46の下端に後述の分注チップ60(図5)が取付けられた状態のときに、吐出口から分注チップ60内のエアをノズル46内に吸引したり吐出したりすることによって分注チップ60内に試薬等を吸引したり吐出したりすることができるように構成されている。各シリンダ45の上端には、それぞれプランジャ47が設けられている。全てのプランジャ47はプランジャ支持部材47Aによって支持されている。プランジャ支持部材47Aは逆T字形をしており、その水平部分47Bは全てのプランジャ47に接続され、鉛直部分47Cは被支持部42内部に至るまで延出している。鉛直部分47Cは螺刻されており、被支持部42に設けられたモータ44に駆動連結された歯車44Aに螺合している。従って、モータ44が駆動することによって、プランジャ47が鉛直方向に上下動でき、この上下動によって、吐出口から分注チップ60内のエアをシリンダ45内に吸引したり吐出したりすることにより、ノズル46に取付けられた分注チップ60内部へ液体を吸引したり、分注チップ60内部にある液体を分注チップ60から吐出したりすることができるように構成されている。
【0026】
ここで、ノズル46の先端に取付けられる分注チップ60について説明する。分注チップ60は公知のものであり、テーパを有する短い略管状をしており、両端に開口が形成され、径の大きい方の一端の開口からノズル46の先端を覆ってゆくようにして、1本のノズルに対して1本の分注チップが取付けられる。分注チップ60はテーパを有しているため、ノズル46に分注チップ60が被せられるときにテーパがノズル46に圧着されて、分注チップ60がノズル46に保持された状態となる。より具体的には、分注チップ60は、ノズル46に取付けられる前の時点では、径の大きい一端の開口が鉛直上向きの状態とされて分注チップ容器に収納され、移動手段20のX軸部材21A、21B、Y軸部材22によってノズル46が分注チップ60の上方へ移動され、Z軸部材23によってノズル46が鉛直下方へ移動され、分注チップ60の径の大きい一端の開口からノズル46を覆ってゆき、分注チップ60のテーパの部分がノズル46に圧着されて、ノズル46に分注チップ60が取付けられる。
【0027】
分注チップ60が取付けられている状態のノズル46は、その分長手方向の長さが長くなっており、Z軸部材23の動作によりノズル46が鉛直下方に下がってゆき下方に位置したときに、ノズル46の鉛直下方に配置された液体の試薬の液面に分注チップ60が到達することができる。一方、分注チップ60が取付けられていないノズル46は、その長手方向の長さが短いため、Z軸部材23の動作によりノズル46が鉛直方向の最も下方の位置に至っても、ノズル46の先端が液面に到達することはできない。このように、液面に到達することができるものとできないものとを生じさせ、液面に到達することができるもののみ液体を吸引することができるように構成されている。従って、12本のシリンダ45の全てのノズル46に分注チップ60を取付ければ、液体の試薬を12本のシリンダ45の全ノズル46に取付けられた分注チップ60から、列全体で一括して同時に吸引・吐出することができる。なお、前述のように、この吸引・吐出に際しては、液体の試薬は分注チップ60内に吸引される。このため、ノズル46及びシリンダ45には試薬が触れることはない。従って、複数種類の試薬を用いて数回の分注を行うときには、シリンダ45やノズル46を洗浄する必要はなく、分注チップ60のみを交換すればよい。
【0028】
装置本体10のステージ50上には、図1、図5に示されるように、分注機構40のノズル46に装着される前の分注チップ60が収納されている第1、第2分注チップ容器51A、51Bと、縦12個横8個の計96個のウェル53aがマトリックス状に並べて形成され外形が長方形状をしたマイクロプレート53と、マイクロプレート53上の複数のウェル53aに分注するための液体の試薬を入れておく第1、第2試薬槽52A、52Bと、使用済みの分注チップ60を一時的に入れておくための分注チップ廃棄容器54とが配置されている。第1、第2分注チップ容器51A、51Bを総称して分注チップ容器と呼び、第1、第2試薬槽52A、52Bを総称して試薬槽と呼ぶ。マイクロプレート53、第1、第2分注チップ容器51A、51B、第1、第2試薬槽52A、52B、及び分注チップ廃棄容器54は、外形が略同一の長方形状をなす。ステージ50上において、右側手前にマイクロプレート53、中央手前に第1試薬槽52A、左側手前に第1分注チップ容器51A、右側奥に分注チップ廃棄容器54、中央奥に第2試薬槽52B、左側奥に第2分注チップ容器51Bが配置されている。手前に置かれたものと奥に置かれたものとでは、左右の縦の辺の位置が揃えられて整然と配置されている。同様に、手前、奥それぞれにおいて、右側、中央、左側に置かれたものは、それぞれ横の辺が揃えられて整然と配置されている。従って、これらマイクロプレート53等は、全てその縦方向が原点方向に平行になるように配置されている。ステージ50上においては、図1に示されているように、マイクロプレート53、分注チップ容器、試薬槽、及び分注チップ廃棄容器54はそれぞれ所定の台55、56の上に載置されている。試薬槽が載置されている台55には、台55上を冷却するための図示せぬ保冷装置が接続されており、台55上の試薬槽を冷却し、これらを所望の温度に保つことができるように構成されている。従って、台55は冷却器をなす。また、マイクロプレート53は、図示せぬアルミプレートを介して台56上に載置され、台56中には振動装置及び加熱装置が設けられており、マイクロプレート53のウェル53a中の試料と試薬とを、加熱した状態で攪拌することができるように構成されている。従って、マイクロプレート53が載置されている台56はサーモミキサーをなす。
【0029】
第1分注チップ容器51A、第2分注チップ容器51Bは、それぞれ縦12本、横8本の計96本の分注チップ60を収納することができるように、それぞれ縦12個、横8個の計96個の分注チップ収納ホルダ51Cが設けられている。第1分注チップ容器51Aは、分注機構40が原点位置にあるときにノズル46に取付ける分注チップ60を収納しておくためのものであり、図5に示されるように、所望の数の分注チップ60が原点方向に一列に並んで配置された状態で収納されている。第2分注チップ容器51Bは、分注機構40が90度位置にあるときに、ノズル46に取付ける分注チップ60を収納しておくためのものであり、図5に示されるように、所望の数の分注チップ60が90度方向に一列に並んで配置された状態で収納されている。従って、第1分注チップ容器51Aでは、分注機構40の12本のノズル46全てに分注チップ60を取付けることが可能であり、また、任意のノズル46に取付けることも可能である。第2分注チップ容器51Bでは、12本ノズル46のうちの一端のノズルから数えて3番目から10番目までのノズルの内の任意のノズル46に分注チップ60を取付けることが可能であり、最大8本まで取付けることができるように構成されている。
【0030】
第1試薬槽52Aは、縦8つに等しく分割されており、それぞれが試薬槽をなし、それぞれに異なる試薬を入れることが可能である。第2試薬槽52Bは、横12個に等しく分割されており、それぞれが試薬槽をなし、それぞれに異なる試薬を入れることが可能である。第1試薬槽52Aでは、分注機構40が原点位置にあるときに、ノズル46に取付けられている全ての分注チップ60から、1つの種類の試薬をノズルの列全体で同時に一括して吸引することができる。第2試薬槽52Bでは、分注機構40が90度位置にあるときに、ノズル46に取付けられている全ての分注チップ60から、1つの種類の試薬をノズルの列全体で同時に一括して吸引することができるように構成されている。分注チップ廃棄容器54は、使用済みの分注チップ60が取外された後に、廃棄される前に一時的に置かれるスペースをなす。
【0031】
前述のように、第2分注チップ容器51Bと、第2試薬槽52Bと、マイクロプレート53とは外形が同一であり、横方向の長さも同一である。更に、第2分注チップ容器51Bでは、図5に示されるように、横8個の分注チップ収納ホルダA〜Hがあり、マイクロプレート53では横8個のA〜Hで表されるウェル53aが形成されており、数が一致している。このため、12本のノズル46が設けられた分注機構40が90度位置にあるときに、誤ってマイクロプレート53の横方向のウェル53aの個数である8個を超える数の分注チップ60を取付けてしまうことを防止することができ、また、マイクロプレート53の横方向のウェル53aの個数である8個を超える数の分注チップ60から試薬を吸引してしまうことを防止することができる。このため、ウェル53aのないステージ50上の位置に分注チップ60から試薬を吐出してしまうということを防止することができる。
【0032】
また、第1、第2試薬槽52A、52Bがそれぞれ8個、12個に分割されているため、複数の種類の試薬を第1、第2試薬槽52A、52Bにそれぞれ貯留させておくことができる。このため、分注機構40が原点位置のみで動作する場合、又は、分注機構40が90度位置のみで動作する場合であっても、また、分注機構40が原点位置と90度位置とで動作する場合であっても、さまざまな種類の試薬を用いて実験を行うことができる。
【0033】
また、鉛直方向に指向する回転軸を中心として分注機構40を回転させる回転機構30を設けたため、ステージ50上に配置されたマイクロプレート53上の縦12個横8個の計96個のウェル53aにおいて、縦方向に並んだ一列のウェル53aと横方向に並んだ一列のウェル53aとの両方に対して、一台の自動分注機で自動的に分注を行うことができる。この分注に際しては、縦方向に並んだ一列のウェル53aに対してノズルの列全体で一括して同時に液体の試薬を吐出することができ、また、横方向に並んだ一列のウェル53aに対しても、ノズルの列全体で一括して同時に液体の試薬を吐出することができる。また、複数のノズル46に取付けられた分注チップ60から、同時にノズルの列全体で一括して試薬槽の液体の試薬を吸引することができる。このため、薬物代謝反応を容易に行うことができる。
【0034】
次に、上述の構成による自動分注装置1によって行われる薬物代謝反応の試験を例にして、分注の動作について説明する。ここでは説明の都合上、図5に示されるようにマイクロプレート53、第1分注チップ容器51A、第2分注チップ容器51Bの縦方向を1から12の番号で示し、横方向をAからHのアルファベットで示し、分注チップ60が収納される位置を、例えばA1、B3等の座標で示す。また、第1試薬槽52A中の分割された各試薬槽を、左から右へ向かってAからHのアルファベットで示し、第2試薬槽52B中の分割された各試薬槽を、手前から奥へ向かって01から12の番号で示す。
【0035】
先ず分注を行う前に、予めマイクロプレートのA1〜E1に6μlの検体を入れておく。また、図5に示されるように、予め第1チップ容器51AのA2からA12の位置に分注チップ60が収納される。同様に、第1チップ容器51AのB1からB12の位置〜G1からG12の位置にも分注チップ60が収納される。また、第2チップ容器のA1からE1の位置、及びA2からE2の位置にも分注チップ60が収納される。また、第1試薬槽52A中のAの試薬槽に希釈液Aとなる試薬1を入れる。同様に、第1試薬槽52A中のB〜Fの試薬槽に反応開始液A〜Eとなる試薬3〜7を入れる。また、第1試薬槽52A中のHの試薬槽に反応停止液となる試薬8を入れる。また、第2試薬槽52B中の01の試薬槽に希釈液Bとなる試薬2を入れる。
【0036】
次に分注を行う。分注については、分注機構40が90度位置にある状態で行われる工程1と、分注機構40が原点位置にある状態で行われる工程2とに分けて説明する。なお、工程1では、初期の状態として分注機構40が原点位置にあることが前提となっており、工程2では、初期状態として分注機構40が90度位置にあることが前提となっている。
【0037】
工程1では、図3のフローチャートに示されるように、先ず、移動手段20のX軸部材21A、21B、Y軸部材22を駆動させて、分注機構40を第2分注チップ容器51BのA1〜E1の略鉛直上方に移動させる(1a)。次に、回転機構30が分注機構40を原点位置から90度位置へと回転させ、分注機構40の12本のノズル46の一端から数えて3〜7番目のノズル46を、第2分注チップ容器51BのA1〜E1の鉛直上方に位置させる(1b)。次に、Z軸部材23を駆動して、分注機構40のノズル46に分注チップ60が装着される位置まで分注機構40を鉛直下方へ移動させて、第2分注チップ容器51BのA1〜E1に収納されていた分注チップ60を分注機構40のノズル46に装着する(1c)。なお、分注チップ60は、分注機構40の12本のノズル46の一端から数えて3〜7番目のノズル46に装着されるが、この位置に限定されず、ノズル46のどの位置に装着されてもよい。
【0038】
次に、Z軸部材23を駆動させて分注機構40を鉛直上方へ移動させる(1d)。そして、X軸部材21A、21B及びY軸部材22を駆動させ、分注機構40を第2試薬槽52Bの01の鉛直上方に位置させる(1e)。続いて、Z軸部材23を駆動させて、ノズル46に装着された分注チップ60の径の小さい方の先端が液面に到達し且つ分注チップ60の装着されていないノズル46の先端が液面に達しない位置、即ち、吸引高さ位置に至るまで、分注機構40を鉛直下方へ移動させる(1f)。そして、分注チップ60から希釈液Bとなる試薬2を144μl吸引する(1g)。
【0039】
次に、Z軸部材23を駆動して分注機構40を鉛直上方に移動させ(1h)、X軸部材21A、21B及びY軸部材22を駆動して分注機構40の分注チップ60が装着されているノズル46をマイクロプレート53のA1〜E1の鉛直上方に位置させる(1i)。そして、Z軸部材23を駆動させて、試薬を吐出する吐出高さ位置に至るまで分注機構40を鉛直下方へ移動させる(1j)。そして、分注チップ60内に吸引していた試薬2を、マイクロプレート53のA1〜E1のウェル53aに、図3のステップ(1g)で吸引した144μlの試薬2を吐出する(1k)。
【0040】
次に、Z軸部材23を駆動して分注機構40を鉛直上方へ移動させ(1l)、X軸部材21A、21B及びY軸部材22を駆動して分注機構40を分注チップ廃棄容器54の鉛直上方に位置させ、図示せぬ分注チップ外し機構によって分注チップ60を取外す(1m)。以上の工程を経て工程1が終了する。
【0041】
工程1の1bにおいて、分注機構40を原点位置から90度位置へと回転させる際には、図示せぬ制御装置がステッピングモータ32を制御する。より具体的には、原点検出ドグ43が原点検出センサの図示せぬ受光部を遮光するまで、分注機構40が原点方向へ向かって回転するように、図示せぬ制御装置がステッピングモータ32を制御し駆動させる。逆に、後述の工程2の2bにおいて、分注機構40を90度方向から原点方向へと回転させる際には、制御手段は、原点位置から90度回転させるために必要なパルス数だけステッピングモータ32を駆動させる。
【0042】
次に、工程2では、図4のフローチャートに示されるように、先ず、移動手段20のX軸部材21A、21B、Y軸部材22を駆動させて、分注機構40を第1分注チップ容器51AのA2〜A12の略鉛直上方に移動させる(2a)。次に、回転機構30が分注機構40を90度位置から原点位置へと回転させ、分注機構40の12本のノズル46の内の一端のノズル46を除く全てのノズル46を、第1分注チップ容器51AのA2〜A12の鉛直上方に位置させる(2b)。次に、Z軸部材23を駆動して、分注機構40のノズル46に分注チップ60が装着される位置まで分注機構40を鉛直下方へ移動させて、第1分注チップ容器51AのA2〜A12に収納されていた分注チップ60を、分注機構40の12本のノズル46の内の一端のノズル46を除く全てのノズル46に装着する(2c)。
【0043】
次に、Z軸部材23を駆動させて分注機構40を鉛直上方へ移動させる(2d)。そして、X軸部材21A、21B及びY軸部材22を駆動させ、分注機構40を第1試薬槽52AのAの鉛直上方に位置させる(2e)。続いて、Z軸部材23を駆動させて、ノズル46に装着された分注チップ60の径の小さい方の先端が液面に到達し且つ分注チップ60の装着されていないノズル46の先端が液面に達しない位置、即ち、吸引高さ位置に至るまで、分注機構40を鉛直下方へ移動させる(2f)。そして、ノズル46に取付けられている分注チップ60から希釈液Aとなる試薬1を吸引する(2g)。
【0044】
次に、Z軸部材23を駆動して分注機構40を鉛直上方に移動させ(2h)、X軸部材21A、21B及びY軸部材22を駆動して分注機構40の分注チップ60が装着されているノズル46をマイクロプレート53のA2〜A12の鉛直上方に位置させる(2i)。そして、Z軸部材23を駆動させて、試薬を吐出する吐出高さ位置に至るまで分注機構40を鉛直下方へ移動させる(2j)。そして、分注チップ60内に吸引していた試薬1を、マイクロプレート53のA2〜A12のウェル53aに吐出する(2k)。また、図4のAの枠内の一連のステップと同様に、B2〜B12及びE2〜E12にも試薬1を吐出する。次に、Z軸部材23を駆動して分注機構40を鉛直上方へ移動させ、X軸部材21A、21B及びY軸部材22を駆動して分注機構40を分注チップ廃棄容器54の鉛直上方に位置させ、図示せぬ分注チップ外し機構によって分注チップ60を取外す(2m)。以上の工程を経て工程2が終了する。
【0045】
次に工程3として、工程1と同様に分注機構40に、第2の分注チップ容器51BのA2〜E2に収納されている分注チップ60をノズル46に装着し、マイクロプレートのA1〜E1のウェルから50μl吸引した後、A2〜E2に吐出する。吐出が終了したら、A2〜E2のウェルから50μl吸引してA3〜E3に吐出する。この動作をウェルA8〜E8まで繰返し、マイクロプレート53に段階的に検体を希釈した検体希釈液を作成する。次に、図示せぬ分注チップ外し機構によって分注チップ60を取外して工程3を終了する。
【0046】
次に、工程4として、図4に示される工程2の一連のステップと同様にして、分注機構40に、第1の分注チップ容器51AのB1〜B12に収納されている分注チップ60をノズル46に装着し、反応開始液Aとなる試薬3を試薬槽52AのBから100μl吸引し、マイクロプレート53のA1〜A12に吐出する。次に、図示せぬ分注チップ外し機構によって分注チップ60を取外す。更に、第1の分注チップ容器51AのC1〜C12に収納されている分注チップ60をノズル46に装着し、反応開始液Bとなる試薬4を試薬槽52AのCから100μl吸引し、マイクロプレート53のB1〜B12に吐出する。次に、図示せぬ分注チップ外し機構によって、分注チップ60を取外す。
【0047】
同様に、マイクロプレートのC1〜C12、D1〜D12、E1〜E12にそれぞれ反応開始液C〜Eとなる試薬5〜7を注入し、各ウェル53aの反応試験を開始する。
【0048】
次に工程5として、マイクロプレート上の反応開始液の入った検体希釈液を一定温度で一定時間反応させる。
【0049】
次に工程6として、予め任意に設定された時間が経過したら、工程2と同様に分注機構40に、第1の分注チップ容器51AのG1〜G12に収納されている分注チップ60をノズル46に装着し、反応停止液となる試薬8を試薬槽52AのHから75μl吸引し、マイクロプレート53のA1〜A12に吐出する。図4のAの枠内の一連のステップと同様に、B1〜B12、C1〜C12、と順次試薬8をE1〜E12まで注入し、各ウェル53aの反応を停止させる。
【0050】
本発明による自動分注装置は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば本実施の形態では、分注機構40は、回転機構30を構成するステッピングモータ32によって回転可能に構成されたが、ステッピングモータ32によらなくてもよい。例えば、図6に示されるように、分注機構40にプーリ48を設け、装置本体10の一部にプーリ48に当接可能な当接部材12を設けるようにしてもよい。
【0051】
より具体的には、分注機構40の一部であってシリンダ保持部41と被支持部42′とが接続されている位置には、円盤形状をしたプーリ48が設けられている。プーリ48の軸心は分注機構40の回転軸と一致しており、プーリ48とシリンダ保持部41及び被支持部42′とは一体に回転可能に構成されている。
【0052】
一方、装置本体10内部の室10aを画成している内周面であってX軸部材21Aに平行な面には、長方形をした板状の当接部材12が設けられている。当接部材12は、X軸部材21Aの近傍に設けられており、板状の面が水平となるような位置関係でその長方形の一の長辺をなす端面12Bが当該内周面に固着されている。従って、長方形をした当接部材12の他の長辺をなす端面12Aは、当該内周面から離間した位置においてX軸部材の長手方向と平行の位置関係にある。
【0053】
分注機構40を回転させるときには、先ず、Z軸部材23によってプーリ48の高さと当接部材12の高さとが同一となるようにするとともに、X軸部材21A、21Bによって分注機構40を移動させて、プーリ48の円周をなす端面48Aと当接部材12の他の長辺をなす端面12Aとが互いに対向し合う位置関係とする。次に、Y軸部材22によって分注機構40を移動させて、プーリ48の端面48Aと当接部材12の端面12Aとを当接させる。この当接した状態を維持したままX軸部材21A、21Bによって分注機構40を移動させることによって、プーリ48の端面48Aと当接部材12の端面12Aとの間の摩擦によりプーリ48は回転方向の力を受け、分注機構40が回転する。
【0054】
分注機構40を回転させる角度の制御は、X軸部材21A、21Bによる分注機構40の移動量を制御することによって行ってもよいし、分注機構40内に角度センサを設けて、この角度センサによって回転する角度を認識して制御するようにしてもよい。
【0055】
また、プーリ48が当接部材12に当接する圧力を常に一定とするために、図7に示されるように、当接部材12を支持台13で支持するようにし、当接部材12と装置本体10の内周面との間にばね14を設けて、当接部材12をプーリ48の方向へ付勢してやるようにしてもよい。
【0056】
また、分注機構40が回転されているときに、プーリ48が当接部材12に対してスリップしてしまうことを防止するために、図7に示されるように、当接部材12の端面12A全体にゴム等の弾性部材15を設けてもよい。このようにすることによってプーリ48と弾性部材との間の摩擦係数を大きくすることができる。また、同様の目的でプーリ48の端面48A全体に図示せぬ弾性部材を設けてもよい。
【0057】
また、当接部材12は、装置本体10内部の室10aを画成している内周面であってX軸部材21Aに平行な面に設けられていたが、装置本体10内部の室10aを画成している内周面であってY軸部材22に平行な面に設けられていてもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、マイクロプレート53には縦12個横8個の計96個のウェル53aが形成されていたが、この個数に限られない。ウェルの数は、縦、横ともに4の倍数とするのが一般的であり、例えば、縦を本実施の形態のマイクロプレート53の2倍、3倍にして、縦24個、縦36個としてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、回転部材により分注機構40を回転可能として、縦方向及び横方向に並んだ複数のウェル53aに対して、それぞれ一括して試薬を吐出できるようにしたが、回転部材を設けない構成としてもよい。この場合には、常時原点位置にある分注機構と、常時90度位置にある分注機構との2つの分注機構を設け、これらの分注機構をそれぞれ別個独立に移動可能とする2つの移動手段を設ければよい。
【0060】
また、X軸部材21A、21Bは装置本体10に対して移動不能に固着されていたが、Y軸部材を2本設けて装置本体10に対して移動不能とし、X軸部材が2本のY軸部材を掛渡すようにして設けてもよい。この場合には、X軸部材は、Y軸部材に対して直角の状態を保ったままY軸部材の長手方向(Y軸方向)に移動可能となる。
【0061】
【発明の効果】
請求項1、2記載の自動分注装置によれば、分注チップを2つの分注チップ容器に収納するようにしたため、シリンダの配置方向が縦方向に指向している状態の分注機構のノズルに装着する縦用の分注チップと、シリンダの配置方向が横方向に指向している状態の分注機構のノズルに装着する横方向用の分注チップとを別個独立して予め分注チップ容器上に配列させておくことができる。このため、縦方向用の分注チップと横方向用の分注チップとを間違えずに分注機構に取付けることができる。
【0062】
また、2つの分注チップ容器を、縦n本横m本のマトリックス状に分注チップを並べて収納可能としたため、マイクロプレート上のウェルの縦横の配置と対応させることができる。このため、例えば、nが12、mが8でnの方がmよりも大きく、シリンダの本数が12本である場合に、シリンダの配置方向が横方向に指向している分注機構のノズルに分注チップを装着するときに、誤って、マイクロプレートの横方向のウェルの個数である8個を超えて分注チップをノズルに装着することを防止することができ、ウェルの存在しない位置において分注チップから液体を吐出してしまうことを防止することができる。
【0063】
また、液体の試薬は2つの試薬槽に貯留され、一の試薬槽は、シリンダの配置方向が縦方向に指向している分注機構のノズルに装着された分注チップに供給するための試薬が貯留されている第1の試薬槽であり、他の試薬槽は、シリンダの配置方向が横方向に指向している分注機構のノズルに装着された分注チップに供給するための試薬が貯留されている第2の試薬槽であるため、シリンダの配置方向が縦方向、横方向のそれぞれに指向している状態の分注機構のノズルに装着された分注チップに、試薬を間違えずに吸引させることができる。また、より多くの種類の試薬を試薬槽に貯留しておくことができる。また、試薬の量を、必要最低限とすることができる。
【0064】
請求項3記載の自動分注装置によれば、複数のシリンダが配置された一列の方向を変えるために、鉛直方向に指向する所定の回転軸を中心として分注機構を回転させる回転機構を備えているため、縦方向用分注機構と横方向用分注機構との2つの分注機構を設ける必要がなく、1つの分注機構で自動的にマイクロプレートの縦方向及び横方向に分注を行うことができ、薬物代謝反応を容易に行うことができる。
【0065】
請求項4記載の自動分注装置によれば、回転軸が、直線状に配置された複数のシリンダの列の長さの中間の位置にあるため、回転軸の位置を基準として分注機構を移動機構によって移動させて所望のウェルの鉛直上方に正確に配置させ、それぞれの分注チップをそれぞれのウェルに対向させることができる。
【0066】
請求項5記載の自動分注装置によれば、分注機構は回転機構に対して着脱自在であるため、分注機構のノズルやシリンダが破損した場合に、直ちに分注機構全体を交換することができる。
【0067】
請求項6記載の自動分注装置によれば、マイクロプレートは、ウェル内を加熱して所定の温度を保った状態でマイクロプレートを振動させてウェル内の試料と試薬との攪拌を促進させるためのサーモミキサ上に配置されているため、自動分注装置からマイクロプレートを取出して、自動分注装置とは別個に設けられたサーモミキサ上に配置し直す工程を省略することができる。
【0068】
請求項7記載の自動分注装置によれば、試薬槽が液体の試薬を所定の低温に保った状態で貯留することができる冷却器上に配置されているため、自動分注装置とは別個に設けられた試薬保冷庫中に試薬槽を入れて試薬を冷却しておく工程を省略することができる。
【0069】
請求項8記載の自動分注装置によれば、分注機構は、シリンダの配置方向がマイクロプレートの縦方向に指向する縦方向用分注機構と、シリンダの配置方向がマイクロプレートの横方向に指向する横方向用分注機構とからなるため、1台の自動分注装置で自動的にマイクロプレートの縦方向及び横方向に分注を行うことができ、薬物代謝反応等を容易に行うことができる。
【0070】
また、縦方向用分注機構、横方向用分注機構のシリンダの本数は、それぞれn、mのうちの大きい方と同数であるため、マイクロプレートの縦方向、横方向のウェルの数であるn、mのうちのmの方がnよりも小さい場合であっても、n、mのうちのmの方がnよりも大きい場合であっても、縦方向用分注機構及び横方向用分注機構を用いてマイクロプレート上の任意の場所に液体を吐出することができる。
【0071】
この場合において、例えば、n、mのうちのmの方がnよりも小さい場合には、縦方向用分注チップの複数のシリンダに最大でもm個の分注チップしか装着されないため、誤ってm個を超える本数の分注チップを装着してしまうことを防止することができる。n、mのうちのmの方がnよりも大きい場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態による自動分注装置を示す斜視図。
【図2】 本発明の実施の形態による自動分注装置の回転機構及び分注機構を示す概略図であり、(a)は分注機構が原点位置にある状態を示し、(b)は分注機構が90度位置にある状態を示す。
【図3】 本発明の実施の形態による自動分注装置によって行う分注の、工程1を示すフローチャート。
【図4】 本発明の実施の形態による自動分注装置によって行う分注の、工程2を示すフローチャート。
【図5】 本発明の実施の形態による自動分注装置のステージ上の配置を示す平面図。
【図6】 本発明の実施の形態の変形例による自動分注装置を示す要部斜視図。
【図7】 本発明の実施の形態の変形例による自動分注装置の当接部材とプーリとが対向している状態を示す要部断面図。
【符号の説明】
1・・・自動分注装置 20・・・移動手段 21A、21B・・・X軸部材 22・・・Y軸部材 23・・・Z軸部材 30・・・回転機構 40・・・分注機構 44・・・モータ 45・・・シリンダ 46・・・ノズル 47・・・プランジャ 47A・・・プランジャ支持部材 51A・・・第1分注チップ容器 51B・・・第2分注チップ容器 52A・・・第1試薬槽 52B・・・第2試薬槽 60・・・分注チップ

Claims (8)

  1. 分注チップが取付けられ液状の試薬又は試料の吸引及び吐出を該分注チップにおいて行うためのノズルと該分注チップへの液体の吸引及び該分注チップからの液体の吐出を行うためのプランジャとを備えた複数のシリンダが、それらの軸が互いに平行に且つ一列に並んで配置された分注機構と、
    互いに垂直の関係を有するX軸、Y軸、Z軸方向へ該分注機構を移動させる移動手段と、
    縦n個横m個のマトリックス状に複数のウェルが配置されたマイクロプレートとを備え、
    該一列に並んで配置された複数の該シリンダは等間隔で直線状に配置され、該シリンダの本数はn又はmのうちの値の大きい方と同数であり、
    該ノズルは該分注チップを着脱可能に構成され、該分注チップからマイクロプレート上の複数のウェルに対して該分注チップに吸引した液体を列全体で同時に一括して吐出する自動分注装置であって、
    該分注チップは、該分注チップを縦n本横m本のマトリックス状に並べて収納可能な2つの分注チップ容器に収納され、一の該分注チップ容器は、該シリンダの配置方向が縦方向に指向している該分注機構の該ノズルに装着するための該分注チップを収納する第1の分注チップ容器であり、他の該分注チップ容器は、該シリンダの配置方向が横方向に指向している該分注機構の該ノズルに装着するための該分注チップを収納する第2の分注チップ容器であり、該第1、第2の分注チップ容器の縦方向は該マイクロプレートの縦方向に平行に配置され、
    該液体の試薬は2つの試薬槽に貯留され、一の該試薬槽は、該シリンダの配置方向が縦方向に指向している該分注機構の該ノズルに装着された該分注チップに供給するための試薬が貯留されている第1の試薬槽であり、他の該試薬槽は、該シリンダの配置方向が横方向に指向している該分注機構の該ノズルに装着された該分注チップに供給するための試薬が貯留されている第2の試薬槽であり、該第1、第2の試薬槽の縦方向は該マイクロプレートの縦方向に平行に配置されていることを特徴とする自動分注装置。
  2. 該複数のシリンダの本数は12本であり、それらの軸が鉛直方向に指向して配置され、
    該ノズルは該シリンダの下端に設けられ、該ノズルには鉛直下方へ向けて開口する吐出口が形成され、
    該プランジャは該シリンダの上端に設けられ、該プランジャの上下方向の移動により該ノズルに取付けられた該分注チップにおいて液体の吸引、吐出が行われ、
    該プランジャーを上下動させる駆動手段を備えることを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
  3. 該複数のシリンダが配置された該一列の方向を変えるために、鉛直方向に指向する所定の回転軸を中心として該分注機構を回転させる回転機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
  4. 該回転軸は、該直線状に配置された該複数のシリンダの列の長さの中間の位置にあることを特徴とする請求項3記載の自動分注装置。
  5. 該分注機構は該回転機構に対して着脱自在であることを特徴とする請求項3記載の自動分注装置。
  6. 該マイクロプレートは、該ウェル内を加熱して所定の温度を保った状態で該マイクロプレートを振動させて該ウェル内の試料と試薬との攪拌を促進させるためのサーモミキサ上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
  7. 該試薬槽は該液体の試薬を所定の低温に保った状態で貯留することができる冷却器上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
  8. 該分注機構は、該シリンダの配置方向が該マイクロプレートの縦方向に指向する縦方向用分注機構と、該シリンダの配置方向が該マイクロプレートの横方向に指向する横方向用分注機構とからなり、該縦方向用分注機構、該横方向用分注機構の該シリンダの本数は、それぞれn、mのうちの大きい方と同数であることを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
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