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JP4064307B2 - エレベーターの運転制御装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベーターの運転制御装置及び方法の改良に係り、特に、かご内及び居室階を清潔に保つエレベーター運転制御装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
古くから、かご内に換気扇やエアコン等が取り付けられたエレベーターが採用されている。このエレベーターでは、かご内の換気が目的であったり、温度を一定に保つことを主目的としてきた。
【0003】
一方、積極的なクリーン運転の従来技術として特許文献1がある。この文献には、かご内の空気をフィルタを備えたダクトとの間を強制循環させ、かご内空気を常時清浄化するクリーンルーム用エレベーターにおいて、一般階にも運転させるために、一般階に着床中にはかご内を加圧する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−263363号公報(全体)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1では、エレベーター利用者に、外部での汚染要因が付着しておれば、その利用者とともにかご内及びクリーンルーム階へ少なからず外部汚染要因が持ち込まれる。
【0006】
近年、風邪やインフルエンザ等の流行により社会機能が麻痺する現象が散見され、また、花粉アレルギーにより引き起こされる「花粉症」等の症状を緩和する意味で、かご外からの種々ある外部要因をビル内に持ち込まないエレベーター制御装置及び方法の出現が望まれる。
【0007】
本発明の目的は、エレベーターを利用する際に、外部から居室へ「匂い」「病原菌」「花粉」等の進入を防止し、かご及び居室内の清浄化を向上することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はその一面において、ロビー階に停止してエレベーターのドアを開いたときに、かご内からドア開放面に向けて空気を送風する手段と、エレベーターの走行中に、かご内乗客に側面から空気を送風する手段と、エレベーターが居室階に到着してドアを開いたとき、このドア開放面と略平行に空気を送風する手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は他の一面において、エレベーターの戸開時にこの開放面と略平行に空気を送風する第1の送風手段と、かご内乗客に向けて上方から空気を送風する第2の送風手段と、エレベーターの戸開時にかご内からドア開放面に向けて空気を送風する第3の送風手段と、かご内の空気を外部へ排出する第4の送風手段と、かご内乗客に側面から空気を送風する第5の送風手段と、ロビー階での戸開,走行中,及び居室階への到着を含む3つ以上のエレベーターの運転状態を判別する手段と、これら3つ以上の運転状態の判別結果に応じて、前記第1〜第5の送風手段のオン/オフ状態の3つ以上の組合わせを切替える切替手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
これにより、建屋外ないしロビー階の汚染外気の、建屋内の居室への侵入を抑制することができる。
【0011】
本発明のその他の目的及び特徴は、以下の実施形態の説明で明らかになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態によるエレベーターの運転制御装置の概略構成図である。エレベーターの運転を制御する制御盤1と、複数の階床間にサービスするエレベーターのかご2を示している。詳細は省略しているが、制御盤1には、中央処理装置として働くCPUと、ROM、RAMで構成される記憶装置等を含むマイコン制御部を備えている。このマイコン制御部のプログラムは、エレベーターの各種の運転を行なう上で必要な制御機能モジュール群で構成されている。この制御機能モジュール群には、本実施形態で後述するエレベーターの運転制御機能を成す機能モジュールが含まれる。
【0014】
また、かご2には、後述する制御を実施する上で重要な、送風手段としてのファン10群,20群,30群,40群,及び50群が設置されている。各ファン群は、1〜数個のファンからなり、以下に述べる機能を果すものである。まず、第1の送風手段としてのファン10群は、主に、かご内乗客が居室に降りる際に動作し、かご内の汚染空気を開いたエレベータードアを通して、居室へ流出させないように作用させる。一般に、エアカーテンと呼ばれる圧縮空気の噴射を用いることもできる。図には、1個のファン10のみを示すが、複数のファンや噴射装置を配置し、エレベータードアの開放面に略平行に、その全面をエアカーテンで遮ることが望ましい。
【0015】
次に、第2の送風手段としてのファン20群(21,22)は、エレベーターの走行中において、かご内に上方から送風し、かご内乗客に付着している匂いや花粉や病原菌などの外部汚染物質を取り払うように作用する。本実施形態では、ファンを利用しているが、エアシャワーと呼ばれる圧縮空気の噴射を利用しても良い。
【0016】
また、第3の送風手段としてのファン30群は、ロビー階にて外部から乗客が乗り込む際にかご内に汚染空気及び物質が入り込まないように作用するものである。エレベーターかご2がロビー階に停止してドアを開いたとき、かご内の後方のファン31〜33から、ドア開放面に向って送風し、汚染空気等をロビー側へ吹き飛ばし、かご内への侵入を防止する。
【0017】
次に、第4の送風手段としてのファン40群は、エレベーターの待機中や、エレベーター走行中に、かご内の汚染空気をかご外へ排出するように作用するものである。特に、前記第2の送風手段20群による汚染物質除去中に、これによって浮遊するかご内の汚染空気を、かご後部のファン41〜43によって吸い集めて、外部へ排出する。あるいは、吸い集めた後、エアフィルタを通して、第2の送風手段20群を通してかご内に循環させても良い。
【0018】
最後に、第5の送風手段としてのファン50群は、乗客を乗せてエレベーターが走行中に、乗客に付着している外部汚染物質を側面から取り払うよう作用するものである。図では、かご2の側面にファン51〜54を配置して、乗客の左右から空気を送風している。
【0019】
ここで、すべてのファン群をエアシャワーと言われるような圧縮空気の噴射としても良い。また、ファン10群,20群,40群には、通風路にフィルタを配置してエアクリーナとしても良い。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態によるエレベーターの運転制御装置のハード部分構成図である。制御盤1内で出力された信号によってONするゲートZ10〜Z50により、それぞれ、出力リレーR10〜R50がONするものである。
【0021】
リレーR10の接点C10がONすると、かご2の第1の送風手段としてのファン10群を駆動し、前述した例えばエアカーテンの役割を果たすものである。同様に、リレーR20の接点C20のON時は、かご2の第2の送風手段としてのファン20群(21、22)を駆動し、かご内乗客の浄化をする。リレーR30の接点C30のON時は、かご2の第3の送風手段としてのファン30群(31〜33)を駆動し、乗客に付着している「匂い」「病原菌」「花粉」等を取り払う作用をする。リレーR40の接点C40のON時には、かご2の第4の送風手段としてのファン40群(41〜43)を駆動し、かご内汚染空気をかご外へ排気する。最後に、リレーR50の接点C50のON時は、かご2の第5の送風手段としてのファン50群(51〜54)を駆動し、乗客に対して側面からの送風によりエアシャワーの役割を果たすものである。
【0022】
図3は、本発明の一実施形態によるエレベーターの運転制御装置の処理フローである。これは、図1の制御盤1の内部のマイクロコンピュータにより、例えば40[ms]に1度程度の頻度でタイマー割り込みによって起動される。ステップ301において、エレベーターが戸閉待機中であるか判断する。戸閉待機中であれば、ステップ302において、かご内浄化(乗込み準備)として、ファン20群と40群を運転する。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態によるエレベーターの運転制御装置のかご内送風状態概略図である。前記かご内浄化(乗込み準備)状態は、同図(a)に示す通り、ファン21,22による上方からの送風と、ファン41〜43によるかご2の背面からの排気によってかご2内の汚染物質をかご外へ排出する制御を行う。このとき、ファン41〜43によるかご2の背面からの吸収後に、エアフィルタを通してファン21,22へ循環させることが望ましい。
【0024】
さて、ステップ303において、エレベーター待機が10分以上経過したと判断すると、十分にかご内の浄化と換気が成されたと見なして、ステップ304に進んで全てのファンを停止し、省エネを図る。
【0025】
また、居室階からロビー階へ向けて走行中の場合は、ステップ305にて、これを検知し、ステップ302で、やはり前記かご内浄化(乗込み準備)を行う。これは、かご内が汚染されていることを前提に、ロビー階での乗込準備として、かご内の浄化を行うものである。
【0026】
次に、ステップ306において、ロビー階で戸開したことを検知すると、ステップ307に進んで、かご内汚染防止を実行する。すなわち、ファン31〜33を運転し、図4(b)に示すように、かご内からドアに向けて送風し、乗り込み者に付着した汚染のかご内侵入を防止する。
【0027】
その後、乗り込み者が、居室階へのかご内の行先呼びボタンを操作し、走行を開始すると、ステップ308でこれを検知し、ステップ309にてかご内乗客の浄化を行う。すなわち、図4(c)に示すように、ファン10,20(21,22),40(41〜43),及び50群(51〜54)を運転して、かご内乗客に付着した汚染を振り払いながら、外部へ排気し、乗客の浄化を行う。
【0028】
居室階へ到着すると、ステップ310にてこれを検知し、ステップ311で居室階汚染防止を行う。これは、ファン10を運転し、図4(d)に示すように、エアカーテン的役割をさせて、かご内の汚染空気が居室階へ流出するのを防止するものである。
【0029】
この実施形態を要約すると、複数階からの乗り場呼びと、かご内のかご呼びに応答して複数階間を運転するエレベーターのかごと、かご内の空気を浄化する空気浄化装置を備えたエレベーターの運転制御装置を前提としている。ここで、エレベーターのかごに、5種類の送風手段を備えている。まず、エレベーターの戸開時に、この開放面と略平行に空気を送風する第1の送風手段があり、エアカーテン的な役目を担っている。次に、かご内乗客に向けて上方から空気を送風する第2の送風手段があり、乗客に付着した塵や汚染物質を振り払う。また、エレベーターの戸開時にかご内からドア開放面に向けて空気を送風する第3の送風手段により、ロビー階からの乗込み客とともに汚染が侵入するのを防止している。次に、かご内の空気を外部へ排出する第4の送風手段があり、特に前記第2の送風手段と協働して、かご内を浄化する。最後に、かご内乗客に側面から空気を送風する第5の送風手段を備え、乗客に付着した塵や汚染物質を振り払う。
【0030】
そして、戸閉待機,待機10分経過,ロビー階への走行中,ロビー階での戸開,居室階への走行中,及び居室階への到着の6つのエレベーターの運転状態を判別する手段を備えている。これら6つの運転状態の判別結果に応じて、前記第1〜第5の送風手段のオン/オフ状態の5つの組合わせを切替える切替手段を備えている。
【0031】
この実施形態によれば、建屋の外部から、ロビー階を通してエレベーターかご及び居室階への「塵埃」「匂い」「病原菌」「花粉」等の侵入を抑制することができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、かご内及び居室階の清浄化を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるエレベーターの運転制御装置の概略構成図。
【図2】本発明の一実施形態によるエレベーターの運転制御装置のハード部分構成図。
【図3】本発明の一実施形態によるエレベーターの運転制御装置の処理フロー。
【図4】本発明の一実施形態によるエレベーターの運転制御装置のかご内送風状態概略図。
【符号の説明】
1…制御盤、2…エレベーターかご、10…第1の送風手段としてのファン群、20(21,22)…第2の送風手段としてのファン群、30(31〜33)…第3の送風手段としてのファン群、40(41〜43)…第4の送風手段としてのファン群、50(51〜54)…第5の送風手段としてのファン群。

Claims (1)

  1. 複数階からの乗り場呼びと、かご内のかご呼びに応答して複数階間を運転するエレベーターのかごと、かご内の空気を浄化する空気浄化装置を備えたエレベーターの運転制御装置において、
    前記かごがロビー階に停止してエレベーターのドアを開いたときに、かご内からドア開放面に向けて空気を送風する第3の送風手段と、
    居室階へのかご内の行先呼びボタンが操作されて走行を開始したことを検知して、かご内に上方から送風する第2の送風手段、乗客の左右から空気を送風する第5の送風手段、およびかご内の空気を吸い集めて、外部へ排出する第4の送風手段と、
    エレベーターが居室階に到着してドアを開いたとき、このドア開放面を遮るように空気を送風する第1の送風手段を備えたことを特徴とするエレベーターの運転制御装置。
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